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特開2024-144486ブロックチェーン上に格納されたユーザ関連データを生成し及び抽出するコンピュータにより実装されるシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144486
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ブロックチェーン上に格納されたユーザ関連データを生成し及び抽出するコンピュータにより実装されるシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241003BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024117377
(22)【出願日】2024-07-23
(62)【分割の表示】P 2023053115の分割
【原出願日】2018-01-29
(31)【優先権主張番号】1701608.0
(32)【優先日】2017-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1701605.6
(32)【優先日】2017-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】318001991
【氏名又は名称】エヌチェーン ライセンシング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】スーウェル,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】フセヴォロシュスキー,ヴェラ
(57)【要約】
【課題】 評判情報のような、トランザクションに関連するブロックチェーンのユーザについてのユーザ関連データを提供する、コンピュータにより実装されるシステム及び方法が詳述される。
【解決手段】 当該方法は、特にコントラクトのコンテキストで、トランザクションの満足度を評価し、次に評判情報を通じてブロックチェーン上でのそのレコードを提供するアプローチを含む。結果として、後の時間に、この評判情報は検索可能である。他のトランザクションについての同様の評判情報が、例えばユーザのマスタ公開鍵のハッシュの使用に基づき、検索され同じユーザにリンクされることが可能である。集約評判情報は、検索された評判情報片から計算可能である。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ関連データのレコードを作成する方法であって、前記方法は、
(a)少なくとも1人のユーザと少なくとも1人の更なるユーザとの間のトランザクションを定義するステップと、
(b)前記トランザクションを実施するステップと、
(c)前記ユーザのうちの少なくとも1人又は前記更なるユーザのうちの少なくとも1人に、前記トランザクションからのユーザ関連データを提供することにより、ユーザ関連データ表現を提供するステップと、
(d)ユーザ関連データトランザクションを構成するステップであって、前記ユーザ関連データトランザクションは、前記ユーザ関連データ表現を含む、ステップと、
(e)前記ユーザ関連データトランザクションをブロックチェーンにブロードキャストするステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記ユーザ関連データは、評判情報である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記トランザクションからの前記ユーザ関連データは、前記ユーザに関連する前記トランザクションの満足の表現である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザ関連データトランザクションは、評判トランザクションである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ユーザ関連データトランザクションは、ユーザに関連する前のトランザクションの満足の表現である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ユーザ関連データ表現は、ユーザ満足表現である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
計算された集約ユーザ関連データが評価され、前記評価が決定を生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記決定が、動作及び/又は変更を生じる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
計算された集約ユーザ関連データは、閾値及び/又は範囲に対して評価される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記閾値の第1側の値は、第1決定をもたらす、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記閾値の第2側の値は、前記第1決定と異なる第2決定をもたらす、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法を実装するよう構成されるシステム。
【請求項13】
前記システムは、
(a)ユーザデジタルウォレットと、
(b)ブロックチェーンを介してDFAを実施するよう構成される少なくとも1つのコンピューティングエージェントと、
(c)ブロックチェーンプラットフォームと、
を含む請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、コンピュータにより実装されるシステム及び方法に関し、特にトランザクションに関連するユーザについてのデータを提供するコンピュータにより実装されるシステム及び方法に関する。本発明は、特に、限定ではないが、ブロックチェーン上のトランザクションの態様に関連して、スコア、精度、又は品質指標のようなデータを提供する際の使用に適する。例は、トランザクションに関連するユーザについての評判情報を提供するステップ、及び特に限定ではないが、ブロックチェーン上で実施されるスマートコントラクトのユーザについての評判情報を提供するステップを含む。
【背景技術】
【0002】
本願明細書で、用語「ブロックチェーン」は、あらゆる形式の電子的な、コンピュータに基づく、分散台帳を含むよう使用される。これらは、限定ではないが、ブロックチェーン及びトランザクションチェーン技術、許可及び未許可台帳、共有台帳、及びそれらの変形を含む。最も広く知られているブロックチェーン技術の用途はビットコイン台帳であるが、他のブロックチェーンの実装が提案され開発されている。ビットコインは便宜上及び説明を目的として本願明細書において言及されるが、本発明はビットコインのブロックチェーンと共に使用することに限定されず、代替のブロックチェーンの実装及びプロトコルが本発明の範囲に含まれることに留意すべきである。
【0003】
ブロックチェーンは、ブロックにより構成される、コンピュータに基づく非集中型の分散型システムとして実装される総意に基づく電子台帳である。また、ブロックはトランザクションにより構成される。各トランザクションは、ブロックチェーンシステム内で参加者間のデジタルアセットの制御の転送を符号化するデータ構造であり、少なくとも1つのインプット及び少なくとも1つのアウトプットを含む。各ブロックは前のブロックのハッシュを含み、ブロックは共にチェーンになって、その発端からブロックチェーンに書き込まれている全てのトランザクションの永久的な変更不可能なレコードを生成する。トランザクションは、そのインプット及びアウトプットに埋め込まれたスクリプトとして知られる小さなプログラムを含む。スクリプトは、トランザクションのアウトプットがどのように及び誰によりアクセス可能かを指定する。ビットコインプラットフォーム上で、これらのスクリプトは、スタックに基づくスクリプト言語を用いて記述される。
【0004】
トランザクションがブロックチェーンに書き込まれるために、「検証され」なければならない。ネットワークノード(マイナー)は、各トランザクションが有効であることを保証するために作業を実行し、無効なトランザクションはネットワークから拒否される。ノードにインストールされたソフトウェアクライアントは、自身のロック及びアンロックスクリプトを実行することにより、この検証作業を未使用トランザクション(UTXO)に対して実行する。ロック及びアンロックスクリプトの実行が真と評価した場合、トランザクションは有効であり、トランザクションはブロックチェーンに書き込まれる。したがって、トランザクションがブロックチェーンに書き込まれるためには、トランザクションは、i)トランザクションを受信した第1ノードにより検証され、トランザクションが検証された場合に、ノードは該トランザクションをネットワーク内の他のノードに中継し、ii)マイナーにより構築された新しいブロックに追加し、iii)マインされ、つまり過去のトランザクションの公開台帳に追加されなければならない。
【0005】
ブロックチェーン技術は、暗号通貨実装の使用で最も広く知られているが、デジタル起業家が、新しいシステムを実装するために、ビットコインの基づく暗号通貨セキュリティシステム、及びブロックチェーンに格納可能なデータの両方の使用を探索し始めている。ブロックチェーンが、暗号通貨の領域に限定されない自動タスク及びプロセスのために使用できれば、非常に有利である。このようなソリューションは、それらの用途において一層多様でありながら、ブロックチェーンの利点(例えば、永久的、イベントの耐タンパレコード、分散プロセス、等)を利用できる。
【0006】
現在の研究の一分野は、「スマートコントラクト(smart contracts)」の実装のためのブロックチェーンの使用である。これらは、機械可読取引又は合意の条件の実行を自動化するために設計されたコンピュータプログラムである。自然言語で記述され得る従来の取引と異なり、スマートコントラクトは、結果を生成するためにインプットを処理できるルールを含み、該結果に依存して動作を実行させることのできる、機械実行可能プログラムである。
【0007】
ブロックチェーンに関連する関心の他の分野は、ブロックチェーンを介する現実世界のエンティティの表現及び転送のための「トークン」(又は「カラードコイン」)の使用である。潜在的に機密な又は秘密のアイテムは、識別可能な意味又は値を有しないトークンにより表現できる。したがって、トークンは、現実世界のアイテムをブロックチェーンから参照できるようにする識別子として機能する。
【0008】
ネットワーク内の、評判データ又は信用情報のようなユーザ関連データを管理する様々な従来の方法が知られている。このような従来の方法の例は以下に簡単に記載される。
【0009】
Chris Pacia他による、プレゼンテーション「OpenBazaar-Ratings, reviews and reputation」は、ブロックチェーンに基づく評価システムを開示する。スライド55に、アイテムが受信されると、買い手がベンダへ資本を解放する直前に評価を生成することが示されている。評価データは、Ricardianコントラクトに付加される。評価データは、以下のパラメータ:フィードバック、品質、記述、出荷日、顧客サービス、及びレビューに基づく、買い手により提供されるスコアを含む。スライド63に、OP_RETURNが埋め込まれたベンダのグローバルユニーク識別子(Globally Unique Identifier、GUID)を有し、これが評価をスキャンするとき、ブロックチェーンから関連するマルチシグネチャトランザクションをフィルタリングするために使用されることが示されている。更に、これらのタグ付けされたマルチシグネチャトランザクションのうち、scriptsig内のベンダのGUID署名を有するものだけが、「これがベンダがトランザクションに関連したことの忘れられない証拠であるので」、有効であると考えられることが示されている。
【0010】
OpenBazaarに開示されたシステムでは、評価データはユーザ(買い手)により提供されることに留意する。この評価情報は、原則的に、(例えば、悪い評価情報を入力する競争者により)悪用され得る。OpenBazaarにおける評価システムの悪用を防ぐために、システムは、ベンダにより署名された、したがって実際のトランザクションを表す、トランザクションのみを使用する。しかしながら、これは、競争者がベンダにより署名されたトランザクションで商品又はサービスを合法的に買い、他者にベンダの商品又はサービスを買うこと抑止しようとして悪い評価情報を提供することを防止しない。
【0011】
WO2015/085393は、デジタル通貨のトランザクション履歴を評価する評価システムを開示する。評価システムは、デジタル通貨のトランザクション情報を格納する記憶システムと、デジタル通貨に関連付けられた少なくとも1つのアカウントの識別子及び少なくとも1つのアカウントのトランザクション履歴を評価する要求を受信するインタフェースと、記憶システム及びインタフェースと通信するプロセッサと、を含む。プロセッサは、少なくとも1つのアカウントのトランザクションを、記憶システムに格納されたトランザクション情報から識別し、識別したトランザクションの宛先にアクセスして、少なくとも1つのアカウントについての評価を生成する。該文献は、評価システムが、識別したトランザクションの量及び年代にアクセスし得ること、評価システムが、例えばピアツーピアデジタル通貨に有用であり得ることを更に開示している。記憶システムは、ブロックチェーンを含むように見えず、さらに、ユーザ固有トランザクションは単に識別したトランザクションの量、日付、宛先を含むだけである。
【0012】
US2006149745は、電子商取引システムの分散型フィードバックシステム内でフィードバックデータを提供するシステム及び方法を開示している。電子商取引トランザクションを記述するフィードバックデータは、商品及びサービスの買い手、及び該商品及びサービスの対応する売り手により生成される。フィードバックデータは、分散型装置のピアツーピア(P2P)ネットワークの中に編成されるフィードバックサーバの集合の中に格納され及び維持される。フィードバックデータは、P2Pネットワークノードの各々に関連付けられたデータベースストレージに格納されるフィードバックデータのグループに編成される。買い手及び売り手は、これらの分散型データソースからフィードバックデータを検索して、彼らが商品及びサービスのための新しいトランザクションに入ることを申し入れるパーティに関連付けられた評判データを取得し得る。ユーザ関連データが送信され、格納され、検索され、及び抽出されるブロックチェーンシステムは開示されていない。
【0013】
US2015302400は、暗号通貨公開台帳を監視することを含む分散型暗号通貨評判システム及び方法を開示している。現在の暗号通貨トランザクションは、暗号通貨公開台帳の中で検出され、それに応答して、評判マーカが、現在の暗号通貨トランザクションに関連する支払人と受取人の両者に割り当てられ得る。評判マーカの少なくとも一部は、次に、支払人から受取人へ、及び受取人から支払人へ、転送されることが決定される。受取人又は支払人の評判情報についての要求が受信されると、次に、支払人から受取人へ又は受取人から支払人への評判マーカの少なくとも一部の転送が提供され得る。
【0014】
CN106230808は、ブロックチェーン上の多くの異なる機関からの個人信用情報を格納することを開示している。
【発明の概要】
【0015】
評判情報のような、システムのユーザに関するデータを提供する既存のシステム及び方法に伴う課題は、システム及びしたがってデータが、攻撃及び操作の影響を受けやすい、又は分散型システムにおける実装に適さないことである。
【0016】
したがって、目的の中でも特に、攻撃又は操作に対してよりロバストなシステム及び/又は方法を含むソリューションを提供することが望ましい。
【0017】
したがって、目的の中でも特に、分散型システムにおける実装により適したシステム及び/又は方法を含むソリューションを提供することが望ましい。
【0018】
したがって、目的の中でも特に、ブロックチェーン又はビットコインブロックチェーン型実装における使用に適したシステム及び/又は方法を含むソリューションを提供することが望ましい。
【0019】
さらに、ユーザ関連情報を生成する観点でより客観的なソリューションを提供することが望ましい。
【0020】
また更なる目的は、ブロックチェーン上のユーザ関連データを生成し、格納し、及び検索する効率的且つ効果的方法を提供することである。
【0021】
このような改良されたシステムが考案される。本発明は、添付の請求項及び/又は本発明の記述、及び/又は本願明細書に説明される特徴、オプション、及び可能性において、定められる。
【0022】
本発明の第1の態様によると、集約ユーザ関連データを計算する方法であって、前記方法は、
(a)ユーザ関連データトランザクションを構成するステップであって、前記ユーザ関連データトランザクションは、ユーザに関連する前のトランザクションからのユーザ関連データの表現を含む、ステップと、
(b)前記ユーザ関連データトランザクションをブロックチェーンへブロードキャストするステップと、
(c)複数の前のトランザクション及び/又は複数のユーザについて、ステップ(a)及び(b)を繰り返すステップと、
(d)集約ユーザ関連データの要求されるユーザを選択して、選択ユーザを与えるステップと、
(e)選択ユーザに関連するフィルタを生成するステップと、
(f)前記フィルタの適用されるユーザ関連データトランザクションについてブロックチェーンを検索するステップと、
(g)前記フィルタの適用される前記評判トランザクションから、前記選択ユーザの集約ユーザ関連データを計算するステップと、を含む方法が提供される。
【0023】
前記方法は、前記集約ユーザ関連データが集約評判情報であることを提供し得る。前記ユーザ関連データトランザクションは、評判トランザクションであってよい。前記ユーザ関連データトランザクションは、ユーザに関連する前のトランザクションの満足の表現を含んでよい。前のトランザクションからの前記ユーザ関連データは、前記ユーザに関連する前のトランザクションの満足の表現であってよい。
【0024】
前記方法は、計算した集約ユーザ関連データが評価され、望ましくは評価が決定を生じ、最も望ましくは動作及び/又は変更を生じる決定が行われることを提供し得る。1つ以上の評価が行われてよい。1つ以上の決定が生じてよい。1つ以上の動作が行われてよい。1つ以上の変更が行われてよい。
【0025】
計算した集約ユーザ関連データは、閾値及び/又は範囲に対して評価されてよい。閾値の第1側面への値は、第1決定をもたらしてよい。閾値の第2側面への値は、望ましくは第1決定と異なる第2決定をもたらしてよい。範囲内の値は、第1決定をもたらしてよい。範囲外の値は、第2決定をもたらしてよい。
【0026】
決定及び/又は動作及び/又は変更は、ブロックチェーントランザクションのような1つ以上の更なるトランザクションへの1つ以上のインプットに対する変化を生じてよい。決定及び/又は動作及び/又は変更は、ブロックチェーントランザクションのような1つ以上の更なるトランザクションからの1つ以上のアウトプットに対する変化を生じてよい。決定及び/又は動作及び/又は変更は、決定性有限オートマトン(DFA)、例えば1つ以上の更なるトランザクションを実施するDFAに対する変化を生じてよい。
【0027】
決定及び/又は動作及び/又は変更は、DFA、例えばDFAの性能を変更する及び/又は最適化するためのフィードバックを提供してよい。
【0028】
決定及び/又は動作及び/又は変更は、サービス及び/又は商品の設計及び/又は製造及び/又は保管及び/又は流通及び/又は消費を変更する及び/又は最適化するためのフィードバックを提供してよい。
【0029】
決定及び/又は動作及び/又は変更は、サービス及び/又は商品の処理、例えば設計及び/又は製造及び/又は保管及び/又は流通及び/又は消費のための処理を変更する及び/又は最適化するためのフィードバックを提供してよい。
【0030】
決定及び/又は動作及び/又は変更は、スマートコントラクトのようなコントラクトを変更する及び/又は最適化するためのフィードバックを提供してよい。
【0031】
前記ユーザ関連データは、時間であってよい。前記時間nは、イベントの発生時間であってよい。イベントは、トランザクション又は状態遷移又はDFAから生じるブロックチェーントランザクションの完了時間、及び/又はDFA動作を実施するときDFA内の状態変化の時間であってよい。
【0032】
ユーザ関連データは、精度及び/又は正確さの表現であってよい。精度及び/又は正確さは、DFAに入力される又はDFAにより使用される又はDFAにより出力される測定値から生じ得る。前記測定値は、サイズ、体積、形状、質量、面積、又は他の定量的値のような1つ以上の物理パラメータであってよい。物理パラメータに対する精度及び/又は正確さ、例えば所定許容範囲が評価され記録されてよい。評価は、真値、目標及び/又は真値に対する偏差又は誤差に関連してよい。評価は、欠陥又は他の望ましくない特徴の存在又は不存在であってよい。
【0033】
前記ユーザ関連データは、物理的形状に関してよい。物理的形状は、DFAに入力される又はDFAにより使用される又はDFAにより出力される物理的形状、例えば物理的形状自体、及び/又は、サイズ、体積、形状、質量、面積、又は他の定量的値のような物理的形状の量に関連し得る。前記ユーザ関連データは、商品又はサービスの種別であってよい。
【0034】
ユーザ関連データは、例えばトランザクション、場合によってはDFAを通じて実施されるトランザクションを用いて提供される商品及び/又はサービスの量に関連してよい。量は、トランザクション自体の実施に関連してよい。量は、仕様品質及び/又は規格適合性品質であってよい。品質は、例えば、DFAの及び/又はDFAによる実施の後のトランザクション及び/又は後の形状の1つ以上の変数に影響を与えるフィードバックを提供することにより、品質制御処理において使用されてよい。フィードバックは、欠陥、問題、不具合、障害動作、障害状態遷移、のうちの1つ以上の存在又は不存在に関してであってよい。品質は、例えば、DFAの及び/又はDFAによる実施の後のトランザクション及び/又は後の形状の設計及び/又は動作に影響を与えるフィードバックを提供することにより、品質管理処理において使用されてよい。品質管理処理は品質保証処理であってよい。フィードバックは、処理及び/又は処理ステップの強度、処理及び/又は処理ステップの安定性、処理及び/又は処理ステップのフォーマット、のうちの1つ以上に影響を与えてよい。フィードバックは、トランザクションが、トランザクションの将来の構成において最初の目的及び/又は権利に適合する程度まで増大してよい。
【0035】
ユーザ関連データは、ユーザの能力、例えばトランザクション及び/又は一般的に潜在的にDFAにより実施されるトランザクションのユーザの分担を完了するための該ユーザの能力、に関連してよい。能力は、権限の証拠、知識の証拠、技量の証拠、経験の証拠、適正の証拠、認証の証拠、及び特にこれらのうちの1つ以上の評価の証拠、のうちの1つ以上のレコードであってよい。能力は、組織及び/又は統制された団体の構成員、監督機関及び/又は取引主体のような第三者による承認及び/又は認可、第三者の運用する登録所における存在、のうちの1つ以上であってよい。
【0036】
コントラクトのコンテキストでは、潜在的に、DFAにより示され/実施されると、コントラクトはある範囲の金融商品に関連してよい。可能な金融商品は、現金、所有権の証拠、(債権のような)現金を受け取る又は分配する契約上の権利を含んでよい。可能な金融商品は、場合によっては株式、証券、債権、現金商品、証書、在庫、オプション、先物、時価資産、のうちの1つ以上を含む現金商品を含み得る。可能な金融商品は、場合によっては資産、インデックス、利率、融資、預金、預金証明、直物レート、現物為替相場、のうちの1つ以上を含む派生商品を含み得る。
【0037】
評判情報のような、トランザクションに関連するブロックチェーンのユーザについてのユーザ関連データを提供する、コンピュータにより実装されるシステム及び方法がしたがって提供される。当該方法は、特にコントラクトのコンテキストで、トランザクションの満足度を評価し、次に評判情報を通じてブロックチェーン上でのそのレコードを提供するアプローチを含む。結果として、後の時間に、この評判情報は検索可能である。他のトランザクションについての同様の評判情報が、例えばユーザのマスタ公開鍵のハッシュの使用に基づき、検索され同じユーザにリンクされることが可能である。集約評判情報は、検索された評判情報片から計算可能である。
【0038】
好適な実施形態では、特にコントラクトのコンテキストで、評価及びレコードの提供は、決定性有限オートマトン(deterministic finite automaton:DFA)を用いて実装できる。方法は、各スマートコントラクトに関連する各ユーザについて、DFAがスマートコントラクトの実施を構成し及び許容するだけでなく、スマートコントラクトの条項を満足する程度も考慮する。したがって、DFAは、各スマートコントラクトにおいて各ユーザに関連する評判情報を生成する。デリバティブの例では、これは、実際には信用評価情報である。DFAは、この評判情報がブロックチェーンに発行され、及びしたがって格納されることを提供する。
【0039】
したがって、特定の構成によると、評価情報のようなユーザ関連データは、ユーザによってではなく、システム自体により生成される。このような自動システムの一例は、上述のようなDFAの使用である。しかしながら、原則的に、これは、ユーザではなくシステムが評価データを提供する場合、任意の自動ブロックチェーンシステムにより実施され得る。例えば、評価データは、ブロックチェーンシステム上でデジタルスマートコントラクトを実施するとき、ユーザがどれ位条項を満たすかに従い、ブロックチェーンシステムにより生成されてよい。この方法は、ユーザの入力したデータと比べてより客観的なデータを提供し、より効率的且つ信頼できるほうほうで生成され格納される。
【0040】
方法は、
(a)少なくとも1人のユーザと少なくとも1人の更なるユーザとの間のトランザクションを定めるステップと、
(b)前記トランザクションを実施するステップと、
(c)前記ユーザのうちの少なくとも1人又は前記更なるユーザのうちの少なくとも1人による前記トランザクションの満足の表現のような、前記トランザクションからのユーザ関連データを提供するステップであって、それにより、ユーザ満足表現のようなユーザ関連データ表現を提供する、ステップと、
のうちの1つ以上を更に提供してよく、例えば、それにより、評判トランザクションのようなユーザ関連データトランザクションを構成する際に使用するために、ユーザ満足表現のような前記ユーザ関連データ表現を提供し、前記評判トランザクションのような前記ユーザ関連データトランザクションは、ユーザに関連する前のトランザクションの満足の表現のようなユーザ関連データ表現を含む。
【0041】
本発明の第2の態様によると、ユーザ関連データのレコードを生成する方法であって、前記方法は、
(a)少なくとも1人のユーザと少なくとも1人の更なるユーザとの間のトランザクションを定めるステップと、
(b)前記トランザクションを実施するステップと、
(c)前記ユーザのうちの少なくとも1人又は前記更なるユーザのうちの少なくとも1人について、前記トランザクションからのユーザ関連データを提供するステップであって、それにより、ユーザ関連データ表現を提供する、ステップと、
(d)ユーザ関連データトランザクションを構成するステップであって、前記ユーザ関連データトランザクションは前記ユーザ関連データ表現を含む、ステップと、
(e)前記ユーザ関連データトランザクションをブロックチェーンにブロードキャストするステップと、を含む。
【0042】
前記方法は、前記ユーザ関連データが評判情報であることを提供し得る。トランザクションからの前記ユーザ関連データは、前記ユーザに関連するトランザクションの満足の表現であってよい。前記ユーザ関連データトランザクションは、評判トランザクションであってよい。前記ユーザ関連データトランザクションは、ユーザに関連する前のトランザクションの満足の表現を含んでよい。前記ユーザ関連データ表現は、ユーザ満足表現であってよい。
【0043】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様に記載した特徴、オプション、及び可能性のうちの任意のものを含んでよい。
【0044】
本発明の第3の態様によると、集約ユーザ関連データを計算する方法であって、前記方法は、
(a)集約ユーザ関連データの要求されるユーザを選択して、選択ユーザを与えるステップと、
(b)選択ユーザに関連するフィルタを生成するステップと、
(c)前記フィルタの適用されるユーザ関連データトランザクションについて、ブロックチェーンを検索するステップと、
(d)前記フィルタの適用される前記ユーザ関連データトランザクションから、前記選択ユーザの集約ユーザ関連データを計算するステップと、を含む方法が提供される。
【0045】
前記方法は、前記集約ユーザ関連データが集約評判情報であることを提供し得る。前記ユーザ関連データトランザクションは、評判トランザクションであってよい。前記ユーザ関連データトランザクションは、ユーザに関連する前のトランザクションの満足の表現を含んでよい。前のトランザクションからの前記ユーザ関連データは、前記ユーザに関連する前のトランザクションの満足の表現であってよい。
【0046】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様に記載した特徴、オプション、及び可能性のうちの任意のものを含んでよい。
【0047】
本発明の第4の態様によると、本発明の第1の態様の方法を実施するよう構成される、場合によっては本願明細書の他の場所に記載される機能、オプション、及び可能性のうちの任意のものを実行するよう構成されるシステムを含む、コンピュータにより実装されるシステムが提供される。
【0048】
前記システムは、
(a)ユーザデジタルウォレットと、
(b)ブロックチェーンを介してDFAを実装するよう構成される少なくとも1つの計算エージェントと、
(c)ブロックチェーンプラットフォームと、を更に含んでよい。
【0049】
本発明の第4の態様は、本発明の第1の態様に記載した特徴、オプション、及び可能性のうちの任意のものを含んでよい。
【0050】
本発明の第5の態様によると、本発明の第2の態様の方法を実施するよう構成される、場合によっては本願明細書の他の場所に記載される機能、オプション、及び可能性のうちの任意のものを実行するよう構成されるシステムを含む、コンピュータにより実装されるシステムが提供される。
【0051】
前記システムは、
(a)ブロックチェーンを介してDFAを実装するよう構成される少なくとも1つの計算エージェントと、
(b)ブロックチェーンプラットフォームと、を更に含んでよい。
【0052】
本発明の第5の態様は、本発明の第1の態様に記載した特徴、オプション、及び可能性のうちの任意のものを含んでよい。
【0053】
本発明の第6の態様によると、システムであって、本発明の第3の態様の方法を実施するよう構成される、場合によっては本願明細書の他の場所に記載される機能、オプション、及び可能性のうちの任意のものを実行するよう構成されるシステムを含む、望ましくはコンピュータにより実装されるシステムが提供される。
【0054】
前記システムは、
(a)ユーザデジタルウォレットと、
(b)ブロックチェーンを介してDFAを実装するよう構成される少なくとも1つの計算エージェントと、
(c)ブロックチェーンプラットフォームと、を更に含んでよい。
【0055】
本発明の第6の態様は、本発明の第1の態様に記載した特徴、オプション、及び可能性のうちの任意のものを含んでよい。
【0056】
したがって、本発明によると、以下の中から、オプション、可能性、及び特徴が提供され又は更に提供されてよい。
【0057】
本発明は、特に本発明の第1、第2、第4及び第5の態様に関連して、しかし概して特に以下を更に提供し得る。用語「評判情報」は、本願の中で用語「ユーザ関連データ」により代用されてよい。用語「評判トランザクション」は、本願の中で用語「ユーザ関連データトランザクション」により代用されてよい。用語「前のトランザクションの満足の表現」は、用語「ユーザ関連データの表現」により代用されてよい。
【0058】
ユーザ満足表現は、ユーザによるトランザクションの満足の程度を定量化する満足スコアとして定められてよい。ユーザ満足表現は、トランザクションが完了したか否かを反映してよい。ユーザ満足表現は、満足値であってよい。ユーザ満足表現は、満足スコア、例えば2進スコアであってよい。
【0059】
評判トランザクションは、ユーザ満足表現が関連するユーザに関する属性情報を更に含む。ユーザに関する属性情報は、ビットコインアドレスのような、ユーザのアドレスであってよい。属性情報は、ユーザの署名スクリプト、又はそのハッシュであってよい。ユーザに関する属性情報は、ビットコインアドレスのような、ユーザのアドレス、及び/又はユーザの署名スクリプト又はそのハッシュであってよい。属性情報は、ユーザについて及び/又は代表して実行される決定性鍵生成から生じてよい。
【0060】
評判トランザクションは、ユーザ満足表現が取得されたトランザクションのトランザクション種別を更に含んでよい。トランザクション種別は、トランザクションの内容を詳述してよい。トランザクション種別は、使用されるトランザクションテンプレートを詳述してよい。トランザクション種別は、コントラクト種別、例えばスマートコントラクト種別であってよい。トランザクション種別は、トランザクション種別の既知のリストのうちの1つであってよく、これに従いトランザクションが分類される(typed)。
【0061】
ユーザ満足表現は、評判トランザクションのメタデータに含まれてよい。ユーザ満足表現及び/又は属性情報及び/又はトランザクション種別は、評判トランザクションのメタデータに含まれてよい。
【0062】
評判トランザクションは、P2SH(Pays To Script Hash)トランザクションであってよい。評判トランザクションは、マルチシグネチャトランザクションであってよい。評判トランザクションは、第三者により制御される、例えばDFAにより制御される、アドレスにアドレス指定されてよい。評判トランザクションはダストを送信してよい。
【0063】
評判トランザクションは図1を実施してよい。評判トランザクションのRedeemスクリプトは図2を実装してよい。
【0064】
評判トランザクションは、決定性有限オートマトンDFAにより実施されてよい。
【0065】
方法又はシステムは、トランザクションを定めるステップ、トランザクションを実施するステップ、満足の表現を提供するステップ、評判トランザクションを構成するステップ、のうちの1つ以上のために決定性有限オートマトンDFAを使用することを含んでよい。方法又はシステムは、トランザクションを定めるステップ、トランザクションを実施するステップ、満足の表現を提供するステップ、及び評判トランザクションを構成するステップ、のために共通決定性有限オートマトンDFAを使用することを含んでよい。
【0066】
1つ以上のトランザクションは、コントラクト、例えばスマートコントラクトであってよい。
【0067】
本発明は、特に本発明の第1、第3、第6の態様に関連して、しかし概して特に以下を更に提供し得る。
【0068】
ユーザは、トランザクションを提供するユーザから選択されてよい。ユーザは、選択ユーザにより選択されてよい。複数のユーザは、例えば選択ユーザにより選択されてよい。選択ユーザは、1つ以上のトランザクションに入ると考えられるユーザであってよい。
【0069】
選択は、ユーザのデジタルウォレットを用いて行われてよい。デジタルウォレットは、ユーザの選択のためのインタフェースを設けられてよい。デジタルウォレットは、集約評判情報及び/又はその更なる処理形式の表示のためのインタフェースを設けられてよい。
【0070】
集約評判情報の計算は、選択ユーザのうちの1人以上又は全員について計算されてよい。
【0071】
フィルタは、選択ユーザ及び/又は選択ユーザからの署名スクリプトから、アドレスハッシュを取得することにより構成されてよい。フィルタは、選択ユーザの公開鍵から及び/又は選択ユーザの公開鍵から生じる署名スクリプトから生じるアドレスハッシュから構成されてよい。フィルタは、選択ユーザのマスタ公開鍵のハッシュを提供する。
【0072】
方法及び/又はシステムは、ブロックチェーンへのアクセス及び/又はブロックチェーンのパースをユーザに更に提供してよい。
【0073】
方法及び/又はシステムは、ブロックチェーンにおける評判トランザクションが、望ましくはフィルタによりピックアップされた全ての評判トランザクションを収集するために、例えばフィルタによりピックアップされたメタデータを含む全ての評判トランザクションを収集するために、最も望ましくは選択ユーザのマスタ公開鍵及びそれからの全ての派生公開鍵に関連するとしてフィルタによりピックアップされた全ての評判トランザクションを収集するために、フィルタを用いて考慮されることを更に提供し得る。
【0074】
集約評判情報は、更なる処理を適用されてよく、該更なる処理は、数値評判スコア、評判スコア、他のユーザに対する評判格付け、のうちの1つ以上を計算する。
【0075】
集約評判情報及び/又はその更に処理された形式は、ユーザからのオファーと共に及び/又は任意の選択の前に及び/又はユーザによる任意のトランザクションオファーの前に、スコアの提示のために、選択により及び/又はジャストインタイムに、計算されてよい。
【0076】
集約評判情報を計算する方法は、ユーザに、特にウォレットが集約評判情報を計算したユーザに、集約評判情報を提示するステップを更に含む方法を提供し得る。
【0077】
集約評判情報を計算する方法は、ユーザが決定を行うステップであって、前記決定は集約評判情報の検討を含む、ステップを更に含む方法を提供し得る。決定は、選択ユーザと共にトランザクションに入ることの決定を含んでよい。
【0078】
集約評判情報を計算する方法は、ユーザ及び/又は選択ユーザが動作を行うステップを更に含む方法を提供し得る。動作は、選択ユーザに情報を提供するステップと、選択ユーザから情報を受信するステップと、選択ユーザがユーザのために製品を製造するステップと、ユーザが選択ユーザのために製品を選択するステップと、選択ユーザが製品をユーザに提供するステップと、ユーザが選択ユーザに製品を提供するステップと、選択ユーザが製品をユーザに送る、発送する、又は輸送するステップと、ユーザが選択ユーザへ製品を送る、発送する、又は輸送するステップと、のうちの1つ以上を含んでよい。製品は、サービス及び/又は商品であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
本発明の上述の及び他の態様は、本願明細書に記載される実施形態から明らかであり、それらの実施形態を参照して教示される。本発明の実施形態は、単なる例として添付の図面を参照して以下に説明される。
図1】ビットコイントランザクションの実装を示す。
図2図1のビットコイントランザクションに関連するビットコイントランザクションRedeemスクリプトを示す。
図3】トランザクションとトランザクションの検証との間のリンクを示す。
図4】トランザクションからブロックチェーンへ、次にウォレット問い合わせへの情報の流れを示す。
図5】本発明が組み込まれ得るシステムの概略を示す。
図6】ブロックチェーンに基づくDFA実装を示す。
【発明を実施するための形態】
【0080】
提案する発明は、ユーザ関連データ記録システムのブロックチェーン上での実装であり、より具体的には、ビットコインブロックチェーン、及びブロックチェーンからのユーザ関連データ回復及び処理である。
【0081】
方法は、ユーザ関連データ評価、及び次にユーザ関連データレコードを通じてブロックチェーン上のユーザ関連データ評価のレコードを提供するアプローチを含み又は提供する。
【0082】
好適な実施形態では、評価及びレコードの提供は、決定性有限オートマトン(deterministic finite automaton:DFA)を用いて実装できる。以下に与える詳細な例では、これは、ピアツーピア・デリバティブ取引プラットフォームを特徴とする特定の実施形態において例証されるが、ユーザ関連データが関連する他のコンテキストも等しく可能である。
【0083】
方法は、各トランザクションに関連する各ユーザについて、DFAがトランザクションの実施を構成し及び許容するだけでなく、トランザクション結果、状態から生じるユーザ関連データも考慮する。したがって、DFAは、各トランザクションにおいてユーザ関連データを生成する。DFAは、このユーザ関連データがブロックチェーンに発行され、及びしたがって格納されることを提供する。
【0084】
結果として、後の時間に、このユーザ関連データは検索可能である。さらに、以下に説明されるように、他のトランザクションについての同様のユーザ関連データが、読み出され、同じユーザにリンクされ得る。好適な実施形態では、これは、ユーザのマスタ公開鍵のハッシュの使用に基づく。集約ユーザ関連データは、該ユーザのユーザ値を与えるために処理され得る。ユーザ値は、次に、後の評価及び/又は決定及び/又は変更において使用され得る。
【0085】
一実施形態では、各ユーザは、彼らのビットコインウォレットを利用して、ユーザ関連データをブロックチェーンから読み出し、次に、集約ユーザ関連データを処理し得る。該集約ユーザ関連データは、次に、ウォレットインタフェースを通じてユーザに表示され得る。これは、有用な情報をユーザに、実際には顧客ユーザに、相手方ユーザに、ベンダユーザに、提供する。これは、他の可能な利点の中でも特に、ユーザが提案されたトランザクションに入るか否かを決定することを助ける。
【0086】
提案されるソリューションは、ロバスト、効果的、非集中型、及び匿名である。
【0087】
提案される発明は、以下の可能な利点を提供する:
・分散型である。したがって、大規模の単一の障害発生点を回避し、攻撃に対して脆弱ではない;
・無料である(通常、ビットコインプロトコルの下で少ないトランザクション料金が期待されるだけである);
・グローバルであり、インターネットへのアクセスを有する誰もがいつでも参加できる;
・データがブロックチェーンに書き込まれると、誰でもそれを見ることができ、透過である;
・不変であり、データがブロックチェーンに書き込まれると、誰もそれを変更できない;
・非集中型データレコード、記憶、及び検索システム。
【0088】
以下の詳細な実装は、評判がユーザ関連データの重要な種別であるというコンテキストで提供されるが、本発明は、広範な種類のユーザ関連データに適用可能である。
【0089】
ユーザ関連データは、ブロックチェーントランザクションへのインプット(例えば、ユーザの存在及び参加)の結果として、及びブロックチェーントランザクションのアウトプット(例えば、実施及び結果に対するユーザの影響)の結果として、生じる。これらは、ユーザ関連データが処理されること、ユーザ関連データ評価を可能にし、ブロックチェーンに(ユーザ関連データブロックチェーントランザクション内に)記録する価値のあるユーザ関連データを取得する。したがって、ユーザ関連データのこれらの個々のピースは、後の検索及び収集のためにブロックチェーンにおいて直ちに利用可能であり、集約ユーザ関連データを与える。この集約ユーザ関連データは、次に、処理され得る。処理は、以下を含む種々の後続の段階を生じ得る:
集約ユーザ関連データの可能な評価、及び/又は、
集約ユーザ関連データに基づく1つ以上の決定、及び/又は、
例えば将来のブロックチェーントランザクション又は処理変数に対する変更、場合によっては、将来のブロックチェーントランザクションに影響を与える。
【0090】
決定及び/又は変更は、将来のトランザクションを向上し、及び/又は前のトランザクションと比べて成功する又はより成功する結果を有するようにする可能性があり得る。
【0091】
種々の実施形態では、例えば、ユーザ関連データは時間に関し得る。これは、DFAから生じるブロックチェーントランザクションの完了時間、及び/又はDFA動作を実施するときDFA内の状態変化の時間であり得る。複数のこのような時間は、DFAが動作するとき、DFAから発生し得る。時間を含むこのようなユーザ関連データの複数のレコードの検索は、DFAの使用を(集約ユーザ関連データとして)分析し及び/又はDFAが実施する動作を含む、DFAの性能を最適化するために使用されてよい。これは、例えば処理容量の向上のために、サービス又は商品が動作を通過するタイミングを最適化することを含み得る。最適化は、動作中の変数の制御を用いてタイミングの変化を生じすることにより、場所にアクセスする人々などに関連し得る。時間は、動作の信頼性、利用可能なとき、どの保守又はサービスが提供されなければならないか、等を知らせ得る。
【0092】
種々の実施形態では、例えば、ユーザ関連データは精度及び/又は正確さに関し得る。したがって、ユーザの貢献の精度及び/又は正確さに関するユーザ関連データが収集され記録され得る。精度及び/又は正確さは、DFAに入力される又はDFAにより使用される又はDFAにより出力される測定値、例えばサイズ、体積、形状、質量、面積、又は他の定量的値のような物理パラメータに関連し得る。したがって、商品又はサービスを受け入れ又は拒否するスクリーニング処理を実施するDFAのコンテキストでは、物理パラメータが考慮されてよい。物理パラメータに対する精度又は正確さ、例えば所定許容範囲が評価され記録されてよい。評価は、真値、目標又は真値に対する偏差又は誤差、等に関連してよい。評価は、欠陥又は他の望ましくない特徴の存在又は不存在であってよい。複数のこのような結果は、次に、例えば異なる処理について拒否率を明らかにするため及び/又は該処理の制御にフィードバックを提供して将来の処理を向上するために、(集約ユーザ関連データとして)一緒に考慮され得る。
【0093】
種々の実施形態では、例えば、ユーザ関連データは物理的形状に関し得る。したがって、ユーザの貢献の物理的形状に関するユーザ関連データが収集され記録され得る。物理的形状は、DFAに入力される又はDFAにより使用される又はDFAにより出力される物理的形状、例えば物理的形状自体、及び/又は、サイズ、体積、形状、質量、面積、又は他の定量的値のような物理的形状の量に関連し得る。したがって、物流動作を実施するDFAのコンテキストでは、物理的形状が考慮され得る。特定の物理的形状は、次に、物流動作の中の動作、例えば特定サイズの単位及び/又は在庫レベルで取り扱い可能な(集約ユーザ関連データとしての)最大質量に影響を与え又は制御してよい。同様の原理は、商品又はサービスの種別であるユーザ関連データに適用可能である。したがって、ユーザ関連データは、ある種別の商品の外向きの販売及び入ってくる補充供給を反映し、(集約ユーザ関連データとして)在庫レベルを与え得る。
【0094】
種々の実施形態では、例えば、ユーザ関連データは、例えばトランザクション、場合によってはDFAを通じて実施されるトランザクションを用いて提供される商品及び/又はサービスの品質に関連してよい。品質は、トランザクション自体の実施に関連してよい。品質は、仕様品質及び/又は規格適合性品質であってよい。品質は、例えば、DFAの及び/又はDFAによる実施の後のトランザクション及び/又は後の形状の1つ以上の変数に影響を与えるフィードバックを提供することにより、品質制御処理において使用されてよい。フィードバックは、欠陥、問題、不具合、障害動作、障害状態遷移、のうちの1つ以上の存在又は不存在に関してであってよい。品質は、例えば、DFAの及び/又はDFAによる実施の後のトランザクション及び/又は後の形状の設計及び/又は動作に影響を与えるフィードバックを提供することにより、品質管理処理において使用されてよい。品質管理処理は品質保証処理であってよい。フィードバックは、処理及び/又は処理ステップの強度、処理及び/又は処理ステップの安定性、処理及び/又は処理ステップのフォーマット、のうちの1つ以上に影響を与えてよい。フィードバックは、トランザクションが、トランザクションの将来の構成において最初の目的及び/又は権利に適合する程度まで増大してよい。
【0095】
種々の実施形態では、例えば、ユーザ関連データは、ユーザの能力、例えばトランザクション及び/又は一般的に潜在的にDFAにより実施されるトランザクションのユーザの分担を完了するための該ユーザの能力、に関連してよい。能力は、権限の証拠、知識の証拠、技量の証拠、経験の証拠、適正の証拠、認証の証拠、及び特にこれらのうちの1つ以上の評価の証拠、のうちの1つ以上のレコードであってよい。能力は、組織及び/又は統制された団体の構成員、監督機関及び/又は取引主体のような第三者による承認及び/又は認可、第三者の運用する登録所における存在、のうちの1つ以上であってよい。
【0096】
コントラクトのコンテキストでは、潜在的に、DFAにより示され/実施されると、コントラクトはある範囲の金融商品に関連してよい。可能な金融商品は、現金、所有権の証拠、(債権のような)現金を受け取る又は分配する契約上の権利を含んでよい。可能な金融商品は、場合によっては株式、証券、債権、現金商品、証書、在庫、オプション、先物、時価資産、のうちの1つ以上を含む現金商品を含み得る。可能な金融商品は、場合によっては資産、インデックス、利率、融資、預金、預金証明、直物レート、現物為替相場、のうちの1つ以上を含む派生商品を含み得る。
【0097】
評判システムのコンテキストでは、ユーザ関連データは評判情報であってよく、及び/又はユーザ関連データの考慮は、トランザクションの満足度を評価することを含んでよく、及び/又はトランザクションはコントラクトであってよく、及び/又は集約ユーザ関連データは集約評判情報であってよく、及び/又はユーザ値は評判表現又はスコアであってよい。
【0098】
評判のコンテキストでは、公開鍵に関連する評判情報の使用から利益が生じる種々の他の状況がある。評判情報又はスコアの意味するものは、コンテキストに依存する。例えば、該意味は、オンラインゲームを行うことに関連するスコアであり得る。
【0099】
評判情報、例えば評判スコアは、ホテル、レストラン、電子商取引の売り手、契約者又はピアに適用してよい。それは、企業、部門、部、又は個人レベルで適用してよい。それは、ユーザの全ての製品(サービス又は商品)に、又は単に該製品の集合に、又は単一の製品にも、適用してよい。例えば、正しいデータにより、科学的調査の影響のインデックス、h-インデックスを計算することが可能であり得る。
【0100】
評判情報、例えば評判スコアは、整数又は実数であってよい。これは、最近さにより重み付けされてよい。それは、絶対評価又はピアに対する格付けであってよい。
【0101】
以上に例証したように、本発明の原理は、ユーザの広範な種類のデータに適用可能である。以下の詳細な実装は、評判が重要な種類のデータであるコンテキストで提供されるが、本発明は他のデータについて同様に実施され、したがって、本実施形態は本発明の範囲又はその実装を限定しない。
【0102】
信頼は、社会的及び経済的生活の多くの態様の正に基礎である。通貨が現実資本の形式であるとき、信頼は極めて重大な社会資本の形式である。しかしながら、あなたは、あなたが知らないがインターネットを介して取引したいと望む誰かを信頼することをどのように学習できるだろうか。
【0103】
評判システムは、ユーザが、評判を通じて信頼を定量化し及び信頼する価値のある振る舞いを奨励するために、オンラインコミュニティ内で互いに評価できるプログラムである。
【0104】
評判システムは、ユーザが互いに信頼する必要のある、電子商取引ウェブサイトのような分散型アプリケーションにとって不可欠である。評判は、コミュニティがあなたをどれ位信頼しているかを測定し、コミュニティ内の及び/又はエコシステムにおける他のユーザとのあなたの前のトランザクション及び相互作用に基づき計算される。
【0105】
あなたの評判の1つの様相は、他のユーザ、相手方と共に入ったコントラクトのあなたの満足度により測定可能である。あなたの評判が高いほど、あなたがより信頼できるとネットワーク上で見られる。これは、あなたとの相互作用を奨励する。さらに、ユーザのオンラインの評判により、大部分のユーザは、ネットワーク上で一層誠実に振る舞うことを選択するだろう。
【0106】
評判システムは、評判情報を計算し発行する。評判情報は、スコア、信用評価、信用スコア、格付け、のような多くの形式を取り得る。該評判情報は、サービスの集合に関連付けられ得る。
【0107】
評判は、非常に多様な設定、例えばeBay又はブロックチェーンに基づくオークションのようなオンライン市場において、連携を実現する優れた追跡レコードを有する。したがって、多くのピアツーピア(P2P)システムが、ピアによる良好な振る舞いに報奨を与え及び/又は悪い振る舞いを罰するために、何らかの形式の評判方式を採用していることは驚くことではない。
【0108】
しかしながら、このような評判システムの信頼性、それらの攻撃又は操作の影響を受けやすさ、及びそれらの利用可能な状況の幅に問題がある。
【0109】
本願明細書に記載の特定の実施形態は、P2Pデリバティブ評判エコシステムの一部としてのビットコインブロックチェーン上のオプション、先物、又は先物取引のようなP2Pデリバティブに関する。この特定の実施形態では、DFAは、評判情報をブロックチェーンに提供するが、ユーザのウォレットは、集約評判情報を生成し、次にそれを定量化した評判、ユーザにおける信頼の指標へと処理する。
【0110】
本発明の実装は、以下を通じて記載される:
属性情報を含むトランザクションの生成;
属性情報と一緒に、ブロックチェーン上の評判情報を含む評判トランザクションの処理及び記録;
選択ユーザについて、顧客ユーザのウォレットによる、選択ユーザの属性情報、及び結果として該選択ユーザの評判情報の抽出;
集約評判情報、及びしたがって顧客ユーザのウォレットによる定量化した評判を与えるための、評判情報の処理。
【0111】
ベンダウォレット、及び測定情報のソース
本例では、デリバティブに基づくと、別のユーザが入るために選択可能である又は可能ではない、ユーザの提供する一連のコントラクトがあってよい。識別を容易にするために、コントラクトを提供するユーザは、ベンダユーザとして指定され、コントラクトを選択するユーザは顧客ユーザとして指定される。勿論、両方のユーザがコントラクトに関して提供してよく、受けてよい。コントラクトは、2人より遙かに多くのユーザに関連してよく、したがって、これらの指定は本発明の範囲の限定ではない。
【0112】
ベンダユーザはウォレットを有し、ベンダユーザのウォレットは、トランザクションを行うために必要な情報を含む。これは、この場合にはコントラクトであるトランザクションのために必要な、公開鍵及び秘密鍵のペアを含む。ソフトウェアのピースとして、ベンダのデジタルウォレットは、通常は構造化ファイル又は単なるデータベースとして実装される、公開鍵のコンテナ及び公開鍵の提供として機能する。
【0113】
鍵ペアを生成する次第に一般化している方法は、決定性鍵生成である。これらは、単一の「シード」から多数の鍵を生成することを比較的容易にする。生成は、マスタ鍵を生成するためにシードを使用する。マスタ鍵は、子鍵の集合を生成するために使用可能である。ここで、各子鍵は、孫鍵の集合を生成可能であり、多くの世代を通じて同様である。全ての鍵は、階層構造によりリンクされる。鍵の階層構造全体を生成するために、単一のマスタ鍵が必要なだけである。
【0114】
決定性鍵生成及び特に階層的決定性鍵生成を使用する多数の利点があり、それらの採用及び使用を奨励する。したがって、本発明が築かれる、それらの持つ特性は、鍵の大部分を使用することにある。
【0115】
この方法で鍵を生成するために適するアプローチの完全な詳細は、BIP0032標準、Wuille, P.(2012), BIP 32: Hierarchical deterministic wallets, GitHubを参照、に記載された方法から入手できる。
【0116】
DFAで実施されるトランザクション
上述のように、本実施形態は、本発明と一緒に評判情報に対して役割を果たす、関連するユーザによるスマートコントラクトの構成及び実行を含む、スマートコントラクトに関する。決定性有限オートマトンDFAは、ビットコインブロックチェーンを回するP2Pデリバティブ取引に参加する各ユーザについて、スマートコントラクトを実行することの可能な1つの方法を表す。
【0117】
スマートコントラクトの実施におけるDFAの使用の更なる詳細は、本願明細書の末尾に提供される「スマートコントラクトにおけるDFAの使用」の章で与えられる。
【0118】
私達は、DFAが(金融)コントラクトの状態を管理するのに有用なツールであるので、私達の例でDFAを使用したが、私達は、本発明の機能を、DFAを使用しないビットコインウォレットに追加し得る。
【0119】
有意な数のユーザが、DFAを用いて構造化され及び実施されるコントラクトに関連してよい。ユーザの各々は、トランザクションを実現するために使用される彼らの秘密鍵及び公開鍵のペアに関連付けられる。前の章は、これらが決定性ウォレットにより生成され得ること、したがってマスタ鍵に戻り関連することを説明した。
【0120】
ベンダユーザの場合には、シードは、マスタ秘密鍵を生成するために使用される。マスタ秘密鍵はマスタ公開鍵を生成するために使用され、マスタ公開鍵は他の公開鍵の1つ以上の世代を生成するために使用される。ベンダユーザのウォレットは、コントラクトにより表されるトランザクションを実現するために、これらの他の公開鍵のうちの1つを選択する。受信側として、ベンダユーザはビットコインアドレスを提供する必要がある。
【0121】
ビットコインアドレスは、使用されるべき他の公開鍵を取り入れ、及びそれに暗号ハッシュアルゴリズムに通して該他の公開鍵のハッシュを取得することにより取得される。より具体的には、これは、SHA256ハッシュの計算、それに続くRIPEMD160ハッシュの計算である。結果として生じる他の公開鍵のハッシュは、通常、実際にトランザクションのようなコントラクトで使用するために他の公開鍵のビットコインアドレスとして使用する前に、Base58Checkを用いて符号化される。
【0122】
コントラクトを構成すると、コントラクトの実施及び結果は、時間と共に生じる。結果から、コントラクトに関連するユーザXが、コントラクトによりそれらに課された条件を満足したこと、又はユーザXがコントラクトによりそれらに課された条件を満足しなかったことが、分かる。このようなコントラクトは複雑であり複数のユーザに関連し得るので、満足の結果は、全てのこれらのパーティにも見えてよい。
【0123】
トランザクションの構成、実施、及び結果に加えて、DFAは、該コントラクトに関してユーザについて観察された満足位置を反映するために、更なるトランザクションを実施することも可能である。
【0124】
満足は、満足値、又は望ましくは満足スコアに反映される。好適な形式では、これは、該ユーザの該コントラクトについての2進スコアである。
【0125】
私達のベンダユーザに適用可能なコントラクト条項が満足される場合、1のスコアが生成される。私達のベンダユーザに適用可能なコントラクト条項のうちの少なくとも1つについて満足が生じない場合、0のスコアが生成される。満足、より具体的には本実施形態ではスコアは、コントラクトの処理と並行して、DFAにより決定され得る。
【0126】
DFAは、例えばトランザクション又は使用されるトランザクションテンプレートの仕様から、トランザクション種別も決定可能である。この特定の例では、トランザクションはコントラクトであるが、トランザクション種別は、例えば特定形式のP2Pデリバティブコントラクトがトランザクション種別として使用され得るよりも、特有である。
【0127】
最後に、DFAは、もちろん、実施されているコントラクトについて、ベンダユーザのビットコインアドレスに提供される。これは、ベンダユーザにリンクされるという意味で属性情報を構成する。これは、ビットコインアドレスの特性である。ユーザが顧客ユーザである支払ユーザである代替では、DFAは、顧客ユーザにリンクされるという意味で属性情報でもある公開鍵又は署名スクリプトを提供される。
【0128】
本トランザクション情報が与えられると、方法は、DFAを用いて、更なるトランザクション、評判トランザクションを行う。評判トランザクションでは、DFAは、評判トランザクションのメタデータがメタデータの中に、3つのメタデータ片:コントラクトのトランザクション種別、該コントラクトに関連付けられる属性情報(例えば、ビットコインアドレス又は署名スクリプト)、ベンダユーザについての該コントラクトの満足(例えば、スコア)を含むことを提供する。
【0129】
DFAは、次に、評判トランザクションを生成する。評判トランザクションは、本実施形態ではビットコイントランザクションTであり、このメタデータを1-of-4 P2SHマルチシグネチャアウトプットと共に含み、それ自体からの「ダスト(dust)」(無視できる量のビットコイン)をDFAエージェントによっても制御されるアドレスへ送信する。図1は、ビットコイントランザクションの実装を示す。図2は、ビットコイントランザクションRedeemスクリプトを示す。図3は、種々のトランザクションの間のリンクを示す。全てのトランザクションは標準的なP2PKH又はP2SHマルチシグネチャトランザクションであり且つ有効であることが分かる。
【0130】
この評判トランザクション、及びしたがってそれが含む評判情報をブロックチェーンに格納する主な利点は、ブロックチェーンが不変であることであり、これは不公平な評価攻撃の機会を低減する。評判トランザクションは、それ自体の権利において有用な中間形式であるが、本発明の後の利点も可能にする。
【0131】
通常、トランザクションが、DFAメカニズムにより考慮され且つ該トランザクションからの評判情報の決定において使用される、提案される本発明の採用の前に、ブロードキャストすることは不可能である。しかしながら、ビットコイントランザクションがロック解除される度に、公開鍵は署名スクリプトの中で露出され、したがって、特定の公開鍵に関連付けられるトランザクションの履歴は常に利用可能である。
【0132】
抽出及び処理のための顧客ウォレットの使用
実施形態は、ここで、顧客ユーザの観点に変わる。顧客は、本例では、ビットコインブロックチェーンを介するP2Pデリバティブ取引に関心がある。したがって、彼らは、例において上述したベンダユーザを含む多数のユーザから多数のこのような取引を提供され得る。提供されるコントラクトは、それらのフォーマット、リスクプロファイル、及び価格、並びにトランザクションを提供する異なるユーザの間の他のこのような変数の点で同じ又は非常に類似してよい。
【0133】
顧客ユーザのデジタルウォレットを通じて、顧客ユーザは、多数の問い合わせのうちの1つ以上を行うことが可能であってよい。これらは、取引を提供する特定ユーザ、又は同じ種類の取引を提供するユーザの各々に関連し得る。単一ユーザについての問い合わせの例を用いて、私達の顧客ユーザは、私達のベンダユーザにより提供されるコントラクトに関心がある。したがって、顧客ユーザは、ベンダユーザの評判の調査を開始するために、顧客ユーザのウォレットの中のウォレット機能を通じて、該ベンダユーザを選択してよい。
【0134】
顧客ユーザのウォレットは、ビットコインアドレスが提供されているコントラクトの一部であるので、トランザクションを提供するベンダユーザのビットコインアドレスを認識している。ビットコインアドレスは、該コントラクトの中で提供される特定の公開鍵のハッシュであり、したがって、マスタ公開鍵に戻って関連する。結果として、顧客ユーザのウォレットは、ベンダユーザのマスタ公開鍵を決定することが可能であり、マスタ公開鍵は、該特定の他の公開鍵の裏にある。これに関して、SHA-256のような任意のハッシュ関数が、マスタ公開鍵をハッシュするために使用されてよい。
【0135】
顧客ユーザのウォレットは、次に、ブロックチェーンにアクセスしパースして、ブロックチェーン内の過去の評判トランザクションを検索し、選択したベンダユーザについて取得したマスタ鍵のハッシュにより、それらのトランザクションをフィルタリングし得る。顧客ユーザによる問い合わせの中で選択されたベンダユーザに関連付けられた共通マスタ公開鍵の派生を用いて、ブロックチェーン内の評判トランザクションの各々は、このように発見され得る。したがって、ウォレットは、ブロックチェーンから、マスタ公開鍵に及びしたがってベンダユーザにリンクされたトランザクションの各々について、評判情報を抽出する。
【0136】
評判情報を抽出すると、顧客ユーザのウォレットは、次に、該情報を更に処理し得る。例えば、評判計算アルゴリズムは、検索した評判情報に対して計算を実行し得る。これは、ユーザの集約評判スコアをもたらし得る。結果は、顧客ユーザのウォレット内で表示される。例えば、単一の選択ユーザについての評判情報の場合、ウォレットは、トランザクションからの肯定的な評判結果を記録する前の評判トランザクションの合計数、及びトランザクションからの否定的評判結果を記録する前の評判トランザクションの合計数を考慮し得る。ウォレットは、顧客ユーザについての肯定的及び否定的のバランスを信用スコアとして示してよい。処理は、選択されなかった他のユーザに対する情報を考慮し、相対評価を与えてよい。処理は、結果を生じる評判トランザクションの合計数(この場合、この数は小さく、したがってあまりロバストではない)を考慮し、及びスコア及び/又はスコアの信頼性の指示に重みを提供してよい。
【0137】
ユーザに基づく、彼らのマスタ公開鍵のハッシュを通じた、集約評判スコアは、いつでも、例えば選択により、ユーザからの申し入れと共にスコアの提示の時間に合わせて、又は任意の選択又はユーザによる顧客ユーザへのトランザクションの提供の前に、計算されてよい。タイミングは、選択バランス、又は速度と精度及び/又はスコアの新しさとの間のトレードオフを反映してよい。
【0138】
情報の流れは図4に示される。DFAによるトランザクションの実行の結果として、DFAは、追加の及び新しい評判トランザクションを通じて、評判情報のレコードをブロックチェーンに提供する。必要なとき又は要求されると、評判情報は、ブロックチェーンから、処理のために顧客ユーザのウォレットへと流れる。
【0139】
本発明の実装は共通マスタ公開鍵から階層的に導出される公開鍵のコンテキストで上述されたが、本発明は、決定性ウォレット以外のウォレットのコンテキストで実施可能である。例えば、ユーザは、アプローチを実現する多数のオプションを有する。これらは以下を含む:(1)各トランザクションに同じ公開鍵を使用すること。その結果、これは、それらのマスタ鍵として使用可能だが、各トランザクションについて別個のアドレスを生成することが望ましい(複数のトランザクションについて同じビットコインアドレスを再使用することは、セキュリティの理由から推奨されない)。(2)毎回ランダム公開鍵を使用すること(これらは、いずれも毎回、同じ「マスタ鍵」により識別される)。しかしながら、望ましくは、自動的にマスタ鍵が存在し、及びユーザがバックアップするにはこのようなウォレットの本来の利点はあまり存在しないので、ユーザは、階層的決定性ウォレットを有する。
【0140】
スマートコントラクトにおけるDFAの使用
この章は、DFAがスマートコントラクトをどのように実施するかについての背景を与えるために提供される。
【0141】
この説明のためのコンテキストでは、コントラクトのような処理又はタスクをモデル化するDFAの定義が与えられる。DFAは、計算エージェント又は「ボット」と呼ばれてもよい計算リソースの関連システムと相互作用する。これらの計算エージェントは、トランザクションを生成しそれらをブロックチェーンに提出するよう構成される。このDFAの実施形態はコントラクトに関するが、DFAの使用はコントラクトに限定されない。
【0142】
図5を参照すると、本発明は、ハードウェア及びソフトウェアコンポーネントを含むコンピューティングプラットフォーム-ブロックチェーン-上で具現化される抽象DFAとして処理の実現を提供する。
【0143】
図5は、本発明の説明のための実施形態に従い構成されたシステムの概観を提供する。システムは、命令を受信するために他のエンティティ4(例えば、人間又は他のコンピュータ)と相互作用可能な計算エージェント3を有する。これらの命令は、例えばどのスマートコントラクトを生成し及び実行すべきかであり得る。したがって、計算エージェント3は、物理的世界と相互作用して、それら自身の外部で、「現実世界」において、イベントに応答し及びイベントを生じることにより、本発明を実施する。
【0144】
コントラクト自体の仕様は、任意の機械実行可能フォーマット、例えばxBRLで提供され、セキュア且つ非集中的方法で、例えばトレント(torrent)ネットワーク上の分散ハッシュテーブル(distributed hash table:DHT)5内に、格納され得る。コントラクトの仕様から、計算エージェントはDFA2を構成する。DFA2は、1つ以上エージェントによりブロックチェーン1上で後に具現化される。
【0145】
DFA2自体は、有限セット{S,I,t,s,F}として指定される。ここで、Sは、コントラクト/DFAが存在し得る可能な状態の(有限)集合であり、Iは、本願明細書の文脈ではコントラクトと関連して生じ得る任意のイベント又は条件、例えば支払が行われる、証券の満期に達する、契約相手の債務不履行、等を意味するインプット(アルファベットとしても知られる)の(有限)集合である。本願のメカニズムでは、これらのインプット信号は、1つ以上のエージェントにより受信され/生成され、該エージェントは次にシステムの次の状態(場合によっては同じ状態)を決定する。
【0146】
DFAの第3コンポーネントは、遷移関数t:S×I→Sである。「DFA」における用語「決定性」は、決定の一意性:状態及びインプットが与えられると、唯一の新しい状態(場合によっては同じ状態)が存在する、を表す。したがって、初期状態(S)及びインプットの履歴が与えられると、計算(コントラクト)の結果は、全ての可能な最終結果の集合の中のユニークな1つである(F⊆S)。全てのこれらの要素が確立されると、DFAは、遷移テーブルにより完全に定められ、全ての可能な現在状態及びインプット信号についての将来の状態を指定する。DFAの状態は、それ自体が、ブロックチェーン上の未使用トランザクションアウトプット(UTXO)に関連付けられる。従来知られているように、ビットコインネットワークは、全ての利用可能UTXOを絶えず追跡する。実施形態によると、DFAがある状態から別の状態へ移行するメカニズムは、ブロックチェーントランザクションにより本発明に従い具現化される(実施される)。事実上、ブロックチェーン上のトランザクションはある状態(前のトランザクションのインプット)に関連付けられたUTXOを使用し、次の状態(アウトプット)に関連付けられたUTXOを生成する。
【0147】
例:割引(ゼロクーポン)債券
説明のために、以下では、通常、ある価格で(通常はその額面価格に対して割引して)購入され次にその元金が満期時に返金されるまでの特定時間の間保持される単純な債券類である、割引(ゼロクーポン)債券を検討する。検討する可能な状態はS={s,f,f}であり、それぞれ保持状態(s)、コントラクトの正常終了(幸運な経路を辿った場合)又は幸せな結末(f)、及び失敗した、例えば訴訟、の状態(f)を示す。システムの最終状態は、したがってF={f,f}である。検討するアルファベットは、I={r,d,e}であり、それぞれ満了時(又は前)の元金の返済金(r)、満了時(又は前)の発行人の債務不履行(d)、及び返金を伴わないコントラクトの満了(e)を示す。この単純なコントラクトの遷移マトリクスは表1に示される。
【0148】
[表1]ゼロクーポン債券を表すDFAの遷移テーブル
【0149】
【表1】
留意すべきことに、最終状態はコントラクトの完了を表し、したがってそれらから更なる状態が指定される必要はない(現在、遷移テーブル内の「-」として示されるが、これらの線は省略され得る)。原則として、より多くの状態及び/又はインプット(並びにアクション)がこの証券について定められ得るが、これは、コントラクトの複雑性に関連する邪魔な詳細事項を挿入するのではなく、本発明の基本的な新規な態様を説明するために、単純性及び明確性のために本願明細書において行われていない。
【0150】
図6は、(ビットコイン)ブロックチェーン上のゼロクーポン債券DFAの実施形態を表す。状態は円により表され、機械をある状態から他の状態へ移行させるビットコイントランザクションは三角形により表される。図6ではエージェントにより受信されるインプットは省略されるが、各状態において、これらのインプットに従い1つ又は他の遷移が生じるべきであり、これが1つ又は他のビットコイントランザクション(例えば、状態sの中のt又はt)の構成により図中に反映されること、状態を変えない遷移にはトランザクションが必要ないこと、したがってそれらは省略されることに留意する。DFAの遷移トランザクション(t)に加えて、初期発生トランザクション(o)、及びコントラクトの完了に対応するトランザクション(c)が考えられる。
【0151】
以下では、トランザクション(発生、遷移、及び完了)における資金の流れに注意を向ける。重要なことに、DFA及び(金融)コントラクトの有限性により、プロセスは多数の遷移の後に完了することに気付く。これは、コントラクトの確立及び実行の最大コストが結合され、予め、例えばDFAの確立時に、決定できることを必ずしも意味しない(関与する計算エージェント及びビットコインマイナーのための幾つかの有限料金を想定する)。これは、考えられる最長経路を辿るコントラクトを実行するために必要な合計資金額により与えられる。これは、勿論、実行中の無限ループの可能性を排除するが、しかし、これは現在の(金融)コントラクトに関連しないこと、永久拘束のようなコントラクトでさえ、その名称にも拘わらず将来の特定時点で完了すべき債券であること、例えば負債のあるエンティティが消滅する又はインフレにより支払が無視できるほど小さくなること、に留意する。
【0152】
留意すべきことに、上述の実施形態は、本発明を限定するのではなく、当業者は添付の請求項により定められる本発明の範囲から逸脱することなく多数の代替の実施形態を考案できる。請求項中、括弧内に記載された如何なる参照符号も、請求項を制限すると見なされるべきではない。用語「有する(comprising又はcomprises)」等は、全体としていかなる請求項中に及び明細書に列挙された以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。本願明細書において、「有する(comprises)」は「含む(includes)又は構成される(consists of)」を意味し、「有する(comprising)」は「含む(including)又は構成される(including of)」を意味する。要素の単数の参照は、該要素の複数の存在を排除するものではなく、逆も同様である。本発明は、複数の別個の要素を有するハードウェアにより又は適切にプログラムされたコンピュータにより、実施され得る。複数の手段を列挙している装置の請求項では、これらの複数の手段は、1つの同一のハードウェア要素により実装することができる。特定の量が相互に異なる従属請求項に記載されるという事実は、これらの量の組合せが有利に用いることが出来ないことを示すものではない。
【0153】
1 ブロックチェーン
3 エージェント
4 ワールド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】