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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144593
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20241003BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01L21/304 643A
H01L21/304 651B
H01L21/30 572B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024119239
(22)【出願日】2024-07-25
(62)【分割の表示】P 2020156718の分割
【原出願日】2020-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】石川 秀和
(72)【発明者】
【氏名】藤井 定
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 亨
(72)【発明者】
【氏名】田村 零央
(57)【要約】
【課題】基板処理動作の終了後の基板の清浄度を向上させることが可能な基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置100は、基板処理部1aと、搬送保持部Hを有する基板搬送部2と、制御部110とを備える。基板処理部1aは、基板Wを水平姿勢で保持する基板保持部11と、基板保持部11に保持された基板Wに対向する対向面31aを有し、基板保持部11から上方に離間した第1の高さ位置と第1の高さ位置よりも低い第2の高さ位置との間で昇降可能に構成された対向部材31と、対向部材31を昇降させる昇降駆動部36とを含む。制御部110は、基板処理動作の終了時点から予め定められた維持時間が経過するまで対向部材31が第2の高さ位置で保持された後、対向部材が第2の高さ位置から第1の高さ位置に上昇するように昇降駆動部36を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に処理液を用いた基板処理動作を行う基板処理部と、
基板を保持して前記基板処理部に対して基板を搬入および搬出する搬送保持部を有する基板搬送部と、
前記基板処理部および前記基板搬送部を制御する制御部とを備え、
前記基板処理部は、
基板を水平姿勢で保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された基板に対向する対向面を有し、前記基板保持部から上方に離間した第1の高さ位置と前記第1の高さ位置よりも低い第2の高さ位置との間で昇降可能に構成された対向部材と、
前記対向部材を昇降させる昇降駆動部とを含み、
前記制御部は、前記基板処理動作の終了時点から予め定められた維持時間が経過するまで前記対向部材が前記第2の高さ位置で保持された後、前記対向部材が前記第2の高さ位置から前記第1の高さ位置に上昇するように前記昇降駆動部を制御する、基板処理装置。
【請求項2】
前記基板保持部は、基板を垂直方向の軸の周りで回転させる回転保持部であり、
前記制御部は、前記基板処理動作の終了時点で基板の回転が停止するように前記回転保持部を制御し、
前記回転保持部により保持された基板の回転が停止した状態で前記維持時間が経過するまで前記対向部材が静止状態で前記第2の高さ位置で保持されるように前記昇降駆動部を制御する、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、複数の工程を順に含む処理レシピに従って前記基板処理動作を制御し、前記処理レシピの最終工程の終了により前記基板処理動作の終了を判定する、請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
基板処理部における基板保持部により保持された基板に処理液を用いた基板処理動作を行うステップと、
前記基板処理動作中に対向部材を前記基板保持部から上方に離間した第1の高さ位置または前記第1の高さ位置よりも低い第2の高さ位置で保持するステップと、
前記対向部材を前記基板処理動作の終了時点から予め定められた維持時間の経過後まで前記第2の高さ位置で保持するステップと、
前記対向部材を前記維持時間の経過後まで前記第2の高さ位置で保持した後、前記対向部材を前記第2の高さ位置から前記第1の高さ位置に上昇させるステップとを含む、基板処理方法。
【請求項5】
前記基板処理動作の終了時点で回転保持部により保持された基板の回転を停止させるステップをさらに含み、
前記対向部材を前記第2の高さ位置で保持するステップは、
前記回転保持部により保持された基板の回転が停止した状態で前記維持時間が経過するまで前記対向部材を前記第2の高さ位置で保持させることを含む、請求項4記載の基板処理方法。
【請求項6】
複数の工程を順に含む処理レシピの最終工程の終了により前記基板処理動作の終了を判定するステップをさらに含む、請求項4または5記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に形成されたレジスト膜を除去するために、水平姿勢で回転される基板上にレジスト剥離液が供給される。レジスト剥離液としては、例えば硫酸(HSO)と過酸化水素水(H)との混合液(以下、SPMと略記する。)が用いられる。
【0003】
特許文献1には、チャンバ内にスピンチャックおよび遮断板を備えた基板処理装置が記載されている。遮断板は、スピンチャックに保持された基板の上面に近接する遮断位置と、遮断位置よりも大きく上方に退避した退避位置との間で昇降可能に設けられる。SPM工程では、遮断板が退避位置にある状態で、スピンチャックにより回転される基板上に、SPMノズルからSPMが供給される。また、遮断板が遮断位置にある状態で、リンス工程および乾燥工程が行われる。乾燥工程の終了後に、スピンチャックの回転が停止され、遮断板が退避位置まで退避される。次いで、チャンバから基板搬送ロボットのハンドにより基板が搬出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-207986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の基板処理装置においては、チャンバ内においてSPM雰囲気が滞留している場合、基板処理動作の終了後にチャンバ内のSPM雰囲気におけるミストまたは液滴が基板に再付着する可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、基板処理動作の終了後の基板の清浄度を向上させることが可能な基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る基板処理装置は、基板に処理液を用いた基板処理動作を行う基板処理部と、基板を保持して基板処理部に対して基板を搬入および搬出する搬送保持部を有する基板搬送部と、基板処理部および基板搬送部を制御する制御部とを備え、基板処理部は、基板を水平姿勢で保持する基板保持部と、基板保持部に保持された基板に対向する対向面を有し、基板保持部から上方に離間した第1の高さ位置と第1の高さ位置よりも低い第2の高さ位置との間で昇降可能に構成された対向部材と、対向部材を昇降させる昇降駆動部とを含み、制御部は、基板処理動作の終了時点から予め定められた維持時間が経過するまで対向部材が第2の高さ位置で保持された後、対向部材が第2の高さ位置から第1の高さ位置に上昇するように昇降駆動部を制御する。
【0008】
この基板処理装置においては、対向部材が第1の高さ位置または第2の高さ位置にある状態で基板処理動作が行われる。対向部材は、基板処理動作が終了した時点から予め定められた維持時間が経過するまで第2の高さ位置で保持される。維持時間の経過後、対向部材は、第2の高さ位置から第1の高さ位置に上昇する。それにより、基板搬送部の搬送保持部による基板の搬出が可能となる。
【0009】
この構成によれば、基板処理動作の終了時点から維持時間が経過するまで、基板の上面に対向部材の対向面が近接した状態で対向する。それにより、基板処理動作後に、基板処理部内に滞留する処理液の雰囲気におけるミストまたは液滴が基板に再付着することが防止される。したがって、基板処理動作終了後の基板の清浄度を向上させることが可能となる。
【0010】
(2)基板処理部は、開口部を有しかつ基板保持部および対向部材を収容する処理チャンバと、処理チャンバの開口部を閉塞する閉塞状態と開口部を開放する開放状態とに移行するように構成されたシャッタと、シャッタを閉塞状態と開放状態とに移行させるシャッタ駆動部とをさらに備え、制御部は、基板処理動作の終了時点でシャッタが開放状態になるようにシャッタ駆動部を制御し、シャッタの開放時点から維持時間が経過するまで対向部材が第2の高さ位置で保持されるように昇降駆動部を制御してもよい。
【0011】
この場合、基板処理動作が終了すると、シャッタが開放状態になる。それにより、処理チャンバ内への搬送保持部の進入が可能となる。上記の構成により、シャッタの開放時点から維持時間が経過するまで対向部材が第2の高さ位置で保持されるので、シャッタの開放から搬送保持部の進入までの間に処理チャンバ内に滞留した処理液の雰囲気におけるミストまたは液滴が基板に再付着することが防止される。
【0012】
(3)制御部は、基板搬送部に基板処理動作の終了を示す終了信号を与え、開口部を通して処理チャンバ内への搬送保持部の進入の開始を示す進入開始信号を基板搬送部から受け取り、進入開始信号に応答して第2の高さ位置から第1の高さ位置へ対向部材が上昇を開始するように昇降駆動部を制御してもよい。
【0013】
この場合、基板処理動作の終了後、進入開始信号に応答して対向部材が第2の高さ位置から第1の高さ位置への上昇を開始する。それにより、基板処理動作の終了後から進入開始信号の受け取りまで、対向部材が第2の高さ位置で保持される。したがって、処理チャンバへの基板搬送部の搬送保持部の進入が遅れた場合でも、処理チャンバ内に滞留した処理液の雰囲気におけるミストまたは液滴が基板に再付着することが防止される。
【0014】
(4)基板保持部は、基板を垂直方向の軸の周りで回転させる回転保持部であり、制御部は、基板処理動作の終了時点で基板の回転が停止するように回転保持部を制御し、回転保持部により保持された基板の回転が停止した状態で維持時間が経過するまで対向部材が静止状態で第2の高さ位置で保持されるように昇降駆動部を制御してもよい。
【0015】
この場合、回転保持部により保持された基板の回転が停止したことにより基板処理部の基板処理動作が終了する。また、対向部材が静止状態で第2の高さ位置に保持されるので、基板処理部内に処理液の雰囲気の流れが形成されない。それにより、処理液の雰囲気の流れが対向部材と基板との間に進入することが防止される。その結果、ミストまたは液滴が基板に再付着することが防止される。
【0016】
(5)基板処理部は、基板保持部により保持された基板に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部をさらに含み、不活性ガス供給部は、維持時間内において基板保持部により保持された基板と対向部材との間の空間に不活性ガスを供給する第1の状態と維持時間内において基板保持部により保持された基板と対向部材との間の空間に不活性ガスを供給しない第2の状態とに選択可能に構成されてもよい。
【0017】
この場合、第1の状態では、基板と対向部材との間の雰囲気を吹き飛ばすことができる。一方、第2の状態では、基板と対向部材との間の雰囲気を静的な状態に維持することができる。上記の構成により、使用者は、基板処理装置内の処理液の雰囲気の状態に応じて第1の状態または第2の状態を選択することができる。
【0018】
(6)制御部は、複数の工程を順に含む処理レシピに従って基板処理動作を制御し、処理レシピの最終工程の終了により基板処理動作の終了を判定してもよい。この場合、制御部は、特別な判定処理を追加することなく、簡単な制御で基板処理動作の終了時点から維持時間が経過するまで対向部材を第2の高さ位置で保持させることができる。
【0019】
(7)制御部は、第2の高さ位置を調整可能に構成されてもよい。この場合、第2の高さ位置に保持された対向部材と基板保持部との間の空間において、搬送保持部による基板の搬入および搬出が可能となるように第2の高さ位置を調整することが可能である。それにより、対向部材が第2の位置にある状態で基板を搬入および搬出することができる。その結果、基板処理装置のスループットが向上する。
【0020】
(8)本発明に係る基板処理方法は、基板処理部における基板保持部により保持された基板に処理液を用いた基板処理動作を行うステップと、基板処理動作中に対向部材を基板保持部から上方に離間した第1の高さ位置または第1の高さ位置よりも低い第2の高さ位置で保持するステップと、対向部材を基板処理動作の終了時点から予め定められた維持時間の経過後まで第2の高さ位置で保持するステップと、対向部材を維持時間の経過後まで第2の高さ位置で保持した後、対向部材を第2の高さ位置から第1の高さ位置に上昇させるステップとを含む。
【0021】
この基板処理方法においては、対向部材が第1の高さ位置または第2の高さ位置にある状態で基板処理動作が行われる。対向部材は、基板処理動作が終了した時点から予め定められた維持時間が経過するまで第2の高さ位置で保持される。維持時間の経過後、対向部材は、第2の高さ位置から第1の高さ位置に上昇する。それにより、搬送保持部の基板保持部による基板の搬出が可能となる。
【0022】
この方法によれば、基板処理動作の終了時点から維持時間が経過するまで、基板の上面に対向部材の対向面が対向する。それにより、基板処理動作後に、基板処理部内に滞留する処理液の雰囲気におけるミストまたは液滴が基板に再付着することが防止される。したがって、基板処理動作終了後の基板の清浄度向上させることが可能となる。
【0023】
(9)基板処理動作を行うステップは、基板処理部の処理チャンバの開口部をシャッタで閉塞した状態で、処理チャンバ内の基板保持部により保持された基板に処理液を用いた基板処理動作を行い、基板処理動作の終了時点でシャッタを開くことにより処理チャンバの開口部を開放状態にすることを含み、対向部材を第2の高さ位置で保持するステップは、シャッタの開放時点から維持時間の経過後まで対向部材を第2の高さ位置で保持することを含んでもよい。
【0024】
この場合、基板処理動作が終了すると、シャッタが開放状態になる。それにより、処理チャンバ内への搬送保持部の進入が可能となる。上記の方法により、シャッタの開放時点から維持時間が経過するまで対向部材が第2の高さ位置で保持されるので、シャッタの開放から搬送保持部の進入までの間に処理チャンバ内に滞留した処理液の雰囲気におけるミストまたは液滴が基板に再付着することが防止される。
【0025】
(10)基板処理方法は、基板処理動作の終了時に基板搬送部に基板処理動作の終了を示す終了信号を与えるステップと、開口部を通して処理チャンバ内への基板搬送部の搬送保持部の進入の開始を示す進入開始信号を基板搬送部から受け取るステップとをさらに含み、対向部材を上昇させるステップは、進入開始信号に応答して第2の高さ位置から第1の高さ位置へ対向部材の上昇を開始させることを含んでもよい。
【0026】
この場合、基板処理動作の終了後、進入開始信号に応答して対向部材が第2の高さ位置から第1の高さ位置への上昇を開始する。それにより、基板処理動作の終了後から進入開始信号の受け取りまで、対向部材が第2の高さ位置で保持される。したがって、処理チャンバへの基板搬送部の搬送保持部の進入が遅れた場合でも、処理チャンバ内に滞留した処理液の雰囲気におけるミストまたは液滴が基板に再付着することが防止される。
【0027】
(11)基板処理方法は、基板処理動作の終了時点で回転保持部により保持された基板の回転を停止させるステップをさらに含み、対向部材を第2の高さ位置で保持するステップは、回転保持部により保持された基板の回転が停止した状態で維持時間が経過するまで対向部材を第2の高さ位置で保持させることを含んでもよい。
【0028】
この場合、回転保持部により保持された基板の回転が停止したことにより基板処理部の基板処理動作が終了する。また、対向部材が静止状態で第2の高さ位置に保持されるので、基板処理部内に処理液の雰囲気の流れが形成されない。それにより、処理液の雰囲気の流れが対向部材と基板との間に進入することが防止される。その結果、ミストまたは液滴が基板に再付着することが防止される。
【0029】
(12)基板処理方法は、維持時間内において基板保持部により保持された基板と対向部材との間の空間に不活性ガスを供給する第1の状態と維持時間内において基板保持部により保持された基板と対向部材との間の空間に不活性ガスを供給しない第2の状態との選択を受け付けるステップをさらに含んでもよい。
【0030】
この場合、第1の状態では、基板と対向部材との間の雰囲気を吹き飛ばすことができる。一方、第2の状態では、基板と対向部材との間の雰囲気を静的な状態に維持することができる。上記の方法により、使用者は、基板処理装置内の処理液の雰囲気の状態に応じて第1の状態または第2の状態を選択することができる。
【0031】
(13)基板処理方法は、複数の工程を順に含む処理レシピの最終工程の終了により基板処理動作の終了を判定するステップをさらに含んでもよい。この場合、特別な判定処理を追加することなく、簡単な制御で基板処理動作の終了時点から維持時間が経過するまで対向部材が第2の高さ位置で保持される。
【0032】
(14)基板処理方法は、対向部材の第2の高さ位置を調整するステップをさらに含んでもよい。この場合、第2の高さ位置に保持された対向部材と基板保持部との間の空間において、搬送保持部による基板の搬入および搬出が可能となるように第2の高さ位置を調整することが可能となる。それにより、対向部材が第2の位置にある状態で基板の搬入および搬出が可能となる。その結果、基板処理装置のスループットが向上する。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、基板処理動作の終了後の基板の清浄度を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本実施の形態に係る基板処理装置の構成の例を示す模式的平面図である。
図2図1の基板処理部の構成の一例を示す模式的断面図である。
図3図1の制御部の構成を示すブロック図である。
図4図2の基板処理部の動作の一例を示すフローチャートである。
図5図2の基板処理部の動作の一例を示す模式的断面図である。
図6図2の基板処理部の動作の一例を示す模式的断面図である。
図7図2の基板処理部の動作の一例を示す模式的断面図である。
図8図2の基板処理部の動作の一例を示す模式的断面図である。
図9図2の基板処理部の動作の一例を示す模式的断面図である。
図10図2の基板処理部の動作の一例を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、基板とは、半導体基板、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。
【0036】
本実施の形態では、処理液として、硫酸と過酸化水素水との混合液(SPM)、アンモニア水と過酸化水素水との混合液(SC1)、塩酸と過酸化水素水との混合液(SC2)、希フッ酸(DHF)、有機アルカリ(例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)等)またはバッファードフッ酸(BHF)等の薬液が用いられる。また、リンス液として、例えば純水(脱イオン水)、炭酸水、オゾン水、磁気水、機能水(例えば、超希釈アンモニア水(1ppm以上100ppm以下)、超希釈塩酸水(1ppm以上100ppm以下)、還元水(水素水)等)もしくはイオン水、またはIPA(イソプロピルアルコール)等の有機溶剤が用いられる。
【0037】
(1)基板処理装置の構成
図1は、本実施の形態に係る基板処理装置の構成の例を示す模式的平面図である。図1に示すように、基板処理装置100は、インデクサブロックIDおよび処理ブロックPRを含む。インデクサブロックIDは、基板搬送部(基板搬送ロボット)IRおよびキャリア載置部CPを含む。キャリア載置部CPには、複数の基板Wを多段に収納するキャリアCCが載置される。
【0038】
処理ブロックPRは、基板処理部1a,1b,1c,1dおよび基板搬送部(基板搬送ロボット)2を含む。基板処理部1a,1b,1c,1dは、基板搬送部2を中心に4方向に配置される。基板処理部1a,1b,1c,1dは、処理チャンバCHa,CHb,CHc,CHdを含む。処理チャンバCHa,CHb,CHc,CHdの内部では、処理液を用いて基板W上のレジスト膜の除去、リンスおよび乾燥が行われる。本実施の形態では、基板処理動作は、基板W上のレジスト膜の除去、リンスおよび乾燥を含む。基板処理動作の詳細については、後述する。
【0039】
処理チャンバCHa,CHb,CHc,CHdは、基板搬送部2に対向する面に開口部OP(図2参照)を有する。シャッタSHa,SHb,SHc,SHdは、開口部OPを閉塞する状態と開放する状態とに移行可能に構成される。基板搬送部2は、基板Wを保持するとともに搬送する搬送保持部(ハンド)Hおよび搬送駆動部2a(図3参照)を有する。搬送保持部Hは、基板処理部1a,1b,1c,1dに対して基板Wを搬入および搬出する。搬送保持部Hの基板Wの搬出動作の詳細については、後述する。
【0040】
インデクサブロックIDの少なくとも1つのキャリア載置部CP上には、レジスト膜を有する基板Wが収容されたキャリアCCが載置される。基板搬送部IRは、キャリアCCから載置部PTにレジスト膜を有する基板Wを搬送する。
【0041】
処理ブロックPRの基板搬送部2は、レジスト膜を有する基板Wを載置部PTから処理チャンバCHa,CHb,CHc,CHdのうちいずれか一つに搬送する。それにより、レジスト膜を有する基板Wに基板処理動作が行われる。その後、基板搬送部2は、処理チャンバCHa,CHb,CHc,CHdの一つから基板処理動作後の基板Wを搬出するとともに載置部PTに載置する。
【0042】
インデクサブロックIDの少なくとも1つのキャリア載置部CP上には、基板処理後の基板Wが収容されるキャリアCCが載置される。基板搬送部IRは、載置部PTから基板処理後の基板WをキャリアCCに搬送する。
【0043】
制御部110は、基板処理部1a,1b,1c,1dおよび基板搬送部2の動作を制御する。制御部110の構成および動作の詳細については後述する。
【0044】
(2)基板処理部1aの構成
図2は、図1の基板処理部1aの構成の一例を示す模式的断面図である。基板処理部1b,1c,1dの構成は、基板処理部1aの構成と同様である。基板処理部1aは、処理チャンバCHa、スピンチャック(回転保持部)10、ノズル駆動部20、遮断部材30およびスプラッシュガード40を含む。スピンチャック10、ノズル駆動部20、処理液供給ノズル22、遮断部材30およびスプラッシュガード40は、処理チャンバCHa内に収容される。遮断部材30は、スピンチャック10の上方に設けられる。スプラッシュガード40は、スピンチャック10を取り囲むように設けられる。スプラッシュガード40の外方には、ノズル駆動部20が設けられる。
【0045】
スピンチャック10は、スピンベース11、複数のチャックピン12およびスピンモータ13により構成される。複数のチャックピン12は、スピンベース11の上面周縁部に等間隔に設けられる。基板Wの外周端部が複数のチャックピン12により保持される。それにより、基板Wが水平姿勢でスピンベース11上に保持される。スピンベース11は、スピンモータ13により垂直方向の軸の周りで回転可能に構成される。それにより、基板Wは、スピンチャック10に回転可能に保持される。
【0046】
ノズル駆動部20は、アーム21、処理液供給部23およびモータ24を含む。アーム21内には流路が形成される。アーム21内の流路の一端には、処理液供給ノズル22が設けられる。また、アーム21内の流路の他端には、処理液供給部23が接続される。それにより、処理液供給ノズル22からスピンチャック10に保持された基板Wの上面に処理液が供給される。モータ24には、アーム21が取り付けられる。アーム21がモータ24により垂直方向の軸の周りで回転される。それにより、処理液供給ノズル22は、基板Wの中心の上方の位置(以下、処理液供給位置と呼ぶ。)とスピンチャック10の外方の位置(以下、退避位置と呼ぶ。)との間で移動可能になる。本実施の形態では、基板処理部1aには、1つのノズル駆動部20および処理液供給ノズル22が設けられるが、例えば基板Wに複数の薬液を用いた複数の処理が行われる場合、複数のノズル駆動部20および処理液供給ノズル22が設けられてもよい。
【0047】
遮断部材30は、円板状の遮断板31、回転軸32および支持アーム33により構成される。遮断板31は、スピンチャック10に保持される基板Wに対向する対向面31aを有する。対向面31aの中央部には、吐出口31bが形成される。また、遮断板31の上面には、垂直方向に延びる略円筒形状の回転軸32が設けられる。回転軸32は、遮断板31がスピンチャック10に保持される基板Wの上方で保持されるように支持アーム33により支持される。また、回転軸32は、遮断板回転駆動部35に接続される。それにより、遮断板31は、スピンチャック10に保持された基板Wの上方において垂直方向の軸の周りで回転可能になる。
【0048】
支持アーム33は、遮断板昇降駆動部36に接続される。それにより、遮断板31は、第1の高さ位置と第2の高さ位置との間で上下動可能になる。第1の高さ位置は、処理液供給位置にある処理液供給ノズル22よりも高い位置である。第2の高さ位置は、第1の高さ位置よりも低くスピンチャック10に保持される基板Wの上面に近接する位置である。第2の高さ位置は、5mm以下であって、0.3mm以上2.5mm以下であることが好ましい。
【0049】
回転軸32の内部には、吐出口31bに連通する吐出流路32aが形成される。吐出流路32aは、リンス液供給部37および不活性ガス供給部38に接続される。それにより、吐出口31bからスピンチャック10に保持された基板Wの上面に向かってリンス液および不活性ガスが供給される。
【0050】
スプラッシュガード40は、第1ガード41A、第2ガード41B、第1カップ42A、第2カップ42Bおよび周壁部材43を含む。第1ガード41A、第2ガード41Bおよび周壁部材43は、それぞれ円筒形状を有する。第2カップ42Aは、第1ガード41Aと一体的に形成されている。第1ガード41Aおよび第2ガード41Bは、上下方向に昇降可能に構成される。周壁部材43は、第1ガード41A、第2ガード41B、第1カップ42Aおよび第2カップ42Bを取り囲むように構成される。
【0051】
基板処理動作時には、第1ガード41Aおよび第2ガード41Bは、スピンチャック10に保持された基板Wを取り囲む高さまで上昇される。第1ガード41Aおよび第2ガード41Bは、スピンチャック10に保持された基板Wから飛散された液滴を受け止める。第1ガード41Aおよび第2ガード41Bに受け止められた液滴は下方に導かれる。第1カップ42Aは、第1ガード41Aにより下方に導かれた液滴を受け止める。また、第2カップ42Bは、第2ガード41Bにより下方に導かれた液滴を受け止める。
【0052】
第1カップ42Aおよび第2カップ42Bに受け止められた液滴は、回収部(図示せず)により回収される。また、スプラッシュガード40の内部は、排気部(図示せず)により排気される。それにより、基板Wから飛散された処理液のミストが回収される。
【0053】
基板処理動作前の基板Wの搬入時および基板処理動作後の基板Wの搬出時には、第1ガード41Aおよび第2ガード41Bは、スピンチャック10のスピンベース11より下方の位置まで下降される。
【0054】
処理チャンバCHaのシャッタSHaは、シャッタ駆動部Sdにより上下動可能に構成される。それにより、シャッタSHaは、開口部OPを閉塞する状態と開口部OPを開放する状態とに移行可能になる。
【0055】
(3)制御部110の構成および動作
図3は、図1の制御部110の構成を示すブロック図である。制御部110は、搬送制御部111、洗浄処理記憶部112および処理動作制御部113を含む。制御部110は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)および記憶装置により構成される。CPUがROMまたは記憶装置等の記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、制御部110の各構成要素の機能が実現される。なお、制御部110の一部またはすべての構成が電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0056】
図1の基板搬送部2は、図3の搬送駆動部2aを含む。搬送制御部111は、図1の搬送保持部Hが基板処理部1a,1b,1c,1dに対して基板Wを搬入および搬出するように搬送駆動部2aを制御する。洗浄処理記憶部112には、複数の工程を順に含む処理レシピが記憶される。処理動作制御部113は、洗浄処理記憶部112に記憶される処理レシピに従って、シャッタ駆動部Sd、ノズル駆動部20、処理液供給部23、リンス液供給部37、不活性ガス供給部38、遮断板回転駆動部35、遮断板昇降駆動部36およびスピンチャック10を制御する。それにより、基板処理動作が行われる。また、処理動作制御部113の制御により後述する遮断板31の保持動作が行われる。保持動作では、遮断板31が第2の高さ位置に保持される。処理動作制御部113は、使用者の操作または制御プログラムに基づいて第2の高さ位置を調整可能に構成される。
【0057】
また、処理動作制御部113は、基板処理動作が終了すると、処理動作終了信号PEを搬送制御部111に与える。搬送制御部111は、基板搬送部2の搬送保持部Hが基板処理部1a(1b,1c,1d)の処理チャンバCHa(CHb,CHb,CHd)内への進入を開始することを示す進入開始信号ESを搬送制御部111に与える。
【0058】
(4)基板処理部1aの動作例
図4は、図2の基板処理部1aの動作の一例を示すフローチャートである。図5図10は、図2の基板処理部1aの動作の一例を示す模式的断面図である。基板処理部1b,1c,1dの動作は、基板処理部1aの動作と同様である。本例では、処理液として、レジスト剥離液(例えばSPM)が用いられる。
【0059】
図4に示すように、まず、処理動作制御部113は、基板処理動作を開始する(ステップS1)。この場合、処理動作制御部113は、洗浄処理記憶部112に記憶される処理レシピに従って各部を制御する。
【0060】
具体的には、図2のシャッタ駆動部SdによりシャッタSHaが開かれる。図1の基板搬送部2の搬送保持部Hは、開口部OPを通して処理チャンバCHa内に進入し、スピンチャック10上に基板Wを搬入する。スピンチャック10は、複数のチャックピン12により基板Wを保持する。本例では、基板Wにレジスト膜が形成されている。
【0061】
搬送保持部Hが処理チャンバCHaから退出した後、図5に示すように、図2のシャッタ駆動部SdによりシャッタSHaが閉じられる。また、スプラッシュガード40の第1ガード41Aおよび第2ガード41Bが上昇する。遮断板31は、第1の高さ位置にある。この状態で、ノズル駆動部20のモータ24により処理液供給ノズル22が退避位置から処理液供給位置に移動される。また、スピンモータ13によりスピンベース11が回転される。それにより、基板Wが垂直方向の軸の周りで回転する。
【0062】
この状態で、処理液供給部23により、点線矢印pで示すように、処理液供給ノズル22から回転する基板Wの上面に処理液としてレジスト剥離液が供給される。これにより、基板W上のレジスト膜が除去される。この場合、処理チャンバCHa内には、処理液の雰囲気が滞留する。
【0063】
その後、図6に示すように、リンス処理が行われる。リンス処理では、ノズル駆動部20のモータ24により処理液供給ノズル22が処理液供給位置から退避位置に移動される。また、遮断板昇降駆動部36により遮断板31が第1の高さ位置から第2の高さ位置に下降される。この状態で、遮断板回転駆動部35により遮断板31が垂直方向の軸の周りで回転される。このとき、リンス液供給部37により点線矢印rで示すように、遮断板31の吐出口31bから回転する基板Wの上面にリンス液が供給される。これにより、基板Wの上面がリンスされる。
【0064】
次いで、図7に示すように、乾燥処理が行われる。乾燥処理では、スピンベース11および遮断板31が回転する状態で、不活性ガス供給部38により、点線矢印gで示すように、遮断板31の吐出口31bから回転する基板Wの上面に不活性ガスが供給される。これにより、基板Wの上面が乾燥される。その後、遮断板回転駆動部35による遮断板31の回転が停止されるとともに、スピンモータ13によるスピンベース11の回転が停止される。また、スピンチャック10の複数のチャックピン12による基板Wの保持が解除される。さらに、スプラッシュガード40の第1ガード41Aおよび第2ガード41Bが下降する。この時点で、洗浄処理記憶部112に記憶される処理レシピの全工程(基板処理動作)が終了する。処理動作制御部113は、処理レシピの最終工程の終了により基板処理動作の終了を判定する。
【0065】
図4に示すように、処理動作制御部113は、基板処理動作が終了したか否かを判定する(ステップS2)。この場合、処理動作制御部113は、処理レシピの最終工程が終了したときに基板処理動作が終了したと判定する。処理動作制御部113は、基板処理動作が終了していない場合、ステップS2の判定を繰り返す。
【0066】
基板処理動作が終了した場合、処理動作制御部113は、処理動作終了信号PEを搬送制御部111に与える(ステップS3)。
【0067】
また、図4に示すように、処理動作制御部113は、シャッタSHaを開くようにシャッタ駆動部Sdを制御する(ステップS4)。処理動作制御部113は、基板処理動作の終了時点からの経過時間を計測する。このとき、図8に示すように、遮断板31は、第2の高さ位置で保持されている。また、不活性ガス供給部38により基板Wの上面に不活性ガスが供給されている。
【0068】
処理動作制御部113は、計測された時間が予め定められた維持時間を経過したか否かを判定する(ステップS5)。維持時間は、例えば5秒~1800秒である。計測された時間が予め定められた維持時間を経過していない場合、処理動作制御部113は、ステップS5の判定を繰り返す。このとき、搬送保持部Hは、処理チャンバCHaの外部にある。搬送制御部111は、処理チャンバCHaへの搬送保持部Hの進入が可能になると、処理動作制御部113に進入開始信号ESを与える。
【0069】
ステップS5において計測された時間が予め定められた維持時間を経過した場合、処理動作制御部113は、搬送制御部111から進入開始信号ESを受けとったか否かを判定する(ステップS6)。処理動作制御部113は、進入開始信号ESを受けとっていない場合、ステップS6の判定を繰り返す。
【0070】
図4に示すように、処理動作制御部113が進入開始信号ESを受けとった場合、処理動作制御部113は、不活性ガス供給部38による基板Wの上面への不活性ガスの供給を停止させる(ステップS7)。ステップS3~S7が遮断板31の保持動作である。また、処理動作制御部113が進入開始信号ESを受けとったとき、図9に示すように、搬送保持部Hは、開口部OPを通して処理チャンバCHa内に進入する。さらに、図4に示すように、処理動作制御部113は、遮断板昇降駆動部36により遮断板31を第2の高さ位置から第1の高さ位置に上昇させる(ステップS8)。なお、処理チャンバCHa内への搬送保持部Hの進入と遮断板31の上昇とは同時に行われてもよく、遮断板31の上昇後に搬送保持部Hの進入が行われてもよい。この状態で、図10に示すように、搬送保持部Hがスピンチャック10上の基板Wを搬出する。
【0071】
(5)効果
本実施の形態における基板処理装置100においては、基板処理動作の終了時点から維持時間が経過するまで、基板Wの上面に遮断板31の対向面31aが近接した状態で対向する。それにより、基板処理動作後に、処理チャンバCHaに滞留する処理液の雰囲気におけるミストまたは液滴が基板Wに再付着することが防止される。したがって、基板処理動作終了後の基板Wの清浄度を向上させることが可能となる。
【0072】
また、本実施の形態における基板処理装置100においては、基板処理動作が終了すると、シャッタSHaが開放状態になる。それにより、処理チャンバCHa内への搬送保持部Hの進入が可能になる。また、シャッタSHaの開放時点から維持時間が経過するまで遮断板31が第2の高さ位置で保持されるので、シャッタSHaの開放から搬送保持部Hの進入までの間に処理チャンバCHa内に滞留した処理液の雰囲気におけるミストまたは液滴が基板に再付着することが防止される。
【0073】
さらに、基板処理動作の終了後、進入開始信号ESに応答して遮断板31が第2の高さ位置から第1の高さ位置への上昇を開始する。それにより、基板処理動作の終了後から進入開始信号ESの受け取りまで、遮断板31が第2の高さ位置で保持される。したがって、処理チャンバCHaへの基板搬送部2の搬送保持部Hの進入が遅れた場合でも、処理チャンバCHa内に滞留した処理液の雰囲気におけるミストまたは液滴が基板Wに再付着することが防止される。
【0074】
また、スピンチャック10により保持された基板Wの回転が停止したことにより基板処理部1aの基板処理動作が終了する。また、遮断板31が静止状態で第2の高さ位置に保持されるので、処理チャンバCHa内に処理液の雰囲気の流れが形成されない。それにより、処理液の雰囲気の流れが遮断板31と基板Wとの間に進入することが防止される。その結果、ミストまたは液滴が基板に再付着することが防止される。
【0075】
さらに、処理動作制御部113は、処理レシピの最終工程の終了により基板処理動作の終了を判定する。それにより、特別な判定処理を追加することなく、簡単な制御で基板処理動作の終了時点から維持時間が経過するまで遮断板31を第2の高さ位置で保持させることができる。
【0076】
また、第2の高さ位置に保持された遮断板31とスピンベース11との間の空間において、搬送保持部Hによる基板Wの搬入および搬出が可能となるように第2の高さ位置を調整することが可能である。それにより、遮断板31が第2の位置にある状態で基板Wを搬入および搬出することができる。その結果、基板処理装置100のスループットが向上する。
【0077】
(6)他の実施の形態
(a)上記実施の形態では、処理レシピの最終工程の終了により基板処理動作の終了が判定されるが、基板処理動作の終了の判定方法はこれに限定されない。例えば、シャッタSHaの開放状態への移行に基づいて基板処理動作の終了が判定されてもよく、または基板Wの乾燥工程の終了時のスピンベース11の回転の終了または遮断板31の回転の終了に基づいて基板処理動作の終了が判定されてもよい。
【0078】
(b)上記実施の形態においては、基板処理動作の終了時点から維持時間が経過した後に処理動作制御部113が進入開始信号ESを受け取ったときに、遮断板31が第2の高さ位置から第1の高さ位置に上昇されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、基板処理動作の終了時点から維持時間が経過した時点で、遮断板31が第2の高さ位置から第1の高さ位置に上昇されてもよい。
【0079】
(c)上記実施の形態においては、不活性ガス供給部38は、基板処理動作の終了時点から維持時間が経過するまで基板Wの上面に不活性ガスを供給するが、本発明はこれに限定されない。不活性ガス供給部38が基板処理動作の終了時点から維持時間が経過する前に基板Wの上面への不活性ガスの供給を終了してもよく、不活性ガス供給部38が基板処理動作の終了時点から維持時間が経過するまで基板Wの上面に不活性ガスを供給しなくてもよい。
【0080】
(d)処理動作制御部113は、不活性ガス供給部38が基板処理動作の終了時点から維持時間が経過するまで基板Wの上面への不活性ガスを供給する第1の状態と、不活性ガス供給部38が基板処理動作の終了時点から維持時間が経過するまで基板Wの上面に不活性ガスを供給しない第2の状態とに選択可能に構成されてもよい。
【0081】
この場合、第1の状態では、基板Wと遮断板31との間の雰囲気を吹き飛ばすことができる。一方、第2の状態では、基板Wと遮断板31との間の雰囲気を静的な状態に維持することができる。上記の構成により、使用者は、基板処理部1a~1d内の処理液の雰囲気の状態に応じて第1の状態または第2の状態を選択することができる。
【0082】
(e)上記実施の形態においては、遮断板31の第2の高さ位置が調整可能であるが、遮断板31の第2の高さ位置が固定されていてもよい。
【0083】
(f)上記実施の形態において、処理液としてレジスト剥離液が基板Wに供給されるが、処理液はレジスト剥離液に限定されない。例えば、処理液としてDHFが用いられてもよい。この場合、DHFのミストまたは液滴が基板に再付着すると、基板Wの想定外のエッチングが進行する可能性がある。上記実施の形態の基板処理部1a~1dによれば、処理チャンバCHaに滞留するDHFの雰囲気におけるミストまたは液滴が基板Wに再付着することが防止される。その結果、基板Wの想定外のエッチングの進行が防止される。
【0084】
また、処理液としてTMAHが用いられてもよい。60~70℃の高温のTMAHが用いられる場合、TMAHの雰囲気におけるミストまたは液滴が処理チャンバCHa内に拡散されることがある。TMAHのミストまたは液滴が基板に再付着すると基板Wの想定外のエッチングが進行する可能性がある。上記実施の形態の基板処理部1a~1dによれば、処理チャンバCHaに拡散されたTMAHの雰囲気におけるミストまたは液滴が基板Wに再付着することが防止される。その結果、基板Wの想定外のエッチングの進行が防止される。
【0085】
(7)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態においては、スピンチャック10が基板保持部の例であり、遮断板31が対向部材の例であり、遮断板昇降駆動部36が昇降駆動部の例であり、処理動作終了信号PEが基板処理動作の終了を示す終了信号の例である。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【符号の説明】
【0086】
1a,1b,1c,1d…基板処理部,2…基板搬送部,2a…搬送駆動部,10…スピンチャック,11…スピンベース,12…チャックピン,13…スピンモータ,20…ノズル駆動部,21…アーム,22…処理液供給ノズル,23…処理液供給部,24…モータ,30…遮断部材,31…遮断板,31a…対向面,31b…吐出口,32…回転軸,32a…吐出流路,33…支持アーム,35…遮断板回転駆動部,36…遮断板昇降駆動部,37…リンス液供給部,38…不活性ガス供給部,40…スプラッシュガード,41A…第1ガード,42A…第2ガード,41B…第1カップ,42B…第2カップ,43…周壁部材,100…基板処理装置,110…制御部,111…搬送制御部,112…洗浄処理記憶部,113…処理動作制御部,CC…キャリア,CHa,CHb,CHc,CHd…処理チャンバ,CP…キャリア載置部,H…搬送保持部,IR…基板搬送部,OP…開口部,PR…処理ブロック,PT…載置部,SHa,SHb,SHc,SHd…シャッタ,Sd…シャッタ駆動部,W…基板
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