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特開2024-144707情報処理方法、プログラム及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144707
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】情報処理方法、プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20241003BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20241003BHJP
   H04N 23/695 20230101ALI20241003BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20241003BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20241003BHJP
【FI】
H04N23/60
H04N5/222 500
H04N23/695
H04N23/60 500
H04N7/18 U
G03B17/18
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024128730
(22)【出願日】2024-08-05
(62)【分割の表示】P 2021545173の分割
【原出願日】2020-08-11
(31)【優先権主張番号】P 2019166160
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】青柳 亨
(72)【発明者】
【氏名】辻 泰成
(72)【発明者】
【氏名】今西 佳子
(57)【要約】
【課題】所望の状態で撮像された身分証明書の画像が提供される蓋然性を高くする。
【解決手段】情報処理装置は、第1の角度の身分証明書の画像を取得したことに応じて、前記第1の角度よりも大きい第2の角度の前記身分証明書の画像を取得するまでの間に、前記第1の角度よりも大きくかつ前記第2の角度よりも小さい第3の角度の前記身分証明書の画像を取得する検出部と、取得された前記画像のうちの少なくとも一つを含む出力情報を出力する画像出力部とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のコンピュータが、
第1の角度の身分証明書の画像を取得したことに応じて、前記第1の角度よりも大きい第2の角度の前記身分証明書の画像を取得するまでの間に、前記第1の角度よりも大きくかつ前記第2の角度よりも小さい第3の角度の前記身分証明書の画像を取得し、
取得された前記画像のうちの少なくとも一つを含む出力情報を出力する
情報処理方法。
【請求項2】
さらに、前記第1の角度の前記身分証明書の画像を取得したことに応じて、前記第3の角度の情報をディスプレイ装置に表示させる
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
さらに、前記第1の角度の前記身分証明書の画像の背景と前記第3の角度の前記身分証明書の画像の背景とに基づいて、メッセージをディスプレイ装置に表示させる
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
さらに、前記第1の角度の前記身分証明書の画像を取得したことに応じて、前記第3の角度の前記身分証明書の画像を取得するためのガイドをディスプレイ装置に表示させる
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
1つ以上のコンピュータに、
第1の角度の身分証明書の画像を取得したことに応じて、前記第1の角度よりも大きい第2の角度の前記身分証明書の画像を取得するまでの間に、前記第1の角度よりも大きくかつ前記第2の角度よりも小さい第3の角度の前記身分証明書の画像を取得し、
取得された前記画像のうちの少なくとも一つを含む出力情報を出力することを実行させるためのプログラム。
【請求項6】
第1の角度の身分証明書の画像を取得したことに応じて、前記第1の角度よりも大きい第2の角度の前記身分証明書の画像を取得するまでの間に、前記第1の角度よりも大きくかつ前記第2の角度よりも小さい第3の角度の前記身分証明書の画像を取得する検出手段と、
取得された前記画像のうちの少なくとも一つを含む出力情報を出力する画像出力手段とを備える
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身分証明書の画像の解析に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行口座の開設やクレジットカードの作成などの際、身分証明書を利用した本人確認が行われる。そして、インターネットを介して口座開設等を行う場合などのように、身分証明書の原本ではなく、身分証明書をカメラで撮像して得た画像が本人確認に利用される場合がある。
【0003】
身分証明書の画像を利用して本人確認を行うケースでは、なりすましを防止する必要がある。特許文献1は、本人確認書類の顔写真の撮像データと、ユーザの撮像データとを比較することで、本人確認書類がユーザのものであることを確認するシステムを開示している。
【0004】
また、特許文献1のシステムでは、本人確認書類(身分証明書)の複数の面の画像を得るために、ユーザ端末において、「本人確認書類の表面を撮影してください」や「本人確認書類の裏面を撮影してください」という指示を出しながら、本人確認書類を撮像した動画が生成される。そして、その動画が認証サーバへ送信される。
【0005】
ここで、上述した指示のタイミングは、動画の撮影開始時からの相対的な時間で予め定められている。認証サーバは、受信した動画から、各指示のタイミングに対応する画像(すなわち、動画の撮影開始時点を起点とした所定のタイミングの画像)を、本人確認書類の表面や裏面の画像として利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6541140号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のシステムでは、ユーザ端末から認証サーバへ送信された動画の中に、所望の状態で撮影された本人確認書類の画像(例えば表面の画像や裏面の画像)が含まるかどうかが、認証サーバで判定される。そのため、認証サーバが受信した動画の中に、所望の状態で撮像された本人確認書類の画像が含まれないことがある。この場合、認証エラーがユーザ端末へ送信され、ユーザ端末で再度動画の撮影をやり直す必要がある。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、所望の状態で撮像された身分証明書の画像が提供される蓋然性を高くする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の情報処理方法は、
1つ以上のコンピュータが、
第1の角度の身分証明書の画像を取得したことに応じて、前記第1の角度よりも大きい第2の角度の前記身分証明書の画像を取得するまでの間に、前記第1の角度よりも大きくかつ前記第2の角度よりも小さい第3の角度の前記身分証明書の画像を取得し、
取得された前記画像のうちの少なくとも一つを含む出力情報を出力する。
【0010】
本発明のプログラムは、
1つ以上のコンピュータに、
第1の角度の身分証明書の画像を取得したことに応じて、前記第1の角度よりも大きい第2の角度の前記身分証明書の画像を取得するまでの間に、前記第1の角度よりも大きくかつ前記第2の角度よりも小さい第3の角度の前記身分証明書の画像を取得し、
取得された前記画像のうちの少なくとも一つを含む出力情報を出力することを実行させるためのプログラムである。
【0011】
本発明の情報処理装置は、
第1の角度の身分証明書の画像を取得したことに応じて、前記第1の角度よりも大きい第2の角度の前記身分証明書の画像を取得するまでの間に、前記第1の角度よりも大きくかつ前記第2の角度よりも小さい第3の角度の前記身分証明書の画像を取得する検出手段と、
取得された前記画像のうちの少なくとも一つを含む出力情報を出力する画像出力手段とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所望の状態で撮像された身分証明書の画像が提供される蓋然性を高くする技術を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の画像解析装置の概要を説明するための図である。
図2】カメラを用いて角度Xで身分証明書を撮像する様子を表す平面図である。
図3】実施形態1の画像解析装置の機能構成を例示する図である。
図4】画像解析装置を実現するための計算機を例示する図である。
図5】実施形態1の画像解析装置によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。
図6】画像解析装置の利用環境を例示する図である。
図7】実施形態2の画像解析装置の機能構成を例示するブロック図である。
図8】実施形態2の画像解析装置が実行する処理の流れを例示するフローチャートである。
図9】ガイド出力部によって出力されるガイドを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また各ブロック図において、特に説明がない限り、各ブロックは、ハードウエア単位の構成ではなく機能単位の構成を表している。
【0015】
[実施形態1]
<概要>
図1は、本実施形態の画像解析装置2000の概要を説明するための図である。なお、図1は、画像解析装置2000に対する理解を容易にするための例示であり、画像解析装置2000の機能は図1に表されているものに限定されない。
【0016】
画像解析装置2000は、ユーザ10の身分証明書20が含まれる複数の撮像画像30の解析を行う。カメラ40は、撮像画像30を生成するカメラである。カメラ40は、ユーザ10の身分証明書20を繰り返し撮像することで、時系列の撮像画像30を生成する。例えば、時系列の撮像画像30は、1つの動画を構成する。身分証明書20は、人の身分を証明するために利用できる任意の証明書である。例えば身分証明書20は、運転免許証その他の免許証、パスポート、各種の認定証、学生証、会社の身分証明書、又は保険証などである。
【0017】
撮像画像30は、ユーザ10の身分を証明するために利用される。例えば、身分証明書の原本に代えて、身分証明書が含まれる画像の提示を求められるケースがある。例として、インターネットを介して銀行口座の開設やクレジットカードの作成などといった手続きを行うケースが挙げられる。このようなケースでは、身分証明書の原本を提示することが難しい。そのため、身分証明書を撮像することで得られる画像データ(前述した撮像画像30など)を利用して、ユーザ10の本人確認が行われる。
【0018】
このように身分証明書の画像データを利用して本人確認が行われる場合において、身分証明書の主面(主要な情報が記載されている面)の画像データや、主面の裏の面(以下、裏面)の画像データをユーザが指定し、ユーザによって指定された画像データを利用して本人確認を行うという方法が考えられる。しかしながらこの方法では、身分証明書の不正利用を防ぐことが難しい。例えばユーザは、何らかの方法で他人の身分証明書の主面と裏面のコピーを取得できれば、これらのコピーをカメラで撮像した画像データを提供することで、当該他人になりすますことができてしまう。
【0019】
このような問題に対処するため、画像解析装置2000は、身分証明書20が n 通り(n は2以上の整数)の角度で撮像されたことを確認した上で、身分証明書20が含まれる撮像画像30を出力する。具体的には、画像解析装置2000は、n 個の所定条件それぞれについて、その所定条件を満たす撮像画像30を検出する。すなわち、画像解析装置2000は、第1所定条件を満たす撮像画像30、第2所定条件を満たす撮像画像30、・・・、第 n 所定条件を満たす撮像画像30をそれぞれ検出する。以下、第 i 所定条件(i は、1 ≦ i ≦ nを満たす整数)を満たす撮像画像30を検出する処理を、第 i 検出処理と呼ぶ。
【0020】
第 i 所定条件は、「第 i 所定角度で撮像された身分証明書20が撮像画像30に含まれる」という条件を含む。よって、第1検出処理から第 n 検出処理ではそれぞれ、第1所定角度で撮像された身分証明書20を含む撮像画像30、第2所定角度で撮像された身分証明書20を含む撮像画像30、・・・、及び第 n 所定角度で撮像された身分証明書20を含む撮像画像30が検出される。なお、0°≦第1所定角度<第2所定角度<・・・<第 n 所定角度<360°とする。このように n 個の所定条件それぞれを満たす撮像画像30を検出することにより、身分証明書20が n 通りの角度で撮像されたことを確認できる。
【0021】
図2は、カメラ40を用いて角度Xで身分証明書20を撮像する様子を表す平面図である。図2に示すように、「角度Xで身分証明書20を撮像する」とは、「身分証明書20の主面がカメラ40の正面を向いている状態から角度Xだけ回転させ、その状態で身分証明書20を撮像する」ということを意味する。そのため、0°の場合は身分証明書20の主面が撮像され、180°の場合は身分証明書20の裏面が撮像され、90°と270°の場合は身分証明書20の側面が撮像される。
【0022】
画像解析装置2000は、第1所定条件を満たす撮像画像30から第 n 所定条件を満たす撮像画像30の全てが検出されたら、これら検出された n 枚の撮像画像30のうちの1つ以上を出力する。すなわち、第1所定角度で撮像された身分証明書20を含む撮像画像30、第2所定角度で撮像された身分証明書20を含む撮像画像30、・・・、第 n 所定角度で撮像された身分証明書20を含む撮像画像30のうちの1つ以上が出力される。
【0023】
<代表的な作用効果>
本実施形態の画像解析装置2000によれば、身分証明書20が n 通りの角度で撮像されたことを確認した上で、身分証明書20が含まれる撮像画像30が出力される。よって、このような確認を行わずに身分証明書20の画像を出力する場合と比較し、出力される撮像画像30の中に所望の状態で撮像された身分証明書20の画像が含まれる蓋然性を高くすることができる。そのため、画像解析装置2000から出力される撮像画像30をユーザ10の本人確認に利用する場合において、本人確認に必要な撮像画像30を画像解析装置2000からより確実に得られるようになる。
【0024】
以下、本実施形態についてさらに詳細を述べる。
【0025】
<機能構成の例>
図3は、実施形態1の画像解析装置2000の機能構成を例示する図である。画像解析装置2000は、検出部2020及び画像出力部2040を有する。検出部2020は、前述した各第 i 検出処理を行う。ここで前述したように、1 ≦ i ≦ n かつ n ≧ 2 であるため、検出部2020は少なくとも、第1所定条件を満たす撮像画像30を検出する第1検出処理、及び第2所定条件を満たす撮像画像30を検出する第2検出処理を行う。画像出力部2040は、検出部2020によって検出された複数の撮像画像30のうち、1つ以上を出力する。
【0026】
<画像解析装置2000のハードウエア構成の例>
画像解析装置2000の各機能構成部は、各機能構成部を実現するハードウエア(例:ハードワイヤードされた電子回路など)で実現されてもよいし、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせ(例:電子回路とそれを制御するプログラムの組み合わせなど)で実現されてもよい。以下、画像解析装置2000の各機能構成部がハードウエアとソフトウエアとの組み合わせで実現される場合について、さらに説明する。
【0027】
図4は、画像解析装置2000を実現するための計算機1000を例示する図である。計算機1000は、任意の計算機である。例えば計算機1000は、スマートフォンやタブレット端末などといった可搬型の計算機である。その他にも例えば、計算機1000は、PC(Personal Computer)やサーバマシンなどといった、据え置き型の計算機であってもよい。
【0028】
計算機1000は、画像解析装置2000を実現するために設計された専用の計算機であってもよいし、汎用の計算機であってもよい。後者の場合、例えば、計算機1000に対して所定のアプリケーションをインストールすることにより、計算機1000において、画像解析装置2000の機能が実現される。上記アプリケーションは、画像解析装置2000の各機能構成部を実現するためのプログラムで構成される。すなわち、このプログラムは、計算機1000に、検出部2020が行う処理と画像出力部2040が行う処理をそれぞれ実行させる。
【0029】
計算機1000は、バス1020、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、入出力インタフェース1100、及びネットワークインタフェース1120を有する。バス1020は、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、入出力インタフェース1100、及びネットワークインタフェース1120が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1040などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0030】
プロセッサ1040は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの種々のプロセッサである。メモリ1060は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現される主記憶装置である。ストレージデバイス1080は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又は ROM(Read Only Memory)などを用いて実現される補助記憶装置である。
【0031】
入出力インタフェース1100は、計算機1000と入出力デバイスとを接続するためのインタフェースである。例えば入出力インタフェース1100には、キーボードなどの入力装置や、ディスプレイ装置などの出力装置が接続される。
【0032】
その他にも例えば、入出力インタフェース1100には、カメラ40が接続される。こうすることで、カメラ40によって生成される各撮像画像30が計算機1000に対して入力される。撮像画像30は、メモリ1060やストレージデバイス1080に格納される。
【0033】
ネットワークインタフェース1120は、計算機1000を通信網に接続するためのインタフェースである。この通信網は、例えば LAN(Local Area Network)や WAN(Wide Area Network)である。
【0034】
ストレージデバイス1080は、画像解析装置2000の各機能構成部を実現するプログラムモジュール(前述したアプリケーションを実現するプログラムモジュール)を記憶している。プロセッサ1040は、これら各プログラムモジュールをメモリ1060に読み出して実行することで、各プログラムモジュールに対応する機能を実現する。
【0035】
<カメラ40について>
カメラ40は、撮像を行ってその結果を表す画像データ(撮像画像30)を生成する任意のカメラである。例えばカメラ40は、スマートフォン、タブレット端末、又はノートPCなどに備え付けられているカメラである。ただし、カメラ40は、画像解析装置2000に対して外付けされるカメラであってもよい。
【0036】
<処理の流れ>
図5は、実施形態1の画像解析装置2000によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。S102からS108は、第1検出処理から第 n 検出処理を行うループ処理である。S102において、検出部2020は、i ≦ n であるか否かを判定する。なお、i の初期値は1とする。
【0037】
i ≦ nである場合、図4の処理はS104に進む。一方、i ≦ n でない場合、図4の処理はS112に進む。
【0038】
S104において、画像出力部2040は、第 i 所定条件を満たす撮像画像30を検出する(第 i 検出処理を実行する)。検出部2020は i に1を加算する(S106)。S08はループ処理Aの終端であるため、図4の処理はS102に進む。
【0039】
図4の処理がS110に到達したら、画像出力部2040は、検出された n 枚の撮像画像30のうちの1つ以上を出力する。
【0040】
ここで、図4のフローチャートでは、第 i 検出処理で第 i 所定条件を満たす撮像画像30が検出されなかった場合の処理が示されていない。第 i 検出処理で第 i 所定条件を満たす撮像画像30が検出されなかった場合に画像解析装置2000が行う処理は任意である。例えば画像解析装置2000は、図4に示す処理を終了してもよい。すなわち、この場合、撮像画像30の出力が行われない。ここで、図4に示す処理を終了する前に、画像解析装置2000は、所定条件を満たす撮像画像30が検出されなかった(すなわち、身分証明書20の撮像が正しく行われなかった)旨の警告メッセージなどを出力してもよい。
【0041】
その他にも例えば、画像解析装置2000は、第 i 検出処理で第 i 所定条件を満たす撮像画像30が検出されなかったら、第 i 所定条件が満たされるように身分証明書20の撮像を正しく行うように(例えば、第 i 所定角度で身分証明書20を撮像するように)警告メッセージ等を出力した上で、再度第 i 検出処理を実行してもよい。
【0042】
なお、第 i 所定条件を満たす撮像画像30が検出されない状況で第 i 検出処理を終了する条件は任意である。例えば検出部2020は、第 i 検出処理を開始してから所定時間経過した場合や、所定枚数以上の撮像画像30を対象として第 i 検出処理を行った場合に、第 i 検出処理を終了する。
【0043】
<画像解析装置2000の利用環境の例>
以降の説明を分かりやすくするため、画像解析装置2000のより具体的な利用環境を例示する。ただし、画像解析装置2000の利用環境は、ここで説明するものに限定はされない。
【0044】
図6は、画像解析装置2000の利用環境を例示する図である。この例において、画像解析装置2000は、ユーザ端末50で実現されている。ユーザ端末50は、例えば、カメラ40が設けられているスマートフォンである。
【0045】
ユーザ10は、ユーザ端末50を利用して、サーバ装置60に対し、身分証明書20の画像を提供する。例えば、ユーザ端末50には、ユーザ端末50を画像解析装置2000として機能させるためのアプリケーションがインストールされている。ユーザ10は、このアプリケーションを起動して操作する。その結果、ユーザ端末50のディスプレイ装置に、身分証明書20の撮像を行うように促すメッセージが表示されると共に、カメラ40が起動される。ユーザ10は、カメラ40を利用して身分証明書20の撮像を行う。例えばユーザ10は、身分証明書20を回転させながら、カメラ40に身分証明書20を撮像させる。
【0046】
ユーザ端末50は、上述した操作でカメラ40によって生成される時系列の撮像画像30を順に解析する。例えばユーザ端末50は、時系列において先頭の撮像画像30から順に、各撮像画像30を対象として、第1検出処理を行う。第1検出処理によって第1所定条件を満たす撮像画像30が検出されたら、ユーザ端末50は、その撮像画像30よりも後に生成された各撮像画像30を対象として、第2検出処理を行う。さらに、第2検出処理によって第2所定条件を満たす撮像画像30が検出されたら、ユーザ端末50は、その撮像画像30よりも後に生成された各撮像画像30を対象として、第3検出処理を行う。以降同様に、ユーザ端末50は、第 n 検出処理までを順に行う。
【0047】
例えば図6の例では、第1検出処理から第4検出処理が行われる。第1所定角度から第5所定角度はそれぞれ、0°、45°、135°、180°である。すなわち、身分証明書20の主面が正面から撮像された撮像画像30、身分証明書20の主面が斜め45°から撮像された撮像画像30、身分証明書20の裏面が斜め45°から撮像された撮像画像30、及び身分証明書20の裏面が正面から撮像された撮像画像30という4つの撮像画像30が、検出部2020によって検出される。
【0048】
ユーザ端末50は、各検出処理で検出された撮像画像30の少なくとも1つ以上を、サーバ装置60へ提供する。例えば、前述した4つの撮像画像30の全てがサーバ装置60へ送信される。これらの撮像画像30は、ユーザ10の本人確認に利用される。なお、身分証明書20が撮像された画像を利用してユーザの本人確認を行う具体的な方法には、任意の方法を利用できる。
【0049】
ここで、前述した各検出処理を実行することにより、所定の角度で撮像された身分証明書20を含む撮像画像30が、ユーザ端末50からサーバ装置60へ送信される。そのため、所定の角度で撮像された身分証明書20が本人確認に必要な場合において、「身分証明書20が所定の角度で撮像されていないという理由で、サーバ装置60からユーザ端末50に対して撮像画像30の提供のやり直しを要求する」という状況が発生することを防ぐことができる。これにより、ユーザ10の本人確認をよりスムーズに行うことができるようになる。
【0050】
なお、前述したように、画像解析装置2000の利用環境は、ここで説明したものに限定されない。例えば画像解析装置2000は、スマートフォンなどの携帯端末に限定されない。例えば、画像解析装置2000としてデスクトップ PC を利用し、そのデスクトップ PC に対して接続されたカメラをカメラ40として利用してもよい。
【0051】
<撮像画像30の取得>
検出部2020は、撮像画像30を取得して各検出処理を行う。検出部2020が撮像画像30を取得する方法は様々である。例えば検出部2020は、カメラ40から送信される撮像画像30を受信する。その他にも例えば、検出部2020は、カメラ40にアクセスし、カメラ40に記憶されている撮像画像30を取得する。
【0052】
なお、カメラ40は、カメラ40の外部に設けられている記憶装置(例えばストレージデバイス1080)に撮像画像30を記憶させてもよい。この場合、検出部2020は、この記憶装置にアクセスして撮像画像30を取得する。
【0053】
検出部2020が撮像画像30を取得するタイミングは任意である。例えば検出部2020は、カメラ40によって撮像画像30が生成される度に、その新たに生成された撮像画像30を取得する。その他にも例えば、検出部2020は、定期的に未取得の撮像画像30を取得してもよい。例えば検出部2020が1秒間に1回撮像画像30を取得する場合、検出部2020は、1秒間に生成される1つ以上の撮像画像30(例えばカメラ40が 30fps(frames/second) のフレームレートを持つビデオカメラであれば、30枚の撮像画像30)をまとめて取得する。
【0054】
<検出処理の実行:S104>
検出部2020は、第1検出処理から第 n 検出処理を実行する(S104)。検出処理の具体的な実現方法は様々である。例えば検出部2020に、撮像画像30が第 i 所定条件を満たすか否かを識別するように学習された識別器(以下、第 i 識別器)を設けておく。第 i 識別器は、撮像画像30が入力されたことに応じ、その撮像画像30が第 i 所定条件を満たすか否かの識別結果を出力する。例えば第1識別器は、撮像画像30が入力されたことに応じ、撮像画像30が第1所定条件を満たすか否かの識別結果を出力する。同様に、第2識別器は、撮像画像30が入力されたことに応じ、撮像画像30が第2所定条件を満たすか否かの識別結果を出力する。例えば識別結果は、撮像画像30が第 i 所定条件を満たす場合には1を示し、撮像画像30が第 i 所定条件を満たさない場合には0を示すフラグである。ここで、識別器のモデルには、ニューラルネットワークや SVM(support vector machine)などといった種々のモデルを利用できる。
【0055】
識別器は、例えば、身分証明書の種類ごとに設けられる。例えば、身分証明書として、運転免許証とパスポートを利用可能にする場合、運転免許証が含まれる撮像画像30を対象とする識別器と、パスポートが含まれる撮像画像30を対象とする識別器の双方を設けておく。なお、複数種類の身分証明書のいずれかを本人確認に利用できるようにする場合、ユーザ10から提供される撮像画像30にどの種類の身分証が含まれるか(すなわち、ユーザがどの種類の身分証明書を本人確認のために提供するか)は、ユーザによって予め指定されるようにする。
【0056】
識別器は、前述した処理を実現できるように予め学習させておく。具体的には、「第 i 所定条件を満たす画像、識別結果=1」という正例データや、「第 i 所定条件を満たさない画像、識別結果=0」という負例データを学習データとして用いて、第 i 識別器の学習を行う。ここで、正例データや負例データを用いて識別器の学習を行う技術には、既存の技術を利用できる。
【0057】
例えば、第 i 所定条件が、「第 i 所定角度で撮像された身分証明書20が含まれる」であるとする。この場合、正例データに含まれる画像は、第 i 所定角度で撮像された身分証明書20が含まれる画像である。また、負例データに含まれる画像は、第 i 所定角度で撮像された身分証明書20が含まれない画像である。
【0058】
ここで、識別器は、特定の個人の身分証明書のみを対象に利用されるわけでなく、様々なユーザの身分証明書を対象に利用される。そのため、学習に利用する画像に含まれる身分証明書は、検出対象の身分証明書20と完全に一致する必要はなく、検出対象の身分証明書20と同じ種類の身分証明書の特徴をある程度捉えていればよい。例えば身分証明書20として運転免許証を扱う場合、第 i 識別器の学習に利用する正例データには、第 i 所定角度から見た運転免許証の特徴が分かる程度の画像が含まれていればよい。
【0059】
このことから、学習に利用する画像は、必ずしも正式な身分証明書(例えば、官公庁によって発行された身分証明書の原本)を撮像したものでなくてもよい。例えば、学習に利用する画像は、身分証明書20のサンプルなどを撮像することで生成することができる。その他にも例えば、学習に利用する画像は、GAN(Generative Adversarial Networks)等の技術を利用して人工的に生成されたものでもよい。
【0060】
また、「第 i 所定角度で撮像された身分証明書20が含まれる」という条件において、身分証明書20の角度について多少のずれを許容してもよい。例えば、「斜め45°で撮像された身分証明書20が含まれる」という所定条件を用いる場合において、斜め44°や46°などで身分証明書20が撮像された撮像画像30も、所定条件を満たすものとして扱いうる。このような多少の誤差を許容可能な第 i 識別器は、例えば、学習に利用する正例データの画像として、第 i 所定角度で身分証明書20が撮像された画像だけでなく、許容する誤差の範囲内で第 i 所定角度からずれた角度で身分証明書20が撮像された画像も利用することにより、構築することができる。
【0061】
なお、各検出処理を実現する方法は、識別器を利用する方法に限定されない。例えば、第 i 所定条件が、「第 i 所定角度で撮像された身分証明書20が含まれる」であるとする。この場合、各第 i 所定角度について、第 i 所定角度で撮像された身分証明書20を表す画像領域の画像特徴、(以下、第 i 画像特徴)を用意し、検出部2020からアクセス可能な記憶装置に予め格納しておく。検出部2020は、この記憶装置に格納されている画像特徴を利用する。
【0062】
例えば、検出部2020は、撮像画像30に第 i 画像特徴との類似度が高い(類似度が所定の閾値以上である)画像特徴が含まれるか否かを判定する。第 i 画像特徴との類似度が高い画像特徴が撮像画像30に含まれる場合、検出部2020は、その撮像画像30に、第 i 所定角度で撮像された身分証明書20が含まれると判定する。一方、第 i 画像特徴との類似度が高い画像特徴が撮像画像30に含まれない場合、検出部2020は、その撮像画像30に、第 i 所定角度で撮像された身分証明書20が含まれないと判定する。
【0063】
ここで、前述した識別器の学習と同様に、第 i 画像特徴の生成に利用する画像も、必ずしも正式な身分証明書を撮像したものである必要はない。例えば、身分証明書20のレプリカを撮像することで生成された画像から抽出した画像特徴や、GAN 等の技術を利用して人工的に生成された画像から抽出した画像特徴を利用してもよい。
【0064】
<各検出処理を行うタイミング>
第1検出処理から第 n 検出処理は、平行して実行されてもよいし、任意の順序で実行されてもよいし、所定の順序で実行されてもよい。所定の順序で実行する場合、例えば検出部2020は、図5のフローチャートで示されているように、第1検出処理から第 n 検出処理をこの順序で1つずつ実行する。すなわち、検出部2020は、第 i 検出処理で第 i 所定条件を満たす撮像画像30が検出されたら、第(i+1)検出処理を行うようにする。言い換えれば、第 i 所定条件を満たす撮像画像30が検出されるまで、第(i+1)所定条件を満たす撮像画像30の検出は行われない。
【0065】
<第 i 所定条件に含まれるその他の条件>
第 i 所定条件は、「第 i 所定角度で撮像された身分証明書20を表す画像領域を含む」という条件に加え、その他の条件を含んでもよい。例えば身分証明書20が本人の顔写真を含むものであるとする。この場合、身分証明書20だけでなく身分証明書20の提供者の顔も撮像画像30に含まれるように撮像を行わせれば(図1の撮像画像30参照)、撮像画像30に含まれる身分証明書20の提供者の顔の画像と、その撮像画像30に含まれる身分証明書20の顔画像との一致度合いを判定することにより、身分証明書20の提供者が身分証明書20の正当な持ち主(身分証明書20によってその身分が証明される人物)であるか否かを判定することができる。
【0066】
そこで例えば、所定条件には、「撮像画像30に含まれる身分証明書20の提供者の顔の画像と、その撮像画像30に含まれる身分証明書20の顔画像との一致度合いが基準を満たす(一致度合いが閾値以上である)」という条件を含めてもよい。この場合、例えば検出部2020は、撮像画像30から、身分証明書20の提供者の顔と、身分証明書20の顔画像とを抽出し、これらの一致度合いを算出する。なお、顔画像同士の一致度合いを算出する技術には、既存の技術を利用することができる。
【0067】
なお、撮像された身分証明書20の角度によっては、身分証明書20の顔画像が撮像画像30に含まれなかったり、撮像画像30に含まれている顔画像から顔の特徴を精度よく抽出できないことがある。どのため、身分証明書20の提供者の顔と身分証明書20の顔画像との一致度合いに関する条件は、第 i 所定角度が、身分証明書20に含まれる顔画像から顔の特徴を十分に抽出できる状態で身分証明書20が撮像される角度である所定条件のみに含めることが好適である。例えば身分証明書20の主面に顔画像が含まれ、第1所定角度が0°である(身分証明書20の主面が正面から撮像される角度である)場合において、第1所定条件のみに、「撮像画像30に含まれる身分証明書20の提供者の顔の画像と、その撮像画像30に含まれる身分証明書20の顔画像との一致度合いが基準を満たす」という条件を含めるようにする。
【0068】
例えば、第 i 所定条件には、撮像画像30における身分証明書20の背景(以下、撮像画像30の背景)に関する条件が含まれる。具体的には、第 i 所定条件には、判定対象の撮像画像30の背景と、第(i-1)検出処理やそれ以前の検出処理において検出された撮像画像30の背景との一致度合いが基準を満たす(例えば、一致度合いが基準値以上である)という条件を含めることができる。このような所定条件を利用することにより、各検出処理で検出される撮像画像30同士は、背景の一致度合いが高くなる。そのため、一連の撮像画像30に対して改ざんを加えるなどの不正を防ぐことができる。なお、第1検出処理から第 n 検出処理をこの順に行う場合、第1所定条件には背景の条件を含めなくてよい。
【0069】
例えば、第 i 所定条件として、「第 i 検出処理で検出する撮像画像30の背景と、第(i-1)検出処理で検出された撮像画像30の背景との一致度合いが基準を満たす」というものを利用する。すなわち、連続する2つの検出処理のそれぞれで検出される撮像画像30において、背景の一致度合いが基準を満たすようにする。
【0070】
その他にも例えば、第 i 所定条件として、「第 i 検出処理で検出する撮像画像30の背景と、第1検出処理で検出された撮像画像30の背景との一致度合いが基準を満たす」というものを利用する。すなわち、第2検出処理から第 n 検出処理で検出される各撮像画像30の背景と、最初に検出された(第1検出処理で検出された)撮像画像30の背景と一致度合いが、基準を満たすようにする。
【0071】
なお、2つの互いに異なる撮像画像30において背景の一致度合いが基準を満たすかどうかは、種々の方法で判定できる。ここで、説明を分かりやすくするため、比較する二つの撮像画像30を、撮像画像AとBと呼ぶ。例えば検出部2020は、撮像画像AとBそれぞれについて、背景の画像特徴を算出する。ここで、撮像画像30の背景は、撮像画像30から身分証明書20を表す画像領域を除外した部分(身分証明書20を表す画像領域をマスキングした撮像画像30)である。そして、検出部2020は、背景の画像特徴の一致度合いが基準値以上であるか否かを判定する。背景の画像特徴の一致度合いが基準値以上である場合、検出部2020は、撮像画像AとBの背景の一致度合いが基準を満たすと判定する。一方、背景の画像特徴の一致度合いが基準値以上でない場合、検出部2020は、撮像画像AとBの背景の一致度合いが基準を満たさないと判定する。
【0072】
検出部2020は、背景の比較を、1)ユーザ10の顔の比較、及び2)それ以外の背景の比較の2つに分けて行ってもよい。例えば、以下のように行う。まず検出部2020は、撮像画像AとBそれぞれについて、顔を表す画像領域の画像特徴を算出する。そして、検出部2020は、撮像画像Aにおける顔の画像特徴と、撮像画像Bにおける顔の画像特徴との一致度合いを算出する。
【0073】
さらに、検出部2020は、顔以外の背景(身分証明書20の画像領域と顔の画像領域を除外した撮像画像30)の画像特徴を、撮像画像AとBそれぞれについて算出する。そして、検出部2020は、撮像画像Aにおける顔以外の背景の画像特徴と、撮像画像Bにおける顔以外の背景の画像特徴との一致度合いを算出する。
【0074】
検出部2020は、顔の画像特徴の一致度合いと顔以外の背景の画像特徴の一致度合いのいずれもが閾値以上である場合に、撮像画像AとBの背景の一致度合いが基準を満たすと判定する。一方、顔の画像特徴の一致度合いと顔以外の背景の画像特徴の一致度合いの少なくとも1つが閾値以上でない場合、検出部2020は、撮像画像AとBの背景の一致度合いが基準を満たさないと判定する。
【0075】
<検出された撮像画像30の出力>
画像出力部2040は、第1検出処理から第 n 検出処理で検出された n 個の撮像画像30のうち、1つ以上を含む情報を出力する。以下、この情報を出力情報と呼ぶ。例えば、出力情報は、ユーザ10の識別情報と、1つ以上の撮像画像30とを対応付けた情報である。ユーザ10の識別情報に対応づけることにより、出力情報に含まれる撮像画像30が、誰の身分を確認するための撮像画像30であるかを特定することができる。言い換えれば、出力情報に含まれる撮像画像30は、その出力情報に含まれる識別情報で特定されるユーザ10の本人確認に利用される。
【0076】
ただし、その出力情報を受信する装置(図6におけるサーバ装置60など)において、撮像画像30とユーザ10の識別情報とを対応づけることが可能であれば、出力情報にユーザ10の識別情報が含まれなくてもよい。例えば、サーバ装置60と画像解析装置2000との間で所定のコネクションを確立し、そのコネクションを介して画像解析装置2000からサーバ装置60へユーザ10の識別情報と出力情報を送信するようにする。この方法であれば、ユーザ10の識別情報と出力情報が互いに異なるタイミングで送信されたとしても、サーバ装置60は、ユーザ10の識別情報と出力情報(すなわち、出力情報に含まれる撮像画像30)とを対応づけることができる。なお、以下では説明を簡単にするため、特に断らない限り、出力情報にユーザ10の識別情報が含まれているとする。
【0077】
出力情報には、検出部2020によって検出された全ての撮像画像30が含まれてもよいし、一部の撮像画像30のみが含まれてもよい。後者の場合、例えば出力情報には、予め定められている n 個未満の検出処理で検出された撮像画像30のみが含まれる。
【0078】
ここで、身分証明書20の主面が撮像された撮像画像30は、ユーザ10の本人確認における有用性が高いと考えられる。そのため、出力情報には、少なくとも、身分証明書20の主面が撮像された撮像画像30が含まれることが好ましい。また、身分証明書20の裏面に記載されている情報も重要な場合がある。この場合、身分証明書20の裏面が撮像された撮像画像30も、ユーザ10の本人確認における有用性が高いと考えられる。そのためこの場合、出力情報には、身分証明書20の裏面が撮像された撮像画像30も含まれることが好ましい。
【0079】
なお、身分証明書20の主面と裏面がそれぞれどの検出処理で検出されるかは、予め把握することができる。例えば、第1所定角度が0°(身分証明書20の主面がカメラ40に向いている状態)であり、第 n 所定角度が180°(身分証明書20の裏面がカメラ40に向いている状態)であるとする。この場合、身分証明書20の主面が含まれる撮像画像30は第1検出処理で検出された撮像画像30であり、身分証明書20の裏面が含まれる撮像画像30は第 n 検出処理で検出される撮像画像30である。そこで画像出力部2040は、少なくとも、第1検出処理で検出された撮像画像30と、第 n 検出処理で検出された撮像画像30を、出力情報に含める。
【0080】
なお、出力情報には、検出部2020によって検出された撮像画像30だけでなく、他の撮像画像30を含めてもよい。例えば、画像出力部2040は、カメラ40によって生成された全ての撮像画像30を出力情報に含めてもよい。その他にも例えば、画像出力部2040は、第1検出処理で検出された撮像画像30から第 n 検出処理で検出された撮像画像30までの時系列の撮像画像30全てを、出力情報に含めてもよい。例えばこの場合、第1所定角度=0°とし、第 n 所定角度=180°とすれば、身分証明書20の主面がカメラ40に向いた状態から、身分証明書20の裏面がカメラ40に向くまでの一連の流れが撮像された時系列の撮像画像30(動画)が出力情報に含まれることになる。
【0081】
撮像画像30を利用してユーザ10の身分を確認する処理は、人手で行われてもよいし、装置によって自動で行われてもよい。なお、ユーザの身分証明書が含まれる画像を利用してユーザの本人確認を行う方法には、任意の方法を利用することができる。
【0082】
[実施形態2]
図7は、実施形態2の画像解析装置2000の機能構成を例示するブロック図である。以下で説明する点を除き、実施形態2の画像解析装置2000は、実施形態1の画像解析装置2000と同様の機能を有する。
【0083】
実施形態2の画像解析装置2000では、前提として、第1検出処理から第 n 検出処理が、この順序で1つずつ実行される。すなわち、検出部2020は、第 i 検出処理で撮像画像30が検出されたら、第(i+1)検出処理を行う。
【0084】
実施形態2の画像解析装置2000は、ガイド出力部2060を有する。ガイド出力部2060は、各所定条件を満たす撮像画像30が得られる蓋然性が高くなるように、ユーザ10に対してガイドを出力する。以下、第 i 所定条件を満たす撮像画像30が得られる蓋然性が高くなるようにするために出力されるガイドを、第 i ガイドと呼ぶ。
【0085】
画像解析装置2000は、第 i ガイドを出力した後に、第 i 検出処理を行う。また、第 i 検出処理で第 i 所定条件を満たす撮像画像30が検出されたら、画像解析装置2000は、第(i+1)ガイドを出力する。その後、画像解析装置2000は、第(i+1)ガイドの出力を行う。
【0086】
<代表的な作用効果>
本実施形態の画像解析装置2000によれば、所定条件が満たされるように身分証明書20が撮像される蓋然性が高くなる。そのため、画像解析装置2000が各検出処理で所定条件を満たす撮像画像30を検出できる蓋然性を高くすることができる。
【0087】
また、ユーザ10は、画像解析装置2000によって出力されるガイドに従って身分証明書20の撮像を行うことで、身分証明書20の正しい画像を提供できるようになる。そのため、ユーザ10にとって、画像解析装置2000のユーザビリティが向上する。
【0088】
以下、本実施形態の画像解析装置2000について、さらに詳細に説明する。
【0089】
<処理の流れ>
図8は、実施形態2の画像解析装置2000が実行する処理の流れを例示するフローチャートである。図8のフローチャートは、第 i 検出処理(S104)の前に第 i ガイドの出力(S202)が追加されている点を除き、図4のフローチャートと同じである。
【0090】
<ガイドについて>
ガイド出力部2060は、所定条件が満たされる撮像画像30が撮像される蓋然性を高くするガイドを出力する。例えば第 i 所定条件が「第 i 所定角度で撮像された身分証明書20が含まれる」という条件であれば、第 i ガイドは、身分証明書20を第 i 所定角度で撮像するように促すガイドである。
【0091】
図9は、ガイド出力部2060によって出力されるガイドを例示する図である。この例において、画像解析装置2000は、第1検出処理から第4検出処理を行う。すなわち、n=4 である。そして、第1所定角度から第5所定角度はそれぞれ、0°、45°、135°、180°である。
【0092】
この場合、まずガイド出力部2060は、「主面をカメラに向けて止めて下さい」などといった内容の第1ガイド70を、ユーザ10が閲覧可能なディスプレイ装置(例えば、図6におけるユーザ端末50に設けられているディスプレイ装置)に出力する。この第1ガイドを見ることにより、ユーザ10は、身分証明書20の主面をカメラ40に向ければよいことを把握できる。
【0093】
第1所定条件を満たす撮像画像30が検出されたら、ガイド出力部2060は、「ゆっくりと45°まで回して止めて下さい」などといった内容の第2ガイド80を出力する。第2所定条件を満たす撮像画像30が検出されたら、ガイド出力部2060は、「ゆっくりと135°まで回して止めてください」などといった内容の第3ガイド90を出力する。第3所定条件を満たす撮像画像30が検出されたら、ガイド出力部2060は、「裏面がカメラに向くまで回して止めて下さい」などといった内容の第4ガイド100を出力する。
【0094】
なお、ガイドの出力方法は、ディスプレイ装置にメッセージを出力する方法に限定されない。例えばガイド出力部2060は、前述したガイドを音声で出力してもよい。
【0095】
上述したガイドに加え、所定条件を満たす撮像画像30が検出されたことをユーザ10に認識させるためのメッセージがさらに表示されるようにしてもよい。例えば、図9の例において、第1ガイド70を出力した後に、第1所定条件を満たす撮像画像30が検出されたら、「OK」や「撮影成功」などのように、第1所定条件を満たす撮像画像30が検出されたことを示すメッセージを出力する。このメッセージは、第2ガイド80と同時に出力されてもよいし、第2ガイド80を出力する前に出力されてもよい。その他の所定条件を満たす撮像画像30が検出された時についても、同様とすることができる。このように所定条件を満たす撮像画像30が検出されたことを表すメッセージを出力することにより、ユーザ10にとって、画像解析装置2000のユーザビリティがさらに向上する。
【0096】
また、前述したように、所定条件には、背景の一致に関する条件が含まれうる。そこで例えば、ガイドには、「背景を変えないで下さい」、「撮影場所を変えないで下さい」、「移動しないで下さい」などのように、背景が変化しない状況で撮像を行うように促すメッセージがさらに含まれてもよい。
【0097】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記各実施形態の組み合わせ、又は上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0098】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
1. カメラによって生成される1つ以上の撮像画像から、第1所定条件を満たす撮像画像を検出する第1検出処理と、
前記カメラによって生成される1つ以上の撮像画像から、第2所定条件を満たす撮像画像を検出する第2検出処理と、
前記第1所定条件を満たす前記撮像画像と前記第2所定条件を満たす前記撮像画像の双方が検出された場合に、これらの撮像画像のうちの少なくとも一方を出力する画像出力処理と、をコンピュータに実行させ、
前記第1所定条件は、第1所定角度で撮像された身分証明書を表す画像領域が前記撮像画像に含まれることを含み、
前記第2所定条件は、第2所定角度で撮像された前記身分証明書を表す画像領域が前記撮像画像に含まれることを含む、プログラム。
2. 前記第2検出処理は、前記第1所定条件を満たす前記撮像画像が検出された後に実行される、1.に記載のプログラム。
3. 前記第1所定条件を満たす前記撮像画像が検出された後に、前記身分証明書の角度を前記第2所定角度に変更するように促すガイドを出力するガイド出力処理を前記コンピュータに実行させ、
前記ガイド出力処理の後に前記第2検出処理を実行する、2.に記載のプログラム。
4. 前記第2所定条件は、前記第2検出処理で処理対象とする前記撮像画像における前記身分証明書の背景と、前記第1検出処理で検出された前記撮像画像における前記身分証明書の背景との一致度合いが基準を満たすことをさらに含む、1.乃至3.いずれか一つに記載のプログラム。
5. 前記第1検出処理で処理対象とする前記撮像画像と、前記第2検出処理で処理対象とする前記撮像画像は、前記カメラによって生成される動画に含まれる、1.乃至4.いずれか一つに記載のプログラム。
6. カメラによって生成される1つ以上の撮像画像から、第1所定条件を満たす撮像画像を検出する第1検出処理と、前記カメラによって生成される1つ以上の撮像画像から、第2所定条件を満たす撮像画像を検出する第2検出処理とを実行する検出部と、
前記第1所定条件を満たす前記撮像画像と前記第2所定条件を満たす前記撮像画像の双方が検出された場合に、これらの撮像画像のうちの少なくとも一方を出力する画像出力部と、を有し、
前記第1所定条件は、第1所定角度で撮像された身分証明書を表す画像領域が前記撮像画像に含まれることを含み、
前記第2所定条件は、第2所定角度で撮像された前記身分証明書を表す画像領域が前記撮像画像に含まれることを含む、画像解析装置。
7. 前記第2検出処理は、前記第1所定条件を満たす前記撮像画像が検出された後に実行される、6.に記載の画像解析装置。
8. 前記第1所定条件を満たす前記撮像画像が検出された後に、前記身分証明書の角度を前記第2所定角度に変更するように促すガイドを出力するガイド出力部を有し、
前記検出部は、前記ガイドが出力された後に前記第2検出処理を実行する、7.に記載の画像解析装置。
9. 前記第2所定条件は、前記第2検出処理で処理対象とする前記撮像画像における前記身分証明書の背景と、前記第1検出処理で検出された前記撮像画像における前記身分証明書の背景との一致度合いが基準を満たすことをさらに含む、6.乃至8.いずれか一つに記載の画像解析装置。
10. 前記第1検出処理で処理対象とする前記撮像画像と、前記第2検出処理で処理対象とする前記撮像画像は、前記カメラによって生成される動画に含まれる、6.乃至9.いずれか一つに記載の画像解析装置。
11. コンピュータによって実行される制御方法であって、
カメラによって生成される1つ以上の撮像画像から、第1所定条件を満たす撮像画像を検出する第1検出ステップと、
前記カメラによって生成される1つ以上の撮像画像から、第2所定条件を満たす撮像画像を検出する第2検出ステップと、
前記第1所定条件を満たす前記撮像画像と前記第2所定条件を満たす前記撮像画像の双方が検出された場合に、これらの撮像画像のうちの少なくとも一方を出力する画像出力ステップと、を有し、
前記第1所定条件は、第1所定角度で撮像された身分証明書を表す画像領域が前記撮像画像に含まれることを含み、
前記第2所定条件は、第2所定角度で撮像された前記身分証明書を表す画像領域が前記撮像画像に含まれることを含む、制御方法。
12. 前記第2検出ステップは、前記第1所定条件を満たす前記撮像画像が検出された後に実行される、11.に記載の制御方法。
13. 前記第1所定条件を満たす前記撮像画像が検出された後に、前記身分証明書の角度を前記第2所定角度に変更するように促すガイドを出力するガイド出力ステップを有し、
前記ガイド出力ステップの後に前記第2検出ステップを実行する、12.に記載の制御方法。
14. 前記第2所定条件は、前記第2検出ステップで処理対象とする前記撮像画像における前記身分証明書の背景と、前記第1検出ステップで検出された前記撮像画像における前記身分証明書の背景との一致度合いが基準を満たすことをさらに含む、11.乃至13.いずれか一つに記載の制御方法。
15. 前記第1検出ステップで処理対象とする前記撮像画像と、前記第2検出ステップで処理対象とする前記撮像画像は、前記カメラによって生成される動画に含まれる、11.乃至14.いずれか一つに記載の制御方法。
【0099】
この出願は、2019年9月12日に出願された日本出願特願2019-166160号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0100】
10 ユーザ
10 対象商品
20 身分証明書
30 撮像画像
40 カメラ
50 ユーザ端末
60 サーバ装置
70 第1ガイド
80 第2ガイド
90 第3ガイド
100 第4ガイド
1000 計算機
1020 バス
1040 プロセッサ
1060 メモリ
1080 ストレージデバイス
1100 入出力インタフェース
1120 ネットワークインタフェース
2000 画像解析装置
2020 検出部
2040 画像出力部
2060 ガイド出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9