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特開2024-144509カメラ支持構造、ヘッドマウントディスプレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144509
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】カメラ支持構造、ヘッドマウントディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/64 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024117661
(22)【出願日】2024-07-23
(62)【分割の表示】P 2021526053の分割
【原出願日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】P 2019108350
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文彦
(57)【要約】
【課題】ステレオカメラ30の位置・姿勢の精度を維持する。
【解決手段】カメラ支持構造(100)は、ヘッドマウントディスプレイ1のハウジング(110)に対して取り付けられると共に、ステレオカメラ(30)を支持する支持フレーム(130)と、ハウジング(110)と支持フレーム(130)との間に介在すると共に、支持フレーム(130)の変形又は変位に伴って、ハウジング(110)と支持フレーム(130)との間で少なくとも一部が弾性変形する、少なくとも1以上のゴム部材(40)と、を含む。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドマウントディスプレイのハウジングに対して取り付けられると共に、カメラを支持する支持フレームと、
前記ハウジングと前記支持フレームとの間に介在すると共に、前記支持フレームの変形又は変位に伴って、前記ハウジングと前記支持フレームとの間で少なくとも一部が弾性変形する、少なくとも1以上の弾性部材と、
を含む、
カメラ支持構造。
【請求項2】
支持フレームは、第1の方向に第1の最大幅を有し、かつ前記第1の方向に交差する第2の方向に前記第1の最大幅よりも広い第2の最大幅を有する板状であって、
前記弾性部材の前記一部は、少なくとも前記第2の方向における前記支持フレームの変形又は変位に伴って弾性変形する、
請求項1に記載のカメラ支持構造。
【請求項3】
前記弾性部材の前記一部は、前記支持フレームの変形又は変位に伴って前記第2の方向に弾性変形する突起である、
請求項2に記載のカメラ支持構造。
【請求項4】
前記弾性部材は、前記ハウジングに設けられる柱が挿通される挿通孔を有し、
前記突起は、前記挿通孔の内周面に設けられており、前記柱の外周面に接している、
請求項3に記載のカメラ支持構造。
【請求項5】
前記弾性部材は、前記挿通孔が形成される円筒状の本体部と、前記挿通孔が延びる方向における前記本体部の一端側に設けられる第1のフランジ部と、前記挿通孔が延びる方向における前記本体部の他端側に設けられる第2のフランジ部と、を含み、
前記支持フレームは、円弧状の取り付け部を有しており、
前記弾性部材は、前記第1のフランジ部と前記第2のフランジ部との間に前記取り付け部が嵌め込められることにより、前記支持フレームに取り付けられている、
請求項4に記載のカメラ支持構造。
【請求項6】
前記カメラは、前記第2の方向に互いに離間して設けられる第1のカメラと第2のカメラを含むステレオカメラである、
請求項2~5のいずれか1項に記載のカメラ支持構造。
【請求項7】
前記少なくとも1以上の弾性部材は、前記第2の方向に互いに離間して設けられる第1の弾性部材と第2の弾性部材とを含む、
請求項2~6のいずれか1項に記載のカメラ支持構造。
【請求項8】
前記少なくとも1以上の弾性部材は、前記第2の方向において、前記第1の弾性部材と前記第2の弾性部材との間に設けられる第3の弾性部材をさらに含む、
請求項7に記載のカメラ支持構造。
【請求項9】
前記支持フレームは樹脂製である、
請求項1~8のいずれか1項に記載のカメラ支持構造。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のカメラ支持構造と、
前記ハウジングと、
前記ハウジングに収容されるディスプレイと、
前記ハウジングから延びる装着バンドと、
を備える、
ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項11】
ハウジングに対して取り付けられると共に、カメラを支持する支持フレームと、
前記ハウジングと前記支持フレームとの間に介在すると共に、前記支持フレームの変形又は変位に伴って、前記ハウジングと前記支持フレームとの間で少なくとも一部が弾性変形する弾性部材と、
を含む、
カメラ支持構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ支持構造、及び該カメラ支持構造を備えるヘッドマウントディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、カメラが取り付けられるヘッドマウントディスプレイが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/199731号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、測距等に用いられるカメラにおいては、その位置精度及び姿勢の精度が重要となる。例えば、カメラを支持するフレームが、熱膨張したり、落下による衝撃等の外力が生じることにより変位したりしてしまうと、カメラの位置がずれたり、姿勢が変わってしまうおそれがある。
【0005】
本開示の目的の一つは、カメラの位置・姿勢精度を維持するカメラ支持構造、及び該カメラ支持構造を備えるヘッドマウントディスプレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示で提案するカメラ支持構造の一例は、ヘッドマウントディスプレイのハウジングに対して取り付けられると共に、カメラを支持する支持フレームと、前記ハウジングと前記支持フレームとの間に介在すると共に、前記支持フレームの変形又は変位に伴って、前記ハウジングと前記支持フレームとの間で少なくとも一部が弾性変形する、少なくとも1以上の弾性部材と、を含む。
【0007】
本開示で提案するヘッドマウントディスプレイの一例は、上述のカメラ支持構造と、前記ハウジングと、前記ハウジングに収容されるディスプレイと、前記ハウジングから延びる装着バンドと、を有する。
【0008】
本開示で提案するカメラ支持構造の一例は、ハウジングに対して取り付けられると共に、カメラを支持する支持フレームと、前記ハウジングと前記支持フレームとの間に介在すると共に、前記支持フレームの変形又は変位に伴って、前記ハウジングと前記支持フレームとの間で少なくとも一部が弾性変形する弾性部材と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るHMDの全体構成を示す斜視図である。
図2】右カメラを通る切断面で切り取ったHMDの断面図であって、ネジを締結する前の様子を模式的に示す模式断面図である。
図3】支持フレームを示す平面図である。
図4】カメラ支持構造を示す分解斜視図である。
図5図3のV-V断面図であって、支持フレームがハウジングに取り付けられた状態を示す図である。
図6図3のVI-VI断面図であって、支持フレームがハウジングに取り付けられた状態を示す図である。
図7】ハウジングに取り付けられたゴム部材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態(以下、本実施形態という)について説明する。以下の説明では、図中のX1及びX2が示す方向をそれぞれ右方及び左方とし、図中のY1及びY2が示す方向をそれぞれ前方及び後方とし、図中のZ1及びZ2が示す方向をそれぞれ上方及び下方とする。これら各方向は、ヘッドマウントディスプレイ1を装着したユーザから見た方向を示している。また、以下の説明では、ヘッドマウントディスプレイ1をHMD(Head Mounted Display)1と称する。
【0011】
また、以下の説明において、右方に配置される構成に対して符号Rを付して示し、左方に配置される構成に対して符号Lを付して示し、符号Rを付して示す構成と符号Lを付して示す構成との間に配置される構成に対して符号Cを付して示すこととする。また、特に区別しないで説明する場合は、符号R、L、Cは省略することとする。例えば、後述のゴム部材40のうち、右方に配置されるゴム部材をゴム部材40Rとして示すこととする。取り付け部131等についても同様とする。
【0012】
[HMD1の全体構成の概要]
図1は、本実施形態に係るHMDの全体構成を示す斜視図である。図1に示すように、HMD1は、装置本体10と、装着バンド20とを有している。
【0013】
装着バンド20は、装置本体10から後方に延びている。HMD1の使用時、装着バンド20はユーザの頭部を取り囲む。装着バンド20は、環状であり、その内側にユーザの頭部が配置されるとよい。
【0014】
装置本体10は、少なくとも、ディスプレイ11(図2参照)と、レンズ12(図2参照)と、ディスプレイ11及びレンズ12を収容すると共に、装置本体10の外観を構成するハウジング110と、を有している。HMD1の一例では、ディスプレイ11は三次元映像を表示する。ただし、これに限られるものではなく、ディスプレイ11が表示する映像は二次元映像でもよい。ディスプレイ11は、例えば、液晶表示装置や有機エレクトロルミネセンス表示装置であるとよいが、その種類は特に限定されない。HMD1の使用時、装置本体10はユーザの眼前を覆う。ハウジング110は、例えば、樹脂製であるとよい。
【0015】
また、HMD1は、ステレオカメラ30を備えている。ステレオカメラ30は、右カメラ30Rと、左カメラ30Lを含む。右カメラ30Rと左カメラ30Lは、ハウジング110の開口111、112からそれぞれ露出しており、前方を撮影可能に設けられている。ステレオカメラ30は、例えば、撮影画像からカメラの位置や姿勢(HMD1の位置や姿勢)を推定することにより3次元認識を可能にするSLAM(Simultaneous localization and mapping)用のカメラであるとよい。なお、カメラの個数や位置は図示するものに限られるものではない。
【0016】
[カメラ支持構造]
次に、図2図7を参照して、本実施形態におけるステレオカメラ30の支持構造(以下、カメラ支持構造100という)について説明する。なお、カメラ支持構造100は、少なくとも、ステレオカメラ30を支持する支持フレーム130と、ハウジング110と支持フレーム130との間に介在する後述のゴム部材40と、を含むものである。
【0017】
図2は、右カメラを通る切断面で切り取ったHMDの断面図であって、ネジを締結する前の様子を模式的に示す模式断面図である。なお、図2においては、ハッチングを省略している。図3は、支持フレームを示す平面図である。なお、図3において、紙面手前が前方であり、紙面奥が後方である。図4は、カメラ支持構造を示す分解斜視図である。なお、図4においては、支持フレーム130の図示は省略している。図5は、図3のV-V断面図であって、支持フレームがハウジングに取り付けられた状態を示す図である。図6は、図3のVI-VI断面図であって、支持フレームがハウジングに取り付けられた状態を示す図である。図7は、ハウジングに取り付けられたゴム部材を示す平面図である。
【0018】
HMD1は、支持フレーム130を有している。支持フレーム130は、右カメラ30R及び左カメラ30Lを支持している。また、支持フレーム130は、ハウジング110の前部に、ネジ50を用いて後方から取り付けられている。支持フレーム130は、例えば、樹脂製であるとよい。なお、支持フレーム130は、ハウジング110に直接取り付けられる構成に限られるものではなく、ハウジング110内において該ハウジング110に対して固定されるフレームに対して取り付けられていてもよい。
【0019】
また、支持フレーム130は、弾性部材であるゴム部材40を介して、ハウジング110に取り付けられている。本実施形態においては、3つのゴム部材40R、40L、40Cを介して、支持フレーム130がハウジング110に取り付けられている例について説明する。
【0020】
ハウジング110は、図4図6に示すように、後方に延びると共に、雌ねじが切られた柱115を有している。柱115は、ゴム部材40の数と同じ数設けられているとよい。本実施形態においては、ハウジング110は、柱115を3つ有している。
【0021】
ゴム部材40は、図4等に示すように、ハウジング110の柱115が挿通される挿通孔hが形成される円筒状の本体部40aを有している。また、ゴム部材40は、ネジ50の挿通方向における本体部40aの一端側に設けられる第1のフランジ部40bと、ネジ50の挿通方向における本体部40aの他端側に設けられる第2のフランジ部40cと、を有している。
【0022】
支持フレーム130は、図3に示すように、第1の方向(図示の例ではZ1、Z2で示す方向)に第1の最大幅L1を有し、かつ第1の方向に直交する第2の方向(図示の例ではX1、X2で示す方向)に第1の最大幅L1よりも広い第2の最大幅L2を有する板状である。すなわち、支持フレーム130は、左右方向が長手方向となっている。そして、右カメラ30Rと左カメラ30Lとは、支持フレーム130の長手方向において互いに離間して、支持フレーム130に支持されている。
【0023】
なお、図3に示す支持フレーム130の平面形状や、ネジ締結する箇所は一例であり、これに限られるものではない。
【0024】
支持フレーム130の右部には、図3に示すように、円弧状の取り付け部131Rが設けられている。同様に、支持フレーム130の左部には、円弧状の取り付け部131Lが設けられている。さらに、支持フレーム130の上部には、円弧状の取り付け部131Cが設けられている。ゴム部材40R、40L、40Cは、取り付け部131R、131L、131Cのそれぞれに嵌め込まれる。より具体的には、ゴム部材40の第1のフランジ部40bと第2のフランジ部40cとの間に、取り付け部131が嵌め込まれる。これにより、ゴム部材40は、支持フレーム130に取り付けられることとなる。
【0025】
なお、本実施形態においては、取り付け部131の形状を、開口の一部が切り欠かれた円弧状としたが、取り付け部131の形状はこれに限られるものではない。例えば、取り付け部は、切り欠きが形成されていない円形の開口を構成する形状であってもよい。この場合、取り付け部の開口にゴム部材40を潰しつつ押し入れるとよい。
【0026】
なお、図3においては、ゴム部材40Rとゴム部材40Cが、支持フレーム130に取り付けられており、ゴム部材40Lが支持フレーム130に取り付けられる前の様子を示している。
【0027】
支持フレーム130は、ゴム部材40が取り付けられた状態で、ハウジング110に対して取り付けられる。具体的には、支持フレーム130に取り付けられたゴム部材40の挿通孔hに、ハウジング110の柱115が挿通されることにより、支持フレーム130はハウジング110に対して取り付けられる。
【0028】
ゴム部材40の挿通孔hに柱115が挿通された状態において、柱115に形成されるねじ溝に対してネジ50を締結することにより、支持フレーム130はハウジング110に対して固定されることなる。なお、図2図4等に示すように、ネジ50のネジ頭と、ゴム部材40の第2のフランジ部40cとの間に、円板上のワッシャー60を設けるとよい。
【0029】
また、本実施形態においては、ゴム部材40は、挿通孔hの内周面に突起P1を有している。突起P1は、ハウジング110の柱115の外周面に接触するように、挿通孔hの内周面から突き出ている。本実施形態においては、突起P1が、挿通孔hの延びる方向の一方側に挿通孔hの周方向に並んで4つ、挿通孔hの延びる方向の他方側に挿通孔hの周方向に並んで4つ設けられる例について示す。すなわち、挿通孔hの内周面に突起P1が8つ設けられる例について示す。ただし、突起P1の数や配置はこれに限られるものではない。また、図示の例においては、左右方向、上下方向に突起P1が突き出るようにゴム部材40が支持フレーム130に取り付けられている様子を示すが、必ずしもこれに限られるものではない。ゴム部材40は、突起P1が他の方向に突き出るような姿勢で支持フレーム130に取り付けられていても構わない。
【0030】
なお、図7に示すように、挿通孔hの内周面の径Rは、柱115の外周面の径rよりも若干大きいとよい。具体的には、突起P1が、柱115の外周面にちょうど接触する程度、径Rが径rよりも大きいとよい。
【0031】
突起P1は、支持フレーム130の変形又は変位に伴って、ハウジング110と支持フレーム130との間で弾性変形可能であるとよい。具体的には、突起P1は、支持フレーム130の変形又は変位に伴って、ハウジング110の柱115の外周面と支持フレーム130の取り付け部131との間で弾性変形可能であるとよい。
【0032】
ここで、支持フレーム130の変形とは、例えば、ハウジング110に収容される回路基板等で発生した熱による熱膨張であり、支持フレーム130の変位は、例えば、HMD1の落下等による衝撃により生じるものである。
【0033】
支持フレーム130が熱膨張をしてしまうと、支持フレーム130が長手方向において反ってしまい、ステレオカメラ30の向きが左右方向の外側を向いてしまうおそれがある。支持フレーム130は、熱膨張により、特に長手方向(図中のX1、X2で示す方向)に拡がるように変形しやすい。すなわち、図5に示す例においては、支持フレーム130は、右方(X1で示す方向)に拡がるように、その形状を変形しやすい。
【0034】
本実施形態の構成においては、支持フレーム130が熱膨張すると、支持フレーム130の取り付け部131がゴム部材40を右方(X1で示す方向)に押すこととなる。それにより、ゴム部材40の突起P1が、柱115に押しつけられ、圧縮される。
【0035】
このように、支持フレーム130が熱膨張することにより、長手方向に拡がるように変形した場合であっても、ゴム部材40の突起P1がその変形を許容するため、支持フレーム130は反りにくい。その結果、ステレオカメラ30の向きがずれてしまうことが抑制され、ステレオカメラ30による測距等の精度を維持することが可能となる。
【0036】
また、ハウジング110も同様に、熱膨張により、その形状を変形する場合がある。例えば、ハウジング110が、図5のX1で示す方向に拡がるように、その形状を変形した場合、柱115の位置が右方(X1で示す方向)に変位することとなる。このように、ハウジング110が熱膨張すると、柱115がゴム部材40を右方(X1で示す方向)に押すこととなる。それにより、ゴム部材40の突起P1は圧縮される。このように、ハウジング110が熱膨張した場合であっても、ゴム部材40の突起P1がその変形を許容するため、ハウジング110の変形により支持フレーム130が影響を受けることが抑制される。その結果、ステレオカメラ30の位置・姿勢の精度が保たれ、ステレオカメラ30による測距等の精度を維持することが可能となる。
【0037】
また、上述のように、本実施形態においては、支持フレーム130を樹脂製とした。そのため、支持フレーム130を金属製とした場合と比較して、軽量化及びコストの低減を図ることができる。ただし、支持フレーム130を金属製としても構わない。
【0038】
さらに、本実施形態においては、ゴム部材40は、第2のフランジ部40cに突起P2を有している。突起P2は、ワッシャー60に接触するように、ネジ50の挿通方向の反対方向に突き出ている。また、ゴム部材40は、第1のフランジ部40bに突起P3を有している。突起P3は、ハウジング110の柱115の周辺領域に接触するように、ネジ50の挿通方向に突き出ている。本実施形態においては、突起P2及び突起P3が、それぞれ4つずつ設けられる例について示すが、突起P2及び突起P3の数や配置はこれに限られるものではない。
【0039】
突起P2及び突起P3は、支持フレーム130の厚み方向(図中のY1、Y2で示す方向)における変形又は変位に伴い弾性変形可能であるとよい。このような構成により、落下による衝撃等、外力が生じた場合において、突起P2や突起P3がその衝撃を吸収し、支持フレーム130の位置がずれることが抑制される。また、突起P1も同様に、落下等による衝撃を吸収することとなる。その結果、支持フレーム130の長手方向における位置ずれが生じることを抑制する。このように、支持フレーム130の位置ずれを抑制することにより、ステレオカメラ30の位置・姿勢の精度が維持され、ステレオカメラ30による測距等の精度を維持することが可能となる。
【0040】
なお、本実施形態においては、弾性部材としてゴム部材40を示したが、これに限られるものではなく、弾性部材は、ハウジング110と支持フレーム130との間で少なくとも一部が弾性変形するものであればよい。また、本実施形態においては、突起P1を有するゴム部材40を示したが、これに限られるものではなく、突起P1を有しておらず、ゴム部材40の本体部40a自体が、ハウジング110と支持フレーム130との間で弾性変形するものであってもよい。
【0041】
また、本実施形態においては、ゴム部材40を3つ設けた例について示したが、これに限られるものではなく、ゴム部材40は1つ以上であればよい。例えば、ゴム部材40を1つとした場合、支持フレーム130の中央付近において、支持フレーム130とハウジング110との間にゴム部材40を介在させるとよい。
【0042】
また、本実施形態においては、一対のカメラを含むステレオカメラ30を示したが、支持フレーム130に支持されるカメラは、ステレオカメラに限られるものではない。また、ステレオカメラに加えて他のカメラが支持フレーム130に支持されていてもよい。
【0043】
本実施形態で示した構成は、特に、電子部品を実装する回路基板における電力消費が大きなHMD1に有効である。すなわち、HMD1の内部の温度が上昇しやすいHMD1に有効である。具体的には、例えば、電力消費が大きい無線通信技術を採用するHMD1などに有効である。
【0044】
なお、本実施形態においては、HMD1を例に挙げて説明したが、これに限られるものではなく、カメラの位置・姿勢の精度の維持が要求される装置であればよい。例えば、カメラ支持構造100は、ドローン等の無人航空機等に適用されてもよい。この場合、無人航空機のハウジングに雌ねじが切られた柱が設けられており、その柱がゴム部材40の挿通孔hに挿通される構成であるとよい。
【符号の説明】
【0045】
1 ヘッドマウントディスプレイ、10 装置本体、20 装着バンド、30 ステレオカメラ、30R 右カメラ、30L 左カメラ、40,40R,40L,40C ゴム部材、40a 本体部、40b 第1のフランジ部、40c 第2のフランジ部、50 ネジ、60 ワッシャー、100 カメラ支持構造、110 ハウジング、111,112 開口、115 柱、130 支持フレーム、131,131R,131L,131C 取り付け部、h 挿通孔、P1,P2,P3 突起。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-07-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドマウントディスプレイのハウジングに対して取り付けられると共に、第1のカメラ及び第2のカメラを支持する支持フレームを有するカメラ支持構造であって、
前記支持フレームは、第1の方向に第1の最大幅を有し、かつ前記第1の方向に交差する第2の方向に前記第1の最大幅よりも広い第2の最大幅を有する板状であって、前記第1のカメラ及び前記第2のカメラを前記第2の方向に互いに離間するように支持する、
カメラ支持構造。
【請求項2】
前記支持フレームは、前記第2の方向の中央部に、前記第2の方向の両端部よりも前記第1の方向に突出する部分を有する、
請求項1に記載のカメラ支持構造。
【請求項3】
前記支持フレームは、少なくとも前記突出する部分において前記ハウジングに取り付けられている、
請求項2に記載のカメラ支持構造。
【請求項4】
前記突出する部分は、前記第1のカメラ及び前記第2のカメラよりも前記第1方向における外側に位置している、
請求項3に記載のカメラ支持構造。
【請求項5】
前記支持フレームは、前記第2の方向の中央部から両端部に向かうにつれて傾斜する傾斜面を含む形状である、
請求項1~4のいずれか1項に記載のカメラ支持構造。
【請求項6】
前記支持フレームは、当該支持フレームを前記ハウジングに取り付けるための取り付け部を3つ有する、
請求項1~5のいずれか1項に記載のカメラ支持構造。
【請求項7】
前記ハウジングと前記支持フレームとの間に介在すると共に、前記支持フレームの変形又は変位の少なくともいずれかを抑制する、少なくとも1以上の部材を更に有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載のカメラ支持構造。
【請求項8】
前記支持フレームは、前記ヘッドマウントディスプレイの装着バンドの後部が位置する後方側から前記ヘッドマウントディスプレイの本体が位置する前方側に向けて挿通されたねじを用いて、前記ハウジングに固定されている、
請求項1~7のいずれか1項に記載のカメラ支持構造。
【請求項9】
前記支持フレームは樹脂製である、
請求項1~8のいずれか1項に記載のカメラ支持構造。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のカメラ支持構造と、
前記ハウジングと、
前記ハウジングに収容されるディスプレイと、
前記ハウジングから延びる装着バンドと、
を備える、
ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項11】
ハウジングに対して取り付けられると共に、第1のカメラ及び第2のカメラを支持する支持フレームを有するカメラ支持構造であって、
前記支持フレームは、第1の方向に第1の最大幅を有し、かつ前記第1の方向に交差する第2の方向に前記第1の最大幅よりも広い第2の最大幅を有する板状であって、前記第1のカメラ及び前記第2のカメラを前記第2の方向に互いに離間するように支持する、
カメラ支持構造。