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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014475
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】装飾品の留め具及び装飾品
(51)【国際特許分類】
   A44C 25/00 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
A44C25/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117326
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】390031417
【氏名又は名称】株式会社ミキモト装身具
(74)【代理人】
【識別番号】100123881
【弁理士】
【氏名又は名称】大澤 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100080931
【弁理士】
【氏名又は名称】大澤 敬
(72)【発明者】
【氏名】高塩 宗子
(72)【発明者】
【氏名】石田 祐
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114EB07
(57)【要約】
【課題】 操作性良く、留め具に対する相手方部材の連結と開放を行えるようにする。
【解決手段】 留め具100を、筐体10の空洞11内に相手方部材200の被固定部211を受け入れ可能な開放状態と、空洞11内に挿入された被固定部211を固定する固定状態との間を遷移可能とした。開放状態では、筒状部材20の係止端部26aが回動部材30の段差部34に係合することにより筒状部材20の空洞11へ向かう方向の移動が規制されており、開放状態において空洞11内に挿入された被固定部211により回動部材30が矢印C方向に回転されると、該回転に応じて係止端部26aと段差部34との間の係合が解除され、バネ40の付勢力により筒状部材20が空洞11へ向かう方向へ移動して、筒状部材20と空洞11の内面との間に被固定部211を固定することにより固定状態に移行する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空洞を有し相手方部材を挿入するための開口を備える筐体と、
軸方向の一端側から前記軸方向に沿って前記筺体に対して出し入れ可能で、側面に開口が形成された筒状部材と、
所定の回動軸を中心として回動可能なように前記筺体に固定され、一部が前記開口から前記筒状部材の内部に挿入され、前記筒状部材の外にある部分の前記筒状部材に対向する側に段差部を備える回動部材と、
前記筒状部材の内部に前記筒状部材の軸方向に沿って配置され、前記回動部材の前記一部に形成された第1当接部と、前記筒状部材の内部の、前記第1当接部よりも前記一端に近い位置に形成された第2当接部とに当接する付勢部材とを備え、
前記空洞内に前記相手方部材を受け入れ可能な開放状態と、前記空洞内に挿入された相手方部材を固定する固定状態との間を遷移可能であり、
前記開放状態では、前記筒状部材の前記一端が前記回動部材の前記段差部に係合することにより前記筒状部材の前記空洞へ向かう方向の移動が規制されており、
前記開放状態において前記空洞内に挿入された前記相手方部材により前記回動部材が第1方向に回転されると、該回転に応じて前記筒状部材の前記一端と前記回動部材の前記段差部との間の係合が解除され、前記付勢部材の付勢力により前記筒状部材が前記空洞へ向かう方向へ移動して、前記筒状部材と前記筺体の内面との間に前記相手方部材を固定することにより前記固定状態に移行することを特徴とする、装飾品の留め具。
【請求項2】
請求項1に記載の装飾品の留め具であって、
前記筒状部材が、前記筺体の外部に露出する操作部を備え、
前記固定状態において、前記操作部に対して前記筒状部材を前記筺体から引き出す操作がなされると、該操作に応じて前記回動部材が前記第1方向と逆の第2方向に回転され、該回転に応じて前記相手方部材が前記空洞から押し出されることを特徴とする、装飾品の留め具。
【請求項3】
請求項2に記載の装飾品の留め具であって、
前記固定状態において、前記筒状部材の一端が前記回動部材の段差部よりも前記筺体の表面に近い位置まで引き出された後で前記操作部が開放されると、前記筒状部材が、前記付勢部材の付勢力により前記空洞へ向かう方向に移動して、前記一端が前記回動部材の前記段差部に係合することにより前記開放状態に移行することを特徴とする、装飾品の留め具。
【請求項4】
請求項1に記載の装飾品の留め具であって、
前記筒状部材は、前記相手方部材が挿入される側の外周面の前記一端付近に、前記一端から離れるにつれて高さが高くなるテーパ部を備え、
前記筒状部材の一端と前記回動部材の前記段差部とが係合していない状態で前記相手方部材が前記空洞内に挿入された場合に、前記相手方部材が前記テーパ部に当接することにより、前記相手方部材の挿入に伴って前記筒状部材が前記筺体から出る方向へ移動することを特徴とする、装飾品の留め具。
【請求項5】
請求項1に記載の装飾品の留め具であって、
前記第1当接部が略半球状部を備え、該略半球状部が前記付勢部材に当接可能であることを特徴とする、装飾品の留め具。
【請求項6】
請求項1に記載の装飾品の留め具と、前記相手方部材とを備える装飾品の留め具であって、
前記空洞の、前記筒状部材を備える側と反対側の端面に凹部が形成されており、
前記相手方部材のうち、前記空洞に挿入される部分の一端は、前記固定状態において前記凹部(11a)に収容されることを特徴とする、装飾品の留め具。
【請求項7】
請求項1に記載の装飾品の留め具と、前記相手方部材とを備える装飾品の留め具であって、
前記空洞の、前記固定状態において前記相手方部材が当接する内面が略半球面状に形成されており、
前記相手方部材の、前記固定状態において前記半球面状の内面と当接する端部が略半球状に形成されていることを特徴とする、装飾品の留め具。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装飾品の留め具を備える装飾品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、装飾品の留め具及び装飾品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、装飾品の留め具として、例えば特許文献1及び特許文献2に記載のものが知られている。
特許文献1には、ブローチ等の装身具の留め具であって、円筒形のピン留め具30に対して留めピン22を固定及び開放可能な留め具が開示されている。
特許文献1によると、この留め具において、ピン留め具30はスプリング35により付勢されて留めピン22に向けて移動可能かつスプリング係止軸46を中心に回動可能なように固定部40に固定され、留めピン22が外れた状態では留めピン22を挿入する側が、留めピン22のある斜め上方を向くように傾斜した状態で係止端48に係止可能である。
【0003】
また、この状態で留めピン22をピン留め具30に対して下ろし、この向きに力を加えると、それに応じてピン留め具30が回転して係止端48への係止が解除され、スプリング35の付勢力によりピン留め具30が留めピン22に向けて移動し、留めピン22を把持・固定する。逆に、この把持・固定状態からピン留め具30を留めピン22と反対側に向けて移動させると、ピン留め具30が回転して係止端48に係止され、斜め上方を向く状態となり、留めピン22を外すことができる。
【0004】
また、特許文献2には、ブローチ等の装飾品の留め具であって、外筒4及び内筒5と、内筒5を外筒4の出口側(指し針1の止着位置)に向けて付勢するコイルバネ7と、外筒4の外側に設けたセンサーアーム10とを備える留め具が開示されている。センサーアーム10は、自然状態においては外筒4の軸方向とほぼ平行に保持され内筒5に嵌入する係止爪11により内筒5を退避位置にロックする。また、指し針1を留め具に向けて回動させた際に指し針1を受け止めるセンサー部材14を、内筒5内に突出するように備える。
【0005】
特許文献2によると、このような留め具において、指し針1を留め具に向けて回動させると、センサー部材14が指し針1を受け止めて弾性変位し、それに応じて係止爪11の係止が外れ、内筒5がコイルバネ7の付勢力により止着位置まで移動して、その内周部に指し針1を収納して拘束する。また、この拘束状態から内筒5に設けた摘まみ8を押して内筒5を退避位置に移動させると、指し針1を内筒5から開放する。この開放に応じてセンサー部材14が元の位置に戻ると、再度係止爪11により内筒5を退避位置にロックする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-167090号公報
【特許文献2】特開2006-43442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び特許文献2に記載の留め具は、対象物の所定の固定位置への配置に応じて、バネの付勢力により固定具を所定の待機位置から当該対象物に向けて移動させることにより当該対象物を拘束して固定し、上記バネの付勢力に抗して固定具を対象物から離すことにより上記拘束を解除すると共に、固定具を上記待機位置に戻すことができるタイプの留め具であると捉えることができる。
【0008】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の留め具はいずれも、ブローチのように、留め具と、留め具により固定すべき相手方部材(両文献の例ではピン)との位置関係が固定的であり、相手方部材が予め定められた軌跡のみを動く状況で用いることを想定したものである。このため、例えばネックレスのチェーンの両端のように、留め具と相手方部材との間の相対的な位置関係や配置角度が自由に変化し得るものの連結に適用できるものではなかった。
【0009】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、留め具と相手方部材との間の相対的な位置関係や配置角度が自由に変化し得る場合であっても、操作性良く、留め具に対する相手方部材の連結と開放を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の装飾品の留め具は、内部に空洞を有し相手方部材を挿入するための開口を備える筐体と、軸方向の一端側から上記軸方向に沿って上記筺体に対して出し入れ可能で、側面に開口が形成された筒状部材と、所定の回動軸を中心として回動可能なように上記筐体に固定され、一部が上記開口から上記筒状部材の内部に挿入され、上記筒状部材の外にある部分の上記筒状部材に対向する側に段差部を備える回動部材と、上記筒状部材の内部に上記筒状部材の軸方向に沿って配置され、上記回動部材の上記一部に形成された第1当接部と、上記筒状部材の内部の、上記第1当接部よりも上記一端に近い位置に形成された第2当接部とに当接する付勢部材とを備える。
当該留め具は、上記空洞内に上記相手方部材を受け入れ可能な開放状態と、上記空洞内に挿入された相手方部材を固定する固定状態との間を遷移可能である。
上記開放状態では、上記筒状部材の上記一端が上記回動部材の上記段差部に係合することにより上記筒状部材の上記空洞へ向かう方向の移動が規制されている。
上記開放状態において上記空洞内に挿入された上記相手方部材により上記回動部材が第1方向に回転されると、その回転に応じて上記筒状部材の上記一端と上記回動部材の上記段差部との間の係合が解除され、上記付勢部材の付勢力により上記筒状部材が上記空洞へ向かう方向へ移動して、上記筒状部材と上記筺体の内面との間に上記相手方部材を固定することにより上記固定状態に移行する。
【0011】
さらに、上記筒状部材が、上記筺体の外部に露出する操作部を備え、上記固定状態において、上記操作部に対して上記筒状部材を上記筐体から引き出す操作がなされると、その操作に応じて上記回動部材が上記第1方向と逆の第2方向に回転され、その回転に応じて上記相手方部材が上記空洞から押し出されるとよい。
さらに、上記固定状態において、上記筒状部材の一端が上記回動部材の段差部よりも上記筺体の表面に近い位置まで引き出された後で上記操作部が開放されると、上記筒状部材が、上記付勢部材の付勢力により上記空洞へ向かう方向に移動して、上記一端が上記回動部材の上記段差部に係合することにより上記開放状態に移行するとよい。
【0012】
また、上記筒状部材が、上記相手方部材が挿入される側の外周面の上記一端付近に、上記一端から離れるにつれて高さが高くなるテーパ部を備え、上記筒状部材の一端と上記回動部材の上記段差部とが係合していない状態で上記相手方部材が上記空洞内に挿入された場合に、上記相手方部材が上記テーパ部に当接することにより、上記相手方部材の挿入に伴って上記筒状部材が上記筐体から出る方向へ移動するとよい。
また、上記第1当接部が略半球状部を備え、その略半球状部が上記付勢部材に当接可能であるとよい。
【0013】
また、以上のいずれかの留め具と、上記相手方部材とを備え、上記空洞の、上記筒状部材を備える側と反対側の端面に凹部が形成され、上記相手方部材のうち、上記空洞に挿入される部分の一端が、上記固定状態において上記凹部に収容されるとよい。
あるいは、以上のいずれかの留め具と、上記相手方部材とを備え、上記空洞の、上記固定状態において上記相手方部材が当接する内面が略半球面状に形成されており、上記相手方部材の、上記固定状態において上記半球面状の内面と当接する端部が略半球状に形成されているとよい。
【0014】
また、この発明の装飾品は、上記のいずれかの装飾品の留め具を備える装飾品である。 また、この発明は、上記のように装飾品の留め具あるいは装飾品のように物の発明として実施する他、方法あるいはその他の態様の発明としても実施可能である。
【発明の効果】
【0015】
以上のような本発明によれば、留め具と相手方部材との間の相対的な位置関係や配置角度が自由に変化し得る場合であっても、操作性良く、留め具に対する相手方部材の連結と開放を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の一実施形態である装飾品の留め具の構成を、留め具と相手方部材とが分離された状態で示す斜視図である。
図2】この発明の一実施形態である装飾品の留め具の構成を、留め具と相手方部材とが連結された状態で示す斜視図である。
図3図1に示した状態(開放状態)の留め具及び相手方部材の、図1に仮想線で示す面における、矢印A側から見た断面図である。
図4】開放状態から固定状態に移行する途中の留め具及び相手方部材の、図3及び図5と対応する断面図である。
図5図2に示した状態(固定状態)の留め具及び相手方部材の、図2に仮想線で示す面における、矢印B側から見た断面図である。
図6】留め具100中の筒状部材20及び回動部材30の構成を示す斜視図である。
図7】テーパ部27の機能について説明するための、図4と対応する断面図である。
図8図1及び図2に示した留め具を備える装飾品の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、この発明の一実施形態である装飾品の留め具の外観について説明する。
図1及び図2はそれぞれ、この発明の一実施形態である装飾品の留め具の構成を、留め具と相手方部材とが分離された状態及び連結された状態で示す斜視図である。
【0018】
この実施形態の留め具100は、外観に表れる構成としては、図1に示すように細長い略楕円柱状の外形を有する筐体10と、筐体10に対してその軸方向に沿って出し入れ可能な筒状部材20と、筐体10に固定された複数のリング50とを備える。
筐体10は、図で下側が中空で空洞11となっており、側面には留め具100に対して連結する相手方部材200の挿入を受け入れるための開口部12が形成され、開口部12の周囲には、相手方部材200を空洞11に導くための導入テーパ面17が形成されている。空洞11よりも図で上側では、筒状部材20を受け入れ、また後述する回動部材30を配置するための第1スリット13、透孔部14、および第2スリット15(図3乃至図5参照)が形成されて、これらが図で上端の面まで達しているが、他の部分は中実である。第2スリット15は、後述するテーパ部27の可動範囲にのみ設ければよいが、図で上端の面まで設けているのは、留め具100の組み立て時に図で上端の面から筒状部材20を挿入できるようにするためである。また、筐体10は回動部材30を支持する回動軸31も備える。これらの各部については後に詳述する。
【0019】
筒状部材20は、使用者がつまんで操作するための操作部21と、筐体10の内部に挿入される筒状部22とを備える。操作部21は、筒状部22及び透孔部14よりも、軸に垂直な面での断面積が大きくなっており、筐体10の内部には挿入されず常に外部に露出している。筒状部22は、内部に中空部23を有する略楕円筒状であり、操作部21と反対側の軸方向端部から筐体10の透孔部14へ挿入可能であり、軸方向に沿って筐体10へ出し入れすることができる。中空部23は、筒状部22の内部だけでなく操作部21をも貫通するように形成されている。また、操作部21には中空部23と連続するスリット21aが形成されている。
図2において符号32で示すのは、中空部23に位置する、後述する回動部材30の頂部である。
リング50は、装飾品を筐体10に取り付けるために用いる取付部である。
【0020】
一方、相手方部材200は、留め具100に対して連結可能なパーツである。この相手方部材200は、留め具100と連結された図2に示す状態で筐体10と一体となって留め具の外形を形成する外装部210と、空洞11内に挿入されて固定される棒状の被固定部211と、被固定部211と外装部210とを接続する接続部213と、複数のリング220とを備える。この実施形態では、これらの各部は同じ材質で一体に形成されているが、個別に形成してから一体化してもよい。
【0021】
被固定部211は、中央部に段差が形成された棒状の部材であり、固定時に空洞11の内面に当接する図で下側の部分に、略球状の球状部212を備える。また、被固定部211の段差は、後述する収容凹部25と半球状面11aに被固定部211の両端をそれぞれ挿入できるように(図5参照)、これらの位置関係に応じて設けたものである。
安定した固定のためには、被固定部211が収容凹部25及び半球状面11aと当接する位置では被固定部211の長手方向が筒状部材20の移動方向と一致していることが好ましいので、間に段差を設けて位置を調整している。収容凹部25と半球状面11aの配置によっては、段差は不要である。
また、接続部213の下端面213aは、図1において球状部212及び外装部210の下端よりもやや上方に位置しており、球状部212及び外装部210と合わせて凹形状を形成している。
【0022】
使用者は、この相手方部材200の被固定部211を留め具100の空洞11に挿入することにより、被固定部211を留め具100に保持させ、相手方部材200と留め具100とを連結することができる。この状態では、図2に示すように、留め具100と相手方部材200とが一体となって略楕円柱状の結合体を構成する。
また、使用者は、この結合体の端部に位置する操作部21を筐体10から引き出す操作を行うことにより、相手方部材200を留め具100から取り外すことができる。
【0023】
このような留め具100と相手方部材200はそれぞれ金属で構成することができるが、これには限られず樹脂、セラミック、木材等の他の材質とすることももちろん可能である。留め具100と相手方部材200とで材質が異なっていてもよいし、留め具100や相手方部材200を構成する部品ごとに材質が異なっていてもよい。
【0024】
次に、この結合及び取り外しの機能を担う、留め具100及び相手方部材200の内部構造及びその動作について、図3乃至図7も用いて説明する。
図3は、図1に示した状態(開放状態)の留め具100及び相手方部材200の、図1に仮想線で示す面における、矢印A側から見た断面図である。図4は、開放状態から固定状態に移行する途中の留め具100及び相手方部材200の、図3及び図5と対応する断面図である。図5は、図2に示した状態(固定状態)の留め具100及び相手方部材200の、図2に仮想線で示す面における、矢印B側から見た断面図である。図6は、留め具100中の筒状部材20及び回動部材30の構成を示す斜視図である。図7は、テーパ部27の機能について説明するための、図4と対応する断面図である。
【0025】
なお、図1及び図2に仮想線で示す面は、いずれも筐体10の両端面の楕円の長軸を通り、筐体10の長手方向と平行な平面であり、筐体10を同じ位置で切る面である。また、図6には、図5の状態の筒状部材20及び回動部材30を、図5の紙面の裏側方向から見た状態を示している。また、図3乃至図5及び図7において、相手方部材200の断面中に示す破線は、図1に示した被固定部211、接続部213及び外装部210位置関係を分かりやすくするため、これらの各部の間の境界を示すものである。
【0026】
留め具100は、図3乃至図5に示すように、図1及び図2に示した筐体10と筒状部材20に加え、筐体10の内部に回動部材30を備える。
回動部材30は、筐体10の内部に形成された回動軸31を中心に回動可能なように筐体10に固定されている。回動軸31は筐体10を貫通させて筐体10に固定されており、図1及び図2にも表れる。また、回動部材30の図で上側に形成された頂部32は、筒状部材20の筒状部22の側面に形成されたスリット22aから中空部23に挿入されている。頂部32の下側、すなわち筒状部22の挿入方向先端側にある面には、半球体33が形成され、半球状部となっている。
【0027】
また、回動部材30のうち、筒状部22の外部にあって筒状部22と対向する部分には段差部34が形成され、頂部32と反対側の端部には、筐体10の開口部12に向かって延びる突起部35が形成されている。
図6に表れるように、回動部材30は頂部32及び半球体33の部分を除いては平板状に形成されている。なお、図6では回動軸31の図示は省略しており、回動軸31を貫通させるために回動部材30に設けた透孔31aが表れている。
【0028】
また、筒状部材20の筒状部22の内周面には、挿入方向の先端よりも少し手前の位置に、内径がやや細くなった段部22bが形成されている。そして、この段部22bと、回動部材30の半球体33とに両端がそれぞれ当接するように、付勢部材であるバネ40が中空部23に配置されている。半球体33が第1当接部に該当し、段部22bの、バネ40側(図で上側)の面が第2当接部に該当する。
【0029】
図3乃至図5に示すように、留め具100の状態によって回動部材30はその向きを変えるが、バネ40と当接する部分を球面とすることにより、回動部材30の向きが変わっても安定して当接させることができる。しかし、半球体33を設けることは必須ではなく、バネ40を頂部32に当接させてもよい。また、半球体33を設ける場合でも、バネ40が常に半球体33に当接していることまでは必須ではなく、回動部材30の向きに応じて、半球体33と頂部32のいずれに当接するかが変わってもよい。半球体33と頂部32の両方に同時に当接する場合があってもよい。
また、段部22bを、中空部23を完全に塞ぐように形成してもよい。
【0030】
バネ40は、図ではつる巻きバネとして表しているが、第1当接部と第2当接部に対して両当接部の間隔を広げる向きの付勢力を加えることができれば、形状や材質を問わず任意の付勢部材を採用可能である。
また、筒状部22において、中空部23のうち段部22bよりも挿入方向先端側の部分は、図5の固定状態において被固定部211の一端を収容する収容凹部25となっている。このため、筒状部22の内径は被固定部211の外径よりもやや大きい。
【0031】
筒状部22の回動部材30と対向する側には、上述のスリット22aの他、薄肉部22c、切り欠き部26及び係止端部26aが形成されている。
スリット22aは、操作部21に形成されたスリット21aと連続しており、上述したように回動部材30を通すため、回動部材30の平板状部の厚さと概ね同じ幅で形成している。筒状部22は開放状態にあっては図3のように引き出され、固定状態にあっては図5のように筐体10内に押し込まれ、この2状態間では回動部材30の向きも若干異なるが、スリット22a及びスリット21aは、図3及び図5のいずれの状態でも回動部材30の頂部32側の部分が筒状部22に干渉しないような長さで形成する。
【0032】
薄肉部22cは、図6に示すように、スリット21aと同じ幅で筒状部22の外面に溝を切るように形成した、筒状部22を薄肉にしている部分である。固定状態から開放状態に移行する途中では、回動部材30の段差部34がこのこの薄肉部22cに当接しつつ筒状部材20が移動し、薄肉部22cは、段差部34をガイドする役割を果たす。
係止端部26aは、開放状態において段差部34に係合する部分である。この係合により、開放状態では筒状部材20は図3に示すように筐体10からある程度引き出された位置で停止する。
【0033】
切り欠き部26は、回動部材30の、段差部34よりも突起部35側の部分が、筒状部22の側面を通過して収容凹部25に進入できるようにするために設けたものである。切り欠き部26を設け、係止端部26aを切り欠き部26内に設けたことにより、開放状態における筒状部材20の位置を、段差部34が筒状部22の挿入方向末端と係合する場合と比べ、ある程度筐体10内に押し込まれた位置とすることができ、開放状態において筒状部材20が嵩張らないようにすることができる。また、切り欠き部26が無い場合に比べ、回動部材30を反時計回りにより大きく回転させることができ、突起部35を筐体10の開口部12に近い位置に置くことができる。
しかし、切り欠き部26を設けず、開放状態において筒状部22の挿入方向末端を段差部34と係合させる構成とすることも可能である。
【0034】
筒状部22の挿入方向末端付近の開口部12側には、テーパ部27が形成されている。テーパ部27は、筒状部22の挿入方向末端から遠ざかるにつれて開口部12に向かって立ち上がり、この向きの高さが高くなるテーパ面を有している。テーパ部27の機能については図7を用いて後述する。
【0035】
筐体10の、筒状部材20が挿入される側の内部には、以上の筒状部材20及び回動部材30を受け入れるための、第1スリット13、透孔部14及び第2スリット15が形成されている。これらの第1スリット13、透孔部14及び第2スリット15は、1つの連続した空間となっている。
【0036】
第1スリット13は、回動部材30の平板状部の厚さと対応する幅で、回動部材30が通過しうる範囲に形成されており、回動部材30の回動を妨げないようにすると共に、回動部材30が回動軸31に垂直な所定の面からずれないようにガイドするために設けたものである。第1スリット13は、操作部21のスリット21aとも同じ幅である。図5に示すように操作部21が筐体10に接触する状態では、第1スリット13は操作部21に形成されたスリット21aと連続する。回動部材30の図で上側の端部は筐体10からやや突出しているが、操作部21が筐体10に接触する状態では、この突出した部分はスリット21aに収容される。
【0037】
透孔部14は、筒状部材20の筒状部22を通過させると共に筒状部22が筐体10の軸に沿って移動するようにガイドするために設けたものであり、筒状部22の外径と対応する径で設けている。
第2スリット15は、筒状部22から突出するテーパ部27を通過させると共に、テーパ部27が筐体10の軸に沿って移動するようにガイドするために設けたものであり、透孔部14と接続する箇所ではテーパ部27の幅と対応する幅で設けている。テーパ部27を第2スリット15に通すことにより、筒状部22が軸を中心に回転する動きを規制することもできる。また、第2スリット15は、開口部12付近では、幅が徐々に広がるようなテーパ面16としており、突起部35に向かう被固定部211の挿入を受け入れやすいようにしている。テーパ面16の外側にはさらに、筐体10の長手方向の略全長にわたり、導入テーパ面17が形成されている。
【0038】
筐体10内部の、図で下側の部分は空洞11となっているが、空洞11の長手方向端部には、周囲の端面11bからやや落ち窪んだ略半球状の凹部である半球状面11aが形成されている。この半球状面11aは、相手方部材200の球状部212の、概ね端部側半分を収容する部分であり、球状部212よりもやや大きい径を有する。
【0039】
以上の留め具100に対して相手側部材200を固定しようとする場合、通常のケースにおいて、使用者は、図3に示す開放状態から、相手方部材200の被固定部211を留め具100の空洞11に挿入する。
このとき、図4に示すように先に球状部212を空洞11に挿入して半球状面11aに差し込み、その後、被固定部211の筒状部材20側の端部付近を回動部材30の突起部35に当接させ、さらに矢印Cで示すように押し込む。
【0040】
この押し込みにより回動部材30が時計回り(第1方向)に回転し、このことにより係止端部26aと段差部34との間の係合が解除される。また、球状部212と半球状面11aはいずれも半球状の表面を有するので、球状部212と半球状面11aとの接触箇所を中心に被固定部211の筒状部材20側を押し込む操作を、滑らかに行うことができる。なお、接続部213の下端面213aは、被固定部211の挿入時に端面11bと干渉しないような形状とする。
【0041】
ところで、図3に示す開放状態では、バネ40により、回動部材30に対して反時計回りに回転させる付勢力が与えられ、筒状部材20に対して筐体10により深く進入させる方向の付勢力が与えられている。しかし、係止端部26aと段差部34とが係合しているため、回動部材30と筒状部材20はそれぞれ図3に示す位置で停止している。
この状態から係止端部26aと段差部34との係合が解除されると、筒状部材20はバネ40の付勢力により、筐体10により深く進入する方向へ、すなわち空洞11へ向かう方向へ移動する。この移動は、操作部21が筐体10の端部に当接するか、または収容凹部25の底面(段部22bの、バネ40が当接する側と反対側の面)が被固定部211に当接すると停止する。図5の例では、この両者が同時に起こる位置で停止している。
【0042】
そして、この位置では被固定部211の筒状部材20側の端部は、収容凹部25に収容され、自由に動けない状態となる。図で下側では球状部212が半球状面11aに収容されているので、こちらも自由に動けない状態となる。すなわち、図5に示す固定状態では、被固定部211はその両端が拘束され、空洞11内において固定される。このことにより、相手方部材200は、留め具100から脱落しないように留め具100と連結される。
【0043】
また、図1には表れていないが、外装部210の、テーパ部27と対向する面には、開放状態と固定状態との間におけるテーパ部27の可動範囲全長にわたり、テーパ部27よりやや大きい幅で、図5に示すように固定状態においてテーパ部27を収容可能な程度の深さの凹部210aを設け、外装部210とテーパ部27とが互いに干渉しないようにしている。
【0044】
なお、図5の状態で、バネ40がまだ自然状態よりも縮められた状態で、筒状部材20に対して下向きの付勢力を及ぼしており、かつ、操作部21が筐体10の端部に当接していない状態であると、当該付勢力により筒状部材20が被固定部211を半球状面11aに対して押し付けることができ、被固定部211をさらに強固に固定することができる。
【0045】
この場合、バネ40の付勢力は回動部材30を反時計回りに回転させる方向にも働くが、反時計回りの回転は被固定部211により阻止されているので、頂部32(及び半球体33)は、実質的にバネ40の固定端となる。
このように、留め具100を用いると、使用者は簡単な操作で相手方部材200を留め具100に固定して連結することができる。この場合において、連結前は、相手方部材200は留め具100に対して自由に移動できる状態で全く問題ない。
【0046】
なお、半球状面11aに代えて、空洞11の筒状部材20と反対側の内面に別の形状の凹部を形成した場合でも、被固定部211の端部を安定して収容できるのであれば、同様に被固定部211の固定が可能である。凹部の表面が滑らかである必要もなく、凹部に角があってもよい。
また、半球状面11aであっても他の形状の凹部であっても、空洞11の筒状部材20と反対側の内面に凹部を形成し、固定状態において被固定部211の一端(この実施形態では球状部212)をその凹部に収容するようにすることにより、誤操作や相手方部材200の誤脱落防止の効果も得られる。
【0047】
すなわち、凹部があれば、使用者が被固定部211の一端を空洞11の端面11bに突き当てて固定位置を探った場合に、被固定部211を容易に正しい固定位置に導くことができ、誤操作が起きにくいし、適切な固定位置をみつけられずに誤って相手方部材200を離してしまうことも起きにくい。
【0048】
また、凹部があると、接続部213が端面11bと干渉しないようにするために、接続部213の下端面213aの位置を凹形状とすることになる。このため、被固定部211の一端が凹部に収容された後で被固定部211が意図しない動きをした場合、例えば使用者が誤って手を離してしまった場合に、上記凹形状が端面11bに引っかかり、相手方部材200が留め具100から脱落することを防止する効果も、一定程度得られる。
【0049】
このような脱落防止の効果は、相手方部材200と留め具100とが連結された後で、意図せず連結の開放がなされてしまった場合にも、同様に得られる。また、誤脱落防止の効果は、固定状態において下端面213aが端面11bと近接していたり、外装部210が端面11bよりも図で下側(筐体10の端部側)に延びていたりすると、より大きくなる。
【0050】
一方、留め具100に固定された相手方部材200を留め具100から取り外す場合、使用者は、図5に示す固定状態から、操作部21に対し、筒状部材20を筐体10から引き出す向き(矢印Dの向き)の操作を行う。
この操作がなされると、筒状部材20はバネ40の付勢力に抗しつつ、筐体10から徐々に引き出される。このとき、回動部材30には、反時計回りに回転させる付勢力が継続的に加えられている。
【0051】
そして、被固定部211が完全に収容凹部25の外に出る程度まで筒状部材20が引き出されると、被固定部211の固定が解除される。そうすると、(使用者が手で押さえる等していなければ)被固定部211が回動部材30の回動を阻むことはなくなるので、回動部材30がバネ40の付勢力により反時計回り(第2方向)に回転し、突起部35が図で右方向に、被固定部211の筒状部材20側端部を押し出す。このことにより、被固定部211は球状部212を中心に時計回りに回転し、図4の状態に移行する。この状態では相手方部材200を留め具100から容易に引き抜くことができ、相手方部材200を引き抜くと(又は図4の状態のままでも)、留め具100は図3に示した開放状態に移行する。
【0052】
なお、開放状態に正しく移行させるためには、使用者は、筒状部材20の係止端部26aが、回動部材30の段差部34よりも図で上側(筐体10の表面に近い位置)に来るまで筒状部材20を引き出す。筒状部材20は、バネ40が最大限縮められる位置までしか引き出せないので、この位置まで引き出せば十分である。
筒状部材20をこの位置まで引き出した状態では、相手方部材200が留め具100から取り出されていれば、回動部材30は反時計回りに付勢されて、段差部34やそれよりも突起部35寄りの部分が切り欠き部26に挿入された状態となっている。
【0053】
この状態で使用者が操作部21を離すと、筒状部材20は、バネ40の付勢力により空洞11へ向かう方向で移動し、係止端部26aが段差部34に当接して係止され、図3の状態に戻る。
このように、留め具100を用いると、使用者は簡単な操作で、相手方部材200を留め具100から取り外すと共に、留め具100を相手方部材200の固定が可能な状態に戻すことができる。この場合において、留め具100から取り外された相手方部材200は留め具100に対して自由に移動できる状態で全く問題ない。
【0054】
ところで、相手方部材200を留め具100から取り外す際に、使用者が筒状部材20を十分に引き出さずに操作部21から手を離してしまったり、留め具100に不測の衝撃が加わったりすると、係止端部26aが段差部34に係止されない場合がある。そうすると、筒状部材20は、操作部21が筐体10の端部に当接する、概ね図5と同じ状態まで空洞11に向かう方向へ移動することになる(図7参照)。
【0055】
図7の状態であっても、使用者が再度操作部21を十分に引き出して手を離せば、相手方部材200を取り外す場合と同様に、係止端部26aを段差部34に係止し、留め具100を図3に示す状態に戻すことができる。しかし、留め具100が正しく開放状態に戻ったか、図7に示す状態となってしまったかは、筒状部材20がどの程度筐体10に挿入されているかをよく見なければわからない。そして、使用者が相手方部材200と留め具100とを連結しようとする場合に、毎回留め具100の状態を確認するのは面倒である。ネックレスのように、体の後ろの、目で見えない位置で連結しようとする場合にはなおさらである。
【0056】
そこで、留め具100においては、筒状部材20にテーパ部27を設け、図7の状態からでも被固定部211を図4の場合とほぼ同じ操作により空洞11に挿入するだけで、留め具100と相手方部材200とを連結できるようにしている。
図7に示す状態で、図4の場合と同様に被固定部211を空洞11に押し込むと、被固定部211の筒状部材20側の端部付近は、テーパ面16により導かれてテーパ部27に当接する。そして、球状部212を半球状面11aに落とし込みつつ被固定部211を押し込む動作に応じて、テーパ部27に図で上向きの力を加え、筒状部材20を押し上げることができる。
【0057】
そして、被固定部211が筒状部22の空洞11側末端を乗り越えると、バネ40の付勢力により筒状部材20が空洞11に向かって移動する。またこのとき、被固定部211が突起部35に当接し、回動部材30を時計回りに回転させる。これらにより、各部の位置関係は図5と同様となり、図5の場合と同様に被固定部211を固定することができる。
【0058】
このように、テーパ部27を設けたことにより、相手方部材200を留め具100から取り外す際に係止端部26aと段差部34との間の係合が適切になされなかった場合でも、適切になされた場合と概ね同様な操作で、相手方部材200を再度留め具100と結合することができる。従って、係止端部26aと段差部34との間の係合の精度が十分でない場合であっても、操作性を維持することができる。
【0059】
次に、以上説明してきた留め具100の用途について、図8を用いて説明する。
図8は、留め具100を備える装飾品の構成例を示す図である。
以上説明してきた留め具100は例えば、図8に示すように、ネックレス1のような装飾品の紐状部300の一端に留め具100を取り付け、他端に相手方部材200を取り付け、紐状部300の両端を連結及び連結解除するために用いることができる。この場合において、留め具100と相手方部材200との組を、1セットの留め具と捉えることもできる。また、ネックレス1は、この発明の装飾品の一実施形態である。留め具100のリング50と、相手方部材200のリング220は、紐状部300を取り付けるために用いる取り付け部である。
【0060】
留め具100は、筐体10の軸方向長さが変わっても、相手方部材200の連結及び解除の際の操作感はさほど変わらない。また、この操作が、リング50,220に取り付けられた紐状部300と干渉することはない。このため、留め具100は、図8のように筐体10(及び相手方部材200)の軸方向に沿って複数の紐状部300を設けるネックレスの留め具として用いると、好適である。各紐状部300は、図8では糸に真珠を通して連ねたものとして示しているが、チェーンであってもよいし、ペンダントトップを備えていてもよい。形状や材質は任意である。
【0061】
ただしもちろん、紐状部300が1本のみのネックレスに適用することも可能であるし、他の装飾品について適当な部分を連結及び連結解除するために用いることもできる。また、留め具100は、人が身に付ける程度のサイズの装飾品に用いることが特に好適ではあるが、これに限られない。装飾品以外の対象を連結及び連結解除するために用いることも、妨げられない。
【0062】
〔変形例〕
以上で実施形態の説明を終了するが、この発明において、留め具100や相手方部材200の具体的な構成及び用途、具体的な動作の手順、部品の具体的な形状や材質、配置等は、上述の各実施形態で説明したものに限られない。
【0063】
例えば、留め具100と相手方部材200とが結合された際に、筐体10と外装部210とが一体に見える必要はない。筐体10と外装部210の外形は、デザイン上の要請等に基づき任意に定めることができる。
筒状部材20についても、筒状部22が楕円筒状である必要はなく、角筒状など、他の形状であってもよい。上述した実施形態の場合と同様に軸方向に沿って筐体10に対して出し入れすることができれば、軸に垂直な面の断面積が、軸方向の位置によって異なっていてもよい。
【0064】
操作部21も、筒状部材20を筐体10から引き出す操作が可能であれば、任意の形状であってよい。例えば、筒状部22の側面から立ち上がって筐体10の側面を貫通する操作部を設け、使用者が、筐体10の側面上に位置する当該操作部を、筐体10の側面に沿って操作するようにしてもよい。
また、以上説明してきた各実施形態及び変形例の構成は、相互に矛盾しない限り任意に組み合わせて実施可能であり、また、一部のみを取り出して実施することもできる。
【符号の説明】
【0065】
1…ネックレス、10…筐体、11…空洞、11a…半球状面、11b…空洞の端面、12…開口部、13…第1スリット、14…透孔部、15…第2スリット、16…テーパ面、17…導入テーパ面、20…筒状部材、21…操作部、21a…スリット、22…筒状部、22a…スリット、22b…段部、22c…薄肉部、23…中空部、25…収容凹部、26…切り欠き部、26a…係止端部、27…テーパ部、30…回動部材、31…回動軸、31a…透孔、32…頂部、33…半球体、34…段差部、35…突起部、40…バネ、50…リング、100…留め具、200…相手方部材、210…外装部、210a…凹部、211…被固定部、212…球状部、213…接続部、213a…接続部の下端面、220…リング、300…紐状部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8