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▶ サターン ライセンシング エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144446
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】発光装置、表示装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20241003BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20241003BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20241003BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F21S2/00 482
H04N5/66 B
H04N5/66 102Z
G02F1/13357
G09F9/00 336E
G09F9/00 336G
F21S2/00 481
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024115835
(22)【出願日】2024-07-19
(62)【分割の表示】P 2021511304の分割
【原出願日】2020-03-06
(31)【優先権主張番号】P 2019066654
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】316009762
【氏名又は名称】サターン ライセンシング エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Saturn Licensing LLC
【住所又は居所原語表記】25 Madison Avenue New York, NY 10010-8601, USA
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永谷 真平
(57)【要約】
【課題】より広い色域の画像を表示可能な表示装置に用いられる発光装置を提供する。
【解決手段】この発光装置は、第1の青色光および第1の赤色光を含む第1の発光光の点滅動作が可能である第1の光源と、第2の赤色光および緑色光を含む第2の発光光の点滅動作が、第1の光源における第1の発光光の点滅動作から独立して可能である第2の光源とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の青色光および第1の赤色光を含む第1の発光光の点滅動作が可能である第1の光源と、
第2の赤色光および緑色光を含む第2の発光光の点滅動作が、前記第1の光源における前記第1の発光光の点滅動作から独立して可能である第2の光源と
を有し、
前記第2の光源は、発光体と、前記発光体上に直接設けられた色変換材料とを有し、
前記第1の光源と前記第2の光源とは同時に点灯し、前記第1の光源が消灯された後に前記第2の光源が消灯されるようになっている
発光装置。
【請求項2】
前記第1の光源は、
前記第1の青色光を発する第1の青色発光素子と、前記第1の青色光により励起されて前記第1の赤色光を発する第1の赤色蛍光体を含む第1の蛍光体層とを有する
請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2の光源は、
第2の青色光を発する第2の青色発光素子と、
前記第2の青色光により励起されて前記第2の赤色光を発する第2の赤色蛍光体を含む第2の蛍光体層とを有する
請求項2記載の発光装置。
【請求項4】
前記第2の光源は、
第2の青色光を発する第2の青色発光素子と、
前記第2の青色光により励起されて前記緑色光を発する緑色蛍光体を含む第2の蛍光体層とを有する
請求項2記載の発光装置。
【請求項5】
前記第2の光源は、
第2の青色光を発する第2の青色発光素子と、
前記第2の青色光によって励起されて前記第2の赤色光を発する第2の赤色蛍光体および前記第2の青色光によって励起されて前記緑色光を発する緑色蛍光体を含む第2蛍光体層とを有する
請求項2記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1の光源は、
前記第1の青色光を発する第1の青色発光素子と、前記第1の青色光により励起されて前記第1の赤色光を発する第1の赤色蛍光体を含む第1の蛍光体層とを有し、
前記第2の光源は、
第2の青色光を発する第2の青色発光素子と、
前記緑色光を発する緑色発光素子と、
前記第2の青色光および前記緑色光の双方によって励起されて前記第2の赤色光を発する第2の赤色蛍光体を含む第2の蛍光体層と
を有する
請求項1記載の発光装置。
【請求項7】
前記第1の赤色光における最大ピークの半値幅は、前記第2の赤色光における最大ピークの半値幅よりも狭い
請求項2記載の発光装置。
【請求項8】
前記第1の赤色光における波長に対する強度分布は輝線スペクトルを呈し、
前記第2の赤色光における波長に対する強度分布は連続スペクトルを呈する
請求項2記載の発光装置。
【請求項9】
前記第1の赤色蛍光体は、KSF蛍光体(K2SiF6:Mn4+)または量子ドットである
請求項2記載の発光装置。
【請求項10】
前記第2の光源は、青色光成分の透過を防ぐ青色光成分カットフィルタをさらに有する
請求項1記載の発光装置。
【請求項11】
発光装置と、
前記発光装置からの光を利用して画像表示を行う表示パネルと
を備え、
前記発光装置は、
第1の青色光および第1の赤色光を含む第1の発光光の点滅動作が可能である第1の光源と、
第2の赤色光および緑色光を含む第2の発光光の点滅動作が、前記第1の光源における前記第1の発光光の点滅動作から独立して可能である第2の光源と
を有し、
前記第2の光源は、発光体と、前記発光体上に直接設けられた色変換材料とを有し、
前記第1の光源と前記第2の光源とは同時に点灯し、前記第1の光源が消灯された後に前記第2の光源が消灯されるようになっている
表示装置。
【請求項12】
前記第1の光源の点灯動作と前記第2の光源の点灯動作との切り替えを行う点灯切り替え動作と、前記第1の発光光に対応した第1の画像の表示動作と前記第2の発光光に対応した第2の画像の表示動作との切り替えを行う表示切り替え動作と、を同期させる制御部、をさらに備えた
請求項11記載の表示装置。
【請求項13】
前記第1の光源は、
前記第1の青色光を発する第1の青色発光素子と、前記第1の青色光により励起されて前記第1の赤色光を発する第1の赤色蛍光体を含む第1の蛍光体層とを有する
請求項11記載の表示装置。
【請求項14】
前記第2の光源は、
第2の青色光を発する第2の青色発光素子と、
前記第2の青色光により励起されて前記第2の赤色光を発する第2の赤色蛍光体を含む第2の蛍光体層とを有する
請求項13記載の表示装置。
【請求項15】
前記第2の光源は、
第2の青色光を発する第2の青色発光素子と、
前記第2の青色光により励起されて前記緑色光を発する緑色蛍光体を含む第2の蛍光体層とを有する
請求項13記載の表示装置。
【請求項16】
前記第2の光源は、
第2の青色光を発する第2の青色発光素子と、
前記第2の青色光によって励起されて前記第2の赤色光を発する第2の赤色蛍光体および前記第2の青色光によって励起されて前記緑色光を発する緑色蛍光体を含む第2蛍光体層とを有する
請求項11記載の表示装置。
【請求項17】
前記第1の光源は、
前記第1の青色光を発する第1の青色発光素子と、前記第1の青色光により励起されて前記第1の赤色光を発する第1の赤色蛍光体を含む第1の蛍光体層とを有し、
前記第2の光源は、
第2の青色光を発する第2の青色発光素子と、
前記緑色光を発する緑色発光素子と、
前記第2の青色光および前記緑色光の双方によって励起されて前記第2の赤色光を発する第2の赤色蛍光体を含む第2の蛍光体層と
を有する
請求項11記載の表示装置。
【請求項18】
前記第1の赤色光における最大ピークの半値幅は、前記第2の赤色光における最大ピークの半値幅よりも狭い
請求項13記載の表示装置。
【請求項19】
前記第1の赤色光における波長に対する強度分布は輝線スペクトルを呈し、
前記第2の赤色光における波長に対する強度分布は連続スペクトルを呈する
請求項13記載の表示装置。
【請求項20】
前記第2の光源は、青色光成分の透過を防ぐ青色光成分カットフィルタをさらに有する
請求項11記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置、ならびにそれを備えた表示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、青色発光ダイオードと緑色蛍光体および赤色蛍光体とを組み合わせた光源を備えた液晶表示装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。また、窒化物蛍光体を用いた照明器具や画像表示装置が知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007―17781号公報
【特許文献2】特開2016―216711号公報
【発明の概要】
【0004】
ところで、近年、表示装置に対し、表示画像の高精細化と共に、表示画像の色域のさらなる拡張が求められている。
【0005】
したがって、より広い色域の画像を表示可能な表示装置および電子機器、ならびに、そのような表示装置および電子機器に適用可能な発光装置を提供することが望ましい。
【0006】
本開示の一実施形態としての発光装置は、第1の青色光および第1の赤色光を含む第1の発光光の点滅動作が可能である第1の光源と、第2の赤色光および緑色光を含む第2の発光光の点滅動作が、第1の光源における第1の発光光の点滅動作から独立して可能である第2の光源とを有する。また、本開示の一実施形態としての表示装置および電子機器は、上記本開示の一実施形態としての発光装置を備えたものである。
【0007】
本開示の一実施形態としての発光装置では、例えば、第1の光源と第2の光源とを交互に点灯させることにより、より広い色域に亘る色光が実現される。また、本開示の一実施形態としての表示装置および電子機器では、より広い色域の画像が表示される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示における第1の実施の形態に係る表示装置を表す概略図である。
図2図1に示した表示装置における発光装置の発光部を拡大して表す斜視図である。
図3図1に示した表示装置における発光装置の発光部を拡大して表す断面図である。
図4図1に示した発光装置の発光部の分光特性を表す特性図である。
図5図1に示した表示装置における第1の発光光および第2の発光光による各々の表示光の色度範囲を表す色度図である。
図6図1に示した表示装置における発光装置および液晶表示パネルの駆動タイミングの一例を表すタイミングチャートである。
図7図1に示した表示装置における表示光の色度範囲を表す色度図である。
図8A】第1の実施の形態の変形例としての発光部を表す断面図である。
図8B図8Aの発光部における吸収フィルタの透過率の波長依存性を表す特性図である。
図9】本開示における第2の実施の形態に係る表示装置における発光装置の発光部を拡大して表す断面図である。
図10図9に示した発光装置の発光部の分光特性を表す特性図である。
図11】本開示における第3の実施の形態に係る表示装置における発光装置の発光部を拡大して表す断面図である。
図12A】本開示の表示装置を搭載したタブレット型端末装置の外観を表す斜視図である。
図12B】本開示の表示装置を搭載した他のタブレット型端末装置の外観を表す斜視図である。
図13】本開示の発光装置を備えた第1の照明装置の外観を表す斜視図である。
図14】本開示の発光装置を備えた第2の照明装置の外観を表す斜視図である。
図15】本開示の発光装置を備えた第3の照明装置の外観を表す斜視図である。
図16A】手術室システムの全体構成を概略的に示す図である。
図16B】集中操作パネルにおける操作画面の表示例を示す図である。
図17図1に示した表示装置における発光装置の他の動作例を表すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
(青色発光素子および蛍光体層をそれぞれ含む2種類の光源を有する発光装置を備えた表示装置の例)
2.第1の実施の形態の変形例
(青色光吸収フィルタを含む光源を備えた発光装置の例)
3.第2の実施の形態
(青色発光素子および蛍光体層を含む第1の光源と、緑色発光素子および蛍光体層を含む第2の光源とを有する発光装置、を備えた表示装置の例)
4.第3の実施の形態
(青色発光素子および蛍光体層を含む第1の光源と、青色発光素子、緑色発光素子および蛍光体層を含む第2の光源とを有する発光装置、を備えた表示装置の例)
5.表示装置の適用例
6.発光装置の適用例
7.応用例
8.その他の変形例
【0010】
<1.第1の実施の形態>
[表示装置の構成]
図1は、本開示の第1の実施の形態としての発光装置1を含む表示装置の全体構成を表す概略図である。図2は、発光装置1の要部である発光部11(21)を拡大して表す斜視図である。図3は、発光部11(21)における、図1に示したIII-III切断線に沿った矢視方向の断面図である。
【0011】
この表示装置は、例えば、Z軸方向において順に配置された発光装置1と光学シート2と液晶表示パネル3とを備えた薄型テレビジョン装置である。液晶表示パネル3は、例えば一対の透明電極の間に挟まれた液晶層と、カラーフィルタとを含む透過型の液晶表示パネルである。また、発光装置1は、液晶表示パネル3を背後から照明するバックライトである。さらに、発光装置1と液晶表示パネル3との間に設けられた光学シート2は、例えば拡散板、拡散シート、レンズフィルムおよび偏光反射シートのうちの1種以上を含んでいる。なお、光学シート2は、上記の光学部材に限定されず、他の特性を有する光学部材
を含んでもよい。
【0012】
本明細書では、発光装置1と、光学シート2と、液晶表示パネル3との距離方向をZ軸方向(前後方向または厚さ方向ともいう。)とし、基板10や光学シート2、あるいは液晶表示パネル3の最も広い面、すなわち主面における上下方向をX軸方向とし、主面における左右方向をY軸方向とする。
【0013】
(発光装置1の構成)
発光装置1は、図1に示したように、例えば基板10と、その基板10の光学シート2と対向する表面10Sに沿ってマトリックス状に配列された複数の発光部11および複数の発光部21とを有している。なお、図1では、発光部11と発光部21とが、上下方向および左右方向の双方に沿って交互配列されている例を示しているが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0014】
(発光部11の構成)
図2および図3を参照して、発光部11の詳細の構成について説明する。発光部11は、第1の青色光および第1の赤色光を含む第1の発光光の点灯動作および消灯動作が可能であり、本開示の「第1の光源」に対応する一具体例である。発光部11は、発光素子12と、ホルダ13と、波長変換部14とを有する。図4の(A)に、発光部11が発する第1の発光光の分光特性の一例を示す。なお、図4では、横軸が波長[nm]を表し、縦軸が放射強度[-]を表す。
【0015】
発光素子12は、ホルダ13の底部13Bに設けられている。発光素子12は、例えば第1の青色光を発する青色LED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)である。発光素子12は、例えばZ軸方向と一致する光軸CL1を有する。発光素子12は、例えば発光層が樹脂層に内包されたパッケージ構造を有するものであってもよいし、発光層が剥き出しに設けられたフリップチップLEDであってもよい。また、ここでいう第1の青色光とは、例えば中心波長が430nm以上470nm以下であって半値幅が10nm以上30nm以下である最大強度を示す光である。
【0016】
ホルダ13は、基板10の表面10Sの上に設けられ、発光素子12を支持する底部13Bと、Z軸方向と直交するXY面内において発光素子12を取り囲む壁部13Wとを有する。すなわち、発光素子12は、ホルダ13の中央に設けられた凹部に設けられている。ホルダ13のXY面内における中心位置は、例えば光軸CL1と一致しているとよい。なお、ホルダ13は、隙間なく一体になって発光素子12を取り囲む形状のものであってもよい。さらに本実施の形態では、1つの発光部11につき1つの発光素子12を設け、その1つの発光素子12をホルダ13により取り囲むようにしたが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば1つの発光部11につき複数の発光素子12を設け、それら複数の発光素子12を1つのホルダ13により支持するようにしてもよい。
【0017】
ホルダ13は、例えば発光素子12と対峙する内壁面13Sを含んでいる。内壁面13Sは、発光素子12からの第1の発光光を反射する反射面であり、例えば基板10の表面10Sから光学シート2へ向かうほど、発光素子12から遠ざかるように傾斜した形状としてもよい。
【0018】
波長変換部14は、例えばホルダ13の凹部に充填され、発光素子12を覆うように設けられている。波長変換部14は、発光素子12の発する第1の青色光により励起されて第1の赤色光を発する第1の赤色蛍光体を含んでいる。第1の赤色光における分光特性は、例えば図4の(A)に示したように輝線スペクトルを呈する。第1の赤色蛍光体としては、例えばKSF蛍光体(K2SiF6:Mn4+)または量子ドットが挙げられる。第
1の赤色蛍光体がKSF蛍光体(K2SiF6:Mn4+)である場合、発光部11が発する第1の発光光は、図4の(A)に示したピークP11Rのように630nm近傍にピークを呈する。ここで、波長変換部14は、本開示の「第1の蛍光体層」に対応する一具体例である。
【0019】
また、波長変換部14は、発光素子12の発する第1の青色光の一部は第1の赤色光に変換されずにそのまま透過する。したがって、発光部11が発する第1の発光光は、その分光特性において、図4の(A)に示したピークP11Bのように、例えば中心波長が430nm以上470nm以下であって半値幅が10nm以上30nm以下であるピークを呈する。
【0020】
このように、発光部11から発せられる第1の発光光は、第1の青色光および第1の赤色光を含むものの緑色光は実質的に含んでいない。すなわち、第1の発光光においては、第1の青色光と第1の赤色光との色分離が十分になされている。このため、発光装置1から発せられる光の色純度を向上させるのに有利である。
【0021】
(発光部21の構成)
図2および図3を参照して、発光部21の詳細の構成について説明する。発光部21は、第2の赤色光および緑色光を含む第2の発光光の点灯動作および消灯動作が可能であり、本開示の「第2の光源」に対応する一具体例である。ここで、発光部11の第1の発光光の点灯動作および消灯動作、すなわち点滅動作と、発光部21の第2の発光光の点滅動作とは、互いに独立して実施可能となっている。発光部21は、発光素子22と、ホルダ23と、波長変換部24とを有する。図4の(B)に、発光部21が発する第2の発光光の波長に対する分光特性の一例を示す。
【0022】
発光素子22は、図2に示したように、ホルダ23の底部23Bに設けられている。発光素子22は、例えば第2の青色光を発する青色LEDである。発光素子22は、例えばZ軸方向と一致する光軸CL1を有する。発光素子22は、例えば発光層が樹脂層に内包されたパッケージ構造を有するものであってもよいし、発光層が剥き出しに設けられたフリップチップLEDであってもよい。また、ここでいう第2の青色光とは、発光素子12が発する第1の青色光と同様に、例えば中心波長が430nm以上470nm以下であって半値幅が10nm以上30nm以下である最大ピークを示す光である。なお、第1の青色光および第2の青色光は、実質的に同じ分光特性を有していてもよいし、互いに異なる分光特性を有していてもよい。
【0023】
ホルダ23は、ホルダ13と同様、基板10の表面10Sの上に設けられ、発光素子22を支持する底部23Bと、Z軸方向と直交するXY面内において発光素子12を取り囲む壁部23Wとを有する。すなわち、発光素子22は、ホルダ23の中央に設けられた凹部に設けられている。ホルダ23のXY面内における中心位置は、例えば光軸CL2と一致しているとよい。なお、ホルダ23は、隙間なく一体になって発光素子22を取り囲む形状のものであってもよい。さらに本実施の形態では、1つの発光部21につき1つの発光素子22を設け、その1つの発光素子22をホルダ23により取り囲むようにしたが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば1つの発光部21につき複数の発光素子22を設け、それら複数の発光素子22を1つのホルダ23により支持するようにしてもよい。
【0024】
ホルダ23は、例えば発光素子22と対峙する内壁面23Sを含んでいる。内壁面23Sは、発光素子22からの第2の発光光を反射する反射面であり、例えば基板10の表面10Sから光学シート2へ向かうほど、発光素子22から遠ざかるように傾斜した形状としてもよい。
【0025】
波長変換部24は、例えばホルダ23の凹部に充填され、発光素子22を覆うように設けられている。波長変換部24は、発光素子22の発する第2の青色光により励起されて第2の赤色光を発する第2の赤色蛍光体を含んでいる。第2の赤色光における分光特性は、例えば図4の(B)に示したピークP21Rのように連続スペクトルを呈する。すなわち、発光部11において波長変換部14の第1の赤色蛍光体が発する第1の赤色光における最大ピークの半値幅のほうが、波長変換部24の第2の赤色蛍光体が発する第2の赤色光における最大ピークの半値幅よりも狭い。
【0026】
さらに、波長変換部24は、発光素子22の発する第2の青色光により励起されて緑色光を発する緑色蛍光体を含んでいる。緑色蛍光体としては、例えばSi(ケイ素),Al(アルミニウム),O(酸素)およびN(窒素)の各元素を含む酸窒化物蛍光体、またはYAG蛍光体(Y3(Al,Ga)512:Ce3+)が挙げられる。緑色蛍光体がβSiAlONと呼ばれる酸窒化物蛍光体である場合、分光特性において、図4の(B)に示したピークP21Gのように、例えば中心波長が520nm以上560nm以下であって半値幅が40nm以上65nm以下である放射強度のピークが発現する。
【0027】
発光部21では、波長変換部24において、発光素子22の発する第2の青色光のほぼ全てが第2の赤色光および緑色光に変換される。したがって、発光部21が発する第2の発光光は、その分光特性において、図4の(B)に示したように、青色成分を実質的に含んでいない。
【0028】
本実施の形態の表示装置は、図1に示したように、制御部4をさらに備えている。制御部4は、画像信号処理回路4Aと、LED制御回路4Bと、LCD制御回路4Cとを有している。画像信号処理回路4Aは、外部装置からの入力信号に応じて表示制御信号を生成し、LCD制御回路4Cへ送信するようになっている。画像信号処理回路4Aは、さらに、バックライトとしての発光装置1の制御を行うためのバックライト制御信号を生成し、LED制御回路4Bへ送信するようになっている。LED制御回路4Bは、画像信号処理回路4Aからのバックライト制御信号に基づき、発光装置1における発光部11,21の点灯動作および消灯動作を制御するものである。LCD制御回路4Cは、画像信号処理回路4Aからの表示制御信号に基づき、液晶表示パネル3における画像表示動作を制御するものである。画像信号処理回路4Aは、さらに、液晶表示パネル3における画像表示動作と、発光装置1における発光部11,21の点滅動作との同期を行うようになっている。
【0029】
[表示装置の作用効果]
このように、本実施の形態の表示装置では、発光装置1が第1の発光光を発する発光部11と第2の発光光を発する発光部21とを有し、それら発光部11と発光部21とが互いに独立して点滅動作が可能に構成されている。
【0030】
図5は、本実施の形態の表示装置における表示光の色度範囲(色域)を表す色度図である。図5において、点11R、点11Gおよび点11Bの3点を結ぶ三角形TR11は、発光装置1のうち発光部11を点灯すると共に発光部21を消灯した場合の色度範囲、すなわち第1の発光光の色度範囲を表す。また、図5において、点21R、点21Gおよび点21Bの3点を結ぶ三角形TR21は、発光装置1のうち発光部11を消灯すると共に発光部21を点灯した場合の色度範囲、すなわち第2の発光光の色度範囲を表す。なお、点11R,21Rは、液晶表示パネル3を、赤色フィルタが配置された画素のみを選択的に表示させる赤表示とした場合の色度点(色度座標)である。点11G,21Gは、液晶表示パネル3を、緑色フィルタが配置された画素のみを選択的に表示させる緑表示とした場合の色度点である。点11B,21Bは、液晶表示パネル3を、青色フィルタが配置された画素のみを選択的に表示させる青表示とした場合の色度点である。さらに、図5では
、国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)が策定する国際規格BT.2020(Broadcasting service television 2020)において定められた色度範囲(以下、BT.2020色度範囲という。)を破線で表している。
【0031】
図5に示したように、三角形TR11で示した第1の発光光の色度範囲はマゼンタ傾向に偏りを見せており、三角形TR21で示した第2の発光光の色度範囲は黄色傾向に偏りを見せている。したがって、発光部11による第1の発光光のみでは、BT.2020色度範囲の多くの部分を表示することができない。同様に、発光部21による第2の発光光のみでは、BT.2020色度範囲の多くの部分を表示することができない。
【0032】
しかしながら、本実施の形態の表示装置では、発光部11と発光部21とを同時に点灯させることにより、第1の発光光と第2の発光光との混合色が得られる。すなわち、図5において三角形TR11で示した第1の発光光の色度範囲と三角形TR21で示した第2の発光光の色度範囲との中間の色度範囲の色度点に対応する色を表示できる。その際、発光部11の放射強度と発光部21の放射強度とのバランスを調整することにより、三角形TR11で示した第1の発光光の色度範囲と三角形TR21で示した第2の発光光の色度範囲との間の任意の色度点の色を表示できる。
【0033】
ここで、本実施の形態の表示装置では、画像信号処理回路4Aに基づくLED制御回路4Bによる発光装置1の制御により、例えば図6に示したように、発光部11の点灯動作と発光部21の点灯動作とを交互に行う。この表示装置は、さらに、画像信号処理回路4Aに基づくLCD制御回路4Cによる液晶表示パネル3の制御により、図6に示したように、発光部11による第1の発光光に対応した第1画像の表示と、発光部21による第2の発光光に対応した第2画像の表示とを交互に行う。その際、画像信号処理回路4Aは、液晶表示パネル3における画像表示動作と、発光装置1における発光部11,21の点滅動作とを同期させる。具体的には、1つの表示フレームを、前半のサブフレーム1と後半のサブフレーム2とに2等分する。前半のサブフレーム1において発光部11を点灯すると共に液晶表示パネル3に第1画像を表示し、続く後半のサブフレーム2において発光部21を点灯すると共に液晶表示パネル3に第2画像を表示する。これ以降に続く各表示フレームについても同様に、画像信号処理回路4AがLED制御回路4BおよびLCD制御回路4Cに発光装置1および液晶表示パネル3の制御を実行させる。なお、図6は、本実施の形態の表示装置における発光装置1および液晶表示パネル3の駆動タイミングの一例を表すタイミングチャートである。
【0034】
このように、本実施の形態の表示装置では、表示フレーム単位で発光部11による第1の発光光に対応した第1画像および発光部21による第2の発光光に対応した第2画像を用意し、それらを時分割表示させる。これにより、例えば図7の色度図に三角形TRで示したように、より広い色度範囲に亘る任意の色度点の色を表示させることができる。図7は、本実施の形態の表示装置において表示可能な表示色の色度範囲を表す色度図である。
【0035】
このように、本実施形態の発光装置1によれば、発光部11と発光部21とを交互に点灯させることにより、より広い色域に亘る色光を発することができる。したがって、発光装置1を備えた本実施形態としての表示装置によれば、より広い色域の画像を表示できる。
【0036】
<2.第1の実施の形態の変形例>
図8Aは、上記第1の実施の形態の発光装置1の変形例としての発光装置1Aにおける発光部21Aを表す断面図である。発光部21Aは、図8Aに示したように、発光素子22を覆うように、基板10の表面10Sと対向配置された青色光吸収フィルタ25をさらに有している。図8Bは、青色光吸収フィルタ25における透過率の波長依存性を表して
いる。
【0037】
発光部21Aは、青色光吸収フィルタ25を設けるようにしたので、第2の発光光に含まれる発光素子22からの第2の青色光を吸収することができる。その結果、本来不要である発光素子22からの直接光(第2の青色光)が発光部21Aから漏れるのを防ぐことができる。よって、発光装置1Aによれば、色純度のさらなる向上が期待できる。
【0038】
<3.第2の実施の形態>
[表示装置の構成]
図9は、本開示の第2の実施の形態としての発光装置1Bの要部を拡大して表す断面図であり、上記第1の実施の形態で説明した図3に対応するものである。上記第1の実施の形態の発光装置1では、第2の発光光を発する第2の光源として発光部21を有するようにした。これに対し、本実施の形態の発光装置1Bでは、第2の発光光を発する第2の光源として、発光部21に替えて発光部31を有するようにした。発光装置1Bはこの点を除き、他は上記第1の実施の形態の発光装置1と実質的に同じ構成を有する。
【0039】
(発光部31の構成)
図9を参照して、発光部31の詳細の構成について説明する。発光部31は、発光部21と同様、第2の赤色光および緑色光を含む第2の発光光の点灯動作および消灯動作が可能であり、本開示の「第2の光源」に対応する一具体例である。発光装置1Bでは、発光部11の第1の発光光の点滅動作と、発光部31の第2の発光光の点滅動作とは、互いに独立して実施可能となっている。発光部31は、発光素子32と、ホルダ33と、波長変換部34とを有する。図10に、発光部31が発する第2の発光光の分光特性の一例を示す。なお、図10では、横軸が波長[nm]を表し、縦軸が放射強度[-]を表す。
【0040】
発光素子32は、ホルダ33の底部33Bに設けられている。発光素子32は、例えば緑色光を発する緑色LEDである。発光素子32は、例えばZ軸方向と一致する光軸CL3を有する。発光素子32は、例えば発光層が樹脂層に内包されたパッケージ構造を有するものであってもよいし、発光層が剥き出しに設けられたフリップチップLEDであってもよい。また、ここでいう緑色光とは、例えば中心波長が520nm以上540nm以下であって半値幅が20nm以上40nm以下である最大ピークを示す光である。
【0041】
ホルダ33は、ホルダ13およびホルダ23と同様の構成を有する。具体的には、ホルダ33は、基板10の表面10Sの上に設けられ、発光素子32を支持する底部33Bと、Z軸方向と直交するXY面内において発光素子32を取り囲む壁部33Wとを有する。すなわち、発光素子32は、ホルダ33の中央に設けられた凹部に設けられている。ホルダ33のXY面内における中心位置は、例えば光軸CL3と一致しているとよい。さらに本実施の形態では、1つの発光部31につき1つの発光素子32を設け、その1つの発光素子32をホルダ33により取り囲むようにしたが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば1つの発光部31につき複数の発光素子32を設け、それら複数の発光素子32を1つのホルダ33により支持するようにしてもよい。
【0042】
波長変換部34は、例えばホルダ33の凹部に充填され、発光素子32を覆うように設けられている。波長変換部34は、発光素子32の発する緑色光により励起されて第2の赤色光を発する第2の赤色蛍光体を含んでいる。第2の赤色光における分光特性は、例えば図10に示したピークP31Rのように連続スペクトルを呈する。すなわち、発光部11において波長変換部14の第1の赤色蛍光体が発する第1の赤色光における最大ピークの半値幅のほうが、波長変換部34の第2の赤色蛍光体が発する第2の赤色光における最大ピークの半値幅よりも狭い。
【0043】
発光部31が発する第2の発光光は、その分光特性において、図10に示したように、青色成分を実質的に含んでいない。
【0044】
[表示装置の作用効果]
本実施形態の発光装置1Bにおいても、発光部11と発光部31とを交互に点灯させることにより、より広い色域に亘る色光を発することができる。したがって、発光装置1Bを備えた本実施形態としての表示装置によれば、より広い色域の画像を表示できる。
【0045】
<4.第3の実施の形態>
[表示装置の構成]
図11は、本開示の第3の実施の形態としての発光装置1Cの要部を拡大して表す断面図であり、上記第1の実施の形態で説明した図3に対応するものである。上記第1の実施の形態の発光装置1では、第2の発光光を発する第2の光源として発光部21を有するようにした。これに対し、本実施の形態の発光装置1Cでは、第2の発光光を発する第2の光源として、発光部21に替えて発光部41を有するようにした。発光装置1Cはこの点を除き、他は上記第1の実施の形態の発光装置1と実質的に同じ構成を有する。したがって、以下の記載では、発光部21と発光部41との相違点を重点的に説明し、他の実質的に同じ構成要素については説明を適宜省略する。
【0046】
(発光部41の構成)
図11を参照して、発光部41の詳細の構成について説明する。発光部41は、発光部21と同様、第2の赤色光および緑色光を含む第2の発光光の点灯動作および消灯動作が可能であり、本開示の「第2の光源」に対応する一具体例である。発光装置1Cでは、発光部11の第1の発光光の点滅動作と、発光部41の第2の発光光の点滅動作とは、互いに独立して実施可能となっている。発光部41は、発光素子42Bと、発光素子42Gと、ホルダ43と、波長変換部44とを有する。
【0047】
発光素子42Bおよび発光素子42Gは、ホルダ43の底部43Bに設けられている。発光素子42Bは例えば第2の青色光を発する青色LEDであり、発光素子42Gは例えば緑色光を発する緑色LEDである。発光素子42Bおよび発光素子42Gは、例えばZ軸方向と一致する光軸CL4Bおよび光軸CL4Gをそれぞれ有する。発光素子42Bおよび発光素子42Gは、例えば発光層が樹脂層に内包されたパッケージ構造を有するものであってもよいし、発光層が剥き出しに設けられたフリップチップLEDであってもよい。発光素子42Bの発する第2の青色光は、上記第1の実施の形態の発光素子22と同様に、例えば中心波長が430nm以上470nm以下であって半値幅が10nm以上30nm以下である最大ピークを示す光である。また、発光素子42Gの発する緑色光は、上記第2の実施の形態の発光素子32と同様に、例えば中心波長が520nm以上540nm以下であって半値幅が20nm以上40nm以下である最大ピークを示す光である。
【0048】
ホルダ43は、ホルダ13、ホルダ23およびホルダ33と同様の構成を有する。具体的には、ホルダ43は、基板10の表面10Sの上に設けられ、発光素子42Bおよび発光素子42Gを支持する底部43Bと、Z軸方向と直交するXY面内において発光素子42Bおよび発光素子42Gを取り囲む壁部43Wとを有する。すなわち、発光素子42Bおよび発光素子42Gは、ホルダ43の中央に設けられた凹部に設けられている。ホルダ43のXY面内における中心位置は、例えば光軸CL4Bと光軸CL4Gとの中間点と一致しているとよい。さらに本実施の形態では、1つの発光部41につき発光素子42Bおよび発光素子42Gを1つずつ設け、それら2つの発光素子42Bおよび発光素子42Gをホルダ43により取り囲むようにしたが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば1つの発光部41につき発光素子42Bおよび発光素子42Gを複数ずつ配置し、それらを1つのホルダ43により支持するようにしてもよい。
【0049】
ホルダ43は、例えば発光素子42Bおよび発光素子42Gと対峙する内壁面43Sを含んでいる。内壁面43Sは、発光素子42Bおよび発光素子42Gからの第2の発光光を反射する反射面であり、例えば基板10の表面10Sから光学シート2へ向かうほど、発光素子42Bおよび発光素子42Gから遠ざかるように傾斜していてもよい。
【0050】
波長変換部44は、例えばホルダ43の凹部に充填され、発光素子42Bおよび発光素子42Gを覆うように設けられている。波長変換部44は、発光素子42Bの発する第2の青色光と発光素子42Gの発する緑色光とにより励起されて第2の赤色光を発する第2の赤色蛍光体を含んでいる。第2の赤色光における分光特性は、例えば図10に示したピークP31Rのように連続スペクトルを呈する。
【0051】
波長変換部44では、発光素子42Bの発する第2の青色光の大部分を第2の赤色蛍光体が吸収する。このため、発光部41が発する第2の発光光には、その分光特性において青色成分が実質的に含まれていない。一方、発光素子42Gの発する緑色光の一部は第2の赤色蛍光体により吸収されて第2の赤色光に変換されるものの、発光素子42Gの発する緑色光のうち残りの部分は第2の赤色光に変換されずにそのまま第2の赤色蛍光体を透過する。したがって、発光部41が発する第2の発光光には、その分光特性において緑色成分が含まれる。
【0052】
[表示装置の作用効果]
本実施形態の発光装置1Cにおいても、発光部11と発光部41とを交互に点灯させることにより、より広い色域に亘る色光を発することができる。したがって、発光装置1Cを備えた本実施形態としての表示装置によれば、より広い色域の画像を表示できる。
【0053】
<5.表示装置の適用例>
以下、上記実施の形態の表示装置の電子機器への適用例について説明する。電子機器としては、例えばテレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラ等が挙げられる。言い換えると、上記表示装置は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0054】
図12Aは、上記実施の形態の表示装置が適用されるタブレット型端末装置の外観を表したものである。図12Bは、上記実施の形態の表示装置が適用される他のタブレット型端末装置の外観を表したものである。これらのタブレット型端末装置は、いずれも、例えば表示部210および非表示部220を有しており、この表示部210が上記実施の形態の表示装置により構成されている。
【0055】
<6.発光装置の適用例>
図13および図14は、上記実施の形態の発光装置1などが適用される卓上用の照明装置の外観を表したものである。この照明装置は、例えば、基台841に設けられた支柱842に、照明部843を取り付けたものであり、この照明部843は、発光装置1などにより構成されている。照明部843は、基板10および光学シート2などを湾曲形状とすることにより、図13に示した筒状、または図14に示した曲面状など、任意の形状とすることが可能である。
【0056】
図15は、上記実施の形態の発光装置1などが適用される室内用の照明装置の外観を表したものである。この照明装置は、発光装置1などにより構成された照明部844を有している。照明部844は、建造物の天井850Aに適宜の個数および間隔で配置されている。なお、照明部844は、用途に応じて、天井850Aに限らず、壁850Bまたは床
(図示せず)など任意の場所に設置することが可能である。
【0057】
これらの照明装置では、発光装置1などからの光により、照明が行われる。ここでは発光効率に優れ、面内の放射強度分布の均質性が向上した発光装置1などを備えているので、照明品質が向上する。
【0058】
<7.応用例>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、手術室システムに適用されてもよい。
【0059】
図16Aは、本開示に係る技術が適用され得る手術室システム5100の全体構成を概略的に示す図である。図16Aを参照すると、手術室システム5100は、手術室内に設置される装置群が視聴覚コントローラ(AV Controller)5107及び手術室制御装置5109を介して互いに連携可能に接続されることにより構成される。
【0060】
手術室には、様々な装置が設置され得る。図16Aでは、一例として、内視鏡下手術のための各種の装置群5101と、手術室の天井に設けられ術者の手元を撮像するシーリングカメラ5187と、手術室の天井に設けられ手術室全体の様子を撮像する術場カメラ5189と、複数の表示装置5103A~5103Dと、レコーダ5105と、患者ベッド5183と、照明5191と、を図示している。ここで、これらの装置のうち、装置群5101は、後述する内視鏡手術システム5113に属するものであり、内視鏡や当該内視鏡によって撮像された画像を表示する表示装置等からなる。内視鏡手術システム5113に属する各装置は医療用機器とも呼称される。一方、表示装置5103A~5103D、レコーダ5105、患者ベッド5183及び照明5191は、内視鏡手術システム5113とは別個に、例えば手術室に備え付けられている装置である。これらの内視鏡手術システム5113に属さない各装置は非医療用機器とも呼称される。視聴覚コントローラ5107及び/又は手術室制御装置5109は、これら医療機器及び非医療機器の動作を互いに連携して制御する。
【0061】
例えば視聴覚コントローラ5107には、装置群5101から、表示情報として、内視鏡によって撮像された患者の体腔内の術部の画像についての情報が送信され得る。視聴覚コントローラ5107は、出力先の装置である表示装置5103A~5103Dの少なくともいずれかに、取得した表示情報(すなわち、手術中に撮影された画像や、手術に関する各種の情報)を表示させる。図示する例では、表示装置5103Aは手術室の天井から吊り下げられて設置される表示装置であり、表示装置5103Bは手術室の壁面に設置される表示装置であり、表示装置5103Cは手術室内の机上に設置される表示装置であり、表示装置5103Dは表示機能を有するモバイル機器(例えば、タブレットPC(Personal Computer))である。
【0062】
手術室システム5100には、集中操作パネル5111が設けられており、ユーザは、当該集中操作パネル5111を介して、視聴覚コントローラ5107に対して画像表示についての指示を与えたり、手術室制御装置5109に対して非医療機器の動作についての指示を与えたりすることができる。
【0063】
図16Bは、集中操作パネル5111における操作画面の表示例を示す図である。図15Bでは、一例として、手術室システム5100に、出力先の装置として、2つの表示装置が設けられている場合に対応する操作画面を示している。図16Bを参照すると、操作画面5193には、発信元選択領域5195と、プレビュー領域5197と、コントロール領域5201と、が設けられる。
【0064】
発信元選択領域5195には、手術室システム5100に備えられる発信元装置と、当該発信元装置が有する表示情報を表すサムネイル画面と、が紐付けられて表示される。プレビュー領域5197には、出力先の装置である2つの表示装置(Monitor1、Monitor2)に表示される画面のプレビューが表示される。コントロール領域5201には、発信元の装置に対して操作を行うためのGUI(Graphical User Interface)部品が表示される発信元操作領域5203と、出力先の装置に対して操作を行うためのGUI部品が表示される出力先操作領域5205と、が設けられる。出力先操作領域5205には、出力先の装置である表示装置における表示に対する各種の操作(スワップ、フリップ、色調整、コントラスト調整、2D表示と3D表示の切り替え)を行うためのGUI部品が設けられている。
【0065】
さらに、本開示に係る技術は、例えば映画製作業務向けの液晶表示装置にも好適である。本技術に係る技術を適用した発光装置1を備えた表示装置であれば、広範囲の色域の再現性に優れている。このため、デジタルシネマに用いられる現行の放送規格や次世代放送規格に対応することができる。
【0066】
<8.その他の変形例>
以上、実施の形態および実験例を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態等では表示装置や発光装置の構成を具体的に挙げて説明したが、全ての構成要素を備える必要はなく、また、他の構成要素を備えていてもよい。
【0067】
上記第1の実施の形態では、第1の光源としての発光部11と第2の光源としての発光部21とを時分割表示するようにしたが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば発光部11と発光部21とを同時に点灯するようにしてもよい。その場合、例えば図17に示したタイミングチャートのように、発光部11および発光部21の双方が点灯する状態から、発光部11が消灯したのち発光部21が消灯するように制御するとよい。KSF蛍光体(K2SiF6:Mn4+)を含む第1の赤色蛍光体は、第2の赤色蛍光体に比べて残光時間が長い。このため、発光部11と発光部21とを同時に消灯した場合、第1の赤色蛍光体に起因する赤色の残光AGが視認されてしまう。そこで、発光部11を発光部21よりも先に消灯することで、赤色の残光AGが発光部21による第2の発光光により目立たなくすることができる。
【0068】
このように、本開示の一実施形態としての発光装置によれば、より広い色域に亘る色光を発することができる。また、本開示の一実施形態としての表示装置および電子機器によれば、表示性能を維持しつつ、より広い色域の画像を表示できる。
【0069】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であってその記載に限定されるものではなく、他の効果があってもよい。また、本技術は以下のような構成を取り得るものである。
(1)
第1の青色光および第1の赤色光を含む第1の発光光の点滅動作が可能である第1の光源と、
第2の赤色光および緑色光を含む第2の発光光の点滅動作が、前記第1の光源における前記第1の発光光の点滅動作から独立して可能である第2の光源と
を有する発光装置。
(2)
前記第1の光源は、
前記第1の青色光を発する第1の青色発光素子と、前記第1の青色光により励起されて前記第1の赤色光を発する第1の赤色蛍光体を含む第1の蛍光体層とを有し、
前記第2の光源は、
第2の青色光を発する第2の青色発光素子と、前記第2の青色光により励起されて前記第2の赤色光を発する第2の赤色蛍光体および前記第2の青色光により励起されて前記緑色光を発する緑色蛍光体を含む第2の蛍光体層とを有する
上記(1)記載の発光装置。
(3)
前記第1の光源は、
前記第1の青色光を発する第1の青色発光素子と、前記第1の青色光により励起されて前記第1の赤色光を発する第1の赤色蛍光体を含む第1の蛍光体層とを有し、
前記第2の光源は、
前記緑色光を発する緑色発光素子と、前記緑色光により励起されて前記第2の赤色光を発する第2の赤色蛍光体を含む第2の蛍光体層とを有する
上記(1)記載の発光装置。
(4)
前記第1の光源は、
前記第1の青色光を発する第1の青色発光素子と、前記第1の青色光により励起されて前記第1の赤色光を発する第1の赤色蛍光体を含む第1の蛍光体層とを有し、
前記第2の光源は、
第2の青色光を発する第2の青色発光素子と、前記緑色光を発する緑色発光素子と、前記第2の青色光および前記緑色光の双方により励起されて前記第2の赤色光を発する第2の赤色蛍光体を含む第2の蛍光体層と、を有する
上記(1)記載の発光装置。
(5)
前記第1の赤色光における最大ピークの半値幅は、前記第2の赤色光における最大ピークの半値幅よりも狭い
上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の発光装置。
(6)
前記第1の赤色光における波長に対する強度分布は輝線スペクトルを呈し、
前記第2の赤色光における波長に対する強度分布は連続スペクトルを呈する
上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の発光装置。
(7)
前記第1の赤色蛍光体は、KSF蛍光体(K2SiF6:Mn4+)または量子ドットである
上記(2)記載の発光装置。
(8)
前記第2の赤色蛍光体は、Ca(カルシウム),Al(アルミニウム),Si(ケイ素)およびN(窒素)の各元素を含む窒化物蛍光体であり、
前記緑色蛍光体は、Si(ケイ素),Al(アルミニウム),O(酸素)およびN(窒素)の各元素を含む酸窒化物蛍光体、またはYAG蛍光体(Y3(Al,Ga)512:Ce3+)である
上記(2)記載の発光装置。
(9)
前記第1の光源および前記第2の光源の双方が点灯する状態から、前記第1の光源が消灯したのち前記第2の光源が消灯するようになっている
上記(1)から(8)のいずれか1つに記載の発光装置。
(10)
前記第2の光源は、青色光成分の透過を防ぐ青色光成分カットフィルタをさらに有する
上記(1)または(2)記載の発光装置。
(11)
発光装置と、
前記発光装置からの光を利用して画像表示を行う表示パネルと
を備え、
前記発光装置は、
第1の青色光および第1の赤色光を含む第1の発光光の点滅動作が可能である第1の光源と、
第2の赤色光および緑色光を含む第2の発光光の点滅動作が、前記第1の光源における前記第1の発光光の点滅動作から独立して可能である第2の光源と
を有する表示装置。
(12)
前記第1の光源の点灯動作と前記第2の光源の点灯動作との切り替えを行う点灯切り替え動作と、前記第1の発光光に対応した第1の画像の表示動作と前記第2の発光光に対応した第2の画像の表示動作との切り替えを行う表示切り替え動作と、を同期させる制御部、をさらに備えた
上記(11)記載の表示装置。
(13)
発光装置と、前記発光装置からの光を利用して画像表示を行う表示パネルとを有する表示装置を備え、
前記発光装置は、
第1の青色光および第1の赤色光を含む第1の発光光の点滅動作が可能である第1の光源と、
第2の赤色光および緑色光を含む第2の発光光の点滅動作が、前記第1の光源における前記第1の発光光の点滅動作から独立して可能である第2の光源と
を有する
電子機器。
【0070】
本出願は、日本国特許庁において2019年3月29日に出願された日本特許出願番号2019-66654号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
【0071】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。
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