IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 鋼鈑商事株式会社の特許一覧

特開2024-144761植物水耕栽培用筒状体、水耕栽培ユニット及び水耕栽培システム
<>
  • 特開-植物水耕栽培用筒状体、水耕栽培ユニット及び水耕栽培システム 図1
  • 特開-植物水耕栽培用筒状体、水耕栽培ユニット及び水耕栽培システム 図2
  • 特開-植物水耕栽培用筒状体、水耕栽培ユニット及び水耕栽培システム 図3
  • 特開-植物水耕栽培用筒状体、水耕栽培ユニット及び水耕栽培システム 図4
  • 特開-植物水耕栽培用筒状体、水耕栽培ユニット及び水耕栽培システム 図5
  • 特開-植物水耕栽培用筒状体、水耕栽培ユニット及び水耕栽培システム 図6
  • 特開-植物水耕栽培用筒状体、水耕栽培ユニット及び水耕栽培システム 図7
  • 特開-植物水耕栽培用筒状体、水耕栽培ユニット及び水耕栽培システム 図8
  • 特開-植物水耕栽培用筒状体、水耕栽培ユニット及び水耕栽培システム 図9
  • 特開-植物水耕栽培用筒状体、水耕栽培ユニット及び水耕栽培システム 図10
  • 特開-植物水耕栽培用筒状体、水耕栽培ユニット及び水耕栽培システム 図11
  • 特開-植物水耕栽培用筒状体、水耕栽培ユニット及び水耕栽培システム 図12
  • 特開-植物水耕栽培用筒状体、水耕栽培ユニット及び水耕栽培システム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144761
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】植物水耕栽培用筒状体、水耕栽培ユニット及び水耕栽培システム
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/00 20180101AFI20241003BHJP
【FI】
A01G31/00 618
A01G31/00 611Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024130879
(22)【出願日】2024-08-07
(62)【分割の表示】P 2023073474の分割
【原出願日】2019-12-18
(31)【優先権主張番号】P 2018238644
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】510029542
【氏名又は名称】鋼鈑商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西 麻里
(72)【発明者】
【氏名】大石 覚
(72)【発明者】
【氏名】三坂 博文
(57)【要約】
【課題】 栽培筒の中の流体の流量や速度の部分的な偏りを抑制し、植物の成長のバラツキを抑えて栽培歩留まりを向上させることを可能とする植物水耕栽培用筒状体の提供。
【解決手段】植物栽培に必要な液体が流通する流路FPを内部に有すると共に、前記流路FPに連通し、前記液体が流入又は流出するための開口30が側壁に形成された主流筒部10と、前記主流筒部10の内壁において、前記流路FPを流通する前記液体の少なくとも一部を周方向へ向けてガイドする第1導水部50と、を含み、さらに前記第1導水部50は、前記主流筒部10の内壁から延びる第1ガイド面52を有し、且つ、前記第1ガイド面52は、前記主流筒部10の中心線CLに対して角度αで前記内壁と交差することを特徴とする、植物水耕栽培用筒状体。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物栽培に必要な液体が流通する流路を内部に有すると共に、前記流路に連通し、前記液体が流入又は流出するための開口が側壁に形成された主流筒部と、
前記主流筒部の内壁において、前記流路を流通する前記液体の少なくとも一部を周方向へ向けてガイドする第1導水部と、を含み、
さらに前記第1導水部は、前記主流筒部の内壁から延びる第1ガイド面を有し、且つ、前記第1ガイド面は、前記主流筒部の中心線に対して角度αで前記内壁と交差する
ことを特徴とする、植物水耕栽培用筒状体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を栽培するための水耕栽培技術に関し、より詳細には、内部を通過する水等の液体の流量や速度の偏りを抑制するための植物水耕栽培用筒状体と、それを含む水耕栽培ユニット及び水耕栽培システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植物を重力方向すなわち垂直方向に並置して栽培育成を行う、垂直水耕と呼ばれる手法が知られている。この植物栽培手法によれば、ロッドや板材などを介して植物が垂直方向や斜め方向に並んだ状態で栽培されるため、比較的面積が小さい建屋を利用して植物栽培を行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2018/181848号公報
【特許文献2】特許第6412136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した垂直水耕方式においては、例えば、特許文献1に示されるように、垂直方向に立設されたパイプ状の栽培筒の左右交互に、植物を植え付けるための開口を有する植付部材が複数取り付けられている。栽培筒中には養分が含まれた水等の液体が流れており、植付部材に植え付けられた植物は、収穫時までの数か月間、植付部材の開口に植えられた状態で成長する。
【0005】
ここで、上記した複数の植付部材において、葉物野菜等の場合には、植え付けられた各々の植物の成長速度が同等であることが、一度に収穫できて収穫の手間を抑えるという観点からは好ましい。
また果菜など熟した順に収穫を行う野菜であっても、水分や養分の植物への供給不足は回避されるべきであり、できるだけ成長のサイクルを早めて短い期間で収穫できた方が、栽培効率の点からは好ましい。
【0006】
しかしながら従来の植物栽培の現場においては、垂直方向に立設されたパイプ状の栽培筒の傾きや、生育する個々の植物の大きさや成長速度の違い等、様々な要因により、パイプ状の栽培筒の中に流れる液体の流量や速度の偏りが発生する事実が散見された。
そして、これらの流量や速度の偏りに起因して、個々の植物の成長速度のバラツキが生じたり、意図せずに植物の成長速度が遅くなるという問題が発生していた。
【0007】
上記した問題を解消するためには、例えば栽培筒の内壁において水を導くための通路を形成し、栽培筒の内部を流通する液体が単純に垂直落下することを避けるようにする手段を想定することができる。
例えば特許文献2には、植物栽培用のコンテナにおいて、内部に流体を導くための導路手段が開示されている。しかしながらこのような技術においては、形状が複雑なため、製造コストが高いことや、洗浄の手間がかかる等の問題があった。
【0008】
本発明は、かような課題を解決することを一例に鑑みてなされたものであり、パイプ状の栽培筒の中に流れる液体の流量や速度の偏りを抑制し、植物の栽培歩留まりを向上させるための植物水耕栽培用筒状体、水耕栽培ユニット及び水耕栽培システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる植物水耕栽培用筒状体は、(1)植物栽培に必要な液体が流通する流路を内部に有すると共に、前記流路に連通し、前記液体が流入又は流出するための開口が側壁に形成された主流筒部と、前記主流筒部の内壁において、前記流路を流通する前記液体の少なくとも一部を周方向へ向けてガイドする第1導水部と、を含み、さらに前記第1導水部は、前記主流筒部の内壁から延びる第1ガイド面を有し、且つ、前記第1ガイド面は、前記主流筒部の中心線に対して角度αで前記内壁と交差することを特徴とする。
また本発明の一実施形態にかかる植物水耕栽培用筒状体は、(2)植物栽培に必要な液体が流通する流路を内部に有すると共に、前記流路に連通し、前記液体が流入又は流出するための開口が側壁に形成された主流筒部と、前記主流筒部の内壁において、前記流路を流通する前記液体の少なくとも一部を長手方向へ向けてガイドする分岐部と、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本実施形態にかかる植物水耕栽培用筒状体は、上記(1)において、(3)前記主流筒部の内壁において、前記流路を流通する前記液体の少なくとも一部を、前記第1導水部とは逆の周方向へ向けてガイドする第2導水部をさらに含み、前記第2導水部が、前記主流筒部の内壁から延びる第2ガイド面を有し、且つ、前記第2ガイド面は、前記主流筒部の中心線に対して角度βで前記内壁と交差することが好ましい。
【0011】
また、本実施形態にかかる植物水耕栽培用筒状体は、上記(1)又は(3)において、(4)前記角度α及び角度βが30°~90°であることが好ましい。
【0012】
本実施形態にかかる植物水耕栽培用筒状体は、上記(4)において、(5)前記第1ガイド面の端から立設する第1鉛直凸部、及び、前記第2ガイド面の端から立設する第2鉛直凸部をさらに有することが好ましい。
【0013】
本実施形態にかかる植物水耕栽培用筒状体は、上記(1)又は(3)において、(6)前記角度α及び角度βが90°~150°であり、前記第1ガイド面の端から立設する第1鉛直凸部、及び、前記第2ガイド面の端から立設する第2鉛直凸部をさらに有することが好ましい。
【0014】
本実施形態にかかる植物水耕栽培用筒状体は、上記(1)~(6)のいずれかにおいて、(7)前記主流筒部の前記開口には、前記液体の供給を受けるための水受け部材を着脱可能とするための液体流入筒部をさらに有し、前記液体流入筒部はその内壁に前記液体を分流させる分岐部を有することが好ましい。
【0015】
本実施形態にかかる植物水耕栽培用筒状体は、上記(7)において、(8)前記分岐部と前記第1導水部とが離間部を介して連続して設けられ、前記分岐部により分流された液体の少なくとも一部が、前記第1ガイド面により前記主流筒部の周方向へ向けてガイドされるものであることが好ましい。
【0016】
本実施形態にかかる植物水耕栽培用筒状体は、上記(7)又は(8)において、(9)前記分岐部は、前記液体流入筒部の内壁において、前記開口側から前記水受け部材側に向かって周方向の幅が漸次細くなるテーパ部を有していることが好ましい。
【0017】
また、上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる水耕栽培ユニットは、(10)上記(1)~(9)のいずれかに記載の植物水耕栽培用筒状体と、前記開口に着脱可能であると共に、植物を植え付けるための植付開口を有する植付部材と、を含むことを特徴とする。
【0018】
また、上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる水耕栽培システムは、(11)上記(10)にかかる水耕栽培ユニットと、前記水耕栽培ユニットを支持する吊り下げ支持機構と、前記水耕栽培ユニットの前記植付部材に植えられた植物に対して必要な液体を供給する液体供給系と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、植物水耕栽培用筒状体の内部において、流路に流通する前記液体を周方向へ向けてガイドする第1導水部を設け、且つ、前記第1導水部は、所定の角度で内壁と交差する第1ガイド面を含む。その結果、栽培筒の中の流体の流量や速度の部分的な偏りを抑制し、植物の成長のバラツキを抑えたり意図せずに植物の成長速度が遅くなるという問題を抑え、栽培歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る植物水耕栽培用筒状体100を示す断面模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る植物水耕栽培用筒状体100を示す部分断面模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係る植物水耕栽培用筒状体100を示す断面模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係る植物水耕栽培用筒状体100を示す断面模式図である。
図5】本発明の一実施形態に係る植物水耕栽培用筒状体100を示す部分断面模式図である。
図6】本発明の一実施形態に係る植物水耕栽培用筒状体100を示す断面模式図である。
図7】本発明の一実施形態に係る植物水耕栽培用筒状体100を示す断面模式図である。
図8】本発明の一実施形態に係る植物水耕栽培用筒状体100を示す断面模式図である。
図9】本発明の一実施形態に係る水耕栽培ユニット200を示す模式図である。
図10】本実施形態における水受け部材WPを示す模式図である。
図11】本実施形態におけるガイド筒90を示す模式図である。
図12】本実施形態における開口30と植付部材80との間の封止機構を示す断面模式図である。
図13】本実施形態における水耕栽培システム300を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を適宜用いて本発明を好適に実施するための実施形態について説明する。なお、各図中において、重力方向をZ方向、植物水耕栽培用筒状体において水受け部材から流体が流路に流入する方向をX方向、Z方向とX方向とに直交する方向をYと便宜的に定義した。しかしながらこれら方向付けは、説明の便宜上であって、本発明の技術的範囲を何ら制限するものではない。
【0022】
また、以下で詳細に説明する以外の構成については、例えば特願2016-120846号や、上記特許文献1に記載された水耕栽培システムを適宜参照してもよい。
【0023】
[植物水耕栽培用筒状体100]
図1は、本実施形態に係る植物水耕栽培用筒状体100の断面を模式的に示した図である。同図に示すように、植物水耕栽培用筒状体100は主流筒部10を含む。また、主流筒部10には、植物栽培に必要な液体(養分と水分とを含む液体)が流通する流路FPが内部Z方向に延びるように形成されている。
ここで、上記した液体は、水であっても良いし、水に肥料分や栄養分を混合させた液体であってもよい。
【0024】
主流筒部10の側壁の一部には、前記流路FPに連通する開口30が形成され、前記液体が流入又は流出可能となっている。また、開口30には、後述する液体流入筒部20や、植物を植付けるための植付部材80を着脱することも可能となっている。
なお、本実施形態の植物水耕栽培用筒状体100は、図においては連結可能な分割体を例にして説明しているが、これに限られるものではなく、一体成形としてもよい。
また、本実施形態の植物水耕栽培用筒状体100や主流筒部10、後述する栽培筒70等の部材の形状は、円筒形状に限られるものではなく、液体が流通する流路が形成可能である限りにおいて、断面が多角形状等であってもよい。
【0025】
本実施形態の植物水耕栽培用筒状体100は、流通する液体の漏れを抑制する観点や、コスト低減の観点等からは、射出成形法等により成形することが好ましい。これらの部材の材質に特に制限はないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、あるいはポリ塩化ビニルなどが適用可能である。また、部分的に異なる材質を含んでいてもよく、例えば不織布等の保水性を有する材質により部材を形成してもよい。
また、各部材は、特に着色すべき色に制限はなく無着色であってもよいが、着色されていることが好ましく、反射率向上の観点から白色やパール調などを使用することがより好ましい。
さらに、耐候性向上のために紫外線吸収剤や紫外線錯乱剤を樹脂に添加したり、防汚性向上のために抗菌剤などの添加剤を樹脂に添加してもよい。
【0026】
図1に示されるように、本実施形態において主流筒部10の内壁には、流通する液体の少なくとも一部をガイドするための第1導水部50が形成されていることが好ましい。この第1導水部50は、主流筒部10の内壁に沿って周方向のスパイラル状に液体が流れ落ちるようにする凸部である。
【0027】
すなわち上記第1導水部50は、図1に示すように、前記主流筒部の内壁から筒の中心に向かって延びる第1ガイド面52を有する。そして、この第1ガイド面52上を水が流れることにより、周方向をスパイラル状に液体が流れ落ちるようにすることが好ましい。
この前記第1ガイド面52は、図1に示すように、前記主流筒部の中心線に対して角度αで前記内壁と交差することが好ましい。
【0028】
角度αとしては、この第1ガイド面52上を水が流れる程度の角度であれば特に制限はない。例えば、図1(a)に示すように角度αが仰角であってもよい。この場合、角度αとして具体的には30°~90°程度が挙げられる。
一方で図1(b)に示すように、角度αが伏角であってもよく、その場合角度αは具体的には90°~150°程度を挙げることができる。
【0029】
本実施形態において図1(b)に示されるように、第1導水部50は、第1ガイド面52の端から立設する第1鉛直凸部53をさらに含んでいてもよい。この場合、主流筒部10の内壁、第1ガイド面52、及び第1鉛直凸部53により形成される第1流通溝54により、液体を主流筒部10の内壁により確実に添わせてガイドすることができるため、流路FPを流れる液体の流量や速度の部分的な偏りを抑制する観点からはより好ましい。
また、第1流通溝54は液体の流量や速度に応じて幅や深さを変更することができ、流通溝の幅や深さを変更することによって、液体をより確実にガイドすることができる。
【0030】
なお、図1においては、第1導水部50の角度αが仰角の場合には、第1ガイド面52の端には第1鉛直凸部53が形成されず(図1(a))、第1導水部50の角度αが伏角の場合には、第1ガイド面52の端に第1鉛直凸部53が形成されているが(図1(b))、本実施形態はこれらに限られるものではない。
【0031】
すなわち、第1導水部50の角度αが仰角で、且つ第1ガイド面52の端に第1鉛直凸部53が形成されていてもよい。
また、第1鉛直凸部53が立設される角度としては、厳密に鉛直である必要はなく、上記した第1流通溝54が形成可能な程度に手すり状の立ち上がりがあれば問題ない。
【0032】
また、第1ガイド面52と第1鉛直凸部53とを連続して滑らかに形成し、断面がU字の如き形状としてもよい。
【0033】
さらには、図1(c)~(e)に示されるように、第1導水部50の断面がC字状やO字状であってもよく、流路を通る液体のはねや溢れを制御できるように、上記以外の形状であってもよい。この場合、導水部に液体を流入する箇所を図1(a)(b)に示されるような構造とし、途中から図1(c)~(e)のような断面構造とすることができる。また、第1導水部50は主流筒部10と一体成形される必要はなく、主流筒部10に固着されたものであってもよい。また、材質についても、第1導水部50と主流筒部10の材質を同一にする必要はなく、異なる素材で形成されていてもよい。
【0034】
また図2に示すように、主流筒部10の内壁には、上記した第1導水部50に加えてさらに、流体を重力方向(-Z方向)へガイドするための第1垂直リブ51を形成してもよい。
なお、図2には、第1垂直リブ51は第1導水部50と組み合わせて形成されているが、本実施形態においてはこの態様に限られるものではない。すなわち、第1導水部50を形成せず第1垂直リブ51をガイド筒リブ91と同様に植付部材開口の上又は下に形成することによっても、液体の流れを制御することが可能である。
【0035】
実施形態においては、図2に示すように、上記した第1導水部50に加えてさらに第2導水部60が形成されていてもよい。図2に示すように第2導水部60は、主流筒部10の内壁において、流路FPを流通する液体の少なくとも一部を、第1導水部50とは逆の周方向へ向けてガイドするものであることが好ましい。
【0036】
すなわち図2に示すように、上方から見た場合に、第1導水部50は液体を周方向時計回りにガイドし、第2導水部60は液体を反周方向時計回りにガイドするものであることが好ましい。なお、液体をガイドする角度(円周角)としては特に制限されるものではないが、例えば45°~315°程度であることが、主流筒部10の中の液体の流量や速度の部分的な偏りを抑制するという観点からは好ましい。
【0037】
第2導水部60の構成としては、第1導水部50と同様に、主流筒部10の内壁から延びる第2ガイド面62を有するものであることが好ましい。そしこの第2ガイド面62は、前記主流筒部10の中心線CLに対して角度βで前記内壁と交差することが好ましい。
【0038】
角度βは、角度αと同様に30~90°程度の仰角であっても、90°~150°程度の伏角であってもよい。また、第2ガイド面62の端に第2鉛直凸部63が形成され、それにより第2溝流通溝64を形成させてもよい。
【0039】
さらに図3に示すように、主流筒部10に第1導水部50及び第2導水部60が共に形成される場合には、角度αと角度βは、同じ角度であってもよいし、異なる角度であってもよい。また、第1導水部50及び第2導水部60が設けられる高さ(Z方向における位置)に関しても、図3に示すように異なっていてもよいし、同じ位置に設けられていてもよい。
また第1導水部50と同様に、第2導水部60の形状も断面がC字状やO字状であってもよく、流路を通る液体のはねや溢れを制御できるように、上記以外の形状であってもよい。この場合、導水部に液体を流入する箇所を図1(a)(b)に示されるような構造とし、途中から図1(c)~(e)のような断面構造とすることができる。また、第2導水部60は主流筒部10と一体成形される必要はなく、主流筒部10に固着されたものであってもよい。また、材質についても、第2導水部60と主流筒部10の材質を同一にする必要はなく、異なる素材で形成されていてもよい。
【0040】
また、上記した第2導水部60に加えてさらに、図2に示すように、流体を重力方向(-Z方向)へガイドするための第2垂直リブ61を形成してもよい。
なお、図2には、第2垂直リブ61は第2導水部60と組み合わせて形成されているが、本実施形態においてはこの態様に限られるものではない。すなわち、第2導水部60を形成せず第2垂直リブ61をガイド筒リブ91と同様に植付部材開口の上又は下に形成することによっても、液体の流れを制御することが可能である。
【0041】
次に、上記した本実施形態の植物水耕栽培用筒状体100において、開口30に液体流入筒部20を形成した例を、図4を用いて説明する。
本実施形態においては、図4に示すように、開口30に液体の供給のための液体流入筒部20が形成されてもよい。
すなわち、開口30には液体流入筒部20の第1端部201が接続する。なお、主流筒部10と液体流入筒部20とは、別々に形成した後に接着剤等の公知の方法で接続してもよいし、射出成型等により一体として成形してもよい。
【0042】
液体流入筒部20には、例えばホース等を介して直接水道やポンプから液体が流入してもよいし、液体流入筒部20にさらに着脱可能な水受け部材WPを取り付け、公知の液体供給装置より液体を供給してもよい。
【0043】
液体流入筒部20の第2端部202からは、液体が第1端部201方向(図1ではX方向)に向かって流通し、開口30から主流筒部10に流入した後に、流路FPを重力方向(-Z方向)に流通する。
【0044】
なお、図4においては主流筒部10と液体流入筒部20との交差角度θは概ね90°として記載されているが、これに限定されるものではない。すなわち前記したように、液体流入筒部20から主流筒部10に向かって液体が流入できるように交差していれば、例えば90度未満とするなど交差角度θに関しては特に制限はない。
【0045】
そして、本実施形態において、上述した液体流入筒部20には、その内壁において液体を分流させる分岐部40を有することが好ましい。
【0046】
分岐部40が形成される位置としては、目的とする効果が得られる限りにおいて、液体流入筒部20の内壁の少なくとも一部に形成されていればよい。すなわち本実施形態においては、分岐部40は、液体流入筒部20から主流筒部10に流入する液体の流量や速度を調整し得る位置に形成されることが好ましい。
【0047】
図5は、図4におけるA-A’断面を斜め上方向から示した図である。例えば、図5に示されるように、分岐部40は、液体流入筒部20の内壁において下流側(図5では+X方向側)に形成されることが好ましい。
【0048】
また、図6(a)に示される分岐部40の高さhについても特に制限はないが、液体流入筒部20内の液体の通過を妨げることなく、同時に、液体の流量や速度を調整するという目的を達成するために、高さhが2mm以上であることが好ましい。
【0049】
分岐部40の形状としても特に制限されるものではないが、本実施形態においては液体の流量や速度を調整するという課題に鑑みると、液体流入筒部20の下流側から上流側(開口30側から水受け部材WP側)に向かって周方向の幅が漸次細くなるテーパ部を有している形状であることが好ましい。
分岐部40の形状は言い換えれば、Z方向から見た場合に、第2端部202から第1端部201に向けて、分岐部40のY方向における幅が、漸次拡大するような形状であることが好ましい。
【0050】
すなわち、例えば、分岐部40が上方視した場合に三角形状であることが好ましい。この場合、例えば、図7(a)に示されるように、Z方向から見た場合において液体流入筒部20の中心線Cを中心とした略二等辺三角形であってもよいが、図7(b)に示されるような略直角三角形であってもよい。図7(b)に示されるような略直角三角形の場合、分岐部40により分流させた液体を、後述する第1導水部50によりスムーズに導くことができるため好ましい。さらに、分岐部40が略直角三角形の場合、中心線Cが略直角三角形の中点を通るように配置してもよいが、液体の流量を調整する観点から分岐部40の中点を中心線Cからずらして配置することがより好ましい。
【0051】
その他、図示はしないが、分岐部40の形状として、少なくとも一部の幅が開口30側から水受け部材WP側に向かって周方向の幅が漸次細くなるテーパ部を有している限りにおいて、しずく型、ひし形、台形、平行四辺形、等の公知の形状を適用することが可能である。
【0052】
また、図7(a)~図7(b)においては、分岐部40が液体流入筒部20の内壁において1つ形成された例をとって説明したが、分岐部40の数は1つに限られるものではなく、複数形成されていてもよいことは言うまでもない。
例えば図4(c)~(e)に示すように、前記液体流入筒部の内壁において、周方向に沿って適宜間隙を隔てて、分岐部が2つ以上設置されていてもよい。その場合、設置された分岐部の数に応じて、上述した導水部の数を増減してもよい。
【0053】
本実施形態において、上述したような分岐部40を形成することにより、液体流入筒部20から主流筒部10に流入する液体を分割したり、流通する液体の流速を低減させたりすることが可能となる。そして、主流筒部10の周壁を流通する液体の量の部分的な偏りを抑制し、植物栽培において複数の植付部に植え付けられた植物の成長のバラツキを抑えたり意図せずに植物の成長速度が遅くなるという問題を抑えることが可能となる。
【0054】
すなわち図5に示すように、本実施形態において第1導水部50は、分岐部40の後端(第1端部201に近い側)を始点として、スパイラル状になるよう前記主流筒部10の内壁に形成されてなることが好ましい。言い換えれば、本実施形態において第1導水部50は、主流筒部10の内壁において、前記分岐部40の下方に形成されることが好ましい。
【0055】
また、分岐部40と第1導水部50とは上下に連続して形成されるものであってもよいが、図6(a)に示すような離間部Gを形成することがより好ましい。すなわち、分岐部40の後端と前記第1導水部50の始点とが前記軸方向(Z方向)に関して互いに離間部Gを介して連続して配置されることがより好ましい。この場合、分岐部40により分割された流体のうち一部を、流れを阻害せずにガイドし、スムーズに主流筒部10内に導くことが可能となる。
【0056】
すなわち上述したように、本実施形態において、液体流入筒部20から主流筒部10に流入する液体は、分岐部40によりその流れを分割され、また速度を低減させられる。
その場合、分岐部40により分割された液体の流れの一部は、開口30から主流筒部10に流入した後には、主流筒部10の内壁に沿って垂直方向に流れ落ちることが推定される。
【0057】
なお上記した分岐部40は、上記においては液体流入筒部20の内壁に形成されるものとして説明してきたが、これに限られるものではなく、主流筒部10の内壁に形成されていてもよい。その場合、例えば図6(b)に示すように主流筒部10の内壁における、Y方向及び/又は-Y方向に形成することができる。
さらにこのように主流筒部10の内壁に分岐部40を形成する場合、主流筒部10の径の太さにもよるが、上述した第1導水部50、第1垂直リブ51、第2導水部60、第2垂直リブ61は形成しなくともよい。すなわち、主流筒部10の径の太さが比較的太い(例えば、30mm~500mm)場合には、導水部を形成せずに分岐部40を形成することにより、液体の流れを制御することが可能である。
特に、液体が液体流入筒部20を介さずに、主流筒部10の上部から流入する場合には、第1導水部50等を形成せずに分岐部40を形成する態様であってもよい。
【0058】
一方で、本実施形態の植物水耕栽培用筒状体100において、開口30に植物を植え付けるための植付部材80を取り付けて使用する場合には、図8に示すように、複数の開口30を複数方向(図8では、左側と右側の2方向(Z方向から見た場合に、0°と180°の2方向))に配置した上で、複数の植付部材80を取り付け得る。
【0059】
そのため、本実施形態の植物水耕栽培用筒状体100においては、主流筒部10の内壁において、液体の流れを上記複数方向に偏りなく分配することが好ましい。特に、少なくとも植付部材80が設置される方向には、主流筒部10の内壁において可能な限り均等に液体を流通させることが、栽培植物の成長のバラツキを抑制したり意図せずに植物の成長速度が遅くなるという問題を抑える観点からは好ましい。
【0060】
そのため、本実施形態においては、液体流入筒部20から主流筒部10に流入する液体は、分岐部40によりその流れを分割された後で、主流筒部10の流路FP内において以下のような「第1の流れ」と「第2の流れ」を形成することが可能となる。
【0061】
まず「第1の流れ」としては、第1導水部50を経由しないで主流筒部10の流路FPを-Z方向に向かって流れ落ちる流れである。(図5におけるF1)
次に「第2の流れ」としては、前記第1導水部50を経由して主流筒部10の内壁のうち開口30の対面方向(開口30が形成される側とは180°反対側の内壁面)まで回り込む流れである。(図5におけるF2)
【0062】
このように複数の流れにより流路FPを液体が流れることにより、栽培筒の複数方向に植付部材80が形成されていても、栽培植物の成長のバラツキを抑えることができるため好ましい。
【0063】
また、上記では、「第1の流れ」と「第2の流れ」との2種類を形成する例を示したが、これに限られるものではなく、流路FPにおいて3種類以上の流れを形成させるようにしてもよい。
例えば植付部材80が設置される方向を、上述した2方向以上(0°、60°、120°の3方向や、0°、90°、180°、270°の4方向)とした場合や、主流筒部10の太さを太くした場合であっても、流路FPにおいて3種類以上の流れを形成させることにより、液体を導きやすくすることが可能となるため好ましい。
【0064】
例えば、図5に示すように第2導水部60により「第3の流れ(F3)」の形成を可能としてもよいし、図示はしないが、第3導水部や、第4導水部を設けてさらなる流れを形成可能としてもよい。
【0065】
本実施形態における植物水耕栽培用筒状体100の開口30に対して、植物を植え付けるための植付部材80を取り付けて使用する例を、図8を用いて説明する。
すなわち、開口30には、図8(a)に示すように、上記した植付部材80がZ方向に沿ってX方向と-X方向に千鳥配置となるように取り付けられてもよいし、図8(b)に示すように、Z方向の同じ位置に複数の植付部材80が取り付けられていてもよい。
なお、図8(b)では、Z方向の同じ位置に複数の植付部材80が取り付けられていると共に、第1導水部50及び第2導水部60が共に設けられている例を示しているが、これに限られるものではなく、第2導水部60が形成されなくともよい。
【0066】
[水耕栽培ユニット200]
次に、図9を用いて、本実施形態における水耕栽培ユニット200の詳細な構造について説明する。
【0067】
まず図9に示されるとおり、本実施形態における水耕栽培ユニット200は、上記した本実施形態における植物水耕栽培用筒状体100、前記植物水耕栽培用筒状体100の液体流入筒部20と着脱可能に接続されて液体供給系LSから液体の供給を受ける水受け部材WP、相互に着脱可能な複数の筒状分割体から構成され、前記主流筒部10の後端部Eと連結可能な一端を有するとともにその側面に少なくとも1つの連結開口を有する栽培筒70、植物PLが配置される一端開口と前記栽培筒の連結開口に着脱可能な他端開口を具備する植付部材80、栽培筒70の下端に着脱可能に接続されるガイド筒90、等を含んで構成されている。
【0068】
これらの各部材の材質に特に制限はないが、前記植物水耕栽培用筒状体100と同様に、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、あるいはポリ塩化ビニルなどが適用可能である。また部材によっては、部分的に異なる材質を含んでいてもよく、例えば不織布等の保水性を有する材質により、上述した導水部やリブ等を形成してもよい。
そして各部材の成形方法も特に制限はないが、例えば公知の射出成形によって所望の形状へ成形されることがコスト低減の観点では望ましい。
【0069】
また、各部材は、特に着色すべき色に制限はなく無着色であってもよいが、着色されていることが好ましく、例えば、反射率向上の観点から白色やパール調などを使用することができる。一方で、特に主流筒部10、液体流入筒部20、ガイド筒90、等、植物の根の接触が比較的少ない部材においては、黒色等の暗色で着色することも可能である。このように着色することにより光を吸収させて、アオコの発生やアオコによる液体の汚れを抑制することが可能となる。
さらに、耐候性向上のために紫外線吸収剤や紫外線錯乱剤を樹脂に添加したり、防汚性向上のために抗菌剤などの添加剤を樹脂に添加してもよい。
【0070】
なお図9では植付部材80は、水耕栽培ユニット200の長手方向(Z方向)に向かって植物水耕栽培用筒状体100における横側面(X方向側)の対向する位置に互い違いとなるように配置されているが、このような配置に限定されるものではない。すなわち、植付部材80が植物水耕栽培用筒状体100におけるX方向側と-X方向側との両方に配置されていてもよいし(図8参照)、図示はしないがX方向側のみ等の特定の方向に配置されていてもよい。なお、導水部や垂直リブなどの配置は、植付部材の配置に応じて適宜変更することができる。
【0071】
本実施形態の水耕栽培ユニット200が実際に植物栽培に供される場合には、栽培歩留まりを向上させるために、前記植物水耕栽培用筒状体100内の主流筒部10を流れ落ちる液体が、複数の植付部材80の全てに流入することが好ましい。またそれにより、植付部材80に植付けられた植物の成長のバラツキが低減されることが好ましい。
【0072】
そのため、上述した水受け部材WP、ガイド筒90等においても、液体の流れをガイドするためのリブや導水部が形成されることが好ましい。
以下、個々に説明する。
【0073】
まず、本実施形態における水受け部材WPを図10に示す。本実施形態においては、水受け部材WPの水受け開口Oより、植物の育成に必要な液体が供給される。供給された液体は、水受け部材WPの水受け開口Oから水受け筒部Pを通じて、植物水耕栽培用筒状体100の液体流入筒部20に流入する。ここで、水受け筒部Pの内壁には上述のような理由により、液体の流れをガイドするための整流リブRが形成されていることが好ましい。
この整流リブRはX方向に沿うように延在して水受け筒部Pの全長において形成されていてもよいし、水受け筒部Pの一部に形成されていてもよい。
【0074】
また図10(b)においては、整流リブRの例として断面が三角形状の突起を示したが、この形状に限られるものではなく、水受け筒部P内の液体の植物水耕栽培用筒状体100の液体流入筒部20への流入をガイドし得る形状であれば特に制限はない。例えば図10(b)に示すような凸状の突起でなくてもよく、凹状の通路であってもよい。
このような整流リブRを形成することにより、上述した植物水耕栽培用筒状体100の分岐部40に液体を導くことができるため好ましい。
【0075】
次に、図11を用いてガイド筒90について説明する。
図11(a)に示すように、本実施形態のガイド筒90は内壁において、液体の流れをガイドするためのガイド筒リブ91が形成されることが好ましい。このような構成とすることにより、例えば主流筒部10からガイド筒90を通じて外へ排出された液体が、図13に示すような液体受けベッドBに着液した際の、液体などの外への飛散を抑制することができる。
【0076】
さらに図11(b)に示すように、本実施形態におけるガイド筒90は飛び跳ね防止板92を挟んで上下に太4部90aと細径部90bとから構成され、太径部90aと細径部90bの内壁に各々、ガイド筒リブ91a、91bが形成されることが好ましい。このような構成とすることにより、上述した液体などの外への飛散をより効果的に抑制することが可能となる。
【0077】
次に、図12を用いて開口30と、植付部材80との間の封止機構について説明する。上述したように、主流筒部10と植付部材80との間の液体の流出・流入は頻繁に行われるものであるが、植付部材80に植付けられた植物の成長に伴って、植付部材80には重力方向に常に重力がかかる状態となる。
【0078】
一方で、水分や栄養分の含まれる液体が主流筒部10と植付部材80との間から漏れた場合には、漏れた液体が植物にかかることで植物の病気の原因となったり、衛生面での悪影響が考えられる。また、液体のロスによるコストの問題や、漏れた液体の清掃に関する手間やコストが発生してしまう。そのため、主流筒部10と植付部材80との間からの液体漏れは、可能な限り回避する必要があり、そのため、主流筒部10の開口30と植付部材80との間の封止機構については、重力がかかった状態でも液体漏れを生じさせないように改善が望まれていた。
【0079】
本実施形態においては、図12に示すように、開口30の先端に嵌合突起部PTが形成されることが好ましい。このような構成とすることにより、植付部材80を開口30に嵌合した際に密着性を向上させることが可能となり、植物の成長に伴って植付部材80に重力方向に重力がかかった場合においても、開口30及び植付部材80との間からの液体漏れを抑制することが可能となる。
なお図12に示すとおり、本実施形態の嵌合突起部PTは開口30の先端において周方向で連続した環状となっているが、この形態に限られず例えば周方向で断続的に嵌合突起部PTが形成されていてもよい。
【0080】
また、上記においては嵌合突起部PTを図12の開口30の先端を用いて説明しているが、この様態に限られるものではない。すなわち嵌合突起部PTは、本実施形態の植物水耕栽培用筒状体が分割できる場合には、いずれの接続部においても適用することができる。
例えば、図示はしないが、水受け部材WPと液体流入筒部20の接続部や、主流筒部10と主流筒部10の接続部などに適用されていてもよい。
【0081】
さらに上記構成において、開口30及び植付部材80を、硬度の異なる材料とすることがさらに好ましい。例えば植付部材80を、相対的に硬度の低いポリエチレン(PE)とし、開口30を相対的に硬度の高いポリプロピレン(PP)とすることにより、嵌合部分において、嵌合突起部PTを植付部材80に食い込ませることが可能となるため、さらに両者の密着性を向上させることが可能となり好ましい。
【0082】
なお、開口30及び植付部材80の間における他の嵌合方法としては公知の方法を採用することが可能であり、例えば摩擦式、フック式、ねじ式、スナップフィット等の方法を挙げることができる。そして、例えばねじ式を採用した場合には、植付部材80を開口30に対して1回転未満回転させて嵌合させる方法等を適用することにより、作業効率を向上させることができ好適である。
【0083】
[水耕栽培システム300]
次に、図13を用いて本実施形態における水耕栽培システム300の構造について説明する。
本実施形態における水耕栽培システム300は、図13に示すように、上記した水耕栽培ユニット200と、この水耕栽培ユニット200を支持する吊り下げ支持機構HSを含む。さらに水耕栽培システム300は、フレームFR、液体供給系LS、及び液体受けベッドBを含んで構成されている。また本実施形態における水耕栽培システム300は、植物の育成に必要な光を照射する光源LTをさらに備えていてもよい。
【0084】
そしてフレームFRは、吊り下げ支持機構HSを天面で公知の方法により支持するとともに、その内部に形成された収容空間で水耕栽培ユニット200、液体供給系LSおよび液体受けベッドBなどを収容する機能を有している。
【0085】
水耕栽培ユニット200における植付部材80には、栽培対象の上記した植物PLの苗が植付けられる。水耕栽培ユニット200に植えられた植物PLの育成に必要な水分や養分などの液体は、液体供給系LSにより、公知のポンプやバルブを介して供給される。水受け部材WPに供給された液体は、水耕栽培ユニット200を流通し、その後に液体受けベッドBへと流れ出る。
【0086】
本実施形態の水耕栽培システム300では、液体が液体受けベッドBを用いて液体供給系LSを介して循環する構成であってもよい。また、液体を循環させずにかけ流しする形態であってもよい。
【0087】
上記で説明した実施形態は一例であって、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の植物水耕栽培用筒状体、水耕栽培ユニットおよび水耕栽培システムは、種々の植物の栽培に好適である。例えばレタス、グリーンリーフ、サラダ菜、水菜、ほうれん草、ハーブ類などの葉物野菜、トマト、ナス、ピーマン等の果菜類、あるいはイチゴ、メロン、スイカなどの果物類の栽培において特に好適である。しかしながら上記植物の栽培に限定されず、幅広い植物の栽培分野で広く適用が可能である。
【符号の説明】
【0089】
100 植物水耕栽培用筒状体
10 主流筒部
20 液体流入筒部
30 開口
40 分岐部
50 第1導水部
52 第1ガイド面
53 第1鉛直凸部
60 第2導水部
62 第2ガイド面
63 第2鉛直凸部
80 植付部材
90 ガイド筒
WP 水受け部材
200 水耕栽培ユニット
300 水耕栽培システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-08-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の分割体から構成された植物水耕栽培用筒状体であって、
前記植物水耕栽培用筒状体は垂直方向に立設されており、
前記分割体には植物栽培に必要な液体が流入または流出する開口部が形成されると共に、前記開口部を構成する周壁には当該開口部を介して接続される部材の内壁と嵌合可能な嵌合突起部が形成されてなる、ことを特徴とする植物水耕栽培用筒状体。
【請求項2】
前記分割体は、前記垂直方向に沿って連結可能な栽培筒であり、
前記開口部は前記栽培筒の側面に形成されてなり、
前記開口部を介して接続される部材は、植物の苗を植え付けるための植付部材である、請求項1に記載の植物水耕栽培用筒状体。
【請求項3】
前記植付部材は着脱可能な他端開口を具備し、前記栽培筒における前記開口部としての連結開口に接続される、請求項2に記載の植物水耕栽培用筒状体。
【請求項4】
前記分割体は、前記液体の供給のための液体流入筒部であり、
前記開口部は、前記液体流入筒部に形成されてなり、
前記開口部を介して接続される部材は、液体供給装置により前記液体が供給される水受け部材である、請求項1に記載の植物水耕栽培用筒状体。
【請求項5】
前記分割体は、前記垂直方向に沿って連結可能な栽培筒であり、
前記嵌合突起部が設けられた前記開口部は、前記栽培筒が他の栽培筒と接続される接続部に形成されてなる、請求項1に記載の植物水耕栽培用筒状体。
【請求項6】
前記嵌合突起部が設けられた前記開口部は、前記開口部を介して接続される部材よりも硬い材料で形成されてなる、請求項1に記載の植物水耕栽培用筒状体。
【請求項7】
前記嵌合突起部は、前記開口部において周方向で連続した環状とされている、請求項1に記載の植物水耕栽培用筒状体。
【請求項8】
前記嵌合突起部は、前記開口部において周方向で断続的に形成されている、請求項1に記載の植物水耕栽培用筒状体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の植物水耕栽培用筒状体と、
前記開口に着脱可能であると共に、植物を植え付けるための植付開口を有する植付部材と、
を含むことを特徴とする、水耕栽培ユニット。
【請求項10】
請求項9に記載の水耕栽培ユニットと、
前記水耕栽培ユニットを支持する吊り下げ支持機構と、
前記水耕栽培ユニットの前記植付部材に植えられた植物に対して必要な液体を供給する液体供給系と、
を含むことを特徴とする水耕栽培システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる植物水耕栽培用筒状体は、(1)筒状の分割体から構成された植物水耕栽培用筒状体であって、前記植物水耕栽培用筒状体は垂直方向に立設されており、前記分割体には植物栽培に必要な液体が流入または流出する開口部が形成されると共に、前記開口部を構成する周壁には当該開口部を介して接続される部材の内壁と嵌合可能な嵌合突起部が形成されてなる、ことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
また、本実施形態にかかる植物水耕栽培用筒状体は、上記(1)において、(2)前記分割体は、前記垂直方向に沿って連結可能な栽培筒であり、前記開口部は前記栽培筒の側面に形成されてなり、前記開口部を介して接続される部材は、植物の苗を植え付けるための植付部材であることが好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
また、本実施形態にかかる植物水耕栽培用筒状体は、上記(2)において、(3)前記植付部材は着脱可能な他端開口を具備し、前記栽培筒における前記開口部としての連結開口に接続されることが好ましい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本実施形態にかかる植物水耕栽培用筒状体は、上記(1)において、(4)前記分割体は、前記液体の供給のための液体流入筒部であり、前記開口部は、前記液体流入筒部に形成されてなり、前記開口部を介して接続される部材は、液体供給装置により前記液体が供給される水受け部材であることが好ましい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本実施形態にかかる植物水耕栽培用筒状体は、上記(1)において、(5)前記分割体は、前記垂直方向に沿って連結可能な栽培筒であり、前記嵌合突起部が設けられた前記開口部は、前記栽培筒が他の栽培筒と接続される接続部に形成されてなることが好ましい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本実施形態にかかる植物水耕栽培用筒状体は、上記(1)において、(6)前記嵌合突起部が設けられた前記開口部は、前記開口部を介して接続される部材よりも硬い材料で形成されてなることが好ましい。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本実施形態にかかる植物水耕栽培用筒状体は、上記(1)において、(7)前記嵌合突起部は、前記開口部において周方向で連続した環状とされていることが好ましい。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本実施形態にかかる植物水耕栽培用筒状体は、上記(1)において、(8)前記嵌合突起部は、前記開口部において周方向で断続的に形成されていることが好ましい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
また、上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる水耕栽培ユニットは、()上記(1)~()のいずれかに記載の植物水耕栽培用筒状体と、前記開口に着脱可能であると共に、植物を植え付けるための植付開口を有する植付部材と、を含むことを特徴とする。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
また、上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる水耕栽培システムは、(10)上記()にかかる水耕栽培ユニットと、前記水耕栽培ユニットを支持する吊り下げ支持機構と、前記水耕栽培ユニットの前記植付部材に植えられた植物に対して必要な液体を供給する液体供給系と、を含むことを特徴とする。