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特開2024-14445波長変換装置、光源装置及びプロジェクター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014445
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】波長変換装置、光源装置及びプロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240125BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240125BHJP
   F21V 9/40 20180101ALI20240125BHJP
   F21V 29/502 20150101ALI20240125BHJP
   F21V 29/77 20150101ALI20240125BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240125BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
F21V9/40 200
F21V29/502 100
F21V29/77
F21S2/00 375
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117269
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】田林 孝介
(72)【発明者】
【氏名】門谷 典和
【テーマコード(参考)】
2K203
【Fターム(参考)】
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA34
2K203FA44
2K203FA45
2K203FA54
2K203GA35
2K203HA30
2K203HA79
2K203KA63
2K203LA02
2K203LA13
2K203LA15
2K203LA36
2K203LA42
2K203MA04
2K203MA11
(57)【要約】
【課題】冷却効率を高めることができる波長変換装置、光源装置及びプロジェクターを提供する。
【解決手段】波長変換装置は、円盤状の回転体と、励起光が入射する入射面と、入射面とは反対側に配置されて励起光を波長変換した変換光を出射する出射面とを有し、回転体の周縁側の部分に、回転体の回転軸を中心とする環状に設けられた波長変換体と、回転体を回転させるモーターと、を備え、回転体は、ベイパーチャンバーを備え、ベイパーチャンバーは、気相と液相との間で相変化する作動流体を収容する密閉容器を備え、密閉容器は、密閉容器の外周部に配置され、波長変換体の熱を受熱する受熱部と、受熱部よりも回転軸側に配置され、受熱部にて受熱した熱を放熱する放熱部と、を有し、液相の作動流体は、受熱部にて受熱された熱によって気相に変化され、気相の作動流体は、放熱部にて凝縮される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状の回転体と、
励起光が入射する入射面と、前記入射面とは反対側に配置されて前記励起光を波長変換した変換光を出射する出射面とを有し、前記回転体の周縁側の部分に、前記回転体の回転軸を中心とする環状に設けられた波長変換体と、
前記回転体を回転させるモーターと、を備え、
前記回転体は、ベイパーチャンバーを備え、
前記ベイパーチャンバーは、気相と液相との間で相変化する作動流体を収容する密閉容器を備え、
前記密閉容器は、
前記密閉容器の外周部に配置され、前記波長変換体の熱を受熱する受熱部と、
前記受熱部よりも前記回転軸側に配置され、前記受熱部にて受熱した熱を放熱する放熱部と、を有し、
液相の前記作動流体は、前記受熱部にて受熱された熱によって気相に変化され、
気相の前記作動流体は、前記放熱部にて凝縮される、ことを特徴とする波長変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の波長変換装置において、
前記回転体は、円盤状の基板を備え、
前記波長変換体は、前記基板において前記基板の周縁側に配置され、
前記受熱部は、前記波長変換体よりも前記基板の前記回転軸側の位置に設けられる、ことを特徴とする波長変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の波長変換装置において、
前記モーターは、前記基板に対する前記励起光の入射側に配置され、
前記ベイパーチャンバーは、前記基板に対する前記励起光の入射側に配置されている、ことを特徴とする波長変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の波長変換装置において、
前記モーターは、前記ベイパーチャンバーに連結されている、ことを特徴とする波長変換装置。
【請求項5】
請求項3に記載の波長変換装置において、
前記ベイパーチャンバーは、前記回転軸に沿って前記ベイパーチャンバーを貫通する貫通口を有し、
前記モーターは、前記貫通口を通って前記基板に連結されている、ことを特徴とする波長変換装置。
【請求項6】
請求項2に記載の波長変換装置において、
前記モーターは、前記基板に対する前記励起光の入射側に配置され、
前記波長変換体及び前記ベイパーチャンバーは、前記基板に対する前記励起光の入射側とは反対側に配置されている、ことを特徴とする波長変換装置。
【請求項7】
請求項2から請求項6のいずれか一項に記載の波長変換装置において、
前記基板は、光が透過する光透過領域を有し、
前記波長変換体は、前記基板において前記光透過領域に応じて配置され、
前記ベイパーチャンバーは、前記波長変換体よりも前記回転軸側に設けられている、ことを特徴とする波長変換装置。
【請求項8】
請求項7に記載の波長変換装置において、
前記基板は、透光性を有し、
前記励起光は、前記回転体を介して前記波長変換体に入射する、ことを特徴とする波長変換装置。
【請求項9】
請求項7に記載の波長変換装置において、
前記基板は、透光性を有する前記密閉容器を備える円盤状の前記ベイパーチャンバーによって構成され、
前記波長変換体は、前記ベイパーチャンバーに設けられ、
前記密閉容器は、透光性を有する前記作動流体を収容し、
前記励起光は、前記ベイパーチャンバーを介して前記波長変換体に入射する、ことを特徴とする波長変換装置。
【請求項10】
請求項9に記載の波長変換装置において、
液相の前記作動流体は、前記回転体が回転されると、前記入射面において前記励起光が入射する入射領域よりも外周側に移動する、ことを特徴とする波長変換装置。
【請求項11】
請求項2から請求項6のいずれか一項に記載の波長変換装置において、
前記波長変換体は、前記基板の周縁よりも外側に突出して設けられている、ことを特徴とする波長変換装置。
【請求項12】
請求項11に記載の波長変換装置において、
前記基板は、円盤状の前記ベイパーチャンバーによって構成されている、ことを特徴とする波長変換装置。
【請求項13】
請求項11に記載の波長変換装置において、
前記波長変換体は、前記回転体において前記モーターとは反対側の面に設けられている、ことを特徴とする波長変換装置。
【請求項14】
請求項11に記載の波長変換装置において、
前記波長変換体は、前記入射面を構成し、前記励起光を透過し、前記変換光を反射する反射層を備え、
前記入射面は、外部に露出している、ことを特徴とする波長変換装置。
【請求項15】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の波長変換装置において、
前記ベイパーチャンバーから伝達される熱を放熱する放熱フィンを備える、ことを特徴とする波長変換装置。
【請求項16】
励起光を出力する光源と、
前記励起光の波長を変換した変換光を出力する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の波長変換光装置と、を備える、ことを特徴とする光源装置。
【請求項17】
請求項16に記載の光源装置から出射された光を変調した変調光を投射する、ことを特徴とするプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、波長変換装置、光源装置及びプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源装置から出射された光を変調して画像光を形成し、形成した画像光を投射するプロジェクターが知られている。このようなプロジェクターに採用される光源装置として、入射する励起光の波長を変換して出射する波長変換装置を備える光源装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、いわゆる反射型の波長変換素子を備える光源装置と、いわゆる透過型の波長変換素子を備える光源装置と、が開示されている。
反射型の波長変換素子は、励起光の波長を変換した変換光である蛍光を、励起光の入射方向とは反対方向に出射する。
透過型の波長変換素子は、励起光の入射方向に沿って蛍光を出射する。
反射型の波長変換素子及び透過型の波長変換素子から出射された蛍光は、コリメータレンズ等の集光レンズによって集光される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-81733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
透過型の波長変換素子は、反射型の波長変換素子に比べて、出射される変換光の光束径が大きくなりやすい。このため、集光レンズによって変換光を集光しにくいことから、画像光の形成に利用されない光量が多くなりやすい。
これに対し、透過型の波長変換素子に入射する励起光の光量を大きくして、画像光の形成に利用されない光量を補填することが考えられる。
しかしながら、入射する励起光の光量を大きくすると、波長変換素子に含まれる蛍光体の温度が上昇して、励起光の波長変換効率が低下してしまうという問題がある。また、熱によって蛍光体の寿命が短くなる他、必要な電力が増加するという問題がある。
このため、冷却効率を高めることができる波長変換装置の構成が要望されてきた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様に係る波長変換装置は、円盤状の回転体と、励起光が入射する入射面と、前記入射面とは反対側に配置されて前記励起光を波長変換した変換光を出射する出射面とを有し、前記回転体の周縁側の部分に、前記回転体の回転軸を中心とする環状に設けられた波長変換体と、前記回転体を回転させるモーターと、を備え、前記回転体は、ベイパーチャンバーを備え、前記ベイパーチャンバーは、気相と液相との間で相変化する作動流体を収容する密閉容器を備え、前記密閉容器は、前記密閉容器の外周部に配置され、前記波長変換体の熱を受熱する受熱部と、前記受熱部よりも前記回転軸側に配置され、前記受熱部にて受熱した熱を放熱する放熱部と、を有し、液相の前記作動流体は、前記受熱部にて受熱された熱によって気相に変化され、気相の前記作動流体は、前記放熱部にて凝縮される。
【0007】
本開示の第2態様に係る光源装置は、励起光を出力する光源と、前記励起光の波長を変換した変換光を出力する上記第1態様に係る波長変換光装置と、を備える。
【0008】
本開示の第3態様に係るプロジェクターは、上記第2態様に係る光源装置から出射された光を変調した変調光を投射する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態におけるプロジェクターの構成を示す模式図。
図2】第1実施形態における光源装置の構成を示すブロック図。
図3】第1実施形態における第1光源装置の構成を示す模式図。
図4】第1実施形態における波長変換装置を示す斜視図。
図5】第1実施形態における波長変換装置を示す斜視図。
図6】第1実施形態における波長変換装置を示す分解斜視図。
図7】第1実施形態における波長変換装置を示す分解斜視図。
図8】第1実施形態における波長変換装置を示す断面図。
図9】第1実施形態における波長変換装置の第1変形例を示す模式図。
図10】第1実施形態における波長変換装置の第2変形例を示す模式図。
図11】第1実施形態における波長変換装置の第3変形例を示す模式図。
図12】第2実施形態におけるプロジェクターが備える光源装置を構成する波長変換装置を示す模式図。
図13】第3実施形態におけるプロジェクターが備える光源装置を構成する波長変換装置を示す模式図。
図14】第3実施形態における波長変換装置の変形を示す模式図。
図15】第4実施形態におけるプロジェクターが備える光源装置を構成する波長変換装置を示す模式図。
図16】第4実施形態における波長変換装置の第2変形例を示す模式図。
図17】第5実施形態におけるプロジェクターが備える光源装置を構成する波長変換装置を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
[プロジェクターの概略構成]
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1の構成を示す模式図である。
本実施形態に係るプロジェクター1は、内部に設けられた光源装置31から出射された光を変調して画像情報に応じた画像光を形成し、形成した画像光をスクリーン等の被投射面に拡大投射する画像表示装置である。プロジェクター1は、詳しくは後述するが、図3に示す光源装置31が備える波長変換装置4Aの構成に特徴の1つを有する。
プロジェクター1は、図1に示すように、外装筐体2と、外装筐体2に収容される画像投射装置3と、を備える。この他、図示を省略するが、プロジェクター1は、プロジェクター1の動作を制御する制御装置、プロジェクター1を構成する電子部品に電力を供給する電源装置、及び、プロジェクター1を構成する冷却対象を冷却する冷却装置を備える。
【0011】
[画像投射装置の構成]
画像投射装置3は、制御装置から入力される画像情報に応じた画像光を形成し、形成された画像光を投射する。画像投射装置3は、光源装置31、均一化光学系32、色分離光学系33、リレー光学系34、画像形成装置35、光学部品用筐体36及び投射光学装置37を備える。
【0012】
光源装置31は、均一化光学系32に照明光を出射する。光源装置31の構成については、後に詳述する。
均一化光学系32は、光源装置31から出射された光を均一化する。均一化された光は、色分離光学系33及びリレー光学系34を経て、後述する光変調装置353の変調領域を照明する。均一化光学系32は、2つのレンズアレイ321,322、偏光変換素子323及び重畳レンズ324を備える。
色分離光学系33は、均一化光学系32から入射される光を赤、緑及び青の各色光に分離する。色分離光学系33は、2つのダイクロイックミラー331,332と、ダイクロイックミラー331によって分離された青色光を反射させる反射ミラー333と、を備える。
【0013】
リレー光学系34は、他の色光の光路よりも長い赤色光の光路に設けられ、赤色光の損失を抑制する。リレー光学系34は、入射側レンズ341、リレーレンズ343、反射ミラー342,344を備える。本実施形態では、リレー光学系34に赤色光を導くこととした。しかしながら、これに限らず、例えば他の色光より光路が長い色光を青色光とし、青色光をリレー光学系34に導く構成としてもよい。
【0014】
画像形成装置35は、入射される赤、緑及び青の各色光を変調し、変調された各色光を合成して、画像光を形成する。画像形成装置35は、入射される色光に応じて設けられる3つのフィールドレンズ351と、3つの入射側偏光板352と、3つの光変調装置353と、3つの出射側偏光板354と、1つの色合成光学系355と、を有する。
【0015】
光変調装置353は、光源装置31から出射された光を、制御装置から入力する画像信号に基づいて変調する。具体的に、光変調装置353は、入射側偏光板352から入射する色光を、制御装置から入力する画像信号に応じて変調し、変調された色光を出射する。3つの光変調装置353は、赤色光用の光変調装置353R、緑色光用の光変調装置353G、及び、青色光用の光変調装置353Bを含む。本実施形態では、光変調装置353は、変調した光を光の入射方向に沿って出射する透過型の液晶パネルであり、入射側偏光板352、光変調装置353及び出射側偏光板354によって液晶ライトバルブが構成される。
【0016】
色合成光学系355は、光変調装置353B,353G,353Rによって変調された3つの色光を合成して、画像光を形成する。色合成光学系355によって形成された画像光は、投射光学装置37に入射する。本実施形態では、色合成光学系355は、略直方体状のクロスダイクロイックプリズムによって構成されているが、複数のダイクロイックミラーによって構成されていてもよい。
【0017】
光学部品用筐体36は、上記した均一化光学系32、色分離光学系33、リレー光学系34及び画像形成装置35を内部に収容する。なお、画像投射装置3には、設計上の光軸である照明光軸Axが設定されており、光学部品用筐体36は、照明光軸Axにおける所定位置に均一化光学系32、色分離光学系33、リレー光学系34及び画像形成装置35を保持する。光源装置31及び投射光学装置37は、照明光軸Axにおける所定位置に配置される。
投射光学装置37は、画像形成装置35から入射する画像光をスクリーン等の被投射面に投射する。投射光学装置37は、例えば、図示しない複数のレンズと、複数のレンズを収容する鏡筒371と、を備える組レンズとすることができる。
【0018】
[光源装置の構成]
図2は、光源装置31の構成を示すブロック図である。
光源装置31は、光変調装置353を照明する照明光を均一化光学系32に出射する。光源装置31は、図2に示すように、例えばピーク波長が500~700nmの黄色光である蛍光を出射する第1光源装置311と、青色光を出射する第2光源装置317と、光合成装置318と、を有する。
これらのうち、光合成装置318は、第1光源装置311から出射された蛍光と、第2光源装置317から出射された青色光とを合成した照明光を均一化光学系32に出射する。
【0019】
[第1光源装置の構成]
図3は、第1光源装置311の構成を示す模式図である。
第1光源装置311は、図3に示すように、光源312、アフォーカル光学素子313、ホモジナイザー光学素子314、第1集光素子315、波長変換装置4A及び第2集光素子316を備える。
【0020】
光源312は、励起光を出射する複数の固体光源3121を備える。固体光源3121は、発光素子であり、例えばピーク波長が440nm又は460nmである青色のレーザー光を励起光として出射する半導体レーザーである。
アフォーカル光学素子313は、光源312から出射された励起光を縮径する。アフォーカル光学素子313は、入射される光を集光するレンズ3131と、レンズ3131によって集光された光束を平行化するレンズ3132とにより構成されている。
ホモジナイザー光学素子314は、アフォーカル光学素子313によって縮径された励起光の照度分布を均一化する。ホモジナイザー光学素子314は、一対のマルチレンズアレイ3141,3142により構成されている。第1光源装置311は、ホモジナイザー光学素子314に代えて、入射する光を透過させる過程にて拡散させる拡散透過素子を採用してもよい。
第1集光素子315は、ホモジナイザー光学素子314を通過した励起光を、波長変換装置4Aの波長変換体6に集光する。
【0021】
波長変換装置4Aは、入射した励起光の波長を変換した変換光を第2集光素子316に出射する。すなわち、波長変換装置4Aは、励起光の波長よりも長い波長を有する変換光を第2集光素子316に出射する。波長変換装置4Aは、波長変換装置4Aに対する励起光の入射方向に沿って変換光を出射する透過型の波長変換装置である。なお、変換光は、上記のように、ピーク波長が500~700nmの蛍光である。波長変換装置4Aの構成については、後に詳述する。
第2集光素子316は、波長変換装置4Aから出射された変換光を集光するとともに平行化して、光合成装置318に出射する。すなわち、第2集光素子316は、集光レンズである。
第1光源装置311から光合成装置318に入射された変換光は、第2光源装置317から出射された青色光と光合成装置318にて合成されて、均一化光学系32に入射する。
【0022】
[波長変換装置の詳細構成]
図4及び図5は、波長変換装置4Aを示す斜視図であり、図6及び図7は、波長変換装置4Aを示す分解斜視図である。図4及び図6は、励起光の入射側から波長変換装置4Aを見た図である。図5及び図7は、励起光の入射側とは反対側から波長変換装置4Aを見た図である。すなわち、図5及び図7は、変換光の出射側から波長変換装置4Aを見た図である。
波長変換装置4Aは、モーター5、波長変換体6、回転体7及び放熱フィン8を備える。波長変換体6及び回転体7は、モーター5によって回転軸Rxを中心に回転される波長変換素子4A1を構成する。すなわち、波長変換装置4Aは、モーター5と、モーター5によって回転される波長変換素子4A1と、を備える。
以下の説明では、波長変換装置4Aに対する励起光の入射方向を+D方向とし、+D方向とは反対方向を-D方向とする。+D方向及び-D方向は、回転軸Rxと平行な方向である。
【0023】
[モーターの構成]
モーター5は、回転軸Rxを中心に回転体7を回転させ、ひいては、回転体7に配置された波長変換体6を回転させる。モーター5は、回転体7の回転軸Rxと交差する位置に配置されている。換言すると、モーター5は、回転体7の回転軸Rx上に配置されている。モーター5は、回転体7に対して励起光の入射側に配置され、回転体7と一体化される。本実施形態では、モーター5は、基板71に対する励起光の入射側に配置される。
モーター5は、図7に示すように、駆動部51及び回転部52を備える。
駆動部51は、回転部52を回転させる。
回転部52は、駆動部51に対して+D方向に配置され、駆動部51によって回転される。回転部52は、固定部53及び挿入部54を有する。
固定部53は、回転体7及び放熱フィン8を-D方向から挿通したねじSCが固定される部分である。すなわち、回転体7及び放熱フィン8は、固定部53に固定される。挿入部54は、固定部53において回転軸Rxと交差する部分から+D方向に円柱状に突出した突出部である。挿入部54は、放熱フィン8の貫通口813及び回転体7の貫通口714,724を+D方向に挿通する。
【0024】
[波長変換体の構成]
波長変換体6は、入射する励起光の波長を変換した変換光を出射する。波長変換体6は、蛍光体層61及び反射層62を有する。
蛍光体層61は、入射する励起光によって励起されて、励起光の波長よりも長い波長を有する蛍光を変換光として出射する蛍光体を含有する。
反射層62は、蛍光体層61に対して励起光の入射側に配置されている。反射層62は、励起光を透過し、励起光の波長よりも長い波長を有する変換光を反射する。反射層62は、例えば、複数の誘電体膜を積層して形成される。
【0025】
このような波長変換体6は、入射面63及び出射面64を有する。
入射面63は、波長変換体6において-D方向を向く面であり、反射層62によって構成される。入射面63には、励起光が+D方向に沿って入射する。
出射面64は、波長変換体6において+D方向を向く面であり、蛍光体層61によって構成される。すなわち、出射面64は、波長変換体6において入射面63とは反対側の面である。蛍光体層61にて生成された変換光は、出射面64から出射される。
このような波長変換体6は、回転体7を構成する基板71の周縁側の部分に、回転軸Rxを中心とする円環状に設けられている。詳述すると、波長変換体6は、基板71における+D方向を向く面712に設けられており、入射面63と面712とは互いに対向する。
【0026】
[回転体の構成]
回転体7は、モーター5によって回転される。回転体7は、図6及び図7に示すように、基板71及びベイパーチャンバー72を有する。
【0027】
[基板の構成]
基板71は、透光性を有する円盤状の基板である。詳述すると、基板71は、回転軸Rxを中心とする円盤状の透光性基板である。本実施形態では、基板71は、ガラスによって形成されている。
基板71において-D方向を向く面711には、接着剤GLによってベイパーチャンバー72が取り付けられる。
基板71において+D方向を向く面712における外周縁側の部分には、波長変換体6が固定される。上記のように、基板71は透光性基板であることから、基板71において波長変換体6に入射する励起光が透過する領域は、光が透過する光透過領域713である。すなわち、基板71は、波長変換体6に入射する励起光が透過する光透過領域713を有し、波長変換体6は、基板71において光透過領域713に応じて配置される。
【0028】
基板71は、回転軸Rxと交差する部分に、回転軸Rxに沿って基板71を貫通する貫通口714を有する。貫通口714は、+D方向から見て円形状に形成されており、貫通口714には、挿入部54が+D方向に沿って挿入される。
基板71は、+D方向から見て貫通口714の周囲に設けられた複数の孔部715及び複数の孔部716を有する。孔部715は、孔部716よりも内径が大きい孔部であり、孔部715と孔部716とは、回転軸Rxを中心とする周方向に沿って交互に配列されている。各孔部715には、-D方向に沿ってねじSCが挿通し、各孔部716には、-D方向に沿ってリベットRVが挿通する。
【0029】
[ベイパーチャンバーの構成]
ベイパーチャンバー72は、熱を輸送する熱輸送体であり、本実施形態では基板71に対して励起光の入射側に配置される。ベイパーチャンバー72は、図6及び図7に示すように、基板71よりも外径が小さい円環状に構成されている。すなわち、ベイパーチャンバー72の外周縁は、波長変換体6において励起光が入射する入射領域よりも回転軸Rx側に配置されている。詳述すると、ベイパーチャンバー72の外周縁は、波長変換体6の内縁よりも回転軸Rx側に配置されている。換言すると、ベイパーチャンバー72は、波長変換体6よりも回転軸Rx側に配置されている。
ベイパーチャンバー72は、密閉容器721を有し、密閉容器721は、気相と液相との間で相変化可能な作動流体が収容されている。密閉容器721は、-D方向の面7211と、+D方向の面7212と、を有する。面7211は、-D方向を向き、面7212は、+D方向を向く。
【0030】
密閉容器721において、外部から熱が伝達される部分が受熱部722となり、受熱部722にて受熱された熱を放熱可能な部分が放熱部723となる。本実施形態では、密閉容器721における外周側の部分が受熱部722となり、受熱部722は、基板71を介して波長変換体6から受熱する。すなわち、受熱部722は、波長変換体6よりも基板71の回転軸Rx側の位置に設けられる。
また、密閉容器721において受熱部722よりも回転軸Rx側の部分が放熱部723となり、放熱部723は、外部に熱を放熱する。具体的に、本実施形態では、放熱部723は、面7211と、面7212における回転軸Rx側の部分と、に配置される。
【0031】
基板71と同様に、ベイパーチャンバー72は、回転軸Rxに沿ってベイパーチャンバー72を貫通する貫通口724を有する。貫通口724は、回転軸Rxと交差する部分に、+D方向から見て円形状に形成されており、貫通口724には、挿入部54が+D方向に沿って挿入される。
ベイパーチャンバー72は、+D方向から見て貫通口724の周囲に設けられた複数の孔部725及び複数の孔部726を有する。孔部725は、孔部726よりも内径が大きい孔部であり、孔部725と孔部726とは、回転軸Rxを中心とする周方向に沿って交互に配列されている。各孔部725には、-D方向に沿ってねじSCが挿通し、各孔部726には、-D方向に沿ってリベットRVが挿通する。
【0032】
[放熱フィンの構成]
放熱フィン8は、回転体7と熱伝達可能に接続されて、回転体7から伝達される波長変換体6の熱を放熱する。放熱フィン8は、基部81及び複数の羽根82を有する。
【0033】
[基部の構成]
基部81は、回転軸Rxを中心とする円盤状に形成されている。基部81における-D方向の面811には、複数の羽根82が設けられている。基部81における+D方向の面812は、ベイパーチャンバー72の面7211に接続される。これにより、基部81には、ベイパーチャンバー72から波長変換体6の熱が伝達される。
基部81は、回転軸Rxと交差する位置に、基部81を+D方向に沿って貫通する貫通口813を有する。貫通口813には、+D方向に沿って挿入部54が挿入される。また、貫通口813の周囲には、複数の孔部715,716と同様の複数の孔部814,815が設けられている。各孔部814には、ベイパーチャンバー72の孔部725を挿通したねじSCが-D方向に沿って挿通する。各孔部815には、ベイパーチャンバー72の孔部726を挿通したリベットRVが-D方向に沿って挿通する。そして、各ねじSC及び各リベットRVがモーター5の固定部53に固定されることによって、波長変換体6が固定された回転体7と放熱フィン8とがモーター5と一体化される。
【0034】
[羽根の構成]
複数の羽根82は、回転軸Rxを中心とする周方向に沿って基部81の面811に設けられている。複数の羽根82のそれぞれは、面812から-D方向に起立しており、-D方向から見て、基部81の外縁側から中心に向かう円弧状に形成されている。複数の羽根82には、基部81から熱が伝達される。
このような放熱フィン8が、モーター5によって回転されると、放熱フィン8の周辺の空気が、回転軸Rx側の領域から回転軸Rxを中心とする径方向外側に向かって流通する。すなわち、放熱フィン8が回転されると、回転軸Rxを中心とする径方向外側に向かう気流が、複数の羽根82の間を流通する。複数の羽根82に伝達された熱が気流に伝達されることにより、波長変換体6から伝達された熱の一部が放熱される。
【0035】
[波長変換装置における熱伝達]
図8は、回転軸Rxに沿う方向における波長変換装置4Aを示す断面図である。換言すると、図8は、波長変換装置4Aにおける熱伝達経路を説明する図である。
上記した波長変換装置4Aでは、波長変換体6に励起光が入射することによって、波長変換体6は発熱する。波長変換体6にて発生した熱は、基板71に伝達され、基板71に伝達された熱は、ベイパーチャンバー72の受熱部722によって受熱される。
受熱部722に伝達された熱によって、密閉容器721の内面のうち、受熱部722に対応する内面にて、液相の作動流体が気相の作動流体に変化する。気相の作動流体は、密閉容器721内にて拡散し、気相の作動流体の一部が放熱部723に到達する。
放熱部723に到達した気相の作動流体は、放熱部723の内面に熱を伝達することによって凝縮され、液相の作動流体に変化する。液相の作動流体は、密閉容器721の内面に設けられた図示しないメッシュを伝って受熱部722に到達し、受熱部722に伝達された熱によって再び気相の作動流体に変化する。液相の作動流体は、モーター5によって回転されるベイパーチャンバー72に発生する遠心力によって、密閉容器721における周縁側にある受熱部722へ移動しやすい。
【0036】
一方、気相の作動流体から熱が伝達された放熱部723のうち、密閉容器721における+D方向の面7212において回転軸Rx側の部分に設けられた放熱部723は、基板71において回転軸Rx側の部分に熱を伝達する。これにより、基板71において波長変換体6よりも回転軸Rx側の部分を放熱面として活用できる。
また、気相の作動流体から熱が伝達された放熱部723のうち、密閉容器721における-D方向の面7211に設けられた放熱部723は、放熱フィン8に熱を伝達する。これにより、波長変換体6から伝達された熱の一部を放熱フィン8によって放熱できる。
従って、波長変換体6から伝達される熱の放熱面積を拡大できる他、ベイパーチャンバー72によって、波長変換体6から伝達された熱を基板71及び放熱フィン8に速やかに伝達できる。従って、波長変換体6にて発生した熱の放熱効率を高めることができ、ひいては、波長変換体6の冷却効率を高めることができる。そして、これにより、波長変換体6に入射する励起光の強度を高めても、波長変換体6の波長変換効率が低下することを抑制できる他、波長変換装置4Aの長寿命化を図ることができる。
【0037】
[第1実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1は、以下の効果を奏する。
プロジェクター1は、光源装置31から出射された光を変調した変調光を投射する。
光源装置31は、励起光を出力する光源312と、励起光の波長を変換した変換光を出力する波長変換装置4Aと、を備える。
波長変換装置4Aは、モーター5、波長変換体6及び円盤状の回転体7を備える。
モーター5は、回転体7を回転させる。波長変換体6は、励起光が入射する入射面63と、入射面63とは反対側に配置されて、励起光を波長変換した変換光を出射する出射面64と、を有する。波長変換体6は、回転体7の周縁側の部分に、回転体7の回転軸Rxを中心とする環状に設けられている。
【0038】
回転体7は、ベイパーチャンバー72を備える。ベイパーチャンバー72は、気相と液相との間で相変化する作動流体を収容する密閉容器721を備える。密閉容器721は、受熱部722及び放熱部723を有する。
受熱部722は、密閉容器721の外周部に配置され、波長変換体6の熱を受熱する。
放熱部723は、受熱部722よりも回転軸Rx側に配置され、受熱部722にて受熱した熱を放熱する。
密閉容器721内に収容された作動流体のうち、液相の作動流体は、受熱部722にて受熱された熱によって気相に変化され、気相の作動流体は、放熱部723にて凝縮される。
【0039】
このような構成によれば、波長変換体6の入射面63に励起光を入射させることによって、励起光を波長変換した変換光を出射面64から出射させることができる。
また、回転体7の周縁側の部分に設けられた環状の波長変換体6にて発生した熱は、ベイパーチャンバー72の受熱部722にて受熱されると、受熱された熱によって密閉容器721内の液相の作動流体が受熱部722にて気相に変化する。気相に変化した作動流体は、密閉容器721内を瞬時に拡散する。これにより、密閉容器721内全体に熱が拡散する。密閉容器721内を拡散した気相の作動流体のうち、一部の気相の作動流体は、受熱部722よりも回転軸Rx側に配置された放熱部723に到達し、放熱部723に熱を伝達することによって凝縮されて、液相の作動流体に変化する。一方、放熱部723は、回転体7の周囲の外気によって冷却される。このような熱伝達サイクルが、ベイパーチャンバー72内にて繰り返されることによって、波長変換体6の温度上昇が抑制される。
【0040】
これにより、波長変換体6に入射する励起光の強度を高くしても、波長変換体6の温度上昇を抑制できる。このことから、波長変換体6による励起光の波長変換効率が低下することを抑制できる他、波長変換体6の寿命が短くなることを抑制できる。従って、波長変換体6に入射する励起光の強度を高くし、変換光の出射光量を大きくしても、波長変換体6の劣化を抑制でき、励起光の波長変換効率を高めることができる。
また、回転体7が回転軸Rxを中心として回転されるときには、液相の作動流体は、遠心力によって密閉容器721における周縁側に移動されやすい。これに対し、波長変換体6の熱を受熱する受熱部722は、密閉容器721の外周部に配置されるので、受熱部722に液相の作動流体を移動させやすくすることができる。従って、波長変換体6から伝達される熱による液相の作動流体の気化を促進できるので、波長変換体6の冷却効率を高めることができる。
また、これにより、光源装置31から出射される光量を高めつつ、光源装置31を安定して動作させることができるので、プロジェクター1は、輝度を高めた画像光を安定して投射できる。
【0041】
波長変換装置4Aでは、回転体7は、円盤状の基板71を備える。波長変換体6は、基板71において基板71の周縁側に配置されている。受熱部722は、波長変換体6よりも基板71の回転軸Rx側の位置に設けられる。
このような構成によれば、波長変換体6は、基板71の周縁側に配置されているので、回転軸Rx側に配置されている場合に比べて、波長変換体6において回転軸Rxを中心とする周方向の長さを大きくできる。これにより、波長変換体6に励起光が入射することによって発熱する部分を波長変換体6にて分散させることができるため、波長変換体6の温度上昇を抑制できる。
また、波長変換体6で発生した熱は、波長変換体6よりも回転軸Rx側に配置された受熱部722によって受熱される。受熱部722にて受熱された熱は、上記のように、回転軸Rx側に配置された放熱部723にて放熱される。波長変換体6は、基板71の周縁側に配置されていることから、放熱部723が配置される回転軸Rx側の部分の面積を拡大でき、波長変換体6から伝達された熱の放熱面積を拡大できる。従って、波長変換体6の冷却効率を高めることができるので、波長変換体6の劣化を抑制できる他、波長変換体6による励起光の波長変換効率を高めることができる。
【0042】
波長変換装置4Aでは、モーター5は、基板71に対する励起光の入射側に配置される。ベイパーチャンバー72は、基板71に対する励起光の入射側に配置される。
このような構成によれば、モーター5にて発生した熱をベイパーチャンバー72に伝達できる。従って、モーター5の冷却効率を高めることができる。
【0043】
波長変換装置4Aでは、ベイパーチャンバー72は、回転軸Rxに沿ってベイパーチャンバー72を貫通する貫通口724を有する。モーター5は、挿入部54が貫通口724を通って基板71に連結される。
このような構成によれば、ベイパーチャンバー72をモーター5内の発熱部分に近づけることができる。従って、モーター5からベイパーチャンバー72に熱を伝達させやすくすることができるので、モーター5の冷却効率を高めることができる。
【0044】
波長変換装置4Aでは、基板71は、光が透過する光透過領域713を有する。波長変換体6は、基板71において光透過領域713に応じて配置される。ベイパーチャンバー72は、波長変換体6よりも回転軸Rx側に設けられる。
このような構成によれば、光透過領域を介して波長変換体に励起光を入射させることができる他、ベイパーチャンバー72が励起光及び変換光を遮蔽することを抑制できる。
【0045】
波長変換装置4Aでは、基板71は、透光性を有する。励起光は、回転体7を介して波長変換体6に入射する。
このような構成によれば、基板71全体が光を透過するので、励起光の入射及び変換光の出射のために、波長変換体6を回転体7よりも回転軸Rxを中心とする径方向外側に突出させる必要が無い。従って、回転軸Rxを中心とする径方向における波長変換装置4Aの小型化を図ることができる。
更に、波長変換体6は、回転体7に対する励起光の入射側とは反対側に配置されることとなる。これによれば、波長変換装置4Aの後段に集光レンズである第2集光素子316と波長変換体6との距離を短くできる。従って、波長変換体6から出射された変換光を第2集光素子316によって集光しやすくすることができる。
【0046】
波長変換装置4Aは、ベイパーチャンバー72から伝達される熱を放熱する放熱フィン8を備える。
このような構成によれば、放熱フィン8によって、ベイパーチャンバー72から伝達される熱の放熱面積を拡大できる。すなわち、波長変換体6から伝達される熱の放熱面積を拡大できる。従って、波長変換体6の冷却効率を高めることができる。
【0047】
[第1実施形態の第1変形例]
図9は、波長変換装置4Aの第1変形例に係る波長変換装置4Bを示す模式図である。
上記した波長変換装置4Aでは、モーター5は、挿入部54が放熱フィン8及び回転体7に+D方向に挿入されて、放熱フィン8及び回転体7と一体化された。しかしながら、これに限らず、モーター5の回転部52は、ベイパーチャンバー72の密閉容器721における-D方向の面7211に接続されていてもよい。
例えば波長変換装置4Aに代えて、図9に示す波長変換装置4Bを採用してもよい。
【0048】
波長変換装置4Bは、モーター5及び回転体7に代えて、モーター5B及び回転体7Bを備える他は、波長変換装置4Aと同様の構成及び機能を備える。すなわち、波長変換装置4Bは、モーター5B、波長変換体6、回転体7B及び放熱フィン8を備える。
モーター5Bは、モーター5と同様に、駆動部51及び回転部52を備える。しかしながら、波長変換装置4Bでは、回転部52は、挿入部54を備えない。
回転体7Bは、回転体7と同様に、基板71及びベイパーチャンバー72を備える。しかしながら、波長変換装置4Bでは、基板71は、貫通口714及び孔部715,716を備えず、ベイパーチャンバー72は、貫通口724及び孔部725,726を備えない。
そして、モーター5Bの回転部52は、ベイパーチャンバー72の密閉容器721における-D方向の面7211に、ねじ等の固定具又は接着剤によって固定される。詳述すると、モーター5Bの回転部52は、ベイパーチャンバー72の面7211において回転軸Rxと交差する部分に連結される。この場合、放熱フィン8は、ベイパーチャンバー72に固定具によって固定されてもよく、接着剤によって固定されてもよい。
【0049】
このような波長変換装置4Bは、波長変換装置4Aと同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
波長変換装置4Bでは、モーター5Bは、ベイパーチャンバー72に連結される。
このような構成によれば、モーター5Bがベイパーチャンバー72を貫通する構成に比べて、ベイパーチャンバー72の放熱面積が小さくなることを抑制できる。従って、波長変換体6の冷却効率を高めることができる。
【0050】
[第1実施形態の第2変形例]
図10は、波長変換装置4Aの第2変形例に係る波長変換装置4Cを示す模式図である。
上記した波長変換装置4Aでは、ベイパーチャンバー72は、基板71に対して励起光の入射側に配置されていた。すなわち、ベイパーチャンバー72は、基板71に対して-D方向に配置されるとした。しかしながら、これに限らず、ベイパーチャンバー72は、基板71に対して変換光の出射側、すなわち、基板71に対して+D方向に配置されていてもよい。
例えば波長変換装置4Aに代えて、図10に示す波長変換装置4Cを採用してもよい。
【0051】
波長変換装置4Cは、波長変換装置4Bと同様に、モーター5B、波長変換体6、回転体7C及び放熱フィン8を備える。
回転体7Cは、回転体7と同様に、基板71及びベイパーチャンバー72を備える。しかしながら、回転体7Cでは、ベイパーチャンバー72は、基板71において変換光の出射側である面712に設けられている。なお、ベイパーチャンバー72の外縁は、+D方向から見て波長変換体6の内縁よりも回転軸Rx側に配置される。
波長変換装置4Cにおいて、放熱フィン8は、ベイパーチャンバー72において基板71と対向する面とは反対側の面に取り付けられている。しかしながら、放熱フィン8は、基部81が基板71の面712に接続されるようにして、回転体7Cに接着剤等によって固定されてもよい。
なお、モーター5Bは、固定具又は接着剤によって、基板71の面711に固定される。一方、モーター5Bに代えて、モーター5が採用される場合には、挿入部54が基板71の貫通口714に挿入された状態にて、回転体7Cとモーター5とが固定されてもよい。
【0052】
このような波長変換装置4Cでは、波長変換体6から基板71に伝達された熱は、+D方向から見てベイパーチャンバー72の外周縁に配置された受熱部722によって受熱される。
受熱部722にて受熱された熱は、液相の作動流体を気化させ、気相の作動流体は、密閉容器721内にて拡散する。拡散された気相の作動流体のうち、一部の作動流体は、ベイパーチャンバー72における放熱部723に熱を伝達して凝縮され、液相の作動流体に変化する。放熱部723のうち、基板71と対向する放熱部723に伝達された熱は、基板71における回転軸Rx側の部分に伝達されて放熱される。放熱部723のうち、放熱フィン8と対向する放熱部723に伝達された熱は、放熱フィン8に伝達されて、回転に伴う気流に伝達されて放熱される。
なお、密閉容器721内の液相の作動流体は、回転体7Cの回転によって生じる遠心力により、密閉容器721の外周縁に移動される。すなわち、液相の作動流体は、回転体7Cの遠心力によって、受熱部722に移動される。
【0053】
このような波長変換装置4Cは、上記した波長変換装置4Aと同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
波長変換装置4Cでは、モーター5Bは、基板71に対する励起光の入射側に配置される。波長変換体6及びベイパーチャンバー72は、基板71に対する励起光の入射側とは反対側に配置される。
このような構成によれば、波長変換体6が基板71に対する励起光の入射側とは反対側に配置され、ベイパーチャンバー72が基板71に対する励起光の入射側に配置される場合に比べて、波長変換体6から基板71を介してベイパーチャンバー72に伝達される熱の経路を短くすることができる。これにより、波長変換体6からベイパーチャンバー72に熱を伝達しやすくすることができ、波長変換体6の冷却効率を高めることができる。
また、波長変換体6及びベイパーチャンバー72のうち、一方が基板71に対する励起光の入射側に配置され、他方が基板71に対する励起光の入射側とは反対側に配置される場合に比べて、回転軸Rxに沿う方向の波長変換装置4Cの寸法を小さくできる。
【0054】
[第1実施形態の第3変形例]
図11は、波長変換装置4Aの第3変形例に係る波長変換装置4Dを示す模式図である。
上記した波長変換装置4Aでは、ベイパーチャンバー72は、基板71に対して励起光の入射側の面711に配置されていた。また、上記した波長変換装置4Cでは、ベイパーチャンバー72は、基板71に対して励起光の入射側とは反対側の面712に配置されていた。しかしながら、これに限らず、ベイパーチャンバー72は、基板71の面711,712のそれぞれに配置されてもよい。
例えば、波長変換装置4Aに代えて、図11に示す波長変換装置4Dを採用してもよい。
【0055】
波長変換装置4Dは、モーター5、波長変換体6及び回転体7Dを備える他、図示を省略するが、放熱フィン8を備える。
回転体7Dは、図11に示すように、基板71と、ベイパーチャンバー72A,72Bと、を備える。
ベイパーチャンバー72Aは、基板71に対して励起光の入射側に配置され、面711と接続される。ベイパーチャンバー72Bは、基板71に対して励起光の入射側とは反対側に配置され、面712と接続される。ベイパーチャンバー72A,72Bは、上記したベイパーチャンバー72と同様の構成を備え、±D方向から見て、波長変換体6の内側に配置される。
なお、図示を省略するが、放熱フィン8は、ベイパーチャンバー72Aに対する励起光の入射側に配置されて、ベイパーチャンバー72Aと接続されてもよく、ベイパーチャンバー72Bに対する励起光の入射側とは反対側に配置され、ベイパーチャンバー72Bと接続されてもよい。
また、波長変換装置4Dは、モーター5に代えてモーター5Bを備えていてもよい。
このような波長変換装置4Dは、上記した波長変換装置4A,4Cと同様の効果を奏することができる。
【0056】
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成を備えるが、光源装置31を構成する波長変換装置の構成が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
図12は、本実施形態に係るプロジェクターが備える光源装置を構成する波長変換装置4Eを示す模式図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、波長変換装置4Aに代えて、図12に示す波長変換装置4Eを備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成及び機能を備える。すなわち、本実施形態に係る光源装置は、波長変換装置4Aに代えて波長変換装置4Eを備える他は、第1実施形態に係る光源装置31と同様の構成及び機能を備える。
波長変換装置4Eは、波長変換装置4Aと同様に、+D方向に入射する励起光ELを波長変換した蛍光である変換光TLを、励起光ELの入射方向に沿って出射する透過型の波長変換装置である。波長変換装置4Eは、波長変換体6に代えて波長変換体6Eを備える他は、波長変換装置4Aと同様の構成及び機能を備える。すなわち、波長変換装置4Eは、モーター5、波長変換体6E、回転体7及び放熱フィン8を備える。換言すると、波長変換装置4Eは、モーター5と、モーター5によって回転される波長変換体6E、回転体7及び放熱フィン8を有する波長変換素子4E1と、を備える。
本実施形態では、回転体7の基板71は、アルミニウムや銅等の金属によって円盤状に形成されている。また、回転体7のベイパーチャンバー72は、基板71において励起光の入射側の面711に設けられている。
【0058】
[波長変換体の構成]
波長変換体6Eは、波長変換体6と同様に、入射された励起光を波長変換する。波長変換体6Eは、蛍光体層65及び反射層62を備える。なお、波長変換体6Eの入射面63は、反射層62における-D方向の面であり、波長変換体6Eの出射面64は、蛍光体層65における+D方向の面である。
蛍光体層65は、蛍光体粒子を含むセラミックである蛍光体セラミックによって構成されている。蛍光体セラミックとしては、例えばガーネット構造を主として有するセラミックが挙げられる。ガーネット構造を有するセラミックとしては、YAl12、TbAl12及びLuAl12の少なくとも1つを含む組成を例示できる。なお、蛍光体層65は、ガーネット構造を有するセラミックの他に、プロブスカイト構造又はモノリシック構造を有するセラミックが含まれていてもよい。蛍光体層65は、発光中心となる不純物である賦活剤を含む。賦活剤としては、Ce、Eu、Pr、Cr、Gd及びGaを例示できる。
波長変換体6Eは、+D方向から見て回転軸Rxを中心とする円環状に形成されており、+D方向から見て基板71の外周縁に、基板71の周縁よりも外側に張り出すように突出して取り付けられている。このとき、波長変換体6Eは、入射面63の一部が基板71において+D方向の面712に接続されるように配置される。
【0059】
このような波長変換装置4Eでは、波長変換体6Eが基板71の周縁よりも回転軸Rxを中心とする径方向外側に張り出している。このため、反射層62によって構成され、波長変換体6Eにおいて励起光ELが入射する入射面63は、外部に露出しており、空気層と接する。これにより、空気層と反射層62との屈折率差によって、波長変換されなかった励起光のうち、波長変換体6Eから反射層62に入射した一部の励起光を反射層62と空気層との界面にて全反射させることができ、当該一部の励起光が反射層62から-D方向に出射されてしまうことを抑制できる。すなわち、反射層62が-D方向にて空気層と接していることにより、反射層62と空気層との界面における臨界角を大きくできるので、反射層62から-D方向の外部に出射されて損失してしまう励起光のうち、一部の励起光を反射層62と空気層との界面にて+D方向に全反射させることができる。従って、当該一部の励起光を、波長変換体6Eに含まれる蛍光体に再度入射させることができるので、波長変換体6Eにおける励起光の利用効率を向上させることができる。
【0060】
[波長変換装置における熱伝達]
このような波長変換装置4Eでは、波長変換体6Eにて発生した熱は、波長変換体6Eが固定される基板71に伝達される。基板71に伝達された熱は、ベイパーチャンバー72において外周側の部分に位置する受熱部722によって受熱される。これにより、受熱部722の内面にて液相の作動流体が、受熱部722によって受熱された熱によって気化し、気相の作動流体は、密閉容器721内を拡散する。
密閉容器721内を拡散した気相の作動流体は、密閉容器721において回転軸Rx側の基板71の部分に対応する放熱部723と、放熱フィン8に接触する部分に対応する放熱部723とに熱を伝達し、各放熱部723にて凝縮される。凝縮されて気相から液相に変化した作動流体は、回転体7の遠心力によって回転軸Rx側から外周側に移動し、再び受熱部722に到達する。
一方、ベイパーチャンバー72から基板71に伝達された熱は、基板71における回転軸Rx側の部分から外部に放熱される。
他方、ベイパーチャンバー72から放熱フィン8に伝達された熱は、図12では図示を省略する複数の羽根82から、回転軸Rxを中心とする放熱フィン8の回転によって発生する気流に伝達されて放熱される。
【0061】
[第2実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の効果を奏することができる他、以下の効果を奏する。
波長変換装置4Eでは、波長変換体6Eは、基板71の周縁よりも外側に突出して設けられる。
このような構成によれば、励起光EL及び変換光TLは、回転体7を通過しないので、回転体7を通過することによる励起光EL及び変換光TLの損失が発生することを抑制できる。
また、波長変換体6Eは、回転体7の周縁から外側に突出しているので、波長変換体6Eにおける回転軸Rxを中心とする周方向の寸法を大きくしやすくすることができる。これにより、波長変換体6Eに励起光ELが入射することによって発熱する部分を波長変換体6Eにて分散させることができるため、波長変換体6Eの温度上昇を抑制できる。
【0062】
波長変換装置4Eでは、波長変換体6Eは、入射面63を構成し、励起光ELを透過し、変換光TLを反射する反射層62を備える。入射面63は、外部に露出している。
このような構成によれば、入射面63が外部に露出していることによって、入射面63は、空気層と接することとなる。すなわち、反射層62において蛍光体層61とは反対側の面は、空気層と接する。このため、反射層と空気層との屈折率差によって、波長変換されなかった励起光ELが反射層62から波長変換体6Eの外部に出射されてしまうことを抑制できる。すなわち、反射層62から外部に出射されて損失してしまう励起光ELの少なくとも一部を、反射層62と空気層との界面にて全反射させることができる。従って、波長変換体6Eにおける励起光ELの利用効率を向上させることができる。
【0063】
[第2実施形態の第1変形例]
上記した波長変換装置4Eでは、ベイパーチャンバー72は、基板71に対して励起光の入射側である-D方向に配置されるとした。しかしながら、これに限らず、ベイパーチャンバー72は、基板71に対して変換光の出射側である+D方向に配置されていてもよい。すなわち、図10に示した波長変換装置4Cと同様に、ベイパーチャンバー72は、基板71において+D方向を向く面711に固定されていてもよい。
この場合、+D方向から見てベイパーチャンバー72の外周縁は、波長変換体6Eの内周縁よりも回転軸Rx側に配置される。また、モーター5は、基板71に直接接続されていてもよく、放熱フィン8を介して基板71と接続されてもよい。
更に、放熱フィン8は、基板71において-D方向の面711に接続されていてもよい。また、ベイパーチャンバー72が基板71に対して+D方向に配置される場合には、放熱フィン8は、ベイパーチャンバー72における+D方向の面に設けられてもよい。すなわち、波長変換装置4Eでは、放熱フィン8は、基板71及びベイパーチャンバー72のうち、少なくとも一方に接続されていればよい。
【0064】
[第2実施形態の第2変形例]
上記した波長変換装置4Eでは、波長変換体6Eは、基板71に対して変換光の出射側である+D方向に配置されるとした。しかしながら、これに限らず、波長変換体6Eは、回転体7に対して励起光の入射側である-D方向に配置されていてもよい。
この場合、ベイパーチャンバー72が基板71に対して-D方向に配置されている場合には、波長変換体6Eは、ベイパーチャンバー72において-D方向の面に設けられていてもよい。或いは、ベイパーチャンバー72が基板71に対して-D方向に配置され、基板71の周縁がベイパーチャンバー72よりも張り出していれば、波長変換体6Eは、基板71の基板71の-D方向の面に配置されてもよい。
ベイパーチャンバー72が基板71に対して+D方向に配置されている場合には、波長変換体6Eは、基板71において-D方向の面に設けられていてもよい。
また、放熱フィン8は、回転体7に対して-D方向に配置されて、基板71又はベイパーチャンバー72に接続されてもよく、回転体7に対して+D方向に配置されて、基板71又はベイパーチャンバー72に接続されてもよい。
【0065】
[第3実施形態]
次に、本開示の第3実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1及び第2実施形態に係るプロジェクターと同様の構成を備えるが、波長変換装置が備える回転体の構成が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0066】
図13は、本実施形態に係るプロジェクターが備える光源装置を構成する波長変換装置4Fを示す模式図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、波長変換装置4Aに代えて、図13に示す波長変換装置4Fを備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成及び機能を備える。すなわち、本実施形態に係る光源装置は、波長変換装置4Aに代えて波長変換装置4Fを備える他は、第1実施形態に係る光源装置31と同様の構成及び機能を備える。
波長変換装置4Fは、波長変換装置4Aと同様に、+D方向に入射する励起光ELを波長変換した蛍光である変換光TLを、励起光ELの入射方向に沿って出射する透過型の波長変換装置である。波長変換装置4Fは、回転体7に代えて回転体7Fを備える他は、波長変換装置4Eと同様の構成及び機能を備える。すなわち、波長変換装置4Fは、モーター5、波長変換体6E、回転体7F及び放熱フィン8を備える。換言すると、波長変換装置4Fは、モーター5と、モーター5によって回転される波長変換体6E、回転体7F及び放熱フィン8を有する波長変換素子4F1と、を備える。
【0067】
[回転体の構成]
回転体7Fは、ベイパーチャンバー72によって構成されている。すなわち、波長変換装置4Fの回転体7Fは、ベイパーチャンバー72によって構成された基板を備える。
本実施形態では、ベイパーチャンバー72は、回転軸Rxを中心とする円盤状に構成されている。ベイパーチャンバー72の密閉容器721において、変換光の出射側である+D方向の面7212の外周縁には、+D方向から見て回転体7Fの外側に張り出すように、波長変換体6Eが設けられる。密閉容器721において波長変換体6Eが設けられる外周縁には、波長変換体6Eから受熱する受熱部722が設けられている。
密閉容器721の面7212において回転軸Rx側の部分に応じた放熱部723は、密閉容器721内の気相の作動流体から受熱した熱を外部に放熱する。なお、面7212に位置する放熱部723に接続される放熱フィンを設けてもよい。
密閉容器721の面7211において放熱フィン8に対向する部分に応じた放熱部723は、密閉容器721内の気相の作動流体から受熱した熱を放熱フィン8に放熱する。
なお、放熱部723のうち、放熱フィン8が設けられない放熱部が存在する場合には、当該放熱部は、波長変換装置4Fの外部の空気に熱を伝達する。
【0068】
[第3実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターは、上記第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
波長変換装置4Eでは、回転体7Fの基板は、円盤状のベイパーチャンバー72によって構成されている。
このような構成によれば、ベイパーチャンバー72が波長変換体6Eを直接支持するので、波長変換体6Eからベイパーチャンバー72に熱を伝達しやすくすることができる。これにより、波長変換体6Eの冷却効率を高めることができる。この他、回転体7Fが基板とベイパーチャンバーとを個別に備える場合に比べて、回転体7Fの部品点数を減らすことができる。
【0069】
波長変換装置4Fでは、波長変換体6Eは、回転体7Fにおいてモーター5とは反対側の面7212に設けられる。
このような構成によれば、変換光TLが回転体7Fによって遮蔽されることを抑制できる他、波長変換装置4Fの後段に配置された第2集光素子316と波長変換体6Eとの距離を短くできる。従って、波長変換体6Eから出射された変換光TLを第2集光素子316によって集光しやすくすることができる。
【0070】
[第3実施形態の変形]
図14は、波長変換装置4Fの変形を示す模式図である。
上記した波長変換装置4Fでは、波長変換体6Eは、回転体7Fを構成するベイパーチャンバー72における+D方向の面7212に設けられていた。しかしながら、これに限らず、波長変換体6Eは、ベイパーチャンバー72における-D方向の面7211に設けられていてもよい。すなわち、波長変換体6Eは、面7211に接続されていてもよい。
例えば、波長変換装置4Fに代えて、図14に示す波長変換装置4Gを採用してもよい。
【0071】
波長変換装置4Gは、波長変換装置4Fと同様に、モーター5、波長変換体6E及び回転体7F及び放熱フィン8を備える。
波長変換装置4Gでは、波長変換体6Eが回転体7Fを構成するベイパーチャンバー72において-D方向の面7211の外周縁部分に、-D方向から見て回転体7Fの外側に張り出すように設けられている。このとき、波長変換体6Eの蛍光体層61によって構成される出射面64と面7211とが接続される。
また、放熱フィン8は、ベイパーチャンバー72に対して+D方向に配置される。すなわち、放熱フィン8は、ベイパーチャンバー72において+D方向の面7212に設けられている。
このような構成の波長変換装置4Gによっても、波長変換体6Eがベイパーチャンバー72の面7212に配置された波長変換装置4Fと同様の効果を奏することができる。
【0072】
[第4実施形態]
次に、本開示の第4実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクターと同様の構成を備えるが、波長変換装置が備える回転体のベイパーチャンバーの構成が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
図15は、本実施形態に係るプロジェクターが備える光源装置を構成する波長変換装置4Hを示す断面図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、波長変換装置4Aに代えて、図15に示す波長変換装置4Hを備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成及び機能を備える。すなわち、本実施形態に係る光源装置は、波長変換装置4Aに代えて波長変換装置4Hを備える他は、第1実施形態に係る光源装置31と同様の構成及び機能を備える。
波長変換装置4Hは、波長変換装置4Aと同様に、+D方向に入射する励起光を波長変換した蛍光である変換光を、励起光の入射方向に沿って出射する透過型の波長変換装置である。波長変換装置4Hは、回転体7に代えて回転体7Hを備える他は、波長変換装置4Aと同様の構成及び機能を備える。すなわち、波長変換装置4Hは、モーター5、波長変換体6及び回転体7Hを備える他、図15では図示しない放熱フィン8を備える。換言すると、波長変換装置4Hは、モーター5と、モーター5によって回転される波長変換体6、回転体7H及び放熱フィン8を有する波長変換素子4H1と、を備える。
【0074】
[回転体の構成]
回転体7Hは、基板71及びベイパーチャンバー72に代えて、波長変換体6を支持する基板としての機能を有するベイパーチャンバー73を備える。換言すると、回転体7Hは、ベイパーチャンバー73である基板を有する。
ベイパーチャンバー73は、第1実施形態に係るベイパーチャンバー72と同様に、波長変換体6の熱を受熱して輸送する熱輸送体であり、波長変換体6を支持する。ベイパーチャンバー73は、透光性の密閉容器731を備える。
【0075】
密閉容器731は、透光性を有する材料によって構成され、透光性を有する作動流体を収容する。本実施形態では、密閉容器731は、ガラスによって構成されている。
密閉容器731は、-D方向の面7311と、+D方向の面7312と、を有する。
+D方向から見て面7312における周縁側の部分には、回転軸Rxを中心として環状の波長変換体6が設けられる。すなわち、波長変換体6は、ベイパーチャンバー73に設けられ、励起光ELは、透光性のベイパーチャンバー73を介して波長変換体6に入射する。すなわち、ベイパーチャンバー73における略全体が、光透過領域を有する。
なお、放熱フィン8は、±D方向から見て波長変換体6の内側に設けられていれば、+D方向の面7312に設けられていてもよく、-D方向の面7311の面に設けられていてもよい。
【0076】
密閉容器721と同様に、密閉容器731では、外部から熱が伝達される部分が受熱部732となり、受熱部732にて受熱された熱を放熱可能な部分が放熱部733となる。
具体的に、受熱部732は、密閉容器731において波長変換体6に応じた外周側の部分である。受熱部732は、波長変換体6から熱を受熱する。
放熱部733は、密閉容器731の+D方向の面7312において受熱部732よりも回転軸Rx側の部分と、-D方向の面7312の略全面の部分である。これら放熱部733の少なくとも一方には、上記のように放熱フィン8が設けられている。なお、面7311に放熱フィン8が設けられる場合には、放熱フィン8の外周縁は、-D方向から見て波長変換体6よりも内側に配置される。
【0077】
このような密閉容器731では、外周側の内面7313は、波長変換体6よりも回転軸Rxを中心とする径方向外側に配置されている。このため、回転体7Hが回転軸Rxを中心に回転されると、液相の作動流体は、波長変換体6に対応する部分から内面7313までの部分に貯留される。すなわち、回転体7Hが回転されると、密閉容器731内の液相の作動流体は、波長変換体6の入射面63において励起光ELが入射する入射領域よりも、密閉容器731の外周側に移動する。これにより、波長変換体6に対応する部分に配置された受熱部732に、効率よく液相の作動流体を供給できる他、液相の作動流体が励起光を遮蔽することを抑制できる。
【0078】
[第4実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
波長変換装置4Hでは、回転体7Hの基板は、透光性を有する密閉容器731を備える円盤状のベイパーチャンバー73によって構成される。波長変換体6は、ベイパーチャンバー73に設けられ、密閉容器731は、透光性を有する作動流体を収容する。そして、波長変換装置4Hに照射された励起光ELは、ベイパーチャンバー73を介して波長変換体6に入射する。
このような構成によれば、回転体7Hが基板とベイパーチャンバーとを個別に備える場合に比べて、回転体7Hの部品点数を減らすことができる。また、波長変換体6にて発生した熱は、ベイパーチャンバー73に直接伝達されるので、波長変換体6からベイパーチャンバー73への熱伝達効率を高めることができる。従って、波長変換体6の冷却効率を高めることができる。
【0079】
波長変換装置4Hでは、液相の作動流体は、回転体7Hが回転されると、入射面63において励起光ELが入射する入射領域よりも外周側に移動する。
このような構成によれば、液相の作動流体によって励起光ELを乱反射させることなく、励起光ELを波長変換体6に入射させることができる。従って、励起光ELの波長変換効率が低下することを抑制できる。この他、波長変換体6から受熱する受熱部732に液相の作動流体を効率よく供給できる他、液相の作動流体が励起光を遮蔽することを抑制できる。
【0080】
[第4実施形態の第1変形例]
上記した波長変換装置4Hでは、波長変換体6は、ベイパーチャンバー73の密閉容器731における+D方向の面7312に設けられているとした。しかしながら、これに限らず、波長変換体6は、ベイパーチャンバー73における-D方向の面7311に設けられていてもよい。この場合で、面7311に放熱フィン8が設けられる場合には、放熱フィン8は、-D方向から見て放熱フィン8の外周縁が円環状の波長変換体6の内側に配置されるように設けられる。
【0081】
[第4実施形態の第2変形例]
図16は、波長変換装置4Hの第2変形例である波長変換装置4Iを示す断面図である。なお、図16においては、モーター5及び放熱フィン8の図示を省略している。
上記した波長変換装置4Hでは、波長変換体6は、ベイパーチャンバー73における+D方向の面7312に配置され、波長変換体6には、透光性のベイパーチャンバー73を介して励起光が入射するとした。しかしながら、これに限らず、図12に示した波長変換装置4Eの波長変換体6Eと同様に、波長変換体は、+D方向又は-D方向から見てベイパーチャンバー73の外側に張り出すように、ベイパーチャンバー73の外周縁に設けられていてもよい。
例えば波長変換装置4Hに対して、図16に示す波長変換装置4Iを採用してもよい。
【0082】
波長変換装置4Iは、波長変換体6に代えて波長変換体6Eを備える他は、波長変換装置4Hと同様の構成及び機能を備える。すなわち、波長変換装置4Iは、波長変換体6E及び回転体7Hを備える他、図16では図示しないモーター5及び放熱フィン8を備える。換言すると、波長変換装置4Iは、モーター5と、モーター5によって回転される波長変換体6E、回転体7H及び放熱フィン8を有する波長変換素子4I1と、を備える。
波長変換体6Eは、波長変換装置4Eの波長変換体6Eと同様に、+D方向から見てベイパーチャンバー73の外側に張り出すように、ベイパーチャンバー73における+D方向の面7312の外周縁に設けられている。なお、波長変換体6Eは、-D方向から見てベイパーチャンバー73の外側に張り出すように、ベイパーチャンバー73における-D方向の面7311の外周縁に設けられていてもよい。
【0083】
このような波長変換装置4Iによっても、波長変換装置4Hと同様の効果を奏することができる。
なお、ベイパーチャンバー73において、励起光ELが入射しない位置に、青色光を入射させ、青色光の入射位置に拡散透過素子を設けてもよい。この場合、波長変換装置4Iから変換光を出射させることができる他、照度分布が略均一化された青色光を出射させることができる。
【0084】
[第5実施形態]
次に、本開示の第5実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成を備えるが、波長変換装置が備える回転体の構成が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0085】
図17は、本実施形態に係るプロジェクターが備える光源装置を構成する波長変換装置4Jを示す断面図である。なお、図17においては、モーター5及び放熱フィン8の図示を省略している。
本実施形態に係るプロジェクターは、波長変換装置4Aに代えて、図17に示す波長変換装置4Jを備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成及び機能を備える。すなわち、本実施形態に係る光源装置は、波長変換装置4Aに代えて波長変換装置4Jを備える他は、第1実施形態に係る光源装置31と同様の構成及び機能を備える。
波長変換装置4Jは、波長変換装置4Aと同様に、+D方向に入射する励起光を波長変換した蛍光である変換光を、励起光の入射方向に沿って出射する透過型の波長変換装置である。波長変換装置4Jは、回転体7に代えて回転体7Jを備える他は、波長変換装置4Aと同様の構成及び機能を備える。すなわち、波長変換装置4Jは、波長変換体6及び回転体7Jを備える他、図17では図示しないモーター5及び放熱フィン8を備える。換言すると、波長変換装置4Jは、モーター5と、モーター5によって回転される波長変換体6、回転体7J及び放熱フィン8を有する波長変換素子4J1と、を備える。
【0086】
回転体7Jは、回転体7Hと同様に、基板71及びベイパーチャンバー72に代えて、波長変換体6を支持する基板としての機能を有するベイパーチャンバー74を備える。換言すると、回転体7Jは、ベイパーチャンバー74である基板を有する。
ベイパーチャンバー74は、第1実施形態に係るベイパーチャンバー72と同様に、波長変換体6の熱を受熱して輸送する熱輸送体であり、波長変換体6を支持する。ベイパーチャンバー74は、密閉容器741を備える。
【0087】
密閉容器741は、金属によって構成されており、液相と気相との間で相変化可能な作動流体を収容する。
密閉容器741は、-D方向の面7411と、+D方向の面7412と、を有する他、入射側開口部7413、出射側開口部7414、入射側透光性部材7415、出射側透光性部材7416及び内面7417を有する。
入射側開口部7413は、面7411に設けられ、出射側開口部7414は、面7412に設けられている。入射側開口部7413及び出射側開口部7414は、回転するベイパーチャンバー74において励起光ELの入射位置に設けられている。すなわち、ベイパーチャンバー74において、入射側開口部7413及び出射側開口部7414が設けられた領域は、光を透過可能な光透過領域である。
入射側透光性部材7415及び出射側透光性部材7416は、回転軸Rxを中心とする環状の透光性部材である。入射側透光性部材7415は、入射側開口部7413を閉塞し、出射側透光性部材7416は、出射側開口部7414を閉塞する。出射側透光性部材7416の+D方向の面には、波長変換体6が配置される。
【0088】
内面7417は、密閉容器741における外周側の内面である。内面7417は、波長変換体6よりも回転軸Rxを中心とする径方向外側に配置されている。このため、回転体7Jが回転軸Rxを中心に回転されると、液相の作動流体は、波長変換体6に対応する部分から内面7417までの部分に貯留される。すなわち、回転体7Hが回転されると、密閉容器731内の液相の作動流体は、波長変換体6の入射面63において励起光ELが入射する入射領域よりも、密閉容器731の外周側に移動する。これにより、波長変換体6に対応する部分に配置された受熱部732に、効率よく液相の作動流体を供給できる他、液相の作動流体が励起光を遮蔽することを抑制できる。
【0089】
このような密閉容器741において受熱部742は、波長変換体6に対応する位置に設けられる。すなわち、受熱部742は、入射側透光性部材7415の設置位置に設定される。また、密閉容器741において放熱部743は、+D方向から見て面7412における波長変換体6の内側の部分と、-D方向の面7411とに設定される。
なお、放熱フィン8が+D方向の面7412に設けられる場合には、放熱フィン8は、波長変換体6の内縁よりも内側に配置される。一方、放熱フィン8が-D方向の面7411に設けられる場合には、放熱フィン8は、入射側開口部7413の回転軸Rx側の端縁よりも内側に配置される。
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターは、第1及び第4実施形態に係るプロジェクター1と同様の効果を奏することができる。
【0090】
[第5実施形態の変形]
上記した波長変換装置4Jでは、波長変換体6は、出射側透光性部材7416の+D方向の面に配置されるとした。しかしながら、これに限らず、波長変換体6は、入射側透光性部材7415の-D方向の面に設けられていてもよい。
また、波長変換体6が、波長変換体6Eと同様の所定の強度を有する場合には、出射側透光性部材7416又は入射側透光性部材7415に代えて、波長変換体6によって、入射側開口部7413及び出射側開口部7414のうち対応する開口部を閉塞してもよい。
【0091】
[実施形態の変形]
本開示は、上記各実施形態及び上記各実施形態の変形に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形及び改良等は、本開示に含まれるものである。
例えば、上記各実施形態及び上記各実施形態の変形にて示した波長変換装置4A~4Jの構成は、互いに組み合わせてもよい。また、波長変換装置4A~4Jが備えるモーター、波長変換体、回転体及び放熱フィンの構成及び配置は、適宜変更してもよい。
例えば、波長変換装置において、放熱フィンは、必ずしも無くてもよい。
また例えば、波長変換装置において、モーターは、回転体に対して励起光の入射側とは反対側に配置されていてもよい。また、モーターは、回転軸に沿って回転体を必ずしも貫通しなくてもよい。例えばモーター5Bのように、モーターは、挿入部を備えなくてもよく、回転体が備える基板71は、モーターの一部が挿通される貫通口714を備えなくてもよい。また、上記した波長変換装置4A~4Jのうち、少なくとも2つの波長変換装置の構成を組み合わせてもよい。
また、波長変換体6は円環状としたが、完全な円環状に限らない。ホワイトバランスの調整のために、励起光を青色光として利用する構成を用いてもよい。具体的には、回転体に波長変換体6が存在しない透過窓或いは切り欠きからなる透光部を設ける。そのため、透光部と蛍光体とのそれぞれが一つの領域、或いは、透光部と蛍光体とのそれぞれが複数に分割された領域によって、円環状を成す。本開示における、環状に設けられた波長変換体6とは、これらを含むものである。
【0092】
上記各実施形態では、光源装置31は、光源312及び波長変換装置4A~4Jのいずれかを備え、蛍光である変換光を出射する第1光源装置311と、青色光を出射する第2光源装置317と、変換光及び青色光を合成する光合成装置318と、を備えるとした。しかしながら、光源装置31の構成は、上記に限定されない。
上記各実施形態では、光源装置31は、プロジェクターを構成するとした。しかしながら、これに限らず、照明装置に光源装置31を採用してもよい。すなわち、本開示に係る波長変換装置は、プロジェクター及び光源装置に適用される例に限定されず、他の電子機器に採用されてもよい。
【0093】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
[付記1]
円盤状の回転体と、
励起光が入射する入射面と、前記入射面とは反対側に配置されて前記励起光を波長変換した変換光を出射する出射面とを有し、前記回転体の周縁側の部分に、前記回転体の回転軸を中心とする環状に設けられた波長変換体と、
前記回転体を回転させるモーターと、を備え、
前記回転体は、ベイパーチャンバーを備え、
前記ベイパーチャンバーは、気相と液相との間で相変化する作動流体を収容する密閉容器を備え、
前記密閉容器は、
前記密閉容器の外周部に配置され、前記波長変換体の熱を受熱する受熱部と、
前記受熱部よりも前記回転軸側に配置され、前記受熱部にて受熱した熱を放熱する放熱部と、を有し、
液相の前記作動流体は、前記受熱部にて受熱された熱によって気相に変化され、
気相の前記作動流体は、前記放熱部にて凝縮される、ことを特徴とする波長変換装置。
【0094】
このような構成によれば、波長変換体の入射面に励起光を入射させることによって、励起光を波長変換した変換光を出射面から出射させることができる。
また、回転体の周縁側の部分に設けられた環状の波長変換体にて発生した熱は、回転体のベイパーチャンバーの受熱部にて受熱されると、受熱された熱によって密閉容器内の液相の作動流体が受熱部にて気相に変化する。気相に変化した作動流体は、密閉容器内を瞬時に拡散する。これにより、密閉容器内全体に熱が拡散する。密閉容器内を拡散した気相の作動流体のうち、一部の気相の作動流体は、受熱部よりも回転軸側に配置された放熱部に到達し、放熱部に熱を伝達することによって凝縮されて、液相の作動流体に変化する。一方、放熱部は、回転体の周囲の外気によって冷却される。このような熱伝達サイクルが、ベイパーチャンバー内にて繰り返されることによって、波長変換体の温度上昇が抑制される。
【0095】
これにより、波長変換体に入射する励起光の強度を高くしても、波長変換体の温度上昇を抑制できることから、波長変換体による励起光の波長変換効率が低下することを抑制できる他、波長変換体の寿命が短くなることを抑制できる。従って、波長変換体に入射する励起光の強度を高くし、変換光の出射光量を大きくしても、波長変換体の劣化を抑制でき、励起光の波長変換効率を高めることができる。
また、回転体が回転軸を中心として回転されるときには、液相の作動流体は、遠心力によって密閉容器における周縁側に移動されやすい。これに対し、波長変換体の熱を受熱する受熱部は、密閉容器の外周部に配置されるので、受熱部に液相の作動流体を移動させやすくすることができる。従って、波長変換体から伝達される熱による液相の作動流体の気化を促進できるので、波長変換体の冷却効率を高めることができる。
【0096】
[付記2]
付記1に記載の波長変換装置において、
前記回転体は、円盤状の基板を備え、
前記波長変換体は、前記基板において前記基板の周縁側に配置され、
前記受熱部は、前記波長変換体よりも前記基板の前記回転軸側の位置に設けられる。
このような構成によれば、波長変換体は、基板の周縁側に配置されているので、回転軸側に配置されている場合に比べて、波長変換体において回転軸を中心とする周方向の長さを大きくできる。これにより、波長変換体に励起光が入射することによって発熱する部分を波長変換体にて分散させることができるため、波長変換体の温度上昇を抑制できる。
また、波長変換体で発生した熱は、波長変換体よりも回転軸側に配置された受熱部によって受熱される。受熱部にて受熱された熱は、上記のように、回転軸側に配置された放熱部にて放熱される。波長変換体は、基板の周縁側に配置されていることから、放熱部が配置される回転軸側の部分の面積を拡大でき、波長変換体から伝達された熱の放熱面積を拡大できる。従って、波長変換体の冷却効率を高めることができるので、波長変換体の劣化を抑制できる他、波長変換体による励起光の波長変換効率を高めることができる。
【0097】
[付記3]
付記2に記載の波長変換装置において、
前記モーターは、前記基板に対する前記励起光の入射側に配置され、
前記ベイパーチャンバーは、前記基板に対する前記励起光の入射側に配置されている。
このような構成によれば、モーターにて発生した熱をベイパーチャンバーに伝達できる。従って、モーターの冷却効率を高めることができる。
【0098】
[付記4]
付記3に記載の波長変換装置において、
前記モーターは、前記ベイパーチャンバーに連結されている。
このような構成によれば、モーターがベイパーチャンバーを貫通する構成に比べて、ベイパーチャンバーの放熱面積が小さくなることを抑制できる。従って、波長変換体の冷却効率を高めることができる。
【0099】
[付記5]
付記3に記載の波長変換装置において、
前記ベイパーチャンバーは、前記回転軸に沿って前記ベイパーチャンバーを貫通する貫通口を有し、
前記モーターは、前記貫通口を通って前記基板に連結されている。
このような構成によれば、ベイパーチャンバーをモーター内の発熱部分に近づけることができる。従って、モーターからベイパーチャンバーに熱を伝達させやすくすることができるので、モーターの冷却効率を高めることができる。
【0100】
[付記6]
付記2に記載の波長変換装置において、
前記モーターは、前記基板に対する前記励起光の入射側に配置され、
前記波長変換体及び前記ベイパーチャンバーは、前記基板に対する前記励起光の入射側とは反対側に配置されている。
このような構成によれば、波長変換体が基板に対する励起光の入射側とは反対側に配置され、ベイパーチャンバーが基板に対する励起光の入射側に配置される場合に比べて、波長変換体から基板を介してベイパーチャンバーに伝達される熱の経路を短くすることができる。これにより、波長変換体からベイパーチャンバーに熱を伝達しやすくすることができ、波長変換体の冷却効率を高めることができる。
また、波長変換体及びベイパーチャンバーのうち、一方が基板に対する励起光の入射側に配置され、他方が基板に対する励起光の入射側とは反対側に配置される場合に比べて、回転軸に沿う方向の波長変換装置の寸法を小さくできる。
【0101】
[付記7]
付記2から付記6のいずれか1つに記載の波長変換装置において、
前記基板は、光が透過する光透過領域を有し、
前記波長変換体は、前記基板において前記光透過領域に応じて配置され、
前記ベイパーチャンバーは、前記波長変換体よりも前記回転軸側に設けられている。
このような構成によれば、波長変換体が基板に対する励起光の入射側とは反対側に配置されている場合には、光透過領域を介して波長変換体に励起光を入射させることができる。また、波長変換体が基板に対して励起光の入射側に配置されている場合には、減長変換体から出射された変換光を、基板に対する励起光の入射側とは反対側に光透過領域を介して出射できる。これらの場合において、ベイパーチャンバーが波長変換体よりも回転軸側に配置されていることによって、ベイパーチャンバーが励起光及び変換光を遮蔽することを抑制できる。
【0102】
[付記8]
付記7に記載の波長変換装置において、
前記基板は、透光性を有し、
前記励起光は、前記回転体を介して前記波長変換体に入射する。
このような構成によれば、基板全体が光を透過するので、励起光の入射及び変換光の出射のために、波長変換体を回転体よりも回転軸を中心とする径方向外側に突出させる必要が無い。従って、回転軸を中心とする径方向における波長変換装置の小型化を図ることができる。
更に、波長変換体は、回転体に対する励起光の入射側とは反対側に配置されることとなる。これによれば、波長変換装置の後段に集光レンズが配置される場合に、波長変換体と集光レンズとの距離を短くできる。従って、波長変換体から出射された変換光を集光レンズによって集光しやすくすることができる。
【0103】
[付記9]
付記7に記載の波長変換装置において、
前記基板は、透光性を有する前記密閉容器を備える円盤状の前記ベイパーチャンバーによって構成され、
前記波長変換体は、前記ベイパーチャンバーに設けられ、
前記密閉容器は、透光性を有する前記作動流体を収容し、
前記励起光は、前記ベイパーチャンバーを介して前記波長変換体に入射する。
このような構成によれば、波長変換体が配置される基板は、ベイパーチャンバーによって構成されている。これによれば、回転体が基板とベイパーチャンバーとを個別に備える場合に比べて、回転体の部品点数を減らすことができる。
また、波長変換体にて発生した熱は、ベイパーチャンバーに直接伝達されるので、波長変換体からベイパーチャンバーへの熱伝達効率を高めることができる。従って、波長変換体の冷却効率を高めることができる。
【0104】
[付記10]
付記9に記載の波長変換装置において、
液相の前記作動流体は、前記回転体が回転されると、前記入射面において前記励起光が入射する入射領域よりも外周側に移動する。
このような構成によれば、回転体の回転によって発生する遠心力により、液相の作動流体は、波長変換体の入射面において入射領域よりも外周側に移動する。これによれば、液相の作動流体によって励起光を乱反射させることなく、励起光を波長変換体に入射させることができる。従って、励起光の波長変換効率が低下することを抑制できる。
【0105】
[付記11]
付記2から付記6のいずれか1つに記載の波長変換装置において、
前記波長変換体は、前記基板の周縁よりも外側に突出して設けられている。
このような構成によれば、励起光及び変換光は、回転体を通過しないので、回転体を通過することによる励起光及び変換光の損失が発生することを抑制できる。
また、波長変換体は、回転体の周縁から外側に突出しているので、波長変換体における回転軸を中心とする周方向の寸法を大きくしやすくすることができる。これにより、波長変換体に励起光が入射することによって発熱する部分を波長変換体にて分散させることができるため、波長変換体の温度上昇を抑制できる。
【0106】
[付記12]
付記11に記載の波長変換装置において、
前記基板は、円盤状の前記ベイパーチャンバーによって構成されている。
このような構成によれば、波長変換体からベイパーチャンバーに熱を伝達しやすくすることができるので、波長変換体の冷却効率を高めることができる。この他、回転体が基板とベイパーチャンバーとを個別に備える場合に比べて、回転体の部品点数を減らすことができる。
【0107】
[付記13]
付記11又は付記12に記載の波長変換装置において、
前記波長変換体は、前記回転体において前記モーターとは反対側の面に設けられている。
このような構成によれば、波長変換光が回転体によって遮蔽されることを抑制できる他、波長変換装置の後段に集光レンズが配置される場合に、波長変換体と集光レンズとの距離を短くできる。従って、波長変換体から出射された変換光を集光レンズによって集光しやすくすることができる。
【0108】
[付記14]
付記11から付記13のいずれか1つに記載の波長変換装置において、
前記波長変換体は、前記入射面を構成し、前記励起光を透過し、前記変換光を反射する反射層を備え、
前記入射面は、外部に露出している。
このような構成によれば、入射面が外部に露出していることによって、入射面は、空気層と接することとなる。このため、空気層と反射層との屈折率差によって、波長変換されなかった励起光が反射層から波長変換体の外部に出射されてしまうことを抑制できる。すなわち、反射層から外部に出射されて損失する励起光の少なくとも一部を、反射層と空気層との界面にて全反射させることができる。従って、波長変換体における励起光の利用効率を向上させることができる。
【0109】
[付記15]
付記1から付記14のいずれか1つに記載の波長変換装置において、
前記ベイパーチャンバーから伝達される熱を放熱する放熱フィンを備える。
このような構成によれば、放熱フィンによって、ベイパーチャンバーから伝達される熱の放熱面積を拡大できる。すなわち、波長変換体から伝達される熱の放熱面積を拡大できる。従って、波長変換体の冷却効率を高めることができる。
【0110】
[付記16]
励起光を出力する光源と、
前記励起光の波長を変換した変換光を出力する付記1から付記15のいずれか1つに記載の波長変換光装置と、を備える、ことを特徴とする光源装置。
このような構成によれば、上記した波長変換装置と同様の効果を奏することができるので、光源装置から出射される光量を高めつつ、光源装置を安定して動作させることができる。
【0111】
[付記17]
付記16に記載の光源装置から出射された光を変調した変調光を投射する、ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、上記した光源装置と同様の効果を奏することができるので、輝度を高めた画像光を安定して投射できる。
【符号の説明】
【0112】
1…プロジェクター、31…光源装置、312…光源、4A,4B,4C,4D,4E,4F,4G,4H,4I,4J…波長変換装置、5,5B…モーター、6,6E…波長変換体、61,65…蛍光体層、62…反射層、63…入射面、64…出射面、7,7B,7D,7F,7H,7J…回転体、71…基板、72,73,74…ベイパーチャンバー、721,731,741…密閉容器、722,732,742…受熱部、723,733,743…放熱部、8…放熱フィン、81…基部、82…羽根。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17