(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014469
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】部品装着機
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117320
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂口 晴哉
(72)【発明者】
【氏名】中島 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】野田 明宏
(72)【発明者】
【氏名】神谷 有城
(72)【発明者】
【氏名】村野 陽一
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC01
5E353CC04
5E353CC22
5E353EE02
5E353EE53
5E353GG02
5E353JJ21
5E353JJ42
5E353JJ48
5E353KK02
5E353LL04
5E353LL06
5E353QQ12
5E353QQ30
(57)【要約】
【課題】吸着ノズルが部品を吸着しているか否かの判定精度を高めることができる部品装着機を提供する。
【解決手段】部品装着機に搭載される吸着ノズルと、エア流路から負圧エアを供給することによって吸着ノズルに部品を吸着させる吸着処理、および部品を基板に装着させる装着処理を行わせる制御部と、エア流路に設けられ、負圧エアの圧力または流量を計測して計測値を取得する計測部と、を備えた部品装着機であって、制御部は、吸着ノズルの吸着処理時の計測値と判定値とを比較して、吸着ノズルが部品を吸着しているか否かを判定する判定部と、吸着ノズルが部品を吸着していないときの計測値である開放時計測値と、吸着ノズルが部品を吸着しているときの計測値である吸着時計測値と、に基づいて基準値を算出する基準値算出部と、基準値算出部によって算出された基準値に判定値を変更する判定値変更部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を装着する部品装着機に着脱可能に搭載される吸着ノズルと、
エア流路から負圧エアを供給することによって前記吸着ノズルに前記部品を吸着させる吸着処理を行わせるとともに、前記部品を前記基板に装着させる装着処理を行わせる制御部と、
前記エア流路に設けられ、前記負圧エアの圧力または流量を計測して計測値を取得する計測部と、を備えた部品装着機であって、
前記制御部は、
前記吸着ノズルの前記吸着処理時の前記計測値と、あらかじめ定められる判定値とを比較して、前記吸着ノズルが前記部品を吸着しているか否かを判定する判定部と、
前記吸着ノズルが前記部品を吸着していないときの前記計測値である開放時計測値と、前記吸着ノズルが前記部品を吸着しているときの前記計測値である吸着時計測値と、に基づいて基準値を算出する基準値算出部と、
前記基準値算出部によって算出された前記基準値に前記判定値を変更する判定値変更部と、を有する、
部品装着機。
【請求項2】
前記基準値算出部は、前記部品の種類と前記吸着ノズルの種類との組み合わせに応じて、相違する前記基準値を算出する、請求項1に記載の部品装着機。
【請求項3】
前記基準値算出部は、前記部品と、当該の前記部品を吸着している前記吸着ノズルとの間から前記負圧エアのリークが発生するか否かに応じて、または、前記負圧エアの前記リークが発生すると推定される場合の前記吸着時計測値に応じて、相違する前記基準値を算出する、請求項2に記載の部品装着機。
【請求項4】
前記基準値算出部は、前記開放時計測値と前記吸着時計測値との間の前記基準値を算出する、請求項1~3のいずれか一項に記載の部品装着機。
【請求項5】
前記吸着ノズルが前記部品を吸着するために最低限必要である上限基準値と、前記吸着ノズルが前記部品を十分吸着していると判断できる下限基準値と、があらかじめ定められており、
前記基準値算出部は、前記上限基準値と前記下限基準値との間の前記基準値を算出する、
請求項4に記載の部品装着機。
【請求項6】
前記制御部は、前記基板に装着する前記部品の種類と使用する前記吸着ノズルの種類とを規定したジョブデータを参照して、前記基準値を算出する前記部品の種類と前記吸着ノズルの種類との組み合わせを設定し、前記計測部を用いて前記開放時計測値および前記吸着時計測値を取得する、請求項4に記載の部品装着機。
【請求項7】
前記制御部は、前記ジョブデータに規定された複数の前記部品のうち選択された一部を前記基準値の算出対象部品として、前記開放時計測値および前記吸着時計測値を取得する、請求項6に記載の部品装着機。
【請求項8】
前記制御部は、前記部品と、当該の前記部品を吸着している前記吸着ノズルとの間から前記負圧エアのリークが発生する場合に、当該の前記部品を前記算出対象部品とする、請求項7に記載の部品装着機。
【請求項9】
前記制御部は、前記開放時計測値および前記吸着時計測値の少なくとも一方を複数個取得し、
前記基準値算出部は、前記開放時計測値および前記吸着時計測値の少なくとも一方の複数個を統計的に処理した結果に基づいて、前記基準値を算出する、
請求項4に記載の部品装着機。
【請求項10】
前記吸着ノズルの前記吸着処理時の前記計測値が前記開放時計測値と前記吸着時計測値の間から外れた場合に、前記吸着ノズルの異常と検知する異常検知部を備える、請求項4に記載の部品装着機。
【請求項11】
前記判定値変更部は、
前記部品の種類と前記吸着ノズルの種類との組み合わせに基づいて過去に使用した前記判定値を、前記組み合わせと対応付けて調整実績データとし、さらに前記調整実績データを蓄積し、
前記基板の種類が現基板種から次基板種に変更される際、前記次基板種における前記部品の種類と前記吸着ノズルの種類との前記組み合わせが蓄積された前記調整実績データのなかに有る場合に、当該の前記組み合わせに対応付けられた前記判定値を参照する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の部品装着機。
【請求項12】
前記制御部は、前記負圧エアを供給する共通エア流路に連通可能な複数の前記吸着ノズルに前記吸着処理および前記装着処理を行わせ、
前記計測部は、前記共通エア流路に設けられ、
前記基準値算出部は、複数の前記吸着ノズルが前記共通エア流路に連通された状態であるか否かに基づき、複数の前記吸着ノズルの各々に対して相違する前記基準値を算出する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の部品装着機。
【請求項13】
前記制御部は、前記基板に装着する前記部品の種類および装着順序と、使用する前記吸着ノズルとを規定したジョブデータを参照し、一つの前記吸着ノズルを基準にして他の前記吸着ノズルの状態を固定した条件とし、
前記基準値算出部は、前記一つの前記吸着ノズルが前記共通エア流路に連通されかつ前記部品を吸着していないときの前記計測値である前記開放時計測値と、前記一つの前記吸着ノズルが前記共通エア流路に連通されかつ前記部品を吸着しているときの前記計測値である前記吸着時計測値と、に基づいて前記基準値を算出し、
前記判定値変更部は、前記一つの前記吸着ノズルを対象として、前記基準値算出部によって算出された前記基準値に前記判定値を変更する、
請求項12に記載の部品装着機。
【請求項14】
前記制御部は、他の前記吸着ノズルの各々を、前記共通エア流路に連通されていない状態、または、前記共通エア流路に連通されかつ前記部品を吸着している状態に固定する、請求項13に記載の部品装着機。
【請求項15】
前記開放時計測値、前記吸着時計測値、および前記判定値の少なくとも一量に基づき、複数の前記吸着ノズルの各々の前記吸着処理時の前記計測値が、前記部品を吸着するために最低限必要である上限基準値を越えて外れる可能性の有無を判定し、外れる可能性が有る場合に、複数の前記吸着ノズルが前記吸着処理で吸着する前記部品の点数および種類の少なくとも一方を変更して、前記計測値が前記上限基準値を越えないようにする吸着部品変更部を備える、請求項13に記載の部品装着機。
【請求項16】
前記開放時計測値、前記吸着時計測値、および前記判定値の少なくとも一量に基づき、複数の前記吸着ノズルの各々の前記吸着処理時の前記計測値が、前記部品を吸着するために最低限必要である上限基準値を越えて外れる可能性の有無を判定し、外れる可能性が有る場合に、前記ジョブデータに基づき許容される範囲内で前記上限基準値を変更し、前記計測値が変更後の前記上限基準値を越えないようにする上限変更部を備える、請求項13に記載の部品装着機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、吸着ノズルを用いて部品の吸着処理および装着処理を行う部品装着機に関する。
【背景技術】
【0002】
回路パターンが形成された基板に対基板作業を実施して、基板製品を量産する技術が普及している。対基板作業を実施する対基板作業機の代表例として、部品の装着作業を実施する部品装着機がある。多くの部品装着機は、負圧エアの供給により部品の吸着処理を行う吸着ノズルを用いる。吸着処理の際に、負圧エアの圧力または流量を計測した計測値と、判定値とを比較して、吸着ノズルが部品を吸着しているか否かを判定することが行われる。負圧エアの計測、および吸着ノズルが部品を吸着しているか否かの判定に関連する技術例が、特許文献1~3に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されたチップ部品の吸着不良検出装置は、吸着ノズル内の負圧の大きさを検出するバキュームセンサと、バキュームセンサから出力される検出信号から基準値を減じた抽出信号を増幅して出力する増幅手段と、を備える。これによれば、吸着ノズル内の負圧を高精度に測定し、微小なエア漏れを検出してチップ部品が立った姿勢で吸着された姿勢異常を検出することができる、とされている。実施形態の説明によれば、正常にチップ部品が吸着されたときの負圧値を予め記憶することが前提となっており、記憶された負圧値と、測定された負圧値とを比較演算して姿勢異常を検出する。
【0004】
また、特許文献2に開示された部品実装条件決定方法は、複数の吸着ノズルを備える装着ヘッドを用いて部品の実装を行うときに、複数の吸着ノズルによる部品吸着力が、装着ヘッドの移動時に部品を落下させることがない移動可能吸着力以上となるように、最大部品吸着数を決定するステップを含む。これによれば、エアのリークによる部品吸着力の低下を考慮して最大部品吸着数が決定されるため、位置精度が正確で、かつ実装時間が短くなるタスクを決定することができる、とされている。
【0005】
また、特許文献3に開示された電子部品実装装置は、真空吸引源と吸着ノズルとを接続する真空吸引回路の内部の真空度を計測する真空センサと、真空度と吸着ノズルの真空吸引状態との対応関係を示すノズル特性データを記憶する記憶部とを備える。さらに、電子部品実装装置は、稼働中に真空度の測定結果をノズル特性データと比較して、吸着ノズル無し、吸着ノズル正常装着、フィルタ目詰まり、部品無し、部品正常吸着、および吸着面当接の状態を判定する判定手段を備える。これによれば、電子部品実装装置の稼働時において、吸着ノズルを取り外す手間を要することなく、真空吸引状態の異常を容易に検出することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7-212099号公報
【特許文献2】特開2007-281432号公報
【特許文献3】特許第3965995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、基板に装着される様々な部品は、角型のチップ部品やICリード部品などのように被吸着面(上面)が平坦であることが多い。吸着面(先端)が平坦な吸着ノズルが負圧エアの供給によりこれらの部品を吸着した場合、部品と吸着ノズルの間に隙間が生じにくい。したがって、大気エアが吸着ノズル内に流入しにくい(負圧エアがリークしにくい)。しかしながら、様々な部品の中には例えば、スイッチ部品やコネクタ部品などのように被吸着面に穴や凹凸形状をもつ異形部品や、角型のチップ部品において表面形状が膨らんでいる部品がある。吸着ノズルがこれらの部品を吸着した場合、異形部品と吸着ノズルの間に隙間が生じる。このため、正常な吸着姿勢であっても、大気エアが吸着ノズル内に流入しやすい(負圧エアがリークしやすい)。さらに、特許文献2に記載されるように、部品の被吸着面が平坦であっても吸着ノズルの先端の開口部の大きさが部品の被吸着面よりも大きいことにより、大気エアが吸着ノズル内に流入する場合がある。大気エアが吸着ノズル内に流入すると負圧が低下するため、吸着した部品を保持する保持力が低下する。
【0008】
上記した大気エアの吸着ノズル内への流入状況は、部品と吸着ノズルとの組み合わせに応じて変化する。このため、組み合わせを考慮することなく所定の判定値を用いると、吸着ノズルが部品を吸着しているか否かについて誤判定のおそれが生じる。例えば、平坦な被吸着面を持つ部品と平坦な先端をもつ吸着ノズルとの組み合わせに基づいて判定値を設定した場合を想定する。この場合、吸着する部品が異形部品に変更されると、吸着ノズルが異形部品の吸着に成功していても流入量(リーク量)が多くなるので、異形部品を吸着していないと誤判定されるケースが生じ得る。
【0009】
また、特許文献1で、所定の負圧値を予め記憶していると、平坦な先端をもつ吸着ノズルで異形部品を吸着したときに、正常な吸着姿勢であっても大気エアの流入量(負圧エアのリーク量)が多いことから姿勢異常と誤判定されるおそれがある。さらに、特許文献3において、大気エアの吸着ノズル内への流入状況を考慮しないと、吸着ノズルの真空吸引状態の判定精度が低下し、または六つの状態のいずれかについて誤判定するおそれが生じる。
【0010】
それゆえ、本明細書では、吸着ノズルが部品を吸着しているか否かの判定精度を高めることができる部品装着機を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書は、基板に部品を装着する部品装着機に着脱可能に搭載される吸着ノズルと、 エア流路から負圧エアを供給することによって前記吸着ノズルに前記部品を吸着させる吸着処理を行わせるとともに、前記部品を前記基板に装着させる装着処理を行わせる制御部と、前記エア流路に設けられ、前記負圧エアの圧力または流量を計測して計測値を取得する計測部と、を備えた部品装着機であって、前記制御部は、前記吸着ノズルの前記吸着処理時の前記計測値と、あらかじめ定められる判定値とを比較して、前記吸着ノズルが前記部品を吸着しているか否かを判定する判定部と、前記吸着ノズルが前記部品を吸着していないときの前記計測値である開放時計測値と、前記吸着ノズルが前記部品を吸着しているときの前記計測値である吸着時計測値と、に基づいて基準値を算出する基準値算出部と、前記基準値算出部によって算出された前記基準値に前記判定値を変更する判定値変更部と、を有する、部品装着機を開示する。
【発明の効果】
【0012】
開示した部品装着機において、基準値算出部は、部品と吸着ノズルの組み合わせに応じて変化する開放時計測値および吸着時計測値に基づいて当該の組み合わせに適した基準値を算出することができ、判定値変更部は、算出された基準値に判定値を変更する。したがって、あらかじめ定められる判定値を固定的に用いる従来技術と比較して、判定部が当該の組み合わせに適した判定値を用いることにより、吸着ノズルが部品を吸着しているか否かの判定精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態の部品装着機の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】負圧エアおよび正圧エアを選択的に吸着ノズルに供給するエア供給系統を模式的に示す図である。
【
図3】負圧エアのリークが発生しない場合の開放時計測値、吸着時計測値、および基準値を例示説明する図である。
【
図4】負圧エアのリークが発生する場合の開放時計測値、吸着時計測値、および基準値を例示説明する図である。
【
図5】部品装着機の調整時の動作を説明する動作フローの図である。
【
図6】部品装着機の稼働時の動作を説明する動作フローの図である。
【
図7】第2実施形態の部品装着機の全体構成を示す斜視図である。
【
図8】負圧エアを複数の吸着ノズルに供給するエア供給系統を模式的に示す図である。
【
図9】判定値変更部が複数の吸着ノズルの各々に対して相違する判定値を設定する事例を説明する図である。
【
図10】吸着部品変更部の機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.第1実施形態の部品装着機1の全体構成
第1実施形態の部品装着機1の全体構成について、
図1を参考にして説明する。
図1に示される例では、2台の部品装着機1が共通ベース11の上に隣接して配置されている。2台の部品装着機1が並ぶ方向は、基板を搬送するX軸方向に一致しており、X軸方向に直交する水平方向がY軸方向となる。部品装着機1は、装着機筐体20、基板搬送装置22、ヘッド移動装置24、装着ヘッド26、部品供給装置28、ノズルステーション30、部品カメラ32、および制御部34などを備える。
【0015】
装着機筐体20は、フレーム部201と、フレーム部201の上部に架け渡されたビーム部202とにより構成される。さらに、ビーム部202の上方には、開閉可能なカバー203が設けられる。カバー203は、左側の部品装着機1に示され、右側の部品装着機1では図示省略されている。
【0016】
基板搬送装置22は、二組のコンベア装置(221、222)および図略の基板保持機構を備える。二つのコンベア装置(221、222)は、互いに平行し、かつX軸方向に延びるようにフレーム部201に設けられる。コンベア装置(221、222)の各々は、図略のモータによって輪転駆動され、支持する基板をX軸方向に搬送する。二つの基板保持機構の各々は、コンベア装置(221、222)の各々の概ね中央の下部に配置される。基板保持機構は、基板を所定の装着作業位置に保持する。
【0017】
部品供給装置28は、複数のテープフィーダ29がX軸方向に配列されて構成される。テープフィーダ29の各々は、テープリールを回転可能に保持する。テープリールには、一列に並んだ収容ポケットの中にそれぞれ部品を収容したキャリアテープが巻回されている。テープフィーダ29の各々は、図略のテープ送り機構によりキャリアテープをピッチ送りで供給位置に送り出す。これにより、テープフィーダ29は、供給位置で部品を供給する。なお、テープリールを回転可能に保持するリール保持機構がテープフィーダ29と別体で構成されてもよい。
【0018】
ヘッド移動装置24は、XYロボット型の装置である。ヘッド移動装置24は、スライダ25をX軸方向にスライドさせる図略のX軸モータ、およびスライダ25をY軸方向にスライドさせる図略のY軸モータを備える。スライダ25のY軸負方向の側面に、装着ヘッド26が取り付けられる。装着ヘッド26は、X軸モータおよびY軸モータに駆動されて、フレーム部201上の任意の位置に移動する。装着ヘッド26の下側に、吸着ノズル4またはノズルツール7が着脱可能に搭載される。ノズルツール7については、第2実施形態で説明する。
【0019】
吸着ノズル4は、図略のZ軸モータによって昇降駆動され、図略のR軸モータに駆動されて軸線の周りに自転する。吸着ノズル4は、さらに、後述するエア供給系統5から負圧エアおよび正圧エアが選択的に供給される。吸着ノズル4は、テープフィーダ29の供給位置から部品を吸着する吸着処理、および、基板に設定された装着座標位置に部品を装着する装着処理を行う。
【0020】
スライダ25または装着ヘッド26の下側に、下向きの光軸をもつ図略の基板カメラが設けられる。基板カメラは、装着作業位置に保持された基板に付設されている位置基準マークを撮像して画像データを取得する。取得された画像データは画像処理され、基板の装着作業位置が正確に求められる。これにより、ヘッド移動装置24の第一のX-Y座標系と、基板上で部品の装着座標位置を表す第二のX-Y座標系との相対的な位置関係が較正される。
【0021】
ノズルステーション30は、部品供給装置28に隣接して設けられる。ノズルステーション30には、複数の吸着ノズル4が入れ替え可能に収容される。ノズルステーション30に収容されている吸着ノズル4と、装着ヘッド26に搭載されている吸着ノズル4との交換が、必要に応じて自動的に行われる。例えば、吸着処理の対象となる複数種類の部品の形状や寸法、重量の違いに応じて、形状や大きさが異なる複数種類の吸着ノズル4が交換される。また、所定回数以上の吸着処理および装着処理を行ってメンテナンスが必要とされる吸着ノズル4が交換される。
【0022】
部品カメラ32は、基板搬送装置22と部品供給装置28の間に設けられる。部品カメラ32は、光軸が上向きとなるように配置される。部品カメラ32は、部品を保持した吸着ノズル4を撮像して画像データを取得する。部品カメラ32は、その上方で装着ヘッド26が一時停止した状態で撮像を行う。または、部品カメラ32は、シャッタースピードを速くして、その上方を装着ヘッド26が通過する瞬間に撮像を行ってもよい。画像データが画像処理されることにより、吸着ノズル4と保持された部品との相対位置関係が検出され、装着処理に反映される。部品カメラ32として、CCDやCMOS等の撮像素子を有するデジタル式の撮像装置を例示することができる。
【0023】
2.生産情報サーバ9
次に、部品装着機1の上位の制御装置となる生産情報サーバ9について説明する。生産情報サーバ9は、コンピュータ装置を用いて構成される。生産情報サーバ9は、部品装着機1を含む複数の対基板作業機からなる対基板作業ラインの生産作業を総合的に管理する。生産情報サーバ9は、通信路や無線を用いて部品装着機1および他の対基板作業機に通信接続される。生産情報サーバ9は、必要に応じて部品装着機1および他の対基板作業機との間で情報を授受する。生産情報サーバ9は、付属されたメモリ91の内部に部品データ92、機器データ93、ジョブデータ94、および動作履歴データ95を記憶し、かつ逐次更新する。
【0024】
部品データ92は、基板に装着される様々な種類の部品に関する情報を記憶したデータである。部品データ92は、各種部品の形状、質量、外形や電極などの寸法、外観色などを表す部品外形情報を含む。さらに、部品データ92は、各種部品の電気的特性、製造者、梱包形態、取り扱い条件等の情報を含む。機器データ93は、部品装着機1および他の対基板作業機の構造および性能などを記憶したデータである。機器データ93は、部品装着機1や他の対基板作業機が用いる器具に関する情報を含む。例えば、機器データ93は、吸着ノズル4の各部の構造や寸法諸元、吸着ノズル4が吸着可能な部品の寸法範囲、最大質量、吸着ノズル4の使用方法などの情報を含む。
【0025】
ジョブデータ94は、基板に実施する対基板作業の作業内容を記憶したデータである。ジョブデータ94は、基板の種類、ならびに装着する部品の種類および装着座標位置を表す設計データを含む。また、ジョブデータ94は、部品装着機1における複数の部品の装着順序、および使用する吸着ノズル4の種類を規定した生産データを含む。さらに、ジョブデータ94は、他の対基板作業機の対基板作業(ジョブ)の内容を規定している。ジョブデータ94は、基板製品の種類ごとに作成される。動作履歴データ95は、部品装着機1および他の対基板作業機が稼働したときの動作の履歴を記憶したデータである。
【0026】
生産情報サーバ9は、基板製品の生産に際して、部品装着機1および他の対基板作業機にそれぞれジョブデータ94を配信する。部品装着機1および他の対基板作業機は、受信したジョブデータ94にしたがって対基板作業を実施する。部品装着機1および他の対基板作業機は、ジョブデータ94の規定内容に基づき、必要に応じて部品データ92や機器データ93を参照する。部品装着機1および他の対基板作業機は、稼働しているときの動作をデータ化して、生産情報サーバ9に送信する。生産情報サーバ9は、受信したデータを用いて動作履歴データ95を逐次更新する。
【0027】
3.エア供給系統5
次に、負圧エアおよび正圧エアを選択的に吸着ノズル4に供給するエア供給系統5について、
図2を参考にして説明する。吸着ノズル4は、鉛直方向に延在する使用状態で上側に配置される基端41、下側に配置されて部品を吸着する開口部44をもつ先端43、および基端41側と先端43側とを連通する内部流路42をもつ。エア供給系統5は、負圧源51、負圧弁52、正圧源53、正圧弁54、エア流路55、圧力センサ56、および流量センサ57などで構成される。
【0028】
負圧源51は、吸着ノズル4に供給する負圧エアを生成する。「吸着ノズル4に負圧エアを供給する」とは、吸着ノズル4の内部流路42のエアを吸引して、内部の圧力を大気圧値側から真空値側に近付けることを意味する。負圧源51として、例えば真空ポンプを用いることができる。なお、負圧源51は、機外に配置された負圧源から機内に負圧エアを供給する負圧エア供給路を含む構成であってもよい。負圧弁52は、負圧源51と、エア流路55の一端との間を開閉する。
【0029】
正圧源53は、吸着ノズル4に供給する正圧エアを生成する。正圧源53として、例えばコンプレッサや、コンプレッサによって正圧エアが蓄積される蓄圧槽を用いることができる。正圧源53は、さらに、正圧エアの正圧値を適正化し、または一定値に保つレギュレータを含んでもよい。なお、正圧源53は、機外に配置された正圧源から機内に正圧エアを供給する正圧エア供給路を含む構成であってもよい。正圧弁54は、正圧源53と、エア流路55の一端との間を開閉する。負圧弁52および正圧弁54として、電磁弁や、メカニカルな開閉機構によって駆動されるメカニカル弁を用いることができる。エア流路55の他端は、吸着ノズル4の内部流路42の基端41側に連通される。
【0030】
エア流路55の途中に、計測部としての圧力センサ56および流量センサ57が設けられる。圧力センサ56は、エア流路55に流れる負圧エアの圧力を計測して計測値(負圧値)を取得する。流量センサ57は、エア流路55に流れる負圧エアの流量を計測して計測値を取得する。ここで、負圧源51が動作して負圧弁52が開かれ、かつ吸着ノズル4の開口部44が閉止された閉止状態を想定する。閉止状態では、エア流路55に流れる負圧エアの流量が減少して、そのときの負圧値が真空値側に近付く。
【0031】
次に、負圧源51が動作して負圧弁52が開かれ、かつ開口部44が開放された開放状態を想定する。開放状態では、大気エアが開口部44から内部流路42に流入する。大気エアの流入は、負圧エアが開口部44から外部にリークしたことに相当するので、この大気エアの流入を「負圧エアのリーク」と称する。負圧エアのリークにより、エア流路55に流れる負圧エアの流量が増加して、そのときの負圧値が真空値側から大気圧値側に近付く。このように負圧エアの負圧値が真空値側から大気圧値側に近付くことを、「負圧の低下」と称する。さらに、負圧源51が動作して負圧弁52が開かれ、かつ開口部44が半開された状態を想定すると、負圧エアの流量および圧力は、閉止状態と開放状態の間の値となる。
【0032】
上述から分かるように、圧力センサ56の計測値および流量センサ57の計測値は、開口部44における負圧エアのリークの状況を表す指標となる。かつ、圧力センサ56の計測値および流量センサ57の計測値は、相関関係を有して、相互に換算することが可能である。したがって、負圧エアのリーク状況を認識するために両方の計測値は必要でなく、圧力センサ56および流量センサ57の一方が省略され、または省略されずとも一方の計測値のみが用いられてもよい。以降では、主に圧力センサ56が検出する圧力の計測値(負圧値)を用いる場合について説明する。
【0033】
4.部品の種類およびリークの有無
次に、吸着ノズル4が吸着する部品の種類の大別、および吸着ノズル4の開口部44における負圧エアのリークの有無について、
図2を参考にして説明する。本実施形態において、吸着ノズル4の先端43は、水平方向に平坦な円形の外形形状をもつ。また、開口部44は、水平方向に平坦な直径Dの円形の開口形状をもつ。これに限定されず、開口部44の開口形状は、長円形や楕円形、瓢箪形などであってもよい。
【0034】
吸着ノズル4が吸着する部品は、角型電子部品やICリード部品のように被吸着面が平坦でリークしにくい部品と、スイッチ部品やコネクタ部品のような異形部品で被吸着面が平坦でなくリークしやすい部品とに大別される。例えば、角型電子部品PFは、被吸着面が平坦で、かつ被吸着面の短辺の長さL1が開口部44の直径Dよりも大きい。吸着ノズル4が角型電子部品PFの吸着処理を行うとき、相互の位置関係が適正に制御されていれば、角型電子部品PFの被吸着面と吸着ノズル4の開口部44との間に隙間が生じない。したがって、負圧エアのリークは発生せず、仮に発生しても僅少である。
【0035】
リークしやすい部品は、被吸着面が平坦でない。換言すると、被吸着面に穴や凹凸形状をもつ部品や、サイズに対して大容量であり角型であっても蒲鉾形状の外形をもつ部品などで、負圧エアのリークが発生しやすい。
図2に例示される仮想的な異形部品PVは、正面視でV字状の凹部を被吸着面にもつ。吸着ノズル4が異形部品PVの吸着処理を行うとき、相互の位置関係が適正に制御されていても、異形部品PVの被吸着面と吸着ノズル4の開口部44との間に隙間が生じる。したがって、負圧エアのリークが顕著に発生する。なお、異形部品PVは、仮想した以外に様々な形状がある。
【0036】
なお、負圧エアのリークが発生するか否かは、部品の形状のみで確定せず、部品の種類と吸着ノズル4の種類との組み合わせの相性が関係する。例えば、被吸着面の短辺の長さL2が吸着ノズル4の開口部44の直径Dより小さい角型電子部品PSでは、被吸着面と吸着ノズル4の開口部44との間に隙間が生じ、負圧エアのリークが発生する。また、異形部品PVの被吸着面の凹凸形状に合わせて、先端の形状を変形した異形タイプの吸着ノズルを製作および使用することができる。異形タイプの吸着ノズルが異形部品PVの吸着処理を行うときには、負圧エアのリークが抑制される。
【0037】
5.部品装着機1の制御に関する構成
制御部34は、フレーム部201に組み付けられており、その位置は特に限定されない。制御部34は、CPUやメモリ、入出力部などを有するコンピュータ装置を用いて構成される。なお、制御部34は、複数のCPUが機内に分散配置され、かつ通信接続されて構成されてもよい。制御部34は、カバー203の前面に配置された入力表示部204に通信接続されている。入力表示部204は、オペレータの指令や設定の入力操作を受け付けるとともに、部品装着機1の稼働状況等を表示する。入力表示部204として、操作キーと表示パネルとを組み合わせた構成や、タッチパネルなどを用いることができる。
【0038】
さらに、制御部34は、構内LANなどを用いて生産情報サーバ9に通信接続される。制御部34は、生産情報サーバ9から配信されるジョブデータ94に基づいて、基板搬送装置22、部品供給装置28、ヘッド移動装置24、部品カメラ32、およびエア供給系統5などを制御する。制御部34は、実稼働時の稼働モードと、調整モードとのモード切り替えが行われる。実稼働時以外の時間帯、例えば、基板の種類を変更する段取り替え時や部品装着機1が装着作業を一時的に中断したときに、制御部34は、調整モードにセットすることが可能となる。
【0039】
制御部34は、主にソフトウェアを用いて構成される六つの機能部、すなわち吸着装着制御部61、判定部62、事前取得部63、基準値算出部64、判定値変更部65、および異常検知部66を備える。吸着装着制御部61、判定部62、および異常検知部66は、稼働モードで動作し、事前取得部63、基準値算出部64、および判定値変更部65は、調整モードで動作する。
【0040】
吸着装着制御部61は、吸着ノズル4の吸着処理および装着処理の実行を制御する。詳述すると、吸着装着制御部61は、まず、吸着ノズル4をテープフィーダ29の供給位置まで水平移動させる。吸着装着制御部61は、次に、吸着ノズル4を下降させつつ、正圧弁54が閉じた状態で負圧弁52を開いて負圧エアを供給する。これにより、吸着ノズル4は、内部流路42が負圧状態となり、開口部44で部品を吸着する(吸着処理)。吸着装着制御部61は、その次に、部品を保持した状態の吸着ノズル4を部品カメラ32の上方まで移動させ、部品カメラ32による撮像を行わせる。
【0041】
吸着装着制御部61は、その次に、吸着ノズル4を基板上の装着座標位置まで水平移動させる。吸着装着制御部61は、その次に、吸着ノズル4を下降させつつ、負圧弁52を閉じるとともに正圧弁54を開いて正圧エアを供給する。これにより、吸着ノズル4は、内部流路42が正圧状態となり、開口部44に保持していた部品を装着座標位置に装着する(装着処理)。吸着装着制御部61は、その次に、吸着ノズル4を再びテープフィーダ29に向かって水平移動させる。これで、吸着ノズル4を用いた吸着装着サイクルの1サイクルの制御が終了する。吸着装着制御部61は、ジョブデータ94に規定された複数の部品を対象として、吸着装着サイクルの制御を繰り返す。
【0042】
判定部62は、吸着ノズル4の吸着処理時に圧力センサ56によって計測された計測値(負圧値)と、あらかじめ定められる判定値とを比較して、吸着ノズル4が部品を吸着しているか否かを判定する。つまり、判定部62は、計測された負圧値が判定値よりも真空値側にあるときに、吸着ノズル4が部品を吸着していると判定する。また、判定部62は、計測された負圧値が判定値よりも大気圧値側にあるときに、吸着ノズル4が部品を吸着していないと判定する。
【0043】
判定部62が部品の吸着を判定した場合、吸着装着制御部61は、吸着処理が正常に終了したと判断して、吸着ノズル4を部品カメラ32の上方に移動させる。判定部62が部品の非吸着を判定した場合、吸着装着制御部61は、吸着処理のリトライを行うか、または、稼働を中断する。吸着装着制御部61は、リトライに成功した場合に、吸着装着サイクルの制御を継続する。吸着装着制御部61は、所定回数のリトライが不調で稼働を中断した場合や初めから稼働を中断した場合に、稼働を中断した旨を入力表示部204に表示し、または別の手段でオペレータに通知する。その後、吸着装着制御部61は、一時的に吸着装着サイクルの制御を停止する。
【0044】
事前取得部63、基準値算出部64、および判定値変更部65は、調整モードにおいて例えば入力表示部204に動作指令が入力されたときに動作する。事前取得部63は、圧力センサ56を用いて、吸着ノズル4が部品を吸着していないときの計測値である開放時計測値PA1、および吸着ノズル4が部品を吸着しているときの計測値である吸着時計測値(PB1、PB2)を取得する(
図3および
図4参照)。つまり、事前取得部63は、実稼働時と異なり部品を吸着しているか否かを確定させた条件を設定して、圧力センサ56を用いた実測を行う。このとき、テープフィーダ29の段取り替えが済んでいるとは限らない。吸着ノズル4は、段取り替えが済んだテープフィーダ29から部品を吸着し、または、オペレータがピンセット等を用いて準備した部品や掌に載せた部品を吸着する(部品の手付け)。
【0045】
事前取得部63は、ジョブデータ94を参照して、基準値(後述)を算出する部品の種類と吸着ノズル4の種類との組み合わせを設定し、開放時計測値および吸着時計測値を取得することができる。さらに、事前取得部63は、ジョブデータ94に規定された複数の部品のうち選択された一部を基準値の算出対象部品として、開放時計測値および吸着時計測値を取得することができる。事前取得部63は、部品と、当該の部品を吸着している吸着ノズル4との間から負圧エアのリークが発生する場合に、当該の部品を算出対象部品とすることが好ましい。
【0046】
なお、算出対象部品は、オペレータが入力表示部204を用いて選択してもよい。また、事前取得部63は、ジョブデータ94に規定された全部の部品を算出対象部品としてもよい。さらに、事前取得部63は、ジョブデータ94と関係なく、負圧エアのリークが発生する複数種類の部品を算出対象部品として予め動作し、いずれかの部品がジョブデータ94に規定されたときの動作を省略してもよい。
【0047】
また、事前取得部63は、開放時計測値および吸着時計測値の少なくとも一方を複数個取得してもよい。ここで、開放時計測値は、計測時の状態が概ね一定であるので、複数回の計測を行ったときのばらつきが小さい。一方、吸着時計測値は、部品の吸着状態が毎回一定であるとは言えず、複数回の計測を行ったときにばらつきが生じがちである。特に、負圧エアのリークが発生する組み合わせであると、部品と吸着ノズル4の間に生じる隙間の状態が毎回変化してばらつきが生じやすい。したがって、事前取得部63は、少なくとも吸着時計測値の複数個を取得することが好ましい。
【0048】
事前取得部63が取得する開放時計測値PA1および吸着時計測値(PB1、PB2)の一例が、
図3および
図4に示されている。
図3は、角型電子部品PFと吸着ノズル4との組み合わせ、すなわち負圧エアのリークが発生しない場合を例示している。
図4は、異形部品PVまたは角型電子部品PSと吸着ノズル4との組み合わせ、すなわち負圧エアのリークが発生する場合を例示している。なお、
図3および
図4は、各種負圧値の大小関係を定性的に表示するものであり、必ずしも正確なスケール表示をしていない(
図9~
図11も同様)。
図3および
図4において、P0は真空圧値、P1は大気圧値を示す。また、Smaxは上限基準値、Sminは下限基準値を示す。以降の説明において、負圧エアの負圧値は、大気圧値P1をゼロとする負値のゲージ圧値で表される。
【0049】
上限基準値Smaxおよび下限基準値Sminは、吸着ノズル4の種類ごとにあらかじめ定められる。上限基準値Smaxは、吸着ノズル4が部品を吸着するために最低限必要な負圧値である。上限基準値Smaxは、吸着ノズル4が部品を安定的に吸着することができ、さらに、水平方向および鉛直方向の加速度が作用したときに部品が落下せずかつ水平方向に横滑りしないことを条件として定められる。さらに、上限基準値Smaxは、当該の吸着ノズル4が吸着処理を行う部品のなかで最も大きな質量をもつ(最大質量の)部品を考慮して定められる。
【0050】
下限基準値Sminは、吸着ノズル4が部品を十分吸着していると判断できる負圧値である。下限基準値Sminは、例えば、吸着ノズル4の開口部44が完全に閉止されたときに圧力センサ56で検出される負圧値に定められる。上限基準値Smaxと下限基準値Sminの間の負圧値は、正常範囲となる。圧力センサ56で計測された負圧値が正常範囲から逸脱した場合、負圧異常と判定されて、部品装着機1は一時停止する。数値例として、上限基準値Smaxは-15kPaないし-30kPa程度、下限基準値Sminは、-75kPaないし-90kPa程度となる。
【0051】
負圧エアのリークが発生しない
図3の場合、開放時計測値PA1は、大気圧値P1に比較的近い負圧値となっている。一方、吸着時計測値PB1は、下限基準値Sminに至近した負圧値となっている。負圧エアのリークが発生する
図4において、開放時計測値PA1は、当然ながら
図3の場合と変わらない。一方、吸着時計測値PB2は、
図3の吸着時計測値PB1と対比すると、負圧エアのリークに起因して大幅に大気圧値P1側に変化し(負圧の低下)、開放時計測値PA1に接近している。なお、負圧源51の性能およびエア供給系統5の系統内のリーク量が、開放時計測値PA1および吸着時計測値(PB1、PB2)に影響する。
【0052】
基準値算出部64は、開放時計測値と吸着時計測値との間の基準値を算出する。例えば、
図3に示されるように、基準値算出部64は、開放時計測値PA1と吸着時計測値PB1との間を、k:(1-k)に内分する基準値SV1を算出する。数式では、下の(式1)で示される。なお、kの値は変更可能である。
SV1=k(PB1-PA1)+PA1 ただし:0<k<1・・・(式1)
数値例として、開放時計測値PA1=-30kPa、吸着時計測値PB1=-90kPa、k=0.6のとき、基準値SV1=-66kPaとなる。
【0053】
ここで、負圧エアのリークが発生しない多数の組み合わせ(部品と吸着ノズル4との組み合わせ)において、
図3に類似する状態が発生する。したがって、従来技術では、基準値SV1に至近しまたは一致した所定の判定値J1をあらかじめ定めていた。また、従来技術の判定部は、所定の判定値J1を一律に用いて、吸着ノズル4が部品を吸着しているか否かを判定していた。
【0054】
負圧エアのリークが発生する
図4の場合、基準値算出部64は、開放時計測値PA1と吸着時計測値PB2との間の基準値SV2を算出する。基準値算出部64は、上記の(式1)および同一値のkを用いてもよいし、異なる数式を用いてもよい。(式1)を用いる場合の数値例として、開放時計測値PA1=-30kPa、吸着時計測値PB2=-40kPa、k=0.6のとき、基準値SV2=-36kPaとなる。
【0055】
上記したように、基準値算出部64は、部品の種類と吸着ノズル4の種類との組み合わせに応じて、相違する基準値(SV1、SV2)を算出する。さらに上記の例で、基準値算出部64は、部品と、当該の部品を吸着している吸着ノズル4との間から負圧エアのリークが発生するか否かに応じて、相違する基準値(SV1、SV2)を算出する。また、基準値算出部64は、負圧エアのリークが発生すると推定される場合の吸着時計測値に応じて、相違する基準値を算出してもよい。つまり、吸着時計測値は、部品の被吸着面の形状と吸着ノズル4の先端43の形状との差異に依存して変化するものであり、両者間の隙間が大きいほど大気圧値P1側に変化する。したがって、基準値算出部64は、リーク量が相対的に多い部品および少ない部品について、相違する基準値を算出することになる。
【0056】
算出された基準値(SV1、SV2)は、通常であれば上限基準値Smaxと下限基準値Sminの間に収まる。つまり、基準値算出部64は、上限基準値Smaxと下限基準値Sminとの間の基準値(SV1、SV2)を算出する。仮に、算出した基準値が上限基準値Smaxと下限基準値Sminとの間に収まっていない場合、基準値算出部64は、算出異常が発生した旨を入力表示部204に表示し、または別の手段でオペレータに通知する。
【0057】
また、事前取得部63が開放時計測値および吸着時計測値の少なくとも一方を複数個取得している場合に、基準値算出部64は、取得された複数個を対象として統計的な処理を行う。統計的な処理として、平均値を求める平均化処理、最大値選択処理や最小値選択処理などを例示することができる。これにより、開放時計測値および吸着時計測値の少なくとも一方が高精度化され、または誤判定を抑制する安全サイド側に適正化される。基準値算出部64は、統計的な処理を行った後に、基準値を算出する。
【0058】
判定値変更部65は、あらかじめ定められる判定値J1を算出された基準値(SV1、SV2)に変更する。つまり、判定値変更部65は、吸着ノズル4が角型電子部品PFを吸着するときの判定値を基準値SV1に変更し、吸着ノズル4が異形部品PVや角型電子部品PSを吸着するときの判定値を基準値SV2に変更する。
【0059】
このように、部品と吸着ノズル4の組み合わせに適した基準値(SV1、SV2)が算出されて、判定値が基準値(SV1、SV2)に変更される。したがって、判定部62は、部品の種類を問わず、吸着ノズル4が部品を吸着しているか否かを正しく判定することができる。これと対比して、あらかじめ定められる判定値J1を一律に用いる従来技術では、誤判定のおそれが生じやすい。
図3および
図4の例を引用すると、吸着ノズル4が異形部品PVや角型電子部品PSの吸着処理を行うときの計測値は、概ね吸着時計測値PB2に一致すると想定される。つまり、吸着処理を行うときの計測値が概ね-40kPaとなり、判定値J1(≒S1=-66kPa)よりも大気圧値P1側となる。したがって、従来技術では、吸着ノズル4が異形部品PVや角型電子部品PSの吸着に成功していても、吸着していないと誤判定される。
【0060】
また、判定値変更部65は、部品の種類と吸着ノズル4の種類との組み合わせに基づいて過去に使用した判定値を、組み合わせと対応付けて調整実績データとする。この調整実績データは、生産情報サーバ9に送信されて、動作履歴データ95に蓄積される。判定値変更部65は、基板の種類が現基板種から次基板種に変更される段取り替えの際、次基板種における部品の種類と吸着ノズル4の種類との組み合わせが、蓄積された調整実績データのなかに有るか否か照合する。有る場合に、判定値変更部65は、当該の組み合わせに対応付けられた判定値を参照して、次基板種における判定値を設定する。通常、判定値変更部65は、調整実績のある判定値をそのまま次基板種における判定値に設定する。
【0061】
なお、判定値変更部65は、外形形状、寸法、および重量が相互に一致した複数の部品を同じ種類として扱う。例えば、抵抗値(電気的特性)が相違する二つの抵抗部品は、通常は異なる種類として扱われるが、外観および重量が一致していれば吸着ノズル4の吸着処理に関する挙動や状態が同じになる。したがって、判定値変更部65は、抵抗値が相違しても外観および重量が一致する二つの抵抗部品を同じ種類として扱う。
【0062】
異常検知部66は、吸着ノズル4の吸着処理時の計測値が開放時計測値PA1と吸着時計測値(PB1、PB2)の間から外れた場合に、吸着ノズル4の異常と検知する。吸着処理時の計測値(負圧値)が開放時計測値PA1よりも大気圧値P1側となる場合、負圧エアのリークが過大になっていることが分かる。したがって、吸着ノズル4の開口部44が拡がった異常や、開口部44以外に穿孔が発生した異常などを想定することができる。
【0063】
一方、吸着処理時の計測値(負圧値)が吸着時計測値(PB1、PB2)よりも真空値P0側となる場合、負圧エアのリークが過小になっていることが分かる。したがって、吸着ノズル4の内部流路42の目詰まりや狭窄変形の異常などを想定することができる。異常検知部66によれば、上限基準値Smaxと下限基準値Sminの間を正常範囲とする従来技術の異常検知技術と比較して、正常範囲を狭く設定することができ、異常の軽微な段階での検知が可能となる。
【0064】
6.部品装着機1の動作
次に、第1実施形態の部品装着機1の動作について、
図5の調整時の動作フロー、および
図6の稼働時の動作フローを参考にして説明する。
図5の動作フローの開始以前に、基板の現基板種の生産が終了しており、制御部34は調整モードにセットされている。ステップS1で、制御部34は、生産情報サーバ9から次基板種のジョブデータ94を取得する。制御部34は、ジョブデータ94に基づいて、基板に装着する部品の種類および装着順序、ならびに使用する吸着ノズル4の種類を認識する。
【0065】
次のステップS2で、判定値変更部65は、次基板種における部品の種類と吸着ノズル4の種類との組み合わせが、蓄積された調整実績データのなかに有るか否か照合する。次のステップS3で、判定値変更部65は、照合結果が有りの場合に動作フローをステップS4に進め、照合結果が無しの場合に動作フローをステップS5に進める。照合結果が有りの場合のステップS4で、判定値変更部65は、少なくとも一部の組み合わせ(部品と吸着ノズル4の組み合わせ)を対象として、判定値J1を廃し、調整実績のある判定値をそのまま次基板種における判定値に設定する。なお、調整実績のある判定値が判定値J1である場合も許容される。ステップS4の終了後、動作フローはステップS5に合流される。
【0066】
ステップS5で、事前取得部63は、ジョブデータ94に規定された複数の部品のうちの一部を基準値の算出対象部品に選択する。本動作フローにおいて、事前取得部63は、ステップS4で判定値の設定が行われなかった部品であって、かつ吸着ノズル4による吸着処理時に負圧エアのリークが発生する部品を算出対象部品とする。算出対象部品の数量は、ゼロでも一つでも複数でもよい。算出対象部品を対象として、ステップS6からステップS10までが実行される。算出対象部品がゼロの場合、ステップS6からステップS10までが省略される。
【0067】
一つまたは複数の算出対象部品が選択された場合のステップS6で、事前取得部63は、開放時計測値PA1を取得する。次のステップS7で、事前取得部63は、吸着時計測値(PB1、PB2)を取得し、好ましくは複数個取得する。次のステップS8で、基準値算出部64は、基準値(SV1、SV2)を算出する。次のステップS9で、判定値変更部65は、あらかじめ定められていた判定値J1を算出された基準値(SV1、SV2)に変更する。次のステップS10で、判定値変更部65は、算出対象部品の全数の処理が終了したか否かを判定する。終了していない場合に、ステップS6からステップS10までの動作ループが繰り返される。
【0068】
算出対象部品の全数の処理が終了すると、動作フローは、動作ループから抜けてステップS11に進められる。ステップS11で、判定値変更部65は、動作フローのなかで設定し、変更し、および変更しなかった判定値を、部品の種類と吸着ノズル4の種類との組み合わせと対応付けて調整実績データとし、動作履歴データ95に蓄積する。調整実績データの内容は、ステップS4で判定値J1を廃して設定された判定値、およびステップS9で変更された基準値(SV1、SV2)に相当する判定値を含む。さらに、調整実績データの内容は、ステップS4およびステップS9が実行されず負圧エアのリークが発生しない部品に用いられる判定値J1を含む。以上で、調整時の動作フローが終了する。
【0069】
次に、
図6のステップS21で、制御部34が稼働モードにセットされて、吸着装着制御部61が制御を開始する。これにより、部品装着機1は稼働を開始し、始めに基板を搬入する。次のステップS22で、吸着装着制御部61は、吸着ノズル4に吸着処理を行わせる。同時に、圧力センサ56は、吸着処理時の計測値(負圧値)を取得する。次のステップS23で、判定部62は、吸着処理を行う部品に関して判定値J1から変更された判定値の有無を調査する。有る場合のステップS24で、判定部62は、変更された当該の判定値を選択する。無い場合のステップS25で、判定部62は、所定の判定値J1を選択する。ステップS24またはステップS25が実行された後、動作フローはステップS26に合流する。
【0070】
ステップS26で、まず、異常検知部66が判定を行う。詳述すると、異常検知部66は、ステップS22で取得した計測値(負圧値)が開放時計測値PA1と吸着時計測値(PB1、PB2)の間から外れた場合に、吸着ノズル4の異常と検知する。また、異常検知部66は、開放時計測値PA1および吸着時計測値(PB1、PB2)が無い部品を対象として、計測値(負圧値)が上限基準値Smaxと下限基準値Sminの間(正常範囲)から外れた場合に、吸着ノズル4の異常と検知する。検知した場合のステップS27で、異常検知部66は異常時処理、例えば異常が発生した旨をオペレータに通知する処理や、吸着装着サイクルを一時的に停止させる処理を実行する。
【0071】
異常検知部66が異常を検知しなかった場合に、判定部62が判定を行う。判定部62は、ステップS22で取得した計測値(負圧値)と、ステップS24で選択した判定値またはステップS25で選択した判定値J1とを比較して、吸着ノズル4が部品を吸着しているか否か判定する。判定部62が部品の非吸着を判定した場合、吸着装着制御部61は、動作フローをステップS22に戻して吸着処理のリトライを行う。
【0072】
判定部62が部品の吸着を判定した場合のステップS28で、吸着装着制御部61は、吸着ノズル4に装着処理を行わせる。次のステップS29で、吸着装着制御部61は、ジョブデータ94に規定された全部品の装着処理が終了したか否かを判定する。終了していない場合に、ステップS22からステップS28までの動作ループが繰り返される。繰り返しの中で、必要に応じて吸着ノズル4が自動交換され、装着ヘッド26に搭載される吸着ノズル4に対応して判定値が変更される。全部品の装着処理が終了すると、1枚の基板に対する稼働時の動作フローが終了する。続いて、当該の基板が搬出され、次の基板が搬入されてステップS22以降が繰り返される。なお、判定部は、吸着処理が完了してから装着処理を実行するまでの間に圧力センサ56で測定される負圧値が判定値を上回った場合に、吸着した部品が落下したことを検出し、作業者に報知するようにしてもよい。
【0073】
第1実施形態の部品装着機1において、基準値算出部64は、部品と吸着ノズル4の組み合わせに応じて変化する開放時計測値PA1および吸着時計測値(PB1、PB2)に基づいて当該の組み合わせに適した基準値(SV1、SV2)を算出することができる。判定値変更部65は、算出された基準値(SV1、SV2)に判定値を変更する。したがって、あらかじめ定められる判定値J1を固定的に用いる従来技術と比較して、判定部62が当該の組み合わせに適した判定値(判定値J1、基準値SV1、基準値SV2)を用いることにより、吸着ノズル4が部品を吸着しているか否かの判定精度を高めることができる。
【0074】
加えて、事前取得部63は、負圧エアのリークが発生する部品と吸着ノズル4の組み合わせの一部を設定して、開放時計測値および吸着時計測値を取得する。したがって、負圧エアのリークが発生する組み合わせでは、実測結果に基づいて高い精度で判定値を変更することができる。また、負圧エアのリークが発生しない組み合わせでは、実測による事前取得が省略され、調整実績データが有る場合にも実測が省略されるので、実測に要する手間および時間が軽減される。
【0075】
7.第2実施形態の部品装着機1Aの構成
次に、第2実施形態の部品装着機1Aの構成について、
図7および
図8を参考にして説明する。第2実施形態では、複数の吸着ノズル4を有するノズルツール7が用いられる。また、複数の吸着ノズル4に対応するために、エア供給系統5Aが変形されるとともに、制御部34の六つの機能部の機能が変形される。さらに、制御部34は、追加の二つの機能部、すなわち吸着部品変更部67および上限変更部68を備える。
【0076】
ノズルツール7は、装着ヘッド26の下側に着脱可能に搭載される。ノズルツール7は、略円柱形状の外形を有し、垂直中心軸を中心にして自転する回転体に形成される。ノズルツール7は、図略のR軸回転駆動機構から駆動されて自転する。ノズルツール7は、自身の自転によって垂直中心軸の周りを公転する複数(
図8の例では8本)の吸着ノズル4を着脱可能に、または固定的に有する。吸着ノズル4は、図略のZ軸モータによって昇降駆動され、図略のQ軸モータに駆動されて軸線の周りに自転する。なお、装着ヘッド26は、ノズルツール7が固定的に搭載されたロータリヘッドであってもよい。また、ノズルツール7の形態は、上述に限定されず、円柱形状以外の形状、例えば矩形に形成されて、一列状または格子点状に配列された複数の吸着ノズル4を有してもよい。
【0077】
図8に示されるように、エア供給系統5Aは、負圧源51、負圧弁52、共通エア流路58、圧力センサ56、流量センサ57、および8本の吸着ノズル4に対応してそれぞれ設けられたノズル弁59などで構成される。なお、
図8では、正圧エアの供給系統が図示省略されている。負圧源51は、第1実施形態と同じものを使用することができるので、説明を省略する。負圧弁52は、負圧源51と、共通エア流路58の一端との間を開閉する。共通エア流路58の途中に、計測部としての圧力センサ56および流量センサ57が設けられる。
【0078】
共通エア流路58の他端は、吸着ノズル4の各々に個別に連通可能となるように8系統に分岐される。分岐された各系統に、ノズル弁59がそれぞれ設けられる。ノズル弁59は、共通エア流路58と吸着ノズル4の内部流路42との間を、負圧エアが流れる連通状態、および負圧エアが流れない遮断状態に切り替える。ノズル弁59として、電磁弁やメカニカル弁を用いることができる。
【0079】
制御部34の吸着装着制御部61は、ジョブデータ94にしたがって、複数の吸着ノズル4の吸着処理および装着処理の実行を制御する。ここで、吸着ノズル4の各々の処理順序にしたがい、8本の吸着ノズル4を便宜的に第1吸着ノズル401~第8吸着ノズル408と呼称する。吸着装着制御部61は、まず、8本の吸着ノズル4の吸着処理を制御し、その次に、部品カメラ32による撮像を行わせる。なお、部品カメラ32は、1回の撮像動作で8本の吸着ノズル4を撮像できる撮像視野範囲をもつ。吸着装着制御部61は、その次に、8本の吸着ノズル4の装着処理を制御する。これで、吸着装着サイクルの1サイクルの制御が終了する。判定部62は、第1吸着ノズル401~第8吸着ノズル408の各々に相違する判定値を適用して、部品を吸着しているか否かを判定することができる。
【0080】
事前取得部63は、まず、ジョブデータ94を参照し、複数の吸着装着サイクルの各々のなかで基準値を算出する部品の種類と吸着ノズル4の種類との組み合わせを設定する。設定する組み合わせの数量は、最小で0組、最大で吸着ノズル4の本数に等しい8組となる。事前取得部63は、次に、一つの吸着ノズル4を基準にして、他の吸着ノズル4の状態を固定した条件とする。この条件設定は、部品装着機1が実際に稼働するときの動作状況を模擬して行われる。
【0081】
具体的には、基準とする吸着ノズル4よりも処理順序が早い吸着ノズル4は、ノズル弁59が開かれて共通エア流路58に連通された連通状態とされ、かつ部品を吸着している状態に固定される。一方、基準とする吸着ノズル4よりも処理順序が遅い吸着ノズル4は、ノズル弁59が閉じられた遮断状態に固定される。事前取得部63は、その次に、基準とする吸着ノズル4が共通エア流路58に連通され、かつ部品を吸着していないときの計測値である開放時計測値を取得する。事前取得部63は、さらに、基準とする吸着ノズル4が共通エア流路58に連通され、かつ部品を吸着しているときの計測値である吸着時計測値を取得する。
【0082】
基準値算出部64は、基準とされた吸着ノズル4を対象として、開放時計測値と吸着時計測値とに基づき、例えば第1実施形態の(式1)を適用して基準値を算出する。判定値変更部65は、基準とされた吸着ノズル4を対象として、基準値算出部64によって算出された基準値に判定値を変更する。事前取得部63、基準値算出部64、および判定値変更部65は、基準とする吸着ノズル4を順番に変更して、事前取得部63が設定した組み合わせの数量に相当する回数だけ動作する。
【0083】
異常検知部66は、複数の吸着装着サイクルの各々のなかで全部の吸着ノズル4を対象として、その異常を検知する。異常検知部66は、開放時計測値および吸着時計測値が取得された吸着ノズル4を対象として、吸着処理時の計測値(負圧値)が開放時計測値と吸着時計測値の間から外れた場合に異常と検知する。異常検知部66は、開放時計測値および吸着時計測値が取得されなかった吸着ノズル4を対象として、吸着処理時の計測値(負圧値)が上限基準値Smaxと下限基準値Sminの間(正常範囲)から外れた場合に負圧異常と検知する。
【0084】
吸着部品変更部67および上限変更部68は、入力表示部204を用いたオペレータの選択設定にしたがって一方が動作し、他方が休止する。吸着部品変更部67は、開放時計測値、吸着時計測値、および判定値の少なくとも一量に基づき、複数の吸着ノズル4の各々の吸着処理時の負圧値が、上限基準値Smaxを越えて大気圧値P1側に外れる可能性の有無を判定する。外れる可能性が有る場合に、吸着部品変更部67は、複数の吸着ノズル4が吸着処理で吸着する部品の点数および種類の少なくとも一方を変更する是正処置を行って、負圧値が上限基準値Smaxを越えないようにする。
【0085】
補足すると、一つの吸着装着サイクル内に負圧リークが発生する部品が有る場合に、無い場合と対比して、開放時計測値、吸着時計測値、および判定値の三量が大気圧値P1側に偏移する。そして、開放時計測値が上限基準値Smaxを越えると、吸着処理時の負圧値が上限基準値Smaxを越えるおそれが生じる。つまり、吸着ノズル4の内部流路42の負圧の低下に起因して、吸着した部品を保持する保持力が低下し、部品の落下や横滑りのおそれが生じる。このおそれを解消するために、吸着部品変更部67は、負圧リークが発生する部品の点数を減らして一部の吸着ノズルを未使用とする。または、吸着部品変更部67は、負圧リークが発生する部品の一点以上を負圧リークが発生しない部品に変更する(是正処置)。要約すると、吸着部品変更部67は、調整時の実測結果に基づき稼動時に必要に応じて負圧リークが発生する部品の点数を削減する是正処置を講じ、負圧異常が発生しない制御を行う。
【0086】
上限変更部68は、開放時計測値、吸着時計測値、および判定値の少なくとも一量に基づき、複数の吸着ノズル4の各々の吸着処理時の負圧値が、上限基準値Smaxを越えて大気圧値P1側に外れる可能性の有無を判定する。外れる可能性が有る場合に、上限変更部68は、ジョブデータ94に基づき許容される範囲内で上限基準値Smaxを変更する是正処置を行って、計測値が変更後の上限基準値を越えないようにする。
【0087】
補足すると、一つの吸着装着サイクル内において、負圧リークが発生する部品がある場合に、前述したように負圧値が上限基準値Smaxを越えるおそれ、すなわち、部品の落下や横滑りのおそれが生じる。ここで、上限基準値Smaxは、前述したように吸着ノズル4が吸着処理を行う最大質量の部品を考慮して定められている。したがって、最大質量未満の軽量部品を吸着ノズル4が吸着する場合、仮に負圧値が上限基準値Smaxを越えも、超過量が過度でなければ、軽量部品の落下や横滑りのおそれは実際には生じない。
【0088】
上記事項に基づき、上限変更部68は、吸着処理の対象となる軽量部品の質量を取得し、最大質量との比率に基づいて適正な超過量を算出することができる。さらに、上限変更部68は、適正な超過量の分だけ上限基準値Smaxを大気圧値P1の側に変更する(是正処置)。変更後の上限基準値は、当該の軽量部品と吸着ノズル4の組み合わせのみに適用される。なお、吸着ノズル4が最大質量の部品の吸着処理を行う場合に、上限基準値Smaxを変更することは許容されない。要約すると、上限変更部68は、必要に応じて可能であれば上限基準値Smaxを大気圧値P1の側に変更する是正処置を講じ、負圧異常が発生しない制御を行う。吸着部品変更部67および上限変更部68の是正処置の機能については、次の動作の説明のなかでさらに述べる。
【0089】
8.部品装着機1Aの動作
次に、第2実施形態の部品装着機1Aの動作について、事例に基づき、
図8~
図11を参考にして説明する。
図8に示される事例で、まず、第1吸着ノズル401が角型電子部品PFの吸着処理を行う。次に、第2吸着ノズル402、第3吸着ノズル403、第4吸着ノズル404、第5吸着ノズル405、および第6吸着ノズル406が、順番に角型電子部品PFの吸着処理を行う。そして、7番目に、第7吸着ノズル407が異形部品PVの吸着処理を行い。8番目に、第8吸着ノズル408が異形部品PVの吸着処理を行う。八つのノズル弁59は、第1の側から第8の側へと順番に開かれてゆき、吸着処理が終了してから装着処理が開始されるまでの間は開状態が維持される。なお、関連する調整実績データは無いものとする。
【0090】
この事例において、事前取得部63は、まず、負圧エアのリークが発生する組み合わせとして、異形部品PVと第7吸着ノズル407の組み合わせ、および異形部品PVと第8吸着ノズル408の組み合わせを設定する。この設定によれば、角型電子部品PFは、算出対象部品から除外される。これにより、
図9の左欄に破線で示されるように、第1吸着ノズル401~第6吸着ノズル406を対象とする開放時計測値PA1および吸着時計測値PB1は取得されず、基準値SV1は算出されない。仮に、第1吸着ノズル401~第6吸着ノズル406を対象として開放時計測値PA1および吸着時計測値PB1が取得された場合、それらの負圧値は、
図3に示される負圧エアのリークが無い場合の負圧値に近似する。判定部62は、第1吸着ノズル401~第6吸着ノズル406の吸着処理時に、あらかじめ定められた判定値J1を用いる。
【0091】
事前取得部63は、次に、第7吸着ノズル407を基準にして、他の吸着ノズル4の状態を固定した条件とする。具体的には、処理順序が早い第1吸着ノズル401~第6吸着ノズル406は、共通エア流路58に連通された連通状態とされ、かつ角型電子部品PFを吸着している状態(吸着処理の終了状態)に固定される。一方、処理順序が遅い第8吸着ノズル408は、ノズル弁59が閉じられた遮断状態に固定される。事前取得部63は、その次に、第7吸着ノズル407が共通エア流路58に連通され、かつ異形部品PVを吸着していないときの開放時計測値PA1を取得する。事前取得部63は、さらに、第7吸着ノズル407が共通エア流路58に連通され、かつ異形部品PVを吸着しているときの吸着時計測値PB3を取得する。
【0092】
これにより、
図9の中央欄に示される開放時計測値PA1および吸着時計測値PB3が取得される。開放時計測値PA1は、一つの開口部44で負圧エアのリークが発生するという点で左欄と同じ状態であるので、左欄の開放時計測値PA1に概ね等しくなる。一方、吸着時計測値PB3は、異形部品PVと第7吸着ノズル407との隙間に生じる負圧エアのリークに起因して、左欄の吸着時計測値PB1(リーク無し)よりも大気圧値P1側に変化する。
【0093】
基準値算出部64は、開放時計測値PA1および吸着時計測値PB3に(式1)を適用して、基準値SV3を算出する。判定値変更部65は、第7吸着ノズル407を対象として、基準値SV3に判定値を変更する。変更後の判定値に相当する基準値SV3は、左欄の判定値J1よりも大気圧値P1側にある。判定部62は、第7吸着ノズル407の吸着処理時に、基準値SV3を判定値として用いる。
【0094】
事前取得部63は、次に、第8吸着ノズル408を基準にして、他の吸着ノズル4の状態を固定した条件とする。具体的には、第1吸着ノズル401~第6吸着ノズル406は、角型電子部品PFの吸着処理の終了状態に固定され、第7吸着ノズル407は、異形部品PVの吸着処理の終了状態に固定される。事前取得部63は、その次に、第8吸着ノズル408が共通エア流路58に連通され、かつ異形部品PVを吸着していないときの開放時計測値PA4を取得する。事前取得部63は、さらに、第8吸着ノズル408が共通エア流路58に連通され、かつ異形部品PVを吸着しているときの吸着時計測値PB4を取得する。
【0095】
これにより、
図9の右欄に示される開放時計測値PA4および吸着時計測値PB4が取得される。開放時計測値PA4は、異形部品PVと第7吸着ノズル407の隙間に生じる負圧エアのリークに起因して、左欄および中央欄の開放時計測値PA1よりも大気圧値P1側に変化する。一方、吸着時計測値PB4は、異形部品PVと第7吸着ノズル407との隙間、および異形部品PVと第8吸着ノズル408との隙間、つまり二箇所の負圧エアのリークに起因して、左欄の吸着時計測値PB3(一箇所のリーク)よりも大気圧値P1側に変化する。
【0096】
基準値算出部64は、開放時計測値PA4および吸着時計測値PB4に(式1)を適用して、基準値SV4を算出する。判定値変更部65は、第8吸着ノズル408を対象として、基準値SV4に判定値を変更する。変更後の判定値に相当する基準値SV4は、中央欄の判定値に相当する基準値SV3よりも大気圧値P1側にある。判定部62は、第8吸着ノズル408の吸着処理時に、基準値SV4を判定値として用いる。
【0097】
第2実施形態の部品装着機1Aにおいて、判定値変更部65は、一つの吸着装着サイクルのなかで、部品と吸着ノズル4の組み合わせに適する複数の判定値(判定値J1、基準値SV3、基準値SV4)を設定することができる。したがって、判定部62は、複数の判定値(判定値J1、基準値SV3、基準値SV4)を用いることにより、吸着ノズル4が部品を吸着しているか否かの判定精度を高めることができる。
【0098】
加えて、事前取得部63は、負圧エアのリークが発生する異形部品PVと第7吸着ノズル407の組み合わせ、および異形部品PVと第8吸着ノズル408組み合わせを設定し、開放時計測値および吸着時計測値を取得する。したがって、負圧エアのリークが発生する組み合わせでは、実稼働時の動作状況を模擬した実測結果に基づいて高い精度で判定値を変更することができる。かつ、負圧エアのリークが発生しない第1吸着ノズル401から第6吸着ノズル406では実測が省略されるので、実測に要する手間および時間が軽減される。
【0099】
次に、吸着部品変更部67および上限変更部68の機能について、別の事例を用いて説明する。別の事例では、第1吸着ノズル401~第5吸着ノズル405が順番に角型電子部品PFの吸着処理を行い、続いて第6吸着ノズル406~第8吸着ノズル408が順番に異形部品PVの吸着処理を行う。なお、関連する調整実績データは無いものとする。
【0100】
別の事例において、
図10の左端の欄に示されるように、第1吸着ノズル401~第5吸着ノズル405では、開放時計測値PA1および吸着時計測値PB1は取得されず、判定部62は、所定の判定値J1を用いる。また、左から二番目の欄に示されるように、第6吸着ノズル406では、開放時計測値PA1および吸着時計測値PB3が取得され、基準値SV3が算出される。判定部62は、第6吸着ノズル406の吸着処理時に、基準値SV3を判定値として用いる。さらに、左から三番目の欄に示されるように、第7吸着ノズル407では、開放時計測値PA4および吸着時計測値PB4が取得され、基準値SV4が算出される。判定部62は、第7吸着ノズル407の吸着処理時に、基準値SV4を判定値として用いる。
【0101】
次に、事前取得部63は、第8吸着ノズル408を基準にして、他の吸着ノズル4の状態を固定した条件とする。具体的には、第1吸着ノズル401~第5吸着ノズル405は、角型電子部品PFの吸着処理の終了状態に固定され、第6吸着ノズル406および第7吸着ノズル407は、異形部品PVの吸着処理の終了状態に固定される。事前取得部63は、その次に、第8吸着ノズル408が共通エア流路58に連通され、かつ異形部品PVを吸着していないときの開放時計測値PA5を取得する。事前取得部63は、さらに、第8吸着ノズル408が共通エア流路58に連通され、かつ異形部品PVを吸着しているときの吸着時計測値PB5を取得する。
【0102】
図10の右端の欄に示されるように、開放時計測値PA5は、上限基準値Smaxを越えて大気圧値P1側に外れている。したがって、第8吸着ノズル408が実際に吸着処理を行ったときの負圧値は、上限基準値Smaxを越える可能性が有る。つまり、第8吸着ノズル408のノズル弁59が開かれたときに、第8吸着ノズル408の開口部44で負圧エアのリークが顕著に発生し、さらに、異形部品PVと第6吸着ノズル406との隙間、および異形部品PVと第7吸着ノズル407との隙間でも、負圧エアのリークが発生する。三箇所のリーク量の総和により、共通エア流路58内の負圧の低下が顕著となり、吸着処理が終了している角型電子部品PFおよび異形部品PVの落下や横滑りのおそれが生じる。
【0103】
このとき、吸着部品変更部67は、第8吸着ノズル408の吸着処理時の負圧値が上限基準値Smaxを越えて外れる可能性が有ると判定して、是正処置を行う。具体的には、吸着部品変更部67は、第8吸着ノズル408を休止として、当該のノズル弁59を開かない是正処置とする。または、吸着部品変更部67は、第8吸着ノズル408が角型電子部品PFの吸着処理を行う是正処置とする。このとき、吸着部品変更部67は、使用する吸着ノズル4と部品の組み合わせを変更し、さらに部品の装着順序を変更してもよい。つまり、第1吸着ノズル401~第6吸着ノズル406が角型電子部品PFの吸着処理を行い、第7吸着ノズル407および第8吸着ノズル408が異形部品PVの吸着処理を行うようにしてもよい。
【0104】
吸着部品変更部67は、第8吸着ノズル408が吸着処理を行う予定だった異形部品PVを、別の吸着装着サイクルまたは新規に設けた吸着装着サイクルに組み入れる是正処置を決定する。吸着部品変更部67は、上記した是正処置をジョブデータ94に反映する。または、吸着部品変更部67は、入力表示部204やその他の手段を用いて、是正処置をオペレータに要請する。
【0105】
また、吸着部品変更部67に代わり上限変更部68が動作して、
図11に示される是正処置を行ってもよい。
図11において、開放時計測値PA5は、上限基準値Smaxを越えている。上限変更部68は、第8吸着ノズル408が吸着処理を行うときの負圧値が上限基準値Smaxを越えて外れる可能性が有ると判定して、是正処置を行う。上限変更部68は、ジョブデータ94に基づき許容される範囲内で、上限基準値Smaxを開放時計測値PA5よりも高い新たな上限基準値Smax2に変更することができるか否か検討する。
【0106】
できる場合、上限変更部68は、破線の矢印に示されるように、上限基準値Smaxを新たな上限基準値Smax2に変更する是正処置を実行する。基準値算出部64は、開放時計測値PA5および吸着時計測値PB5に(式1)を適用して、基準値SV5を算出する。判定値変更部65は、第8吸着ノズル408を対象として、基準値SV5に判定値を変更する。
【0107】
一方、異形部品PVが前記した最大質量に相当する等の理由で上限基準値Smaxを変更できない場合、上限変更部68は、第8吸着ノズル408を休止として、当該のノズル弁59を開かない是正処置とする。加えて、上限変更部68は、第8吸着ノズル408が吸着処理を行う予定だった異形部品PVを、別の吸着装着サイクルまたは新規に設けた吸着装着サイクルに組み入れる是正処置を決定する。上限変更部68は、上記した是正処置をジョブデータ94に反映する。または、上限変更部68は、入力表示部204やその他の手段を用いて、是正処置をオペレータに要請する。
【0108】
吸着部品変更部67および上限変更部68の一方の動作により、吸着処理時の負圧値が上限基準値Smaxを越えて外れる可能性が有る場合に、是正処置を行うことができる。これによれば、負圧異常の発生が抑制される。加えて、ジョブデータ94が自動で修正され、または修正の示唆が得られるとともに、修正内容が小規模で済む。仮に、オペレータが修正の示唆を受けずにジョブデータ94の修正を行うと、相当量の手間および時間が掛かる。
【0109】
9.実施形態の応用および変形
なお、第1実施形態において、吸着ノズル4の種類に応じてあらかじめ定められる判定値J1を相違する負圧値とすることができる。つまり、負圧源51の性能を一定としたときに、開口部44の開口面積が大きいほど負圧エアのリーク量が多くなって開放時計測値PA1が大気圧値P1に近付くので、判定値J1を大気圧値P1に近付けて定めることができる。これによれば、判定部62は、開口部44の開口面積が大きい吸着ノズル4ほど、大気圧値P1に近い判定値J1を用いることになる。また、判定値変更部65が調整実績データを蓄積し、次基板種に対応して照合を行う機能は、省略されてもよい。
【0110】
さらに、第2実施形態において、吸着部品変更部67および上限変更部68は、選択的に動作するが、上限変更部68が優先的に動作し、上限変更部68が上限基準値Smaxを変更できない場合に、吸着部品変更部67が動作する構成であってもよい。また、エア供給系統(5、5A)の構成および動作は、様々な変更が可能である。第1および第2実施形態は、その他にも様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0111】
1、1A:部品装着機 26:装着ヘッド 34:制御部 4:吸着ノズル 401~408:第1~第8吸着ノズル 42:内部流路 43:先端 44:開口部 5、5A:エア供給系統 51:負圧源 52:負圧弁 55:エア流路 56:圧力センサ 57:流量センサ 58:共通エア流路 59:ノズル弁 61;吸着装着制御部 62:判定部 63:事前取得部 64:基準値算出部 65:判定値変更部 66:異常検知部 67:吸着部品変更部 68:上限変更部 7:ノズルツール 9:生産情報サーバ 92:部品データ 93:機器データ 94:ジョブデータ 95:動作履歴データ PF:角型電子部品 PV:異形部品 :PS:角型電子部品 J1:判定値 Smax、Smax2:上限基準値 Smin:下限基準値 PA1、PA4、PA5:開放時計測値 PB1、PB2、PB3、PB4、PB5:吸着時計測値 SV1、SV2、SV3、SV4、SV5:基準値