(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144573
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】流路切換システム
(51)【国際特許分類】
E03C 1/10 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
E03C1/10
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024118743
(22)【出願日】2024-07-24
(62)【分割の表示】P 2020564772の分割
【原出願日】2020-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2019203685
(32)【優先日】2019-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】成田 高志
(72)【発明者】
【氏名】森 豊彦
(72)【発明者】
【氏名】磯部 卓
(72)【発明者】
【氏名】杉島 公彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 泰浩
(72)【発明者】
【氏名】前田 博久
(57)【要約】
【課題】接続作業性の向上、省スペース化を実現できる流路切換システムを提供する。
【解決手段】浄水システムに使用される流路切換システム1であって、流入口2、流出口3、分岐部および合流部を有する原水路と、浄水器に接続される原水用往路7と浄水用復路8と、を備え、分岐部は、流入口2から原水路を流れてきた原水を原水用往路7に分岐する部分であり、合流部は、原水路の分岐部から流出口3までの間に設けられ、浄水器により浄化されて浄水用復路8を流れてきた浄水を原水路に合流させる部分であり、原水路の分岐部と合流部との間に設けられた第1開閉弁10と原水用往路7に設けられた第2開閉弁11と、をさらに備え、原水路、原水用往路7、浄水用復路8、第1開閉弁10および第2開閉弁11が、他の配管を介することなく接続されて一体化されている流路切換システム。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄水システムに使用される流路切換システムであって、
流入口、流出口、分岐部および合流部を有する原水路と、
浄水器に接続される原水用往路と浄水用復路と、を備え、
前記分岐部は、前記流入口から前記原水路を流れてきた原水を前記原水用往路に分岐する部分であり、
前記合流部は、前記原水路の前記分岐部から前記流出口までの間に設けられ、前記浄水器により浄化されて前記浄水用復路を流れてきた浄水を前記原水路に合流させる部分であり、
前記原水路の前記分岐部と前記合流部との間に設けられた第1開閉弁と
前記原水用往路に設けられた第2開閉弁と、をさらに備え、
前記原水路、前記原水用往路、前記浄水用復路、前記第1開閉弁および前記第2開閉弁が、他の配管を介することなく接続されて一体化されている流路切換システム。
【請求項2】
浄水システムに使用される流路切換システムであって、
流入口、流出口および合流部を有する原水路と、
浄水器に接続される原水用往路および浄水用復路と、
前記原水路に設けられ、前記流入口から前記原水路を流れてきた原水を前記原水用往路に分岐する三方弁と、を備え、
前記合流部は、前記原水路の前記三方弁から前記流出口までの間に設けられ、前記浄水器により浄化されて前記浄水用復路を流れてきた浄水を前記原水路に合流させる部分であり、
前記原水路、前記原水用往路、前記浄水用復路および前記三方弁が、他の配管を介することなく接続されて一体化されている流路切換システム。
【請求項3】
前記流入口と前記流出口とが、それぞれの中心軸が2本の平行な軸になる位置関係にある請求項1または2の流路切換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水を原水として、一般家庭用または業務用の飲料水として浄水を供給する浄水システムに使用される流路切換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水道水を浄化する浄水器として、水道水栓の吐出口に直結する蛇口直結型浄水器、キッチンの上に置いて使用する据置型浄水器、キッチンのシンクの下に置いて使用するアンダーシンク型浄水器が知られている。いずれも浄水器用フィルタカートリッジに充填した濾材は処理できる総濾過水量が限られているため、浄水器は、原水吐出状態と浄水吐出状態とを切り換える機能を有しており、使用者は、浄水を得たいときだけ浄水吐出状態とすることで、浄水器用フィルタカートリッジの延命を図る。そして濾材が処理できる総濾過水量に達したときに、浄水器用フィルタカートリッジを交換する。
【0003】
アンダーシンク型浄水器の場合、原水吐出状態と浄水吐出状態を切り換える手段としては、特許文献1のような浄水器用の特別な湯水混合・複合水栓が多く使用される。あるいは、本水栓とは別に浄水器用の単水栓を設け、原水使用時の水栓と浄水使用時の水栓のふたつを使い分けることもある。
【0004】
一方で、浄水器用の水栓を使用しない浄水システムも提案されている。例えば特許文献2には、水道管からなる原水経路と、水道管に取り付けられた浄水経路と、いずれかに送水するかを切り換える電磁弁を備え、タッチパネルを有する操作部を操作して電磁弁を制御するアンダーシンク型の浄水装置が開示されている。
【0005】
また、既存の水栓にアンダーシンク型浄水器を接続した構成の湯水混合水栓が特許文献3、4に開示されている。具体的に特許文献3の湯水混合水栓では、水栓本体の水導入管の下端部と水導入管への原水流路を開閉する止水栓との間に、逆止弁、T型管継手及び電動三方弁が設けられる。そして、T型管継手に、逆止弁を介して浄水器の浄水出口部が接続され、電動三方弁に浄水器の原水入口部が接続されている。特許文献4に開示の湯水混合水栓も同様に、原水流路に分岐流路を設け、この分岐流路に浄水路が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本国特開2016-142342号公報
【特許文献2】日本国特開2001-225062号公報
【特許文献3】日本国登録実用新案第3027934号公報
【特許文献4】日本国特開平7-171559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3、4の湯水混合水栓装置は、作業者が現場において逆止弁、T型管継手及電動三方弁などを順番に接続していく必要があり、接続作業に大幅な時間が取られるため、接続作業性の向上が望まれている。さらに、近年、流し台周りのスペース確保に対する顧客要求も高まっており、省スペース化も実現する必要がある。
【0008】
本発明は、前記の課題に鑑み、水道水用元バルブから水栓に水を供給するための原水流路に配置される流路切換部品の一体化に着目し、接続作業性の向上、省スペース化を実現できる流路切換システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決する本発明の流路切換システムは、浄水システムに使用される流路切換システムであって、
流入口、流出口、分岐部および合流部を有する原水路と、
浄水器に接続される原水用往路と浄水用復路と、を備え、
前記分岐部は、前記流入口から前記原水路を流れてきた原水を前記原水用往路に分岐する部分であり、
前記合流部は、前記原水路の前記分岐部から前記流出口までの間に設けられ、前記浄水器により浄化されて前記浄水用復路を流れてきた浄水を前記原水路に合流させる部分であり、
前記原水路の前記分岐部と前記合流部との間に設けられた第1開閉弁と、
前記原水用往路に設けられた第2開閉弁と、をさらに備え、
前記原水路、前記原水用往路、前記浄水用復路、前記第1開閉弁および前記第2開閉弁が、他の配管を介することなく接続されて一体化されている。
【0010】
前記の課題を解決する本発明の流路切換システムは、浄水システムに使用される流路切換システムであって、
流入口、流出口および合流部を有する原水路と、
浄水器に接続される原水用往路および浄水用復路と、
前記原水路に設けられ、前記流入口から前記原水路を流れてきた原水を前記原水用往路に分岐する三方弁と、を備え、
前記合流部は、前記原水路の前記三方弁から前記流出口までの間に設けられ、前記浄水器により浄化されて前記浄水用復路を流れてきた浄水を前記原水路に合流させる部分であり、
前記原水路、前記原水用往路、前記浄水用復路および前記三方弁が、他の配管を介することなく接続されて一体化されている。
【0011】
前記流路切換システムは、前記流入口と前記流出口とが、それぞれの中心軸が2本の平行な軸になる位置関係にあることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
前記課題を解決する本発明の切換システムによれば、水栓本体との接続作業性を向上できるとともに、既存の水栓本体にも接続することができ、且つ省スペース化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態の流路切換システムと、浄水器、水栓、水供給源、湯供給源との接続の一例を示した流路構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態の流路切換システムの斜視図である。
【
図3】
図2の流路切換システムの縦断面図であり、
図3(a)は
図2のA-A断面図、
図3(b)は
図3(a)のB-B断面図である。
【
図4】本発明の実施形態の流路切換システムと接続する浄水器の一例である。
【
図5】本発明の実施形態の流路切換システムと接続する湯水混合栓の一例である。
【
図6】本発明の実施形態の流路切換システムと接続する湯水混合栓操作レバーの一例である。
【
図7】本発明の実施形態の流路切換システムの制御部ブロック図である。
【
図8】本発明の実施形態の流路切換システムのフローチャートである。
【
図9】本発明の実施形態の流路切換システムの浄水吐水までの動作のタイムチャートである。
【
図10】本発明の実施形態の流路切換システムの浄水モードから原水モードに切換える動作のタイムチャートである。
【
図11】本発明の実施形態の流路切換システムの原水使用時の動作のタイムチャートである。
【
図12】本発明の別の実施形態における流路切換システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明における流路切換システムの一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明における流路切換システム1と浄水器16とを組み合わせた浄水システム、および湯水混合栓20、水供給源17、湯供給源18との接続の一例を示した流路構成図である。流路切換システム1には流入口2と流出口3を結ぶ原水路4が設けられ、原水路4には流入口2から流れてきた原水を原水用往路7に分岐する分岐部5が設けられている。分岐部5と流出口3の間には、浄水用復路8が合流する合流部6が設けられ、分岐部5と合流部6の間には、制御部9の制御に基づいて流路を開閉する第1開閉弁10が設けられている。原水用往路7には、制御部9の制御に基づいて開閉する第2開閉弁11と、配管内の水圧が所定の圧力以上に上昇しないようにする調圧弁12が設けられている。調圧弁12としては、圧力設定が、例えば0.2MPaや0.1MPaに固定している調圧弁を使用してもよく、圧力設定を任意に設定できる調圧弁を使用してもよい。
【0016】
図2は、本発明における流路切換システム1の一実施形態の斜視図であり、
図3は、縦断面図であり、
図3(a)は
図2のA-A断面図、
図3(b)は
図3(a)のB-B断面図である。流入口2と流出口3と連通する原水路4は、流入口の下流で略90度屈曲した後の直管往路30と、Uターン路31と、Uターン後の直管復路32とを経て、略90度屈曲して流出口3に至る。直管往路30の分岐部5から下方向に原水用往路7が分岐し、分岐直後に第2開閉弁11、続いて調圧弁12が設けられている。直管復路32の合流部6において上方向から浄水用復路8が合流する。分岐部5より下流のUターン路31には第1開閉弁10が設けられていて、その駆動部を直管往路30と直管復路32の外側に配置している。以上の配置により直管往路30と直管復路32の距離を短くでき、流入口2と流出口3の距離を短くすることができる。キッチンのシンクの下での設置において、流路切換システム1の流入口2と流出口3との距離が大きいと接続が困難になるが、Uターン路31を設けて距離を小さくすることで設置が容易になる。
【0017】
直管往路30と直管復路32は同軸の二重管構造になっており、分岐部5の上流側かつ合流部6の下流側のユニット分割部33において、直管往路30と直管復路32とが一体的な状態で分割できるようになっている。すなわち、流入口2および流出口3を有する第1流路切換ユニット34と、分岐部5および合流部6を有する第2流路切換ユニット35に分割できる。第1流路切換ユニット34と第2流路切換ユニット35に分割できることで、第1流路切換ユニット34の流入口2と水供給源17および流出口3と湯水混合栓20を接続し、シンクの外で第2流路切換ユニット35と浄水器16の接続を行ったのち、シンク内で分割部を接続出来るので設置が容易となる。
【0018】
第1流路切換ユニット34と第2流路切換ユニット35の部品は、射出成形で製作するのが好ましい。射出成形で製作すると、複雑な流路を一体的に形成できるため、小型化できる。射出成形の材料として、例えば40%ガラスファイバ入りのポリフェニレンサルファイドを使用すると、機械的強度が高く、耐薬品性も高くなるので、繰り返しかかる水圧の負荷によって破損したり、キッチンの油や洗剤に侵されて破損したりすることが無い。ただし、ポリフェニレンサルファイドに限定されず、変性ポリフェニレンエーテルやポリエチレンなどのオレフィン系樹脂や、シリコーン樹脂、酢酸ビニル樹脂、硬質塩化ビニル樹脂などの硬質樹脂材料が採用でき、長期的に機能が維持できれば射出成形の材料は特に限定されない。
【0019】
第1流路切換ユニット34の流入口2には、一端に管用めねじを施し、他端にOリングを装着した円筒形の流入口接続部材36を有している。設置においては、流入口接続部材36の管用めねじを水供給源17に十分にねじ込んでから、次にOリングを装着した他端を第1流路切換ユニット34に差し込めばよく、短時間で確実に設置が行える。
【0020】
第1開閉弁10と第2開閉弁11に電磁弁を用いると、応答性が速いために流路の開閉が速く行えて、不必要な流量変化が抑制できる。また、第1開閉弁10と第2開閉弁11に、電力で弁が回動する電動弁を用いれば、開閉の口径を大きくすることができ、大流量かつ低圧損にできる。また、第1開閉弁10と第2開閉弁11の代わりに三方弁を設ければ、省スペースになる。また、第1開閉弁10と第2開閉弁11に、空気圧で弁が開閉する空気駆動弁を用いてもよい。初期状態では、第1開閉弁10は開、第2開閉弁11は閉になっている。
【0021】
第1流路切換ユニット34の流入口2とユニット分割部33の間には、止水弁14が設けられている。通常は常時開いて使用するが、下流側で水漏れなどの異常が生じた場合や、長期不在にする場合などには、閉止することができる。止水弁14を既設の止水栓の代替としてもよい。既設の止水栓を取り外せば設置スペースがより大きく確保でき、設置が容易になる。止水弁14の構造としては、マイナスドライバを用いて回して閉止するタイプを用いれば、邪魔にならない。しかしハンドルをつかんで回して閉止するタイプを用いても差し支えない。
【0022】
浄水用復路8には逆止弁15が設けられ、合流部6から浄水用復路8の方向には水が流れないようになっている。この逆止弁15と前述の調圧弁12により、浄水器に大きな水圧が長時間かからないようになり、浄水器の破損を防止し、浄水器からの漏水も防止することができる。
【0023】
合流部6から流出口3の間には、原水路4を流れる水の状態を測定するセンサ13が設けられている。本実施形態では、水の流量を測定するフローセンサ13が設けられている。フローセンサ13は、断面円形の水車流路37、水車流路の中央に設けた回転軸38、磁石(図示せず)を内蔵した水車39、および磁界の変化を検知して電圧に変換するホールIC(図示せず)で構成されている。ホールICからの電圧の出力はパルス信号になる。フローセンサ13からは、原水路4を流れる水の流量に応じた周波数のパルス信号が制御部9に送られ、それを演算処理した結果に基づいて、第1開閉弁10と第2開閉弁11を開閉する。磁界を検知する磁気センサとしては、ホールICに限らずリードスイッチでもよい。フローセンサ13は流入口2から分岐部5の間に設けてもよく、そのときのフローセンサ13の構成は前記と同じでよい。分岐部5と合流部6の間に第1フローセンサ、原水用往路7あるいは浄水用復路8に第2フローセンサを設けて、それぞれの信号を制御部9に送って演算処理してもよい。
【0024】
また、センサ13としては、原水路4を流れる水の圧力を測定する圧力センサを用いることもできる。例えば、本実施形態では、流出口3の下流にある湯水混合開閉弁23により水を流したり止めたりしているので、湯水混合開閉弁23を開ければ吐出口21から水が流れ出し、原水路4内の水圧が低くなる。湯水混合開閉弁23を閉じれば、水供給源17から水圧により、原水路4内の水圧は高くなる。このように、原水路4内の水圧を測定すれば、原水路4内を水が流れているかどうかを判別することもできる。圧力センサを用いる場合でも、圧力センサは合流部6から流出口3の間、流入口2から分岐部5の間のいずれに設置してもよい。
【0025】
センサ13としては、前記のフローセンサや圧力センサに限らず、原水路4内を水が流れているかどうかが判別できるセンサであれば良く、浮きを使ったセンサや、音や振動を検知するセンサでもよい。
【0026】
図12は、本発明の別の実施形態の流路切換システム1’の斜視図である。
図2,3の流路切換システム1とこの流路切換システム1’との違いは、流入口、流出口、浄水復路の位置と、流路切換システム全体が分割構造になっていないことである。
【0027】
流路切換システム1’は、流入口2’と流出口3’とが、それぞれの中心軸が同軸ではなく、2本の平行な軸になる位置関係にある。それぞれの中心軸が2本の平行な軸になる位置関係にすることにより、それぞれの中心軸が同軸になる位置関係よりも、流入口2’から流出口3’までの距離を短くできる。シンク下の既存の配管は長さが短いことが多く、流入口から流出口までの距離が長いと、流路切換システムを既存の配管に取り替えて設置することが難しいが、本流路切換システム1’であれば、流入口2’から流出口3’までの距離が短いので、容易に設置できる。なお、ここで言う「流入口2’から流出口3’までの距離」とは、
図12での上下方向の距離のことであり、流入口2’から流出口3’までの最短距離(
図12での斜め方向の距離)や、流入口2’から流出口3’までの配管内の流路の長さのことではない。
【0028】
流路切換システム1’は、流出口3’と浄水用復路8’とが、それぞれの中心軸が同軸になる位置関係にある。同軸に配置することで浄水を吐水する際の配管の圧力損失を小さくすることが可能となり、浄水の吐水流量が向上する。
【0029】
また、流路切換システム1’は、
図2、3の流路切換システム1のように第1流路切換ユニット34と第2流路切換ユニット35とに分割はできず、全体が一体化されている。第1流路切換ユニットと第2流路切換ユニットに分割できないため、前記したようなメリットは享受できないが、その代わりに部材点数を減らして製造コストを抑えることができる。
【0030】
図4は、本発明の流路切換システムと接続する浄水器の一例である。浄水器16は原水入口41と浄水出口42とを備え、原水入口41が流路切換システム1の原水用往路7と接続され、浄水出口42が流路切換システム1の浄水用復路8と接続されている。浄水器16は原水入口41および浄水出口42を備えた浄水器本体と、濾材を収納した浄水器用カートリッジとで構成されている。浄水器用カートリッジに収納する濾材としては、活性炭、イオン交換体、濾過膜を組み合わせたものが使用できる。浄水器本体と浄水カートリッジとがバヨネット機構で接続され、ワンタッチで浄水器用カートリッジを交換できる浄水器を使用すれば、短時間で容易に浄水器用カートリッジが交換できて便利である。シンク下の壁に取り付け可能な小型の浄水器を使用すれば、シンク下の収納の邪魔にならず便利である。
【0031】
図5と
図6は、本発明の実施形態の流路切換システムと接続する湯水混合栓の一例である。湯水混合栓20は、吐出口21と、操作レバー22と、操作レバー22の操作に基づいて湯水混合比と開度を決定する湯水混合開閉弁23とを備えている。
図5に示すように、操作レバー22の鉛直方向の角度に基づいて弁の開度、すなわち流量を決定する。
図6に示すように、水平方向の角度に基づいて弁の湯水混合比、すなわち水温を決定する。湯水混合栓20は、流路切換システム1を介して水供給源17と接続され、湯供給源18とも接続されている。すなわち、水供給源17は、流路切換システム1の流入口2と連結し、流路切換システム1の流出口3が、湯水混合栓20の湯水混合開閉弁23に連結している。
【0032】
次に、本発明の実施形態の流路切換システム1を、すでに設置済みの湯水混合栓に追加設置する手順について説明する。湯水混合栓20から延びて水供給源17に接続されている配管を取り外し、流入口接続部材36を十分にねじ込む。このときに水供給源17の既設の止水栓を取り外してもよい。次に、第1流路切換ユニット34に、水供給源17から取り外した湯水混合栓20の配管を十分にねじ込んで接続し、さらに流入口接続部材36のOリングを装着した端部を第1流路切換ユニット34に差し込んで、クイックファスナー40を用いて抜け止めする。ねじ込んで接続する際に、取り付け角度を気にせずに十分にねじ込めるために、漏水する心配が無い。最後に、第1流路切換ユニット34に第2流路切換ユニット35を取り付ける。数点の部品をユニット化して順番に組み立てていくので、短時間で確実に設置が行える。調圧弁12と、その先端の原水用往路接続部材52は分岐部5に対して回動可能になっており、配管の取り回しが容易になっている。浄水用復路接続部材53も合流部6に対して回動可能にすれば、配管の取り回しがより容易になる。漏水なく長期的に機能を維持できれば、接続方法は限定されるものではなく、カプラー接続式、クリップ接続式など、任意に採用できる。
【0033】
次に、本発明の実施形態の流路切換システム1と湯水混合栓を用いて、浄水を吐出させる操作について概略説明する。湯水混合栓20の操作レバー22を右に止まるまで回した状態で押し上げると、湯水混合開閉弁23が開いて吐出口21から水道水が吐出される。第1開閉弁10は開いていて、第2開閉弁11は閉じており初期状態のままになっているので、原水路4には水道水がそのまま流れる。センサ13から水量に応じた信号が制御部9に届くと、制御部9ではその信号によって通水していることが判断される。引き続いて、操作レバー22を一度押し下げ、3秒以内に押し上げるという特殊な操作を行う。そうすると、センサ13から、止水と3秒以内の再通水を行うことによる特殊な流量変化に応じた信号が制御部9に届く。制御部9ではその信号によって、止水と3秒以内の再通水が行われたことが判断される。そして、制御部9は第2開閉弁11を開き、次に第1開閉弁10を閉じる操作を行う。これにより、吐出口21からは原水路4を通った水道水がそのまま出ていたが、水道水は分岐部5、原水用往路7を通って浄水器16に入り、浄水器16によって浄化された浄水が、浄水用復路8、合流部6を通って、吐出口21から出てくるようになる。最後に操作レバー22を押し下げると、湯水混合開閉弁23が閉じて吐出口21からの浄水は止まる。そうすると、センサ13から制御部9へ届く信号が途絶えるか、センサ13から小さな水量に応じた信号しか制御部9へ届かなくなるので、制御部9では止水されたと判断し、間もなく第2開閉弁11を閉じて、第1開閉弁10を開く操作を行い、初期状態に戻す。
【0034】
このように、制御部9は、センサ13からの信号によって、操作レバー22の開閉操作を判断し、その判断に応じて第1開閉弁10、第2開閉弁11の開閉を制御する。
【0035】
また、湯供給源18から湯水混合開閉弁23間に開閉弁を備えて、浄水吐水時は湯側開閉弁を閉じるシステムを設けて浄水に温水が混合することを防止することもできる。
【0036】
次に本発明の実施形態にかかる流路切換システム1の制御部9について説明する。
図7は、制御部9を説明するブロック図である。制御部9には、CPU43などから構成される演算装置が設けられており、演算装置には、リセットスイッチ44、通知部45、設定スイッチ46、メモリ47、第1開閉弁駆動回路48、第2開閉弁駆動回路49、センサ回路50および電源51が接続されている。センサ13の出力信号がセンサ回路50を介してCPU43に入力され、演算結果に基づいて第1開閉弁駆動回路48、第2開閉弁駆動回路49を介して第1開閉弁10、第2開閉弁11が開閉制御される。
【0037】
本実施形態では、センサ13として水の流量を測定するフローセンサ13が設けられている。フローセンサ13は、磁界の変化を検知して電圧に変換するホールIC(図示せず)を有し、ホールICからの電圧の出力はパルス信号になる。パルス信号の周波数は、水の流量が多いほど高くなる。
【0038】
リセットスイッチ44は、積算時間および積算流量をリセットするためのスイッチである。リセット後の積算時間が所定時間に達したとき、あるいは積算流量が所定流量に達したときに、浄水器16の交換を促す音または光または振動が通知部45から発信される。使用者が、浄水器16を交換してリセットスイッチ44を操作することで、積算時間および積算流量がリセットされ、新たに、積算時間、すなわち通水していると判断した時間の積算と、積算流量、すなわち流量に応じた信号の積算を開始するようになっている。
【0039】
設定スイッチ46は、浄水器の機種に応じて所定時間と所定流量を設定するためのスイッチである。設定スイッチ46にDIPスイッチを用いると小型で省スペースであるが、DIPスイッチに限らず、数字を入力できるタイプであればあらゆる浄水器に対応でき、ボタンスイッチであれば操作が容易である。
【0040】
電源51は、直列に連結した単三乾電池4本から成る(図示せず)。単二乾電池や単一乾電池を使用しても差し支えなく、コイン形のリチウム電池を使用してもよいが、容量と外形寸法から単三乾電池が好適に用いられる。既存の電池ボックスが適宜使用できるが、外部から水や油が浸入しないようにパッキンを備えている電池ボックスが好適に用いられる。電源51とリード線で接続する制御部9は、電圧を測定する機能を有する。
【0041】
制御部9に発信器を設け、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)を利用して、使用者のスマートフォンに演算結果を通知してもよい。浄水器使用の積算時間や積算流量を送信し、それがスマートフォンに表示されれば、使用者が新しい浄水器に交換する準備ができて便利である。原水使用の積算流量を送信して、水道料金への概算結果も含めてスマートフォンに表示されれば、使用者は支払いの準備ができて便利である。電池電圧を送信して、電池容量とともにスマートフォンに表示されれば、使用者は新しい電池に交換する準備ができて便利である。所定のクラウドサービスを通じて使用状況を可視化することで、より快適な浄水器の使用環境を提供することができる。
【0042】
図8は、原水モードから浄水モードに切り換える制御部9の制御を示している。ステップS0で流路切換システム1の電源をONにすると、ステップS1で流路切換システム1が運転スタンバイ状態になる。運転スタンバイ状態では、第1開閉弁10は開に、第2開閉弁11は閉になるように制御部9により制御される。すなわち、運転スタンバイ状態では湯水混合栓20から原水が吐水できる状態となる。この状態を原水モードという。一方で、吐出口21から浄水が吐水できる状態を浄水モードという。
【0043】
ステップS2からステップS5では浄水モードの検出を行う。原水モードでセンサ13からのパルス信号の周波数が第1の閾値以上になると(ステップS2)、湯水混合栓20の操作レバー22が開となり、吐出口21から水道水が吐水されていると判断する。続いてセンサ13からのパルス信号の周波数が第2の閾値以下となり(ステップS3)、所定の時間内に(ステップS4)再びセンサ13からのパルス信号の周波数が第1の閾値以上になると(ステップS5)、湯水混合栓20の操作レバー22を閉にして所定の時間内に再度、開にする操作が行われたと判断する。このセンサ13のパルス信号の周波数が第1の閾値以上となり、次いで第2の閾値以下となった後、所定の時間内に再度第1の閾値以上になった操作を浄水モード切り換え操作という。
【0044】
第1の閾値は1L/分以上2L/分以下の範囲内の流量に相当する周波数に設定するのが好ましく、第2の閾値は0.5L/分以上1L/分未満の範囲内の流量に相当する周波数に設定するのが好ましい。本実施形態では、第1の閾値を1L/分以上2L/分以下の範囲内の流量に相当する周波数の10Hzに設定し、第2の閾値を0.5L/分以上1L/分未満の範囲内の流量に相当する周波数の5Hzに設定している。また、所定の時間は0.5秒~3.0秒の範囲内に設定するのが好ましい。
【0045】
この浄水モード切り換え操作を検出したら、制御部9は、第2開閉弁11を開いて(ステップS6)、次に第1開閉弁10を閉じる(ステップS7)。ステップ3において、パルス信号の周波数が第2の閾値以下にならなかった場合や(NO)、ステップ4において、所定の時間内に第2の閾値以下の状態が続いた場合や(NO)、ステップ5において、第1の閾値以上にならなかった場合は(NO)、原水モードを維持する。
【0046】
ステップS7の第1開閉弁10の閉を、ステップS6の第2開閉弁11の開よりも先に行ったり、ステップ7の第1開閉弁10閉とステップ6の第2開閉弁11の閉を同時に行ったりすると、流量が一瞬減少して第1の閾値を下回り、湯水混合栓20の操作レバー22を閉じて止水したと誤検知する可能性がある。しかし前記のとおり、ステップS6の第2開閉弁11の開を先に、ステップS7の第1開閉弁10の閉を後に行うことにより、誤検知することなく、原水モードから浄水モードに切り換えることができる。
【0047】
流路切換システム1が原水モードから浄水モードに切り換わったら、制御部9はステップS8で、通知部45からピッピッピッという間隔が長い断続音を発信させる(通知1)。これにより使用者は、流路切換システム1が原水モードから浄水モードに切り換わったことを認識できる。そして、積算時間、すなわち通水していると判断した時間の積算と、積算流量、すなわち流量に応じた信号の積算を開始する(ステップS9)。
【0048】
パルス信号の周波数が第1の閾値以上を維持した状態を確認し(ステップ10)、浄水モードに切り換わってからの積算時間が、捨て水閾値以上になった時点で(ステップ11)、制御部9はステップS12で、通知部45からピピピピピピという間隔が短い断続音を発信させる(通知2)。これにより使用者は、浄水器の滞留水の排水、すなわち捨て水が完了して、湯水混合栓20から吐出している浄水が飲用できると認識できる。
【0049】
ここで、浄水モードに切り換わってからの積算時間ではなく、浄水モードに切り換わってからの積算流量、すなわち流量に応じた信号の積算が捨て水閾値以上になった時点で通知部45から通知2を発信してもよい。湯水混合栓20の操作レバー22の開度が変わっても、滞留水を必要最小限に排出することができて経済的である。
【0050】
通知1は、断続音ではなく、音階を有するメロディや、ピーという連続音や、振動でも、光でもよい。通知2も、断続音ではなく、通知1と異なるメロディや、通知1と音程の異なる連続音や、通知1と周波数や振幅が異なる振動や、通知1と異なる色の光でもよい。いずれも従来の通知手段が適宜選択でき、音、光、振動を重複して採用することもできる。通知手段を選択できるようにすれば、使用者の好みに合わせることができる。
【0051】
通知1から通知2に切り換わったことが分かれば、使用者は、捨て水から飲用可能な浄水であることを正確に認識できる。捨て水を飲用したり、飲用可能な浄水を捨ててしまったりすることを防止できる。
【0052】
浄水モードでセンサ13からのパルス信号の周波数が第2の閾値以下になると(ステップ14)、湯水混合栓20の操作レバー22が閉となり、吐出口21からの浄水が止水されたと判断する。制御部9は、第2開閉弁11を閉じて(ステップS15)、次に第1開閉弁10を開く(ステップS16)。すなわち、流路切換システム1は浄水モードから原水モードに切り換わる。
【0053】
ステップ10やステップ11において、パルス信号の周波数が第1の閾値以上を維持しなかった場合も(NO)、制御部9は、第2開閉弁11を閉じて(ステップS15)、次に第1開閉弁10を開く(ステップS16)。すなわち、流路切換システム1は浄水モードから原水モードに切り換わる。
【0054】
図8には記載していないが、浄水モードに切り替わってからの積算時間が、所定時間を超えたときに、自動的に原水モードに切り換えてもよい。このとき、第2開閉弁11を閉じ次に第1開閉弁10を開くとともに、通知部45からの通知2の発信を止める。これにより、流路切換システム1が原水モードに切り換わったことを使用者は認識できる。この機能を付加すれば、浄水を出しっ放しにして無駄にしたり、浄水器の寿命を不用意に短くしたりすることを防止できる。
【0055】
リセットスイッチ44を操作してリセットしてからの積算流量、すなわち流量に応じた信号の積算が浄水器交換閾値を超えたとき、制御部9は、通知部45から通知1、通知2とは異なる音、光、振動を発信させる(通知3)。これにより使用者は、浄水器が寿命に達して交換が必要なことを認識できる。リセットスイッチ44を操作してリセットしてから1年を超えたときにも、通知部45から音、光、振動を発信してもよい。使用頻度が極端に低く、想定を超えた長期間の使用で不衛生になることを防ぐことができる。
【0056】
電源51の電圧が電池寿命閾値を下回ったことを制御部9が検知すると、制御部9は、通知部45から通知1、通知2、通知3とは異なる音、光、振動を発信させるようになっている(通知4)。これにより使用者は、電池が寿命に達して交換が必要なことを認識できる。
【0057】
次に、本発明にかかる流路切換システム1の動作について、
図9、
図10、
図11を参照して説明する。
【0058】
図9は、本実施形態における流路切換システム1の止水状態から浄水吐水までのタイムチャートである。湯水混合栓20の操作レバー22が閉じている状態(止水状態)では、第1開閉弁10は開、第2開閉弁11は閉になっている。湯水混合栓20の操作レバー22を右に止まるまで回した状態で押し上げると、湯水混合開閉弁23が開いて吐出口21から水道水が吐出される。第1開閉弁10は開いていて、第2開閉弁11は閉じており初期状態のままになっているので、原水路4には水道水がそのまま流れる。センサ13から水量に応じた信号が制御部9に届くと、制御部9ではその信号によって通水していることが判断される。引き続いて、操作レバー22を一度押し下げ、3秒以内に押し上げるという特殊な操作を行う。そうすると、センサ13から、止水と3秒以内の再通水を行うことによる特殊な流量変化に応じた信号が制御部9に届く。制御部9ではその信号によって、止水と3秒以内の再通水が行われたことが判断される。そして、制御部9は第2開閉弁11を開き、次に第1開閉弁10を閉じる操作を行う。これにより、吐出口21からは原水路4を通った水道水がそのまま出ていたが、水道水は分岐部5、原水用往路7を通って浄水器16に入り、浄水器16によって浄化された浄水が、浄水用復路8、合流部6を通って、吐出口21から出てくるようになる。
【0059】
図10は、本実施形態における流路切換システム1の浄水モードから原水モードに切換える動作のタイムチャートである。
図10に示すように、浄水吐水状態で操作レバー22を押し下げると、湯水混合開閉弁23が閉じて吐出口21からの浄水は止まる。そうすると、センサ13から制御部9へ届く信号が途絶えるか、センサ13から小さな水量に応じた信号しか制御部9へ届かなくなるので、制御部9では止水されたと判断し、間もなく第2開閉弁11を閉じて、第1開閉弁10を開く操作を行い、初期状態に戻す。
【0060】
図11は、本実施形態における流路切換システムの原水使用時の動作のタイムチャートである。
図11に示すように、操作レバー22を押し上げると、湯水混合開閉弁23が開いて吐出口21から水道水が吐出される。第1開閉弁10は開いていて、第2開閉弁11は閉じており初期状態のままになっているので、原水路4には水道水がそのまま流れる。センサ13から水量に応じた信号が制御部9に届くと、制御部9ではその信号によって通水していることが判断される。引き続いて操作レバー22を押し下げると、湯水混合開閉弁23が閉じて吐出口21からの水道水の吐出が止まる。センサ13からの信号も途絶えるので、制御部9で止水していることが判断される。操作レバー22を一度押し下げ、3秒以内に押し上げるという特殊な操作を行っていないので、制御部9は止水後に3秒以内の再通水が行われていないと判断し、第1開閉弁10は開いたまま、第2開閉弁11は閉じたままとなる。
【0061】
上述のように、本発明の実施形態にかかる流路切換システム1を用いれば、湯水混合栓の操作レバーの簡易な操作で、原水モードと浄水モードとを切り換えることができる。特許文献1のように、高価な浄水器用の特別な湯水混合・複合水栓を購入する必要が無く、既設の水栓にもアンダーシンク浄水器が設置できる。特許文献2のように操作用のタッチパネルを設置したり、押し釦を設置したり、配線を引き回したりする工事も必要無い。既設のシンクに穴を開ける工事を行う必要も無く、容易にアンダーシンク浄水器を設置できる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について記述してきたが、あくまでも例示であり、限定的に解釈されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良を加えた態様において実施され得るものである。その実施態様が本発明の主旨に合致し、本発明の特徴を含む限り、本発明の範囲に包含されるものである。
【実施例0063】
<実施例1>
本発明の流路切換システムと、KVK社製の流し台用シングル式シャワー付混合栓KM5021TEC(湯水混合栓)と、東レ社製のアンダーシンク型浄水器SK88と、水供給源と、湯供給源とを接続した。
【0064】
シングルレバーを右に止まるまで回した状態で押し上げると、シャワー吐出口から水道水が勢いよく吐出された。シングルレバーを一度押し下げ、1.5秒後に押し上げる操作を行うと、ピッピッピッという間隔が長い断続音が聞こえ、流路切換システムが原水モードから浄水モードに切り換わったことを認識した。切り換わりに際し、流量が若干減って3.5L/分になったが、止水することはなかった。15秒後にピピピピピピという間隔が短い断続音に変わり、浄水器の滞留水の排水、すなわち捨て水が完了して、浄水が飲用できることを認識した。シングルレバーを押し下げると、シャワー吐出口からの浄水が止まり、同時にピピピピピピという間隔が短い断続音も止まった。
【0065】
<実施例2>
本発明の流路切換システムと、KVK社製の立型自在水栓K16NDSSE(湯水混合機能が無い単水栓)と、東レ社製のアンダーシンク型浄水器SK88と、水供給源と、湯供給源とを接続した。
水栓の根元の回転レバーを右に回すと、吐出口から水道水が勢いよく吐出された。回転レバーを一度左に止まるまで回し、1.5秒後に右に回す操作を行うと、ピッピッピッという間隔が長い断続音が聞こえ、流路切換システムが原水モードから浄水モードに切り換わったことを認識した。切り換わりに際し、流量が若干減って3.5L/分になったが、止水することはなかった。15秒後にピピピピピピという間隔が短い断続音に変わり、浄水器の滞留水の排水、すなわち捨て水が完了して、浄水が飲用できることを認識した。回転レバーを止まるまで左に回すと下げると、吐出口からの浄水が止まり、同時にピピピピピピという間隔が短い断続音も止まった。
【0066】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0067】
なお、本出願は、2019年11月11日出願の日本特許出願(特願2019-203685)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
【0068】
前記実施形態から把握できる技術的思想について記載する。
(1)浄水システムに使用される流路切換システムであって、
流入口と流出口とを有する原水路と、
浄水器に接続される原水用往路および浄水用復路と、
前記原水路に設けられ、前記流入口から原水路を流れてきた原水を前記原水用往路に分
岐する分岐部と、
前記原水路の前記分岐部から前記流出口までの間に設けられ、浄水器により浄化されて
前記浄水用復路を流れてきた浄水を原水路に合流させる合流部と、
前記原水路の前記分岐部と前記合流部との間に設けられた第1開閉弁と、
前記原水用往路に設けられた第2開閉弁と、
前記原水路の前記流入口から前記分岐部までの間または前記合流部から前記流出口までの間に設けられたセンサであって、原水路を流れる水の状態を測定するセンサと、
前記センサからの信号に基づいて、前記第1開閉弁および前記第2開閉弁を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記センサから、前記原水路に水が流れている状態を示す信号を受信し、次いで前記原水路に水が流れていない状態を示す信号を受信し、次いで所定時間内に再び前記原水路に水が流れている状態を示す信号を受信したときに、前記第2開閉弁を開き、かつ前記第1開閉弁を閉じる制御を行う、流路切換システム。
【0069】
(2)前記センサが、前記原水路を流れる水の流量に応じた周波数のパルス信号を出すフローセンサであり、前記原水路に水が流れている状態を示す信号が、周波数が第1の閾値以上のパルス信号であり、前記原水路に水が流れていない状態を示す信号が、周波数が第2の閾値以下のパルス信号である、技術的思想(1)の流路切換システム。
【0070】
(3)前記第1の閾値が、1L/分以上2L/分以下の範囲内の流量に相当する周波数に設定され、前記第2の閾値が、0.5L/分以上1L/分未満の範囲内の流量に相当する周波数に設定された、技術的思想(2)の流路切換システム。
【0071】
(4)音、光および/または振動を出す通知部をさらに備え、
前記制御部が、前記第2開閉弁が開いている間の前記フローセンサからのパルス信号に基づいて使用量を積算し、この積算値が浄水器交換閾値以上になったときに、前記通知部へ浄水器の交換を促す信号を出し、
前記通知部が、前記制御部からの前記浄水器の交換を促す信号を受信したときに、浄水器の交換を促すための音、光および/または振動を出す、技術的思想(2)または(3)の流路切換システム。
【0072】
(5)音、光および/または振動を出す通知部をさらに備え、
前記制御部が、前記第2開閉弁が閉じてから次に開くまでの間の前記フローセンサからのパルス信号に基づいて使用量を積算し、この積算値が捨て水閾値以上になったときに、前記通知部へ浄水器の使用を促す信号を出し、
前記通知部が、前記制御部からの前記浄水器の使用を促す信号を受信したときに、浄水器の使用を促すための音、光および/または振動を出す、技術的思想(2)~(4)のいずれか1項の流路切換システム。
【0073】
(6)音、光および/または振動を出す通知部をさらに備え、
前記制御部が、電池を備え、電池の電圧が電池寿命閾値以上になったときに、前記通知部へ電池の交換を促す信号を出し、
前記通知部が、前記制御部からの前記電池の交換を促す信号を受信したときに、電池の交換を促すための音、光および/または振動を出す、技術的思想(2)~(5)のいずれか1項の流路切換システム。
【0074】
(7)技術的思想(1)~(6)のいずれか1項の流路切換システムと、原水入口および浄水出口を有する浄水器とを備え、
前記流路切換システムの前記原水用往路と前記浄水用復路が、前記浄水器の前記原水入口と前記浄水出口にそれぞれ接続された、浄水システム。
【0075】
(8)前記流路切換システムは、
前記原水路が連結部で分割できる構造であり、
前記流入口と前記流出口を有する前記原水路の部分を含む第1流路切換ユニットと、前記分岐部と前記合流部を有する前記原水路の部分を含む第2流路切換ユニットとで構成されており、
前記第1流路切換ユニットと前記第2流路切換ユニットとが前記連結部で連結されることで、一体化されている技術的思想1に記載の流路切換システム。
【0076】
(9)前記流路切換システムは、
前記原水路が連結部で分割できる構造であり、
前記流入口と前記流出口を有する前記原水路の部分を含む第1流路切換ユニットと、前記三方弁と前記合流部を有する前記原水路の部分を含む第2流路切換ユニットとで構成されており、
前記第1流路切換ユニットと前記第2流路切換ユニットとが前記連結部で連結されることで、一体化されている技術的思想2の流路切換システム。
【0077】
(10)前記原水路、前記原水用往路および前記浄水用復路が、硬質樹脂材料で成形されている技術的思想1~3のいずれかの流路切換システム。
【0078】
(11)前記原水路が、前記流入口の下流で略90度屈曲した後の直管往路、直管往路に続くUターン路、およびUターン路に続く直管復路を有し、前記直管往路と前記直管復路とで略同軸上の二重管になっている技術的思想1~3のいずれかの流路切換システム。
【0079】
(12)前記流出口と前記浄水用復路とが、それぞれの中心軸が同軸になる位置関係にある技術的思想1~3のいずれかの流路切換システム。