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特開2024-144628タイヤにおけるシーラント層の形成方法
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  • 特開-タイヤにおけるシーラント層の形成方法 図1
  • 特開-タイヤにおけるシーラント層の形成方法 図2
  • 特開-タイヤにおけるシーラント層の形成方法 図3
  • 特開-タイヤにおけるシーラント層の形成方法 図4A
  • 特開-タイヤにおけるシーラント層の形成方法 図4B
  • 特開-タイヤにおけるシーラント層の形成方法 図5
  • 特開-タイヤにおけるシーラント層の形成方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144628
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】タイヤにおけるシーラント層の形成方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/08 20060101AFI20241003BHJP
   B60C 19/12 20060101ALI20241003BHJP
   B29C 73/16 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B29D30/08
B60C19/12 Z
B29C73/16
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024121112
(22)【出願日】2024-07-26
(62)【分割の表示】P 2019218681の分割
【原出願日】2019-12-03
(31)【優先権主張番号】62/778948
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/413007
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513158760
【氏名又は名称】ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-クロード パトリス フィリップ グリフォイン
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン エリク エム ピエレ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ヨヴァニック
(57)【要約】
【課題】動的アンバランスを有さないシーラント層を有するタイヤを形成するための改良された方法および装置を提供する。
【解決手段】
タイヤ内にシーラント層を形成する方法が、タイヤを供給することと、クラウンの下の前記タイヤの内側にシーラント層を形成するために、各巻きがタイヤ中央円周面に対して0度の角度に揃えられた直線部分を有する1つ以上のシーラントの巻きを塗布することと、を含み、前記シーラント層の外縁の一部が除去されて、バランスのとられたタイヤを形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ内にシーラント層を形成する方法であって、
タイヤを供給することと、
クラウンの下の前記タイヤの内側にシーラント層を形成するために、各巻きがタイヤ中央円周面に対して0度の角度に揃えられた直線部分を有する1つ以上のシーラントの巻きを塗布することと、を含み、
前記シーラント層の外縁の一部が除去されて、バランスのとられたタイヤを形成することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記シーラントが連続的にスプレーされることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各巻きは、角度の付いた遷移セクションによって互いに接続されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
タイヤ内にシーラント層を形成する方法であって、
タイヤを供給することと、
クラウンの下のタイヤの内側に前記シーラント層を塗布することを有し、前記シーラント層は螺旋状に巻かれてスプレーされ、バランスのとられたタイヤを形成するために前記シーラント層の外縁の一部が除去されることを特徴とする方法。
【請求項5】
トレッドと、互いに対向するサイドウォールと、前記トレッドの反対側に位置する内面とを有する、バランスのとられたタイヤであって、
前記内面はシーラントの複数の巻きを螺旋状に塗布することによって形成されたシーラント層を有し、各巻きは直線部分を有し、
前記シーラント層の外縁の一部が除去されていることを特徴とするタイヤ。
【請求項6】
各巻線は、角度の付いた遷移セクションと接続されることを特徴とする、請求項5に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、タイヤの製造に関し、より詳細には、硬化後のシーラントを有するタイヤを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パンクシーラントを備えた空気入りタイヤ、またはパンクシーリング特性を備えたタイヤ構造は、タイヤの技術分野の当業者に知られている。一般的に、このようなタイヤは、典型的にはタイヤの内側にスプレーされるシーラント層を含む。シーラント層は典型的には、タイヤのアンバランスに関する限り最も臨界的な直径でタイヤに付加されるかなりの質量を表す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術のシーラントの積層体は、タイヤ中心面に対して非対称なパターンをもたらすことが多く、タイヤの動的アンバランスをもたらす可能性がある。したがって、動的アンバランスを有さないシーラント層を有するタイヤを形成するための改良された方法および装置を有することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のタイヤ内にシーラント層を形成する方法は、タイヤを供給することと、クラウンの下の前記タイヤの内側にシーラント層を形成するために、各巻きがタイヤ中央円周面に対して0度の角度に揃えられた直線部分を有する1つ以上のシーラントの巻きを塗布することと、を含み、前記シーラント層の外縁の一部が除去されて、バランスのとられたタイヤを形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、動的アンバランスを有さないシーラント層を有するタイヤを形成するための改良された方法および装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】タイヤシーラントスプレー装置およびタイヤの概略正面図である。
図2】タイヤシーラントスプレー装置のノズルおよびタイヤの拡大図である。
図3】タイヤシーラントスプレー装置を用いて螺旋状に巻かれたシーラント積層体を示す。
図4A】螺旋状に巻かれたシーラント積層体の拡大図を示す。
図4B】バランスのとられた螺旋状に巻かれたシーラント積層体を示す。
図5】タイヤシーラントスプレー装置を使用した本発明のシーラント積層体を示す。
図6】本発明のシーラント積層体の拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、例として、添付の図面を参照して説明される。
【0008】
(定義)
「アスペクト比」は、タイヤの断面幅に対する断面高さの比を意味する。
【0009】
「軸線方向の」および「軸線方向に」は、タイヤの回転軸線に平行なラインまたは方向を意味する。
【0010】
「ビード」または「ビードコア」は一般的に、タイヤをリムに固定することに関連した半径方向内側のビードの環状の引張り部材を含むタイヤの一部分を意味し、半径方向内側ビードは、プライコードによって巻かれており、フリッパー、チッパー、エイペックスまたはフィラー、トウガードおよびチェーファーのようなその他の補強用要素を用いて成形してもよいし、または、それらを用いないで成形してもよい。
【0011】
「ベルト構造」または「補強ベルト」はトレッドの下層にあり、ビードに固定されていない、織られた、または織られていない平行なコードからなる少なくとも2つの環状の層またはプライを意味し、その左コード角度および右コード角度は、タイヤの赤道面に対して17度から27度の範囲である。
【0012】
「バイアスプライタイヤ」はカーカスプライ内の補強コードがビードからビードへタイヤを斜めに横切ってタイヤの赤道面に対して約25度から65度に延びることを意味し、各プライコードは互いの層において互いに逆向きの角度に延びる。
【0013】
「ブレーカー」または「タイヤブレーカー」は、ベルトまたはベルト構造または補強ベルトと同じ意味である。
【0014】
「カーカス」は、タイヤプライ材料と、接合に適した長さに切断され、またはすでに接合された他のタイヤの複数の構成要素との積層体で、円筒形または円環形状にされたものを意味する。成型タイヤを製造するためにカーカスを加硫する前に、カーカスに追加の構成要素を添加してもよい。
【0015】
「周方向の」は、軸線方向に垂直な環状のトレッドの表面の周囲に沿って延びるラインまたは方向を意味し、断面視において半径がトレッドの軸線方向の湾曲を画定する互いに隣接する円形曲線の組の方向を指すこともある。
【0016】
「コード」は、プライを補強するために使用される、ファイバーを含む補強ストランドの1つを意味する。
【0017】
「インナーライナー」はチューブレスタイヤの内部表面を形成し、タイヤを膨らませる流体を入れるエラストマーまたはその他の材料の1つの層または複数の層を意味する。
【0018】
「インサート」はランフラット型タイヤのサイドウォールを補強するために典型的に使用される補強材を意味し、トレッドの下にあるエラストマーインサートをも指す。
【0019】
「プライ」はコード補強層を意味し、半径方向に配置されまたは平行な、エラストマーで被覆された複数のコードからなる。
【0020】
「半径方向の」および「半径方向に」は、タイヤの回転軸に向かう半径方向またはタイヤの回転軸から離れる半径方向を意味する。
【0021】
「ラジアルプライ構造」は、1つかまたはそれより多いカーカスプライを意味するか、または少なくとも1つのプライがタイヤの赤道面に対して65度から90度の角度で配向した補強コードを有することを意味する。
【0022】
「ラジアルプライタイヤ」は、ビードからビードへ延びるプライコードがタイヤの赤道面に対して65度から90度の間のコード角に配置される、ベルトが巻かれた、または周方向に制限された空気入りタイヤを意味する。
【0023】
「サイドウォール」は、トレッドとビードの間のタイヤの部分を意味する。
【0024】
「積層構造」は、インナーライナー、サイドウォール、および任意のプライ層のようなタイヤまたはエラストマー構成要素の1つ以上の層から作製される未加硫構造を意味する。
【0025】
図1および図2は、シーラント分配スタンド20に回転可能に取り付けられたタイヤTを示す。シーラント分配スタンド20は、タイヤを保持するためのタイヤグリッパ30と、タイヤ幅を拡大するためのタイヤスプレッダ40とを有する。シーラント分配スタンド20は、塗布バー60を有するロボットアーム50を更に含む。塗布バー60はシーラント分配ノズル70を有する。ロボットアーム50は、塗布バー60をタイヤの軸方向に移動させ、シーラント層を分配することができる。図3は分配ノズルがタイヤの回転軸に平行な方向に移動するときに、螺旋状に巻かれた構成80でシーラント層を塗布する分配ノズルを示す。螺旋状に巻かれた構成の拡大図が図4Aに示されている。螺旋状に巻かれた構成80は(タイヤ赤道面から測定して)、通常3度から6度の範囲の僅かな角度で螺旋状に巻かれる。クロスハッチングで示される端部82、84、86、88は、タイヤの不均衡をもたらす。図4Bは、端部82、84、86、88が除去され、バランスのとられたシーラント構成をもたらす、螺旋状に巻かれた構成100を示す。
【0026】
図5から図6は、バランスのとられたシーラント層を有するタイヤの本発明の第2の実施形態を示す。シーラント層の構成200を図6に示す。シーラント層200は、連続する帯状のシーラントを複数回巻いて形成される。シーラント層200は開始部分202および終了部分204を有する1巻き目201を有し、シーラントは開始部分と終了部分との間に帯状に、ゼロ度の向きまたは「直線状」で塗布される。シーラントスプレーの向きはタイヤ中央円周面Lに対して0度である。1巻き目201はタイヤの回転の約320度から358度の範囲(すなわち、360度未満の回転)になるまで、0度を向いたままであり、シーラントの1巻き目の端部204は、遷移セクション210内で角度が付けられる。遷移部分212の端部または2巻き目214の始端は、1巻き目201の始端202から軸方向に離間している。シーラント層は、タイヤ中央円周面に対してゼロ度を向き、直線部分を形成する複数の巻き201、214、220、230、240、250、260から形成される。各巻きの各直線部分は、0度から360度未満まで巻かれ、任意に設けられる遷移セクションに接続された終端204を有する。遷移セクションは傾斜している。
【0027】
本明細書で提供される本発明の説明に照らして、本発明の変形形態が可能である。特定の代表的な実施形態および詳細を、本発明を説明する目的で示したが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。したがって、以下の添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の完全な意図される範囲内にある、説明される特定の実施形態において変更がなされ得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0028】
20 シーラント分配スタンド
30 タイヤグリッパ
40 タイヤスプレッダ
50 ロボットアーム
60 塗布バー
70 シーラント分配ノズル
80 螺旋状に巻かれた構成
82、84、86、88 端部
100 螺旋状に巻かれた構成
200 シーラント層
201、214、220、230、240、250、260 巻き
202 開始部分
204 終了部分
210 遷移セクション
212 遷移部分
T タイヤ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6