(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144586
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A47J27/00 109G
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024118918
(22)【出願日】2024-07-24
(62)【分割の表示】P 2023005927の分割
【原出願日】2018-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】平川 功
(57)【要約】
【課題】蓋の開放状態での加熱調理が可能であって、多彩な調理メニューを実行することができる加熱調理器を実現すること。
【解決手段】加熱調理器(1)は、外蓋(31)を閉めた状態で加熱調理を実行し、外蓋(31)を開けた状態で加熱調理を実行することで、多彩な調理メニューを実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器本体に投入された食材を加熱調理する加熱調理器であって、
調理器本体の食材投入口を開閉する蓋と、
上記蓋の開閉を検知する開閉検知部と、
上記開閉検知部の検知結果に応じた加熱調理工程により、上記調理器本体の加熱調理制御を行う調理制御部と、を備え、
上記調理制御部は、
上記開閉検知部によって上記蓋が閉じたことを検知した場合、第1加熱調理工程を実行し、
上記開閉検知部によって上記蓋が開いたことを検知した場合、第2加熱調理工程を実行し、
一つの調理メニューに上記第1加熱調理工程と上記第2加熱調理工程とを少なくとも含み、
上記第1加熱調理工程が終了したことを報知する報知部がさらに設けられ、
上記調理制御部は、
上記第2加熱調理工程を実行している間、上記開閉検知部によって上記蓋が閉じたことを検知した場合、加熱停止を行うと共に、加熱停止したことを上記報知部に報知させることを特徴とする、加熱調理器。
【請求項2】
表示部をさらに備え、
上記調理制御部は、
上記開閉検知部によって上記蓋が閉じたことを検知した場合、前記表示部に第1表示を実行し、
上記開閉検知部によって上記蓋が開いたことを検知した場合、前記表示部に第2表示を実行させることを特徴とする、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記表示部は、前記調理器本体に設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材を加熱調理する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱調理器は、調理器本体に食材を投入し、当該調理器本体に蓋をしてから加熱調理を実行する。通常、調理が実行されると調理終了まで蓋を開けないが、調理の途中で蓋を開ける加熱調理器として、例えば特許文献1に開示された電気炊飯器がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された電気炊飯器は、炊き込み炊飯メニューを実行する際に、加熱途中で蓋を開けて、追加の具材を投入し、再度蓋を閉じて調理を継続している。この種の加熱調理器において、蓋を閉めた状態で加熱調理を行っている途中で蓋を開ける場合、一旦加熱を止めて、再度蓋が閉じてから加熱を再開している。つまり、従来の加熱調理器では、蓋を閉めた状態で加熱調理を行っている途中で蓋を開けて、蓋を開けた状態で加熱調理を継続していない。
【0005】
このように、従来の加熱調理器では、加熱調理を行う場合には蓋を閉じて行うことが必要であり、蓋を開けた状態で加熱調理を行うことは想定していない。
【0006】
従って、従来の加熱調理器では、調理開始から終了までの間に、蓋を閉じた加熱調理と蓋を開けた加熱調理とを組み合わせて行う調理メニュー、あるいは、蓋を閉じた加熱調理のみを行う調理メニュー、蓋を開けた加熱調理のみを行う調理メニューのように、多彩な調理メニューを実行することは想定していない。
【0007】
本発明の一態様は、蓋の開放状態での加熱調理が可能であって、多彩な調理メニューを実行することができる加熱調理器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る加熱調理器は、調理器本体に投入された食材を加熱調理する加熱調理器であって、調理器本体の食材投入口を開閉する蓋と、上記蓋の開閉を検知する開閉検知部と、上記開閉検知部の検知結果に応じた加熱調理工程により、上記調理器本体の加熱調理制御を行う調理制御部と、を備え、上記調理制御部は、上記開閉検知部によって上記蓋が閉じたことを検知した場合、第1加熱調理工程を実行し、上記開閉検知部によって上記蓋が開いたことを検知した場合、第2加熱調理工程を実行し、一つの調理メニューに上記第1加熱調理工程と上記第2加熱調理工程とを少なくとも含み、上記第1加熱調理工程が終了したことを報知する報知部がさらに設けられ、上記調理制御部は、上記第2加熱調理工程を実行している間、上記開閉検知部によって上記蓋が閉じたことを検知した場合、加熱停止を行うと共に、加熱停止したことを上記報知部に報知させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、蓋の開放状態での加熱調理が可能であって、多彩な調理メニューを実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態の加熱調理器の蓋体を閉じた状態の斜視図である。
【
図2】
図1に示した加熱調理器の蓋体を開いた状態の斜視図である。
【
図3】
図1に示した加熱調理器の制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1に示した加熱調理器における調理制御の流れを示すフローチャートである。
【
図5】
図1に示した加熱調理器における他の調理制御の流れを示すフローチャートである。
【
図6】本発明の他の実施形態の加熱調理器の蓋体を閉じた状態の斜視図である。
【
図7】
図6に示した加熱調理器の蓋体を開いた状態の斜視図である。
【
図8】
図6に示した加熱調理器の制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図9】
図6に示した加熱調理器における操作表示部における表示例を示す図である。
【
図10】
図6に示す加熱調理器の操作表示部の表示制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。
図1は、本発明の実施形態の加熱調理器の蓋体を閉じた状態の斜視図である。
図2は、
図1に示した加熱調理器の蓋体を開いた状態の斜視図である。
【0012】
(加熱調理器の概要)
図1および
図2に示すように、加熱調理器1は、調理器本体11、蓋体12および内鍋13を備えている。
【0013】
(調理器本体部)
調理器本体11は、内鍋収容部21、加熱部22、温度センサ23および重量センサ24(
図3)を備えている。
【0014】
内鍋収容部21は、調理器本体11に形成された凹部であり、内鍋13を収容する。加熱部22は、内鍋収容部21に収容された内鍋13すなわち食材を加熱する。加熱部22は、例えば誘導加熱コイルからなるものの、これに限定されず、従来周知の加熱手段を使用可能である。温度センサ23は内鍋13の温度を検知する。重量センサ24は、内鍋13が収容している食材の重さを検出する。
【0015】
(蓋体)
蓋体(蓋)12は、調理器本体11に開閉可能に取り付けられ、調理器本体11に収納された内鍋13の開口を開閉するようになっている。蓋体12は、外蓋31、内蓋32および撹拌機構33を備えている。
【0016】
外蓋31は、ヒンジバネ31aを介して調理器本体11と連結されている。内蓋32は、外蓋31に着脱可能に取り付けられ、蓋体12の閉状態において内鍋13を塞ぐようになっている。
【0017】
外蓋31の内部には、制御部(調理制御部、機能制御部)34、モータ35およびスピーカ36が設けられている。
【0018】
制御部34は、CPUからなり、加熱調理器1における各種動作、特に食材に対する加熱調理の動作を制御する。制御部34は、ROM(Read Only Memory)が記憶しているプログラムや入力データ等に基づいて加熱部22や撹拌機構33等を制御し、選択された料理に応じた調理を加熱調理器1に実行させる。なお、制御部34の配置場所は特に限定されず、例えば、調理器本体11に配置されていてもよい。モータ35は撹拌機構33を回転させる。スピーカ36はユーザに情報を通知する音声を出力する。
【0019】
外蓋31の上面には、操作および表示のための操作表示部37が設けられている。操作表示部37は、表示部371を有し、表示部371の周りに種々の操作ボタン372を有している。操作ボタン372には、各種選択ボタン、スタート・決定ボタンおよび取消しボタンの他、加熱調理器1に対して各種動作を指令する種々のボタンが含まれている。スタート・決定ボタンは、予約調理を含む調理の開始を指示するための操作ボタンである。
【0020】
表示部371は、操作ボタン372に対するユーザの操作等に応じて、ユーザが選択する各種情報を表示する。
【0021】
(撹拌機構)
撹拌機構33は、モータ35に駆動されて回転し、調理中に内鍋13内の食材を適宜撹拌する。撹拌機構33は、内蓋32における内鍋13との対向面側に着脱可能に取り付けられ、2本の撹拌アーム331および回転体332を有する。撹拌アーム331は、回転体332に取り付けられ、撹拌機構33の非使用時には倒伏状態(実線)となり、撹拌機構33の使用時には起立状態(二点鎖線)となる。
【0022】
(内鍋13)
内鍋13は、調理器本体11の内鍋収容部21に配置される。内鍋13には、料理の種類に応じて、調理対象となる食材(野菜、肉、魚、調味料等)が収容される。内鍋13は、例えばアルミニウム等の高熱伝導部材で形成されている。
【0023】
(加熱調理器の制御装置)
図3は、加熱調理器1の制御装置の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、加熱調理器1の制御装置は制御部34を備え、制御部34には、加熱部22、温度センサ23、重量センサ24、モータ駆動回路38、スピーカ駆動回路39、操作表示部37、計時部40、蓋開閉センサ(開閉検知部)41および記憶部42が接続されている。
【0024】
モータ駆動回路38は、制御部34に制御されてモータ35を駆動し、スピーカ駆動回路39は、制御部34に制御されてスピーカ36を駆動する。計時部40はタイマ機能を有し時間を計時する。
【0025】
蓋開閉センサ41は、外蓋31の開閉を検知するセンサであり、検知した信号を制御部34に送る。制御部34は、外蓋31の開閉に応じた加熱調理を実行するように加熱部22を制御する。加熱調理制御の詳細は、後述する。
【0026】
記憶部42は、料理ごとの調理について、制御部34が加熱部22および撹拌機構33等に対して行う制御内容の情報を記憶している。特に、加熱調理器1は予約調理により、多数の料理について調理の開始から終了まで自動的に行うことができるようになっている。そこで、記憶部42は、予約調理について、料理ごとの調理の開始から調理の完了までの加熱部22および撹拌機構33等に対して制御部34が行う制御内容の情報(以下、予約調理情報と称する)を記憶している。また、記憶部42は、予約調理ではない通常調理について、料理ごとの調理の開始から調理の完了までの加熱部22および撹拌機構33等に対して制御部34が行う制御内容の情報(以下、通常調理情報と称する)を記憶している。なお、通常調理情報には、外蓋31の開閉状態を含めた調理メニュー、すなわち調理開始から調理終了までの間に、外蓋31を閉じた状態で加熱する工程、外蓋31を開けた状態で加熱する工程を含む調理メニューが含まれている。
【0027】
また、記憶部42には、操作ボタン372による各種設定情報や調理等の際のスピーカ36による発話すべき内容を示す発話情報が記憶されている。
【0028】
制御部34は、記憶部42が記憶している制御内容に従って、加熱部22、モータ35を駆動するモータ駆動回路38、およびスピーカ36を駆動するスピーカ駆動回路39の動作を制御する。
【0029】
具体的には、制御部34は、記憶部42が記憶している調理情報(予約調理情報、通常調理情報)に基づいて調理を実行するために各部を制御する。この場合、制御部34は、食材の温度が調理情報に規定された所定の温度となるように、加熱部22の動作を制御する。
【0030】
制御部34は、温度センサ23が検知する内鍋13の温度、重量センサ24が検知する食材の重量、および加熱部22による加熱時間によって、間接的に、内鍋13内の食材の温度を検知する。
【0031】
すなわち、加熱調理器1は、温度センサ23が検知する温度、食材の重量および加熱時間と食材の温度とを対応付けたデータを記憶部42に格納している。制御部34は、上記データを参照して、温度センサ23が検知する温度、食材の重量および加熱時間から、内鍋13内の食材の温度を検知する。
【0032】
(加熱調理制御)
加熱調理器1は、蓋開閉センサ41によって蓋が閉じたことを検知した場合、蓋を閉めた状態で加熱調理を実行するための第1加熱調理工程を実行し、蓋開閉センサ41によって蓋が開いたことを検知した場合、蓋を開けた状態で加熱調理を実行するための第2加熱調理工程を実行するように加熱調理制御する。
【0033】
具体的には、加熱調理器1は、1つの調理メニューで、外蓋31を閉めた状態と、外蓋31を開けた状態の両方で加熱調理できるようになっている。つまり、加熱調理器1は、調理開始から調理終了までの間に、外蓋31を閉じた状態で加熱する工程(第1加熱調理工程)、外蓋31を開けた状態で加熱する工程(第2加熱調理工程)、外蓋31を閉じた状態で加熱する工程(第3加熱調理工程)を含む調理メニューを実行できるようになっている。このような調理メニューを実行した場合、例えば
図4に示すような加熱調理制御となる。以下の加熱調理制御の説明では、外蓋31と内蓋32とを含めて蓋として説明する。つまり、蓋を開けるとは、外蓋31と内蓋32とを開けること、蓋を閉めるとは、外蓋31と内蓋32を閉めることを意味する。
【0034】
図4に示す加熱調理制御は、調理開始時に蓋を閉じた状態で調理する第1加熱調理工程を実行し、所定時間経過後、調理終了まで、蓋を開けた状態で調理する第2加熱調理工程または第3加熱調理工程を実行する例を示している。
【0035】
すなわち、ユーザによって選択された調理メニューを実行すると、まず、第1加熱調理工程を実行し(ステップS11)、第1加熱調理工程によって予め定められた加熱時間が経過すると、加熱を終了するので、加熱終了か否かを判定する(ステップS12)。
【0036】
第1加熱調理工程における加熱が終了と判定されれば、ユーザに第1加熱調理工程が終了したことを報知する(ステップS13)。ここでは、加熱調理器1に内蔵されたスピーカ(報知部)36から第1加熱調理工程が終了したことを報知する音、音声等を発するようにする。ユーザへの報知の方法としては、音、音声以外に、操作表示部37の表示部371に第1加熱調理工程が終了したことを示す表示を行ってもよいし、音と表示を組み合わせてもよい。
【0037】
続いて、蓋が開放されたか否かを判定する(ステップS14)。具体的には、蓋開閉センサ41の検知信号に基づき蓋の開閉を判定する。ここで、蓋が開放されたと判定されれば、蓋を開けた状態で加熱調理する第2加熱調理工程を実行し(ステップ15)、第2加熱調理工程によって予め定められた加熱時間が経過すると、加熱を終了するので、加熱終了か否かを判定する(ステップS16)。第2加熱調理工程における加熱が終了と判定されれば、加熱調理を終了する。
【0038】
一方、ステップS14において、蓋が開放されなければ、所定時間経過したか否かが判定される(ステップS17)。ここで、所定時間経過していると判定されれば、加熱調理器1の近くにユーザが居ないと判断し、ステップS18に移行して、第2加熱調理工程の代わりに第3加熱調理工程を実行する(ステップS18)。ここで、第3加熱調理工程は、加熱調理を再開する際、第2加熱調理工程において実行する加熱調理の加熱温度および加熱時間と異なる加熱温度および加熱時間で加熱調理する。例えば、第3加熱調理工程では、蓋を閉じた状態で加熱調理するため、加熱温度を第2加熱調理工程における加熱温度よりも低く、且つ、加熱時間を第2加熱調理工程における加熱時間よりも短くしている。また、第3加熱調理工程では、蓋を閉じた状態で加熱調理するため、加熱温度を第2加熱調理工程における加熱温度よりも低いか、あるいは、加熱時間を第2加熱調理工程における加熱時間よりも短くしてもよい。これにより、蓋を開けた状態で加熱調理する第2加熱調理工程の調理状態に近づけることができる。
【0039】
その後、第3加熱調理工程によって予め定められた加熱時間が経過すると、加熱を終了するので、加熱終了か否かを判定する(ステップS19)。第3加熱調理工程における加熱が終了と判定されれば、加熱調理を終了する。ここで、第3加熱調理工程の加熱時間は、第2加熱調理工程の加熱時間と同じにしてもよいし、第2加熱調理工程の加熱時間と異なる加熱時間を予め設定していてもよい。
【0040】
図4に示す加熱調理制御では、第2加熱調理工程を実行している間、蓋を開けた状態を維持していることを想定して説明している。
【0041】
図5に示す加熱調理制御では、第2加熱調理工程を実行している間に蓋が閉じた場合にどのように加熱調理制御をしているかを示している。
【0042】
すなわち、第2加熱調理工程を実行中(ステップS21)、蓋が閉じたか否かを判定する(ステップ22)。ここで、蓋が閉じなければ(No)、第2加熱調理工程によって予め定められた加熱時間が経過すると、加熱を終了するので、加熱終了か否かを判定する(ステップS23)。第2加熱調理工程における加熱が終了と判定されれば、加熱調理を終了する。
【0043】
一方、ステップS22において、蓋が閉じたと判定(Yes)されれば、加熱を停止し(ステップS24)、ユーザに加熱停止したことを報知する(ステップS25)。続いて、蓋が開いたか否かを判定し(ステップS26)、蓋が開いたと判定されれば、加熱を再開し(ステップS27)、ステップS22に移行し、蓋が閉じたか否かを判定する。
【0044】
(効果)
以上のように、上記構成の加熱調理器1は、蓋を閉じた状態はもちろん、蓋を開いた状態でも加熱調理が可能であるため、多彩な調理メニューを実行することができる。
【0045】
ところで、加熱調理器1において、蓋を開けた状態の加熱調理である第2加熱調理工程を実行する際、ユーザは特に加熱調理器1を操作する必要はないように自動で加熱制御を行っているが、場合によっては加熱調理器1を操作する必要が生じる。そのような場合、
図2に示すように、外蓋31が開いた状態であれば、当該外蓋31に設けられた操作表示部37の操作することになるが、ユーザからは調理器本体11を介した位置に操作表示部37があるため、操作がし難いという問題が生じる。
【0046】
そこで、第2加熱調理工程を実行する場合、外蓋31を調理器本体11から完全に取り外せるようにし、取り外した外蓋31に設けられた操作表示部37を操作するようにするようにしてもよい。
【0047】
あるいは、調理器本体11側に操作表示部を設けることで、外蓋31を開けた状態であっても、ユーザが操作し易いようにしてもよい。
【0048】
以下の実施形態2では、調理器本体11側に操作表示部を設けた例について説明する。
【0049】
〔実施形態2〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0050】
(加熱調理器の概要)
図6および
図7に示すように、加熱調理器1Aは、前記実施形態1の加熱調理器1と同様に、調理器本体11、蓋体12および内鍋13を備えている。前記実施形態1の加熱調理器1と異なるのは、加熱調理器1Aを操作するための操作表示部(本体側操作表示部43)が調理器本体11にも設けられている点である。なお、本実施形態では、本体側操作表示部43と外蓋31に設けられた操作表示部37とは同じ機能を有するものとして説明する。
【0051】
(加熱調理器の制御装置)
図8は、加熱調理器1の制御装置の構成を示すブロック図である。
図8に示すように、加熱調理器1Aの制御装置は制御部34を備え、制御部34には、加熱部22、温度センサ23、重量センサ24、モータ駆動回路38、スピーカ駆動回路39、操作表示部37、計時部40、蓋開閉センサ41、記憶部42および本体側操作表示部43が接続されている。
【0052】
本体側操作表示部43は、
図7に示すように、調理器本体11の手前側、すなわち、外蓋31のヒンジ部に対向する側に設けられている。本体側操作表示部43は、タッチパネル式の液晶表示部からなり、加熱調理器1Aの全ての機能を操作できるように操作キーを全て表示する第1表示(フル表示)と、加熱調理器1Aの一部の機能のみを操作できるように操作キーを絞って表示する第2表示(簡易表示)とを必要に応じて切替え可能となっている。
【0053】
本体側操作表示部43におけるフル表示では、例えば
図9の(a)に示すように、表示部431の周りに種々の操作ボタン432が表示されている。操作ボタン432には、各種選択ボタン、スタート・決定ボタンおよび取消しボタンの他、加熱調理器1に対して各種動作を指令する種々のボタンが含まれている。本体側操作表示部43におけるフル表示は、例えば外蓋31に設けられた操作表示部37の機能と同じ機能を実行できるように操作ボタン432を設定してもよいし、操作表示部37よりも絞った機能を実行できるように操作ボタン432を設定してもよいし、操作表示部37よりも多くの機能を実行できるように操作ボタン432を設定してもよい。
【0054】
一方、本体側操作表示部43における簡易表示は、例えば
図9の(b)に示すように、表示部431の周りには、温度調整キー、とりけしキーの操作ボタン432を有している。このように、簡易表示では、操作できる機能を絞っている。
【0055】
ここで、本体側操作表示部43における第1表示(フル表示)と第2表示(簡易表示)の切替え制御について以下に説明する。
【0056】
(表示制御)
図10は、本体側操作表示部43における第1表示(フル表示)と第2表示(簡易表示)の切替え制御の処理の流れを示す。ここでは、調理メニューのうち、最初、外蓋31を閉じた状態で調理し、所定時間経過後に、外蓋31を開けた状態で調理する例について説明する。
【0057】
まず、本体側操作表示部43が
図9の(a)に示すフル表示状態(ステップS31)であるとき、外蓋31が開いたか否かを判定する(ステップS32)。ここでは、蓋開閉センサ41によって、外蓋31が開いたことを検知し、検知した信号を制御部34に送る。
【0058】
次に、ステップS32において、外蓋31が開いたと判定されれば、簡易表示を実行(ステップS33)する。ここでは、制御部34は、蓋開閉センサ41から外蓋31が開いたことを示す検知信号を受け取り、本体側操作表示部43に
図9の(b)に示す簡易表示をさせる。
【0059】
続いて、外蓋31が閉まったか否かを判定し(ステップS34)、外蓋31が閉まったと判定されれば、ステップS31に移行して、再度、フル表示を行う。ここでは、制御部34は、蓋開閉センサ41から外蓋31が閉まったことを示す検知信号を受け取り、本体側操作表示部43に、再び
図9の(a)に示すフル表示を行わせる。
【0060】
(効果)
このように、外蓋31の開閉に連動して本体側操作表示部43の表示を切替えることで、外蓋31の開閉に連動した調理が実行される際に、ユーザの操作性を向上させることができる。例えば、外蓋31を開いた状態で実行する調理工程(第2加熱調理工程)中は、通常、温度設定、取消しなどの操作で十分であるため、これらの操作キー以外を表示させた場合、ユーザが操作に迷う恐れがある。しかしながら、上述した通り、必要な操作キーのみが表示されていれば、本体側操作表示部43を見ても操作に迷うことはない。
【0061】
なお、本実施形態では、外蓋31を閉じた状態で本体側操作表示部43のフル表示を行うようにしているが、これに限定されるものではなく、外蓋31を開けた状態であっても本体側操作表示部43をフル表示にしてもよい。特に、加熱調理器1Aのように、外蓋31の操作表示部37、調理器本体11の本体側操作表示部43の2つの操作表示部が設けられている場合、外蓋31を開けた状態では操作表示部37がユーザにとって操作し難い位置となるため、調理器本体11の本体側操作表示部43がフル表示されていれば、ユーザが種々の操作を行うことが可能となる。
【0062】
また、加熱調理器1Aのように、2つの操作表示部を設けた場合、ユーザはどちらの操作表示部を操作すればよいか迷う恐れがある。特に、外蓋31が閉じた状態では、2つの操作表示部の両方がユーザにとって操作しやすい位置にあるため、ユーザはどちらの操作表示部を操作すればよいか迷う恐れがたかい。そこで、外蓋31が閉じた状態では、外蓋31に設けられた操作表示部37の操作のみを受付け、調理器本体11に設けられた本体側操作表示部43の操作を受付けないようにしてもよいし、外蓋31が開いた状態では、外蓋31に設けられた操作表示部37の操作を受付けないようにし、調理器本体11に設けられた本体側操作表示部43の操作のみを受付けるようにする。これにより、ユーザは操作すべき操作部がどちらであるかを容易に判断することができるので、操作すべき操作表示部を迷う恐れがない。
【0063】
さらに、外蓋31が開いた状態では、外蓋31に設けられた操作表示部37の操作を受付けないようにし、調理器本体11に設けられた本体側操作表示部43の操作のみを受付けるようにした場合、本体側操作表示部43の表示は、
図9の(a)に示すようなフル表示であってもよいし、
図9の(b)に示すような簡易表示であってもよい。
【0064】
〔実施形態3〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1,2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0065】
本実施形態に係る加熱調理器は、前記実施形態2の加熱調理器1Aと殆ど同じ構成であり、2つの操作表示部(操作表示部37,本体側操作表示部43)の何れか一方のみが設けられ点で異なるが、前記実施形態2と同様に操作表示部の表示を外蓋31の開閉に連動して、フル表示、簡易表示の何れかに切替えるようになっている。
【0066】
例えば
図1に示す加熱調理器1のように、外蓋31側にのみ操作表示部37が設けられている場合、外蓋31が閉じた状態では操作表示部37は、
図9の(a)に示すように、フル表示を行い、外蓋31が開いた状態では操作表示部37は、
図9の(b)に示すように、簡易表示を行う。なお、外蓋31が開いた状態とは、
図2に示すように、外蓋31が調理器本体11とヒンジで繋がった状態と、図示しないが、外蓋31調理器本体11から完全に取り外された状態とを含む。外蓋31が調理器本体11とヒンジで繋がった状態では、外蓋31が開いて操作表示部37に簡易表示されても、操作し難いが、外蓋31が調理器本体11から完全に取り外された状態では、外蓋31が開いて操作表示部37に簡易表示されても、操作し易い。
【0067】
また、外蓋31に操作表示部37が設けられず、調理器本体11にのみ本体側操作表示部43が設けられた場合も、上述した通り、外蓋31が閉じた状態では本体側操作表示部43は、
図9の(a)に示すように、フル表示を行い、外蓋31が開いた状態では本体側操作表示部43は、
図9の(b)に示すように、簡易表示を行う。
【0068】
なお、
図9の(a)(b)に示すフル表示、簡易表示は一例であり、これらの例に限定されるものではない。また、これらの表示例は、通信ネットワークを介してインターネット上のサーバ等からダウンロードして得てもよい。
【0069】
〔ソフトウェアによる実現例〕
加熱調理器1,1Aの制御ブロック(特に制御部34)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0070】
後者の場合、加熱調理器1,1Aは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0071】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0072】
1,1A 加熱調理器
11 調理器本体
12 蓋体
13 内鍋
21 内鍋収容部
22 加熱部
23 温度センサ
24 重量センサ
31 外蓋
31a ヒンジバネ
32 内蓋
33 撹拌機構
34 制御部
35 モータ
36 スピーカ(報知部)
37 操作表示部
38 モータ駆動回路
39 スピーカ駆動回路
40 計時部
41 蓋開閉センサ(開閉検知部)
42 記憶部
43 本体側操作表示部
331 撹拌アーム
332 回転体
371 表示部
372 操作ボタン
431 表示部
432 操作ボタン