(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144476
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】免許証発行システム、申請処理装置および引渡処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20241003BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024117091
(22)【出願日】2024-07-22
(62)【分割の表示】P 2020122095の分割
【原出願日】2020-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 亜紀
(57)【要約】
【課題】 外国の運転免許証を用いて国内の運転免許証を発行する手続きを円滑に行うことができる免許証発行システム、申請処理装置および引渡処理装置を提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、免許証発行システムは、申請処理装置と引渡処理装置とを含む。申請処理装置は、第1の通信部と第2の通信部と第1のプロセッサとを有する。引渡処理装置は、第3の通信部と第4の通信部と第2のプロセッサとを有する。第1のプロセッサは、申請情報に含まれるモバイル運転免許証のデータから国内の運転免許証の発行データを生成し、申請情報の少なくとも一部を含む申請確認情報を引渡処理装置へ送信する。第2のプロセッサは、携帯端末が備えるモバイル運転免許証のデータと申請処理装置から取得する申請確認情報とが整合する場合、モバイル運転免許証のデータから生成された発行データによって発行された国内の運転免許証の引渡を許可する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
申請処理装置と引渡処理装置とを含む免許証発行システムであって、
前記申請処理装置は、
携帯端末が備える外国のモバイル運転免許証を用いた国内の運転免許証の発行を申請する申請情報を取得する第1の通信部と、
前記引渡処理装置と通信する第2の通信部と、
前記第1の通信部により取得した申請情報に含まれる前記モバイル運転免許証のデータから国内の運転免許証の発行データを生成し、前記申請情報の少なくとも一部を含む申請確認情報を前記第2の通信部により前記引渡処理装置へ送信する第1のプロセッサと、を有し、
前記引渡処理装置は、
前記申請処理装置と通信する第3の通信部と、
モバイル運転免許証を備える携帯端末と通信する第4の通信部と、
前記第4の通信部により通信する前記携帯端末が備える前記モバイル運転免許証のデータと前記第3の通信部により前記申請処理装置から取得する申請確認情報とが整合する場合、前記第4の通信部により通信する前記携帯端末が備える前記モバイル運転免許証のデータから生成された発行データによって発行された国内の運転免許証の引渡を許可する第2のプロセッサと、を有する、
免許証発行システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、免許証発行システム、申請処理装置および引渡処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外国人が所持する外国の運転免許証(以下、外国免許証とも称する)を用いて国内(以下、日本とする)の運転免許証(以下、日本免許証とも称する)を発行するには、外国免許証の他、申請書、写真、パスポート、在留カード、外国免許証の翻訳文などの様々な書類が必要となる。申請者は、必要な書類を不足なく用意して日本免許証を発行する所定の発行所(例えば、運転免許センター)に訪れて、日本免許証の発行手続き(申請、審査および発行)を行うようになっている。このような外国免許証を用いて日本免許証を発行する手続きは、申請者や発行者にとって煩雑で手間が掛かる作業となっている。
【0003】
また、近年、一部の外国では、スマートフォン等の携帯端末で運転免許証として使用できるモバイル運転免許証が試験的に運用されている。携帯端末は、モバイル運転免許証として、顔画像を含む外国免許証としての各情報を保存し、それらの情報を必要に応じて表示する。現状において、日本で外国のモバイル運転免許証の正当性を簡単に確認する仕組み構築されていない。このため、日本で外国のモバイル運転免許証の正当性を確認するには、時間や手間が掛かる手続きが必要となる。また、携帯端末が備える外国のモバイル運転免許証を持っている人物に対して日本免許証を発行する手順等も確立していない。 上記のような外国免許証として使用されるモバイル運転免許証を持っている人物に対しても、煩雑で手間の掛かる日本免許証を発行する手続きを円滑に行えるものが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、外国の運転免許証を用いて国内の運転免許証を発行する手続きを円滑に行うことができる免許証発行システム、申請処理装置および引渡処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、免許証発行システムは、申請処理装置と引渡処理装置とを含む。申請処理装置は、第1の通信部と第2の通信部と第1のプロセッサとを有する。引渡処理装置は、第3の通信部と第4の通信部とプロセッサとを有する。第1の通信部は、携帯端末が備える外国のモバイル運転免許証を用いた国内の運転免許証の発行を申請する申請情報を取得する。第2の通信部は、引渡処理装置と通信する。第1のプロセッサは、第1の通信部により取得した申請情報に含まれるモバイル運転免許証のデータから国内の運転免許証の発行データを生成し、申請情報の少なくとも一部を含む申請確認情報を第2の通信部により引渡処理装置へ送信する。第3の通信部は、申請処理装置と通信する。第4の通信部は、モバイル運転免許証を備える携帯端末と通信する。第2のプロセッサは、第4の通信部により通信する携帯端末が備えるモバイル運転免許証のデータと第3の通信部により申請処理装置から取得する申請確認情報とが整合する場合、第4の通信部により通信する携帯端末が備えるモバイル運転免許証のデータから生成された発行データによって発行された国内の運転免許証の引渡を許可する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る免許証発行システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る免許証発行システムにおける携帯端末の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る免許証発行システムにおける携帯端末が備えるモバイル運転免許証のデータの例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る免許証発行システムにおける外国の免許証管理システムに用いられる申請受付装置の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る免許証発行システムにおける日本の免許証発行システムに用いられる申請処理装置の構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る免許証発行システムにおける日本の免許証発行システムに用いられる引渡処理装置の構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る免許証発行システムによる外国のモバイル運転免許証を用いた日本免許証の発行手続きの概要を説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る免許証発行システムによる日本免許証の発行申請手続きにおける携帯端末の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態に係る免許証発行システムによる日本免許証の発行申請手続きにおける申請受付装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態に係る免許証発行システムによる日本免許証の発行申請手続きにおける申請処理装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施形態に係る免許証発行システムによる日本免許証の引渡手続きにおける携帯端末の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施形態に係る免許証発行システムによる日本免許証の引渡手続きにおける引渡処理装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施形態に係る免許証発行システムによる外国のモバイル運転免許証を用いた日本免許証の発行手続きの変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、実施形態に係る免許証発行システムの構成例を概略的に示す図である。
実施形態に係わる免許証発行システムは、外国の運転免許証(以下、外国免許証と称する)を用いて国内の運転免許証を発行する手続きを行うシステムである。また、本実施形態では、外国免許証として使用される外国のモバイル運転免許証(以下、mDLとも称する)を備える携帯端末を用いて日本(国内)の運転免許証(以下、日本免許証と称する)を発行する免許証発行システムについて説明するものとする。
【0009】
図1に示すように、実施形態に係る免許証発行システムは、モバイル運転免許証(mDL)を備える携帯端末1、外国の免許証管理システム2、および、日本の免許証発行システム3を含むシステムである。本免許証発行システムにおいて、各装置間で送受信されるデータは、電子署名および暗号化によって安全性が確保される。
【0010】
携帯端末1は、外国免許証として使用される外国のmDLを備える携帯可能な電子機器である。携帯端末1は、例えば、スマートフォンあるいはタブレットPCなどのモバイル端末で実現される。本実施形態において、携帯端末1は、外国免許証としてのmDLに基づく日本免許証の発行を申請する人物(申請者)が所持するものとする。携帯端末1は、種々の処理を実現するためのアプリケーションプログラムを実行する機能を有する。本実施形態において、携帯端末1は、モバイル運転免許証のデータを管理するためのアプリケーションプログラム(以下、モバイル運転免許証(mDL)アプリとも称する)を備える。
【0011】
外国の免許証管理システム2は、
図1に示すように、申請受付装置4および外国免許証の管理サーバ5を有する。外国の免許証管理システム2は、外国免許証に関する情報を管理するシステムである。本実施形態において、外国の免許証管理システム2は、携帯端末1が備える外国のモバイル運転免許証を発行した発行国における運転免許証に関する情報を管理するシステムであるものとする。
【0012】
申請受付装置4は、外国のモバイル運転免許証を備える携帯端末1を所持する人物(申請者)による日本免許証の発行申請を受け付ける装置である。申請受付装置4は、携帯端末1と通信する機能と、当該免許証管理システム2における外国免許証の管理サーバ5にアクセスする機能と、ネットワーク等を介して日本の免許証発行システム3と通信する機能とを有する。
【0013】
外国免許証の管理サーバ5は、当該発行国で発行した運転免許証に関する情報を管理する装置である。本実施形態において、管理サーバ5は、少なくとも当該発行国で運転免許証として発行したモバイル運転免許証に関する情報を管理する装置である。管理サーバ5は、情報を記憶する記憶装置を具備する装置であっても良いし、情報を記憶する外部の記憶装置にアクセスするものであっても良い。管理サーバ5は、当該国が発行したモバイル運転免許証に関する情報として、外国免許証の所持者の個人情報、運転可能車種や免許条件などの情報を含む運転許諾情報、および、モバイル運転免許証の正当性を証明するための情報などを管理する。
【0014】
また、日本の免許証発行システム3は、
図1に示すように、申請処理装置6、日本免許証の管理サーバ7、免許証発行機8、および、引渡処理装置9などを有する。
申請処理装置6は、外国の免許証管理システム2と通信する機能を有する。また、申請処理装置6は、免許証発行機8および引渡処理装置9と通信する機能も有する。また、申請処理装置6は、携帯端末1と通信する機能を有するものとしても良い。
【0015】
例えば、申請処理装置6は、外国からの日本免許証の発行を申請する申請情報を受信し、申請情報に基づく日本免許証の発行処理などを行う。申請処理装置6は、外国の免許証管理システム2における申請受付装置4からの日本免許証の発行を申請する申請情報などを受信する。また、申請処理装置6は、外国の免許証管理システム2からの申請情報を検証したり、申請情報に基づいて日本免許証の発行データを生成したりする。
【0016】
免許証発行機8は、日本免許証を発行する装置である。免許証発行機8が発行する日本免許証は、所定の媒体(例えば、非接触式ICカード)に日本で定められている運転免許証に関する各種の情報が記録されたものである。
免許証発行機8は、申請処理装置6からの発行データを受けて日本免許証を発行する。この場合、免許証発行機8は、申請処理装置6と通信可能であればどこに設置しても良い。申請処理装置6からの発行データに基づいて免許証発行機8が発行する日本免許証は、申請者などによって指定された引き渡す引渡場所に搬送され、引渡場所で申請者に引き渡される。
【0017】
また、免許証発行機8は、引渡処理装置9からの発行要求に応じて日本免許証を発行するものであっても良い。この場合、免許証発行機8は、引渡処理装置9が設置される引渡場所に設置される。引渡場所に設置された免許証発行機8は、当該引渡番所に申請者が訪れた場合に引渡処理装置9からの発行データに基づいて日本免許証を即時発行する。これにより、免許証発行機8が発行する日本免許証は、引渡番所に訪れた申請者に引き渡される。
【0018】
引渡処理装置9は、外国のmDLを用いた日本免許証の発行申請に応じて発行された日本免許証を引き渡す手続きを行うための装置である。引渡処理装置9は、申請処理装置6から供給される情報を用いて日本免許証を受け取りに来た人物(受取人)に対する認証を行う。引渡処理装置9は、受取人の認証が成功した場合に申請受付装置4で受け付けた申請内容に応じて発行する日本免許証を受取人に引き渡す処理を実施する。例えば、引渡処理装置9は、事前に免許証発行機8で発行された日本免許証を係員が受取人へ引き渡す手続きを支援するものであっても良いし、申請処理装置6から供給される申請内容に基づく発行データによる日本免許証を免許証発行機8に発行させるものであっても良い。
【0019】
次に、実施形態に係わる携帯端末1の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る携帯端末1における制御系の構成例を概略的に示すブロック図である。
携帯端末1は、利用者が携帯可能な筐体を有する。
図2に示す構成例において、携帯端末1は、プロセッサ11、ROM12、RAM13、記憶部14、モバイル通信部15、近距離無線通信部16、表示部17、操作部18、および、生体情報取得部19などを有する。
【0020】
プロセッサ11は、プログラムを実行することにより種々の処理を実行する。プロセッサ11は、例えば、CPUである。ROM12は、プログラムや制御データなどを記憶する不揮発性のメモリである。RAM13は、データを一時的に保持するワーキングメモリとして機能する。これらの構成により、プロセッサ11は、RAM13を用いてROM12又は記憶部14が記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0021】
記憶部14は、書換え可能な不揮発性のメモリを含む記憶装置である。本実施形態において、記憶部14は、モバイル運転免許証に関する情報(mDLデータ)を記憶する。また、記憶部14には、mDLデータを管理するためのアプリケーションプログラムとしてのモバイル運転免許証アプリがインストールされる。
【0022】
例えば、
図3は、実施形態に係る携帯端末1が備えるモバイル運転免許証のデータ(mDLデータ)の例を示す図である。
図3に示す例において、携帯端末1のモバイル運転免許証アプリは、モバイル運転免許証データとして、個人情報、運転許諾情報(免許条件等)、顔画像、発行者証明書、鍵情報、認証情報などを管理する。これらのデータは、記憶部14にセキュアに記憶され、モバイル運転免許証アプリを実行するプロセッサ11の制御によって読み出しなどが可能となる。
【0023】
個人情報は、mDLによって運転資格が与えられている人物(所有者)に関する個人情報である。例えば、個人情報は、住所、氏名、生年月日などを含む。運転許諾情報は、運転資格が与えられた車両(車種)を示す情報、車を運転する場合の条件などに関する情報が含まれる。ただし、運転許諾情報は、当該発行国の規定で定められる情報であって、日本免許証の運転許諾情報とは基準が一致してない可能性がある。
【0024】
顔画像は、モバイル運転免許証としての運転免許証によって運転の資格が与えられている人物の顔を示す画像である。例えば、モバイル運転免許証アプリが管理する顔画像は、カード状の記録媒体で発行される運転免許証の券面に印刷される顔画像に相当するものである。例えば、運転免許証の提示が求められた場合に、当該運転免許証を持つ人物を示す情報として表示部17に表示される顔画像である。
【0025】
発行者証明書は、モバイル運転免許証(mDL)が発行国における所定の公的な機関によって発行されたことを証明する情報である。発行者証明書を検証することによってモバイル運転免許証のデータが改ざんされていないことが検証される。
鍵情報は、モバイル運転免許証の正当性を証明するために用いる情報である。例えば、鍵情報は、秘密鍵として用いる情報である。この場合、モバイル運転免許証アプリを実行するプロセッサ11は、秘密鍵を用いて正当性を証明するための情報として電子署名を生成する。
【0026】
認証情報は、運転免許証の本人であることを確認(認証)するための登録情報である。認証情報は、プロセッサ11によって実施される本人認証に用いられる情報である。例えば、認証情報は、PINなどのバスワードであっても良いし、指紋情報などの生体認証に用いる生体情報であっても良い。
【0027】
モバイル通信部15は、外部の機器と通信するための通信インターフェースである。本実施形態において、利用者が携帯端末1を携帯して使用することを想定するため、モバイル通信部15は、移動体通信あるいはWifi(登録商標)などの無線通信によってネットワークに接続するものとする。例えば、携帯端末1は、モバイル通信部15によりネットワークを介して申請受付装置4と通信する。また、携帯端末1は、モバイル通信部15によりネットワークを介して申請処理装置6と通信するようにしても良い。
【0028】
近距離無線通信部16は、引渡処理装置9と通信するための通信インターフェースである。近距離無線通信部16は、利用者が携帯する携帯端末1に搭載可能な通信方式の通信インターフェースである。近距離無線通信部16は、引渡処理装置9などのモバイル運転免許証のリーダ装置とセキュアに通信できるものであれば良い。例えば、近距離無線通信部16は、NFCなどの非接触型ICカードに用いられる通信方式が用いられるようにしても良い。また、近距離無線通信部16は、ブルートゥース(登録商標)やWifiなどによる通信インターフェースであっても良い。
【0029】
表示部17は、プロセッサ11の制御に応じて種々の情報を表示する表示装置である。操作部18は、操作者が操作指示を入力するためのデバイスである。表示部17および操作部18は、ユーザインターフェースとして機能する。例えば、表示部17および操作部18は、タッチパネル付の表示装置によって構成される。また、操作部18は、キーボード、テンキー、ポインティングデバイスなどを含むものであっても良い。
【0030】
生体情報取得部19は、生体情報を取得するデバイスである。例えば、生体情報取得部19は、指紋を読み取る指紋センサである。また、生体情報取得部19は、生体情報としての顔画像などを取得するためのカメラであっても良い。プロセッサ11は、生体情報取得部19が取得する生体情報と予め登録されている登録者の生体情報とを照合することにより生体認証を行う。
【0031】
なお、生体情報取得部19は、携帯端末1に備えるものではなく、携帯端末1に接続される外部の認証デバイスが有する構成としても良い。この場合、携帯端末1は、生体情報取得部19に替えて、生体認証を行う外部機器の認証デバイスを接続するインターフェース(例えば、USB、NFC、ブルートゥースなどの通信インターフェース)を具備する構成とすれば良い。外部機器としての認証デバイスは、インターフェースを介して携帯端末1に接続され、認証結果などを携帯端末1へ供給するものとすれば良い。例えば、外部の認証デバイスとしては、指紋認証機能を有するICカード等であっても良い。
【0032】
次に、実施形態に係る申請受付装置4の構成について説明する。
図4は、実施形態に係る申請受付装置4における制御系の構成例を概略的に示すブロック図である。
申請受付装置4は、日本での運転が認められている外国の運転免許証としての外国のmDLを持つ人物による日本免許証の発行の申請を受け付ける装置である。ここでは、
図1に示すように、申請受付装置4が外国の免許証管理システム2に設けられる場合を想定して構成例を説明する。
【0033】
図4に示す構成例において、申請受付装置4は、プロセッサ41、ROM42、RAM43、記憶部44、ネットワーク通信部45およびシステム通信部46を有する。
プロセッサ41は、プログラムを実行することにより種々の処理を実行する。プロセッサ41は、例えば、CPUである。ROM42は、プログラムや制御データなどを記憶する不揮発性のメモリである。RAM43は、データを一時的に保持するワーキングメモリとして機能する。記憶部44は、書換え可能な不揮発性のメモリを含む記憶装置である。これらの構成により、プロセッサ41は、RAM43を用いてROM42又は記憶部44が記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0034】
ネットワーク通信部45は、外部の機器と通信するための通信インターフェースである。本実施形態において、申請受付装置4は、ネットワーク通信部45により携帯端末1と通信する。
【0035】
システム通信部46は、当該発行国の免許証管理システム2における各装置と通信するための通信インターフェースである。本実施形態において、システム通信部46は、外国免許証の管理サーバ5と通信する。プロセッサ41は、システム通信部46を介して外国免許証の管理サーバ5に外国免許証のデータを問い合わせたり、外国免許証の真偽を判定するための情報を取得したりする。
【0036】
次に、実施形態に係る申請処理装置6の構成について説明する。
図5は、実施形態に係る申請処理装置6における制御系の構成例を概略的に示すブロック図である。
申請処理装置6は、日本の免許証発行システムにおいて、外国からの外国免許証を用いた日本免許証の発行の申請に応じた処理を行う装置である。例えば、申請処理装置6は、申請受付装置4からの外国免許証を用いた日本免許証の発行の申請情報に応じて免許証発行機8に日本免許証を発行させたり、引渡処理装置9に申請情報から生成した日本免許証の発行データを送信したりする。
【0037】
図1に示す構成例において、申請処理装置6は、外国の免許証管理システム2の申請受付装置4から日本免許証の発行を申請する申請情報を受信する。ただし、後述する
図13に示すように、日本の免許証発行システム3で外国のモバイル運転免許証を用いた日本免許証の発行申請を受け付ける運用とする場合、申請処理装置6は、申請を受け付ける申請受付装置としての機能も有するものとする。
【0038】
図5に示す構成例において、申請処理装置6は、プロセッサ(第1のプロセッサ)61、ROM62、RAM63、記憶部64、ネットワーク通信部(第1の通信部)65、システム通信部(第2の通信部)66、表示部67、および、操作部68などを有する。
【0039】
プロセッサ61は、プログラムを実行することにより種々の処理を実行する。プロセッサ61は、例えば、CPUである。ROM62は、プログラムや制御データなどを記憶する不揮発性のメモリである。RAM63は、データを一時的に保持するワーキングメモリとして機能する。記憶部64は、書換え可能な不揮発性のメモリを含む記憶装置である。これらの構成により、プロセッサ61は、RAM63を用いてROM62又は記憶部64が記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0040】
ネットワーク通信部65は、外部の機器と通信するための通信インターフェースである。本実施形態において、申請処理装置6のネットワーク通信部65は、外国の免許証管理システム2と通信する。また、ネットワーク通信部65は、引渡処理装置9と通信する機能も有する。なお、ネットワーク通信部65は、携帯端末1と通信するようにしても良い。
【0041】
システム通信部66は、日本の免許証発行システム3における各装置と通信するための通信インターフェースである。本実施形態において、システム通信部66は、日本免許証の管理サーバ7、免許証発行機8、引渡処理装置9と通信するための通信インターフェースである。例えば、プロセッサ61は、システム通信部66を介して日本免許証の管理サーバ7に外国免許証を用いて発行する日本免許証のデータを送信したり、日本免許証のデータを問い合わせたりする。また、プロセッサ61は、システム通信部66を介して免許証発行機8へ発行データを送信する。また、プロセッサ61は、システム通信部66を介して引渡処理装置9へ日本免許証の発行の申請内容を示す情報を提供する。
【0042】
表示部67は、種々の情報を表示する表示装置である。操作部68は、操作者が操作指示を入力するためのデバイスである。表示部67および操作部68は、ユーザインターフェースとして機能するものである。例えば、表示部67および操作部68は、タッチパネル付の表示装置によって構成するようにしても良い。また、操作部68は、キーボード、テンキー、ポインティングデバイスなどを含むものであっても良い。
【0043】
次に、実施形態に係る引渡処理装置9の構成について説明する。
図6は、実施形態に係る引渡処理装置9における制御系の構成例を概略的に示すブロック図である。
引渡処理装置9は、外国免許証を用いて発行される日本免許証を当該人物に引き渡す手続きを行うための装置である。例えば、引渡処理装置9は、申請処理装置6から申請情報の少なくとも一部の情報を取得し、日本免許証の受け取りに訪れた人物が申請者であるかを確認する。引渡処理装置9は、日本免許証の受け取りに訪れた人物が申請者であることを確認した後、申請処理装置6が申請情報から生成した発行データにより免許証発行機8が発行する日本免許証を申請者へ引き渡す手続きを行う。
【0044】
図6に示す構成例において、引渡処理装置9は、プロセッサ(第2のプロセッサ)91、ROM92、RAM93、記憶部94、ネットワーク通信部(第3の通信部、第1の通信部)95、近距離無線通信部(第4の通信部、第2の通信部)96、表示部97、操作部98、カメラ99などを有する。
【0045】
プロセッサ91は、プログラムを実行することにより種々の処理を実行する。プロセッサ91は、例えば、CPUである。ROM92は、プログラムや制御データなどを記憶する不揮発性のメモリである。RAM93は、データを一時的に保持するワーキングメモリとして機能する。記憶部94は、書換え可能な不揮発性のメモリを含む記憶装置である。これらの構成により、プロセッサ91は、RAM93を用いてROM92又は記憶部94が記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0046】
ネットワーク通信部95は、外部の機器と通信するための通信インターフェースである。本実施形態において、引渡処理装置9のネットワーク通信部95は、日本の免許証発行システム内において申請処理装置6と通信する。また、ネットワーク通信部95は、免許証発行機8と通信するようにしても良い。
【0047】
近距離無線通信部96は、携帯端末1が具備する近距離無線通信部16の通信方式に対応する通信方式の通信インターフェースにより構成される。例えば、近距離無線通信部96は、NFCによって携帯端末1と近距離無線通信するための通信インターフェース(リーダライタ)で構成しても良い。また、近距離無線通信部96は、ブルートゥースやWifiなどの無線通信の通信インターフェースであっても良い。なお、引渡処理装置9は、近距離無線通信部96としてのカードリーダライタなどの外部機器がインターフェースを介して接続される構成としても良い。
【0048】
表示部97は、種々の情報を表示する表示装置である。操作部98は、操作者が操作指示を入力するためのデバイスである。表示部97および操作部98は、ユーザインターフェースとして機能するものである。例えば、表示部97および操作部98は、タッチパネル付の表示装置によって構成するようにしても良い。また、操作部98は、キーボード、テンキー、ポインティングデバイスなどを含むものであっても良い。
【0049】
カメラ99は、日本免許証の受け取りに訪れた人物(申請者)を撮影する。例えば、カメラ99は、携帯端末1を用いて事前に発行を申請した日本免許証を受け取りに来た人物の顔を撮影する。プロセッサ91は、カメラ99が撮影した画像から供給する顔画像を用いて日本免許証を受け取りに来た人物に対する顔認証を行う。なお、引渡処理装置9は、外部機器としてのカメラ99がインターフェースを介して接続される構成としても良い。
【0050】
次に、実施形態に係わる免許証発行システムによる外国のモバイル運転免許証を用いた日本免許証の発行手続きの流れについて概略的に説明する。
図7は、実施形態に係わる免許証発行システムによる外国のモバイル運転免許証を用いた日本免許証の発行手続きの流れについて概略的に説明するための図である。
図7において、携帯端末1は、日本での運転が認められている外国で発行された外国免許証としてのモバイル運転免許証(mDL)を有する。携帯端末1を所持する人物(mDLを所持する人物)が、日本運転免許証の発行を申請するものとする。
【0051】
免許証発行システムにおいて、日本免許証の発行手続きは、事前に申請者からの日本免許証の発行申請を処理する申請手続きと事前に申請された日本免許証を申請者へ引き渡す引渡手続きとからなる。
まず、mDLを備える携帯端末1を所持する人物(申請者)は、携帯端末1から外国の免許証管理システム2における申請受付装置4に対して日本免許証の発行を申請する。例えば、携帯端末1からの日本免許証の発行申請は、外国(mDLの発行国)の免許証管理システム2の申請受付装置4が提供する日本免許証の発行サイトにおいて受け付けられる。携帯端末1を操作して日本免許証の発行を申請する手続きは、日本免許証の発行サイトにアクセスできる環境であれば実施でき、例えば、申請者が外国にいるときに行うようにしても良い。
【0052】
申請受付装置4は、携帯端末1からのmDLを用いて日本免許証の発行申請を受け付ける。申請受付装置4は、携帯端末1からのmDLデータ等によって当該申請者への日本免許証の発行申請が受付可能であるか否かを確認し、日本免許証の発行申請の受付が可能であれば日本の免許証発行システム3における申請処理装置6へ日本免許証の発行を申請するための申請情報を送信する。
【0053】
日本の免許証発行システム3の申請処理装置6は、外国の免許証管理システム2で受け付けられた日本免許証の発行申請に関する申請情報を取得する。申請処理装置6は、外国の免許証管理システム2からの申請情報に対して日本免許証の発行の可否を検証する。申請処理装置6は、申請情報に基づく日本免許証の発行が可である場合、申請情報から日本免許証の発行データを生成する。申請処理装置6は、生成した発行データで日本免許証を免許証発行機8に発行させ、申請者を確認するための申請情報の一部を含む情報を引渡処理装置9へ送信する。
【0054】
引渡処理装置9は、申請処理装置6から申請者を確認するための情報を取得し、日本免許証の受け取りに訪れた人物が申請者であるかを確認する。引渡処理装置9は、日本免許証の受け取りに訪れた人物が申請者であることを確認した場合、当該申請者に免許証発行機8が発行した日本免許証を引き渡す手続きを行う。引渡処理装置9は、申請処理装置6が免許証発行機8に発行させた日本免許証を申請者に引き渡すようにしても良いし、申請処理装置6から発行データを取得して免許証発行機8に日本免許証を発行させて申請者に引き渡すようにしても良い。
【0055】
次に、実施形態に係わる免許証発行システムによる日本免許証の発行申請手続きにおける携帯端末1の動作について説明する。
図8は、実施形態に係わる免許証発行システムによる日本免許証の発行申請手続きにおける携帯端末1の動作例を説明するためのフローチャートである。
ここで、外国のmDLを備える携帯端末1を所持する人物(申請者)が日本免許証の発行を申請する場合を想定する。申請者は、外国免許証の他、日本免許証を発行するために必要な書類(例えば、パスポート等)を準備し、携帯端末1を操作して申請受付装置4へのアクセスを指示する。
【0056】
携帯端末1のプロセッサ11は、申請者の操作に応じて、モバイル通信部15を介して申請受付装置4にアクセスする(S11)。例えば、申請者は、携帯端末1の操作部18を用いて、外国の免許証管理システム2における申請受付装置4が提供する日本免許証の発行サイズへのアクセスを指示する。携帯端末1のプロセッサ11は、申請者からの操作に応じてモバイル通信部15により日本免許証の発行サイトを提供する申請受付装置4にアクセスする。
【0057】
申請受付装置4にアクセスすると、プロセッサ11は、申請者の操作によって申請に必要な各種の情報を取得する(S12)。例えば、プロセッサ11は、申請に必要な情報として、申請書に入力すべき情報、パスポート、日本での住所を示す書類、外国免許証(ここではmDL)の日本語翻訳文などの情報を取得する。申請書に入力すべき情報は、操作部18を用いて入力される情報として取得されるようにしても良い。パスポートなどの書類に記載される情報は、カメラやスキャナによって書面を撮像した画像情報として取得するようにしても良いし、書類の内容を提示するアクセス先(例えば、署名付きのURL)を示す情報として取得するようにしても良い。
【0058】
また、申請者に日本免許証を引き渡す引渡場所が複数ある場合、申請に必要な情報として、申請者が指定する引渡場所を示す情報を取得する。例えば、プロセッサ11は、複数の引渡場所の候補を表示部17に表示し、引渡場所の候補から申請者が指定(選択)する引渡場所を示す情報を取得するようにしても良い。ただし、引渡場所で日本免許証を即時発行するシステムとする場合、複数の引渡場所が複数あっても引渡場所の指定はなくても良い。
【0059】
申請に必要が情報を取得すると、プロセッサ11は、申請者がmDL(携帯端末1)の所有者であることを確認するための本人認証を行う(S13)。例えば、プロセッサ11は、生体情報取得部19としての指紋センサなどを用いて入力される生体情報とmDLデータの認証情報として登録されている生体情報とを照合することにより本人認証を行う。また、プロセッサ11は、操作部18に入力されるPIN情報とmDLデータに含まれるPINとを照合することにより本人認証を行うようにしても良い。
【0060】
本人認証により申請者(操作者)がmDLの所有者であることを確認すると、プロセッサ11は、申請受付装置4に対して日本免許証の発行を申請する(S14)。例えば、プロセッサ11は、モバイル通信部15により、取得した申請に必要な情報と当該携帯端末1のmDLを示す情報(例えば、mDLの識別情報)とを含む日本免許証の発行申請を申請受付装置4へ送信する。プロセッサ11は、申請受付装置4へ発行申請を送信する場合、電子署名、暗号化などによって伝送する情報の安全性を確保する。
【0061】
日本免許証の発行申請を送信した後、プロセッサ11は、モバイル通信部15により申請受付装置4から発行申請の受け付け結果を示す情報を取得する。プロセッサ11は、発行申請を受け付けた旨の通知を受信すると(S15、YES)、発行申請の受付が完了した旨を報知する(S16)。例えば、プロセッサ11は、発行申請の受付が完了した旨の案内を表示部17に表示する。
【0062】
また、発行申請が受付不可であった旨の通知を受信すると(S15、NO)、プロセッサ11は、日本免許証の発行申請が受け付けられなかった旨を報知する(S17)。例えば、プロセッサ11は、日本免許証の発行申請が受け付けられなかった旨の案内を表示部17に表示する。この場合、プロセッサ11は、発行申請が受け付けられなかった理由を示す情報を申請受付装置4から取得し、発行申請が受け付けられなかった理由を表示部17に表示するようにしても良い。
【0063】
次に、実施形態に係わる免許証発行システムによる日本免許証の発行申請手続きにおける申請受付装置4の動作について説明する。
図9は、実施形態に係わる免許証発行システムによる日本免許証の発行申請手続きにおいて申請受付装置4が実行する申請受付処理を説明するためのフローチャートである。 申請受付装置4は、上述したような携帯端末1による発行申請に応じて日本免許証の発行申請の受付処理を実行する。申請受付装置4のプロセッサ41は、ネットワーク通信部45により携帯端末1からの日本免許証の発行申請を受信する(S21)。例えば、プロセッサ41は、ネットワーク上に公開する日本免許証の発行サイトにおいて携帯端末1からの日本免許証の発行申請を受領する。
【0064】
プロセッサ41は、携帯端末1からの発行申請を受信すると、発行申請に含まれる当該申請者の外国免許証としてのmDLを示す情報から当該申請者が所持する外国免許証に関する情報を確認する(S22)。プロセッサ41は、システム通信部46を介して外国免許証の管理サーバ5にアクセスし、当該申請者の外国免許証に関する情報を確認する。例えば、プロセッサ41は、当該申請者の外国免許証が日本免許証を発行するための免許証として正当なものであるか否かを確認する。具体的には、プロセッサ41は、当該申請者の外国免許証が実在するか運転資格が有効な状態であるかなどを確認する。
【0065】
プロセッサ41は、外国免許証の情報を確認すると、携帯端末1からの日本免許証の発行申請を受け付けるか否かを判定する(S23)。プロセッサ41は、外国免許証の確認結果および申請された情報の不足の有無などによって発行申請を受け付けるか否かを判定するようにしても良い。例えば、プロセッサ41は、当該申請者が所持する外国免許証が有効でない場合、叉は、携帯端末1からの発行申請に含まれる情報に不足がある場合、当該発行申請の受付を不可とする。
【0066】
日本免許証の発行申請の受付を不可とする場合(S23、NO)、プロセッサ41は、ネットワーク通信部45により申請の受付が不可となった旨を携帯端末1へ通知し(S24)、一連の処理を終了する。
【0067】
日本免許証の発行申請を受付可とする場合(S23、YES)、プロセッサ41は、ネットワーク通信部45を介して携帯端末1へ発行申請を受け付けた旨を通知する(S25)。また、日本免許証の発行申請を受付可とする場合(S23、YES)、プロセッサ41は、日本免許証の発行申請と共に携帯端末1から受信した情報(申請に必要な情報およびmDLデータなど)をまとめた申請内容を示す申請情報を生成し、生成した申請情報を日本の免許証発行システム3へ送信する(S26)。本実施形態において、プロセッサ41は、ネットワーク通信部45を用いて日本の免許証発行システム3の申請処理装置6へ申請情報を送信する。この場合、プロセッサ41は、日本の免許証発行システム3へ送信される申請情報に対して、電子署名、および、暗号化などによって情報伝送の安全性を確保する。
【0068】
次に、実施形態に係わる免許証発行システムによる日本免許証の発行申請手続きにおける申請処理装置6の動作について説明する。
図10は、実施形態に係わる免許証発行システムによる日本免許証の発行申請手続きにおける申請処理装置6の動作例を説明するためのフローチャートである。
申請処理装置6は、外国の免許証管理システム2からの申請情報に基づいて日本免許証を発行するための発行処理を実行する。すなわち、申請処理装置6のプロセッサ61は、ネットワーク通信部65により外国の免許証管理システム2から日本免許証の発行を申請するmDLデータを含む申請情報を受信する(S31)。例えば、プロセッサ41は、上述したような申請受付処理を行った外国の免許証管理システム2における申請受付装置4から日本免許証の発行を申請する申請情報を取得する。ここで、申請情報には、申請者が所持する携帯端末1が備えるmDLデータが含まれるものとする。
【0069】
外国の免許証管理システム2から日本免許証の発行申請の内容を示す申請情報を取得すると、プロセッサ41は、取得した申請情報を検証する(S32)。例えば、プロセッサ41は、免許証管理システム2から供給される申請情報に付加される電子署名によって情報の改ざんがないかなどを検証する。また、プロセッサ41は、日本免許証を発行するために必要な情報が申請情報に含まれているか、申請情報が示す申請内容が日本免許証を発行できる条件を満たしているかなどを判定する。
【0070】
外国の免許証管理システム2から取得した申請情報の検証によって日本免許証の発行が不可であると判定された場合(S33、NO)、プロセッサ41は、申請情報の送信元である外国の免許証管理システム2の申請受付装置4へ当該申請情報での日本免許証の発行が不可である旨を通知する(S34)。例えば、プロセッサ41は、日本免許証の発行が不可とした理由を申請受付装置4へ通知する。また、プロセッサ41は、申請情報に含まれる情報から申請者の連絡先(例えば、メールアドレス)を特定し、申請者に日本免許証の発行が不可である旨を通知するようにしても良い。
【0071】
申請情報の検証によって日本免許証が発行可であると判定した場合(S33、YES)、プロセッサ41は、mDLデータを含む申請情報の一部又は全部を日本免許証に記録する日本免許証の基準に準じた情報に変換する(S35)。申請者が所持する外国免許証は、日本免許証とは異なる基準で規定された情報が含まれることがある。このため、プロセッサ41は、申請情報に含まれる情報のうち日本免許証で規定される基準とは異なる基準で規定された情報を日本免許証で規定される基準の情報に変換する。
【0072】
例えば、外国免許証としてのmDLデータにおいて運転を認める車種(車両形状、車両重量、排気量、トランスミッション形式、駆動方式、車軸数など)の区分は、日本免許証で規定される車種の区分とは異なることがある。このような場合、プロセッサ41は、申請情報に含まれるmDLデータにおける車種の区分を日本免許証における車種の区分に変換する。
【0073】
申請情報を日本免許証に記録する情報に変換した後、プロセッサ41は、日本免許証を発行するための発行データを生成する(S36)。プロセッサ41は、mDLデータを含む申請情報に基づいて発行データを生成する。例えば、プロセッサ41は、mDLデータと日本免許証に記録する情報に変換された情報とに基づいて、日本免許証の券面に記録する情報と日本免許証の記録媒体として用いられるICカード内のメモリに記憶する情報とを含む発行データを生成する。また、日本免許証に記録する顔画像は、mDLデータに含まれる顔画像を用いるものとする。これにより、申請者の顔を改めて撮影しなくても、mDLの顔画像を用いた日本免許証の発行が可能となる。
【0074】
また、プロセッサ41は、申請情報による申請内容を確認するための情報(申請確認情報)を引渡処理装置9へ提供する情報として記憶部64に保存する(S37)。申請確認情報は、日本免許証を引き渡す場合に申請者(受取人)が所持する携帯端末のmDLデータを照合することにより申請内容に変更がないかと確認するための情報である。例えば、プロセッサ41は、記憶部64に保存した申請確認情報を引渡処理装置9からの要求に応じて送信する。また、プロセッサ41は、申請確認情報を引渡処理装置9へ配信するようにしても良い。
【0075】
発行データを生成すると、プロセッサ41は、生成した発行データによる日本免許証の発行を免許証発行機8へ指示する(S38)。免許証発行機8は、申請処理装置6からの日本免許証の発行指示に従って発行データに基づく日本免許証を発行する。免許証発行機8が発行する日本免許証は、後述する引渡処理装置9による引渡手続きにおいて申請者に引き渡される。
【0076】
ここで、免許証発行機8が発行した日本免許証は、所定の引渡場所へ搬送され、所定の引渡場所に設置された引渡処理装置9による後述の引渡手続きで申請者に引き渡すようにすれば良い。また、引渡場所が複数ある場合、申請者から指定される引渡場所(例えば、申請手続きにおいて申請者が指定する引渡場所)に発行した日本免許証を搬送しておくことにより指定の引渡場所で申請者に引き渡せるようにすれば良い。
【0077】
ただし、免許証発行機8による日本免許証の発行は、引渡場所に訪れた申請者を引渡処理装置9で確認した後に実施するようにしても良い。この場合、S38の処理は省略され、発行データが引渡処理装置9へ供給されるものとなる。例えば、引渡場所に免許証発行機8を設置しておき、引渡処理装置9により受取人が申請者であることを確認された場合に申請処理装置6から取得する発行データによって免許証発行機8が発行する日本免許証を申請者に引き渡すようにすれば良い。
【0078】
また、外国の免許証管理システム2からの申請情報に応じた日本免許証の発行を許可した場合(S33、NO)、プロセッサ41は、申請受付装置4で受け付けた申請情報に基づく日本免許証の発行が許可である旨を通知する(S39)。例えば、プロセッサ41は、ネットワーク通信部65により、申請情報の送信元である外国の免許証管理システム2の申請受付装置4へ当該申請情報での日本免許証の発行が許可である旨を通知する。また、プロセッサ41は、申請情報に含まれる情報から申請者の連絡先(例えば、メールアドレス)を特定し、申請者に日本免許証の発行が許可された旨を通知するようにしても良い。
【0079】
上記のような処理によれば、申請受付装置は、外国のmDLを備える携帯端末1からの日本免許証の発行申請を受け付け、受け付けた申請内容を示す申請情報を日本の免許証発行システムにおける申請処理装置へ送信する。申請処理装置は、外国の免許証管理システムにおける申請受付装置からの申請情報を受信し、申請情報を検証した後に日本免許証を発行するための発行データを生成する。
【0080】
これにより、申請者は、外国等の遠隔地にいても携帯端末が備える外国のモバイル運転免許証を用いた日本免許証の発行を事前(日本免許証の引渡場所に行く前)に申請でき、発行者は、申請者が日本にある指定の場所に訪れる前に日本免許証の発行又は発行準備を行うことができる。これらの結果として、日本免許証の発行に係る各種の手続きを申請者が日本免許証を受け取りに訪れる前に実施することができ、効率良く日本免許証の発行手続きを進めることが可能となる。
【0081】
次に、実施形態に係る免許証発行システムによる日本免許証の引渡手続きについて説明する。
まず、実施形態に係る免許証発行システムによる日本免許証の引渡手続きにおける携帯端末1の動作について説明する。
図11は、実施形態に係る免許証発行システムによる日本免許証の引渡手続きにおける携帯端末1の動作例を説明するためのフローチャートである。
外国のmDLを備える携帯端末1を用いて日本免許証の発行を申請した人物(申請者)は、日本の免許証発行システム3の引渡処理装置9が設置されている引渡場所を訪れる。引渡場所に訪れた申請者は、事前に発行を申請してある日本免許証を受け取るために携帯端末1のmDLアプリを起動させる操作を行う。
【0082】
携帯端末1のプロセッサ11は、操作者による操作に応じてmDLアプリを起動させる(S51)。mDLアプリを起動させると、プロセッサ11は、操作者がmDLの所有者(申請者)であることを確認するための本人認証を行う(S52)。プロセッサ11は、生体情報取得部19(指紋センサ又はカメラ)などを用いて入力される生体情報(指紋又は顔画像)とmDLデータに含まれる認証情報としての生体情報とを照合することにより本人認証を行う。また、プロセッサ11は、操作部18に入力されるPIN情報とmDLデータに含まれるPINとを照合することにより本人認証を行うようにしても良い。
【0083】
本人認証により操作者がmDLの所有者(申請者)であることを確認した後、プロセッサ11は、引渡処理装置9との通信を開始する(S53)。プロセッサ11は、申請者による携帯端末1の操作に応じて引渡処理装置9との通信を確立させる。引渡処理装置9との通信が確立すると、プロセッサ11は、引渡処理装置9からの読出要求に応じてmDLデータを引渡処理装置9へ送信する(S54)。
【0084】
例えば、携帯端末1と引渡処理装置9とは、NFCによってセキュアに通信する。この場合、操作者は、携帯端末1の近距離無線通信部16を引渡処理装置9の近距離無線通信部96の通信範囲に翳す。これにより、携帯端末1の近距離無線通信部16と引渡処理装置9の近距離無線通信部96とは、近距離無線通信による通信接続が確立する。プロセッサ11は、近距離無線通信部16により受信する読出命令に応じてmDLデータを読出し、読み出したmDLデータを近距離無線通信部96へ送信する。
【0085】
また、プロセッサ11は、引渡処理装置9とセキュアに通信するための情報をコード化したコード画像(例えば、QRコード(登録商標))を表示部17に表示するようにしても良い。この場合、プロセッサ11は、表示部17に表示したコード画像を読み取った引渡処理装置9との通信を確立させるようにすれば良い。
【0086】
次に、実施形態に係わる免許証発行システムによる日本免許証の引渡手続きにおける引渡処理装置9の動作について説明する。
図12は、実施形態に係わる免許証発行システムによる日本免許証の引渡手続きにおける引渡処理装置9の動作例を説明するためのフローチャートである。
引渡処理装置9は、引渡場所を訪れた申請者からの要求に応じて、当該申請者が事前に申請した発行申請に基づいて発行される日本免許証を申請者へ引き渡す手続きに関する処理を実施する。引渡処理装置9は係員によって操作されものとし、係員が免許証発行機8が発行する日本免許証を申請者に引き渡すものとする。
【0087】
申請者が日本免許証を受け取りに来ると、引渡処理装置9のプロセッサ91は、申請者が所持する携帯端末1との通信を確立させる(S61)。例えば、プロセッサ91は、近距離無線通信部96を用いたNFCによる近距離無線通信で携帯端末1の近距離無線通信部16とのセキュアな通信状態を確立する。また、プロセッサ91は、携帯端末1の表示部17に表示されるコード画像を読み取ることにより携帯端末1とのセキュアな通信状態を確立するようにしても良い。
【0088】
携帯端末1との通信状態が確立すると、プロセッサ91は、携帯端末1へmDLデータを要求し、携帯端末1からmDLデータを取得する(S62)。プロセッサ91は、申請者のmDLデータを携帯端末1からではなく、外国免許証の管理サーバ5から取得するようにしても良い。ただし、外国免許証の管理サーバ5からmDLデータを取得する運用とする場合、引渡処理装置9と外国免許証の管理サーバ5との間の通信経路における安全性は電子署名や暗号化などによって確保されているものとする。
【0089】
携帯端末1が備えるmDLデータを取得すると、プロセッサ91は、取得したmDLデータの正当性を示す情報(証明書)を取得する(S63)。検証用の証明書を取得した後、プロセッサ91は、取得したmDLデータの正当性を検証する(S63)。プロセッサ91は、携帯端末1から取得したmDLデータに含まれる個人情報、運転許諾情報、顔画像、電子署名などの情報についてデータが改ざんされていないことを確認する。例えば、プロセッサ91は、携帯端末1のmDLが秘密鍵を用いて生成した電子署名によってmDLデータの正当性を検証する。
【0090】
mDLデータの正当性が確認できなかった場合(S65、NO)、プロセッサ91は、日本免許証の引渡不可を通知する(S74)。例えば、プロセッサ91は、携帯端末1から取得したmDLデータの正当性が確認できないため、日本免許証の引渡(又は発行)を不可とする旨を表示部97に表示する。また、プロセッサ91は、申請者に対する日本免許証の引渡が不可となった旨を申請処理装置6へ通知するようにしても良い。この場合、申請処理装置6は、mDLデータの正当性が確認できないために日本免許証の引渡が不可となった旨を記録しておくようにしても良い。
【0091】
mDLデータの正当性が確認できた場合(S65、YES)、プロセッサ91は、申請処理装置6から当該申請者が事前に申請した内容を示す申請確認情報を取得する(S66)。申請者が事前に申請した内容を示す申請確認情報を申請処理装置6から取得すると、プロセッサ91は、事前に申請された内容と携帯端末1から取得したmDLデータとを照合する(S67)。プロセッサ91は、照合結果に基づいて事前に申請された内容とmDLデータとに相違がないことを確認する(S68)。
【0092】
事前に申請された内容とmDLデータとに相違がある場合(S68、NO)、プロセッサ91は、日本免許証の引渡不可を通知する(S74)。例えば、プロセッサ91は、事前に申請された内容とmDLデータとが相違するため、日本免許証の引渡(叉は発行)を不可とする旨を表示部97に表示する。また、プロセッサ91は、当該申請者に対する日本免許証の引渡が不可となった旨を申請処理装置6へ通知するようにしても良い。この場合、申請処理装置6は、事前に申請された内容とmDLデータとの相違があったために日本免許証の引渡が不可となった旨を記録しておくようにしても良い。
【0093】
事前に申請された内容とmDLデータとに相違がないことを確認した場合(S68、YES)、プロセッサ91は、申請者(受取人)がmDLの所有者であることを確認するため、受取人の顔を含む画像をカメラ99により撮影する(S69)。カメラ99が受取人の顔を含む画像を撮影すると、プロセッサ91は、カメラ99が撮影した画像から抽出する人物の顔画像とmDLデータに含まれる顔画像とを照合する(S70)。
【0094】
受取人の顔画像とmDLの顔画像とが同一人物の顔であると判定されなかった場合(S71、NO)、プロセッサ91は、日本免許証の引渡不可を通知する(S74)。例えば、プロセッサ91は、受取人がmDLの人物であることが確認できないため、日本免許証の引渡(又は発行)を不可とする旨を表示部97に表示する。また、プロセッサ91は、当該申請者に対する日本免許証の引渡が不可となった旨を申請処理装置6へ通知するようにしても良い。この場合、申請処理装置6は、受取人がmDLの人物であることが確認できなかったために日本免許証の引渡が不可となった旨を記録しておくようにしても良い。
【0095】
受取人の顔画像とmDLの顔画像とが同一人物の顔であると判定された場合(S71、YES)、プロセッサ91は、当該申請者(受取人)に事前の申請内容に基づいて発行される日本免許証を引き渡す引渡処理を実施する(S72)。
【0096】
例えば、申請処理装置6からの発行データにより免許証発行機8が既に日本免許証を発行している場合、プロセッサ91は、発行済みの日本免許証を受取人に引き渡す旨の案内を表示部97に表示する。係員は、表示部97に表示される案内に従って受取人に日本免許証を引き渡した後、日本免許証の引渡完了を示す指示を操作部98により入力する。操作部98に日本免許証の引渡完了の指示が入力されると、プロセッサ91は、当該申請者への日本免許証の引渡が完了したことを認識する。
【0097】
また、引渡場所に引渡処理装置9に接続された免許証発行機8が設けられている場合、引渡処理装置9が免許証発行機8を用いて日本免許証を発行するようにしても良い。この場合、プロセッサ91は、当該申請者に引き渡す日本免許証の発行データを申請処理装置6から取得し、取得した発行データを免許証発行機8へ供給することにより、引渡場所に設置されている免許証発行機8で日本免許証を発行させる。引渡場所にいる係員は、免許証発行機8が発行する日本免許証を当該申請者へ引き渡す。この場合も係員が日本免許証の引渡完了を操作部98で指示することにより、プロセッサ91は、申請者に日本免許証が引き渡されたことを認識するものとする。
【0098】
日本免許証の引渡が完了すると、プロセッサ91は、申請処理装置6へ当該申請者に対する日本免許証の引渡完了を通知する(S73)。申請処理装置6は、引渡処理装置9から申請者への日本免許証が引渡完了の通知に応じて、当該申請者の申請情報に対応して引渡済みを示す情報を記録する。また、申請処理装置6は、引渡完了の通知に応じて、当該申請者の申請情報を削除するようにしても良い。
【0099】
次に、上述した免許証発行システムによる外国のモバイル運転免許証を用いた日本免許証を発行するための発行手続きに対する変形例について説明する。
図13は、実施形態に係わる免許証発行システムによる外国のモバイル運転免許証を用いた日本免許証の発行手続きの変形例を説明するための図である。
図7では、外国の免許証管理システム2に申請受付装置4を設け、携帯端末1が外国の免許証管理システム2の申請受付装置4に対して外国のモバイル運転免許証を用いた日本免許証の発行申請を行う構成例を示している。これに対して、
図13は、外国の免許証管理システム2に申請受付装置4を設けずに、携帯端末1が日本の免許証発行システムにおける申請処理装置6にアクセスして外国のモバイル運転免許証を用いた日本免許証の発行申請を行う構成例(変形例)を示している。
【0100】
図13に示す変形例では、
図9を用いて説明した各処理を申請処理装置6が実施することにより上述した発行手続きを同様に携帯端末1が備える外国のモバイル運転免許証を用いた日本免許証の発行手続きが実現できる。
図13に示す変形例において、申請処理装置6は、
図9を用いて説明した処理を実行した後に
図10を用いて説明した処理を実行するようにすれば良い。
【0101】
例えば、申請処理装置6は、外国のモバイル運転免許証を用いた日本免許証の発行申請を受け付けるための日本免許証の発行サイトをインターネット上に提供する。これにより、携帯端末1は、インターネットに接続できる環境であれば、インターネットを介して申請処理装置6にアクセスできる。ただし、申請処理装置6と携帯端末1とは、電子署名および暗号化などによってインターネット上で送受信するデータの安全性を確保するものとする。
【0102】
また、申請処理装置6は、
図9に示すような処理を実行する場合、外国の免許証管理システム2(管理サーバ5)とも安全性を確保した状態で通信する必要がある。このため、申請処理装置6は、電子署名および暗号化などによって管理サーバ5との通信における安全性を確保する。管理サーバ5との通信の安全性を確保した状態において、申請処理装置6は、外国免許証の管理サーバ5に対して外国のmDLに関する情報の提供を要求し、その要求に応じて管理サーバ5から提供される情報を取得するようにすれば良い。
【0103】
以上のような実施形態に係る免許証発行システムによれば、外国の免許証管理システム又は日本の免許証発行システムの申請受付装置は、外国のモバイル運転免許証を備える携帯端末からの日本の運転免許証の発行申請を受け付ける。日本の免許証発行システムの申請処理装置は、受け付けた発行申請の申請内容を検証し、発行可であること確認した後に申請内容に応じて日本の運転免許証の発行データを生成する。引渡処理装置は、携帯端末を持って引渡場所に訪れた人物が申請者本人であることを確認した後に申請内容に応じて生成した発行データで発行する日本の運転免許証の引き渡しを許可する。
【0104】
これにより、申請者は、外国のモバイル運転免許証を備える携帯端末から日本の運転免許証の発行を申請した後に、当該携帯端末を持って所定の引渡場所へ訪れることで先に申請しておいた情報から生成された発行データで発行される日本免許証の受け取ることができる。この結果、申請者は、携帯端末を持って行けば、引渡場所ですぐに日本免許証を受け取ることができる。また、申請者は、事前に日本免許証の発行を申請しておけば、引渡場所にはモバイル運転免許証を備えた携帯端末を持参すれば良く、パスポートなどの申請に必要とされる書類を持参する必要がないため利便性を向上する。
【0105】
また、実施形態に係る引渡処理装置は、モバイル運転免許証の認証情報に基づく本人確認と引渡場所に訪れた人物の顔画像とモバイル運転免許証の顔画像との顔照合による本人確認とによって受取人が申請者本人であることを確認した後に事前の申請内容に基づいて発行する日本の運転免許証の引き渡しを許可する。これにより、日本の運転免許証を外国のモバイル運転免許証を有する申請者本人に確実に引き渡すことができる。
【0106】
また、実施形態に係る引渡処理装置は、受取人が所持する携帯端末のモバイル運転免許証から取得したデータ(あるいは、外国の免許証管理システムから取得するデータ)と、事前の発行申請において取得していたデータとに相違がないことを確認した後に申請内容に基づいて発行する日本の運転免許証の引き渡しを許可する。これにより、事前に受け付けた申請内容に変更がないことを確認した上で日本の運転免許証を申請者に引き渡すことができる。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載した内容を付記する。
[1]
申請処理装置と引渡処理装置とを含む免許証発行システムであって、
前記申請処理装置は、
携帯端末が備える外国のモバイル運転免許証を用いた国内の運転免許証の発行を申請する申請情報を取得する第1の通信部と、
前記引渡処理装置と通信する第2の通信部と、
前記第1の通信部により取得した申請情報に含まれるモバイル運転免許証のデータから国内の運転免許証の発行データを生成し、前記申請情報の少なくとも一部を含む申請確認情報を前記第2の通信部により前記引渡処理装置へ送信する第1のプロセッサと、を有し、
前記引渡処理装置は、
前記申請処理装置と通信する第3の通信部と、
モバイル運転免許証を備える携帯端末と通信する第4の通信部と、
前記第4の通信部により通信する前記携帯端末が備えるモバイル運転免許証のデータと前記第3の通信部により前記申請処理装置から取得する申請確認情報とが整合する場合、前記第4の通信部により通信する前記携帯端末が備えるモバイル運転免許証のデータから生成された発行データによって発行された国内の運転免許証の引渡を許可する第2のプロセッサと、を有する、
免許証発行システム。
[2]
前記申請処理装置の前記第1の通信部は、外国の免許証管理システムにおける申請受付装置と通信し、前記申請受付装置から申請情報を取得する、
[1]に記載の免許証発行システム。
[3]
前記申請処理装置の前記第1の通信部は、モバイル運転免許証を備える携帯端末と通信し、前記携帯端末から申請情報を取得する、
[1]に記載の免許証発行システム。
[4]
前記申請処理装置の前記第2の通信部は、国内の運転免許証を発行する免許証発行機と通信するインターフェースを含み、
前記第1のプロセッサは、前記第2の通信部を介して前記発行データを前記免許証発行機に供給し、前記発行データに基づく国内の運転免許証を前記免許証発行機に発行させる、
[1]乃至[3]の何れか1つに記載の免許証発行システム。
[5]
前記申請処理装置の前記第1のプロセッサは、前記第2の通信部を介して前記引渡処理装置へ前記発行データを供給し、
前記引渡処理装置の前記第3の通信部は、さらに、国内の運転免許証を発行する免許証発行機と通信するインターフェースを含み、
前記引渡処理装置の前記第2のプロセッサは、前記第3の通信部を介して前記免許証発行機へ供給する前記発行データに基づく国内の運転免許証を前記免許証発行機に発行させる、
[1]乃至[3]の何れか1つに記載の免許証発行システム。
[6]
前記引渡処理装置は、さらに、受取人の顔を撮影するカメラを有し、
前記引渡処理装置の前記第2のプロセッサは、前記カメラが撮影した受取人の顔と前記第4の通信部が通信する前記携帯端末が備えるモバイル運転免許証の顔画像とを照合し、前記照合によって受取人の顔とモバイル運転免許証の顔画像とが同一人物であること確認した後に前記国内の運転免許証の引渡を許可する、
[1]乃至[5]の何れか1つに記載の免許証発行システム。
[7]
携帯端末が備える外国のモバイル運転免許証を用いた国内の運転免許証の発行を申請する申請情報を取得する第1の通信部と、
国内の運転免許証の引渡処理を行う引渡処理装置と通信する第2の通信部と、
前記第1の通信部により取得した申請情報に含まれるモバイル運転免許証のデータから国内の運転免許証の発行データを生成し、前記申請情報の少なくとも一部を含む申請確認情報を前記第2の通信部により前記引渡処理装置へ送信するプロセッサと、
を有する申請処理装置。
[8]
前記第1の通信部は、外国の免許証管理システムにおける申請受付装置と通信し、前記申請受付装置から申請情報を取得する、
[7]に記載の申請処理装置。
[9]
前記第1の通信部は、モバイル運転免許証を備える携帯端末と通信し、前記携帯端末からの申請情報を取得する、
[7]に記載の申請処理装置。
[10]
前記第2の通信部は、国内の運転免許証を発行する免許証発行機と通信するインターフェースを含み、
前記プロセッサは、前記第2の通信部を介して前記免許証発行機に前記発行データを供給し、前記発行データに基づく国内の運転免許証を前記免許証発行機に発行させる、
[7]乃至[9]の何れか1つに記載の申請処理装置。
[11]
携帯端末が備える外国のモバイル運転免許証を用いた国内の運転免許証の発行の申請を処理する申請処理装置と通信する第1の通信部と、
モバイル運転免許証を備える携帯端末と通信する第2の通信部と、
前記第2の通信部により通信する携帯端末が備えるモバイル運転免許証のデータと前記第1の通信部により前記申請処理装置から取得する申請確認情報とが整合する場合、前記第2の通信部により通信する前記携帯端末が備えるモバイル運転免許証のデータから生成された発行データによって発行される国内の運転免許証の引渡を許可するプロセッサと、 を有する引渡処理装置。
[12]
前記第1の通信部は、さらに、国内の運転免許証を発行する免許証発行機と通信するインターフェースを含み、
前記プロセッサは、前記第1の通信部により前記申請処理装置から取得する前記発行データを前記免許証発行機へ供給し、前記発行データに基づく国内の運転免許証を前記免許証発行機に発行させる、
[11]に記載の引渡処理装置。
[13]
さらに、受取人の顔を撮影するカメラを有し、
前記プロセッサは、前記カメラが撮影した受取人の顔と前記第2の通信部が通信する前記携帯端末が備えるモバイル運転免許証の顔画像とを照合し、前記照合によって受取人の顔とモバイル運転免許証の顔画像とが同一人物であること確認した後に前記国内の運転免許証の引渡を許可する、
[11]又は[12]の何れか1つに記載の引渡処理装置。
【符号の説明】
【0108】
1…携帯端末、2…外国の免許証管理システム2…日本の免許証発行システム、4…申請受付装置、5…外国免許証の管理サーバ、6…申請処理装置、8…免許証発行機8…引渡処理装置、11…プロセッサ、14…記憶部、15…モバイル通信部、16…近距離無線通信部、19…生体情報取得部、41…プロセッサ、44…記憶部、45…ネットワーク通信部、46…システム通信部、61…プロセッサ(第1のプロセッサ)、64…記憶部、65…ネットワーク通信部(第1の通信部)、66…システム通信部(第2の通信部)、91…プロセッサ(第2のプロセッサ)、94…記憶部、95…ネットワーク通信部(第3の通信部、第1の通信部)、96…近距離無線通信部(第4の通信部、第2の通信部)、97…表示部、98…操作部、99…カメラ。