(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144611
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】非燃焼加熱式たばこ製品及び非燃焼加熱式たばこスティック
(51)【国際特許分類】
A24F 15/01 20200101AFI20241003BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20241003BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20241003BHJP
A24D 1/02 20060101ALI20241003BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20241003BHJP
A24D 3/17 20200101ALI20241003BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20241003BHJP
【FI】
A24F15/01
A24F40/20
A24D1/20
A24D1/02
A24F40/42
A24D3/17
A24F40/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024119510
(22)【出願日】2024-07-25
(62)【分割の表示】P 2022581183の分割
【原出願日】2021-10-29
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2021/005151
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(72)【発明者】
【氏名】井上 康信
(72)【発明者】
【氏名】隅井 干城
(57)【要約】
【課題】吸引時における非燃焼加熱式たばこスティックにおける香味成分のデリバリー量の確保しつつ、チャンバの規定位置にたばこスティックが挿入されたことを使用者が容易に把握することを可能とする技術を提供する。
【解決手段】非燃焼加熱式たばこスティックは、たばこロッド部と、チップペーパーによって前記たばこロッド部と連結されたマウスピース部と、を備え、マウスピース部は、第1のセグメントと、第1のセグメントの下流側に位置する第2のセグメントと、を有し、たばこロッド部が加熱チャンバの規定位置まで挿入された際に、第1のセグメントと第2のセグメントとの境界位置が加熱チャンバの挿入口の位置と合致しないように規定されており、チップペーパーの外面のうち、使用者がマウスピース部を咥えた際に当該使用者の唇に接触する所定の吸い口領域に少なくともリップリリース材料が配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気加熱式デバイスと、前記電気加熱式デバイスと共に用いられる非燃焼加熱式たばこスティックと、を備える非燃焼加熱式たばこ製品であって、
前記電気加熱式デバイスは、前記非燃焼加熱式たばこスティックを挿入可能な加熱チャンバを有し、
前記非燃焼加熱式たばこスティックは、
たばこロッド部と、
チップペーパーによって前記たばこロッド部と連結されたマウスピース部と、
を備え、
前記マウスピース部は、第1のセグメントと、前記第1のセグメントの下流側に位置する第2のセグメントと、を有し、
前記たばこロッド部が前記加熱チャンバの規定位置まで挿入された際に、前記第1のセグメントと前記第2のセグメントとの境界位置が前記加熱チャンバの挿入口の位置と合致しないように規定されており、
前記チップペーパーの外面のうち、使用者がマウスピース部を咥えた際に当該使用者の唇に接触する所定の吸い口領域に少なくともリップリリース材料が配置される、
非燃焼加熱式たばこ製品。
【請求項2】
前記チップペーパーにおける外面のうち、前記リップリリース材料によって被覆されたリップリリース材料配置領域は、前記たばこロッド部の先端が前記加熱チャンバの規定位置まで挿入された際にヒータ素子が配置される領域よりも前記挿入口側に位置する領域として規定されている、
請求項1に記載の非燃焼加熱式たばこ製品。
【請求項3】
前記第1のセグメントは内部が空洞の筒形状を有し、かつ、前記第1のセグメントを構成する材料の厚さが10μm以上250μm以下である、
請求項1又は2に記載の非燃焼加熱式たばこ製品。
【請求項4】
前記第2のセグメントが中空のセグメントを含む、請求項1から3の何れか一項に記載の非燃焼加熱式たばこ製品。
【請求項5】
電気加熱式デバイスの加熱チャンバに挿入されて用いられる非燃焼加熱式たばこスティックであって、
たばこロッド部と、
チップペーパーによって前記たばこロッド部と連結されたマウスピース部と、
を備え、
前記マウスピース部は、第1のセグメントと、前記第1のセグメントの下流側に位置する第2のセグメントと、を有し、
前記たばこロッド部が前記加熱チャンバの規定位置まで挿入された際に、前記第1のセグメントと前記第2のセグメントとの境界位置が前記加熱チャンバの挿入口の位置と合致しないように規定されており、
前記チップペーパーの外面のうち、使用者がマウスピース部を咥えた際に当該使用者の唇に接触する所定の吸い口領域に少なくともリップリリース材料が配置される、
非燃焼加熱式たばこスティック。
【請求項6】
前記チップペーパーにおける外面のうち、前記リップリリース材料によって被覆されたリップリリース材料配置領域は、前記たばこロッド部の先端が前記加熱チャンバの規定位置まで挿入された際にヒータ素子が配置される領域よりも前記挿入口側に位置する領域として規定されている、
請求項5に記載の非燃焼加熱式たばこスティック。
【請求項7】
前記第1のセグメントは内部が空洞の筒形状を有し、かつ、前記第1のセグメントを構成する材料の厚さが10μm以上250μm以下である、
請求項5又は6に記載の非燃焼加熱式たばこスティック。
【請求項8】
前記第2のセグメントが中空のセグメントを含む、請求項5から7の何れか一項に記載の非燃焼加熱式たばこスティック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非燃焼加熱式たばこ製品及び非燃焼加熱式たばこスティックに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒータアセンブリ、該ヒータアセンブリの電力源となる電池ユニット、該ヒータアセンブリの加熱要素を制御する制御ユニット等を有する電気加熱式デバイスと、電気加熱式デバイスと共に用いられる非燃焼加熱式たばこスティックと、を備える非燃焼加熱式たばこ製品が知られている(例えば、特許文献1を参照)。非燃焼加熱式たばこスティックは、一例として、たばこ原料(例えば、たばこ刻み、たばこ顆粒、たばこシートの成形体等)やエアロゾル生成源(グリセリン、プロピレングリコール等)を含むたばこ充填物と当該たばこ充填物を巻装する巻紙とを有するたばこロッド部と、たばこロッド部と共にチップペーパーによって巻装されることによってたばこロッド部と同軸に連結されたマウスピース部と、を備えている。
【0003】
また、電気加熱式たばこ製品を使用する際には、非燃焼加熱式たばこスティックを電気加熱式デバイスにおけるヒータアセンブリのチャンバ内へと挿入口から挿入し、電池ユニットからの電力供給によってヒータアセンブリの加熱要素を発熱させる。その結果、たばこロッド部のたばこ充填物が加熱され、当該たばこ充填物に含まれるエアロゾル生成源からエアロゾルが生成されると共に香味成分が口内にデリバリーされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気加熱式デバイスによる非燃焼加熱式たばこスティックの加熱方式として、ヒータアセンブリのチャンバを規定する中空管の内壁面に加熱要素が配置された加熱部によってたばこロッド部を外周側から加熱する外側加熱方式が知られている。このような外側加熱方式の電気加熱式デバイスにおいては、チャンバ内に挿入されたたばこロッド部と加熱部との接触状態を確保して加熱効率を向上することが、香味成分のデリバリー量を増やす観点から重要となる。
【0006】
しかしながら、例えば、非燃焼加熱式たばこスティックにおける香味成分のデリバリー量を増やす観点から、デバイス側のチャンバ内に挿入されたたばこロッド部をチャンバの内壁面によって外周側から圧縮する仕様を採用しようとすると、たばこスティックがチャンバの規定位置まで挿入される前に、チャンバの内壁面との接触によって挿入抵抗が発生することとなり、使用者にとって、たばこスティックの先端がチャンバの規定位置に到達したことを把握しにくくなる虞がある。これに伴い、たばこスティックがチャンバの規定位置に到達したにも関わらず無理やりたばこスティックが押し込まれた場合には、これに起因してたばこスティックが座屈したり、軸方向に潰れたりする虞がある。また、逆に、たばこスティックがチャンバの規定位置に到達していないにも関わらず当該規定位置に到達したものと取り違え、使用者がチャンバの規定位置よりも手前でたばこスティックの挿入動作を止めてしまうことも想定される。
【0007】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、吸引時における非燃焼加熱式たばこスティックにおける香味成分のデリバリー量の確保しつつ、チャンバ
の規定位置にたばこスティックが挿入されたことを使用者が容易に把握することを可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る技術は、電気加熱式デバイスと、前記電気加熱式デバイスと共に用いられる非燃焼加熱式たばこスティックと、を備える非燃焼加熱式たばこ製品であって、前記非燃焼加熱式たばこスティックは、たばこ刻みを含むたばこ充填物と当該たばこ充填物を巻装する巻紙とを有するたばこロッド部と、前記たばこロッド部と共にチップペーパーによって巻装されることによって前記たばこロッド部と同軸に連結されたマウスピース部と、前記マウスピース部に設けられた通気孔と、を備え、前記電気加熱式デバイスは、前記非燃焼加熱式たばこスティックを挿入可能な加熱チャンバを内部に形成するように規定された中空管ヒータを有し、前記中空管ヒータは、前記非燃焼加熱式たばこスティックの挿入時に、前記たばこロッド部を外周側から圧縮するための圧縮筒部と、前記圧縮筒部の少なくとも一部によって形成され、前記たばこロッド部を外周側から加熱するための加熱壁部と、を有し、前記たばこロッド部の横断面積は、前記圧縮筒部の内空横断面積に比べて相対的に大きく、前記圧縮筒部に挿入された前記たばこロッド部が前記圧縮筒部の内壁面によって圧縮されるように規定されており、前記マウスピース部に設けられる前記通気孔の位置が、前記たばこロッド部の先端が前記加熱チャンバの規定位置まで挿入された際に前記加熱チャンバの挿入口の位置と合致するように規定されている。
【0009】
ここで、前記規定位置は、前記加熱チャンバの最奥位置であっても良い。
【0010】
また、非燃焼加熱式たばこスティックは、前記チップペーパーの外面の一部がリップリリース材料によって被覆されており、前記チップペーパーにおける外面のうち、前記リップリリース材料によって被覆されたリップリリース材料配置領域は、前記たばこロッド部の先端が前記加熱チャンバの規定位置まで挿入された際に少なくとも前記加熱壁部よりも前記挿入口側に位置する領域として規定されていても良い。この場合、前記リップリリース材料配置領域は、前記マウスピース部における吸い口端と前記通気孔との間に位置する領域であっても良い。
【0011】
また、前記たばこロッド部の横断面積は、前記圧縮筒部への挿入後における横断面積が挿入前に比べて60%以上99%以下となるように規定されていても良い。
【0012】
また、前記圧縮筒部は、前記圧縮筒部の軸方向に沿って延在する一対の対向する挟持壁部を含み、前記圧縮筒部に挿入された前記たばこロッド部が前記挟持壁部の内壁面によって圧縮されるように構成されていても良い。
【0013】
また、前記一対の挟持壁部の内壁面は平行に対峙して配置されていても良い。
【0014】
また、前記たばこロッド部の直径は、前記一対の挟持壁部における内壁面同士の間隔に対して105%以上200%以下の寸法に規定されていても良い。
【0015】
また、非燃焼加熱式たばこ製品は、前記非燃焼加熱式たばこスティックを前記加熱チャンバの規定位置まで挿入した状態で、前記たばこロッド部の全体及び前記マウスピース部の一部が前記圧縮筒部の内壁面によって圧縮されるように構成されていても良い。
【0016】
また、前記マウスピース部の横断面積は、前記圧縮筒部への挿入後における横断面積が挿入前に比べて60%以上99%以下となるように規定されていても良い。
【0017】
また、本発明は、電気加熱式デバイスと共に用いられる非燃焼加熱式たばこスティック
として特定することができる。すなわち、本発明は、電気加熱式デバイスと共に用いられ、当該電気加熱式デバイスの加熱チャンバを内部に形成するように規定された中空管ヒータ内に挿入された状態で外周側から加熱される非燃焼加熱式たばこスティックであって、たばこ刻みを含むたばこ充填物と当該たばこ充填物を巻装する巻紙とを有するたばこロッド部と、前記たばこロッド部と共にチップペーパーによって巻装されることによって前記たばこロッド部と同軸に連結されたマウスピース部と、前記マウスピース部に設けられた通気孔と、を備え、前記たばこロッド部の横断面積は、前記中空管ヒータの圧縮筒部であって前記たばこロッド部を外周側から加熱するための加熱壁部を有する圧縮筒部の内空横断面積に比べて相対的に大きく、前記圧縮筒部に挿入された前記たばこロッド部が前記圧縮筒部の内壁面によって圧縮されるように規定されており、前記マウスピース部に設けられる前記通気孔の位置が、前記たばこロッド部の先端が前記加熱チャンバの規定位置まで挿入された際に前記加熱チャンバの挿入口の位置と合致するように規定されている。
【0018】
なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて採用することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、吸引時における非燃焼加熱式たばこスティックにおける香味成分のデリバリー量の確保しつつ、チャンバの規定位置にたばこスティックが挿入されたことを使用者が容易に把握することを可能とする技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施形態に係るたばこスティックの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るたばこスティックの内部構造を説明する図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る電気加熱式デバイスの外観斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る電気加熱式デバイスの内部構造を説明する図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る中空管ヒータの斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る中空管ヒータにおける縦断面の概略図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る中空管ヒータの分解図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るチャンバ管の斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る中空管ヒータにおける加熱チャンバを挿入口側から眺めた図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るプラグ部材の斜視図である。
【
図11】
図11は、
図6に示す中空管ヒータのA-A位置における横断面を示す図である。
【
図12】
図12は、
図6に示す中空管ヒータのB-B位置における横断面を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る電気加熱式デバイスの加熱チャンバにたばこスティックを規定位置まで挿入した状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで、本発明に係る非燃焼加熱式たばこ製品及び非燃焼加熱式たばこスティックの実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本実施形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は一例である。
【0022】
<実施形態>
図1は、実施形態に係る非燃焼加熱式たばこスティック(以下、単に「たばこスティック」という)100の斜視図である。
図2は、実施形態に係るたばこスティック100の内部構造を説明する図である。たばこスティック100は、後述の電気加熱式デバイス1
と共に使用するのに適した構造を有しており、電気加熱式デバイス1及びたばこスティック100によって非燃焼加熱式たばこ製品が構成される。非燃焼加熱式たばこ製品が使用される際、たばこスティック100は、電気加熱式デバイス1の挿入口(
図4、6等に符号5Aで示す)を通じて加熱チャンバ60に対して挿抜自在となっている。
【0023】
実施形態に係るたばこスティック100は略円筒形のロッド形態である。
図1および
図2に示す例では、たばこスティック100は、たばこロッド部110と、マウスピース部120と、これらを一体に連結するチップペーパー130を含む。マウスピース部120は、たばこロッド部110と共にチップペーパー130によって巻装されることによってたばこロッド部110と同軸に連結されている。
【0024】
符号101は、たばこスティック100(マウスピース部120)の吸い口端である。符号102は、たばこスティック100における吸い口端101とは反対側の先端である。たばこロッド110は、たばこスティック100における先端102側に配置されている。
図1及び
図2に示す例では、たばこスティック100は吸い口端101から先端102に沿った長手方向の全長に亘って略一定の直径を有している。
【0025】
[チップペーパー]
チップペーパー130の材料は、特段制限されず、一般的な植物性の繊維(パルプ)で作製された紙や、ポリマー系(ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロンなど)の化学繊維を用いたシート、ポリマー系のシート、アルミ箔のような金属箔等、或いは、これらを組み合わせた複合材料を用いることができる。例えば、紙基材に金属箔を貼り合せた複合材料によってチップペーパー130を作製してもよい。なお、ここでいうチップペーパー130とは、例えば、たばこロッド部110とマウスピース部120とを連結するなど、たばこスティック100における複数のセグメントを接続するシート状材料を意味する。
【0026】
チップペーパー130の坪量は、特段制限されないが、通常32gsm以上、40gsm以下であり、33gsm以上、39gsm以下であることが好ましく、34gsm以上、38gsm以下であることがより好ましい。チップペーパー130の通気度は、特段制限されないが、通常0コレスタユニット以上、30000コレスタユニット以下であり、0コレスタユニット超、10000コレスタユニット以下であることが好ましい。通気度は、ISO 2965:2009に準拠して測定される値であり、紙の両面の差圧が1kPaのときに、1分ごとに面積1cm2を通過する気体の流量(cm3)で表される。1コレスタユニット(1コレスタ単位、1C.U.)は、1kPa下においてcm3/(min・cm2)である。
【0027】
チップペーパー130は、上記のパルプ以外に、填料が含有されていてもよく、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩、酸化チタン、二酸化チタン、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの金属硫酸塩、硫化亜鉛などの金属硫化物、石英、カオリン、タルク、ケイソウ土、石膏等が挙げられ、特に、白色度・不透明度の向上及び加熱速度の増加の観点から炭酸カルシウムを含んでいることが好ましい。また、これらの填料は1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
【0028】
チップペーパー130は、上記のパルプや填料以外に、種々の助剤を添加してもよく、例えば、向上させるために、耐水性向上剤を有することができる。耐水性向上剤には、湿潤紙力増強剤(WS剤)及びサイズ剤が含まれる。湿潤紙力増強剤の例を挙げると、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン(PAE)等である。また、サイズ剤の例を挙げると、ロジン石けん、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、ケン化度が90%以上の高ケン化ポリビニルアルコール等である。
【0029】
チップペーパー15には、その表面及び裏面の2面うち、少なくとも1面にコーティング剤が添加されてもよい。コーティング剤としては特に制限はないが、紙の表面に膜を形成し、液体の透過性を減少させることができるコーティング剤が好ましい。
【0030】
チップペーパー130の製造方法は、特段制限されず、一般的な方法を適用することができ、例えば、パルプを主成分とする態様の場合、パルプを用いて長網抄紙機、円網抄紙機、円短複合抄紙機等による抄紙工程の中で、地合いを整え均一化する方法が挙げられる。なお、必要に応じて、湿潤紙力増強剤を添加して巻紙に耐水性を付与したり、サイズ剤を添加して巻紙の印刷具合の調整を行ったりすることができる。
【0031】
<たばこロッド部>
たばこロッド部110の構成は、特段制限されず、一般的な態様とすることができる。例えば、たばこ充填物111が巻紙112により巻装されたものを用いることができる。
【0032】
[たばこ充填物]
本実施形態において、たばこ充填物111は、たばこ刻みを含んで構成されている。たばこ充填物111に含まれるたばこ刻みの材料は特に限定されず、ラミナや中骨等の公知のものを用いることができる。また、乾燥したたばこ葉を平均粒径が20μm以上、200μm以下になるように粉砕してたばこ粉砕物とし、これを均一化したものをシート加工したもの(以下、単に均一化シートともいう)を刻んだものであってもよい。さらに、たばこロッドの長手方向と同程度の長さを有する均一化シートを、たばこロッドの長手方向と略水平に刻んだものをたばこロッドに充填する、いわゆるストランドタイプであってもよい。また、たばこ刻みの幅は、たばこロッド部110に充填するうえで0.5mm以上、2.0mm以下であることが好ましい。また、たばこロッド部110に含まれる乾燥たばこ葉の含有量は、特段制限されないが、200mg/ロッド部以上、800mg/ロッド部以下を挙げることができ、250mg/ロッド部以上、600mg/ロッド部以下が好ましい。この範囲は、特に、円周22mm、長さ20mmのたばこロッド部110において好適である。
【0033】
たばこ刻み及び均一化シートの作製に用いるたばこ葉について、使用するたばこの種類は、様々なものを用いることができる。例えば、黄色種、バーレー種、オリエント種、在来種、その他のニコチアナ-タバカム系品種、ニコチアナ-ルスチカ系品種、及びこれらの混合物を挙げることができる。混合物については、目的とする味となるように、前記の各品種を適宜ブレンドして用いることができる。前記たばこの品種の詳細は、「たばこの事典、たばこ総合研究センター、2009.3.31」に開示されている。前記均一化シートの製造方法、すなわち、たばこ葉を粉砕して均一化シートに加工する方法は従来の方法が複数存在している。1つ目は抄紙プロセスを用いて抄造シートを作製する方法である。2つ目は水等の適切な溶媒を、粉砕したたばこ葉に混ぜて均一化した後に金属製板もしくは金属製板ベルトの上に均一化物を薄くキャスティングし、乾燥させてキャストシートを作製する方法である。3つ目は水等の適切な溶媒を、粉砕したたばこ葉に混ぜて均一化したものをシート状に押し出し成型して圧延シートを作製する方法である。前記均一化シートの種類については、「たばこの事典、たばこ総合研究センター、2009.3.31」に詳細が開示されている。
【0034】
たばこ充填物111の水分含有量は、たばこ充填物111の全量に対して10重量%以上、15重量%以下を挙げることができ、11重量%以上、13重量%以下であることが好ましい。このような水分含有量であると、巻染みの発生を抑制し、たばこロッド部110の製造時の巻上適性を良好にする。たばこ充填物111に含まれるたばこ刻みの大きさやその調製法については特に制限はない。例えば、乾燥したたばこ葉を、幅0.5mm以
上、2.0mm以下に刻んだものを用いてもよい。また、均一化シートの粉砕物を用いる場合、乾燥したたばこ葉を平均粒径が20μm~200μm程度になるように粉砕して均一化したものをシート加工し、それを幅0.5mm以上、2.0mm以下に刻んだものを用いてもよい。
【0035】
たばこ充填物111は、エアロゾル煙を生成するエアロゾル基材を含んでいてもよい。当該エアロゾル基材の種類は、特に限定されず、用途に応じて種々の天然物からの抽出物質及び/又はそれらの構成成分を選択することができる。エアロゾル基材としては、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、1,3-ブタンジオール、及びこれらの混合物を挙げることができる。たばこ充填物111中のエアロゾル基材の含有量は、特に限定されず、十分にエアロゾルを生成させるとともに、良好な香味の付与の観点から、たばこ充填物の全量に対して通常5重量%以上であり、好ましくは10重量%以上であり、また、通常50重量%以下であり、好ましくは15重量%以上、25重量%以下である。
【0036】
たばこ充填物111は、香料を含んでいてもよい。当該香料の種類は、特に限定されず、良好な香味の付与の観点から、アセトアニソール、アセトフェノン、アセチルピラジン、2-アセチルチアゾール、アルファルファエキストラクト、アミルアルコール、酪酸アミル、トランス-アネトール、スターアニス油、リンゴ果汁、ペルーバルサム油、ミツロウアブソリュート、ベンズアルデヒド、ベンゾインレジノイド、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、2,3-ブタンジオン、2-ブタノール、酪酸ブチル、酪酸、カラメル、カルダモン油、キャロブアブソリュート、β-カロテン、ニンジンジュース、L-カルボン、β-カリオフィレン、カシア樹皮油、シダーウッド油、セロリーシード油、カモミル油、シンナムアルデヒド、ケイ皮酸、シンナミルアルコール、ケイ皮酸シンナミル、シトロネラ油、DL-シトロネロール、クラリセージエキストラクト、ココア、コーヒー、コニャック油、コリアンダー油、クミンアルデヒド、ダバナ油、δ-デカラクトン、γ-デカラクトン、デカン酸、ディルハーブ油、3,4-ジメチル-1,2-シクロペンタンジオン、4,5-ジメチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジヒドロフラン-2-オン、3,7-ジメチル-6-オクテン酸、2,3-ジメチルピラジン、2,5-ジメチルピラジン、2,6-ジメチルピラジン、2-メチル酪酸エチル、酢酸エチル、酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、イソ吉草酸エチル、乳酸エチル、ラウリン酸エチル、レブリン酸エチル、エチルマルトール、オクタン酸エチル、オレイン酸エチル、パルミチン酸エチル、フェニル酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ステアリン酸エチル、吉草酸エチル、エチルバニリン、エチルバニリングルコシド、2-エチル-3,(5または6)-ジメチルピラジン、5-エチル-3-ヒドロキシ-4-メチル-2(5H)-フラノン、2-エチル-3-メチルピラジン、ユーカリプトール、フェネグリークアブソリュート、ジェネアブソリュート、リンドウ根インフュージョン、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ブドウ果汁、グアヤコール、グァバエキストラクト、γ-ヘプタラクトン、γ-ヘキサラクトン、ヘキサン酸、シス-3-ヘキセン-1-オール、酢酸ヘキシル、ヘキシルアルコール、フェニル酢酸ヘキシル、ハチミツ、4-ヒドロキシ-3-ペンテン酸ラクトン、4-ヒドロキシ-4-(3-ヒドロキシ-1-ブテニル)-3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、4-(パラ-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、4-ヒドロキシウンデカン酸ナトリウム、インモルテルアブソリュート、β-イオノン、酢酸イソアミル、酪酸イソアミル、フェニル酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、フェニル酢酸イソブチル、ジャスミンアブソリュート、コーラナッツティンクチャー、ラブダナム油、レモンテルペンレス油、カンゾウエキストラクト、リナロール、酢酸リナリル、ロベージ根油、マルトール、メープルシロップ、メンソール、メントン、酢酸L-メンチル、パラメトキシベンズアルデヒド、メチル-2-ピロリルケトン、アントラニル酸メチル、フェニル酢酸メチル、サリチル酸メチル、4’-メチルアセトフェノン、メチルシクロペンテノロン、3-メチル吉草酸、ミモザアブソリュート、トウミツ、ミリスチン酸、ネロール、ネロリドール、γ-ノナラクトン、ナツメグ油、δ-オクタラク
トン、オクタナール、オクタン酸、オレンジフラワー油、オレンジ油、オリス根油、パルミチン酸、ω-ペンタデカラクトン、ペパーミント油、プチグレインパラグアイ油、フェネチルアルコール、フェニル酢酸フェネチル、フェニル酢酸、ピペロナール、プラムエキストラクト、プロペニルグアエトール、酢酸プロピル、3-プロピリデンフタリド、プルーン果汁、ピルビン酸、レーズンエキストラクト、ローズ油、ラム酒、セージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スチラックスアブソリュート、マリーゴールド油、ティーディスティレート、α-テルピネオール、酢酸テルピニル、5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン、1,5,5,9-テトラメチル-13-オキサシクロ(8.3.0.0(4.9))トリデカン、2,3,5,6-テトラメチルピラジン、タイム油、トマトエキストラクト、2-トリデカノン、クエン酸トリエチル、4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)2-ブテン-4-オン、2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1,4-ジオン、4-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)2-ブテン-4-オン、2,3,5-トリメチルピラジン、γ-ウンデカラクトン、γ-バレロラクトン、バニラエキストラクト、バニリン、ベラトルアルデヒド、バイオレットリーフアブソリュート、N-エチル-p-メンタン-3-カルボアミド(WS-3)、エチル-2-(p-メンタン-3-カルボキサミド)アセテート(WS-5)が挙げられ、特に好ましくはメンソールである。また、これらの香料は1種を単独で用いても、又は2種以上を併用してもよい。
【0037】
たばこ充填物111中の香料の含有量は、特に限定されず、良好な香味の付与の観点から、通常10000ppm以上であり、好ましくは20000ppm以上であり、より好ましくは25000ppm以上であり、また、通常70000ppm以下であり、好ましくは50000ppm以下であり、より好ましくは40000ppm以下であり、さらに好ましくは33000ppm以下である。
【0038】
[巻紙]
巻紙112は、たばこ充填物111を巻装するためのシート材料であり、その構成は特段制限されず、一般的なものを用いることができる。例えば、巻紙112に用いられる原紙としては、セルロース繊維紙を用いることができ、より具体的には、麻もしくは木材あるいはそれらの混合物を挙げることができる。巻紙112における原紙の坪量は、例えば通常20gsm以上であり、好ましくは25gsm以上である。一方、坪量は通常65gsm以下、好ましくは50gsm以下、さらに好ましくは45gsm以下、である。上記の特性を有する巻紙112の厚みは、特に限定されず、剛性、通気性、及び製紙時の調整の容易性の観点から、通常10μm以上であり、好ましくは20μm以上であり、より好ましくは30μm以上であり、また、通常100μm以下であり、好ましくは75μm以下であり、より好ましくは50μm以下である。
【0039】
たばこロッド部110(たばこ充填物111)の巻紙112として、その形状は正方形又は長方形を挙げることができる。たばこ充填物111を巻装するため(たばこロッド部11を作製するため)の巻紙112として利用する場合、一辺の長さとして12mm~70mm程度を挙げることができ、もう一辺の長さとして15mm~28mm、もう一辺の好ましい長さとして22mm~24mm、さらに好ましい長さとして23mm程度を挙げることができる。
【0040】
上記のパルプの他に、巻紙112には填料が含まれてもよい。填料の含有量は、巻紙112の全重量に対して10重量%以上、60重量%未満を挙げることができ、15重量%以上、45重量%以下であることが好ましい。巻紙112では、好ましい坪量の範囲(25gsm以上、45gsm以下)において、填料が15重量%以上、45重量%以下であることが好ましい。さらに、坪量が25gsm以上、35gsm以下のとき、填料が15重量%以上、45重量%以下であることが好ましく、坪量が35gsm超、45gsm以
下のとき、填料が25重量%以上、45重量%以下であることが好ましい。填料としては、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カオリン等を使用することができるが、香味や白色度を高める観点等から炭酸カルシウムを使用することが好ましい。
【0041】
巻紙112には、原紙や填料以外の種々の助剤を添加してもよく、例えば、耐水性を向上させるために、耐水性向上剤を添加することができる。耐水性向上剤には、湿潤紙力増強剤(WS剤)及びサイズ剤が含まれる。湿潤紙力増強剤の例を挙げると、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン(PAE)等である。また、サイズ剤の例を挙げると、ロジン石けん、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、ケン化度が90%以上の高ケン化ポリビニルアルコール等である。助剤として、紙力増強剤を添加してもよく、例えば、ポリアクリルアミド、カチオンでんぷん、酸化でんぷん、CMC、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリビニルアルコール等を挙げられる。特に、酸化でんぷんについては、極少量用いることにより、通気度が向上することが知られている(例えば、特開2017-218699号公報)。また、巻紙112は、適宜コーティングされていてもよい。
【0042】
巻紙112には、その表面及び裏面の2面うち、少なくとも1面にコーティング剤が添加されてもよい。コーティング剤としては特に制限はないが、紙の表面に膜を形成し、液体の透過性を減少させることができるコーティング剤が好ましい。例えばアルギン酸及びその塩(例えばナトリウム塩)、ペクチンのような多糖類、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロースのようなセルロース誘導体、デンプンやその誘導体(例えばカルボキシメチルデンプン、ヒドロキシアルキルデンプン及びカチオンデンプンのようなエーテル誘導体、酢酸デンプン、リン酸デンプン及びオクテニルコハク酸デンプンのようなエステル誘導体)を挙げることができる。
【0043】
上記のように構成されるたばこロッド部110は、たばこ充填物111がたばこ刻みをランダムに配向した状態で巻紙112によって巻装されている。たばこ刻みがランダムに配向されているとは、たばこ刻みが特定の方向に配向された状態で巻紙112によって巻装されていないことを意味する。また、たばこロッド部110の軸方向長さは、製品のサイズに合わせて適宜変更し得るが、通常10mm以上であり、12mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましく、18mm以上であることがさらに好ましく、また、通常70mm以下であり、50mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましく、25mm以下であることがさらに好ましい。
【0044】
<マウスピース部>
たばこスティック100の構成は、特段制限されず、一般的な態様とすることができる。
図1に示す態様では、マウスピース部120は、二つのセグメント(区分)、すなわち冷却セグメント121及びフィルタセグメント122を含む。冷却セグメント121は、たばこロッド部110とフィルタセグメント122と当接した状態でこれらの間に挟まれるようにして配置されている。他の形態では、たばこロッド部110と冷却セグメント121との間、及びたばこロッド部110とフィルタセグメント122との間に、隙間が形成されていても良い。また、マウスピース部120は、単一のセグメントから形成されていても良い。
【0045】
[冷却セグメント]
冷却セグメント121の構成は、たばこ主流煙を冷却する機能を有していれば、特段制限されず、例えば、厚紙を円筒状に加工したものを挙げることができる。この場合は円筒状の内側は空洞であり、エアロゾル生成基材とたばこ香味成分とを含む蒸気が空洞内の空気と接触して冷却される。
【0046】
冷却セグメント121には、外部からの空気を取り入れるための開孔である通気孔103が設けられている。冷却セグメント121における通気孔103の数は特に限定されない。本実施形態においては、複数の通気孔103が冷却セグメント121の周方向に一定間隔で配置されている。また、冷却セグメント121の周方向に配列される通気孔103群は、冷却セグメント121の軸方向に沿って複数段形成されていても良い。冷却セグメント121に通気孔103が設けられることで、たばこスティック100を吸引する際に、外部から冷却セグメント121に低温の空気が流入し、たばこロッド部110から流入する揮発成分や空気の温度を下げることができる。また、エアロゾル生成基材とたばこ香味成分とを含む蒸気は、通気孔103を通じて冷却セグメント121に導入された低温の空気によって冷却されることによって凝縮する。これにより、エアロゾルの生成が促進されると共に、エアロゾル粒子のサイズをコントロールすることができる。
【0047】
たばこロッド部110から冷却セグメント121に流入する揮発成分や空気を冷却するためのシート等を冷却セグメント121に充填する場合、冷却セグメント121の全表面積は、特段制限されず、例えば、300mm2/mm以上、1000mm2/mm以下を挙げることができる。この表面積は、冷却セグメント121の通気方向の長さ(mm)当たりの表面積である。冷却セグメント121の全表面積は、400mm2/mm以上である
ことが好ましく、450mm2/mm以上であることがより好ましく、一方、600mm2/mm以下であることが好ましく、550mm2/mm以下であることがより好ましい。
冷却セグメント121は、その内部構造が大きい全表面積を有することが望ましい。従って、好ましい実施形態において、冷却セグメント121は、チャネルを形成するためにしわ付けされて、次に、ひだ付け、ギャザー付け、及び折り畳まれた薄い材料のシートによって形成されてもよい。要素の与えられた体積内の折り畳み又はひだが多いと、冷却セグメント121の合計表面積が大きくなる。冷却セグメント121の構成材料の厚みは、特段制限されず、例えば、5μm以上、500μm以下であってよく、また、10μm以上、250μm以下であってよい。
【0048】
冷却セグメント121における通気孔103は、冷却セグメント121とフィルタセグメント122との境界から4mm以上離間した位置に配置されていることが好ましい。これにより、冷却セグメント121の冷却能力を向上させるだけでなく、加熱により生成される成分の冷却セグメント121内での滞留を抑制し、当該成分のデリバリー量を向上させることができる。なお、チップペーパー130には、冷却セグメント121に設けられた通気孔103の直上位置(上下に重なった位置)に開孔が設けられていることが好ましい。冷却セグメント121の開孔は、自動喫煙機で17.5ml/秒で吸引した時の開孔からの空気流入割合(吸い口端から吸引した空気の割合を100体積%とした場合における開孔から流入した空気の体積割合)が10~90体積%、好ましくは50~80体積%、より好ましくは55~75体積%となるように設けるのが好ましく、例えば、開孔群1つ当たりの開孔Vの数を5~50個の範囲から選択し、開孔Vの直径を0.1~0.5mmの範囲から選択し、これらの選択の組み合わせによって達成することができる。上記の空気流入割合は、自動喫煙機(例えば、Borgwaldt社製1本がけ自動喫煙機)を用い、ISO9512に準拠した方法で測定することができる。冷却セグメント121における軸方向の長さは特に限定されないが、通常10mm以上であり、15mm以上であることが好ましく、また、通常40mm以下であり、35mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましい。冷却セグメント121における軸方向の長さは、20mmとすることが、特に好ましい。冷却セグメント121の軸方向長さを上記下限以上とすることで十分な冷却効果を確保して良好な香味を得ることができる。また、冷却セグメント121の軸方向長さを上記上限以下とすることで、使用時に生成された蒸気及びエアロゾルが冷却セグメント121の内壁に付着することに起因するロスを抑制できる。
【0049】
[フィルタセグメント]
フィルタセグメント122の構成は、一般的なフィルタとしての機能を有していれば、特段制限されず、例えば、セルロースアセテートトウを円柱状に加工したものを挙げることができる。セルロースアセテートトウの単糸繊度、総繊度は特に限定されないが、フィルタセグメント122が円周22mmの場合、単糸繊度は5~20g/9000m、総繊度は12000~30000g/9000mであることが好ましい。セルロースアセテートトウの繊維の断面形状は、Y断面でもよいしR断面でもよい。セルロースアセテートトウを充填してフィルタセグメント122を形成する場合、フィルタ硬さを向上するためにトリアセチンをセルロースアセテートトウ重量に対して、5~10重量%添加しても良い。
図2に示す例では、フィルタセグメント122を単一のセグメントから構成しているが、複数のセグメントからフィルタセグメント122を構成しても良い。フィルタセグメント122を複数のセグメントから構成する場合、例えば上流側(たばこロッド部110側)にセンターホール等の中空のセグメントを配置し、下流側(吸い口端101側)のセグメントとして吸口断面がセルロースアセテートトウで充填されたアセテートフィルタを配置する態様を挙げることができる。このような態様によれば、生成するエアロゾルの無用な損失を防ぐとともに、たばこスティック100の外観を良好にすることができる。また、吸いごたえの感覚変化や咥え心地の観点から、上流側(たばこロッド部110側)にアセテートフィルタを配置し、下流側(吸い口端101側)にセンターホール等の中空のセグメントを配置する態様でも良い。また、フィルタセグメント122は、アセテートフィルタの代わりに、シート状のパルプ紙を充填したペーパーフィルタ等、他の代替フィルタ材料を用いた態様とすることもできる。
【0050】
フィルタセグメント122におけるフィルタの一般的な機能としては、例えば、エアロゾル等を吸引する際に混ざる空気量の調整や、香味の軽減、ニコチンやタールの軽減等が挙げられるが、これらの機能を全て備えていることは要しない。また、紙巻きたばこ製品と比較して、生成される成分が少なく、また、たばこ充填物の充填率が低くなる傾向のある電気加熱式たばこ製品においては、濾過機能を抑えつつたばこ充填物の落下を防止する、ということも重要な機能の一つである。
【0051】
フィルタセグメント122の横断面形状は実質的に円形であり、その円の直径は、製品のサイズに合わせて適宜変更し得るが、通常4.0mm以上、9.0mm以下であり、4.5mm以上、8.5mm以下であることが好ましく、5.0mm以上、8.0mm以下であることがより好ましい。なお、断面が円形でない場合、上記の直径は、その断面の面積と同じ面積を有する円で仮定し場合、その円における直径が適用される。フィルタセグメント122の周長は、製品のサイズに合わせて適宜変更し得るが、通常14.0mm以上、27.0mm以下であり、15.0mm以上、26.0mm以下であることが好ましく、16.0mm以上、25.0mm以下であることがより好ましい。フィルタセグメント122の軸方向の長さは、製品のサイズに合わせて適宜変更し得るが、通常15mm以上、35mm以下であり、17.5mm以上、32.5mm以下であることが好ましく、20.0mm以上、30.0mm以下であることがより好ましい。フィルタセグメント122の形状や寸法が上記範囲となるように、フィルタ濾材の形状や寸法を適宜調整できる。
【0052】
フィルタセグメント122の軸方向の長さ120mm当たりの通気抵抗は、特段制限されないが、通常40mmH2O以上、300mmH2O以下であり、70mmH2O以上、280mmH2O以下であることが好ましく、90mmH2O以上、260mmH2O以下であることがより好ましい。上記の通気抵抗は、ISO標準法(ISO6565)に従って、例えばセルリアン社製フィルタ通気抵抗測定器を使用して測定される。フィルタセグメント122の通気抵抗は、フィルタセグメント122の側面における空気の透過が行なわれない状態で一方の端面(第1端面)から他方の端面(第2端面)に所定の空気流
量(17.5cc/min)の空気を流した際の、第1端面と第2端面との気圧差を指す。通気抵抗の単位は、一般的にはmmH2Oで表すことができる。フィルタセグメント122の通気抵抗とフィルタセグメント122の長さとの関係は、通常実施する長さ範囲(長さ5mm~200mm)においては比例関係であることが知られており、フィルタセグメント122の長さが2倍になれば、その通気抵抗も2倍になる。
【0053】
また、フィルタセグメント122におけるフィルタ濾材の密度は、特段制限されないが、通常0.10g/cm3以上、0.25g/cm3以下であり、0.11g/cm3以上、0.24g/cm3以下であることが好ましく、0.12g/cm3以上、0.23g/cm3以下であることがより好ましい。フィルタセグメント122は、強度及び構造剛性の向上の観点から、フィルタ濾材等を巻装する巻取紙(フィルタプラグ巻取紙)を備えていてよい。巻取紙の態様は特段制限されず、一列以上の接着剤を含む継ぎ目を含んでいてよい。該接着剤は、ホットメルト接着剤を含んでいてよく、さらに該ホットメルト接着剤は、ポリビニルアルコールを含み得る。また、フィルタセグメント122が二以上のセグメントからなる場合、巻取紙は、これらの二以上のセグメントを併せて巻装することが好ましい。フィルタセグメント122における巻取紙の材料は特段制限されず、公知のものを用いることができ、また、炭酸カルシウム等の充填剤等を含んでいてもよい。
【0054】
巻取紙の厚さは、特段制限されず、通常20μm以上、140μm以下であり、30μm以上、130μm以下であることが好ましく、30μm以上、120μm以下であることがより好ましい。巻取紙の坪量は、特段制限されず、通常20gsm以上、100gsm以下であり、22gsm以上、95gsm以下であることが好ましく、23gsm以上、90gsm以下であることがより好ましい。また、巻取紙は、コーティングされていても、されていなくともよいが、強度や構造剛性以外の機能を付与できる観点からは、所望の材料でコーティングされることが好ましい。
【0055】
フィルタセグメント122が、センターホールセグメントおよびフィルタ濾材を含む場合、センターホールセグメントおよびフィルタ濾材は例えばアウタープラグラッパー(外側巻取紙)で接続されていてもよい。アウタープラグラッパーは、例えば円筒状の紙であることができる。また、たばこロッド部110と、冷却セグメント121と、接続済みのセンターホールセグメント及びフィルタ濾材とは、例えばマウスピースライニングペーパーにより接続されていてもよい。これらの接続は、例えばマウスピースライニングペーパーの内側面に酢酸ビニル系糊等の糊を塗り、たばこロッド部110、冷却セグメント121、並びに接続済みのセンターホールセグメント及びフィルタ濾材を入れて巻くことで接続することができる。なお、これらは複数のライニングペーパーで複数回に分けて接続されていてもよい。
【0056】
フィルタセグメント122のフィルタ濾材は、ゼラチン等の破砕可能な外殻を含む破砕可能な添加剤放出容器(例えば、カプセル)を含んでいてもよい。カプセル(当該技術分野では「添加剤放出容器」とも呼ばれる)の態様は特段制限されず、公知の態様を採用してよく、例えば、ゼラチン等の破砕可能な外殻を含む破砕可能な添加剤放出容器とすることができる。カプセルの形態は、特段限定されず、例えば、易破壊性のカプセルであってよく、その形状は球であることが好ましい。カプセルに含まれる添加剤としては、上述した任意の添加剤を含んでいてもよいが、特に、香味剤や活性炭素を含むことが好ましい。また、添加剤として、煙を濾過する一助となる1種類以上の材料を加えてもよい。添加剤の形態は、特段限定されないが、通常、液体又は個体である。なお、添加剤を含むカプセルの使用は、当技術分野において周知である。易破壊性のカプセルおよびその製造方法は、本技術分野において周知である。
【0057】
香味剤としては、例えば、メンソール、スペアミント、ペパーミント、フェヌグリーク
、またはクローブ、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)等であってよい。香味剤は、メンソールである、またはメンソール等、又はこれらの組合せを用いることができる。
フィルタセグメント122のフィルタ濾材には香料が添加されていてもよい。フィルタ濾材に香料が添加されていることで、たばこロッド部110を構成するたばこ充填物に香料を添加する従来技術に比べ、使用時の香料のデリバリー量が増大する。香料のデリバリー量の増加の程度は、冷却セグメント121に設けられている開孔の位置に応じてさらに増大する。フィルタ濾材に対する香料の添加方法については特に制限されず、香料の添加対象のフィルタ濾材において略均一に分散されるように添加すればよい。香料の添加量としては、フィルタ濾材の10~100体積%の部分に添加する態様を挙げることができる。その添加方法としては、フィルタセグメントの構成前に予めフィルタ濾材に添加してもよいし、フィルタセグメントの構成後に添加してもよい。香料の種類は、特に限定されないが、上述したたばこ充填物111に含まれる香料と同様のものを用いてもよい。
【0058】
フィルタセグメント122は、フィルタ濾材を含み、該フィルタ濾材の少なくとも一部には、活性炭が添加されていてもよい。フィルタ濾材に対する活性炭の添加量は、たばこスティック1本において、活性炭の比表面積×活性炭の重量/フィルタ濾材の通気方向に対して垂直方向の断面積の値として15.0m2/cm2以上、80.0m2/cm2以下であってもよい。上記の「活性炭の比表面積×活性炭の重量/フィルタ濾材の通気方向に対して垂直方向の断面積」を、便宜上、「単位断面積当たりの活性炭の表面積」と表現することがある。この単位断面積当たりの活性炭の表面積は、たばこスティック1本が有するフィルタ濾材に添加する活性炭の比表面積と、添加した活性炭の重量、フィルタ濾材の断面積、に基づき算出できる。なお、活性炭はそれが添加されるフィルタ濾材中には均一に分散されていないこともあり、フィルタ濾材の全ての断面(通気方向に対して垂直方向の断面)において、上記の範囲を満たすことを要求するものではない。
【0059】
単位断面積当たりの活性炭の表面積は、17.0m2/cm2以上であることがより好ましく、35.0m2/cm2以上であることがさらに好ましい。一方、77.0m2/cm2以下であることがより好ましく、73.0m2/cm2以下であることがさらに好ましい。単位断面積当たりの活性炭の表面積は、例えば、活性炭の比表面積とその添加量、フィルタ濾材の通気方向に垂直な方向の断面積を調整することで調整できる。上記の単位断面積当たりの活性炭の表面積の算出は、活性炭が添加されているフィルタ濾材を基準として算出される。フィルタセグメント122が複数のフィルタ濾材から構成されている場合、活性炭が添加されているフィルタ濾材のみの断面積、長さを基準とする。
【0060】
活性炭としては、例えば、木、竹、椰子殻、胡桃殻、石炭などを原材料とするものを挙げることができる。また、活性炭としては、BET比表面積が、1100m2/g以上、1600m2/g以下であるものを用いることができ、好ましくは1200m2/g以上、1500m2/g以下であるものを用いることができ、さらに好ましくは、1250m2/g以上、1380m2/g以下であるものを用いることができる。BET比表面積は、窒素ガス吸着法(BET多点法)によって求めることができる。また、活性炭としては、その細孔容積が400μL/g以上、800μL/g以下であるものを用いることができ、より好ましくは500μL/g以上、750μL/g以下であるものを用いることができ、さらに好ましくは600μL/g以上、700μL/g以下であるものを用いることができる。細孔容積は、窒素ガス吸着法を用いて得た最大吸着量から算出することができる。活性炭が添加されたフィルタ濾材の通気方向の単位長さ当たりの活性炭の添加量が、5mg/cm以上、50mg/cm以下であることが好ましく、8mg/cm以上、40mg/cm以下であることがより好ましく、10mg/cm以上、35mg/cm以下であることがさらに好ましい。活性炭の比表面積、活性炭の添加量が上記の範囲であることで、単位断面積当たりの活性炭の表面積を所望のものに調整することができる。
【0061】
また、活性炭としては、活性炭粒子の累積10体積%粒子径(粒子径D10)が250μm以上、1200μm以下であることが好ましい。また、活性炭粒子の累積50体積%粒子径(粒子径D50)は350μm以上、1500μm以下であることが好ましい。なお、粒子径D10及びD50は、レーザー回折散乱法によって測定することができる。この測定に適した装置として、堀場製作所のレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置「LA-950」が挙げられる。この装置のセル内に、粉末が純水と共に流し込まれ、粒子の光散乱情報に基づいて、粒子径が検出される。
上記測定装置による測定条件は以下のとおりである。
測定モード:マニュアルフローモー式セル測定
分散媒:イオン交換水
分散方法:超音波1分照射後に測定
屈折率:1.92-0.00i(試料屈折)/1.33-0.00i(分散媒屈折率)
測定回数:試料を変えて2回測定
【0062】
また、フィルタセグメント122のフィルタ濾材に活性炭を添加する方法については特に制限されず、活性炭の添加対象のフィルタ濾材において略均一に分散されるように添加すればよい。
【0063】
また、上記のように構成されるたばこスティック100は、チップペーパー130の外面の一部にリップリリース材料によって被覆されていてもよい。リップリリース材料は、使用者がたばこスティック100のマウスピース部120を口で咥えた際に、唇とチップペーパー130との間の接触が実質的に粘着することなく容易に離れることを補助するように構成される材料を意味する。リップリリース材料は、例えば、エチルセルロース、メチルセルロースなどを含んでいても良い。例えば、チップペーパー130の外面に対して、エチルセルロース系、或いは、メチルセルロース系のインクを塗工することでチップペーパー130の外面をリップリリース材料によってコーティングしても良い。また、リップリリース材料は、ニトロセルロースを含んでいてもよい。
【0064】
本実施形態において、チップペーパー130のリップリリース材料は、使用者がマウスピース部120を咥えた際に、当該使用者の唇に接触する所定の吸い口領域に少なくとも配置される。より具体的には、チップペーパー130における外面のうち、リップリリース材料によって被覆されたリップリリース材料配置領域R1(
図1を参照)は、マウスピース部120の吸い口端101から通気孔103との間に位置する領域として規定されている。
【0065】
また、上記のように構成されるたばこスティック100の1本当たりの長軸方向の通気抵抗は、特段制限されないが、吸い易さの観点から、通常8mmH2O以上であり、10mmH2O以上であることが好ましく、12mmH2O以上であることがより好ましく、また、通常100mmH2O以下であり、80mmH2O以下であることが好ましく、60mmH2O以下であることがより好ましい。通気抵抗は、ISO標準法(ISO6565:2015)に従って、例えばセルリアン社製フィルター通気抵抗測定器を使用して測定される。通気抵抗は、たばこスティック100の側面における空気の透過が行なわれない状態で一方の端面(第1端面)から他方の端面(第2端面)に所定の空気流量(17.5cc/min)の空気を流した際の、第1端面と第2端面との気圧差を指す。単位は、一般的にはmmH2Oで表す。通気抵抗とたばこスティック100との関係は、通常実施する長さ範囲(長さ5mm~200mm)においては比例関係であることが知られており、たばこスティック100の長さが2倍になれば、その通気抵抗も2倍になる。
【0066】
棒状のたばこスティック100は、以下のように定義されるアスペクト比が1以上である形状を満たす柱状形状を有していることが好ましい。
アスペクト比=h/w
wは、たばこスティック100における先端102の幅、hは軸方向の長さであり、h≧wであることが好ましい。たばこスティック100の横断面形状は特に限定されず、多角、角丸多角、円、または楕円等であってよい。たばこスティック100における幅wは、たばこスティック100の横断面形状が円形の場合は直径、楕円形である場合は長径、多角形もしくは角丸多角である場合は外接円の直径もしくは外接楕円の長径である。たばこスティック100軸方向の長さhは、特段制限されず、例えば、通常40mm以上であり、45mm以上であることが好ましく、50mm以上であることがより好ましい。また、通常100mm以下であり、90mm以下であることが好ましく、80mm以下であることがより好ましい。たばこスティック100の先端102の幅wは、特段制限されず、例えば、通常5mm以上であり、5.5mm以上であることが好ましい。また、通常10mm以下であり、9mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましい。たばこスティック100の長さにおける、冷却セグメント121及びフィルタセグメント122の長さの割合(冷却セグメント:フィルタセグメント)は、特段制限されないが、香料のデリバリー量や適切なエアロゾル温度の観点から、通常0.60~1.40:0.60~1.40であり、0.80~1.20:0.80~1.20であることが好ましく、0.85~1.15:0.85~1.15であることがより好ましく、0.90~1.10:0.90~1.10であることがさらに好ましく、0.95~1.05:0.95~1.05であることが特に好ましい。冷却セグメント121及びフィルタセグメント122の長さの割合を上記範囲内とすることで、冷却効果、生成した蒸気及びエアロゾルが冷却セグメント121の内壁に付着することによるロスを抑制する効果、及びフィルタの空気量及び香味の調整機能のバランスがとれて、良好な香味及び香味の強さを実現できる。
【0067】
<電気加熱式デバイス>
次に、たばこスティック100と共に使用される電気加熱式デバイス1について説明する。電気加熱式デバイス1は、たばこスティック100を吸引するための吸引装置であり、たばこスティック100と組み合わされることで非燃焼加熱式たばこ製品を構成している。
図3は、実施形態に係る電気加熱式デバイス1の外観斜視図である。電気加熱式デバイス1は、例えば、使用者によって操作されることで作動、非作動を切り換え可能な操作ボタン(図示せず)を備え、作動時にたばこスティック100のたばこ充填物111を燃焼させることなく加熱することでたばこ充填物111から香味成分を放出させる。
【0068】
電気加熱式デバイス1は、当該デバイス1における種々の内部構成要素を収容すると共に保護するためのハウジング11を有する。
図3に示す符号12はハウジング11の上面パネル部、符号13はハウジング11の底面パネル部、符号14はハウジング11の側面パネル部である。但し、本明細書において、電気加熱式デバイス1の上下左右の各方向に関する言及は、電気加熱式デバイス1を構成する各要素の相対的な位置関係を指すものに過ぎない。また、ハウジング11を形成する材料は特に限定されず、プラスチック材料(
例えば、射出成形によって形成されるガラス充填ナイロン等)によって作製されても良
いし、アルミニウム等の金属材料によって作製されても良い。また、電気加熱式デバイス1のハウジング11における形状、大きさ等は特に限定されない。
【0069】
電気加熱式デバイス1の上面パネル部12には、スライド式の開閉蓋15が取り付けらえている。開閉蓋15は、使用者によってスライド操作されることによって、上面パネル部12に開口する挿入口(
図4、6等に符号5Aで示す)を開閉することができる。電気加熱式デバイス1の挿入口は、円形状の開口部として形成されており、たばこスティック100を挿抜自在に構成されている。また、ハウジング11には、電気加熱式デバイス1の作動状態を使用者にLED等のインジケータ17が設けられている。
【0070】
次に、電気加熱式デバイス1におけるハウジング11の内部に収容された内部構造について説明する。
図4は、実施形態に係る電気加熱式デバイス1の内部構造を説明する図である。
図4において、ハウジング11内に収容された一部の部品の図示を省略している。
図4に示すように、ハウジング11内には、ヒータユニット20、制御部30、電源40等が収容されている。ハウジング11内に収容されている各要素の位置、ハウジング内に占める範囲等は特に限定されず、適宜変更することができる。
【0071】
ヒータユニット20は、作動時にたばこスティック100におけるたばこロッド部110を加熱するための電気加熱式の中空管ヒータ21を有するユニットである。電源40は、中空管ヒータ21やインジケータ17等に対して作動電力を供給するための電源であり、これらと電気配線を介して電気的に接続されている。電源40は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル電池、アルカリ電池等を含んで構成することができる。制御部30は、CPU、メモリ等を有するコンピュータであり、電気加熱式デバイス1全体の作動状態を制御する。制御部30は、例えば、CPU、メモリ、入出力回路、タイマー回路などをICチップに実装したマイクロコントローラであっても良い。制御部30は、電気加熱式デバイス1の作動時に、電源40から中空管ヒータ21に電力を供給し、中空管ヒータ21によってたばこスティック100におけるたばこロッド部110を加熱する加熱制御を行う。
【0072】
ヒータユニット20は、たばこスティック100を挿入可能な加熱チャンバを内部に形成するように規定された中空管形態を有する中空管ヒータ21の他、当該中空管ヒータ21の外周側の少なくとも一部区間を覆う熱絶縁体22等を備えている。熱絶縁体22は、中空管ヒータ21の作動による発熱が電気加熱式デバイス1の外部に伝わる熱を低減するのに寄与する。
【0073】
図5は、実施形態に係る中空管ヒータ21の斜視図である。
図6は、実施形態に係る中空管ヒータ21における縦断面の概略図である。
図7は、実施形態に係る中空管ヒータ21の分解図である。ヒータユニット20における中空管ヒータ21は、
図5~
図7に示すように、挿入筒部5、チャンバ管6、及びプラグ部材7等を含んで構成されている。
図6に示す符号CLは、中空管ヒータ21の中心軸である。以下では、中空管ヒータ21の中心軸CLに沿った方向の断面を「縦断面」とし、中心軸CLに直交する方向の断面を「横断面」として説明する。
【0074】
中空管ヒータ21の挿入筒部5は、中空円筒形状を有するスリーブ部材であり、その上端に形成された開口端が挿入口5Aとして形成されている。挿入口5Aは、たばこスティック100を中空管ヒータ21内(加熱チャンバ内)に対して取り出し自在に挿入するための開口部である。
【0075】
図8は、実施形態に係るチャンバ管6の斜視図である。チャンバ管6は、上端6Aが開口端として形成された有底中空筒状の部材であり、内部に中空の加熱チャンバ60が形成されている。
図9は、実施形態に係る中空管ヒータ21における加熱チャンバ60を挿入口5A側から眺めた図である。
【0076】
チャンバ管6の上端6Aは、挿入筒部5の下端5Bと連結されており、これによって挿入筒部5及びチャンバ管6が一体に構成されている。また、チャンバ管6の下端には底壁64が形成されており、底壁64の平面中央には開口部64Aが形成されている。
【0077】
チャンバ管6は、上端6A側に位置する接続筒部61、当該接続筒部61の下方に位置する狭窄筒部62、狭窄筒部62の下方に位置する圧縮筒部63を含んで構成されている。接続筒部61の上端6Aには、当該接続筒部61の径方向外側に向かって延在する環状
フランジが設けられており、当該環状フランジは挿入筒部5の下端5Bにおける端面に結合される。また、チャンバ管6の接続筒部61は、概略中空円筒形状を有しており、例えばその内径が挿入筒部5における下端5Bの内径と等しい。
【0078】
図8等に示すように、チャンバ管6における圧縮筒部63は、横断面が概略長円形(楕円形)を有する中空筒体として形成されている。また、チャンバ管6における狭窄筒部62は、接続筒部61と接続される上端が中空円筒形状を有し、圧縮筒部63と接続される下端が概略長円(楕円)筒形状を有している。以上のように、本実施形態におけるチャンバ管6における狭窄筒部62は、その断面形状が当該狭窄筒部62の軸方向に沿って徐々に変化する形態となっている。より具体的には、チャンバ管6における狭窄筒部62は、チャンバ管6の中心軸を挟んで対向する位置に、狭窄筒部62の下端側へ向かって徐々に先窄みとなる一対の狭窄壁部62A,62Aを有しており、当該一対の狭窄壁部62A,62Aによって狭窄筒部62の横断面形状が軸方向に沿って連続的に変更されている。
【0079】
次に、中空管ヒータ21におけるプラグ部材7について説明する。
図5及び
図6に示すように、プラグ部材7は、チャンバ管6(圧縮筒部63)の底壁64に装着される部材である。
図10は、実施形態に係るプラグ部材7の斜視図である。プラグ部材7は、チャンバ管6(圧縮筒部63)の底壁64に装着された際に、底壁64の内面に沿うようにして加熱チャンバ60側に位置付けられる本体部71と、本体部71の下面71A側に突設された突出部72と、本体部71の上面71B側から上方に突設された一組の台座部73を含んで構成されている。本体部71は、圧縮筒部63の内側に装着可能な大きさを有している。プラグ部材7の突出部72は、段付き円柱形態を有しており、その基端部721の直径は底壁64の開口部64Aよりも僅かに小さく、開口部64Aを挿通可能に構成されている。プラグ部材7が圧縮筒部63の底壁64に装着された状態において、突出部72は底壁64の開口部64Aを通じて加熱チャンバ60の外部に突出した状態となる。
【0080】
プラグ部材7における一組の台座部73は、加熱チャンバ60の横断面方向に間隔をおいて配置されており、双方の間には隙間SP1が形成されている。各台座部73の上面は、たばこスティック100を挿入口5Aから中空管ヒータ21内(加熱チャンバ60内)に挿入した際に、たばこロッド部110の先端102を当接させることで位置決めする位置決め用底面731として形成されている。各台座部73の位置決め用底面731は平坦であり、加熱チャンバ60内において同じ高さに位置付けられている。加熱チャンバ60に挿入されたたばこスティック100は、たばこロッド部110の先端102が各台座部73の位置決め用底面731に当接した時点で規定位置まで挿入される仕様となっている。つまり、中空管ヒータ21において、各台座部73の位置決め用底面731の位置(規定位置)は、加熱チャンバ60の最奥位置に対応している。たばこスティック100が加熱チャンバ60の最奥位置まで挿入された状態において、たばこロッド部110の先端102は、一組の台座部73間に形成された隙間SP1の上部を跨ぐように載置される。電気加熱式デバイス1を使用してたばこスティック10を吸引する際において、挿入口5Aから中空管ヒータ21の加熱チャンバ60内に流入した空気は、中空管ヒータ21の内壁面とたばこスティック10との隙間を通じて加熱チャンバ60の底部側まで導入された後、隙間SP1を通じてたばこロッド部110の先端102からたばこロッド部110の内部に導入される。
【0081】
図6に示すように、本実施形態におけるチャンバ管6は、圧縮筒部63の少なくとも一部にヒータ領域RHが形成されている。圧縮筒部63のヒータ領域RHは、加熱チャンバ60に挿入されたたばこスティック100のうち、少なくともたばこロッド部110を外周側から加熱するための発熱領域であり、通電によって発熱するヒータ素子23が設けられている。なお、
図6を除く他の図面について、ヒータ素子23の図示を適宜省略している。ヒータ領域RHに設けられるヒータ素子23は、電源40から作動電力が供給される
ことで発熱する素子であり、特に限定されない。圧縮筒部63のヒータ領域RHは、例えばステンレス鋼などの金属管であり、当該金属管の外周面に沿って金属薄膜ヒータが配置されていても良い。金属薄膜ヒータは、発熱体に金属薄膜を使用すると共に柔軟性を有する面状発熱ヒータである。また、圧縮筒部63のヒータ領域RHには、金属薄膜ヒータに代えてフィルムヒータが金属管の外周面に沿って配置されていてもよい。フィルムヒータは、例えば、電気絶縁材料からなる層と加熱要素の一例であるヒーティングトラックからなる層とを重ねた構造を有し得る。また、例えば、ヒータ素子23、2層の電気絶縁材料からなる層の間にヒーティングトラックからなる層を配置する構造を有し得る。電気絶縁材料は例えばポリイミドであり、ヒーティングトラックは例えばステンレス等の金属であり得る。また、圧縮筒部63のヒータ領域RHは、セラミックス材料を含んでいても良い。セラミックス材料としては、アルミナ、窒化アルミニウム及び窒化ケイ素セラミックス等が例示でき、これらが積層され焼結されていても良い。
【0082】
電気加熱式デバイス1の制御部30が中空管ヒータ21の加熱制御を行う際、電源40からの電力供給によって中空管ヒータ21の加熱壁部RHに設置されたヒータ素子が通電されることで、加熱壁部RHが発熱し、その結果、加熱チャンバ60内に挿入されたたばこスティック100のたばこロッド部110を外周側から加熱することができる。
【0083】
本実施形態においては、中空管ヒータ21における圧縮筒部63の軸方向における略全区間に亘ってヒータ素子23が配置されることで、当該区間に亘って加熱壁部RHが形成されている。
図6に示す例では、圧縮筒部63の軸方向における上端から、台座部73の位置決め用底面731の高さに対応する位置にかけて圧縮筒部63の外周面を覆うようにヒータ素子23が設置されることで当該領域に加熱壁部RHが形成されている。但し、圧縮筒部63に設けられるヒータ素子23の設置態様は特に限定されない。すなわち、加熱壁部RHは、圧縮筒部63の全長区間に亘って形成されていても良いし、
図6に示す範囲よりも更に短い区間のみに形成されていても良い。また、圧縮筒部63におけるヒータ素子23は、圧縮筒部63の外周側に設けられていなくても良い。例えば、ヒータ素子23は、圧縮筒部63の壁体内部に埋設されていても良いし、内周側に配置されていても良い。
【0084】
ここで、
図11は、
図6に示す中空管ヒータ21のA-A位置における横断面(A-A横断面)を示す図である。
図12は、
図6に示す中空管ヒータ21のB-B位置における横断面(B-B横断面)を示す図である。中空管ヒータ21のA-A横断面は挿入筒部5の横断面に対応し、B-B横断面はチャンバ管6における圧縮筒部63の横断面に対応している。
【0085】
中空管ヒータ21における圧縮筒部63は、加熱チャンバ60に対するたばこスティック100の挿入時に、少なくともたばこロッド部110を外周側から圧縮するように構成されている。以下、たばこスティック100(たばこロッド部110、マウスピース部120)の直径と単に言及する場合には、原形時(圧縮筒部63による圧縮前)における直径を意図するものであり、圧縮筒部63による圧縮後におけるたばこスティック100(たばこロッド部110、マウスピース部120)の直径を意図する場合にはその旨を明記するものとする。
【0086】
中空管ヒータ21の挿入筒部5は、その内空横断面積がたばこスティック100(たばこロッド部110、マウスピース部120)の横断面積に比べて相対的に大きい。より詳しくは、挿入筒部5の内径は、たばこスティック100(たばこロッド部110、マウスピース部120)の直径よりも相対的に大きい。
図6のA-A横断面に示す符号L1は、中空管ヒータ21の挿入筒部5に挿入された状態におけるたばこスティック100の横断面方向の外形(輪郭)を示す。図示のように、挿入筒部5における内壁面50とたばこス
ティック100の輪郭L1との間には隙間が形成される。このように構成することで、使用者がたばこスティック100を挿入口5Aから挿入する際、たばこスティック100を円滑に加熱チャンバ60へと挿入できる。また、加熱チャンバ60にたばこスティック100を挿入した状態において、挿入筒部5の内壁面50とたばこスティック100との隙間を空気流路として形成することができる。
【0087】
一方、中空管ヒータ21の圧縮筒部63は、上記の通り概略長円(楕円)筒形状を有している。そのため、
図6のB-B内空横断面図に示すように、圧縮筒部63における内空横断面は概略長円形状(楕円形状)として形成されている。圧縮筒部63は、当該圧縮筒部63の軸方向に沿って延在する、一対の対向する挟持壁部631,631と、各挟持壁部631,631の端部同士を接続する一対の円弧壁部632,632によって形成されている。ここで、一対の挟持壁部631,631の内壁面631A,631Aは、圧縮筒部63の軸方向に沿って延在しており、互いに平行に対峙するように配置されている。なお、一対の円弧壁部632,632の内壁面632A,632Aについても、圧縮筒部63の軸方向に沿って延在しており、互いに平行に対峙するように配置されている。
【0088】
一対の挟持壁部631,631における内壁面631A,631A同士の間隔を「挟持壁面間距離D1」という。挟持壁面間距離D1は、たばこスティック100(たばこロッド部110、マウスピース部120)の直径よりも小さな寸法に設定されている。
図6のB-B内空横断面図において、たばこスティック100の原形時における横断面方向の外形(輪郭)を符号L2にて示す。本実施形態においては、たばこスティック100(たばこロッド部110、マウスピース部120)の横断面積は、圧縮筒部63の内空横断面積に比べて相対的に大きく、圧縮筒部63に挿入されたたばこスティック100(たばこロッド部110、マウスピース部120)が圧縮筒部63の内壁面によって圧縮されるように規定されている。より詳しくは、圧縮筒部63における一対の対向する挟持壁部631,631の挟持壁面間距離D1は、たばこスティック100(たばこロッド部110、マウスピース部120)の直径よりも小さな寸法に設定されている。そのため、中空管ヒータ21の圧縮筒部63にたばこスティック100が挿入された際、たばこスティック100は、一対の挟持壁部631,631における内壁面631A,631Aによって挟まれることによって外周側からの圧縮を受ける。なお、本実施形態においては、中空管ヒータ21の圧縮筒部63にたばこスティック100が挿入された際、一対の円弧壁部632,632の内壁面632A,632Aと、たばこスティック100の周面との間には隙間が形成される仕様になっているが、内壁面632A,632Aがたばこスティック100の周面と当接する仕様になっていても良い。
【0089】
圧縮筒部63の挟持壁面間距離D1は、概略長円(楕円)形状を有する圧縮筒部63における内空横断面の短軸寸法と実質的に同等である。また、圧縮筒部63における内空横断面の長軸寸法は特に限定されない。一例として、本実施形態においては、圧縮筒部63における内空横断面の長軸寸法がたばこスティック100(たばこロッド部110、マウスピース部120)の直径と等しい。但し、圧縮筒部63における内空横断面の長軸寸法は、たばこスティック100(たばこロッド部110、マウスピース部120)の直径に比べて小さな寸法に設定されていても良いし、或いは、大きな寸法に設定されていても良い。
【0090】
図14は、実施形態に係る電気加熱式デバイス1の加熱チャンバ60に、たばこスティック100を規定位置まで挿入した状態を説明する図である。
図14に示すように、加熱チャンバ60の規定位置まで挿入されたたばこスティック100は、たばこロッド部110の先端102が中空管ヒータ21における台座部73の位置決め用底面731、すなわち加熱チャンバ60の底面に当接した状態で位置決めされている。また、
図14に示すように、加熱チャンバ60の規定位置(位置決め用底面731)までたばこスティック10
0が挿入された状態において、マウスピース部120(冷却セグメント121)における通気孔103の位置(高さ)が挿入口5Aの位置(高さ)と合致している。
【0091】
また、中空管ヒータ21における圧縮筒部63における上端から台座部73における位置決め用底面731に至るまでの圧縮筒部63の軸方向長さは、たばこロッド部110の長さ寸法よりも大きい。したがって、中空管ヒータ21内における加熱チャンバ60の規定位置まで挿入されたたばこスティック100は、たばこロッド部110全体とマウスピース部120の一部が圧縮筒部63に挿入される。これにより、たばこロッド部110全体とマウスピース部120の一部が、一対の挟持壁部631,631における内壁面631A,631A間に挟み込まれることによって、これらが外周側から圧縮されることとなる。
【0092】
そして、使用者によって電気加熱式デバイス1の操作ボタンが所定のオン操作がなされると、制御部30は電源40から中空管ヒータ21へと電力供給を開始させ、たばこスティック100におけるたばこロッド部110を加熱する加熱制御が開始される。加熱制御が開始されると、中空管ヒータ21における圧縮筒部63の加熱壁部RHに設置されたヒータ素子23が通電されることで加熱壁部RHが発熱する。これにより、たばこスティック100のたばこロッド部110に含まれるたばこ充填物111を燃焼させることなく加熱し、エアロゾル生成基材とたばこ香味成分とを含む蒸気を生成することができる。
【0093】
本実施形態に係る中空管ヒータ21の圧縮筒部63は、その軸方向における全領域が加熱壁部RHとして形成されている。そのため、中空管ヒータ21の作動時においては、圧縮筒部63(加熱壁部RH)によってたばこロッド部110を圧縮した状態で当該たばこロッド部110を加熱することができる。このように、たばこロッド部110を外周側から圧縮加熱することで、加熱壁部RH(ヒータ素子23)の発熱を効率的にたばこロッド部110のたばこ充填物111に伝達することができる。その結果、たばこロッド部110のたばこ充填物111が効率的に加熱されることで、エアロゾル及び香味成分のデリバリー量を増やすことができる。
【0094】
更に、たばこスティック100におけるたばこロッド部110は、たばこ充填物111がたばこ刻みをランダムに配向した状態で巻紙112によって巻装されている。そのため、たばこロッド部110の横断面においてたばこ刻みが均一に分散された状態で配置され、たばこ刻み同士の間の間隙部を小さくすることができる。その結果、圧縮筒部63への挿入に伴ってたばこロッド部110が外周側から圧縮されても、吸引時の通気抵抗が大きく変化することを抑制できる。つまり、吸引時の通気抵抗のたばこスティック100毎のばらつきが起こりにくくなり、たばこスティック100の香喫味について安定した品質の担保に資することができる。つまり、本実施形態におけるたばこスティック100、及び、これを備えた非燃焼加熱式たばこ製品によれば、たばこスティック100の香味成分のデリバリー量の確保と、通気抵抗のばらつきを抑制することができる。
【0095】
また、本実施形態におけるたばこロッド部110の横断面積は、電気加熱式デバイス1における圧縮筒部63への挿入後における横断面積が挿入前に比べて60%以上99%以下となるように規定されていることが好ましく、80%以上98以下となるように規定されていることが更に好ましい。また、たばこロッド部110の直径は、一対の挟持壁部631,631における内壁面631A,631A同士の間隔に対して105%以上200%以下の寸法に規定されていることが好ましく、109%以上140%以下の寸法に規定されていることが更に好ましい。これらによれば、電気加熱式デバイス1における中空管ヒータ21の作動時において、加熱壁部RH(ヒータ素子23)の発熱をより一層効率的にたばこロッド部110のたばこ充填物111に伝達させ、たばこ充填物111を一段と効率的に加熱することができる。また、電気加熱式デバイス1における圧縮筒部63への
挿入後におけるたばこロッド部110の横断面積が挿入前を基準として60%を下回る場合には、圧縮筒部63への挿入時にたばこロッド部110が過度に圧縮されてしまう虞がある。その結果、圧縮筒部63への挿入時に巻紙112が破れてしまったり、たばこロッド部110の通気抵抗が過度に大きくなることに起因して吸引しにくくなること虞がある。
【0096】
なお、中空管ヒータ21の作動時にたばこロッド部110において生成された、エアロゾル生成基材とたばこ香味成分とを含む蒸気は、たばこロッド部110からマウスピース部120冷却セグメント121に流入し、通気孔103から冷却セグメント121の空洞内に取り込まれた空気と接触することによって冷却される。このようにして、たばこロッド部110から流入する成分や空気の温度を下げることができる。そして、エアロゾル生成基材の蒸気が冷却セグメント121で冷却されることで液化し、エアロゾルの生成が促進される。そして、香味成分を含むエアロゾルは、フィルタセグメント122を通過した後、吸い口端101から口腔内に吸引される。
【0097】
上記の通り、たばこスティック100を加熱チャンバ60の規定位置まで挿入した状態で、たばこロッド部110の全体及びマウスピース部120(冷却セグメント121)の一部が圧縮筒部63の内壁面(一対の挟持壁部631,631における内壁面631A,631A)によって圧縮されるように構成されている。中空管ヒータ21の作動時において、たばこスティック100のたばこロッド部110だけでなく、マウスピース部120(冷却セグメント121)も圧縮筒部63の内壁面によって圧縮した状態で加熱することにより、マウスピース部120(冷却セグメント121)の内壁に蒸気やエアロゾルが付着しにくくなるという効果が得られる。また、マウスピース部120の横断面積は、圧縮筒部63への挿入後における横断面積が挿入前に比べて60%以上99%以下となるように規定されていることが好ましく、80%以上98%以下となるように規定されていることが更に好ましい。これにより、上述した蒸気やエアロゾルの付着抑制効果を更に顕著に得ることができるようになる。また、電気加熱式デバイス1における圧縮筒部63への挿入後におけるマウスピース部120の横断面積が挿入前を基準として60%を下回る場合には、圧縮筒部63への挿入時にマウスピース部120が過度に圧縮されてしまう虞がある。その結果、圧縮筒部63への挿入時にマウスピース部120が破損してしまう虞がある。逆に、圧縮筒部63への挿入後におけるマウスピース部120の横断面積が挿入前を基準として99%を上回る場合には、マウスピース部120と中空管ヒータ21との密着性が低下し、マウスピース部120の内壁に蒸気やエアロゾルが付着しにくくなるという効果が十分に得られにくくなる虞がある。
【0098】
また、たばこスティック100は、電気加熱式デバイス1における中空管ヒータ21の加熱チャンバ60に挿入される際、圧縮筒部63における一対の挟持壁部631,631との接触によって抵抗を受けながら加熱チャンバ60の規定位置(位置決め用底面731)まで挿入されることとなる。つまり、本実施形態においては、たばこスティック100の先端102が加熱チャンバ60の位置決め用底面731に当接する前から挟持壁部631,631との接触によって挿入抵抗が発生するため、使用者にとって、たばこスティック100の先端102が加熱チャンバ60の位置決め用底面731に当接した瞬間をたばこスティック100の挿入抵抗の変化から把握しにくくなる。
【0099】
これに対して、たばこスティック100は、たばこロッド部110の先端102が加熱チャンバ60の規定位置(位置決め用底面731)まで挿入された状態において、マウスピース部120(冷却セグメント121)に設けられる通気孔103の位置(高さ)が、加熱チャンバ60の挿入口5Aの位置(高さ)と合致するように規定されている。これにより、使用者は、加熱チャンバ60へのたばこスティック100の挿入時における通気孔103の位置(高さ)と挿入口5Aの位置(高さ)との相対位置に基づいて、挿入動作の
止め時を視覚によって容易に把握することができる。つまり、加熱チャンバ60へのたばこスティック100の挿入時に、通気孔103の位置を目印として利用し、当該通気孔103の位置(高さ)が挿入口5Aの位置(高さ)に合致したことを視覚によって確認した時点で、たばこスティック100の先端102が加熱チャンバ60の位置決め用底面731に当接した瞬間を、たばこスティック100の挿入抵抗の変化に依拠せずに把握することができる。
【0100】
これにより、電気加熱式デバイス1における中空管ヒータ21にたばこスティック100を挿入する際、たばこスティック100における通気孔103の位置が挿入口5Aの高さに合致するまでたばこスティック100を挿入するだけで、たばこスティック100を規定位置まで正確に挿入することができる。そして、たばこスティック100が規定位置に挿入されたタイミングを適切に把握することができるため、たばこスティック100の先端102が加熱チャンバ60の位置決め用底面731に当接したにも関わらず、その状態から更にたばこスティック100を加熱チャンバ60内に押し込もうとする所作を未然に防ぐことができる。これにより、たばこスティック100が途中で座屈したり、軸方向に潰れたりすることを抑制することができる。また、中空管ヒータ21の加熱チャンバ60にたばこスティック100を挿入する際、使用者が、たばこスティック100と挟持壁部631,631との接触による挿入抵抗を、たばこスティック100の先端102が加熱チャンバ60の位置決め用底面731に当接したものと取り違え、規定位置よりも手前でたばこスティック100の挿入動作を止めてしまうことも抑制することができる。
【0101】
また、マウスピース部120の冷却セグメント121に外部の空気を導入する通気孔103は、冷却セグメント121の上流側(たばこロッド部110側)に位置していた方が、たばこスティック100の吸引時に加熱されたたばこ充填物111から放出された揮発成分の蒸気等の冷却効果が大きい。一方、たばこスティック100の吸引時において通気孔103が加熱チャンバ60内(挿入口5Aよりも下方で中空管ヒータ21の壁面に囲まれた領域)に位置すると、吸引時に通気孔103を通じて外部の空気をマウスピース部120(冷却セグメント121)内へと円滑に導入しにくくなる。これに対して、本実施形態のたばこスティック100は、加熱チャンバ60の規定位置(位置決め用底面731)までたばこスティック100の挿入が完了した状態で、マウスピース部120(冷却セグメント121)の通気孔103の位置(高さ)が加熱チャンバ60の挿入口5Aの位置(高さ)と合致するように構成したので、吸引時における冷却セグメント121冷却効果と、通気孔103を通じた外気の取り込み効率を両立させることができる。言い換えると、吸引時における冷却セグメント121冷却効果と、通気孔103を通じた外気の取り込み効率を両立させる観点から、たばこスティック100における通気孔103の位置と、加熱チャンバ60の挿入深さとを最適な相対関係に規定することができる。
【0102】
更に、本実施形態におけるたばこスティック100は、マウスピース部120の吸い口端101から通気孔103との間に位置するリップリリース領域R1(
図1、
図14等を参照)において、チップペーパー130の外面にリップリリース材料によって被覆されている。本実施形態においては、リップリリース材料が配置されるリップリリース材料配置領域R1を、たばこロッド部110(たばこスティック100)の先端102が加熱チャンバ60の規定位置(位置決め用底面731、最奥位置)まで挿入された際に、少なくとも圧縮筒部63の加熱壁部RHよりも挿入口5A側に位置する領域として規定するようにした。これによれば、電気加熱式デバイス1における中空管ヒータ21の作動に伴って圧縮筒部63の加熱壁部RHが発熱した際、たばこスティック100におけるリップリリース材料配置領域R1のリップリリース材料が加熱壁部RHによって直接的に加熱されることを抑制できる。その結果、たばこスティック100の香喫味に影響を及ぼし得る成分がリップリリース材料から放出されることを抑制することができる。本実施形態においては、特に、リップリリース材料配置領域R1を、マウスピース部120の吸い口端101か
ら通気孔103との間に位置する領域として規定するようにした。上記の通り、マウスピース部120の通気孔103は、たばこスティック100の先端102が加熱チャンバ60の規定位置(位置決め用底面731、最奥位置)まで挿入された際に、加熱チャンバ60の挿入口5Aの位置(高さ)と合致するように規定されている。そのため、上記のようにたばこスティック100におけるリップリリース材料配置領域R1の範囲を設定することによって、たばこスティック100を加熱チャンバ60の最奥位置まで挿入した際に、リップリリース材料配置領域R1を圧縮筒部63の加熱壁部RHに比べてより確実に挿入口5A側に位置付けることができる。
【0103】
ここで、チップペーパーにおけるリップリリース材料の塗工量を定量する手法の一例を説明する。本定量方法で使用する器具は、ロータリーエバポレーター、恒温水槽、冷却管、吸光度測定装置とする。まず、リップリリース材料が塗工されたチップペーパーを細片化した試料を用意し、当該試料を予め秤量しておいた三角フラスコに入れて試料重量を秤量する(手順1)。次に、上記三角フラスコに試薬としてのアセトン100mlを加えた後、30分の超音波抽出を行う(手順2)。次に、手順2で抽出した抽出液を300mlのナス型フラスコに移し、ロータリーエバポレーターを用いて当該抽出液中のアセトンを揮発させる(手順3)。手順3では、水温40℃に設定した恒温水槽にナス型フラスコが浸るようにナス型フラスコをセットした状態でアセトンの揮発を行う。次に、上記ナス型フラスコにアセトン25mlを数回に分けて入れ、同フラスコ内に残った不揮発物を再度溶解する(手順4)。次に、手順4で不揮発物を再度溶解した溶液を50ml、別のナス型フラスコに移した後、エバポレーターを用いて当該溶液中のアセトンを揮発させる(手順5)。次に、手順5でアセトンを揮発させた溶液が入ったナス型フラスコ内にアセトン10mlと10%KOH 10mlを添加し、ナス型フラスコに冷却管をセットした後、水温60℃の恒温水槽上で1時間の還流を行う(手順6)。次に、溶液を氷上で室温まで冷ました後、ろ紙を用いてろ過を行う(手順7)。手順7のろ過は、50mlのろ液をメスフラスコに入れ、アセトンおよび水の混合溶液(アセトン:水=2:1)によりメスフラスコの線までフィルアップしたものを用いる。次に、吸光度測定装置を用いて、手順7でろ過した後の溶液の吸光度を測定する。
【0104】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、実施形態における実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。例えば、電気加熱式デバイス1の中空管ヒータ21における圧縮筒部63は、その横断面積がたばこスティック100の横断面積に比べて相対的に小さければ、その具体的な態様については特に限定されない。したがって、上記実施形態においては、圧縮筒部63が軸方向に沿って平行に対峙する一対の挟持壁部631,631を含んで構成される態様を例に説明したが、これに代えて、非平行の壁部間にたばこスティック100を挟持することによって圧縮筒部63に挿入されるたばこスティック100を外周側から圧縮する態様を採用しても良い。
【0105】
また、中空管ヒータ21における圧縮筒部63は、たばこスティック100の直径に比べて小さな内径を有する円筒体であっても良い。この場合、チャンバ管6における接続筒部61と圧縮筒部63との間に位置する狭窄筒部62は、接続筒部61との接続される上端側から圧縮筒部63と接続される下端側に向かって徐々に内径がテーパ状に縮径されていても良い。上記何れの態様においても、圧縮筒部63の内壁面によって、たばこスティック100を外周側から圧縮することができ、中空管ヒータ21の作動時においてたばこスティック100の圧縮加熱が可能となる。
【符号の説明】
【0106】
1・・・電気加熱式デバイス
5・・・挿入筒部
6・・・チャンバ管
11・・・ハウジング
20・・・ヒータユニット
21・・・中空管ヒータ
5A・・・挿入口
60・・・加熱チャンバ
61・・・接続筒部
62・・・狭窄筒部
63・・・圧縮筒部
RH・・・加熱壁部
100・・・たばこスティック
103・・・通気孔
110・・・たばこロッド部
120・・・マウスピース部
121・・・冷却セグメント
122・・・フィルタセグメント
130・・・チップペーパー
631・・・挟持壁部