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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014466
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】法要提案方法及び法要提案プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240125BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117317
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 陽一郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC14
(57)【要約】
【課題】法要実施回数の削減を実現することを課題とする。
【解決手段】法要提案方法では、逝去人の次回の法要予定年が記録されたデータのうち、次回の法要予定年が所定期間内である複数の逝去人を抽出し、複数の逝去人に関する法要を同一日に実施することを示す提案情報を出力する、処理をコンピュータが実行する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
逝去人の次回の法要予定年が記録されたデータのうち、前記次回の法要予定年が所定期間内である複数の逝去人を抽出し、
前記複数の逝去人に関する法要を同一日に実施することを示す提案情報を出力する、
処理をコンピュータが実行する法要提案方法。
【請求項2】
逝去人の次回の法要予定年が記録されたデータのうち、前記次回の法要予定年が所定期間内である複数の逝去人を抽出し、
前記複数の逝去人に関する法要を同一日に実施することを示す提案情報を出力する、
処理をコンピュータに実行させる法要提案プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、法要提案方法及び法要提案プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
法要の実施を支援する技術の1つとして、寺院および檀家の間でスケジュールの共有を実現するコンピュータ通信システムがある。例えば、コンピュータ通信システムは、檀家の過去帳や家族構成などの檀家情報を管理するデータベース、供養などの各種行事のスケジュールを管理するスケジュール管理機能などを備える。コンピュータ通信システムは、データベースの檀家情報に含まれている過去帳を検索し、近々法事が予定されているものがあれば、その檀家の情報端末に法事案内を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-352017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のコンピュータ通信システムに代表される従来技術では、逝去人ごとに法事案内が送信されるので、法要実施回数の削減が困難である側面がある。例えば、ある檀家の逝去人の中に同一の年に周忌や回忌が予定される複数の逝去人が存在する場合、複数の逝去人の各々の法事案内が送信されるので、逝去人の人数に対応する回数分の法要が実施される結果となる。この結果、宗教法人および檀家の両サイドで法要の負担が増大してしまう側面がある。
【0005】
1つの側面では、本発明は、法要実施回数の削減を実現できる法要提案方法及び法要提案プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様にかかる法要提案方法では、逝去人の次回の法要予定年が記録されたデータのうち、前記次回の法要予定年が所定期間内である複数の逝去人を抽出し、前記複数の逝去人に関する法要を同一日に実施することを示す提案情報を出力する、処理をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0007】
法要実施回数の削減を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、サーバ装置の機能構成例を示すブロック図である。
図2図2は、オンライン法要サービスの利用シーンの一例を示す図である。
図3図3は、檀家マスタの一例を示す図である。
図4図4は、法要マスタの一例を示す図である。
図5図5は、檀家マスタ編集画面の一例を示す図である。
図6図6は、檀家マスタの更新例を示す模式図である。
図7図7は、逝去人の抽出例を示す模式図である。
図8図8は、法要提案情報の一例を示す図である。
図9図9は、法要提案処理の手順を示すフローチャートである。
図10図10は、ハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本願に係る法要提案方法及び法要提案プログラムの実施例について説明する。各実施例には、あくまで1つの例や側面を示すに過ぎず、このような例示により数値や機能の範囲、利用シーンなどは限定されない。そして、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【実施例0010】
<システム構成>
図1は、サーバ装置10の機能構成例を示すブロック図である。図1に示すオンライン法要システム1は、音声やビデオを始めとするチャット機能を介してオンラインの法要、例えばお参りや葬儀、年忌、回忌、報恩講などの追善供養の行事全般を実施するオンライン法要サービスを提供するものである。
【0011】
このようなオンライン法要サービスでは、あくまで一例として、寺院などの宗教法人が顧客に対応し得ると共に、檀家などがエンドユーザに対応し得る。
【0012】
図1に示すように、オンライン法要システム1には、サーバ装置10と、宗教法人端末30と、檀家端末50とが含まれ得る。これらサーバ装置10、宗教法人端末30および檀家端末50は、インターネットやLAN(Local Area Network)などのネットワークNWを介して接続され得る。
【0013】
サーバ装置10は、上記のオンライン法要サービスを提供するコンピュータの一例である。例えば、サーバ装置10は、上記のオンライン法要サービスを実現するオンライン法要機能をオンプレミスに提供するサーバとして実現できる。この他、サーバ装置10は、PaaS(Platform as a Service)型、あるいはSaaS(Software as a Service)型のアプリケーションとして実現することで、上記のオンライン法要機能をクラウドサービスとして提供できる。
【0014】
宗教法人端末30は、顧客の一例に対応する宗教法人に所属する関係者、例えば僧侶や事務員などにより利用される端末装置である。また、檀家端末50は、エンドユーザの一例に対応する檀家の関係者、例えば家族や親族などにより利用される端末装置である。
【0015】
これら宗教法人端末30および檀家端末50のラベルは、あくまで端末装置の利用者という一面からの分類であって、端末装置としてのハードウェアは、特定の種類や構成に限定されず、任意であってよい。
【0016】
あくまで一例として、宗教法人端末30および檀家端末50は、パーソナルコンピュータを始め、スマートフォンやタブレット端末、ウェアラブル端末などのコンピュータにより実現されてよい。さらに、宗教法人端末30および檀家端末50には、カメラやスピーカ、マイクロフォンなどの任意のデバイスが周辺機器として接続されることを妨げない。
【0017】
<オンライン法要サービスの利用シーン>
図2は、オンライン法要サービスの利用シーンの一例を示す図である。図2には、あくまで一例として、上記のオンライン法要サービスにより宗教法人端末30および檀家端末50の各端末で表示される法要参加者画面G1が示されている。図2に示すように、法要参加者画面G1には、参加者表示エリアG10、参加者表示エリアG11および参加者表示エリアG12の3つの表示エリアが含まれる。
【0018】
参加者表示エリアG10には、宗教法人端末30に接続されたカメラ31が撮像する映像が表示される。例えば、僧侶H10を始め、本堂に安置される仏壇や香炉、かりんなどの被写体を含む構図を撮影可能な位置にカメラ31が配置されると共に、僧侶H10が発話する読経や説法などを集音可能な位置にマイクロフォン32が配置される。なお、図2には、図示を省略したが、音声通話で檀家端末50から送信される音声を出力するスピーカやイヤホンなどの音声出力部がさらに宗教法人端末30に接続されてもよい。
【0019】
参加者表示エリアG11には、逝去人の家族が使用する檀家端末50Aに内蔵されたカメラ(不図示)により撮像された映像が表示される。あくまで一例として、法要に参加する家族H11~H13などの被写体を含む構図が檀家端末50Aのカメラにより撮像され得る。
【0020】
参加者表示エリアG12には、逝去人の親戚が使用する檀家端末50Bに内蔵されたカメラ(不図示)により撮像された映像が表示される。あくまで一例として、法要に参加する親戚H14などの被写体を含む構図が檀家端末50Bのカメラにより撮像され得る。
【0021】
これら参加者表示エリアG10~G12に表示されるビデオチャットを始め、宗教法人端末30、檀家端末50Aおよび檀家端末50B間の音声通話を通じて、宗教法人および檀家の両サイドの間で映像および音声の双方向の配信が実現される。
【0022】
したがって、本実施例に係るオンライン法要サービスによれば、宗教法人サイドがオンラインで開催する法要に檀家サイドが参加するオンライン法要を実現できる。加えて、檀家の家族や親族が異なる遠隔地などに別れて居住している場合でも、檀家の各人、あるいは各世帯が遠隔地から檀家端末50を介してオンライン法要に参加できる。
【0023】
<法要提案機能>
このようなオンライン法要サービスには、モジュールの1つとして、法要実施回数の削減を実現する法要提案機能がパッケージ化される。
【0024】
すなわち、上記の背景技術の欄で説明した通り、上記のコンピュータ通信システムに代表される従来技術では、逝去人ごとに法事案内が送信されるので、法要実施回数の削減が困難である側面がある。例えば、ある檀家の逝去人の中に同一の年に周忌や回忌が予定される複数の逝去人が存在する場合、複数の逝去人の各々の法事案内が送信されるので、逝去人の人数に対応する回数分の法要が実施される結果となる。この結果、宗教法人および檀家の両サイドで法要の負担が増大してしまう側面がある。
【0025】
そこで、本実施例に係る法要提案機能は、逝去時期から定まる次回の法要予定年が同一である複数の逝去人を抽出し、複数の逝去人に関する法要を同一日に実施することを示す提案情報を出力する。
【0026】
これにより、複数の逝去人に関する法要を同一日にまとめて実施することが可能になる。あくまで一例として、ある檀家の逝去人の中に同一の年に年忌または回忌が予定されるM(自然数)名の逝去人が存在する場合、M人の逝去人の法要が一度にまとめて実施されるので、法要実施回数を1/Mまで削減できる。
【0027】
以上のように、本実施例に係る法要提案機能によれば、法要実施回数の削減を実現できる。さらに、各檀家の法要実施回数が削減されることで、宗教法人トータルの法要実施回数が削減される結果、宗教法人サイドの日程調整を容易化できる。
【0028】
<サーバ装置10の構成>
図1には、サーバ装置10が有する法要提案機能に関連するブロックが模式化されている。図1に示すように、サーバ装置10は、通信制御部11と、記憶部13と、制御部15とを有する。なお、図1には、上記の法要提案機能に関連する機能部が抜粋して示されているに過ぎず、図示以外の機能部がサーバ装置10に備わることとしてもよい。例えば、サーバ装置10には、上記の法要提案機能をモジュールとして含むオンライン法要機能が備わることとしてもよい。
【0029】
通信制御部11は、宗教法人端末30や檀家端末50などの他の装置との間の通信を制御する機能部である。あくまで一例として、通信制御部11は、LANカードなどのネットワークインタフェイスカードにより実現され得る。1つの側面として、通信制御部11は、宗教法人端末30から後述の檀家マスタの編集リクエストを受け付けたり、あるいは複数の逝去人の法要を同一日に実施することを示す法要提案情報などを宗教法人端末30および檀家端末50へ出力したりする。
【0030】
記憶部13は、各種のデータを記憶する機能部である。あくまで一例として、記憶部13は、サーバ装置10の内部、外部または補助のストレージにより実現される。例えば、記憶部13は、檀家マスタ13Aと、法要マスタ13Bとを記憶する。なお、記憶部13には、檀家マスタ13Aおよび法要マスタ13B以外の他のデータ、例えば宗教法人及び檀家のアカウント情報や法要に関するスケジュール情報などが保存されることを妨げない。
【0031】
檀家マスタ13Aは、檀家に関する基本情報が定義されたマスタである。図3は、檀家マスタ13Aの一例を示す図である。図3に示すように、檀家マスタ13Aは、「檀家名」、「氏名」、「逝去時期」、「次回法要予定年」、「N回忌」および「法要実施状態」などの項目が対応付けられたデータであってよい。
【0032】
ここで言う「檀家名」とは、檀家の名称を指す。また、「氏名」とは、檀家に属する人物の氏名を指す。また、「逝去時期」とは、人物が逝去した時期を指し、例えば、逝去日に対応する西暦の年月日が格納対象とされるが、日付などの一部を省略することしてもよい。また、「次回法要予定年」とは、次回の法要が予定される年を指し、例えば、西暦の年が格納対象とされる。また、「N回忌」とは、N(自然数)回目の周忌や回忌などの年忌法要の区分を指す。また、「法要実施状態」とは、N回忌に対応する法要の実施状態を指し、例えば、「済」または「未」の2値により区別され得る。
【0033】
図3には、あくまで一例として、檀家名「檀家A」の一家に関するデータエントリ群が抜粋して示されているが、当然のことながら他の檀家のエントリが檀家マスタ13Aに登録されることを妨げない。図3に示す例で言えば、檀家名「檀家A」に属する7名のエントリが存在する。このうち、逝去時期の登録がある6名、すなわち〇〇太郎、〇〇二郎、〇〇花子、〇〇B子、〇〇C子、〇〇三郎が既亡である一方で、逝去時期の登録がない1名、すなわち〇〇四郎が存命であることをコンピュータに識別させることができる。
【0034】
なお、ここでは、あくまで一例として、生人および故人を含む檀家マスタ13Aを例示したが、故人の逝去時期、あるいは次回法要予定年がリスト化された台帳、いわゆる過去帳のデータが記憶部13に保存されることとしてもよい。
【0035】
法要マスタ13Bは、法要に関する基本設定が定義されたマスタである。図4は、法要マスタ13Bの一例を示す図である。図4に示すように、法要マスタ13Bは、「N回忌」および「日数」が対応付けられたデータであってよい。ここで言う「N回忌」とは、上述の通り、年忌法要の区分を指すことを原則とする一方で、起算時期、例えば逝去日などの逝去時期などから起算する法要全般、例えば初七日を含んでよい。「日数」とは、起算時期から年忌法要までの所要日数を指す。例えば、図4に示す「日数」を起算時期に加算することにより、「N年忌」に対応する法要の実施が予定される年、例えば上記の次回法要予定年などを算出できる。なお、図4には、あくまで一例として、起算時期に「日数」を加算する例を挙げるが、日数以外の暦、例えば月数や年数が起算時期に加算されることとしてもよい。
【0036】
このような法要マスタ13Bによれば、宗教法人ごとに当該宗教法人が定める法要の区分をカスタマイズできる。例えば、法要マスタ13Bの設定により、初七日を葬儀日と同じ日に繰り上げる繰り上げ法要の実施有無、二十三回忌および二十七回忌の代わりに二十五回忌を実施するといった宗派の違いなどをカスタマイズできる。
【0037】
制御部15は、サーバ装置10の全体制御を行う機能部である。あくまで一例として、制御部15は、ハードウェアプロセッサにより実現され得る他、ハードワイヤードロジックにより実現されてもよい。図1に示すように、制御部15は、受付部15Aと、更新部15Bと、抽出部15Cと、出力部15Dとを有する。
【0038】
受付部15Aは、外部装置から各種のリクエストを受け付ける処理部である。あくまで一例として、受付部15Aは、宗教法人端末30から檀家マスタ13Aを編集する編集リクエストを受け付けることができる。
【0039】
このような編集リクエストは、あくまで一例として、図5に例示する檀家マスタ編集画面などのGUI(Graphical User Interface)を介して受け付けることができる。図5は、檀家マスタ編集画面の一例を示す図である。図5に示すように、檀家マスタ編集画面20には、檀家マスタ13Aのデータエントリのうち指定の編集対象「檀家A」に関するエントリを絞り込んで表示させることができる。このような檀家マスタ編集画面20では、檀家マスタ13Aへの新規エントリの追加、既存エントリに保存されている項目に関するデータの修正、あるいは逝去時期の入力などの編集を受け付けることができる。例えば、図5に示す例で言えば、編集前は存命であった〇〇四郎のエントリに対する逝去時期「2021年7月8日」の入力を受け付けた例が示されている。このように編集が受け付けられた状態で決定ボタン21の操作を受け付けた場合、檀家マスタ13Aが檀家マスタ編集画面20で受け付けられた編集内容に更新される。なお、キャンセルボタン22の操作を受け付けた場合、檀家マスタ13Aは更新されず、檀家マスタ編集画面20で受け付けた編集内容は破棄される。
【0040】
更新部15Bは、檀家マスタ13Aに対する更新を実行する処理部である。ここでは、あくまで一例として、逝去時期の入力が受け付けられた場合を例示する。あくまで一例として、更新部15Bは、逝去時期から逝去時期の入力時点までの経過日数と、法要マスタ13Bに定義された日数とを照合することにより、当該逝去人の年忌法要のうち次回の法要が実施される予定の年および次回に実施される法要の区分を算出する。その上で、更新部15Bは、法要マスタ13Bのうち逝去時期の入力が受け付けられた逝去人のエントリに檀家マスタ編集画面を介して入力が受け付けられた逝去時期と、法要マスタ13Bを用いて算出された次回法要予定年およびN回忌の区分とを登録する。
【0041】
図6は、檀家マスタ13Aの更新例を示す模式図である。図6には、図5に示す檀家マスタ編集画面20で決定ボタン21の操作が受け付けた場合に実行される更新が模式化して示されている。図6に示すように、檀家マスタ13Aには、檀家マスタ編集画面20を介して入力が受け付けられた○○四郎の逝去時期「2021年7月8日」が登録される。ここで、逝去時期の入力時点が2021年7月22日であるとしたとき、逝去時期「2021年7月8日」から逝去時期の入力時点「2021年7月22日」までの経過日数は「14日」と算出できる。この場合、法要マスタ13Bに設定された日数のうち、経過日数「14日」以上であり、かつ直近である日数が検索される。例えば、図4に示す法要マスタ13Bの例で言えば、経過日数「14日」以上である日数「+365日」、「+1095日」、「+2555日」、・・・、「+18250日」のうち、直近である日数「+365日」がヒットする。これにより、〇〇四郎の逝去時期「2021年7月8日」に法要マスタ13Bの日数「+365日」を加算することにより、次回法要予定年「2022年」およびそのN回忌の区分「1周忌」が算出される。このように算出された〇〇四郎の次回法要予定年「2022年」およびそのN回忌の区分「1周忌」が檀家マスタ13Aに登録される。
【0042】
抽出部15Cは、次回法要予定年が同一である逝去人を抽出する処理部である。あくまで一例として、抽出部15Cは、檀家マスタ編集画面を介して逝去時期の入力が受け付けられた逝去人の次回法要予定年を基準軸に設定する。続いて、抽出部15Cは、基準軸に設定された逝去人を、次回法要の同一日実施を提案する逝去人が保持されるリストListに抽出する。続いて、抽出部15Cは、檀家マスタ13Aのデータエントリのうち法要実施状態が「済」でないエントリ、すなわち「未」であるエントリを抽出する。そして、抽出部15Cは、檀家マスタ13Aから抽出されたK個のエントリごとに次のような処理を実行する。例えば、抽出部15Cは、エントリkの次回法要予定年が基準軸から前後α年以内であるか否か、すなわち基準軸の次回法要予定年±α以内であるか否かを判定する。このとき、エントリkの次回法要予定年が基準軸から前後α年以内である場合、抽出部15Cは、次回法要予定年が基準軸から前後α年以内であるエントリkを、次回法要の同一日実施を提案する逝去人が保持されるリストListに抽出する。
【0043】
図7は、逝去人の抽出例を示す模式図である。図7には、図6に示す更新実行後の檀家マスタ13Aが示されている。図7に示すように、檀家マスタ編集画面20を介して逝去時期「2021年7月8日」の入力が受け付けられた逝去人「〇〇四郎」の次回法要予定年「2022年」が基準軸に設定される。さらに、基準軸に設定された逝去人「〇〇四郎」がリストListへ抽出される。その後、檀家マスタ13Aの檀家名「檀家A」のデータエントリのうち、法要実施状態が「済」でない逝去人「〇〇二郎」、「〇〇B子」および「〇〇C子」の3つのエントリが抽出される。つまり、法要実施状態が「済」である逝去人「〇〇太郎」、「〇〇花子」および「〇〇三郎」のエントリが除外される。
【0044】
その後、K=3名の逝去人「〇〇二郎」、「〇〇B子」および「〇〇C子」の3つのエントリごとに次のような処理が実行される。ここで、あくまで一例として、α=1である場合を例示して説明を続ける。例えば、逝去人「〇〇二郎」のエントリの例で言えば、逝去人「〇〇二郎」のエントリの次回法要予定年「2022年」が基準軸「2022年」と同一の年であるので、逝去人「〇〇二郎」がリストListへ抽出される。さらに、逝去人「〇〇B子」のエントリの例で言えば、逝去人「〇〇B子」のエントリの次回法要予定年「2023年」が基準軸「2022年」から+1年であるので、逝去人「〇〇B子」がリストListへ抽出される。また、さらに、逝去人「〇〇C子」のエントリの例で言えば、逝去人「〇〇C子」のエントリの次回法要予定年「2024年」が基準軸「2022年」から+2年であるので、逝去人「〇〇C子」はリストListへ抽出されない。この結果、リストListには、逝去人「〇〇四郎」、「〇〇二郎」および「〇〇B子」の3名が抽出される。
【0045】
出力部15Dは、外部装置に対する各種の出力を実行する処理部である。あくまで一例として、出力部15Dは、リストListに抽出された逝去人の法要を同一日に実施することを示す法要提案情報を宗教法人端末30および檀家端末50へ出力する。
【0046】
図8は、法要提案情報の一例を示す図である。図8には、あくまで一例として、図7に示す抽出例で抽出された逝去人「〇〇四郎」、「〇〇二郎」および「〇〇B子」の3名の逝去人の法要を同一日に実施することを示す法要提案情報が法要提案メール200により通知される例が示されている。図8に示すように、法要提案メール200は、檀家名「檀家A」の代表者である〇〇家の代表者のアドレスに送信されると共に、宗教法人の担当者のアドレスに送信される。このような法要提案メール200には、次回法要予定年「2022年」の他、次回法要の同一日実施を提案する逝去人「〇〇二郎」、「〇〇B子」および「〇〇四郎」が含まれてよい。さらに、法要提案メール200には、逝去人「〇〇二郎」、「〇〇B子」および「〇〇四郎」の3名の各々の法要名「三十三回忌」、「二十三回忌」および「一周忌」が含まれてよい。
【0047】
このような法要提案メール200によれば、逝去人「〇〇四郎」、「〇〇二郎」および「〇〇B子」の三十三回忌、二十三回忌および一周忌を一度にまとめて実施できるので、法要実施回数を1/3まで削減できる。この結果、宗教法人および檀家の両サイドで法要の負担を軽減することが可能である。
【0048】
なお、ここでは、あくまで一例として、法要提案がメールで通知される例を挙げたが、メール以外の通信手段、例えばメッセージアプリケーションなどにより通知することができるのは言うまでもない。
【0049】
さらに、ここでは、法要が実施される時期のあくまで一例として、暦の年が提案される例を挙げたが、月日まで含めて提案できる。例えば、宗教法人の関係者のスケジュールが登録されたスケジュール情報のうち、檀家を担当する宗教法人の担当者のスケジュールが未設定である日付を法要実施日の候補として提案することができる。さらに、檀家のスケジュールも入手可能である場合、宗教法人の担当者および檀家の両サイドのスケジュールが未設定である日付を法要実施日の候補として提案することができる。
【0050】
<処理の流れ>
図9は、法要提案処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、あくまで一例として、逝去時期の入力が受け付けられた場合に開始できる。図9に示すように、逝去時期の入力が受け付けられると(ステップS101)、更新部15Bは、次のような処理を実行する。すなわち、更新部15Bは、逝去時期から逝去時期の入力時点までの経過日数と、法要マスタ13Bに定義された日数とを照合することにより、当該逝去人の次回法要予定年およびN回忌の区分を算出する(ステップS102)。
【0051】
続いて、更新部15Bは、法要マスタ13BのうちステップS101で逝去時期の入力が受け付けられた逝去人のエントリに、当該逝去時期と、ステップS102で算出された次回法要予定年およびN回忌の区分とを登録する(ステップS103)。
【0052】
その後、抽出部15Cは、逝去時期の入力が受け付けられた逝去人の次回法要予定年を基準軸に設定する(ステップS104)。続いて、抽出部15Cは、ステップS104で基準軸に設定された逝去人を、次回法要の同一日実施を提案する逝去人が保持されるリストListに抽出する(ステップS105)。
【0053】
そして、抽出部15Cは、檀家マスタ13Aのデータエントリのうち法要実施状態が「済」でないエントリ、すなわち「未」であるエントリを抽出する(ステップS106)。
【0054】
その後、抽出部15Cは、檀家マスタ13Aから抽出されたエントリの数Kに対応する回数の分、下記のステップS107から下記のステップS109までの処理を反復するループ処理1を実行する。なお、ここでは、下記のステップS107から下記のステップS109までの処理を反復する例を挙げるが、必ずしも反復せずともよく、並列化して実行することができる。
【0055】
すなわち、抽出部15Cは、K個のエントリのうちエントリkの次回法要予定年が基準軸から前後α年以内であるか否か、すなわち基準軸の次回法要予定年±α以内であるか否かを判定する(ステップS107)。
【0056】
このとき、エントリkの次回法要予定年が基準軸から前後α年以内である場合(ステップS108Yes)、抽出部15Cは、次回法要予定年が基準軸から前後α年以内であるエントリkをリストListに抽出する(ステップS109)。なお、エントリkの次回法要予定年が基準軸から前後α年以内でない場合(ステップS108No)、ステップS109の処理はスキップされる。
【0057】
このようなループ処理1が反復されることで、次回法要予定年が基準軸から前後α年以内であるエントリがリストListに抽出される。
【0058】
その後、出力部15Dは、ステップS109でリストListに抽出された逝去人の法要を同一日に実施することを示す法要提案情報を宗教法人端末30および檀家端末50へ出力し(ステップS110)、処理を終了する。
【0059】
<効果の一側面>
上述してきたように、本実施例に係るサーバ装置10は、逝去時期から定まる次回の法要予定年が同一である複数の逝去人を抽出し、複数の逝去人に関する法要を同一日に実施することを示す提案情報を出力する。これにより、複数の逝去人に関する法要を同一日にまとめて実施することが可能になる。あくまで一例として、ある檀家の逝去人の中に同一の年に年忌または回忌が予定されるM(自然数)名の逝去人が存在する場合、M人の逝去人の法要が一度にまとめて実施されるので、法要実施回数を1/Mまで削減できる。したがって、本実施例に係るサーバ装置10によれば、法要実施回数の削減を実現できる。さらに、各檀家の法要実施回数が削減されることで、宗教法人トータルの法要実施回数が削減される結果、宗教法人サイドの日程調整を容易化できる。
【実施例0060】
さて、これまで開示の装置に関する実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0061】
<トリガーの応用範囲>
上記の実施例1では、逝去時期の入力が受け付けられることを契機に法要提案処理が起動される例を挙げたが、これ以外のタイミングで法要提案処理が起動されることとしてもよい。例えば、法要提案のリクエストを受け付けた場合に法要提案処理が起動されてもよい。この場合、法要提案のリクエストを受け付けた時点、すなわち現時点+αに対応する次回法要予定年を基準軸に設定してステップS104以降の処理を実行することとすればよい。
【0062】
<分散および統合>
また、図示した各装置の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されておらずともよい。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、受付部15A、更新部15B、抽出部15Cまたは出力部15Dをサーバ装置10の外部装置としてネットワーク経由で接続するようにしてもよい。また、受付部15A、更新部15B、抽出部15Cまたは出力部15Dを別の装置がそれぞれ有し、ネットワーク接続されて協働することで、サーバ装置10の機能を実現するようにしてもよい。また、記憶部13に記憶される檀家マスタ13Aおよび法要マスタ13Bの全部または一部を別の装置がそれぞれ有し、ネットワーク接続されて協働することで、サーバ装置10の機能を実現するようにしてもかまわない。
【0063】
<ハードウェア構成>
また、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図10を用いて、実施例1及び実施例2と同様の機能を有する法要提案プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。
【0064】
図10は、ハードウェア構成例を示す図である。図10に示すように、コンピュータ100は、操作部110aと、スピーカ110bと、カメラ110cと、ディスプレイ120と、通信部130とを有する。さらに、このコンピュータ100は、CPU150と、ROM160と、HDD170と、RAM180とを有する。これら110~180の各部はバス140を介して接続される。
【0065】
HDD170には、図10に示すように、上記の実施例1で示された受付部15A、更新部15B、抽出部15Cおよび出力部15Dと同様の機能を発揮する法要提案プログラム170aが記憶される。この法要提案プログラム170aは、図1に示した受付部15A、更新部15B、抽出部15Cおよび出力部15Dの各構成要素と同様、統合又は分離してもよい。すなわち、HDD170には、必ずしも上記の実施例1で示した全てのデータが格納されずともよく、処理に用いるデータがHDD170に格納されればよい。
【0066】
このような環境の下、CPU150は、HDD170から法要提案プログラム170aを読み出した上でRAM180へ展開する。この結果、法要提案プログラム170aは、図10に示すように、法要提案プロセス180aとして機能する。この法要提案プロセス180aは、RAM180が有する記憶領域のうち法要提案プロセス180aに割り当てられた領域にHDD170から読み出した各種データを展開し、展開された各種データを用いて各種の処理を実行する。例えば、法要提案プロセス180aが実行する処理の一例として、図9に示す処理などが含まれ得る。なお、CPU150では、必ずしも上記の実施例1で示した全ての処理部が動作せずともよく、実行対象とする処理に対応する処理部が仮想的に実現されればよい。
【0067】
なお、上記の法要提案プログラム170aは、必ずしも最初からHDD170やROM160に記憶されておらずともかまわない。例えば、コンピュータ100に挿入されるフレキシブルディスク、いわゆるFD、CD-ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に法要提案プログラム170aを記憶させる。そして、コンピュータ100がこれらの可搬用の物理媒体から法要提案プログラム170aを取得して実行するようにしてもよい。また、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ100に接続される他のコンピュータまたはサーバ装置などに法要提案プログラム170aを記憶させておく。このように記憶された法要提案プログラム170aをコンピュータ100にダウンロードさせた上で実行させるようにしてもよい。
【0068】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0069】
(付記1)逝去人の次回の法要予定年が記録されたデータのうち、前記次回の法要予定年が所定期間内である複数の逝去人を抽出し、
前記複数の逝去人に関する法要を同一日に実施することを示す提案情報を出力する、
処理をコンピュータが実行する法要提案方法。
【0070】
(付記2)逝去人の一周忌の予定年が前記データに記録された場合、前記一周忌の予定年を基準軸に設定する処理を前記コンピュータがさらに実行し、
前記抽出する処理は、前記データのうち前記次回の法要予定年が前記基準軸から前記所定期間内である逝去人を抽出する処理を含み、
前記出力する処理は、前記一周忌の予定年が記録された逝去人および前記抽出する処理で抽出された逝去人に関する法要を同一日に実施することを示す提案情報を出力する処理を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の法要提案方法。
【0071】
(付記3)前記出力する処理は、前記複数の逝去人が属する檀家により利用される檀家端末および前記檀家が加入する宗教法人により利用される宗教法人端末に前記提案情報を出力する処理を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の法要提案方法。
【0072】
(付記4)前記出力する処理は、前記提案情報が記述されたメールを前記檀家端末および前記宗教法人端末へ送信する処理を含む、
ことを特徴とする付記3に記載の法要提案方法。
【0073】
(付記5)逝去人の次回の法要予定年が記録されたデータのうち、前記次回の法要予定年が所定期間内である複数の逝去人を抽出し、
前記複数の逝去人に関する法要を同一日に実施することを示す提案情報を出力する、
処理をコンピュータに実行させる法要提案プログラム。
【0074】
(付記6)逝去人の一周忌の予定年が前記データに記録された場合、前記一周忌の予定年を基準軸に設定する処理を前記コンピュータにさらに実行させ、
前記抽出する処理は、前記データのうち前記次回の法要予定年が前記基準軸から前記所定期間内である逝去人を抽出する処理を含み、
前記出力する処理は、前記一周忌の予定年が記録された逝去人および前記抽出する処理で抽出された逝去人に関する法要を同一日に実施することを示す提案情報を出力する処理を含む、
ことを特徴とする付記5に記載の法要提案プログラム。
【0075】
(付記7)前記出力する処理は、前記複数の逝去人が属する檀家により利用される檀家端末および前記檀家が加入する宗教法人により利用される宗教法人端末に前記提案情報を出力する処理を含む、
ことを特徴とする付記5に記載の法要提案プログラム。
【0076】
(付記8)前記出力する処理は、前記提案情報が記述されたメールを前記檀家端末および前記宗教法人端末へ送信する処理を含む、
ことを特徴とする付記7に記載の法要提案プログラム。
【0077】
(付記9)逝去人の次回の法要予定年が記録されたデータのうち、前記次回の法要予定年が所定期間内である複数の逝去人を抽出し、
前記複数の逝去人に関する法要を同一日に実施することを示す提案情報を出力する、
処理を実行する制御部を含む法要提案装置。
【0078】
(付記10)逝去人の一周忌の予定年が前記データに記録された場合、前記一周忌の予定年を基準軸に設定する処理を前記制御部がさらに実行し、
前記抽出する処理は、前記データのうち前記次回の法要予定年が前記基準軸から前記所定期間内である逝去人を抽出する処理を含み、
前記出力する処理は、前記一周忌の予定年が記録された逝去人および前記抽出する処理で抽出された逝去人に関する法要を同一日に実施することを示す提案情報を出力する処理を含む、
ことを特徴とする付記9に記載の法要提案装置。
【0079】
(付記11)前記出力する処理は、前記複数の逝去人が属する檀家により利用される檀家端末および前記檀家が加入する宗教法人により利用される宗教法人端末に前記提案情報を出力する処理を含む、
ことを特徴とする付記9に記載の法要提案装置。
【0080】
(付記12)前記出力する処理は、前記提案情報が記述されたメールを前記檀家端末および前記宗教法人端末へ送信する処理を含む、
ことを特徴とする付記11に記載の法要提案装置。
【符号の説明】
【0081】
1 オンライン法要システム
10 サーバ装置
11 通信制御部
13 記憶部
13A 檀家マスタ
13B 法要マスタ
15 制御部
15A 受付部
15B 更新部
15C 抽出部
15D 出力部
30 宗教法人端末
50 檀家端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10