IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 第一精工株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-コネクタ及び組立方法 図1
  • 特開-コネクタ及び組立方法 図2
  • 特開-コネクタ及び組立方法 図3
  • 特開-コネクタ及び組立方法 図4
  • 特開-コネクタ及び組立方法 図5
  • 特開-コネクタ及び組立方法 図6
  • 特開-コネクタ及び組立方法 図7
  • 特開-コネクタ及び組立方法 図8
  • 特開-コネクタ及び組立方法 図9
  • 特開-コネクタ及び組立方法 図10
  • 特開-コネクタ及び組立方法 図11
  • 特開-コネクタ及び組立方法 図12
  • 特開-コネクタ及び組立方法 図13
  • 特開-コネクタ及び組立方法 図14
  • 特開-コネクタ及び組立方法 図15
  • 特開-コネクタ及び組立方法 図16
  • 特開-コネクタ及び組立方法 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144736
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】コネクタ及び組立方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6581 20110101AFI20241003BHJP
【FI】
H01R13/6581
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024129888
(22)【出願日】2024-08-06
(62)【分割の表示】P 2021077874の分割
【原出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】石丸 将巨
(72)【発明者】
【氏名】中村 将史
(57)【要約】
【課題】信号伝送特性の向上と、ケーブルへの取付作業性の向上との両立にコネクタを提供する。
【解決手段】第2コネクタ3は、コネクタベース510と、嵌合方向D22に沿ってコネクタベース510から互いに同じ方向に向かって突出した絶縁性の第1ハウジング520A及び第2ハウジング520Bと、第1ハウジング520Aに保持され、第1ケーブル20Aの第1信号導体24に接続される第1信号コンタクト530Aと、第2ハウジング520Bに保持され、第2ケーブル20Bの第2信号導体24に接続される第2信号コンタクト530Bと、を有するベースユニット500と、嵌合方向D22に沿った軸線まわりに第1ハウジング520A及び第2ハウジング520Bをそれぞれ包囲するようにコネクタベース510に固定される導電性の第1シェル600A及び第2シェル600Bと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1信号導体を有する第1ケーブルと、第2信号導体を有する第2ケーブルとに接続されるコネクタであって、
前記第1ケーブルの外周及び前記第2ケーブルの外周に対向する対向面を有するコネクタベースと、
前記コネクタベースに保持され、前記対向面に平行な配列方向に沿って並び、前記配列方向に垂直な嵌合方向に沿って前記コネクタベースから互いに同じ方向に向かって突出した絶縁性の第1ハウジング及び第2ハウジングと、
前記第1ハウジングに保持され、前記第1信号導体に接続される第1信号コンタクトと、
前記第2ハウジングに保持され、前記第2信号導体に接続される第2信号コンタクトと、を有するベースユニットと、
前記嵌合方向に沿った軸線まわりに前記第1ハウジングを包囲するように前記コネクタベースに固定される導電性の第1シェルと、
前記嵌合方向に沿った軸線まわりに前記第2ハウジングを包囲するように前記コネクタベースに固定される導電性の第2シェルと、を備え、
前記第1シェルは、
前記第1ケーブルを包囲して前記コネクタベースに固定される第1ベース部と、
前記嵌合方向に沿って前記第1ベース部から延びて前記第1ハウジングを包囲する第1エンド部と、を有し、
前記第2シェルは、
前記第2ケーブルを包囲して前記コネクタベースに固定される第2ベース部と、
前記嵌合方向に沿って前記第2ベース部から延びて前記第2ハウジングを包囲する第2エンド部と、を有し、
前記コネクタベースは、
前記対向面に沿った導電性のベースプレートと、
前記ベースプレートと、前記第1ハウジングと、前記第2ハウジングとを保持する絶縁性のベースハウジングとを有し、
前記ベースプレートは、前記第1ベース部と前記第2ベース部とを電気的に接続する、コネクタ。
【請求項2】
前記第1シェル及び前記第2シェルが固定された前記コネクタベースを収容する絶縁性のアウターハウジングを更に備える、請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記アウターハウジングは、前記嵌合方向に垂直な前壁部を有し、
前記前壁部は、前記配列方向に並ぶ第1開口及び第2開口を有し、
前記第1ハウジングは、前記第1シェルに包囲された状態で、前記第1開口を経て前記アウターハウジングから突出し、
前記第2ハウジングは、前記第2シェルに包囲された状態で、前記第2開口を経て前記アウターハウジングから突出する、請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記アウターハウジングに固定され、前記第1ケーブルと前記第2ケーブルとの間隔を規制する絶縁性のセパレータを更に備え、
前記コネクタベースは、前記前壁部と前記セパレータとの間に配置される、請求項3記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第1ベース部は、
前記配列方向に沿って互いに対向する一対の第1ベース側壁部と、
前記一対の第1ベース側壁部を連結する第1ベース連結壁部と、を有し、
前記一対の第1ベース側壁部と、前記第1ベース連結壁部と、前記ベースプレートとによって前記第1ケーブルを包囲し、
前記第2ベース部は、
前記配列方向に沿って互いに対向する一対の第2ベース側壁部と、
前記一対の第2ベース側壁部を連結する第2ベース連結壁部と、を有し、
前記一対の第2ベース側壁部と、前記第2ベース連結壁部と、前記ベースプレートとによって前記第2ケーブルを包囲する、請求項1~4のいずれか一項記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1エンド部は、
前記一対の第1ベース側壁部に連なる一対の第1エンド側壁部と、
前記第1ベース連結壁部に連なり、前記一対の第1エンド側壁部を連結する第1エンド連結壁部と有し、
前記第2エンド部は、
前記一対の第2ベース側壁部に連なる一対の第2エンド側壁部と、
前記第2ベース連結壁部に連なり、前記一対の第2エンド側壁部を連結する第2エンド連結壁部と有する、請求項5記載のコネクタ。
【請求項7】
前記第1信号コンタクトは、前記コネクタベースに対する前記第1ハウジングの突出方向に沿って順に並ぶ第1接続部と第1接触部とを有し、
前記第2信号コンタクトは、前記第1ハウジングの突出方向に沿って順に並ぶ第2接続部と第2接触部とを有し、
前記第1ハウジングは、前記第1エンド連結壁部に向かって前記第1接続部を露出させ、前記第1エンド連結壁部に向かう方向の反対に向かって前記第1接触部を露出させるように、前記第1信号コンタクトを保持し、
前記第2ハウジングは、前記第2エンド連結壁部に向かって前記第2接続部を露出させ、前記第2エンド連結壁部に向かう方向の反対に向かって前記第2接触部を露出させるように、前記第2信号コンタクトを保持する、請求項6記載のコネクタ。
【請求項8】
前記一対の第1ベース側壁部の間隔に比較して、前記一対の第1エンド側壁部の間隔が小さく、
前記一対の第2ベース側壁部の間隔に比較して、前記一対の第2エンド側壁部の間隔が小さい、請求項6又は7記載のコネクタ。
【請求項9】
前記一対の第1エンド側壁部のそれぞれは、外力の付与によって前記第1ハウジングに近付き、前記外力の除去によって前記第1ハウジングから離れる第1弾性接触部を有し、
前記一対の第2エンド側壁部のそれぞれは、外力の付与によって前記第2ハウジングに近付き、前記外力の除去によって前記第2ハウジングから離れる第2弾性接触部を有する、請求項6~8のいずれか一項記載のコネクタ。
【請求項10】
前記第1ケーブルは、前記第1信号導体を包囲する第1外部導体を更に有し、前記第2ケーブルは、前記第2信号導体を包囲する第2外部導体を更に有し、
前記ベースプレートは、前記第1外部導体に対応する第1固定孔と、前記第2外部導体に対応する第2固定孔とを有する、請求項5~9のいずれか一項記載のコネクタ。
【請求項11】
前記ベースプレートは、前記一対の第1ベース側壁部にそれぞれ対応する一対の第1シェル固定孔と、前記一対の第2ベース側壁部にそれぞれ対応する一対の第2シェル固定孔とを有し、
前記一対の第1ベース側壁部のそれぞれは、対応する第1シェル固定孔に挿入される第1固定片を有し、
前記一対の第2ベース側壁部のそれぞれは、対応する第2シェル固定孔に挿入される第2固定片を有し、
前記第1固定孔は前記一対の第1シェル固定孔の間に位置し、前記第2固定孔は前記一対の第2シェル固定孔の間に位置する、請求項10記載のコネクタ。
【請求項12】
対向面を有するコネクタベースと、前記対向面に平行な配列方向に沿って並び、それぞれ前記対向面に平行で前記配列方向に垂直な第1方向に沿って前記コネクタベースから突出した絶縁性の第1ハウジング及び第2ハウジングと、前記第1ハウジングに保持された第1信号コンタクトと、前記第2ハウジングに保持された第2信号コンタクトと、を有するベースユニットの前記対向面に、第1ケーブルの外周を対向させ、前記第1ケーブルの第1信号導体を前記第1信号コンタクトに接続することと、
前記対向面に、第2ケーブルの外周を対向させ、前記第2ケーブルの第2信号導体を前記第2信号コンタクトに接続することと、
前記第1信号導体が前記第1信号コンタクトに接続された状態にて、前記対向面に平行で前記配列方向に垂直な軸線まわりに前記第1ハウジングを包囲するように導電性の第1シェルを配置することと、
前記第1シェルを前記コネクタベースに固定することと、
前記第2信号導体が前記第2信号コンタクトに接続された状態にて、前記対向面に平行で前記配列方向に垂直な軸線まわりに前記第2ハウジングを包囲するように導電性の第2シェルを配置することと、
前記第2シェルを前記コネクタベースに固定することと、を含み、
前記コネクタベースは、
前記対向面に沿った導電性のベースプレートと、
前記ベースプレートと、前記第1ハウジングと、前記第2ハウジングとを保持する絶縁性のベースハウジングとを有し、
前記ベースプレートは、前記配列方向に沿って並ぶ第1シェル固定孔と、第1固定孔と、前記配列方向に沿って並ぶ第2シェル固定孔と、第2固定孔とを有し、
前記第1シェルを前記コネクタベースに固定することは、
前記第1シェル固定孔を介して前記第1シェルを前記ベースプレートに半田付けすることと、
前記第1固定孔を介して前記第1ケーブルの第1外部導体を前記ベースプレートに半田付けすることと、を含み、
前記第2シェルを前記コネクタベースに固定することは、
前記第2シェル固定孔を介して前記第2シェルを前記ベースプレートに半田付けすることと、
前記第2固定孔を介して前記第2ケーブルの第2外部導体を前記ベースプレートに半田付けすることと、を含む、コネクタの組立方法。
【請求項13】
前記第1シェル及び前記第2シェルが固定された前記コネクタベースを、絶縁性のアウターハウジングに収容することを更に含む、請求項12記載の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ及び組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回路基板に接続されたリセプタクルコネクタと嵌合するプラグコネクタが開示されている。プラグコネクタは、グランドバーと、グランドシェルと、を有する。グランドバーは、一列に配置された複数の同軸ケーブルの外部導体の端末部分と電気的に接続する。グランドシェルは、複数の同軸ケーブルの端末部分及びグランドバーを収容し、リセプタクルコネクタと嵌合すると回路基板に接地される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-3783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、信号伝送特性の向上と、ケーブルへの取付作業性の向上との両立に有効なコネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係るコネクタは、第1信号導体を有する第1ケーブルと、第2信号導体を有する第2ケーブルとに接続されるコネクタであって、第1ケーブルの外周及び第2ケーブルの外周に対向する対向面を有するコネクタベースと、コネクタベースに保持され、対向面に平行な配列方向に沿って並び、配列方向に垂直な嵌合方向に沿ってコネクタベースから互いに同じ方向に向かって突出した絶縁性の第1ハウジング及び第2ハウジングと、第1ハウジングに保持され、第1信号導体に接続される第1信号コンタクトと、第2ハウジングに保持され、第2信号導体に接続される第2信号コンタクトと、を有するベースユニットと、嵌合方向に沿った軸線まわりに第1ハウジングを包囲するようにコネクタベースに固定される導電性の第1シェルと、嵌合方向に沿った軸線まわりに第2ハウジングを包囲するようにコネクタベースに固定される導電性の第2シェルと、を備える。
【0006】
伝送特性を向上させるためには、第1ケーブルに対応する第1信号コンタクトと、第2ケーブルに対応する第2信号コンタクトとを個別にシールドするのが有効である。しかしながら、第1信号コンタクトを包囲する第1シェルは、第1信号コンタクトに第1信号導体を接続する作業の妨げとなり得る。第2信号コンタクトを包囲する第2シェルは、第2信号コンタクトに第2信号導体を接続する作業の妨げとなり得る。これに対し、本コネクタでは、コネクタベースと、第1ハウジングと、第2ハウジングと、第1信号コンタクトと、第2信号コンタクトとが、ベースユニットとして一体化されているので、ベースユニットに第1ケーブル及び第2ケーブルを接続した後、第1シェル及び第2シェルをベースユニットに組み付ける簡単な作業にて、コネクタをケーブルに取り付けることができる。従って、信号伝送特性と、ケーブルへの取付作業性の向上との両立に有効である。
【0007】
第1シェル及び第2シェルが固定されたコネクタベースを収容する絶縁性のアウターハウジングを更に備えてもよい。この場合、アウターハウジングを後付け可能とすることで、ケーブルへの取付作業性を更に向上させることができる。
【0008】
アウターハウジングは、嵌合方向に垂直な前壁部を有し、前壁部は、配列方向に並ぶ第1開口及び第2開口を有し、第1ハウジングは、第1シェルに包囲された状態で、第1開口を経てアウターハウジングから突出し、第2ハウジングは、第2シェルに包囲された状態で、第2開口を経てアウターハウジングから突出してもよい。この場合、第1シェル及び第2シェルを、個別に相手コネクタのシェルに接続することを可能にしつつ、ハウジングの強度を向上させることができる。
【0009】
アウターハウジングに固定され、第1ケーブルと第2ケーブルとの間隔を規制する絶縁性のセパレータを更に備え、コネクタベースは、前壁とセパレータとの間に配置されてもよい。この場合、ケーブル間の距離を適切に保つことによって、信号伝送特性を更に向上させることができる。
【0010】
第1シェルは、第1ケーブルを包囲してコネクタベースに固定される第1ベース部と、 嵌合方向に沿って第1ベース部から延びて第1ハウジングを包囲する第1エンド部と、を有し、第2シェルは、第2ケーブルを包囲してコネクタベースに固定される第2ベース部と、嵌合方向に沿って第2ベース部から延びて第2ハウジングを包囲する第2エンド部と、を有してもよい。この場合、シ信号伝送特性を更に向上させることができる。
【0011】
コネクタベースは、対向面に沿った導電性のベースプレートと、ベースプレートと、第1ハウジングと、第2ハウジングとを保持する絶縁性のベースハウジングとを有し、ベースプレートは、第1ベース部と第2ベース部とを電気的に接続してもよい。この場合、第1ベース部と第2ベース部との電位差を抑制することによって、信号伝送特性を更に向上させることができる。
【0012】
第1ベース部は、配列方向に沿って互いに対向する一対の第1ベース側壁部と、一対の第1ベース側壁部を連結する第1ベース連結壁部と、を有し、一対の第1ベース側壁部と、第1ベース連結壁部と、ベースプレートとによって第1ケーブルを包囲し、第2ベース部は、配列方向に沿って互いに対向する一対の第2ベース側壁部と、一対の第2ベース側壁部を連結する第2ベース連結壁部と、を有し、一対の第2ベース側壁部と、第2ベース連結壁部と、ベースプレートとによって第2ケーブルを包囲してもよい。この場合、第1ベース部による第1ケーブルのシールド性と、第2ベース部により第2ケーブルのシールド性とが共に向上する。このため、信号伝送特性を更に向上させることができる。
【0013】
第1エンド部は、一対の第1ベース側壁部に連なる一対の第1エンド側壁部と、第1ベース連結壁部に連なり、一対の第1エンド側壁部を連結する第1エンド連結壁部と有し、第2エンド部は、一対の第2ベース側壁部に連なる一対の第2エンド側壁部と、第2ベース連結壁部に連なり、一対の第2エンド側壁部を連結する第2エンド連結壁部と有してもよい。この場合、第1エンド連結壁部に対向するシールドについては相手コネクタに委ね、第2エンド連結壁部に対向するシールドについても相手コネクタに委ねることによって、信号伝送特性の向上と、コネクタの薄型化との両立を図ることができる。
【0014】
第1信号コンタクトは、コネクタベースに対する第1ハウジングの突出方向に沿って順に並ぶ第1接続部と第1接触部とを有し、第2信号コンタクトは、第1ハウジングの突出方向に沿って順に並ぶ第2接続部と第2接触部とを有し、第1ハウジングは、第1エンド連結壁部に向かって第1接続部を露出させ、第1エンド連結壁部に向かう方向の反対に向かって第1接触部を露出させるように、第1信号コンタクトを保持し、第2ハウジングは、第2エンド連結壁部に向かって第2接続部を露出させ、第2エンド連結壁部に向かう方向の反対に向かって第2接触部を露出させるように、第2信号コンタクトを保持してもよい。この場合、第1接触部及び第2接触部を第1シェル及び第2シェルの外部にそれぞれ露出させつつ、第1接続部及び第2接続部を第1シェル及び第2シェルによりそれぞれ包囲することで、信号伝送特性の向上と、コネクタの薄型化との両立を図ることができる。
【0015】
一対の第1ベース側壁部の間隔に比較して、一対の第1エンド側壁部の間隔が小さく、一対の第2ベース側壁部の間隔に比較して、一対の第2エンド側壁部の間隔が小さくてもよい。この場合、信号伝送特性を更に向上させることができる。
【0016】
一対の第1エンド側壁部のそれぞれは、外力の付与によって第1ハウジングに近付き、外力の除去によって第1ハウジングから離れる第1弾性接触部を有し、一対の第2エンド側壁部のそれぞれは、外力の付与によって第2ハウジングに近付き、外力の除去によって第2ハウジングから離れる第2弾性接触部を有してもよい。この場合、信号伝送特性を更に向上させることができる。
【0017】
第1ケーブルは、第1信号導体を包囲する第1外部導体を更に有し、第2ケーブルは、第2信号導体を包囲する第2外部導体を更に有し、ベースプレートは、第1外部導体に対応する第1固定孔と、第2外部導体に対応する第2固定孔とを有してもよい。この場合、信号伝送特性の更なる向上と、取付作業性の更なる向上とを図ることができる。
【0018】
ベースプレートは、一対の第1ベース側壁部にそれぞれ対応する一対の第1シェル固定孔と、一対の第2ベース側壁部にそれぞれ対応する一対の第2シェル固定孔とを有し、一対の第1ベース側壁部のそれぞれは、対応する第1シェル固定孔に挿入される第1固定片を有し、一対の第2ベース側壁部のそれぞれは、対応する第2シェル固定孔に挿入される第2固定片を有し、第1固定孔は一対の第1シェル固定孔の間に位置し、第2固定孔は一対の第2シェル固定孔の間に位置してもよい。この場合、信号伝送特性の更なる向上と、取付作業性の更なる向上とを図ることができる。
【0019】
本開示の他の側面に係る組立方法は、対向面を有するコネクタベースと、対向面に平行な配列方向に沿って並び、それぞれ対向面に平行で配列方向に垂直な第1方向に沿ってコネクタベースから突出した絶縁性の第1ハウジング及び第2ハウジングと、第1ハウジングに保持された第1信号コンタクトと、第2ハウジングに保持された第2信号コンタクトと、を有するベースユニットの対向面に、第1ケーブルの外周を対向させ、第1ケーブルの第1信号導体を第1信号コンタクトに接続することと、対向面に、第2ケーブルの外周を対向させ、第2ケーブルの第2信号導体を第2信号コンタクトに接続することと、第1信号導体が第1信号コンタクトに接続された状態にて、対向面に平行で配列方向に垂直な軸線まわりに第1ハウジングを包囲するように導電性の第1シェルを配置することと、第1シェルをコネクタベースに固定することと、第2信号導体が第2信号コンタクトに接続された状態にて、対向面に平行で配列方向に垂直な軸線まわりに第2ハウジングを包囲するように導電性の第2シェルを配置することと、第2シェルをコネクタベースに固定することと、を含む。
【0020】
第1シェル及び第2シェルが固定されたコネクタベースを、絶縁性のアウターハウジングに収容することを更に含んでもよい。
【0021】
コネクタベースは、対向面に沿った導電性のベースプレートと、ベースプレートと、第1ハウジングと、第2ハウジングとを保持する絶縁性のベースハウジングとを有し、ベースプレートは、配列方向に沿って並ぶ第1シェル固定孔と、第1固定孔と、配列方向に沿って並ぶ第2シェル固定孔と、第2固定孔とを有し、第1シェルをコネクタベースに固定することは、第1シェル固定孔を介して第1シェルをベースプレートに半田付けすることと、第1固定孔を介して第1ケーブルの第1外部導体をベースプレートに半田付けすることと、を含み、第2シェルをコネクタベースに固定することは、第2シェル固定孔を介して第2シェルをベースプレートに半田付けすることと、第2固定孔を介して第2ケーブルの第2外部導体をベースプレートに半田付けすることと、を含んでもよい。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、信号伝送特性の向上と、ケーブルへの取付作業性の向上との両立にコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】コネクタシステムを例示する斜視図である。
図2図1のコネクタシステムを下方から見た斜視図である。
図3図1中のIII-III線に沿った断面図である。
図4図3中の第2コネクタを第1コネクタに嵌合させた状態を示す断面図である。
図5図1中の第1コネクタを下方から見た斜視図である。
図6図5における第1コネクタを分解して示す斜視図である。
図7図6の部分拡大図である。
図8】第1コネクタのシェルを上方から見た拡大図である。
図9】第1コネクタのシェルを下方から見た拡大図である。
図10図1中の第2コネクタを分解して示す斜視図である。
図11図10の部分拡大図である。
図12】第2コネクタのシェルを上方から見た拡大図である。
図13】第2コネクタのシェルを下方から見た拡大図である。
図14】第2コネクタの組立手順を例示する図である。
図15】第2コネクタの組立手順を例示する図である。
図16】第2コネクタの組立手順を例示する図である。
図17】第2コネクタの組立手順を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0025】
〔コネクタシステム〕
図1及び図2に示すコネクタシステム1は、高周波信号を低い劣化で伝送することと、低背化とが求められる用途において、回路基板10(図3に示される)と、複数のケーブル20との接続に用いられる。このような用途の一例として、回路基板10上のプリント配線の代わりに、複数のケーブル20によって回路基板10上の信号伝送を行う情報処理システムが挙げられる。複数のケーブル20のそれぞれをシールドケーブルとすること等によって、プリント配線よりも高い信号伝送特性で信号を伝送することができる。信号伝送特性とは、信号伝送における信号劣化の少なさを意味し、信号伝送特性が高いとは、信号伝送における信号劣化が少ないことを意味する。信号劣化の具体例としては、クロストーク等によるノイズの混入及び信号の減衰等が挙げられる。
【0026】
複数のケーブル20による信号伝送特性を更に高めるためには、回路基板10と複数のケーブル20との接続箇所を、回路基板10上の回路素子(例えばプロセッサ)に近付けることが必要となる。回路基板10と複数のケーブル20との接続箇所を回路素子の近傍に設けるためには、回路素子に設けられるヒートシンク等との干渉を避ける必要がある。このため、コネクタシステム1の低背化が必要とされる。
【0027】
コネクタシステム1は、第1コネクタ2と、第2コネクタ3とを備える。第1コネクタ2は、例えばリセプタクルコネクタであり、回路基板10に接続される。第2コネクタ3は、例えばプラグコネクタであり、複数のケーブル20に接続される。第2コネクタ3を第1コネクタ2に接続可能である。第2コネクタ3を第1コネクタ2に接続することによって、複数のケーブル20が回路基板10に電気的に接続される。第1コネクタ2と第2コネクタ3とは、回路基板10に平行な嵌合方向D12に沿って互いに嵌合する。
【0028】
第1コネクタ2は、複数の信号コンタクト200と、複数のシェル300と、ハウジング100とを備える。複数の信号コンタクト200は、回路基板10に平行で嵌合方向D12に垂直な配列方向D11に沿って並ぶ。複数の信号コンタクト200のそれぞれは、回路基板10に電気的に接続され、相手コネクタ(第2コネクタ3)の信号コンタクトに接触する。複数のシェル300のそれぞれは、嵌合方向D12に沿った軸線まわりに少なくとも一つの信号コンタクト200を包囲する。
【0029】
複数の信号コンタクト200は複数種類の信号を伝送する。複数のシェル300は、複数種類の信号ごとに設けられていてもよい。この場合、複数のシェル300のそれぞれが包囲する領域においては、一種類の信号のみが伝送され、他の信号は伝送されない。一例として、複数の信号コンタクト200のそれぞれが、グランド電位を基準とする一種類の信号を伝送してもよい。この場合、複数のシェル300は複数の信号コンタクト200ごとに設けられる。複数のシェル300のそれぞれは一つの信号コンタクト200のみを包囲し、他の信号コンタクト200を包囲しない。複数の信号コンタクト200は、複数種類の差動信号をそれぞれ伝送する複数対の信号コンタクト200を含んでいてもよい。この場合、複数のシェル300は複数対の信号コンタクト200ごとに設けられる。複数のシェル300のそれぞれは、一対の信号コンタクト200のみを包囲し、他の信号コンタクト200を包囲しない。
【0030】
ハウジング100は、複数の信号コンタクト200と、複数のシェル300とを一体的に保持する。
【0031】
第2コネクタ3は、図1及び図10に示されるように、ベースユニット500と、複数のシェル600とを備える。ベースユニット500は、コネクタベース510と、絶縁性の複数のハウジング520と、導電性の複数の信号コンタクト530とを有する。コネクタベース510は、配列方向D11(D21)に沿って延びる。複数のハウジング520は配列方向D11に沿って並び、それぞれ嵌合方向D12(D22)に沿ってコネクタベース510から互いに同じ方向に向かって突出している。
【0032】
複数の信号コンタクト530は、配列方向D11に沿って並ぶように複数のハウジング520に保持される。複数の信号コンタクト530のそれぞれは、複数のケーブル20のいずれかに電気的に接続され、相手コネクタ(第1コネクタ2)の信号コンタクト200に接触する。複数のハウジング520のそれぞれは、少なくとも一つの信号コンタクト530を保持する。
【0033】
複数の信号コンタクト530は上述の複数種類の信号を伝送し、複数のハウジング520は、複数種類の信号ごとに設けられていてもよい。この場合、複数のハウジング520においては、一種類の信号のみが伝送され、他の信号は伝送されない。一例として、複数の信号コンタクト530のそれぞれが、グランド電位を基準とする一種類の信号を伝送してもよい。この場合、複数のハウジング520は複数の信号コンタクト530ごとに設けられる。複数のハウジング520のそれぞれは一つの信号コンタクト530のみを保持し、他の信号コンタクト530を保持しない。複数の信号コンタクト530は、複数種類の差動信号をそれぞれ伝送する複数対の信号コンタクト530を含んでいてもよい。この場合、複数のハウジング520は複数対の信号コンタクト530ごとに設けられる。複数のハウジング520のそれぞれは、一対の信号コンタクト530のみを保持し、他の信号コンタクト530を保持しない。
【0034】
複数のシェル600は、複数のハウジング520にそれぞれ対応する。複数のシェル600のそれぞれは、対応するハウジング520を嵌合方向D12(D22)に沿った軸線まわりに包囲する。
【0035】
複数のハウジング520は、複数のシェル300にそれぞれ対応する。図3及び図4に示すように、複数のハウジング520のそれぞれは、嵌合方向D12に沿って、対応するシェル300に挿入される。複数のシェル600のそれぞれは、嵌合方向D12に沿って、対応するシェル300に嵌合する。複数の信号コンタクト530のそれぞれは、対応するシェル300内において、対応する信号コンタクト200に接触する。これにより、複数のケーブル20が回路基板10に電気的に接続される。
【0036】
このコネクタシステム1によれば、複数の信号コンタクト200に個別のシェル300を設けることによって、信号コンタクト200とシェル300との関係を個別に最適化することができる。また、シェル300は、回路基板10に平行な嵌合方向D12に沿った軸線まわりに信号コンタクト200を包囲する。これにより、第1コネクタ2に対する第2コネクタ3の嵌合方向が、回路基板10に平行な方向に規制される。このため、第1コネクタ2と第2コネクタ3とにより構成される接続部の低背化(回路基板10の表面に対する低背化)を図ることができる。従って、信号伝送特性の向上と、低背化との両立に有効である。
【0037】
低背化によって、例えば図3及び図4に示すように、ヒートシンク12等との干渉を避け、回路素子11の近傍に第1コネクタ2を配置することが可能となるので、信号伝送特性の更なる向上を図ることができる。
【0038】
複数のシェル300のそれぞれは、対応するシェル600によるハウジング520の包囲を補完してもよい。例えば、ハウジング520の周囲のうち、シェル600により包囲されていない部分をシェル300が包囲してもよい。これにより、シェル600とシェル300との重複を削減することで、更なる低背化が可能となる。
【0039】
以下、第1コネクタ2及び第2コネクタ3のそれぞれの構成をより詳細に例示する。
【0040】
〔第1コネクタ〕
第1コネクタ2の説明においては、便宜上、回路基板の表面に向かう方向を「下方」とし、回路基板の表面から離れる方向を「上方」とする。図5は、第1コネクタ2を下方から見た斜視図であり、図6は、図5中の第1コネクタ2を分解して示す斜視図である。図5に示すように、第1コネクタ2は、絶縁性のハウジング100と、導電性の複数の信号コンタクト200と、導電性の複数のシェル300とを有する。
【0041】
図6及び図7に示されるように、ハウジング100は、対向面101と、後退面102と、複数の凸部110とを有する。対向面101は、回路基板10に対向する。後退面102は、対向面101が回路基板10に対向した状態にて、回路基板10から離れた位置で回路基板10に対向する。 複数の凸部110は、対向面101に平行な配列方向D11に沿って並び、それぞれ後退面102から突出している。
【0042】
複数の凸部110は、複数のシェル300にそれぞれ対応する。複数のシェル300のそれぞれは、対応する凸部110に保持される。また、複数のシェル300のそれぞれが包囲する少なくとも一つの信号コンタクト200も凸部110に保持される。例えば、複数のシェル300のそれぞれが包囲する一対の信号コンタクト200が、配列方向D11に沿って並ぶように凸部110に保持される。ハウジング100は、樹脂材料の成型等により形成される。
【0043】
一箇所の凸部110と、これに対応するシェル300及び一対の信号コンタクト200は、一セットの信号伝送部TP1を構成する。第1コネクタ2は、複数の凸部110にそれぞれ対応する複数セットの信号伝送部TP1を含む。複数セットの信号伝送部TP1は、配列方向D11に沿って並び、上述した複数種類の信号をそれぞれ伝送する。以下、複数セットの信号伝送部TP1を代表して、図示左側から一番目と二番目の二セットの信号伝送部TP1について、より詳細に構成を例示する。
【0044】
複数セットの信号伝送部TP1の構成は共通であるが、説明の便宜上、図示左側から一番目の信号伝送部TP1に属する凸部110、信号コンタクト200及びシェル300を第1凸部110A、第1信号コンタクト200A及び第1シェル300Aとし、図示左側から二番目の信号伝送部TP1に属する凸部110、信号コンタクト200及びシェル300を第2凸部110B、第2信号コンタクト200B及び第2シェル300Bとして互いに区別する。
【0045】
特に図7に示すように、第1信号コンタクト200Aと、第2信号コンタクト200Bとは、配列方向D11に沿って並ぶようにハウジング100に保持される。例えば、一対の第1信号コンタクト200Aが配列方向D11に沿って並ぶように第1凸部110Aに保持され、一対の第2信号コンタクト200Bが配列方向D11に沿って並ぶように第2凸部110Bに保持され、第1凸部110Aと第2凸部110Bとの配列に対応して、一対の第1信号コンタクト200Aと一対の第2信号コンタクト200Bとが配列方向D11に沿って並んでいる。
【0046】
一対の第1信号コンタクト200Aは、第1差動信号を伝送する。一対の第2信号コンタクト200Bは、第1差動信号とは別の第2作動信号を伝送する。
【0047】
一対の第1信号コンタクト200Aのそれぞれは、接続部201(第1接続部)と、接触部202(第1接触部)とを有する。接続部201は、回路基板10に電気的に接続される。例えば接続部201は、回路基板10に形成された導電性の信号ターミナルに半田付け等によって接続される。接触部202は、対向面101に平行で配列方向D11に垂直な嵌合方向D12に沿って接続部201から突出している。以下、説明の便宜上、接続部201に対する接触部202の突出方向を「前方」といい、その反対方向を「後方」という。 第1信号コンタクト200Aは、接触部202が回路基板10から離れて位置するように、接続部201と接触部202との間でクランク状に屈曲している。第1信号コンタクト200Aは、例えば金属の薄板材の打ち抜き及び曲げ加工等により形成される。
【0048】
一対の第2信号コンタクト200Bのそれぞれは、第1信号コンタクト200Aと同様に構成され、接続部201(第2接続部)と、接触部202(第2接続部)とを有する。第2信号コンタクト200Bの接続部201は、第1信号コンタクト200Aの接続部201が接続される信号ターミナルとは別個に回路基板10に形成された導電性の信号ターミナルに半田付け等によって接続される。
【0049】
第1シェル300Aは、嵌合方向D12に沿った軸線まわりに一対の第1信号コンタクト200Aを包囲するようにハウジング100に保持され、対向面101が回路基板10に対向した状態にて、回路基板10に電気的に接続される。包囲は、必ずしも対象物体の全周を包囲することに限られず、対象物体を部分的に包囲することも含む。例えば、対象物体の全周の半周以上に対向していれば「包囲」に含まれ得る。以下においても同様である。
【0050】
嵌合方向D12において、第1シェル300Aは一対の第1信号コンタクト200Aを部分的に包囲していてもよい。例えば第1シェル300Aは、少なくとも一対の第1信号コンタクト200Aの接触部202を包囲する。
【0051】
第1シェル300A内においては、少なくとも一つの第1信号コンタクト200Aにより伝送される一種類の信号以外の信号は伝送されない。当該一種類の信号が、第1シェル300A内で伝送される唯一の信号である。例えば、第1シェル300A内においては、上記第1差動信号のみが伝送され、他の信号は伝送されない。 第1シェル300Aは一対の第1信号コンタクト200Aのみを包囲し、他の信号コンタクト200を包囲しない。
【0052】
一対の第1信号コンタクト200Aを包囲する形状に特に制限はない。第1シェル300Aは、一対の第1信号コンタクト200Aを円形状に包囲してもよく、一対の第1信号コンタクト200Aを多角形状に包囲してもよい。一例として、第1シェル300Aは、第1信号コンタクト200Aを矩形状に包囲してもよい。例えば第1シェル300Aは、一対の側壁部310(第1側壁部)と、連結壁部320(第1連結壁部)とを有する。
【0053】
一対の側壁部310は、配列方向D11に沿って互いに対向する。一対の第1信号コンタクト200Aの接触部202は、一対の側壁部310の間に位置する。連結壁部320は、対向面101に平行に広がって一対の側壁部310を連結する。対向面101が回路基板10に対向した状態にて、連結壁部320は接触部202と回路基板10との間に位置してもよい。
【0054】
第1シェル300Aは、対向壁部330(第1対向壁部)を更に有してもよい。対向壁部330は、対向面101に垂直な方向に沿って連結壁部320と対向する。一対の第1信号コンタクト200Aの接触部202は、連結壁部320と対向壁部330との間に位置する。上述のように、連結壁部320が接触部202と回路基板10との間に位置する場合、対向壁部330は接触部202と後退面102との間に位置する。
【0055】
第1シェル300Aは、対向壁部330を、一対の側壁部310にそれぞれ対応するよう に分割するシェルスリット333(第1シェルスリット)を更に有してもよい(図8参照)。例えばシェルスリット333は、嵌合方向D12に沿って対向壁部330の全長に亘って形成され、対向壁部330を、一方の側壁部310に対応する部分331と、他方の側壁部310に対応する部分332とに分割する。
【0056】
接触部202と対向壁部330との間には、受入空間IS(第1受入空間)が形成される。受入空間ISには、嵌合方向D12に沿って、相手コネクタ(第2コネクタ3)の相手第1ハウジング(複数のハウジング520のいずれか一つ)が挿入され、相手第1ハウジングを包囲するシェル600が第1シェル300Aに嵌合し、相手第1ハウジングに保持された相手信号コンタクト(信号コンタクト530)が第1信号コンタクト200Aの接触部202に接触する(図4参照)。例えば、一対の信号コンタクト530が、一対の第1信号コンタクト200Aの接触部202にそれぞれ接触する。
【0057】
第1シェル300Aは、後方に向かって一対の側壁部310からそれぞれ張り出した一対の張出部340(第1張出部)を更に有してもよい。一対の第1信号コンタクト200Aの接続部201は、一対の張出部340の間に位置する。
【0058】
第1シェル300Aは、対向面101が回路基板10に対向した状態にて、回路基板10に電気的に接続されるように一対の張出部340にそれぞれ形成された一対のシェル接続部341(第1シェル接続部)を更に有してもよい。例えば一対のシェル接続部341のそれぞれは、対応する張出部340の下縁に形成され、上述の信号ターミナルとは別個に回路基板10に形成された導電性のグランドターミナルに半田付け等によって接続される。回路基板10において、グランドターミナルにはグランド電位が付与される。以下、シェル接続部341の他の部分が接続されるグランドターミナルについても同様である。
【0059】
第1シェル300Aは、アンカー部350(第1アンカー部)と、中間接続部360(第1中間接続部)とを更に有してもよい(図9参照)。アンカー部350は、連結壁部320から後方に向かって張り出して第1凸部110Aに保持される。中間接続部360は、対向面101が回路基板10に対向した状態にて、回路基板10に電気的に接続されるように連結壁部320に形成されている。例えば中間接続部360は、アンカー部350の後端部に形成されており、後退面102から離れる方向に向かってアンカー部350の後端部から突出している。一例として、中間接続部360は、アンカー部350の後端部から後方及び下方に向かって突出し、回路基板10に形成されたグランドターミナルに半田付け等によって接続される。
【0060】
第1シェル300Aは、例えば金属の薄板の打ち抜き及び曲げ加工により形成される。
【0061】
第2シェル300Bは、嵌合方向D12に沿った軸線まわりに一対の第2信号コンタクト200Bを包囲するようにハウジング100に保持され、対向面101が回路基板10に対向した状態にて、回路基板10に電気的に接続される。例えば第2シェル300Bは、少なくとも一対の第2信号コンタクト200Bの接触部202を包囲する。第2シェル300B内においては、少なくとも一つの第2信号コンタクト200Bにより伝送される一種類の信号以外の信号は伝送されない。当該一種類の信号が、第2シェル300B内で伝送される唯一の信号である。例えば、第2シェル300B内においては、上記第2差動信号のみが伝送され、他の信号は伝送されない。第2シェル300Bは一対の第2信号コンタクト200Bのみを包囲し、他の信号コンタクト200を包囲しない。
【0062】
第2シェル300Bは、第1シェル300Aと同様に構成され、一対の側壁部310(第2側壁部)と、連結壁部320(第2連結壁部)とを有する。一対の第2信号コンタクト200Bの接触部202は、一対の側壁部310の間に位置する。
【0063】
第1シェル300Aと同様に、第2シェル300Bは、対向壁部330(第2対向壁部)と、シェルスリット333(第2シェルスリット)とを更に有してもよい。一対の第2信号コンタクト200Bの接触部202は、連結壁部320と対向壁部330との間に位置する。連結壁部320が接触部202と回路基板10との間に位置する場合、対向壁部330は接触部202と後退面102との間に位置する。
【0064】
接触部202と対向壁部330との間には、受入空間IS(第2受入空間)が形成される。受入空間ISには、嵌合方向D12に沿って、相手コネクタ(第2コネクタ3)の相手第2ハウジング(複数のハウジング520のいずれか一つ)が挿入され、相手第2ハウジングを包囲するシェル600が第2シェル300Bに嵌合し、相手第2ハウジングに保持された相手信号コンタクト(信号コンタクト530)が第2信号コンタクト200Bの接触部202に接触する(図4参照)。例えば、一対の信号コンタクト530が、一対の第2信号コンタクト200Bの接触部202にそれぞれ接触する。
【0065】
第1シェル300Aと同様に、第2シェル300Bは、一対の張出部340(第2張出部)と、一対のシェル接続部341を更に有してもよい。一対の第2信号コンタクト200Bの接続部201は、一対の張出部340の間に位置する。第1シェル300Aの一対のシェル接続部341と同様に、第2シェル300Bの一対のシェル接続部341は、回路基板10に形成されたグランドターミナルに半田付け等によって接続される。
【0066】
第1シェル300Aと同様に、第2シェル300Bは、アンカー部350と、中間接続部360とを更に有してもよい。アンカー部350は、連結壁部320から後方に張り出して第2凸部110Bに保持される。中間接続部360は、回路基板10に形成されたグランドターミナルに半田付け等によって接続される。
【0067】
図7に示されるように、第1凸部110Aは、後退面102から突出して 第1シェル300Aの一対の張出部340の間に位置し、一対の第1信号コンタクト200Aと第1シェル300Aとを保持する。例えば第1凸部110Aは、一対のコンタクト保持孔111(第1凸部110Aの上方に位置する)と、アンカー孔112とを有する。一対のコンタクト保持孔111は、配列方向D11に沿って並び、それぞれ嵌合方向D12に沿って第1凸部110Aを貫通している。一対のコンタクト保持孔111には、後方から一対の第1信号コンタクト200Aの接触部202がそれぞれ挿入される。一対の第1信号コンタクト200Aの接触部202の端部は、第1凸部110Aから前方に突出し、第1シェル300Aに包囲される。アンカー孔112は、一対のコンタクト保持孔111よりも下方に位置し、嵌合方向D12に沿って第1凸部110Aを貫通している。アンカー孔112には、前方から第1シェル300Aのアンカー部350が挿入される。
【0068】
第1凸部110Aには、スリット113(第1スリット)が形成されていてもよい。スリット113は、嵌合方向D12に沿った中間接続部360の変位を許容する。例えばスリット113は、嵌合方向D12に沿い、アンカー孔112の下部の全長に亘って形成されており、スリット113内に中間接続部360が配置される。スリット113が嵌合方向D12に沿って延びているため、嵌合方向D12に沿った中間接続部360の変位が許容される。
【0069】
ハウジング100は、第1支持部114Aを更に有してもよい。第1支持部114Aは、第1凸部110Aから前方に向かって張り出して接触部202と連結壁部320との間に位置する。例えば第1支持部114Aは、一対のコンタクト保持孔111とアンカー孔112との間において、第1凸部110Aから前方に向かって張り出している。
【0070】
第2凸部110Bは、後退面102から突出して第2シェル300Bの一対の張出部340の間に位置し、一対の第2信号コンタクト200Bと第2シェル300Bとを保持する。例えば第2凸部110Bは、第1凸部110Aと同様に、一対のコンタクト保持孔111(第2凸部110Bの上方に位置する)と、アンカー孔112とを有する。一対のコンタクト保持孔111には、後方から一対の第2信号コンタクト200Bの接触部202がそれぞれ挿入される。一対の第2信号コンタクト200Bの接触部202の端部は、第2凸部110Bから前方に突出し、第2シェル300Bに包囲される。アンカー孔112には、前方から第2シェル300Bのアンカー部350が挿入される。第1凸部110Aと同様に、第2凸部110Bにはスリット113(第2スリット)が形成されていてもよい。スリット113内には、第2シェル300Bの中間接続部360が配置される。
【0071】
ハウジング100は、第1支持部114Aと同様の第2支持部114Bを更に有してもよい。第2支持部114Bは、第2凸部110Bから前方に向かって張り出して接触部202と連結壁部320との間に位置する。例えば第2支持部114Bは、一対のコンタクト保持孔111とアンカー孔112との間において、第2凸部110Bから前方に向かって張り出している。
【0072】
図5及び図6に戻り、第1コネクタ2は、導電性のアウターシェル400を更に備えてもよい。ハウジング100は、対向面101の裏面103を有し、アウターシェル400は裏面103を覆う。
【0073】
例えばアウターシェル400は、主板部410と、一対のアウター側壁部420と、一対のアンカー部430とを有し、金属の薄板材の打ち抜き及び曲げ加工等により形成される。主板部410は、裏面103の少なくとも一部を覆うように広がっている。一対のアウター側壁部420は、配列方向D11における主板部410の両端部にそれぞれ設けられている。例えば一対のアウター側壁部420は、主板部410の両端部において、主板部410に対して下方に屈曲し、配列方向D11に沿って互いに対向している。一対のアンカー部430も、配列方向D11における主板部410の両端部にそれぞれ設けられており、一対のアウター側壁部420よりも後方に位置している。例えば一対のアンカー部430は、主板部410の両端部において、主板部410に対して下方に屈曲し、配列方向D11に沿って互いに対向している。前方から見て、複数のシェル300は、一対のアウター側壁部420の間に位置し、一対のアンカー部430の間にも位置する。
【0074】
一対のアンカー部430は、ハウジング100に保持される。例えばハウジング100は、一対のアンカー部430にそれぞれ対応する一対のアウター保持孔121を更に有する。一対のアウター保持孔121のそれぞれは、ハウジング100を上下に貫通している。一対のアンカー部430は、上方から一対のアウター保持孔121にそれぞれ挿入される。
【0075】
一対のアウター側壁部420は、ハウジング100の前面よりも前方に張り出していてもよい。これにより、嵌合方向D12に沿って第2コネクタ3がスムーズにガイドされる。
【0076】
主板部410の両端部には、ハウジング100の前面よりも前方に張り出す一対の張出部412がそれぞれ形成されており、一対の張出部412には一対のロック開口411がそれぞれ形成されている。一対のロック開口411のそれぞれは、下方から見て、複数のシェル300と、一対のアウター側壁部420との間にそれぞれ位置している。一対のロック開口411には、後述する第2コネクタ3の一対のロック爪814がそれぞれ係合する。
【0077】
アウターシェル400は、一対のアウター接続部421を更に有してもよい。一対のアウター接続部421は、対向面101が回路基板10に対向した状態にて、回路基板10に電気的に接続されるように、一対のアウター側壁部420にそれぞれ形成されている。例えば一対のアウター接続部421のそれぞれは、対応するアウター側壁部420の下縁に形成され、回路基板10に形成されたグランドターミナルに半田付け等によって接続される。
【0078】
〔第2コネクタ〕
上述したように、第2コネクタ3は、複数のケーブル20に接続される。特に図11に示されるように、複数のケーブル20のそれぞれは、少なくとも一本の信号導体24を有する。一本のケーブル20は、一種類の信号を伝送する。例えばケーブル20は、一種類の差動信号を伝送する。例えば、一本のケーブル20は、一対の電線21と、外部導体22と、絶縁性のアウターシース23とを有する。一対の電線21のそれぞれは、一本の信号導体24と、信号導体24を被覆する絶縁性のインナーシース25とを有する。以下、一対の電線21の信号導体24を、一対の信号導体24という。一対の信号導体24によって、上述の差動信号が伝送される。外部導体22は、一対の電線21を包囲し、アウターシース23は外部導体22を被覆する。
【0079】
図10は、第2コネクタ3を分解して示す斜視図であり、図11は、図10の部分拡大図である。図10に示すように、第2コネクタ3は、ベースユニット500と、複数のシェル600とを有する。図11に示すように、ベースユニット500は、コネクタベース510と、絶縁性の複数のハウジング520と、導電性の複数の信号コンタクト530とを有する。
【0080】
コネクタベース510は、対向面511を有する。対向面511は、配列方向D21に沿って配列された複数のケーブル20の端部の外周に対向する。複数のハウジング520は、複数のケーブル20にそれぞれ対応する。複数のハウジング520は、配列方向D21に沿って並び、それぞれ対向面511に平行で配列方向D21に垂直な嵌合方向D22に沿って、対応するケーブル20の端部から遠ざかる方向に突出する。
【0081】
以下、説明の便宜上、対向面511が面する方向を「上方」とし、その反対方向を「下方」とする。また、複数のハウジング520がコネクタベース510から突出する方向を「前方」とし、その反対方向を「後方」とする。この定義によれば、複数のケーブル20が、コネクタベース510から後方に延びることとなる。第2コネクタ3が第1コネクタ2に嵌合した状態において、第1コネクタ2の説明における上下と、第2コネクタ3の説明における上下とは一致することとなる。また、第2コネクタ3の説明における前方は第1コネクタ2の説明における後方に対応し、第2コネクタ3の説明における後方は第1コネクタ2の説明における前方に対応する。
【0082】
複数の信号コンタクト530は、複数のハウジング520にそれぞれ対応する複数対の信号コンタクト530を含む。複数対の信号コンタクト530のそれぞれは、対応するハウジング520に保持される。複数対の信号コンタクト530のそれぞれには、上述した一対の信号導体24がそれぞれ接続される。
【0083】
複数のシェル600は、複数のハウジング520にそれぞれ対応する。複数のシェル600のそれぞれは、対応するハウジング520を包囲する。
【0084】
第2コネクタ3は、複数のハウジング520にそれぞれ対応する複数セットの信号伝送部TP2を含む。複数セットの信号伝送部TP2は、配列方向D21に沿って並び、上述した複数種類の信号をそれぞれ伝送する。以下、複数セットの信号伝送部TP2を代表して、図示右側から一番目と二番目の二セットの信号伝送部TP2について、より詳細に構成を例示する。なお、図示右側から一番目の信号伝送部TP2は、図7における左側から一番目の信号伝送部TP1に対応する。図示右側から二番目の信号伝送部TP2は、図7における左側から二番目の信号伝送部TP2に対応する。
【0085】
複数の信号伝送部TP2の構成は共通であるが、説明の便宜上、図11における右側から一番目の信号伝送部TP2に属するハウジング520、信号コンタクト530及びシェル600を第1ハウジング520A、第1信号コンタクト530A及び第1シェル600Aとし、右側から二番目の信号伝送部TP2に属するハウジング520、信号コンタクト530及びシェル600を第2ハウジング520B、第2信号コンタクト530B及び第2シェル600Bとして互いに区別する。また、右側から一番目の信号伝送部TP2に対応するケーブル20を第1ケーブル20Aとし、右側から二番目の信号伝送部TP2に属するケーブル20を第2ケーブル20Bとして互いに区別する。
【0086】
第1ハウジング520A及び第2ハウジング520Bは、配列方向D21に沿って並び、嵌合方向D22に沿ってコネクタベース510から前方に向かって突出している。
【0087】
図11に示されるように、一対の第1信号コンタクト530Aは、第1ハウジング520Aに保持され、第1ケーブル20Aの一対の信号導体24にそれぞれ接続される。一対の第1信号コンタクト530Aのそれぞれは、前方に向かって順に並ぶ接続部531(第1接続部)と接触部532(第1接触部)とを有する。
【0088】
第1ハウジング520Aは、接続部531を上方に露出させ、接触部532を下方に露出させるように、一対の第1信号コンタクト530Aを保持する(図3参照)。これにより、接続部531に対して上方から信号導体24を接続することが可能であり、接触部532は相手コネクタ(第1コネクタ2)の第1信号コンタクト200Aに上方から接触可能である(図4参照)。
【0089】
第1ケーブル20Aの先端部のうち、接続部531に対応する部分においては、アウターシース23、外部導体22及びインナーシース25が除去され、露出した一対の信号導体24が接続部531にそれぞれ接続される。
【0090】
第1信号コンタクト530Aは、例えば金属の薄板材の打ち抜き及び曲げ加工等により形成される。
【0091】
一対の第2信号コンタクト530Bは、第2ハウジング520Bに保持され、第2ケーブル20Bの一対の信号導体24にそれぞれ接続される。一対の第2信号コンタクト530Bのそれぞれは、第1ハウジング520Aと同様に、接続部531(第2接続部)と接触部532(第2接触部)とを有する。
【0092】
第2ハウジング520Bは、接続部531を上方に露出させ、接触部532を下方に露出させるように、一対の第2信号コンタクト530Bを保持する(図3参照)。これにより、接続部531に対して上方から信号導体24を接続することが可能であり、接触部532は相手コネクタ(第1コネクタ2)の第2信号コンタクト200Bに上方から接触可能である(図4参照)。
【0093】
第2ケーブル20Bの先端部のうち、接続部531に対応する部分においては、アウターシース23、外部導体22及びインナーシース25が除去され、露出した一対の信号導体24が接続部531にそれぞれ接続される。
【0094】
第1シェル600Aは、嵌合方向D22に沿った軸線まわりに第1ハウジング520Aを包囲するようにコネクタベース510に固定される。例えば第1シェル600Aは、ベース部610(第1ベース部)と、エンド部620(第1エンド部)とを有する。
【0095】
ベース部610は、第1ケーブル20Aを包囲してコネクタベース510に固定される。第1ケーブル20Aの先端部のうち、ベース部610に対応する部分においては、アウターシース23が除去される。ベース部610は、アウターシース23の除去により露出した外部導体22を包囲する。外部導体22を包囲する形状に特に制限はない。ベース部610は、外部導体22を円形状に包囲してもよく、外部導体22を多角形状に包囲してもよい。一例として、ベース部610は、外部導体22を矩形状に包囲してもよい。例えばベース部610は、一対のベース側壁部611(第1ベース側壁部)と、ベース連結壁部612(第1ベース連結壁部)とを有する。一対のベース側壁部611は、配列方向D21に沿って互いに対向する。第1ケーブル20Aの外部導体22は、第1シェル600Aの一対のベース側壁部611の間に位置する。ベース連結壁部612は、対向面511に平行に広がって一対のベース側壁部611を連結する。
【0096】
エンド部620は、嵌合方向D22に沿ってベース部610から前方に延びて第1ハウジング520Aを包囲する。第1ハウジング520Aを包囲する形状に特に制限はない。エンド部620は、第1ハウジング520Aを円形状に包囲してもよく、第1ハウジング520Aを多角形状に包囲してもよい。一例として、エンド部620は、第1ハウジング520Aを矩形状に包囲してもよい。例えばエンド部620は、一対のエンド側壁部621(第1エンド側壁部)と、エンド連結壁部622(第1エンド連結壁部)とを有する。一対のエンド側壁部621は、一対のベース側壁部611に連なる。エンド連結壁部622は、ベース連結壁部612に連なり、一対のエンド側壁部621を連結する。
【0097】
一対のベース側壁部611の間隔614に比較して、一対のエンド連結壁部622の間隔623は小さい(図12参照)。ベース部610内には第1ケーブル20Aの外部導体22が存在するのに対し、エンド部620内には第1ケーブル20Aの外部導体22が存在しない。外部導体22が存在する位置における間隔614に比較して、外部導体22が存在しない位置の間隔623を小さくすることによって、一対の信号導体24と、一対の信号導体24を包囲するグランド電位の金属体との配置関係の均一性を向上させ、信号伝送特性を更に向上させることができる。
【0098】
図11に戻り、エンド部620Aは、第1シェル300Aの上側部分に嵌合する。例えば、一対のエンド側壁部621が、第1シェル300Aの一対の側壁部310の内面にそれぞれ重なり、エンド連結壁部622が対向壁部330の内面に重なる。このようにエンド部620Aが第1シェル300Aに嵌合すると、エンド部620Aによる第1ハウジング520Aの包囲が第1シェル300Aにより補完される。例えば、エンド部620Aによっては包囲されない第1ハウジング520Aの下側部分が、第1シェル300Aにより包囲される。
【0099】
また、第1シェル300Aによる一対の第1信号コンタクト200Aの包囲が、エンド部620Aにより補完される。例えば、シェルスリット333による包囲の切れ目が、エンド部620Aのエンド連結壁部622により補完される(図4参照)。
【0100】
一対のエンド側壁部621のそれぞれは、弾性接触部624(第1弾性接触部)を有してもよい(図12及び図13参照)。弾性接触部624は、外力の付与によって第1ハウジング520Aに近付き、外力の除去によって第1ハウジング520Aから離れる。一対のエンド側壁部621の弾性接触部624は、第1シェル300Aの一対の側壁部310の内面にそれぞれ接触する。これにより、エンド部620Aによる第1ハウジング520Aの包囲が、第1シェル300Aによって更に強固に補完される。
【0101】
エンド連結壁部622は、接触部625を有してもよい。接触部625は、一対のエンド側壁部621の中間位置において嵌合方向D12の沿って延びており、上方に膨出している。エンド連結壁部622の幅は、第1シェル300Aのシェルスリット333の幅よりも大きい。このため、エンド連結壁部622は、シェルスリット333にまたがって、対向壁部330の部分331及び部分332の両方に接触する。これにより、第1シェル300Aによる一対の第1信号コンタクト200Aの包囲が、エンド部620Aによって更に強固に補完される。
【0102】
第2シェル600Bは、嵌合方向D22に沿った軸線まわりに第2ハウジング520Bを包囲するようにコネクタベース510に固定される。例えば第2シェル600Bは、第1シェル600Aと同様に、ベース部610(第2ベース部)と、エンド部620(第2エンド部)とを有する。
【0103】
ベース部610は、第2ケーブル20Bを包囲してコネクタベース510に固定される。第2シェル600Bのベース部610は、第1シェル600Aのベース部610と同様に、一対のベース側壁部611(第2ベース側壁部)と、ベース連結壁部612(第2ベース連結壁部)とを有する。第2ケーブル20Bの先端部のうち、ベース部610に対応する部分においては、アウターシース23が除去される。ベース部610は、アウターシース23の除去により露出した外部導体22を包囲する。
【0104】
エンド部620は、嵌合方向D22に沿ってベース部610から前方に延びて第2ハウジング520Bを包囲する。第2シェル600Bのエンド部620は、第1シェル600Aのベース部610と同様に、一対のエンド側壁部621(第2エンド側壁部)と、エンド連結壁部622(第2エンド連結壁部)とを有する。
【0105】
エンド部620Bは、第2シェル300Bの上側部分に嵌合する。例えば、一対のエンド側壁部621が、第2シェル300Bの一対の側壁部310の内面にそれぞれ重なり、エンド連結壁部622が対向壁部330の内面に重なる。このように、エンド部620Bが第2シェル300Bに嵌合すると、エンド部620Bによる第2ハウジング520Bの包囲が第2シェル300Bにより補完される。例えば、エンド部620Bによっては包囲されない第2ハウジング520Bの下側部分が、第2シェル300Bにより包囲される。
【0106】
また、第2シェル300Bによる一対の第2信号コンタクト200Bの包囲が、エンド部620Bにより補完される。例えば、シェルスリット333による包囲の切れ目が、エンド部620Bのエンド連結壁部622により補完される。
【0107】
第1シェル600Aの一対のエンド側壁部621と同様に、第2シェル600Bの一対のエンド側壁部621のそれぞれは、弾性接触部624(第2弾性接触部)を有してもよい。第1シェル600Aのエンド連結壁部622と同様に、第2シェル600Bのエンド連結壁部622は、接触部625を有してもよい。
【0108】
コネクタベース510は、導電性のベースプレート512と、絶縁性のベースハウジング513とを有してもよい。ベースプレート512は対向面に沿って広がり、複数のケーブル20を下方から支持する。ベースハウジング513は、ベースプレート512と、第1ハウジング520Aと、第2ハウジング520Bとを保持する。ベースユニット500は、ベースプレート512と、複数の信号コンタクト530とを配置した状態で行うインサート成型により、ベースハウジング513及び複数のハウジング520を樹脂材料で成型すること等によって形成される。
【0109】
第1シェル600Aのベース部610は、一対のベース側壁部611と、ベース連結壁部612と、ベースプレート512とによって第1ケーブル20Aの外部導体22を包囲し、ベースプレート512に固定される。第2シェル600Bのベース部610は、一対のベース側壁部611と、ベース連結壁部612と、ベースプレート512とによって第2ケーブル20Bの外部導体22を包囲し、ベースプレート512に固定される。ベースプレート512は、第1シェル600Aのベース部610と、第2シェル600Bのベース部610とを電気的に接続する。
【0110】
第1シェル600Aのベース部610内においては、第1ケーブル20Aの外部導体22が、ベースプレート512に電気的に接続される。例えば外部導体22は、半田付け等によってベースプレート512に固定される。第2シェル600Bのベース部610内においては、第2ケーブル20Bの外部導体22が、ベースプレート512に電気的に接続される。例えば外部導体22は、半田付け等によってベースプレート512に固定される。
【0111】
ベースプレート512は、複数のケーブル20にそれぞれ対応する複数の固定孔514を有してもよい。複数の固定孔514は、配列方向D11に沿って並び、対向面511に垂直な上下方向に沿ってベースプレート512を貫通する。複数の固定孔514のそれぞれは、対応するケーブル20の外部導体22を下方に露出させる。
【0112】
複数の固定孔514は、第1ケーブル20Aに対応する第1固定孔514Aと、第2ケーブル20Bに対応する第2固定孔514Bとを含む。第1固定孔514Aは第1ケーブル20Aの外部導体22を下方に露出させ、第2固定孔514Bは第2ケーブル20Bの外部導体22を下方に露出させる。
【0113】
第1シェル600A及び第2シェル600Bについて上述したように、複数のシェル600のそれぞれが一対のベース側壁部611を有するので、第2コネクタ3は配列方向D21に沿って並ぶ複数対のベース側壁部611を備えることとなる。これに対し、ベースプレート512は、複数対のベース側壁部611にそれぞれ対応する複数対のシェル固定孔515を有してもよい。
【0114】
複数の固定孔514と、複数対のシェル固定孔515とは、配列方向D21に沿って一列に並んでいる。この配列において、複数対のシェル固定孔515のそれぞれの間には、一つの固定孔514が配置される。複数対のシェル固定孔515のそれぞれは、上下方向に沿ってベースプレート512を貫通し、対応する一対のベース側壁部611をそれぞれ下方に露出させる。これにより、複数対のベース側壁部611と、複数のケーブル20の外部導体22とが、一列に並んだ状態で下方に露出することとなる。このため、複数対のベース側壁部611と、複数のケーブル20の外部導体22とを、下方からまとめて半田付け等によってベースプレート512に固定することができる。
【0115】
複数対のシェル固定孔515は、第1シェル600Aの一対のベース側壁部611にそれぞれ対応する一対の第1シェル固定孔515Aと、第2シェル600Bの一対のベース側壁部611にそれぞれ対応する一対の第2シェル固定孔515Bとを含む。第1固定孔514Aは、一対の第1シェル固定孔515Aの間に位置し、第2固定孔514Bは一対の第2シェル固定孔515Bの間に位置する。
【0116】
複数対のベース側壁部611のそれぞれは、対応するシェル固定孔515に挿入される固定片613を有してもよい。例えば、第1シェル600Aの一対のベース側壁部611のそれぞれは、対応する第1シェル固定孔515Aに挿入される固定片613(第1固定片)を有してもよい。第2シェル600Bの一対のベース側壁部611のそれぞれは、対応する第2シェル固定孔515Bに挿入される固定片613(第2固定片)を有してもよい。これにより、半田付け等による固定の前に、複数のシェル600をベースプレート512に対して位置決め及び仮止めすることができるので、複数対のベース側壁部611と、複数のケーブル20の外部導体22とをベースプレート512に固定する際の作業性が向上する。固定片613は、対応するシェル固定孔515に挿入された状態で半田付け等によってベースプレート512に固定される。
【0117】
図10に戻り、第2コネクタ3は、絶縁性のアウターハウジング700を更に備えてもよい。アウターハウジング700は、第1シェル600A及び第2シェル600Bを含む複数のシェル600が固定されたコネクタベース510を収容する。アウターハウジング700は、嵌合方向D22に垂直な前壁部710を有してもよい。前壁部710は、複数のハウジング520にそれぞれ対応する複数の開口711を有してもよい。複数のハウジング520のそれぞれは、シェル600に包囲された状態で、対応する開口711を経てアウターハウジング700から前方に突出する。
【0118】
複数の開口711は、第1ハウジング520Aに対応する第1開口711Aと、第2ハウジング520Bに対応する第2開口711Bとを含む。第1ハウジング520Aは、第1シェル600Aに包囲された状態で、第1開口711Aを経てアウターハウジング700から前方に突出する。第2ハウジング520Bは、第2シェル600Bに包囲された状態で、第2開口711Bを経てアウターハウジング700から前方に突出する。
【0119】
第2コネクタ3は、アウターハウジング700に固定され、第1ケーブル20Aと第2ケーブル20Bとの間隔を含む複数のケーブル20の間隔を規制する絶縁性のセパレータ730を更に備えてもよい。セパレータ730は、コネクタベース510よりも後方において、複数のケーブル20をアウターシース23の外から保持する。コネクタベース510は、前壁部710とセパレータ730との間に配置される。セパレータ730は、複数のケーブル20にそれぞれ対応する複数の開口731を有する(図2及び図3参照)。複数の開口731は、配列方向D21に沿って並ぶ。複数の開口731のそれぞれは、嵌合方向D22に沿ってセパレータ730を貫通する。複数のケーブル20のそれぞれは、対応する開口731内に保持される。セパレータ730によって、ケーブル20間の距離を適切に保ち、信号伝送特性を更に向上させることができる。また、セパレータ730によって、第2コネクタ3に対する複数のケーブル20の固定強度を高めることもできる。
【0120】
セパレータ730は、複数のケーブル20の端部にベースユニット500、複数のシェル600及びアウターハウジング700を取り付けた状態で行う樹脂の二色成型により形成される。セパレータ730は、ポッティングによる樹脂封止により形成されてもよい。予め成形されたセパレータ730を複数のケーブル20に装着した状態で、複数のケーブル20の端部にベースユニット500、複数のシェル600及びアウターハウジング700を取り付けてもよい。この場合、複数の開口731を中心に、セパレータ730を上部材と下部材とに分けて成形し、複数のケーブル20を挟むように上部材と下部材とを組み合わせてもよい。セパレータ730を、ベースユニット500に取り付けてもよく、ベースユニット500と一体的に成形してもよい。これにより、第2コネクタ3に対する複数のケーブル20の固定強度を更に高めることができる。
【0121】
第2コネクタ3は、ロック部材800を更に備えてもよい。ロック部材800は、第1コネクタ2に嵌合した第2コネクタ3の外れを防止する。ロック部材800は、一対のロック部810と、ロックノブ820とを有する。一対のロック部810は、第1コネクタ2の複数のロック開口411(図5参照)にそれぞれ対応するように、アウターハウジング700に保持される。アウターハウジング700は、配列方向D11における両端部に、上方及び後方に開口する一対のロック収容部720と、一対のロック収容部720にそれぞれ対応する一対のホールドバー721とを更に有し、一対のロック部810は、一対のロック収容部720にそれぞれ収容される。一対のホールドバー721のそれぞれは、対応するロック収容部720の後端部の上方に位置し、ロック部810をロック収容部720内に保持する。
【0122】
一対のロック部810のそれぞれは、ロックベース811と、ロックプレート812と、弾性連結部813とを有する。ロックベース811は、嵌合方向D22に沿って延び、ロック収容部720の底面に接する。ロックプレート812は、ロック収容部720の底面から離れた位置にて嵌合方向D22に沿って延び、上下方向においてロックベース811と対向する。ロックプレート812の上面には、第1コネクタ2のロック開口411に係合するロック爪814が形成されている。弾性連結部813は、上下方向に沿ってロック爪814を弾性変位させることを可能とするように、ロックベース811の前端部とロックプレート812の前端部とを連結する。
【0123】
ロック部810によれば、ロック爪814がロック開口411に係合するロック状態と、ロック爪814がロック開口411に係合しない解除状態とを切り替えることが可能である。例えば、ロックプレート812に上方から外力を作用させ、ロックプレート812をロックベース811に接近させると、ロック爪814が主板部410よりも下方まで下降し、上記解除状態となる。この状態で第2コネクタ3を第1コネクタ2に嵌合させ、ロック爪814をロック開口411の下方に配置し、ロックプレート812に対する外力を除去し、ロックベース811から離れる方向にロックプレート812を弾性復帰させることで、ロック爪814がロック開口411に配置される。これにより、ロック爪814がロック開口411の内周に係合し、解除状態がロック状態に切り替わる。再度ロックプレート812に上方から外力を作用させ、ロックプレート812をロックベース811に接近させ、ロック爪814を下降させることで、ロック状態が再度解除状態に切り替わる。
【0124】
ロックノブ820は、ロック状態を解除状態に切り替えるための外力を、一対のロック部810のロックプレート812に同時に作用させるための操作部である。ロックノブ820は、配列方向D21に沿って延びて一対のロック部810のロックプレート812を連結し、複数のケーブル20の上方にかかるように後方に張り出している。ロックノブ820を、複数のケーブル20に向かって押し下げることで、上方からの外力を一対のロック部810のロックプレート812に同時に作用させ、ロック状態を解除状態に切り替えることができる。ロック部材800は、金属の薄板材の打ち抜き及び曲げ加工等により形成される。
【0125】
一対のロック収容部720が、配列方向D21におけるアウターハウジング700の両端部に設けられるので、前方から見て、複数のハウジング520は一対のロック部810の間に配置されることとなる。複数のハウジング520と重複しない位置に一対のロック部810を配置することによって、第1コネクタ2に対する第2コネクタ3の接続の信頼性と、コネクタシステム1の低背化との両立が図られている。
【0126】
〔第2コネクタの組立手順〕
続いて、コネクタの組立方法の一例として、第2コネクタ3の組立手順を例示する。この手順は、対向面511に、第1ケーブル20Aの外周を対向させ、第1ケーブル20Aの信号導体24を第1信号コンタクト530Aに接続することと、対向面511に、第2ケーブル20Bの外周を対向させ、第2ケーブル20Bの信号導体24を第2信号コンタクト530Bに接続することと、第1ケーブル20Aの信号導体24が第1信号コンタクト530Aに接続された状態にて、嵌合方向D22に沿った軸線まわりに第1ハウジング520Aを包囲するように第1シェル600Aを配置することと、第1シェル600Aをコネクタベース510に固定することと、第2ケーブル20Bの信号導体24が第2信号コンタクト530Bに接続された状態にて、嵌合方向D22に沿った軸線まわりに第2ハウジング520Bを包囲するように第2シェル600Bを配置することと、第2シェル600Bをコネクタベース510に固定することと、を含む。
【0127】
第1信号コンタクト530Aに対する第1ケーブル20Aの信号導体24の接続と、第2信号コンタクト530Bに対する第2ケーブル20Bの信号導体24の接続とを同時に行ってもよい。コネクタベース510に対する第1シェル600Aの固定と、コネクタベース510に対する第2シェル600Bの固定とを同時に行ってもよい。
【0128】
第2コネクタ3の組立手順は、第1シェル600A及び第2シェル600Bが固定されたコネクタベース510を、絶縁性のアウターハウジング700に収容することを更に含んでもよい。
【0129】
第1シェル600Aをコネクタベース510に固定することは、第1シェル固定孔515Aを介して第1シェル600Aをベースプレート512に半田付けすることと、第1固定孔514Aを介して第1ケーブル20Aの外部導体22をベースプレート512に半田付けすることと、を含み、第2シェル600Bをコネクタベース510に固定することは、第2シェル固定孔515Bを介して第2シェル600Bをベースプレート512に半田付けすることと、第2シェル固定孔515Bを介して第2ケーブル20Bの外部導体22をベースプレート512に半田付けすることと、を含んでもよい。
【0130】
ベースプレート512に対する第1シェル600Aの半田付けと、ベースプレート512に対する第1ケーブル20Aの外部導体22の半田付けと、ベースプレート512に対する第2シェル600Bの半田付けと、ベースプレート512に対する第2ケーブル20Bの外部導体22の半田付けとを同時に行ってもよい。
【0131】
以下、図14図17を参照し、組立手順を例示する。図14に示すように、まず、一対の電線21の信号導体24が露出した部分と、外部導体22が露出した部分とが先端から順に並ぶように加工された複数のケーブル20を、配列方向D21に沿って並ぶように、ベースユニット500上に配置する。この際に、複数のケーブル20のそれぞれの信号導体24を対応する第1信号コンタクト530Aに接触させ、複数のケーブル20のそれぞれの外部導体22を、対応する固定孔514から下方に露出させる。この状態で、例えば半田付け、あるいは超音波接合等の固相接合方式により、各信号導体24を第1信号コンタクト530Aに接続する。
【0132】
次に、図15に示すように、複数のシェル600のそれぞれを、対応する第1ハウジング520Aを包囲するように配置する。この状態で、ベースプレート512の下方ら、複数のシェル固定孔515及び複数の固定孔514を通した半田付けを行い、複数のケーブル20の第1ケーブル20Aと、複数のシェル600とをベースプレート512に固定する。
【0133】
次に、複数のシェル600が固定されたベースユニット500を、後方からアウターハウジング700に挿入し、複数のハウジング520を複数の開口711からそれぞれ前方に突出させる。次に、図16及び図17に示すように、樹脂の二色成型によって、セパレータ730を成形する。最後に、ロック部材800をアウターハウジング700に装着する。以上により、第2コネクタ3の組み立てが完了する。
【0134】
〔実施形態の効果〕
以上に説明したように、コネクタ(第2コネクタ3)は、第1信号導体24を有する第1ケーブル20Aと、第2信号導体24を有する第2ケーブル20Bとに接続されるコネクタであって、第1ケーブル20Aの外周及び第2ケーブル20Bの外周に対向する対向面511を有するコネクタベース510と、コネクタベース510に保持され、対向面511に平行な配列方向D21に沿って並び、配列方向D21に垂直な嵌合方向D22に沿ってコネクタベース510から互いに同じ方向に向かって突出した絶縁性の第1ハウジング520A及び第2ハウジング520Bと、第1ハウジング520Aに保持され、第1信号導体24に接続される第1信号コンタクト530Aと、第2ハウジング520Bに保持され、第2信号導体24に接続される第2信号コンタクト530Bと、を有するベースユニット500と、嵌合方向D22に沿った軸線まわりに第1ハウジング520Aを包囲するようにコネクタベース510に固定される導電性の第1シェル600Aと、嵌合方向D22に沿った軸線まわりに第2ハウジング520Bを包囲するようにコネクタベース510に固定される導電性の第2シェル600Bと、を備える。
【0135】
伝送特性を向上させるためには、第1ケーブル20Aに対応する第1信号コンタクト530Aと、第2ケーブル20Bに対応する第2信号コンタクト530Bとを個別にシールドするのが有効である。しかしながら、第1信号コンタクト530Aを包囲する第1シェル600Aは、第1信号コンタクト530Aに第1信号導体24を接続する作業の妨げとなり得る。第2信号コンタクト530Bを包囲する第2シェル600Bは、第2信号コンタクト530Bに第2信号導体24を接続する作業の妨げとなり得る。これに対し、本コネクタでは、コネクタベース510と、第1ハウジング520Aと、第2ハウジング520Bと、第1信号コンタクト530Aと、第2信号コンタクト530Bとが、ベースユニット500として一体化されているので、ベースユニット500に第1ケーブル20A及び第2ケーブル20Bを接続した後、第1シェル600A及び第2シェル600Bをベースユニット500に組み付ける簡単な作業にて、コネクタをケーブルに取り付けることができる。従って、信号伝送特性と、ケーブルへの取付作業性の向上との両立に有効である。
【0136】
第1シェル600A及び第2シェル600Bが固定されたコネクタベース510を収容する絶縁性のアウターハウジング700を更に備えてもよい。この場合、アウターハウジング700を後付け可能とすることで、ケーブルへの取付作業性を更に向上させることができる。
【0137】
アウターハウジング700は、嵌合方向D22に垂直な前壁部710を有し、前壁部710は、配列方向D21に並ぶ第1開口711A及び第2開口711Bを有し、第1ハウジング520Aは、第1シェル600Aに包囲された状態で、第1開口711Aを経てアウターハウジング700から突出し、第2ハウジング520Bは、第2シェル600Bに包囲された状態で、第2開口711Bを経てアウターハウジング700から突出してもよい。この場合、第1シェル600A及び第2シェル600Bを、個別に相手コネクタのシェルに接続することを可能にしつつ、ハウジングの強度を向上させることができる。
【0138】
アウターハウジング700に固定され、第1ケーブル20Aと第2ケーブル20Bとの間隔を規制する絶縁性のセパレータ730を更に備え、コネクタベース510は、前壁とセパレータ730との間に配置されてもよい。この場合、ケーブル間の距離を適切に保つことによって、信号伝送特性を更に向上させることができる。
【0139】
第1シェル600Aは、第1ケーブル20Aを包囲してコネクタベース510に固定される第1ベース部610と、 嵌合方向D22に沿って第1ベース部610から延びて第1ハウジング520Aを包囲する第1エンド部620と、を有し、第2シェル600Bは、第2ケーブル20Bを包囲してコネクタベース510に固定される第2ベース部610と、嵌合方向D22に沿って第2ベース部610から延びて第2ハウジング520Bを包囲する第2エンド部620と、を有してもよい。この場合、シ信号伝送特性を更に向上させることができる。
【0140】
コネクタベース510は、対向面511に沿った導電性のベースプレート512と、ベースプレート512と、第1ハウジング520Aと、第2ハウジング520Bとを保持する絶縁性のベースハウジング513とを有し、ベースプレート512は、第1ベース部610と第2ベース部610とを電気的に接続してもよい。この場合、第1ベース部610と第2ベース部610との電位差を抑制することによって、信号伝送特性を更に向上させることができる。
【0141】
第1ベース部610は、配列方向D21に沿って互いに対向する一対の第1ベース側壁部611と、一対の第1ベース側壁部611を連結する第1ベース連結壁部612と、を有し、一対の第1ベース側壁部611と、第1ベース連結壁部612と、ベースプレート512とによって第1ケーブル20Aを包囲し、第2ベース部610は、配列方向D21に沿って互いに対向する一対の第2ベース側壁部611と、一対の第2ベース側壁部611を連結する第2ベース連結壁部612と、を有し、一対の第2ベース側壁部611と、第2ベース連結壁部612と、ベースプレート512とによって第2ケーブル20Bを包囲してもよい。この場合、第1ベース部610による第1ケーブル20Aのシールド性と、第2ベース部610により第2ケーブル20Bのシールド性とが共に向上する。このため、信号伝送特性を更に向上させることができる。
【0142】
第1エンド部620は、一対の第1ベース側壁部611に連なる一対の第1エンド側壁部621と、第1ベース連結壁部612に連なり、一対の第1エンド側壁部621を連結する第1エンド連結壁部622と有し、第2エンド部620は、一対の第2ベース側壁部611に連なる一対の第2エンド側壁部621と、第2ベース連結壁部612に連なり、一対の第2エンド側壁部621を連結する第2エンド連結壁部622と有してもよい。この場合、第1エンド連結壁部622に対向するシールドについては相手コネクタに委ね、第2エンド連結壁部622に対向するシールドについても相手コネクタに委ねることによって、信号伝送特性の向上と、コネクタの薄型化との両立を図ることができる。
【0143】
第1信号コンタクト530Aは、コネクタベース510に対する第1ハウジング520Aの突出方向に沿って順に並ぶ第1接続部531と第1接触部532とを有し、第2信号コンタクト530Bは、第1ハウジング520Aの突出方向に沿って順に並ぶ第2接続部531と第2接触部532とを有し、第1ハウジング520Aは、第1エンド連結壁部622に向かって第1接続部531を露出させ、第1エンド連結壁部622に向かう方向の反対に向かって第1接触部532を露出させるように、第1信号コンタクト530Aを保持し、第2ハウジング520Bは、第2エンド連結壁部622に向かって第2接続部531を露出させ、第2エンド連結壁部622に向かう方向の反対に向かって第2接触部532を露出させるように、第2信号コンタクト530Bを保持してもよい。この場合、相手コネクタによりシールドされる第1接触部532及び第2接触部532を第1シェル600A及び第2シェル600Bの外部にそれぞれ露出させつつ、相手コネクタによりシールドされない第1接続部531及び第2接続部531を第1シェル600A及び第2シェル600Bによりそれぞれ包囲することで、信号伝送特性の向上と、コネクタの薄型化との両立を図ることができる。
【0144】
一対の第1ベース側壁部611の間隔に比較して、一対の第1エンド側壁部621の間隔が小さく、一対の第2ベース側壁部611の間隔に比較して、一対の第2エンド側壁部621の間隔が小さくてもよい。この場合、信号伝送特性を更に向上させることができる。
【0145】
一対の第1エンド側壁部621のそれぞれは、外力の付与によって第1ハウジング520Aに近付き、外力の除去によって第1ハウジング520Aから離れる第1弾性接触部532を有し、一対の第2エンド側壁部621のそれぞれは、外力の付与によって第2ハウジング520Bに近付き、外力の除去によって第2ハウジング520Bから離れる第2弾性接触部532を有してもよい。この場合、相手コネクタの相手第1シェル600Aに対する第1シェル600Aの電気的な接続が強化され、相手コネクタの相手第2シェル600Bに対する第2シェル600Bの電気的な接続が強化される。従って、信号伝送特性を更に向上させることができる。
【0146】
第1ケーブル20Aは、第1信号導体24を包囲する第1外部導体22を更に有し、第2ケーブル20Bは、第2信号導体24を包囲する第2外部導体22を更に有し、ベースプレート512は、第1外部導体22に対応する第1固定孔514Aと、第2外部導体22に対応する第2固定孔514Bとを有してもよい。この場合、信号伝送特性の更なる向上と、取付作業性の更なる向上とを図ることができる。
【0147】
ベースプレート512は、一対の第1ベース側壁部611にそれぞれ対応する一対の第1シェル固定孔515Aと、一対の第2ベース側壁部611にそれぞれ対応する一対の第2シェル固定孔515Bとを有し、一対の第1ベース側壁部611のそれぞれは、対応する第1シェル固定孔515Aに挿入される第1固定片613を有し、一対の第2ベース側壁部611のそれぞれは、対応する第2シェル固定孔515Bに挿入される第2固定片613を有し、第1固定孔514Aは一対の第1シェル固定孔515Aの間に位置し、第2固定孔514Bは一対の第2シェル固定孔515Bの間に位置してもよい。この場合、信号伝送特性の更なる向上と、取付作業性の更なる向上とを図ることができる。
【0148】
本開示の他の側面に係る組立方法は、対向面511を有するコネクタベース510と、対向面511に平行な配列方向D21に沿って並び、それぞれ対向面511に平行で配列方向D21に垂直な第1方向に沿ってコネクタベース510から突出した絶縁性の第1ハウジング520A及び第2ハウジング520Bと、第1ハウジング520Aに保持された第1信号コンタクト530Aと、第2ハウジング520Bに保持された第2信号コンタクト530Bと、を有するベースユニット500の対向面511に、第1ケーブル20Aの外周を対向させ、第1ケーブル20Aの第1信号導体24を第1信号コンタクト530Aに接続することと、対向面511に、第2ケーブル20Bの外周を対向させ、第2ケーブル20Bの第2信号導体24を第2信号コンタクト530Bに接続することと、第1信号導体24が第1信号コンタクト530Aに接続された状態にて、対向面511に平行で配列方向D21に垂直な軸線まわりに第1ハウジング520Aを包囲するように導電性の第1シェル600Aを配置することと、第1シェル600Aをコネクタベース510に固定することと、第2信号導体24が第2信号コンタクト530Bに接続された状態にて、対向面511に平行で配列方向D21に垂直な軸線まわりに第2ハウジング520Bを包囲するように導電性の第2シェル600Bを配置することと、第2シェル600Bをコネクタベース510に固定することと、を含む。
【0149】
第1シェル600A及び第2シェル600Bが固定されたコネクタベース510を、絶縁性のアウターハウジング700に収容することを更に含んでもよい。
【0150】
コネクタベース510は、対向面511に沿った導電性のベースプレート512と、ベースプレート512と、第1ハウジング520Aと、第2ハウジング520Bとを保持する絶縁性のベースハウジング513とを有し、ベースプレート512は、配列方向D21に沿って並ぶ第1シェル固定孔515Aと、第1固定孔514Aと、配列方向に沿って並ぶ第2シェル固定孔515Bと、第2固定孔514Bとを有し、第1シェル600Aをコネクタベース510に固定することは、第1シェル固定孔515Aを介して第1シェル600Aをベースプレート512に半田付けすることと、第1固定孔514Aを介して第1ケーブル20Aの第1外部導体22をベースプレート512に半田付けすることと、を含み、第2シェル600Bをコネクタベース510に固定することは、第2シェル固定孔515Bを介して第2シェル600Bをベースプレート512に半田付けすることと、第2固定孔514Bを介して第2ケーブル20Bの第2外部導体22をベースプレート512に半田付けすることと、を含んでもよい。
【0151】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも例示した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0152】
3…第2コネクタ、24…信号導体、22…外部導体、20A…第1ケーブル、20B…第2ケーブル、D21…配列方向、D22…嵌合方向、500…ベースユニット、510…コネクタベース、520A…第1ハウジング、520B…第2ハウジング、530A…第1信号コンタクト、531…接続部、532…接触部、530B…第2信号コンタクト、600A…第1シェル、610…ベース部、611…ベース側壁部、613…固定片、612…ベース連結壁部、620…エンド部、621…エンド側壁部、622…エンド連結壁部、600B…第2シェル、511…対向面、512…ベースプレート、513…ベースハウジング、514A…第1固定孔、514B…第2固定孔、515A…第1シェル固定孔、515B…第2シェル固定孔、700…アウターハウジング、710…前壁部、711A…第1開口、711B…第2開口、730…セパレータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17