(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144755
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】内服組成物、甘味の後引きを改善する方法および変色を抑制する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/202 20060101AFI20241003BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20241003BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241003BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20241003BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241003BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20241003BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20241003BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20241003BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20241003BHJP
A23L 2/60 20060101ALN20241003BHJP
A23L 2/52 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
A61K31/202
A61K47/22
A61K47/26
A61K47/46
A61K9/08
A61K9/10
A61P27/02
A23L33/105
A23L27/00 Z
A23L27/00 E
A23L2/00 C
A23L2/60
A23L2/00 F
A23L2/52 101
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024130741
(22)【出願日】2024-08-07
(62)【分割の表示】P 2023076607の分割
【原出願日】2018-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2017096676
(32)【優先日】2017-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079382
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123928
【弁理士】
【氏名又は名称】井▲崎▼ 愛佳
(74)【代理人】
【識別番号】100136308
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 優子
(72)【発明者】
【氏名】水垂 陽子
(72)【発明者】
【氏名】深田 一剛
(57)【要約】
【課題】甘味料の甘みの後引きが改善された甘味を有する内服組成物を提供する。
【解決手段】内服組成物にクロセチンおよび甘味料を含有するようにした。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロセチンと、甘味料と、を含有し、
上記クロセチンの含有量が内服組成物全体に対して0.05~2質量%であり、
上記甘味料が、非糖質系甘味料であって、
上記非糖質系甘味料が、アスパルテーム、ネオテーム、スクラロース、アセスルファムカリウムおよびステビア抽出物からなる群から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする内服組成物。
【請求項2】
クロセチンと、甘味料と、を含有し、
上記クロセチンの含有量が内服組成物全体に対して0.05~2質量%であり、
上記甘味料が、糖アルコールであって、
上記糖アルコールが、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトールおよびイソマルツロース還元物からなる群から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする内服組成物。
【請求項3】
上記甘味料に対する上記クロセチンの質量比が、0.0001~10である請求項1または2記載の内服組成物。
【請求項4】
上記内服組成物が液剤およびシロップ剤のいずれかの形状である請求項1~3のいずれかに記載の内服組成物。
【請求項5】
甘味料と、クロセチンと、を併用し、
上記クロセチンの含有量が内服組成物全体に対して0.05~2質量%であり、
上記甘味料が、非糖質系甘味料であって、
上記非糖質系甘味料が、アスパルテーム、ネオテーム、スクラロース、アセスルファムカリウムおよびステビア抽出物からなる群から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする、甘味料を含有する内服組成物の甘味の後引きを改善する方法。
【請求項6】
甘味料と、クロセチンと、を併用し、
上記クロセチンの含有量が内服組成物全体に対して0.05~2質量%であり、
上記甘味料が、糖アルコールであって、
上記糖アルコールが、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトールおよびイソマルツロース還元物からなる群から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする、甘味料を含有する内服組成物の甘味の後引きを改善する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、甘味の質が改善された内服組成物、甘味の後引きを改善する方法および変色
を抑制する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の健康志向や低カロリー志向に伴い、甘味を有する内服組成物において、肥満や虫
歯の原因となるショ糖に代わって、いわゆる「高甘味度甘味料」が用いられるようになっ
てきている。上記高甘味度甘味料の多くは、ショ糖に比べて強い甘味を有し、少ない使用
量で充分な甘味を付与することができるため、甘味を有する飲食品の低カロリー化を実現
することができる。
【0003】
これらの高甘味度甘味料は、一般に甘味や雑味の後引きが強いため、ショ糖のような美
味しい甘味を提供することができないという問題がある。この問題を解決するため、例え
ば、特許文献1には、非糖質系甘味料又は糖アルコールに、L-アラビノースを配合する
甘味組成物が提案されている。この甘味組成物によると、高甘味度甘味料が有する独特の
甘味や雑味の後引きが改善され、より美味しい甘味料を提供することができるとされる。
【0004】
しかしながら、このものは、もともと甘味料であるL-アラビノースを用いて、高甘味
度甘味料の甘味特性(甘味の強さと甘味を感じる時間の長さ)のバランスを調整すること
により、その独特の甘味や雑味の後引きを改善するものであると考えられ、高甘味度甘味
料の種類ごとにこれらの配合の比率を変えなければならず煩雑であるという問題がある。
また、甘味料以外の成分による雑味改善については言及がない。したがって、より簡便に
高甘味度甘味料が有する独特の甘味や雑味の後引きを改善するものが求められている。
【0005】
一方、近年の健康志向に伴い、体調を整える等の様々な効果が期待できる内服組成物が
提供されるようになっている。なかでも、ビタミン類等の栄養素や、乳酸菌等の有用な成
分を配合し、その有用な成分に由来する機能や効果が期待される内服組成物は、医薬品の
ような法規制が設けられていないため、ごく普通に市販され、人々の身近な存在になって
いる。
【0006】
上記様々な効果が期待できる有用な成分の一つに、クロセチンがある。クロセチンは、
アカネ科クチナシ(Gardenia augusta MERRIL var. gr
andiflora HORT.,Gardenia jasminoides ELL
IS)の果実、サフランの柱頭の乾燥物等に含まれる化合物であり、眼精疲労改善効果(
眼精疲労の予防、回復)等があることが知られている(例えば、特許文献2参照)。しか
しながら、クロセチンは通常、無味である。したがって、健康志向および低カロリー化に
配慮した甘味を有する内服組成物、すなわち、高甘味度甘味料を有する内服組成物に配合
し、クロセチンに由来する機能や効果が期待できる内服組成物とするには、高甘味度甘味
料が有する独特の甘味や雑味の後引きを改善する煩雑な方法が必要であるというのが技術
常識であり、このような内服組成物は存在していないという実情がある。したがって、ク
ロセチンに由来する機能や効果を享受しつつ、高甘味度甘味料が有する独特の甘味や雑味
の後引きが改善された、健康志向に適した美味しい内服組成物の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-73197号公報
【特許文献2】特開2007-215465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、甘味料の甘みの後引きが改善された
甘味を有する内服組成物の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、クロセチンおよび甘味料を含有する内服組成物を
第1の要旨とし、甘味料とクロセチンとを併用する、甘味料を含有する内服組成物の甘味
の後引きを改善する方法を第2の要旨とし、甘味料とクロセチンとを併用する、クロセチ
ンを含有する内服組成物の変色を抑制する方法を第3の要旨とする。
【0010】
すなわち、本発明者らは、体調を整える等の様々な効果が期待できる内服組成物を、よ
り気軽に摂取が可能なものにできないか、種々の検討を重ねた。その結果、上記内服組成
物に甘味を付与し、いわゆる嗜好品に近づけることが有用であることがわかった。とりわ
け、クロセチンと、甘味料とを併用すると、意外なことに甘味料の甘味の質が改善され、
美味しい内服組成物にできることを見出し、本発明に想到した。
【発明の効果】
【0011】
本発明の内服組成物は、クロセチンおよび甘味料を含有しているため、クロセチンによ
って甘味料の甘味の質が改善され、甘味や雑味の後引きがなくなるだけでなく、甘味料の
種類によってはその風味(コク、リッチさ等)まで改善されるため、内服組成物をいわゆ
る嗜好品に近づけることができ、気軽に摂取を可能なものとすることができる。
なお、本発明の内服組成物には、飲食品(飲料および食品)、医薬部外品および医薬品
が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。ただし、本発明は、以下の実
施の形態に限定するものではない。
【0013】
本発明の内服組成物は、クロセチンと甘味料を含有している。
クロセチンは、通常、カロテノイド系の黄色色素であるクロシン(クロセチンのジゲン
チオビオースエステル)を加水分解することにより得られる。上記クロシンは、アカネ科
クチナシ(Gardenia augusta MERRIL var.grandifl
ora HORT.,Gardenia jasminoides ELLIS)の果実、
サフランの柱頭の乾燥物等に含まれており、工業的原料としてはクチナシの果実が好まし
く用いられる。
【0014】
本発明に用いるクロセチンは、市販のクロセチン製剤を用いることもできる。このよう
な市販品としては、例えば、クロビットP(クロセチン含量75wt%、理研ビタミン社
製)、クロビット2.5WD(クロセチン含量2.5wt%、理研ビタミン社製)等があ
げられる。
【0015】
本発明の内服組成物において、クロセチンの含有量は特に制限されるものではない。し
かし、本発明の効果を奏する観点から、クロセチンの量は、純度100質量%のクロセチ
ンに換算して、内服組成物全体に対し、通常0.001~50質量%、好ましくは0.0
1~10質量%、より好ましくは0.05~2質量%である。また、1日の服用量として
、クロセチンを、純度100質量%のクロセチンに換算して0.05~50mg含有する
ことが好ましく、より好ましくは0.1~10mg、一層好ましくは0.5~5mgであ
る。すなわち、クロセチンが少なすぎるとクロセチン由来の薬効成分を充分に配合するこ
とができない傾向がみられるうえに、本発明の効果を充分に発揮できない可能性がある。
一方で、クロセチンが多すぎると上記薬効成分が過剰に配合されるためである。
【0016】
つぎに、本発明に用いる甘味料は、甘味を感じる材料全般を意味し、成分表示上「甘味
料」として使用されるものはもちろん、それだけに限られず、甘味を感じるもの全てを含
んでいる。また、甘味料として使用されるものは、大別すると、糖質系甘味料と非糖質系
甘味料の2種類に分けられるが、これらはいずれも本発明の甘味料に含まれる。
【0017】
上記糖質系甘味料は、砂糖、でん粉由来の糖、その他の糖、糖アルコールに大別するこ
とができる。上記でん粉由来の糖としては、例えば、ブドウ糖、麦芽糖、果糖、水飴、異
性化糖、イソマルトオリゴ糖等があげられる。上記その他の糖としては、例えば、フラク
トオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖等があげられる。上記糖
アルコールとしては、例えば、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチト
ール、イソマルツロース還元物、マンニトール、還元水飴等があげられる。風味(コク、
リッチさ等)の改善度が高く、しかも口腔内細菌によって利用されにくい性質を有し、虫
歯になりにくいという観点から、本発明の甘味料としては、糖アルコールが好ましく用い
られ、なかでも、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、イソマ
ルツロース還元物が好ましく用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いる
ことができる。
【0018】
上記非糖質系甘味料は、天然甘味料、人工甘味料に大別することができる。上記天然甘
味料としては、例えば、ステビア抽出物、甘草(グリチルリチン)、ソーマチン等があげ
られる。上記人工甘味料としては、例えば、アスパルテーム、ネオテーム、スクラロース
、アセスルファムカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム等があげられる。甘味や
雑味の後引きの改善度が高く、しかも口腔内細菌によって利用されにくい性質を有し、虫
歯になりにくいという観点から、本発明の甘味料としては、非糖質系甘味料が好ましく用
いられ、なかでも、ステビア抽出物、アスパルテーム、ネオテーム、スクラロース、アセ
スルファムカリウムが好ましく用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用い
ることができる。また、風味(コク、リッチさ等)および甘味や雑味の後引きの両方の改
善度を高めることができ、しかも口腔内細菌によって利用されにくい性質を有し、虫歯に
なりにくいという観点から、本発明に用いられる甘味料として、糖アルコールおよび非糖
質系甘味料の混合物が好ましく用いられる。
【0019】
本発明の内服組成物において、甘味料の含有量は特に制限されるものではない。しかし
、本発明の効果を奏する観点から、内服組成物全体に対し、通常0.001質量%以上含
有するものであり、0.005~95質量%含有することが好ましく、より好ましくは0
.01~90質量%含有するものである。すなわち、甘味料が少なすぎると本発明の効果
を充分に発揮できない傾向がみられるためである。
【0020】
なかでも、甘味料が糖アルコールである場合は、甘味料の含有量は、内服組成物全体に
対し、1質量%以上であることが好ましく、5~95質量%であることがより好ましく、
10~90質量%であることがさらに好ましい。
【0021】
また、甘味料が非糖質系甘味料である場合は、甘味料の含有量は、内服組成物全体に対
し、0.001質量%以上であることが好ましく、0.005~5質量%であることがよ
り好ましく、0.01~1質量%であることがさらに好ましい。
【0022】
本発明において、甘味料に対するクロセチンの質量比(クロセチン/甘味料)が、0.
0001~10であることが好ましく、0.0005~5であることがより好ましく、0
.001~1であることがさらに好ましい。少なすぎても多すぎても本発明の効果が得ら
れにくい傾向にあるためである。
【0023】
なかでも、甘味料が糖アルコールである場合は、甘味料に対するクロセチンの質量比(
クロセチン/甘味料)が、0.0001~1であることが好ましく、0.0005~0.
5であることがより好ましく、0.001~0.1であることがさらに好ましい。
【0024】
また、甘味料が非糖質系甘味料である場合は、甘味料に対するクロセチンの質量比(ク
ロセチン/甘味料)が、0.001~10であることが好ましく、0.005~5である
ことがより好ましく、0.01~1であることがさらに好ましい。なかでも、甘味料が天
然甘味料については、甘味料に対するクロセチンの質量比(クロセチン/甘味料)が、0
.001~1であることが好ましく、0.005~0.5であることがより好ましく、0
.01~0.1であることがさらに好ましい。また、人工甘味料については、甘味料に対
するクロセチンの質量比(クロセチン/甘味料)が、0.001~10であることが好ま
しく、0.005~5であることがより好ましく、0.01~1であることがさらに好ま
しい。
【0025】
本発明の内服組成物は、クロセチンを含有するため、眼精疲労改善(眼精疲労の予防、
回復)等に極めて有用である。
【0026】
本発明の内服組成物は、クロセチンおよび甘味料以外の他の成分を含有させることがで
きる。本発明の内服組成物は、さらに視機能改善効果〔眼精疲労、近視、眼疾患(白内障
、加齢黄斑変性、緑内障等)等の予防又は改善〕等により優れるとの観点から、ルテイン
、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、ビルベリーエキス、ブルーベリーエキス、黒大豆
ポリフェノール、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、ラ
フマエキスおよびハスカップエキスからなる群から選ばれた少なくとも一つを含有するも
のが好ましい。なかでも、ルテインおよびビルベリーエキスの少なくとも一方を含有する
ものがより好ましい。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0027】
上記クロセチンおよび甘味料以外の他の成分の含有量は特に制限されるものではないが
、本発明の効果を阻害するおそれが少ないとの観点から、その含有量は、内服組成物全体
に対し、通常0.0005~5質量%であり、0.001~2質量%であることが好まし
く、0.005~1質量%であることがより好ましい。
【0028】
また、本発明の内服組成物は、美味しさにより優れるとの観点から、果汁を含有するも
のが好ましい。なかでも、ブルーベリー、ブドウ、リンゴ、オレンジ、ミカン、レモン、
グレープフルーツ、パイナップル、モモ、ストロベリーおよびラズベリーからなる群から
選ばれた少なくとも一つを由来とする果汁を含有するものがより好ましく、ブルーベリー
およびブドウの少なくとも一方を由来とする果汁を含有するものがさらに好ましい。これ
らは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0029】
上記果汁の含有量は特に制限されるものではないが、本発明の効果を阻害するおそれが
少ないとの観点から、その含有量は、内服組成物全体に対し、通常1~99質量%であり
、5~95質量%であることが好ましく、10~90質量%であることがより好ましい。
粉末果汁の場合は、内服組成物全体に対し、通常0.1~50質量%であり、0.5~2
0質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましい。
【0030】
さらに、本発明の内服組成物は、クロセチンの変色抑制の観点から、流動化剤および滑
沢剤の少なくとも一方を含有するものが好ましい。なかでも、ステアリン酸カルシウム、
ステアリン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸、ケイ
酸アルミニウム、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、グリセリン脂肪酸エステ
ルおよびショ糖脂肪酸エステルからなる群から選ばれた少なくとも一つを含有するものが
より好ましく、とりわけステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムがさらに好
ましい。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0031】
また、本発明の内服組成物は、一般に製剤学的に利用可能な製剤添加物、例えば、安定
化剤、安定剤、界面活性剤、可溶(化)剤、緩衝剤、基剤、吸着剤、矯味剤、結合剤、懸
濁(化)剤、硬化剤、抗酸化剤、光沢化剤、香料、コーティング剤、剤皮、湿潤剤、湿潤
調整剤、充填剤、消泡剤、清涼(化)剤、咀嚼剤、静電防止剤、着香剤・香料、着色剤、
糖衣剤、等張化剤、軟化剤、乳化剤、粘着剤、粘着増強剤、粘調(化)剤、発泡剤、pH
調整剤、pH調節剤、賦形剤、分散剤、崩壊剤、崩壊補助剤、芳香剤、防湿剤、防腐剤、
保存剤、溶解剤、溶解補助剤、溶剤を必要に応じて含有することができる。これらは単独
でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0032】
このような製剤添加物の具体例としては、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン
、コムギデンプン、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、結晶セルロース、メチルセル
ロース、エチルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロ
ースカルシウム、カルメロースカルシウム、ヒプロメロースフタル酸エステル、セルロー
スアセテートフタレート、α化デンプン、アラビアゴム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウ
ム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、カゼインナトリウム、カ
ルボキシビニルポリマー、水素添加植物油、マクロゴール、シリコーン油、寒天、炭酸水
素ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、セラック、グリセリン、芳香性精油類、水溶性食
用色素、黄酸化鉄、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、褐色酸化鉄、黒酸化鉄、レーキ色素、
安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸、ポリソルベート80、グリセリン
脂肪酸エステル、サラシミツロウ、中鎖脂肪酸トリグリセリド、アスコルビン酸、トコフ
ェロール、チオ硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、オレンジやレモン等の柑橘系香料
やブドウ系香料、ブルーベリー系香料、リンゴ系香料、パイナップル系香料、モモ系香料
、ストロベリー系香料、コーヒー系香料、チョコレート系香料、ヨーグルト系香料、ミル
ク系香料やレモン油、ペパーミント油、スペアミント油、スパイス油等の植物精油等を挙
げることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。なお、
本発明の内服組成物に使用できる製剤添加物は、上記列挙したものに限定されず、製剤学
上利用可能なものであれば特に限定されない。
【0033】
そして、本発明の内服組成物は、クロセチン、甘味料および必要であればその他の材料
を、慣用の方法で混合することによって得ることができる。すなわち、まず、クロセチン
と甘味料とを混合し、この混合物にその他の材料を混ぜ合わせるようにしてもよいし、ク
ロセチン、甘味料を含む全ての材料を一度に混ぜ合わせるようにしてもよい。
【0034】
本発明の内服組成物を、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、丸剤、ドライシロップ剤等とす
るため、すなわち、内服組成物の形状を調整する必要がある場合には、一般に利用される
造粒法、例えば、噴霧造粒法、撹拌造粒法、流動造粒法、転動造粒法、転動流動造粒法等
の湿式造粒法、圧密造粒法等の乾式造粒法を用いることができる。また、錠剤、顆粒剤等
に成形された内服組成物は、小分けして充填し、分包とすることもできる。錠剤は、内服
組成物、粉末剤、細粒剤、顆粒剤、丸剤等と製剤添加物を混合し、圧縮成型することによ
り製造することができる。糖衣錠、フィルムコーティング錠、コーティング顆粒等のコー
ティング製剤は、パンコーティング法、流動コーティング法、転動コーティング法、およ
び、これらの組み合わせ等の常法により製造することができる。
【0035】
そして、本発明の内服組成物は、その剤形は特に限定されるものではなく、例えば、錠
剤、素錠、フィルムコーティング錠、糖衣錠、口腔内崩壊製錠、チュアブル錠、発泡錠、
マトリックス錠、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、トローチ剤、ゼリー剤、グミ剤、ガ
ム剤、液剤、シロップ剤等の食品組成物、医薬部外品又は医薬品とすることができる。な
お、顆粒剤および散剤は粉末化した飲料を含み、液剤は、清涼飲料、栄養ドリンク、果汁
入り飲料、茶飲料、コーヒー飲料、乳飲料等の飲料を含む。また、上記の剤形に加えて、
クッキー、ビスケット、スナック菓子、チョコレートのような一般食品とすることもでき
る。本発明の効果を顕著に奏するという観点から、口内に滞在する時間が長い形状である
、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、トローチ錠、ゼリー剤、グミ剤、ガム剤、液剤およびシ
ロップ剤とすることが好ましく、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、トローチ剤、ゼリー剤、
グミ剤およびガム剤とすることがより好ましい。すなわち、口内に滞在する時間が長けれ
ば長い程、本発明の内服組成物の優位性が際立つためである。
【0036】
なお、クロセチンは通常、極めて強い黄色を呈している。したがって、これを含有する
内服組成物は、クロセチン含有量にもよるが、通常、クロセチンに由来する黄色を呈して
いる。一方、口内に滞在する時間が長い形状の内服組成物においては、その外観をより注
意深く観察される傾向がみられる。本発明の内服組成物は、クロセチンに由来する黄色の
変色が長期間にわたって抑制され、外観の変化が少なくなるという効果がみられる。この
ため、本発明の内服組成物は、口内に滞在する時間が長い形状である、口腔内崩壊錠、チ
ュアブル錠、トローチ錠、ゼリー剤、グミ剤、ガム剤、液剤およびシロップ剤の内服組成
物に、より一層適している。
【0037】
また、本発明の甘味料を含有する内服組成物の甘味の後引きを改善する方法は、甘味料
とクロセチンとを併用するものであり、これにより、独特の甘味や雑味の後引きと、甘味
の質とを改善することができる。
【0038】
さらに、本発明のクロセチンを含有する内服組成物の変色を抑制する方法は、クロセチ
ンと甘味料とを併用するものであり、これにより、クロセチンの継時的な変色を抑制する
ことができる。
【実施例0039】
つぎに、実施例について、比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれに限定され
るものではない。なお、以下に示す成分組成は、特に記載がない限り、すべて質量基準(
質量部)で示している。
【0040】
〔実施例1~19、比較例1~9〕
後記の表1~5に示す組成のとおり、内服組成物(実施例1~19、比較例1~9、い
ずれも粉末状)を調製した。すなわち、各材料を準備し、これらを一度に混合して、粉末
状の内服組成物を調製した。なお、クロセチンについては、クロセチン製剤であるクロビ
ットP(クロセチン含量75wt%、理研ビタミン社製)を使用した。
【0041】
各実施例および各比較例の内服組成物について、甘味および変色抑制の評価を行った。
まず、実施例1~8および比較例1~8について甘味の評価を行い、ついで、実施例9~
19および比較例9について変色抑制の評価を行った。なお、甘味および変色抑制の評価
は、それぞれ以下に示す方法により行った。
【0042】
<甘味の評価>
官能検査について訓練を受けたパネラー5名により、内服組成物の甘味の質(甘味や雑
味の後引き)を評価した。すなわち、各パネラーは、表1~3に示す組成のとおり調製し
た内服組成物を、ミクロスパーテル1さじ分をすくい取って口内に含み、その甘味の質(
甘味や雑味の後引き)を下記の基準に基づいて採点した。そして、パネラー5名の採点の
合計点を下記の指標にあてはめ、各内服組成物の評価とした。
[採点基準]
2点(非常によい):不快な甘みおよび雑味が全く残らない。
1点(よい):不快な甘みおよび雑味がごくわずかに残るが、気にならない。
-1点(悪い):不快な甘みおよび雑味が残るが、口内を水ですすげば取り除くことがで
きる。
-2点(非常に悪い):不快な甘みおよび雑味が残り、口内を水ですすいでも取り除くこ
とができない。
[評価指標]
◎(非常によい):6点以上
〇(よい):3点以上6点未満
×(悪い):0点以上3点未満
××(非常に悪い):0点未満
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
表1に示されるとおり、非糖質系甘味料のみを含有する比較例1~3の内服組成物は、
甘味の評価において、不快な甘みおよび雑味が残ることがはっきりと示されたのに対し、
実施例1~3の内服組成物は、不快な甘みおよび雑味が全く残らないか、残ってもごくわ
ずかであり問題とならないことが示された。また、表2に示されるとおり、糖アルコール
のみを含有する比較例4および5の内服組成物は、不快な甘みおよび雑味が残ることが示
されたのに対し、実施例4および5の内服組成物は、不快な甘みおよび雑味が全く残らな
いことが示された。また、表3に示されるとおり、賦形剤として結晶セルロースを含有す
る場合にも同様の効果が得られた。これらの結果は、非糖質系甘味料、糖アルコールおよ
びこれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも一つ甘味料を含有する内服組成物に
クロセチンを含有させることにより、甘味料の甘みの質を向上させることができるととも
に、その後引きを改善できることを示している。
【0047】
<変色抑制の評価>
表4および5に示す組成の通り調製した内服組成物をガラス瓶に約0.5gずつ入れて
密封し、調製直後と40℃で一日(24時間)保管した後の内服組成物の色差を測定した
。色差は色差計(日本電色工業社製、品番:GC 5000)を用いて測定し、下記の式
1を用いて求めた。その結果を表4および5に併せて示す。
式1:色差(ΔE*ab)=[(Δa*)2+(Δb*)2+(ΔL*)2]1/2
Δa*:保存後の内服組成物のa値-保存前の内服組成物のa値
Δb*:保存後の内服組成物のb値-保存前の内服組成物のb値
ΔL*:保存後の内服組成物のL値-保存前の内服組成物のL値
【0048】
【0049】
【0050】
表4および5に示されるとおり、クロセチンと甘味料のいずれも含有する実施例9~1
9は、保存前後の色差が小さく、変色が効果的に抑制されていた。しかも、その変色抑制
効果は用量依存的であった。
一方、クロセチンのみが含有され、甘味料を含有していない比較例9は、保存前後の色
差が大きく、クロセチンに由来する黄色が変色し、外観の変化が目立つという結果であっ
た。
【0051】
〔製剤例〕
下記の表6~10に示す材料を用いて、本発明の内服組成物(製剤例1~27)を調製
した。製剤例1~9(表6参照)はチュアブルの形状とし、製剤例10~15(表7参照
)は錠剤の形状とし、製剤例16~19(表8参照)はドリンクとし、製剤例20~23
(表9参照)はゼリーの形状とし、製剤例24~27(表10参照)はグミの形状とした
。なお、製剤例1~27の材料として、クロセチンについては、実施例1~19で用いた
ものを用い、その他の材料は食品原料又は食品添加物規格のものを用いている。これらの
内服組成物は眼精疲労、近視予防等の視機能改善効果に優れている。
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
上記表6~10に示す製剤例1~27について、実施例と同様の方法により、甘味の評
価を行った。その結果、クロセチンと甘味料とを含有する製剤例1~27のすべてにおい
て、不快な甘みおよび雑味が全く残らなかった。また、これらはいずれも、製剤製造後1
日(24時間)経過後も変色が認められなかった。したがって、甘味料を含有する内服組
成物にクロセチンを含有させることによる効果は、製剤とした場合にも担保されることが
わかる。