(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014470
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】燃料供給システム及び原因特定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240125BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117321
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 貴浩
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】端末制御装置と流量計とが通信不可となった原因を容易に把握し、作業員は当該原因に従って適切に対処する燃料供給システム並びに原因特定プログラムを提供する。
【解決手段】燃料供給システム100は、燃料タンク200に供給された燃料の供給量を測定する流量計12を備え、積み込まれた燃料を供給する給油車1と、流量計12と通信可能で、流量計12が測定した燃料の供給量を受信する端末制御装置2と、を備える。端末制御装置2は、流量計12の通信可能なエリアを記憶し、端末制御装置2の位置情報を取得し、流量計12と端末制御装置2との間が通信不可となった場合に、流量計12の通信可能なエリアと端末制御装置2の位置情報とに基づき通信不可の原因を特定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積み込まれた燃料を供給する燃料供給車であって燃料供給対象に供給された前記燃料の供給量を測定する流量計を備える燃料供給車と、
前記流量計と通信可能で、前記流量計が測定した前記燃料の供給量を受信する端末制御装置と、を備える燃料供給システムであって、
前記端末制御装置は、
前記流量計の通信可能なエリアを記憶する記憶手段と、
前記端末制御装置の位置情報を取得する取得手段と、
前記流量計と前記端末制御装置との間が通信不可となった場合に、前記記憶手段に記憶されたエリアと前記取得手段が取得した位置情報とに基づき前記通信不可の原因を特定する特定手段と、を有する
ことを特徴とする燃料供給システム。
【請求項2】
前記特定手段は、前記流量計と前記端末制御装置との間が通信不可となり且つ前記取得手段が取得した位置情報が示す位置が前記記憶手段に記憶されたエリア内にある場合に、前記通信不可の原因が前記流量計又は前記端末制御装置の通信機能に関する故障であると特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料供給システム。
【請求項3】
前記端末制御装置は、
前記端末制御装置の操作者から前記燃料の供給量が入力される入力手段をさらに有し、
前記流量計と前記端末制御装置との間が通信不可となり且つ前記取得手段が取得した位置情報が示す位置が前記記憶手段に記憶されたエリア内にある場合に、前記入力手段に入力された供給量に基づく燃料供給管理を有効とする
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料供給システム。
【請求項4】
積み込まれた燃料を供給する燃料供給車に搭載され、燃料供給対象に供給された前記燃料の供給量を測定する流量計と通信可能な端末制御装置のコンピュータを、
前記流量計の通信可能なエリアを記憶する記憶手段、
前記端末制御装置の位置情報を取得する取得手段、及び
前記流量計と前記端末制御装置との間が通信不可となった場合に、前記記憶手段に記憶されたエリアと前記取得手段が取得した位置情報とに基づき前記通信不可の原因を特定する特定手段、
として機能させるための原因特定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積み込まれた燃料を供給する燃料供給車及び燃料供給車と通信可能な端末制御装置を備える燃料供給システム、並びに原因特定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された油液が積み込まれたタンクから流量計、ノズルを介して各家庭へ油液を宅配する給油車において、供給された油液の給油量を印字した伝票を伝票出力器により出力する燃料供給システムが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
給油車における燃料供給装置(タンク、流量計、ノズル、伝票出力器を備えた装置)において、流量計と通信可能であり、流量計から送信された流量(給油量)を係員へ報知する端末制御装置を備えることにより、係員が当該燃料供給装置から離れた場合にでも、流量計から送信される流量(給油量)を確認することが考えられる。また、その場合、流量計と端末制御装置とが通信不可となった際に、端末制御装置に報知させることも考えられる。しかし、端末制御装置と流量計との間で通信不可となった原因が、流量計と端末制御装置との距離が通信可能な距離を超えたことによるものなのか、それとも異常が発生(流量計もしくは端末制御装置の通信機能が故障)したことによるものなのか、が分からない。そのため、例えば、流量計又は端末制御装置の通信機能が故障しているにも関わらず、通信不可となった場合に端末制御装置を流量計の近くまで移動させて通信接続を確認したり、逆に流量計と端末制御装置との距離が通信可能な距離を超えたことに起因して通信不可となっているにも関わらず、流量計又は端末制御装置の故障の復旧に係る作業を行ったり、と作業員の無駄な手間がかかってしまう。
【0005】
本発明は、端末制御装置と流量計とが通信不可となった原因を把握することが可能で、作業員がその原因に従って適切な対処をすることが可能な燃料供給システム及び原因特定プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の燃料供給システムは、積み込まれた燃料を供給する燃料供給車であって燃料供給対象に供給された燃料の供給量を測定する流量計を備える燃料供給車と、流量計と通信可能で、流量計が測定した燃料の供給量を受信する端末制御装置と、を備える燃料供給システムであって、端末制御装置は、流量計の通信可能なエリアを記憶する記憶手段と、端末制御装置の位置情報を取得する取得手段と、流量計と端末制御装置との間が通信不可となった場合に、記憶手段に記憶されたエリアと取得手段が取得した位置情報とに基づき通信不可の原因を特定する特定手段と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、端末制御装置と流量計とが通信不可となった原因を容易に把握することができるので、作業員は当該原因に従って適切に対処することができ、作業員の作業負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】燃料供給システムの全体構成を示した図である。
【
図2】端末制御装置の制御部のハードウェアブロック図である。
【
図3】端末制御装置の表示部に表示される給油画面及び給油量入力画面を示した図である。
【
図4】端末制御装置の表示部に表示される通信環境分布図を示した図である。
【
図5】端末制御装置による動作フローを示したフローチャートである。
【
図6】端末制御装置による動作フローを示したフローチャートである。
【
図7】端末制御装置による動作フローを示したフローチャートである。
【
図8】端末制御装置による動作フローを示したフローチャートである。
【
図9】端末制御装置の手動入力モードを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施の形態において、その構成要素は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0010】
(燃料供給システム100)
図1は、燃料供給システムの全体構成を示した図である。
図1に示すように、本実施形態の燃料供給システム100は、給油車1と、給油車1と無線通信可能に接続される端末制御装置2と、を備える。また、端末制御装置2には、給油量や料金等が印字された伝票4を印刷するモバイルプリンタ3が無線通信可能に接続される。給油車1及び端末制御装置2の各々は、衛星250又は基地局からGPS信号を受信し、給油車1の位置及び端末制御装置2の位置を算出する。
【0011】
(給油車1)
給油車(燃料供給車)1は、積み込まれた灯油などの燃料を各家庭などに配送する給油車であって、燃料タンク200やポリタンク等の燃料供給対象に燃料を供給する。給油車1が供給する燃料は、灯油に限らず、液化天然ガス(LPG)、圧縮天然ガス(CNG)、圧縮水素ガスなどであってもよい。給油車1は、タンク10と、ポンプ11と、流量計12と、ホースリール13と、給油ホース14と、給油ノズル15と、給油制御装置16と、無線通信機17と、を備える。
【0012】
タンク10は、灯油などの燃料が積み込まれた容器である。ポンプ11は、例えば、給油車1の給油制御装置16に設けられたポンプ駆動開始ボタン及び停止ボタン(図示せず)が操作されることにより、駆動及び停止される。また、ポンプ11は、タンク10に積み込まれた燃料を汲み上げ、ホースリール13、及び給油ホース14に供給する。給油ノズル15は、給油ホース14の先端に接続され、給油ホース14を介して燃料を吐出する。流量計12は、ポンプ11によって汲み上げられた燃料の流量を測定する。具体的には、流量計12は、燃料タンク200等の燃料供給対象に供給された燃料の流量(給油量)を測定する。流量計12は、端末制御装置2から完了信号を受信するまでは流量(給油量)を、無線通信機17を介して端末制御装置2へ逐次送信する。流量計12が測定した流量(給油量)は、流量計12から給油制御装置16を介して無線通信機17に送信される。無線通信機17は、流量計12が測定した流量(給油量)を、無線通信で端末制御装置2に送信する。給油作業時は、給油ノズル15を各家庭の燃料タンク200やポリタンクの給油口(図示せず)に挿入して、給油ノズル15のレバーを操作して燃料の流路の開弁操作を行う。また、給油停止時は、給油ノズル15のレバーを離して燃料の流路の閉弁操作を行う。これにより、ポンプ11により汲み上げられた燃料が、ホースリール13、及び給油ホース14を介して、燃料タンク200等の燃料供給対象に給油及び給油停止される。
【0013】
無線通信機17は、流量計12が測定した燃料の流量(給油量)及び油種などを無線通信で端末制御装置2に送信する。さらに、本実施形態の無線通信機17は、衛星250又は基地局からGPS信号を受信する。給油制御装置16は、無線通信機17が受信したGPS信号を用いて給油車1(又は流量計12、又は無線通信機17)の位置を算出する。
【0014】
(端末制御装置2)
端末制御装置2は、無線通信機17と無線通信可能に接続され、且つモバイルプリンタ3と無線通信可能に接続される。端末制御装置2は、無線通信機17から流量計12が測定した流量(給油量)や油種を取得する。そして、端末制御装置2は、燃料タンク200等の燃料供給対象への給油量、給油した燃料の種類(油種)、油種の単価などを含む伝票情報をモバイルプリンタ3に出力する。モバイルプリンタ3は、端末制御装置2から伝票情報を受信すると、伝票情報に基づいて給油量、油種及び料金を印刷した伝票4を印刷する。端末制御装置2は、タブレットコンピュータ、ノートパソコン、スマートフォン、専用端末、スマートウォッチ等などである。
【0015】
(モバイルプリンタ3)
モバイルプリンタ3は、伝票4を印刷する伝票印刷装置であって、端末制御装置2と通信可能に接続され、端末制御装置2から受信した伝票に係る伝票情報に基づいて伝票4を印刷する。モバイルプリンタ3と端末制御装置2との間の通信は、Bluetooth(登録商標)を用いて行っているが、これに限るものではなく、例えば、SS-LAN、Ethernet(登録商標)、Wi-Fi、Wi-SUN(登録商標)、LTE(登録商標)、LPWA、ZigBee(登録商標)、WirelessHART(登録商標)、EnOcean(登録商標)等の他の方式で通信を行ってもよい。また、以降の説明においても、Bluetooth(登録商標)を用いて通信を行う事として説明しているが、上述と同様に他の方式で通信を行ってもよい。
【0016】
(端末制御装置2の制御部30)
図2は、端末制御装置2の制御部30のハードウェアブロック図である。端末制御装置2は、制御部30を有する。制御部30は、コンピュータであって、プロセッサ31と、主記憶部32と、補助記憶部33と、入出力I/F34と、通信I/F35と、バス36と、を有する。また、端末制御装置2は、各種情報を表示する表示部37と、表示部37の表面に設けられるタッチセンサなどの入力部38と、を有する。表示部37及び入力部38は、入出力I/F34に接続される。
【0017】
プロセッサ31は、端末制御装置2の各部の動作の制御を行う中央処理演算装置である。プロセッサ31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。プロセッサ31は、補助記憶部33に記憶されたプログラム(例えば、後述する原因特定プログラム39)を主記憶部32の作業領域に実行可能に展開する。主記憶部32は、プロセッサ31が実行するプログラム、当該プロセッサが処理するデータ等を記憶する。主記憶部32は、RAM(Random Access Memory)等である。補助記憶部33は、各種のプログラムおよび各種のデータを記憶する。補助記憶部33は、例えば、OS(Operating System)、各種プログラム、各種テーブル等を記憶する。補助記憶部33は、例えば、ソリッドステートドライブ(SSD)装置、ハードディスクドライブ(HDD)装置等である。本実施形態の補助記憶部33は、流量計12の通信可能なエリアを記憶する。補助記憶部33は、本発明の記憶手段の一例である。流量計12の通信可能なエリアとは、例えば、流量計12の位置(緯度、経度、高度)を中心とする半径200mの範囲などである。流量計12の位置は、無線通信機17が受信したGPS信号を用いて算出される。
【0018】
通信I/F35は、無線通信機17と無線通信可能であって、無線通信機17から流量計12が測定した流量(給油量)等を受信する。無線通信機17と通信I/F35との間の通信方式は、有線であっても無線であってもよい。また、無線通信機17と通信I/F35との通信方式は、例えばBluetooth(登録商標)であるが、Bluetooth(登録商標)以外の通信方式であってもよい。また、通信I/F35は、モバイルプリンタ3に伝票情報を送信する。モバイルプリンタ3と通信I/F35との間の通信方式は、有線であっても無線であってもよい。また、無線通信機17と通信I/F35との通信方式は、例えばBluetooth(登録商標)であるが、Bluetooth(登録商標)以外の通信方式であってもよい。さらに、本実施形態の通信I/F35は、衛星250(又は基地局)からGPS信号を受信する。通信I/F35は、本発明の取得手段の一例である。プロセッサ31は、通信I/F35が受信したGPS信号を用いて端末制御装置2の位置を算出する。
【0019】
プロセッサ31は、流量計12と端末制御装置2との間が通信不可となった場合に、補助記憶部33に記憶されたエリアと通信I/F35が受信したGPS信号(又は端末制御装置2の位置)とに基づき通信不可の原因を特定する。プロセッサ31は、本発明の特定手段の一例である。具体的には、プロセッサ31は、流量計12と端末制御装置2との間が通信不可となり且つ算出された端末制御装置2の位置が補助記憶部33に記憶されたエリア内にある場合に、通信不可の原因が流量計12又は端末制御装置2の通信機能に関する故障であると特定する。プロセッサ31は、流量計12と端末制御装置2との間が通信不可となり且つ算出された端末制御装置2の位置が補助記憶部33に記憶されたエリア外にある場合に、通信不可の原因が通信可能エリア外によるエラーであると特定する。
【0020】
また、制御部30は、無線通信機17と通信I/F35との間で通信不可となった場合に、通信I/F35がモバイルプリンタ3に伝票情報を出力するのを禁止する。また、無線通信機17と通信I/F35との間で通信可能となった場合に、通信I/F35がモバイルプリンタ3に伝票情報を出力するのを許可する。給油車1と端末制御装置2との間が通信可能か通信不可かの判断は、給油車1と端末制御装置2との間の通信のタイムアウトによって判断してもよいし、端末制御装置2が給油車1から受信する電波の電波強度によって判断してもよい。
【0021】
(原因特定プログラム39)
補助記憶部33は、制御部30であるコンピュータを、
流量計12の通信可能なエリアを記憶する記憶手段、
端末制御装置2の位置情報(GPS信号)を取得する取得手段、及び
流量計12と端末制御装置2との間が通信不可となった場合に、流量計12の通信可能なエリアと取得された位置情報(GPS信号)とに基づき通信不可の原因を特定する特定手段、
として機能させるための原因特定プログラム39を記憶する。
【0022】
(端末制御装置2の表示部37に表示される画面)
図3は、端末制御装置2の表示部37に表示される画面を示した図である。
図3(a)に示した給油画面300は、流量計12が測定した燃料(
図3(a)では、灯油)の流量(給油量)(
図3(a)では、220.1L)を示す情報301、供給した燃料の単価(
図3(a)では、100円)を示す情報302、及び、給油金額(
図3(a)では、22010円)を示す情報303を含む。また、給油画面300は、伝票を発行する伝票発行ボタン304を含む。タッチセンサなどの入力部38によって伝票発行ボタン304へのタッチ操作が検知されると、端末制御装置2は、給油量、油種、油種の単価などを含む伝票情報をモバイルプリンタ3に送信する。なお、伝票発行ボタン304がタッチ操作されることにより、顧客に対し伝票情報(請求情報、精算情報)をE-mail、クラウド等によって伝達してもよい。
【0023】
伝票発行ボタン304は、流量計12と端末制御装置2との間の通信状況に基づいて、有効または無効になる。端末制御装置2と無線通信機17との間が通信可能であれば、伝票発行ボタン304の操作による伝票の発行が許可され、端末制御装置2と無線通信機17との間が通信不可であれば、伝票発行ボタン304の操作による伝票の発行が禁止される。
【0024】
流量計12と端末制御装置2との間が通信不可となった場合には、流量計12から燃料の流量(給油量)が送られてこない。この場合には、端末制御装置2の操作者は、手動で燃料の流量を入力することができる。
図3(b)に示した給油量入力画面310は、
図3(a)の情報301へのタッチ操作によって表示される。給油量入力画面310は、上記した情報302及び303に加えて、燃料の給油量を手動で入力するための入力欄311、及び、入力欄311に給油量を入力するためのテンキー312を含む。入力欄311への給油量の入力及び確定(例えば、テンキー312のエンターキー)によって、情報301が示す給油量及び情報303が示す給油金額が変更される。入力欄311は、本発明の入力手段の一例である。端末制御装置2の操作者は、給油車1の流量計12の表示器(図示せず)に表示される燃料の流量(給油量)を参考にして、入力欄311に給油量を入力する。
【0025】
(通信環境分布
図400)
端末制御装置2の表示部37には、流量計12の通信可能なエリアARをマップ上に示した通信環境分布
図400が表示される。通信環境分布
図400は、マップ上に配置された給油車1を示す給油車アイコン401及び端末制御装置2を示す端末アイコン402を含む。給油車アイコン401及び端末アイコン402の各々は、無線通信機17が受信したGPS信号を用いて算出されたマップ上の位置及び通信I/F35が受信したGPS信号を用いて算出されたマップ上の位置に配置される。端末制御装置2は、給油車1の補助記憶部33から受信した流量計12の通信可能なエリアに基づいて、エリアARをマップ上に表示する。
【0026】
(端末制御装置2の動作フロー)
図5~
図8は、端末制御装置2の動作フローを示したフローチャートである。
図5~
図8を参照して、端末制御装置2の動作フローを説明する。
図5~
図8のフローチャートの各ステップは、例えば、上記した原因特定プログラム39を実行した端末制御装置2の制御部30によって実行される。
【0027】
制御部30は、表示部37に図示しない開始釦を表示する。この開始釦へのタッチ操作が検知されると(ステップS500)、制御部30は、表示部37に
図3(a)に示した給油画面300を表示する(ステップS501)。そして、制御部30は、GPS信号を受信し(ステップS502)、端末制御装置2の位置を算出する。なお、給油車1も、GPS信号を受信して、給油車1の位置を算出する。
【0028】
次に、制御部30は、給油車1の流量計12から燃料の流量(給油量)を取得するために無線通信機17と接続する(ステップS503)。また、制御部30は、給油車1の位置情報を取得する(ステップS504)。そして、制御部30は、
図4に示した通信環境分布
図400を表示部37に表示する(ステップS505)。
【0029】
制御部30は、定期的に給油車1の無線通信機17と通信可能に接続されているか否かを確認する(ステップS506、S510、S511)。制御部30と無線通信機17とが通信不可の場合(ステップS506、S511:No)、制御部30は、GPS信号から算出した端末制御装置2の位置が流量計12の通信可能なエリア内か否かを判定する(ステップS507、S512)。そして、制御部30は、端末制御装置2の位置が流量計12の通信可能なエリア内であると判定すると(ステップS507、S512:Yes)、端末制御装置2又は流量計12の故障を示すエラーを報知する(ステップS508、S513)。エラーの報知方法は、音声であってもよいし、表示部37への表示であってもよい。そして、制御部30は、端末制御装置2を手動入力モードに移行する(ステップS509、S514)。手動入力モードについての詳細は、後述する。
【0030】
制御部30と無線通信機17とが通信可能に接続されている場合(ステップS511:Yes)、制御部30は、給油車1及び端末制御装置2のGPS機能により取得した位置情報(緯度、経度、高度)、現在時刻、高度、及び通信接続情報を、通信OK情報として、給油車1の記憶部又は端末制御装置2の記憶部に記録する(ステップS515)。制御部30は、記憶部に記憶されたこれらの情報を抽出して、通信環境分布
図400に通信し難いエリアや通信し易いエリアを表示することができる。これにより、作業員は給油を実施した場所の通信環境を把握することが可能となる。給油を行う顧客の場所は、複数箇所に存在するため、通信環境分布
図400に通信し難いエリアや通信し易いエリアの統計をまとめることができる。
【0031】
制御部30は、流量計12から無線通信機17を介して流量(給油量)や油種の単価を取得して、表示部37に表示される流量(給油量)を示す情報301、供給した燃料の単価を示す情報302、及び給油金額を示す情報303を更新する(ステップS516)。そして、制御部30は、作業員によって伝票発行操作(表示部37に表示される伝票発行ボタン304の操作)がなされたか否かを判定する(ステップS517)。伝票発行操作がなされず(ステップS517:No)、給油開始から所定時間が経過すると(ステップS518:Yes)、制御部30は、給油に要している時間が異常に長いと判断し、タイムアウトエラーなどの異常を報知する(ステップS519)。異常の報知方法は、音声であってもよいし、表示部37への表示であってもよい。所定時間が経過するまでは(ステップS518:No)、制御部30は、ステップS511~S517の処理を繰り返す。なお、タイムアウトエラーなどの異常に関する情報を端末のメモリ、クラウド等に時間データと共に記録し、記録した情報を統計データとして、異常状態の解析に利用してもよい。
【0032】
制御部30は、給油画面300の伝票発行ボタン304へのタッチ操作を検知すると(ステップS517:Yes)、
図6に示すように、無線通信機17との通信が確立しているか否かを判定する(ステップS600)。そして、制御部30は、通信が確立していると判定した場合に(ステップS600:Yes)、最終的な流量(給油量)などを取得し、取得した流量(給油量)に基づいて、表示部37に情報301~303を表示するとともに、燃料の給油量の表示及び給油金額の演算をする(ステップS601)。そして、制御部30は、給油制御装置16へ完了信号を送信する(ステップS602)。これにより、完了信号を受信した給油制御装置16は、流量計12が測定した給油量の端末制御装置2への送信を停止する。そのため、S601で更新された給油量が最終の給油量となる。そして、制御部30は、供給した燃料の給油量、給油金額、及び燃料の単価などを記載した伝票に係る伝票情報を生成し、モバイルプリンタ3に送信する(ステップS603)。モバイルプリンタ3は、受信した伝票情報に基づいて、伝票4を印刷する。
【0033】
図5のステップS507及びS512に戻り、制御部30は、端末制御装置2の位置が流量計12の通信可能なエリア外であると判定すると(ステップS507、S512:No)、
図7に示すように、表示または音声などの報知手段により報知を行う(ステップS700)。例えば、制御部30は、表示部37に「通信可能エリア内に戻って下さい」などのメッセージを表示する。そして、制御部30は、伝票発行ボタン304をグレーアウトする等して、伝票の発行を禁止する(ステップS701)。そして、制御部30は、nに0を設定し(ステップS702)、無線通信機17との通信が確立しているか否かを判定する(ステップS703)。制御部30は、無線通信機17との通信が回復した(通信が確立した)と判定した場合(ステップS703:Yes)、伝票発行ボタン304のグレーアウトを解除する等して、伝票の発行を許可する(ステップS704)。そして、制御部30は、処理をステップS510に戻す。
【0034】
一方、制御部30が無線通信機17との通信が確立していないと判定した場合(ステップS703:No)、制御部30は、GPS信号から算出した端末制御装置2の位置が流量計12の通信可能なエリア内か否かを判定する(ステップS705)。そして、制御部30は、端末制御装置2の位置が流量計12の通信可能なエリア内であると判定すると(ステップS705:Yes)、端末制御装置2又は流量計12の故障を示すエラーを報知する(ステップS706)。そして、制御部30は、端末制御装置2を手動入力モードに移行する(ステップS707)。手動入力モードについての詳細は、後述する。
【0035】
一方、制御部30は、端末制御装置2の位置が流量計12の通信可能なエリア外であると判定すると(ステップS705:No)、nが所定回数(例えば3回)より大きいか否かを判定する(ステップS708)。nが所定回数以下の場合(ステップS708:No)、制御部30は、ステップS700での報知と同様に、表示または音声などの報知手段により報知を行う(ステップS709)。そして、nにn+1を設定する(ステップS702)。一方で、nが所定回数より大きい場合(ステップS708:Yes)、制御部30は、給油車1及び端末制御装置2のGPS機能により取得した位置情報(緯度、経度、高度)、現在時刻、及び通信接続情報を、エラー情報として、給油車1の記憶部又は端末制御装置2の記憶部に記録する(ステップS710)。そして、制御部30は、表示部37に通信エラーを表示する(ステップS711)。
【0036】
ステップS600において、無線通信機17との通信が確立していない場合(ステップS600:No)、制御部30は、
図8に示すように、所定時間の計時を開始し(ステップS800)、再度、無線通信機17との通信が確立しているか否かを判定する(ステップS801)。所定時間が経過するまでに無線通信機17との通信が確立しなければ(ステップS802:Yes)、制御部30は、表示部37に通信エラーを表示する(ステップS803)。一方、無線通信機17との通信が確立すれば(ステップS801:Yes)、流量計12から流量(給油量)を取得し、この取得した給油量を最終給油量とし、この最終給油量から燃料の給油量の表示及び給油金額の演算をする(S601)。その後、制御部30は、上記したステップS602及びS603を実行する。
【0037】
(手動入力モード)
図9は、手動入力モードを示したフローチャートである。
図9を参照して、
図5のステップS509、ステップS514、
図7のステップS707の手動入力モードを説明する。
図9のフローチャートの各ステップは、端末制御装置2の制御部30によって実行される。
【0038】
端末制御装置2が手動入力モードになると、制御部30は、表示部37に
図3(a)に示した給油画面300を再表示する(ステップS900)。手動入力モードにおいて、端末制御装置2の操作者は、手動で給油量を入力することができる。制御部30は、給油画面300の燃料の流量(給油量)を示す情報301へのタッチ操作を検知すると(ステップS901:Yes)、給油量入力画面310を表示する(ステップS902)。この給油量入力画面310の入力欄311には、デフォルト値として、燃料の流量(給油量)が予め入力されていてもよい。また、給油量入力画面310の表示方法は、上記した情報301へのタッチ操作に限定されない。
【0039】
制御部30は、入力欄311に数値(給油量)が入力されたか否かを判定し(ステップS903)、数値が入力されたと判定すると(ステップS903:Yes)、入力欄311に入力された数値を給油量として更新する(ステップS904)。そして、制御部30は、確定釦(例えば、テンキー312のエンターキー)へのタッチ操作を検知すると(ステップS905)、入力欄311に入力された給油量を最終給油量とし、この最終給油量を今回の給油量とし、この給油量から燃料の給油量の表示及び給油金額の演算をする(ステップ906)。
【0040】
その後、制御部30は、作業員によって伝票発行操作(表示部37に表示される伝票発行ボタン304の操作)がなされたか否かを判定する(ステップS907)。伝票発行操作がなければ(ステップS907:No)、給油画面300を再表示し(ステップS900)、伝票発行操作があれば(ステップS907:Yes)、入力欄311に入力された燃料の給油量、給油金額、及び燃料の単価などを記載した伝票に係る伝票情報を生成し、モバイルプリンタ3に送信する(ステップS908)。モバイルプリンタ3は、受信した伝票情報に基づいて、伝票4を印刷する。
【0041】
(本実施形態の効果)
流量計12と端末制御装置2との間が通信不可となった場合に、制御部30は、流量計12の通信可能なエリアとGPS信号により算出された端末制御装置2の位置とに基づき通信不可の原因を特定することができる。これにより、作業員は、端末制御装置2と流量計12とが通信不可となった原因を容易に把握することができるので、当該原因に従って適切に対処することができ、作業員の作業負担を軽減することが可能となる。
【0042】
制御部30は、流量計12と端末制御装置2との間が通信不可となり且つ端末制御装置2の位置が流量計12の通信可能エリア内にある場合に、通信不可の原因が流量計12又は端末制御装置2の通信機能に関する故障であると特定する。これにより、作業員は通信機能を復旧させる対処をすることができる。また、通信機能に関する故障ではない場合には、作業員は通信可能なエリアに戻ることにより、流量(給油量)を端末制御装置2で確認することができる。
【0043】
流量計12と端末制御装置2との間が通信不可となり且つGPS信号による端末制御装置2の位置が通信可能エリア内にある場合に、端末制御装置2を手動入力モードにすることによって、入力欄311に入力された供給量に基づく燃料供給管理を有効とすることができる。これにより、給油をやり直すことなく、燃料供給を管理(終了)させることができ、作業員の給油に関する手間を低減させることができる。
【0044】
以上、本発明を実施形態と共に説明したが、上記実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0045】
1:給油車、 2:端末制御装置、 3:モバイルプリンタ、 10:タンク、 11:ポンプ、 12:流量計、 13:ホースリール、 14:給油ホース、 15:給油ノズル、 16:給油制御装置、 17:無線通信機、 30:制御部、 31:プロセッサ、 32:主記憶部、 33:補助記憶部、 34:入出力I/F、 35:通信I/F、 36:バス、 37:表示部、 38:入力部、 39:原因特定プログラム、 100:燃料供給システム、 200:燃料タンク、 250:衛星、 300:給油画面、 301:流量(給油量)を示す情報、 302:燃料の単価を示す情報、 303:給油金額を示す情報、 304:伝票発行ボタン、 310:給油量入力画面、 311:入力欄、 312:テンキー、 400:通信環境分布図、 401:給油車アイコン、 402:端末アイコン、 AR:流量計の通信可能なエリア