(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144648
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】穀粒判別システム
(51)【国際特許分類】
A01D 41/127 20060101AFI20241003BHJP
G06Q 50/02 20240101ALI20241003BHJP
【FI】
A01D41/127 140
G06Q50/02
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024124849
(22)【出願日】2024-07-31
(62)【分割の表示】P 2020219141の分割
【原出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】団栗 彰男
(72)【発明者】
【氏名】稲井 慎也
(72)【発明者】
【氏名】志賀 隆之
(57)【要約】
【課題】所定の圃場についての期間が異なる複数の判別結果を見比べることで、様々な農作業の対策をすることができるようにする。
【解決手段】穀粒判別システムは、圃場で生育した穀物の穀粒について、圃場毎に穀粒の判別を行う穀粒判別機と、前記穀粒判別機で判別した圃場毎の判別結果を、圃場毎に、被害米、着色粒及び未熟米の少なくとも1つと、整粒といった穀粒の状態に分け、且つ、各穀粒の状態の重量又は割合を対応付けることで所定の穀粒の状態の分類を共通して行う状態分類部と、前記状態分類部で圃場毎に所定の穀粒の状態が分類された判別結果を記憶する記憶装置と、前記記憶装置に記憶された判別結果のうちで、所定の圃場についての期間が異なる複数の判別結果を並べて比較する比較画面を表示する表示装置と、を備えている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場で生育した穀物の穀粒について、圃場毎に穀粒の判別を行う穀粒判別機と、
前記穀粒判別機で判別した圃場毎の判別結果を、圃場毎に、被害米、着色粒及び未熟米の少なくとも1つと、整粒といった穀粒の状態に分け、且つ、各穀粒の状態の重量又は割合を対応付けることで所定の穀粒の状態の分類を共通して行う状態分類部と、
前記状態分類部で圃場毎に所定の穀粒の状態が分類された判別結果を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置に記憶された判別結果のうちで、所定の圃場についての期間が異なる複数の判別結果を並べて比較する比較画面を表示する表示装置と、
を備えている穀粒判別システム。
【請求項2】
前記表示装置は、前記期間が入力される期間入力部と、前記所定の圃場として少なくとも1つ以上の圃場が入力される圃場入力部とを、前記比較画面に表示する請求項1に記載の穀粒判別システム。
【請求項3】
前記表示装置は、前記期間入力部に入力された複数の期間、及び、前記圃場入力部に入力された前記所定の圃場に一致する複数の判別結果を、前記記憶装置から抽出して、前記比較画面に表示する請求項2に記載の穀粒判別システム。
【請求項4】
前記表示装置は、前記状態分類部で分類された所定の穀粒の状態に対する判別結果を、圃場を含む圃場マップを含む結果表示画面を表示する請求項1~3の何れか1項に記載の穀粒判別システム。
【請求項5】
複数の穀粒の状態から前記所定の穀粒の状態を選択する状態選択部を備え、
前記表示装置は、前記状態選択部で選択された穀粒の状態に対応する前記判別結果を、圃場毎に表示する請求項4に記載の穀粒判別システム。
【請求項6】
前記判別結果の範囲を設定する範囲設定部を備え、
前記表示装置は、前記判別結果のうち、前記範囲設定部に入る判別結果に対応する圃場を、他の圃場とは区別可能に表示する請求項5に記載の穀粒判別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、穀粒判別システムに関する。
【背景技術】
【0002】
収穫した作物に対して行った色彩選別の選別結果を表示する技術として特許文献1が知られている。特許文献1の表示装置は、収穫した作物に対して行った色彩選別の選別結果を取得する選別結果取得部と、圃場マップを取得する圃場情報取得部と、圃場マップに選別結果を表示する表示部と、表示部は、選別結果として作物が不良として判別された原因を表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の表示装置では、圃場ごとに作物が不良として判別された原因が表示されることから、圃場で何の原因があったかを把握することができる。しかしながら、複数の圃場の全体を見た場合、圃場毎に不良の結果が異なる表示形態であったため、例えば、カメムシ、ヤケ米などが複数の圃場でどのように分布しているかなどを把握することが難しいのが実情である。
【0005】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、所定の圃場についての期間が異なる複数の判別結果を見比べることで、様々な農作業の対策をすることができる穀粒判別システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
穀粒判別システムは、圃場で生育した穀物の穀粒について、圃場毎に穀粒の判別を行う穀粒判別機と、前記穀粒判別機で判別した圃場毎の判別結果を、圃場毎に、被害米、着色粒及び未熟米の少なくとも1つと、整粒といった穀粒の状態に分け、且つ、各穀粒の状態の重量又は割合を対応付けることで所定の穀粒の状態の分類を共通して行う状態分類部と、前記状態分類部で圃場毎に所定の穀粒の状態が分類された判別結果を記憶する記憶装置と、前記記憶装置に記憶された判別結果のうちで、所定の圃場についての期間が異なる複数の判別結果を並べて比較する比較画面を表示する表示装置と、を備えている。
【0007】
前記表示装置は、前記期間が入力される期間入力部と、前記所定の圃場として少なくとも1つ以上の圃場が入力される圃場入力部とを、前記比較画面に表示する。
前記表示装置は、前記期間入力部に入力された複数の期間、及び、前記圃場入力部に入力された前記所定の圃場に一致する複数の判別結果を、前記記憶装置から抽出して、前記比較画面に表示する。
【0008】
前記表示装置は、前記状態分類部で分類された所定の穀粒の状態に対する判別結果を、圃場を含む圃場マップを含む結果表示画面を表示する。
穀粒判別システムは、複数の穀粒の状態から前記所定の穀粒の状態を選択する状態選択部を備え、前記表示装置は、前記状態選択部で選択された穀粒の状態に対応する前記判別結果を、圃場毎に表示する。
穀粒判別システムは、前記判別結果の範囲を設定する範囲設定部を備え、前記表示装置は、前記判別結果のうち、前記範囲設定部に入る判別結果に対応する圃場を、他の圃場とは区別可能に表示する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所定の圃場についての期間が異なる複数の判別結果を見比べることで、様々な農作業の対策をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】穀粒判別システムを含む農業管理システムの概略図である。
【
図4】管理情報KIと処理との関係を示す図である。
【
図5A】圃場毎の穀粒判別の結果を重量で表した図である。
【
図5B】圃場毎の穀粒判別の結果をパーセント(百分率)で表した図である。
【
図6A】結果表示画面M1において、カメムシが6%以上の圃場を示す一例を示す図である。
【
図6B】結果表示画面M1において、ヤケ米が0.4%以上の圃場を示す一例を示す図である。
【
図6C】結果表示画面M1において、カメムシが13.0kg~13.9kgの圃場を示す一例を示す図である。
【
図8】過去の判別結果及び現在の判別結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、農業管理システムの概略図を示している。農業管理システムは、野菜類、籾(米)、麦、粟、稗、そば、豆類等の穀物の農業を管理するシステムである。
農業管理システムは、農業管理装置10を含んでいる。農業管理装置10は、穀物を処理する処理設備に関する情報を取得可能である。この実施形態では、処理設備は穀物を処理する穀物処理設備である。
【0012】
まず、穀物処理設備について説明する。
図2に示すように、穀物処理設備は、複数の処理機61を備えている。複数の処理機61は、例えば、荷受機61a、乾燥機61b、放冷タンク61c、籾摺機61d、穀粒判別機61e、計量器61fを含んでいる。荷受機61a、乾燥機61b、放冷タンク61c、籾摺機61d、穀粒判別機61e、計量器61fのそれぞれは、ローカルネットワーク等の内部ネットワークにより接続されている。なお、穀物処理設備は、荷受機61a、乾燥機61b、放冷タンク61c、籾摺機61d、穀粒判別機61e、計量器61fのいずれかを備えていればよく、全てを備えていなくてもよい。
【0013】
荷受機61aは、穀物を受け入れる装置である。荷受機61aは、穀物を受ける荷受部81と、荷受部81に入れられた穀物を搬送する搬送部82とを備えている。荷受機61aでは、荷受部81で穀物を受け入れると、当該荷受部81で受けた穀物を、搬送部82を介して乾燥機61bに搬送する。
乾燥機61bは、穀物を乾燥する装置である。この乾燥機61bは、穀物(籾)を投入する投入口62と、穀物を一時的に貯留する貯留部63と、貯留部63で貯留された穀物が供給されて当該供給された穀物を乾燥する乾燥部64と、循環部65と、制御装置66aとを有している。循環部65は、投入口62に投入された穀物を貯留部63に運搬したり、乾燥部64で乾燥した穀物を再び貯留部63に戻す機構である。
【0014】
制御装置66aは、乾燥機61bを制御する装置であって、乾燥終了後の穀物の水分量やタンパク量が予め設定された目標値となるように、乾燥部64の乾燥温度や循環部65の循環速度等を制御する。また、制御装置66aは、例えば、乾燥機61bの状態を示すステータス(張り込み中、乾燥中、停止中等)、乾燥機61b内の穀物の水分含有量、乾燥機61bの穀物のタンパク含有量、放冷タンク61cの張込先等を出力する。
【0015】
したがって、乾燥機61bによれば、荷受機61aによって搬送された穀物が投入口62に入れられ(張り込まれ)、張り込まれた穀物を貯留部63で一時的に貯留しながら乾燥部64に供給することで、当該乾燥部64で乾燥することができる。また、乾燥部64で乾燥した穀物を貯留部63に戻すことによって、穀物を循環させながら乾燥することができる。
【0016】
放冷タンク61cは、乾燥機61bで乾燥した穀物を所定時間に貯留することで放冷するタンクである。籾摺機61dは、放冷タンク61cで放冷した穀物の籾摺りを行う装置である。
穀粒判別機61eは、籾摺り後の穀物の穀粒の判別を行う装置であって、色彩を検出することによって、カメムシ、ヤケ米、シラタ、整粒等の穀粒の状態(以下、穀粒状態)を判別する。ホッパー67に投入された穀粒は、穀粒判別機61e内で穀粒状態(カメムシ、ヤケ米、シラタ、整粒)に判別される。
【0017】
穀粒判別機61eは、
図2、3に示すように選別のための部材として、第1排出口69と、第2排出口70と、シュート71と、照明器72と、カメラ73(73a,73b,73c)と、撮影背景74(74a,74b,74c)と、遮光板75と、インジェクタ76と、制御装置66bとを有している。ホッパー67に投入された穀粒は、穀粒判別機61e内をシュート71まで流れる。シュート71は穀粒を一列に整列し、落下させる部材である。カメラ73は、落下中の穀粒を撮影する装置である。カメラ73aは位置Aで穀粒の表側を、カメラ73bは位置Aで穀粒の裏側を、カメラ73cは位置Bで穀粒の透過度を撮影する。インジェクタ76は、選別画像(撮影画像)に基づいて、排出口70へと吹き飛ばして分別する。
【0018】
制御装置66bは、穀粒判別機61eを制御する装置であって、例えば、カメラ73で撮影した穀粒の画像(穀粒画像)から穀粒状態(カメムシ、ヤケ米、シラタ、整粒)に判別される。即ち、制御装置66bは、撮影した穀粒画像の色等に基づいて、穀粒状態を判別し、インジェクタ76にカメムシ、ヤケ米、シラタに対しては、穀粒を吹き飛ばす指令を出力する。排出口69には、整粒(白米)が排出され、排出口70には、穀粒状態として、カメムシ、ヤケ米、シラタの穀粒が排出される。排出口70に排出されたカメムシ、ヤケ米、シラタの穀粒は、カメムシ、ヤケ米、シラタのそれぞれに分けられて、穀粒状態毎、即ち、カメムシ、ヤケ米、シラタ毎に計量器61fとは別の計量機88によって計量される。
【0019】
計量器61fは、整粒の計量を行うもので、整粒を入れるホッパー77と、ホッパー77の下部に設けられた台座78と、計量部79と、制御装置66cとを有している。ホッパー77は、整粒を入れる容器であり、台座78は、整粒を入れる収容部材80を置く台である。収容部材80は、フレコンやコンテナ等である。計量部79は、収容部材80に入れられた整粒の重量を測定する装置である。制御装置66cは、計量器61fを制御する装置であって、計量結果、計量開始、計量終了等に関する処理を行う。また、制御装置66cは、例えば、出荷量、袋詰数、袋詰量、計量開始時間、計量終了時間等を出力する。
【0020】
さて、農業管理装置10は、情報取得部12を備えている。情報取得部12は、農業管理装置10に設けられた電気電子回路、プログラム等から構成されている。
例えば、
図4に示すように、穀粒が荷受機61aにて荷受けした際に、荷受時間、張込先、圃場情報等の荷受情報を情報取得部12が取得すると、農業管理装置10は、穀粒処理設備の管理情報KIを発行する(S1)。管理情報KIは、圃場情報を含む荷受情報MIに関連付けられていて、処理が進むごとに、他の情報と関連付けを行う。
【0021】
荷受機61aから乾燥機61bへと処理が移行する際(乾燥処理の際)において、管理情報KIは乾燥機61bにおいて管理される乾燥情報に関連付けられる(S2)。したがって、乾燥情報に管理情報KIが対応付けられていることから、乾燥処理を行っている穀物がどの圃場で収穫されたものか、即ち、乾燥済圃場を管理情報KIから特定することができる。
【0022】
同様に、農業管理装置10は、例えば、乾燥機61bによって穀粒の乾燥処理が終了し、放冷タンク61cの放冷処理に移行すると、管理情報KIが放冷タンク61cにおいて管理される放冷情報HIに関連付けられる(S3)。また、放冷タンク61cの処理が終了後、穀粒判別機61eにて穀粒の判別が行われる場合に、管理情報KIが判別選別情報SIに関連付けられる(S4)。したがって、判別選別情報に管理情報KIが対応付けられていることから、穀粒判別を行っている穀粒がどの圃場で収穫されたものか、即ち、判別済圃場を管理情報KIから特定することができる。
【0023】
つまり、農業管理装置10は、各処理機61における処理において、管理情報KIと処理で用いられる情報とを関連付けることから、各処理機61での処理において、どの圃場で収穫された穀粒であるかを把握することができる。
図1に示すように、農業管理システムは、穀粒判別システムを含んでいる。穀粒判別システムは、穀粒判別機61eと、状態分類部101と、表示装置102と、記憶装置103とを備えている。穀粒判別機61eは、上述したように、圃場で生育した穀物の穀粒について、圃場毎に穀粒の判別を行う。
状態分類部101は、農業管理装置10又は表示装置102に設けられた電気・電子部品、農業管理装置10又は表示装置102に格納されたプログラム等で構成されている。この実施形態では、表示装置102に設けられている。
穀粒判別機61eで判別した圃場毎の判別結果を取得し、取得した圃場毎の判別結果を、圃場毎に穀粒の状態に分ける。
図5Aに示すように、例えば、穀粒判別機61eにて判別した判別結果を、圃場Aの判別結果に対しては、状態分類部101は、圃場Aと穀粒の状態(カメムシ、ヤケ米、シラタ)のそれぞれの計量機88で計量した重量とを対応付け且つ、圃場Aと穀粒の状態(整粒)の計量部79で計量した重量とを対応付けることで分類を行う。
このように、状態分類部101は、穀粒判別機61eで判別した圃場毎に、穀粒状態のそれぞれの状態を重量によって分類する。
なお、上述した実施形態では、状態分類部101は、穀粒判別機61eで判別した圃場毎に、穀粒状態のそれぞれを重量によって分類していたが、
図5Bに示すように、穀粒状態のそれぞれを収穫量(全量)に対する割合で分類してもよい。割合は、穀粒状態の重量から収穫量(全量)を除算することにより求めることができる。
表示装置102は、穀物処理設備のネットワーク及び管理装置2に接続されていて、穀物処理設備及び管理装置2から様々な情報を取得可能である。なお、表示装置102は、無線又は有線で穀物処理設備のネットワーク及び管理装置2に接続されていればよく、表示装置102は、ノートパソコン、タブレット、携帯電話等の携帯端末に備えられていてもよいし、パーソナルコンピュータのディスプレイであってもよく限定されない。
図6A~
図6Cに示すように、表示装置102は、有機EL、液晶パネル等で構成されていて、状態分類部101で分類された所定の穀粒の状態に対する判別結果を、圃場を含む圃場マップMP1に表示する。
【0024】
表示装置102に対して所定の操作を行うと、表示装置102は結果表示画面M1を表示する。結果表示画面M1は、圃場マップMP1に判別結果を表示する結果表示部110を含んでいる。結果表示部110には、表示装置102等に予め登録された圃場(例えば、圃場A~圃場F)を含む圃場マップMP1が表示される。また、結果表示画面M1は、現在の結果表示部110に表示している判別結果に関する情報を表示する情報表示部111を有している。
【0025】
具体的には、情報表示部111は、複数の穀粒状態のうち結果表示部110に表示対象になっている所定の穀粒状態を示す対象表示部111aと、表示対象である所定の穀粒状態の表示形式(重量/パーセント)を示す形式表示部111bと、結果表示部110において表示形式における範囲(数値範囲)を示す範囲表示部111cとを含んでいる。
つまり、
図6Aの結果表示部110では、複数の圃場A~圃場Fのうち、カメムシが6.0%以上の圃場Cと圃場Dとが着色されることで、圃場C及び圃場Dの判別結果を表示されていることを示している。
【0026】
結果表示画面M1には、詳細設定112が表示されている。詳細設定112を選択すると、結果表示画面M1における判別結果の表示の詳細を設定することができる。
以下、判別結果の表示の詳細について説明する。
図1に示すように、穀粒判別システムは、状態選択部120と、範囲設定部121とを備えている。状態選択部120及び範囲設定部121は、農業管理装置10又は表示装置102に設けられた電気・電子部品、農業管理装置10又は表示装置102に格納されたプログラム等で構成されている。
【0027】
状態選択部120は、複数の穀粒状態から所定の穀粒状態を選択する。表示装置102の結果表示画面M1に表示された詳細設定112を選択すると、
図7に示すように、状態選択部120は、表示装置102に設定画面M2を表示させ、設定画面M2に複数の穀粒状態から所定の穀粒状態を選択させる選択部131を表示させる。状態選択部120は、キーボード、マウス等の入力インタフェースによって、複数の穀粒状態から1つが選択されると、選択された1つの穀粒状態を所定の穀粒、即ち、結果表示画面M1の結果表示部110に表示する表示対象に設定する。例えば、
図7に示すように、選択部131において、ヤケ米が選択されると、
図6Bに示すように、ヤケ米が0.4%以上の圃場A、圃場B、圃場D、圃場E及び圃場Fが着色されることで、判別結果が表示される。
【0028】
範囲設定部121は、判別結果の範囲を設定する。表示装置102の結果表示画面M1に表示された詳細設定112を選択すると、
図7に示すように、範囲設定部121は、表示装置102に設定画面M2を表示させ、設定画面M2に複数の穀粒状態のそれぞれに対応して数値入力部132を表示する。数値入力部132は、下限値132a、上限値132bのいずれか、又は、下限値132a及び上限値132bの両方を入力することができる。範囲設定部121は、下限値132aのみが入力されると下限値のみを設定し、上限値132bのみが入力されると上限値のみを設定し、下限値132a及び上限値132bの両方を入力すると下限値から上限値までの範囲が設定される。また、数値入力部132は、数値の単位を入力する入力部を備えていて、重量又はパーセントで値を設定することができる。
【0029】
以上によれば、
図7の選択部131において、カメムシ、ヤケ米、シラタ、整粒のいずれか1つを選択すると、結果表示部110に表示される表示対象が決定し、数値入力部132にて数値が入力されると、表示対象のうち数値入力部132で設定された値を満たす判別結果に対応する圃場のみが、結果表示部110に表示される。即ち、表示装置102には、判別結果に対応する圃場のみが他の圃場と区別して表示される。例えば、選択部131にてカメムシを選択し、数値入力部132において、カメムシの項目で13.0kg~13.9kgを入力すると、
図6Cに示すように、結果表示部110には、圃場Bの判別結果が表示される。なお、
図6A~
図6Cにおいて、穀粒状態が範囲設定部121で設定された設定値以上、設定値以下、又は、設定値範囲内に入る圃場を色で示すことで、穀粒状態を重量又はパーセントで示していたが、設定値以上、設定値以下、設定値範囲内に入る圃場に、重量の値、パーセントの値を表示してもよい。
【0030】
図8に示すように、圃場毎の穀粒状態の判別結果は、実績として記憶装置103に記憶される。
図8の例では、2019年の圃場A~圃場Fと、2020年の圃場A~圃場Fの判別結果の一例を示している。
図9に示すように、表示装置102は、所定の操作を行うと、所定の圃場において、少なくとも2つの判別結果を比較する画面(比較画面)M3を表示する。比較画面M3は、期間を入力する期間入力部140と、比較する圃場を入力する圃場入力部141とを含んでいる。表示装置102は、期間入力部140に入力された期間と、圃場入力部141に入力された圃場とが一致する実績を記憶装置103から抽出して、比較画面M3に表示する。
【0031】
穀粒判別システムは、圃場で生育した穀物の穀粒について、圃場毎に穀粒の判別を行う穀粒判別機61eと、穀粒判別機61eで判別した圃場毎の判別結果を、圃場毎に穀粒の状態に分ける状態分類部101と、状態分類部101で分類された所定の穀粒の状態に対する判別結果を、圃場を含む圃場マップMP1に表示する表示装置102と、を備えている。これによれば、穀粒判別機61eで判別した圃場毎の判別結果を、圃場マップMP1に表示することができ、これにより、圃場マップMP1(複数の圃場)を見た場合に、穀粒の判別結果がどのように分布しているかを簡単に把握することができる。
【0032】
穀粒判別システムは、複数の穀粒の状態から所定の穀粒の状態を選択する状態選択部120を備え、表示装置102は、状態選択部120で選択された穀粒の状態に対応する判別結果を、圃場毎に表示する。これによれば、複数の穀粒の状態から、管理者等が確認したい所定の穀粒の状態のみを選択して、圃場毎に表示することができる。例えば、穀粒状態がカメムシである場合、カメムシがどのように分布しているかを把握することができる。
【0033】
穀粒判別システムは、判別結果の範囲を設定する範囲設定部121を備え、表示装置102は、判別結果のうち、範囲設定部121に入る判別結果に対応する圃場を、他の圃場とは区別可能に表示する。これによれば、判別結果の範囲を任意に設定することができ、設定した範囲の穀粒状態を把握することができる。
表示装置102は、判別結果として、所定の穀粒の状態における重量を表示する。これによれば、例えば、複数の圃場において、カメムシ、ヤケ米、シラタなどの重量の分布を把握することができる。
【0034】
表示装置102は、判別結果として、所定の穀粒の状態における割合を表示する。これによれば、例えば、複数の圃場において、カメムシ、ヤケ米、シラタなどの割合の分布を把握することができる。
穀粒判別システムは、表示装置102は、所定の圃場において、少なくとも2つの判別結果を比較する画面を表示する。これによれば、例えば、昨年と今年との判別結果を見比べることで、様々な農作業の対策をすることができる。
【0035】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
上述した実施形態では、穀粒状態として、カメムシ、ヤケ米、シラタを例示したが、これに限定されず、胴割粒、着色粒、砕粒、死米、未熟米などを穀粒状態として適用してもよい。即ち、上述したカメムシ、ヤケ米、シラタを、胴割粒、着色粒、砕粒、死米、未熟米に読み替えることで適用してもよい。また、穀粒判別機の構造についても限定されず、例えば、穀粒を検査機に投入して、胴割粒、着色粒、砕粒、死米、未熟米を検出できる装置であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
10 :農業管理装置
61e :穀粒判別機
101 :状態分類部
102 :表示装置
103 :記憶装置
120 :状態選択部
121 :範囲設定部
131 :選択部