(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014478
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】生体情報測定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/022 20060101AFI20240125BHJP
A61B 5/256 20210101ALI20240125BHJP
A61B 5/282 20210101ALI20240125BHJP
A61B 5/33 20210101ALI20240125BHJP
【FI】
A61B5/022 B
A61B5/256 220
A61B5/282
A61B5/33 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117329
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】久保 大
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴史
(72)【発明者】
【氏名】阿部 康輔
(72)【発明者】
【氏名】岩田 祥平
【テーマコード(参考)】
4C017
4C127
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AA19
4C017AB02
4C017AC03
4C017AC16
4C017AD01
4C017FF05
4C127AA02
4C127BB03
4C127BB05
4C127LL13
(57)【要約】
【課題】良好な波形品質の心電図を得るための技術を提供する。
【解決手段】被測定者の血圧及び心電波形を測定する生体情報測定装置であって、前記被測定者の被測定部位の血圧の測定を制御する血圧測定制御部と、前記被測定者の第一部位に接触する第一電極と、前記第一部位とは異なる前記被測定者の第二部位に接触する第二電極と、前記第一電極及び前記第二電極を通じた前記被測定者の心電波形の測定を制御する心電測定制御部と、前記血圧測定制御部及び前記心電測定制御部を含む本体部と、
前記被測定者が操作して指示を入力する指示入力部と、前記被測定部位に対して、前記本体部を固定する固定部と、を備え、前記本体部は、前記被測定部位と対向する方向を軸方向としたときの外周側から該本体部の全周を囲む側壁部を含む筐体を有し、前記第一電極は、前記側壁部と前記指示入力部とを含んで構成される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の血圧及び心電波形を測定する生体情報測定装置であって、
前記被測定者の被測定部位の血圧の測定を制御する血圧測定制御部と、
前記被測定者の第一部位に接触する第一電極と、
前記第一部位とは異なる前記被測定者の第二部位に接触する第二電極と、
前記第一電極及び前記第二電極を通じた前記被測定者の心電波形の測定を制御する心電測定制御部と、
前記血圧測定制御部及び前記心電測定制御部を含む本体部と、
前記被測定者が操作して指示を入力する指示入力部と、
前記被測定部位に対して、前記本体部を固定する固定部と、
を備え、
前記本体部は、前記被測定部位と対向する方向を軸方向としたときの外周側から該本体部の全周を囲む側壁部を含む筐体を有し、
前記第一電極は、前記側壁部と前記指示入力部とを含んで構成されることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項2】
前記指示入力部は、前記側壁部と独立に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
前記指示入力部は、前記側壁部を含んで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
前記側壁部は、前記被測定部位と対向する方向を軸方向としたときの内周側に凹となる凹状側壁部を有することを特徴とする請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
前記側壁部の表面に凹凸部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
前記指示は、前記血圧の測定に対する指示であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血圧値、心電波形などの個人の身体・健康に関する情報(以下、生体情報ともいう)を、個人が自ら日常的に測定機器によって測定し、当該測定結果を健康管理に活用することが一般的に行われるようになってきている。このことから、携帯性を重視した機器の需要が高まっており、多くの携帯型測定装置が提案され、心電波形を含む生体情報を測定できる携帯型の機器も提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、腕時計型のウェアラブル心電計において、電極を筐体前面一周にわたって設け、接触位置の自由度を高める技術が記載されている。
【0004】
特許文献2には、腕時計型のウェアラブル心電計において、電極をスイッチに設け、接触箇所を明確化する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0072912号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2のようにスイッチのみを電極とすると使用者の測定姿勢が限定されることとなる。特に、心電図と同時に血圧を測定する機器では、機器を心臓の高さに合わせる必要があるため、電極の位置が限定されると使用者の体型等によって触れる際の姿勢に無理が生じ、使用者の身体と電極の接触面が安定せず、又は筋電の影響によって心電図の波形品質が劣化する可能性がある。
【0007】
上記のような従来の技術に鑑み、本発明は、良好な波形品質の心電図を得るための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、
被測定者の血圧及び心電波形を測定する生体情報測定装置であって、
前記被測定者の被測定部位の血圧の測定を制御する血圧測定制御部と、
前記被測定者の第一部位に接触する第一電極と、
前記第一部位とは異なる前記被測定者の第二部位に接触する第二電極と、
前記第一電極及び前記第二電極を通じた前記被測定者の心電波形の測定を制御する心電測定制御部と、
前記血圧測定制御部及び前記心電測定制御部を含む本体部と、
前記被測定者が操作して指示を入力する指示入力部と、
前記被測定部位に対して、前記本体部を固定する固定部と、
を備え、
前記本体部は、前記被測定部位と対向する方向を軸方向としたときの外周側から該本体部の全周を囲む側壁部を含む筐体を有し、
前記第一電極は、前記側壁部と前記指示入力部とを含んで構成されることを特徴とする。
【0009】
このようにすれば、心電波形の測定するために第一電極を構成する側壁部に被測定者が第一部位を接触させた状態で、この第一部位によって操作ボタンを操作しようとする場合に、操作ボタンも含めて第一電極が構成されているので、操作ボタンの操作による被測定者と第一電極との接触状態の変化を抑制し、接触状態を安定化させる、良好な波形品質の心電図を得ることができる。
また、側壁部は、方形や円形等の適宜の形状とすることができ、これらの形状に限定されない。
【0010】
また、本発明において、
前記指示入力部は、前記側壁部と独立に設けられてもよい。
【0011】
このようにすれば、心電図を測定するためにユーザーが側壁部に接触しようとする際に、側壁部から独立して設けられた指示入力部をユーザーが操作しても、ユーザーの第一部位と第一電極との接触状態の変化が抑制され、接触状態が安定する。
【0012】
また、本発明において、
前記指示入力部は、前記側壁部を含んで構成されてもよい。
【0013】
このようにすれば、心電図を測定するためにユーザーが側壁部に接触しようとする際に、側壁部との接触状態を変更することなく、指示を入力することができるので、ユーザーの第一部位と第一電極との接触状態が安定する。
【0014】
また、本発明において、
前記側壁部は、前記被測定部位と対向する方向を軸方向としたときの内周側に凸となる凹状側壁部を有するようにしてもよい。
【0015】
このようにすれば、凹状側壁部の形状によって、凹状側壁部に対してユーザーの第一部位が滑りにくくなるので、ユーザーの第一部位と、凹状側壁部を含む第一電極との接触状態の変化が抑制され、接触状態が安定する。
【0016】
また、本発明において、
前記側壁部の表面に凹凸部を形成してもよい。
【0017】
このようにすれば、側壁部の凹凸部により、側壁部に対してユーザーの第一部位が滑りにくくなるので、ユーザーの第一部位と、側壁部を含む第一電極との接触状態の変化が抑制され、接触状態が安定する。
【0018】
また、本発明において、
前記指示は、前記血圧の測定に対する指示であるようにしてもよい。
【0019】
このようにすれば、心電波形の測定するために第一電極を構成する側壁部に被測定者が第一部位を接触させた状態で、この第一部位によって、血圧測定に対する指示を入力するために操作ボタンを操作しようとする場合に、操作ボタンも含めて第一電極が構成されているので、血圧と心電波形を並行して測定する際に、操作ボタンの操作による被測定者と第一電極との接触状態の変化を抑制し、接触状態を安定化させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、良好な波形品質の心電図を得るための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、実施例1に係る生体情報測定装置の外観を示す図である。
【
図2】
図2は、実施例1に係る生体情報測定装置の装着時の外観を示す図である。
【
図3】
図3は、実施例1に係る生体情報測定装置の機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、実施例1に係る生体情報測定装置のカフアッシー部の断面図である。
【
図5】
図5(A)は、実施例1に係る生体情報測定装置の装着時の各部の構成を説明する図であり、
図5(B)は特に電極の配置を説明する図である。
【
図6】
図6は、実施例1に係る生体情報測定装置における電気的接続関係を示す図である。
【
図7】
図7は、実施例1に係る生体情報測定装置の筐体の電気的接続を示す図である。
【
図8】
図8は、実施例1に係る生体情報測定装置のスイッチの電気的接続を示す図である。
【
図9】
図9は、実施例1に係る生体情報測定装置の効果を説明する図である。
【
図10】
図10は、実施例1に係る生体情報測定装置を用いた測定姿勢を説明する図である。
【
図11】
図11は、実施例1の変形例に係る生体情報測定装置のスイッチの電気的接続を示す図である。
【
図12】
図12(A)~(C)は、実施例2に係る生体情報測定装置の筐体の構成を説明する図である。
【
図13】
図13(A)~(C)は、実施例3に係る生体情報測定装置の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。
【0023】
<実施例1>
以下に、本発明の実施形態の一例について説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0024】
(装置の全体構成)
図1及び
図2は、本実施例に係る生体情報測定装置1の外観構成を示す概略図である。
図3は、本実施例に係る生体情報測定装置1の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0025】
図1乃至3に示すように、生体情報測定装置1は概略、本体部100と、カフアッシー部200と、ベルト部400を有する構成であり、被測定者の手首Tに装着した状態で血圧値及び心電波形の測定を行うことができる。ベルト部400は、フックを備える面ファスナー411を備える。本体部100には、ベルト部400を挿通するための環状のベルト通し環を備えるベルト通し部150が設けられている。生体情報測定装置1を装着する際には、ベルト部400を手首Tに巻き付けたうえでベルト通し部150に挿通させ、面ファスナー411をベルト部400(フックが係合するループが形成されている)の任意の位置に貼りつけることで固定を行う。また、生体情報測定装置1は、本体部100の心電測定部130と、カフアッシー部200の第二電極241及び第三電極242とを電気的に接続するための配線が配置されるFPC(Flexible Printed Circuits)300(
図1及び
図2では不図示)を有している。ここでは、手首Tが本発明の被測定部位に相当し、第二電極241が本発明の第二電極に相当する。また、本体部100が本発明の本体部に相当し、ベルト部400、面ファスナー411及びベルト通し部150が本発明の固定部に相当する。
【0026】
本体部100は、
図3に示すように、筐体101と、電源部110、表示部111、操作部112、血圧測定部120、心電測定部130、及び第一電極140を備えている。ここでは、第一電極140は、後述するように本体部100の筐体101の全周及び操作部112を構成する操作ボタン1121a、1122aを含む。ここでは、第一電極140が本発明の第一電極に相当し、操作ボタン1121a、1122aが本発明の指示入力部に相当する。
【0027】
電源部110は、装置の稼働に必要な電力を供給するバッテリーを含んで構成される。バッテリーは、例えばリチウムイオンバッテリーなどの二次電池であっても良いし、一次電池としても良い。
【0028】
表示部111は、液晶ディスプレイなどの表示装置を含んで構成され、LEDインジケータなどを備えていてもよい。操作部112は、具体的には、本体部100の筐体101の側面に筐体101とは独立して配置された操作ボタン1121a、1122aを含む。タッチパネルディスプレイなど表示部111と操作部112が一体となった構成としてもよい。
【0029】
血圧測定部120は、後述するカフアッシー部200を制御するとともに、これによって得られる情報に基づいてユーザーの血圧を測定する機能部であり、制御部121、演算部122、ポンプ123、排気弁124を含んでいる。制御部121、演算部122は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などによって構成され、図示しないが、RAM(Random Access Memory)などによって構成される記憶部を有していてもよい。
【0030】
制御部121は、血圧測定部120の制御を司る機能部であり、演算部122、ポンプ123などを介して、カフアッシー部200のカフ圧を制御し、生体情報測定装置1が装着された手首Tにある動脈から、ユーザーの血圧を測定するための情報を取得する。演算部122は、このようにして取得された情報に基づいて、血圧値を測定する。ポンプ123、排気弁124は、後述する圧迫カフ220、センシングカフ230への空気の供給と排出を担う機構である。ここでは、制御部121を含んで、本発明の血圧測定制御部が構成される。
【0031】
心電測定部130は、人体表面に接触した第一電極140及び第二電極241の電位差に基づいて、ユーザーの心電波形を測定する機能部であり、制御部131、演算部132を含んでいる。制御部131、演算部132は、上述のCPUなどによって構成される。ハードウェアの観点からは、制御部131、演算部132は血圧測定部120の制御部121、演算部122と共通の構成であっても構わない。ここでは、制御部131を含んで、本発明の心電測定制御部が構成される。
【0032】
なお、血圧測定部120、心電測定部130は共に、上述のCPUやRAMなどの他に、図示しないAD変換回路、アンプ、フィルタなどを含んでいるが、これらは既知の技術で構成されるため、説明は省略する。
【0033】
カフアッシー部200は、カーラー210、圧迫カフ220、センシングカフ230、第二電極241、第三電極242、背板250を備えている。カーラー210は圧迫カフ220を保持するための土台となる部材である。
図4は、カフアッシー部200のうち
図1の点線で囲った領域の内部構造を模式的に示す断面図である。カフアッシー部200は、カーラー210を最も外側として、圧迫カフ220、背板250、センシングカフ230の順に積層された構成となっている。た、第二電極241と第三電極242は導線が設
けられたFPC300に接続されており、このFPC300は本体部100の制御部131と接続されているため(図示せず)、制御部131と各電極とを電気的に接続する配線として機能する。
【0034】
圧迫カフ220は、ポンプ123から送られた空気によって膨張することで手首Tを締め付け、手首Tに存在する動脈(図示せず)に外圧を加える役割を有する。また、センシングカフ230(図示せず)は、圧迫カフ220によって圧迫された部位に掛かる圧力を検出するための流体袋であり、センシングカフ230内に少量の空気が入った状態でその内圧を圧力計(図示せず)によって検出することにより、圧迫部位に掛かる圧力を測定する。また、背板250(図示せず)は、圧迫カフ220とセンシングカフ230の間に配置される可撓性を有する平板状部材であり、圧迫カフ220による圧迫時におけるセンシングカフ230の過度な屈曲を抑制し、センシングカフ230内の圧力分布を均整化する。
【0035】
第二電極241、第三電極242は、後述するように、カーラー210の、延長方向により短い第二カーラー部212の先端部212aの近傍に配置されている。第二電極241及び第三電極242の配置はこれに限られず、第一電極140とともに被測定者の体表面に接触して心電波形の検出が可能な位置に配置することができる。第二電極241は心電波形測定用の電極、第三電極242は基準電位を設定するGND(グランド)電極として機能する。
【0036】
(カフアッシー部の構造)
生体情報測定装置1をユーザーの手首Tに装着した状態を示す
図5(A)に基づいてカフアッシー部200の構造について説明する。本実施例では、C字状に形成されたカーラー210の延長方向(手首Tの周囲を回る方向)に沿って圧迫カフ220が設けられている。カーラー210は、本体部100が設けられた位置を基準として、延長方向により長い第一カーラー部211と、延長方向により短い第二カーラー部212を有する。第一カーラー部211は、手首Tの甲側に位置する本体部100から手首Tの動脈側を覆うように延びている。一方、第二カーラー部212は、手首Tの周方向に対して第一カーラー部211とは反対側に延びている。圧迫カフ220はカーラー210の第一カーラー部211の端部211aの近傍から連続して、カーラー210に沿って、第二カーラー部212に沿っても設けられるが、圧迫カフ220の、周方向(第二カーラー部212の延長方向)の先端部220bは、カーラー210の第二カーラー部212の延長方向の先端部212aとは離間して位置する。そして、第二カーラー部212の、圧迫カフ220の先端部220bを越えて延びる電極支持部2121の先端部212aの近傍に第二電極241及び第三電極242が設けられている。
図5(B)は、第二電極241及び第三電極242を電極支持部2121の内側(手首Tに接触する側)から見た図であり、第二電極241及び第三電極242は、周方向に直交する方向に、並んで配置される。第二電極241と第三電極242との間には、絶縁性のセパレータ260を配置している。
【0037】
(本体部の電極構成)
図6は、本体部100における第一電極140、スイッチ1121及びスイッチ1122の電気的接続を説明する模式図である。筐体101内には、本体部100の血圧測定部120、心電測定部130等を構成するCPU等が実装された主回路基板160が収容されている。生体情報測定装置1では、本体部100を収容する筐体101のうち、手首Tに装着した生体情報測定装置1の本体部100の手首Tに対向する方向N(
図2、
図5(A)参照)を軸方向としたときの周方向C(
図2参照)の外周側から本体部100の全周を囲む側壁部1011を導電性部材で構成し、導電性の電極接続部161を介して、心電測定部130に電気的に接続されることにより、筐体101の側壁部1011の全周が第一電極140として機能する。このとき、側壁部1022に連続して表示部111を囲む
枠部1012を同様に導電性部材で構成し、第一電極140は、側壁部1011と枠部1012を含んで構成されてもよい。また、筐体101の側壁部1011には、操作部112を構成するスイッチ1121の操作ボタン1121a及びスイッチ1122の操作ボタン1122aが配置されている。スイッチ1121及び1122は、操作ボタン1121a及び1122aをユーザーが操作することにより、絶縁材を介してスイッチ基板170に接離する。このスイッチ基板170は主回路基板160に設けられた制御部121等と電気的に接続されており、スイッチ1121及び1122のスイッチングによる信号が入力される。そして、この操作ボタン1211a及び1212aが、導電性部材で構成され、側壁部1011と電気的接続されており、側壁部1011並びに操作ボタン1211a及び1212aを含んで第一電極140が構成されている。
図1及び
図2に示す生体情報測定装置1では、本体部100は略直方体形状をなし、本体部100の手首Tに対向する方向Nを軸方向としたときの周方向Cの外周側から本体部100の全周を囲む側壁部1011は、方形をなすが、本体部100の軸方向Nに短い円筒形状とすることもでき、この場合には側壁部1011は円形状をなす。本体部100の形状は、これらの形状に限られず、本体部100の形状に応じて側壁部1011も適宜の形状に構成することができる。
【0038】
図7は、筐体101の側壁部1011と主回路基板160と電極接続部161の具体的な構成を説明する図である。ここでは、筐体101の側壁部1011の内面1011bと主回路基板160との間に導電性の板ばね1611を配置している。弾性変形された板ばね1611は、復元力により側壁部1011の内面1011bと主回路基板160に圧接することにより、筐体101の側壁部1011と主回路基板160との間の電気的接続を確立している。
【0039】
図8は、スイッチ1121(又は1122)と筐体101と電気的接続を具体的に説明する図である。以下では、主としてスイッチ1121について説明するが、スイッチ1122についても同様に構成される。
スイッチ1121は、キートップとして機能する操作ボタン1121a、操作ボタン1121aから延びる棒状のプランジャ1121b、プランジャ1121bを支持するハウジング1121c、ばね1121d、ワッシャー1121e、Oリング1121f、ワッシャー1121g、タクトスイッチ1121h、スイッチ基板170を含む。ここでは、プランジャ1121bの先端の外周面に設けられた溝にワッシャー1121gが嵌合されている。また、ハウジング1121c内部の先端側には、プランジャ1121bの外周に装着されるOリング1121fが2つ配置されている。またOリング1121fの基端側には、プランジャ1121bの外周に巻装されたばね1121dの先端側を支持するワッシャー1121eが配置されている。ばね1121dの基端側は操作ボタン1121aによって支持されている。ハウジング1121cは、筐体101のスイッチ用孔部101aに固定されている。ばね1121dの弾性力に抗してユーザーが操作ボタン1121aを押し込むことによって、プランジャ1121bがタクトスイッチ1121hを押圧する。ユーザーが操作ボタン1121aの押し込みを解除すると、ばね1121dの弾性復帰により操作ボタン1121aが押し戻され、プランジャ1121bはタクトスイッチ1121hから離間する。このように、操作ボタン1121a及びプランジャ1121bは、ハウジング1121cに対して往復動する。生体情報測定装置1では、操作ボタン1121a、プランジャ1121b、ワッシャー1121g及びハウジング1121cを導電性部材で構成している。これにより、操作ボタン11121aに触れるユーザーの手指Fと筐体101の側壁部1011とが、プランジャ1121b、ワッシャー1121g及びハウジング1121cによって電気的に接続される。
図8では、ユーザーの手指Fから筐体101の側壁部1011に至る電気的導通経路を破線で示している。このように、筐体101の側壁部1011のみならず操作ボタン1121a及び1122aも第一電極140として機能するので、
図9に示すように、ユーザーが筐体101とともにスイッチ1121又は1122に触れる場合にも、ユーザーの手指Fと第一電極140との接触面を安定化
することができる。
【0040】
(生体情報の測定)
以上のような構成を有する生体情報測定装置1により生体情報の測定を行うには、まず、本体部100が手の甲側を向くようにして、カフアッシー部200とベルト部400を手首Tに巻き付ける。そして、ベルト部400をベルト通し部150に通したうえで折り返し、ベルト部400の面ファスナー411をベルト部400の任意の位置に貼り付けて、手首に生体情報測定装置1を装着して固定する。この際、センシングカフ230手首の手の平側に位置するように装着を行う。
【0041】
そして、生体情報測定装置1を心臓の高さに保持するとともに、生体情報測定装置1を装着した手とは反対側の手(
図10では右手)の指Fで、筐体101に触れるとともに、操作ボタン1121a(又は1122a)を操作することで血圧の測定開始が指示される。具体的には、圧迫カフ220に空気が注入して膨張させることで手首T(の動脈)を圧迫し、動脈を閉塞させて血流を一旦止めた後に徐々に圧迫カフ220から空気を排出して収縮させて圧迫を解除し動脈の血流を戻し、その際の圧力をセンシングカフ230によって測定する。すなわち、いわゆるオシロメトリック法による血圧測定が行われる。
【0042】
そして、上記血圧測定時、圧迫カフ220により手首が圧迫されている際には、第二電極241及び第三電極242は手首の表面T1、T2(
図5(A)参照)に接触している(押し付けられている)状態となっている。このため、生体情報測定装置1を装着していない方の手指で、本体部100の筐体101に設けられた第一電極140と第二電極241との電位差に基づいて、いわゆるI誘導の方式により心電波形の測定を行うことができる。ここでは、生体情報測定装置1を装着していない方の手指Fが本発明の第一部位に相当し、手指Fとは異なる手首の表面T1が本発明の第二部位に相当する。
【0043】
被測定者が
図10に示したような測定姿勢をとる場合に、生体情報測定装置1の装置の本体部100を囲う筐体101が全周にわたって第一電極140として構成され、さらに、筐体101と電気的に接続された操作ボタン1121a、1122aを含んで第一電極140が構成されるので、被測定者が筐体101の一部に触れつつ、操作ボタン1121a(又は1122a)を操作する際にも、第一電極140との接触状態の変化が抑制され、安定した接触状態を実現でき、心電波形を精度よく測定できる。また、被測定者が第一電極140に触れる位置の自由度が高いので、測定姿勢をとる際に余計な力が入らず、ノイズを低減することもできる。
以上のように、本実施例に係る生体情報測定装置1によれば、手首に装着するタイプの携帯型の装置で、血圧値と心電波形を同時に精度よく測定することが可能になる。
【0044】
(変形例)
図11は、スイッチ1121(又は1122)と筐体101との電気的接続の変形例を説明する図である。
スイッチ1121の構成は、実施例1と同様であり、操作ボタン1121a、操作ボタン1121aから延びる棒状のプランジャ1121b、プランジャ1121bを支持するハウジング1121c、ばね1121d、ワッシャー1121e、Oリング1121f、ワッシャー1121g、タクトスイッチ1121h、スイッチ基板170を含む。ここでは、筐体101の側壁部1011のスイッチ用孔部1011aの、操作ボタン1121aの側面に対向する位置に、溝部101cを設け、導電性部材からなる電極接続部板ばね180を配置している。弾性変形された電極接続部板ばね180が、復元力により筐体101と操作ボタン1121aに圧接することにより、操作ボタン1121aと筐体101の側壁部1011との電気的接続を確立している。これにより、操作ボタン1121aに触れるユーザーの手指Fと筐体101の側壁部1011とが、電極接続部板ばね180によ
って電気的に接続される。
図11では、ユーザーの手指Fから筐体101に至る電気的導電経路を破線で示している。
【0045】
<実施例2>
図12は、実施例2に係る生体情報測定装置2を表示部111の正面から見た図である。実施例1に係る生体情報測定装置1と同様の構成については同様の符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0046】
実施例2に係る生体情報測定装置2は、筐体102の形状を除いて、実施例1に係る生体情報測定装置1と同様の構成を有する。本実施例においても、第一電極140は、少なくとも手首Tに装着した生体情報測定装置1の本体部100の、手首Tに対向する方向N(
図2、
図5(A)参照)を軸方向としたときの周方向C(
図2参照)の外周側から本体部100の全周方向を囲む側壁部1021を少なくとも含んで構成される。生体情報測定装置2の筐体102は、
図12(A)に示すように、操作ボタン1211及び1212が設けられた側壁部1021aと、これに対向する側壁部1021bとが、長手方向の中央部で内側に凸となる湾曲面に形成されており、筐体102の両側壁部1021a及び1021bがくびれた形状になっている。すなわち、生体情報測定装置2の側壁部1021は、手首Tに装着した生体情報測定装置1の本体部100の、手首Tに対向する方向Nを軸方向としたときの周方向C(
図2参照)の内周側に凸となる側壁部1021a、1021bを有する。側壁部1021a及び1021bの湾曲形状は
図12(A)に示す形状に限定されない。ここでは、側壁部1021a及び1021bが本発明の凹状側壁部に相当する。
【0047】
このように、生体情報測定装置2の筐体102を両側壁部1021及び1022がくびれた形状とすることにより、ユーザーが右手の親指F1及び人差し指F2で、筐体102の両側壁部1021及び1022に触れる際に、親指F1及び人差し指F2がずれにくく、指と筐体102及びスイッチ1121及び1122との接触面が安定する。
【0048】
また、側壁部1021及び1022の湾曲(凹形状)を緩やかにすることにより、ユーザーが側壁部1021及び1022に指で触れる場合に、指で触れる位置が限定されない。ユーザーが右手の親指F1及び人差し指F2で、筐体102の両側壁部1021及び1022に触れる際に、
図12(B)に示すように親指F1の腹と人差し指F2の腹とで触れることもできるし、
図12(C)に示すように親指F1の腹と人差し指F2の第2関節部分とで触れることができる。このように、側壁部1021及び1022の湾曲を緩やかにすることにより、ユーザーは筐体102に対して種々の触れ方が可能となるので、筐体102に触れる位置が限定されることにより力が入ってしまうような無理な姿勢を強いられることなく、力が入りにくい姿勢で心電図を測定することができる。
【0049】
(変形例)
実施例2では、筐体102の側壁部1021にくびれた形状の側壁部1021aと1021bを設け、略直方体形状の筐体102の一側面をそれぞれ構成する側壁部1021a,1021bの、本体部100を取り巻く周方向の中央部を内周側に凸となる湾曲形状に形成しているが、側壁部1021の全体又はその一部の面に細かい凹凸部を形成してもよい。凹凸部により、ユーザーの手指Fとの摩擦抵抗が増すので、手指Fが、側壁部1021を含む第一電極140に対して滑りにくくなり、手指Fと第一電極140との接触状態が安定する。操作ボタン1121a及び1122aの表面にも同様に細かい凹凸部を形成してもよい。
凹凸部は、腕時計のベゼルのように周方向Cに凹部と凸部を交互に配置してもよいし、側壁部1021の表面に粗面加工を施して形成してもよく、凹凸部の構成は適宜選択することができる。
【0050】
<実施例3>
図13(A)は、実施例3に係る生体情報測定装置3を表示部111の正面から見た図である。実施例1に係る生体情報測定装置1と同様の構成については同様の符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0051】
実施例3に係る生体情報測定装置3は、第一電極140及び操作ボタンの構成を除いて、実施例1に係る生体情報測定装置1と同様の構成を有する。実施例3に係る生体情報測定装置3においても、第一電極140は、少なくとも手首Tに装着した生体情報測定装置3の本体部100の、手首Tに対向する方向N(
図2、
図5(A)参照)を軸方向としたときの周方向C(
図2参照)の外周側から本体部100の全周方向を囲む側壁部1031を少なくとも含んで構成される。筐体103に含まれる側壁部1031が、第一電極140として機能するとともに操作ボタンとしての機能も有する。
【0052】
生体情報測定装置3では、表示部111の周囲を取り囲むベゼル部を構成する側壁部1031を構成する。この側壁部1031は導電性部材からなり、第一電極140としての機能を有する。また、この側壁部1031は、操作ボタンとしても機能するために、筐体本体1032に対して可動部として取り付けられている。例えば、
図13(B)に示す生体情報測定装置3では、表示部111を取り囲む側壁部1031が、ベルト部400が取り付けられた直方体形状の筐体本体1032に対して往復動可能に支持されている。筐体本体1032に対して、側壁部1031を矢印方向に押し込むことにより、側壁部1031が操作ボタンとして機能する。また、
図13(C)に示す生体情報測定装置3では、表示部111の枠部1012から屈曲して、筐体本体1034の側面を覆うように形成された側壁部1033が、鍔状のカバー部1034aが露出する筐体本体1034に往復動可能に支持されている。ここでも、側壁部1033は、導電性部材からなり、第一電極140としての機能を有する。筐体本体1034に対して、側壁部1033を矢印方向に押し込むことにより、側壁部1033が操作ボタンとして機能する。すなわち、側壁部1031、1033が本発明の側壁部であり、一体に設けられた指示入力部に対応する。
【0053】
このように、側壁部1031、1033が操作ボタンの機能を兼ねることにより、ユーザーが指示入力のために特定の部位に触れる必要がなく、心電図測定のために側壁部1031、1033にユーザーが触れる位置の自由度がます。
本実施例3に係る生体情報測定装置3の側壁部1031及び1033を、実施例2に係る凹形状とすることもできる。
【符号の説明】
【0054】
1・・・・生体情報測定装置
100・・本体部
101・・筐体
121、131・制御部
1011・側壁部
140・・第一電極
241・・第二電極
400・・バンド部
1121a、1122a・・操作ボタン