(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144792
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 45/07 20060101AFI20241004BHJP
A47J 37/10 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A47J45/07 A
A47J37/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056904
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】591261602
【氏名又は名称】サーモス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下里 麻結
(72)【発明者】
【氏名】金生谷 猛
【テーマコード(参考)】
4B059
【Fターム(参考)】
4B059AA02
4B059AB02
4B059BC12
4B059BC15
(57)【要約】
【課題】安全且つ使い勝手の良い着脱式ハンドルの取付構造を有する調理器を提供する。
【解決手段】底壁部2aと、底壁部2aの周囲から立ち上がる側壁部2bと、側壁部2bの上部が開口した上部開口部2cとを有する調理器本体2を備え、調理器本体2は、上部開口部2cの周囲から側壁部2bよりも外側に向かって突出されたフランジ部2dと、フランジ部2dに取り付けられたハンドル取付部材3とを有し、ハンドル取付部材3を介して着脱式ハンドル100が取り付けられ、ハンドル取付部材3は、着脱式ハンドル100の先端側に設けられた把持部101により把持される立壁部3aと、立壁部3aの上端から外側に向かって突出されたリブ壁部3bとを有し、フランジ部2dは、前記リブ壁部3bよりも長く突出している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部と、
前記底壁部の周囲から立ち上がる側壁部と、
前記側壁部の上部が開口した上部開口部とを有する調理器本体を備え、
前記調理器本体は、前記上部開口部の周囲から前記側壁部よりも外側に向かって突出されたフランジ部と、
前記フランジ部に取り付けられたハンドル取付部材とを有し、
前記ハンドル取付部材を介して着脱式ハンドルが取り付けられ、
前記ハンドル取付部材は、前記着脱式ハンドルの先端側に設けられた把持部により把持される立壁部と、前記立壁部の上端から外側に向かって突出されたリブ壁部とを有し、
前記フランジ部は、前記リブ壁部よりも長く突出していることを特徴とする調理器。
【請求項2】
前記フランジ部は、前記上部開口部の全周に亘って設けられていることを特徴とする請求項1に記載の調理器。
【請求項3】
〕 前記フランジ部は、前記上部開口部から水平方向に突出して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の調理器。
【請求項4】
前記調理器本体は、角形のフライパンであることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、フライパンや鍋などの調理器の中には、固定式のハンドルではなく、着脱式のハンドルを備えたものがある(例えば、下記特許文献1,2を参照。)。
【0003】
着脱式ハンドルは、その先端側に設けられた把持部によりフライパンの縁を把持する構造となっている。これにより、外径などのサイズが異なるフライパンや鍋などの調理器に対して、ある程度の互換性を持たせている。
【0004】
一方、フライパンなどの調理器は、着脱式ハンドルが取り付けられた状態で、調理に供されるため、把持部に食材が付着して汚れてしまうおそれがある。また、把持部に直火が当たると、把持部が破損してしまうおそれがある。
【0005】
下記特許文献1には、フライパンに着脱自在な着脱式ハンドルに対応するフライパン構造であって、ハンドル取手に直火が当たった際の破損を防ぐため、金属ベルトがハンドル本体に一体型に結合されている構造が開示されている。
【0006】
また、下記特許文献2には、フライパンに着脱自在で同フライパンを移動可能な着脱式ハンドルに対応するフライパン構造であって、フライパンの開口外周壁部の外側面に、着脱式ハンドルの先端を着脱自在なハンドル取手が取り付けられた着脱式ハンドル用フライパン構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-66701号公報
【特許文献2】実用新案登録第3176386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した特許文献1に記載の構造では、フライパン(調理器容器)にハンドルが取り付けられた状態で、把持面がフライパンの外側に当接するため、調理時に加熱されたフライパンの熱や直火が把持面に当たることで把持面が劣化することがある。
【0009】
また、上述した特許文献2に記載の構造では、誤ってフライパンの縁にハンドル取手を取り付けてしまうことが想定される。この場合、使用中や移動中に着脱式ハンドルからフライパンが抜け落ちてしまうおそれがある。
【0010】
さらに、ハンドル取手は、フライパンの側壁部にカシメにより取り付けられている。したがって、この場合、菜箸やフライ返しなどの調理器具がカシメ部分に当たってしまい、調理しづらかったり、カシメ部分に食材が付着し、洗浄に手間がかかってしまうおそれがある。
【0011】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、安全且つ使い勝手の良い着脱式ハンドルの取付構造を有する調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 底壁部と、
前記底壁部の周囲から立ち上がる側壁部と、
前記側壁部の上部が開口した上部開口部とを有する調理器本体を備え、
前記調理器本体は、前記上部開口部の周囲から前記側壁部よりも外側に向かって突出されたフランジ部と、
前記フランジ部に取り付けられたハンドル取付部材とを有し、
前記ハンドル取付部材を介して着脱式ハンドルが取り付けられ、
前記ハンドル取付部材は、前記着脱式ハンドルの先端側に設けられた把持部により把持される立壁部と、前記立壁部の上端から外側に向かって突出されたリブ壁部とを有し、
前記フランジ部は、前記リブ壁部よりも長く突出していることを特徴とする調理器。
〔2〕 前記フランジ部は、前記上部開口部の全周に亘って設けられていることを特徴とする前記〔1〕に記載の調理器。
〔3〕 前記フランジ部は、前記上部開口部から水平方向に突出して設けられていることを特徴とする前記〔1〕に記載の調理器。
〔4〕 前記調理器本体は、角形のフライパンであることを特徴とする前記〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載の調理器。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、安全且つ使い勝手の良い着脱式ハンドルの取付構造を有する調理器を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る調理器において着脱式ハンドルが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す調理器において着脱式ハンドルが取り付けられた状態を示す側面図である。
【
図3】
図1に示す調理器において着脱式ハンドルが取り付けられた状態を示す断面図である。
【
図4】
図1に示す調理器のハンドル取付部材の構成を後側から見た斜視図である。
【
図5】
図1に示す調理器のハンドル取付部材の構成を上側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態として、例えば
図1~
図5に示す調理器1について説明する。
【0016】
なお、
図1は、調理器1において着脱式ハンドル100が取り付けられた状態を示す斜視図である。
図2は、調理器1において着脱式ハンドル100が取り付けられた状態を示す側面図である。
図3は、調理器1において着脱式ハンドル100が取り付けられた状態を示す断面図である。
図4は、調理器1のハンドル取付部材3の構成を後側から見た斜視図である。
図5は、調理器1のハンドル取付部材3の構成を上側から見た斜視図である。
【0017】
本実施形態の調理器1は、例えば
図1~
図5に示すような角形のフライパンに本発明を適用したものである。
【0018】
具体的に、この調理器1は、角形のフライパンを構成する調理器本体2と、調理器本体2に対して着脱自在に取り付けられる着脱式ハンドル100とを備えている。
【0019】
調理器本体2は、平面視で略矩形状となる底壁部2aと、底壁部2aの周囲から立ち上がる4つの側壁部2bとを有している。
【0020】
側壁部2bの上部は、上部開口部2cとして、平面視で略矩形状に開口している。また、底壁部2aと各側壁部2bとの間及び各側壁部2bの間の角部は、それぞれ湾曲した形状を有している。各側壁部2bは、底壁部2aに対して外側(着脱式ハンドル100側)に傾斜している。
【0021】
調理器本体2は、上部開口部2cの周囲から側壁部2bよりも外側に向かって突出されたフランジ部2d,2eを有している。
【0022】
フランジ部2d,2eは、上部開口部2cの全周に亘って設けられている。また、フランジ部2d,2eは、側壁部2bの上端部を外側に折り曲げることによって形成されている。
【0023】
調理器本体2は、例えば、鉄やステンレス、アルミニウム、銅などの熱伝導性に優れた金属板をプレス加工することによって、これら底壁部2a、側壁部2b及びフランジ部2d,2eが一体に成形されると共に、プレス加工後に鍛造により底壁部2a、側壁部2b及びフランジ部2d,2eの板厚を変更したものからなる。
【0024】
なお、調理器本体2については、上述した加工方法によるものに限らず、例えばプレス加工のみで成形したものや、ダイキャスト加工で成形したものであってもよい。
【0025】
また、4つの側壁部2bのうち、手前(着脱式ハンドル100側)に位置する側壁部2bから突出されたフランジ部2dには、ハンドル取付部材3がカシメ等により一体に取り付けられている。
【0026】
本実施形態では、カシメ部分を三角状に3箇所設けることで、ハンドル取付部材3の取付強度を高めている。なお、カシメについては、左右対称に2箇所設けた構成であってもよい。
【0027】
ハンドル取付部材3が取り付けられるフランジ部2dは、残りのフランジ部2eよりも大きく外側に突出して設けられている。これに対して、残りのフランジ部2eは、一定の幅で外側に突出して設けられている。
【0028】
ハンドル取付部材3は、立壁部3aと、立壁部3aの上端から外側に向かって突出されたリブ壁部3bと、立壁部3aの下側の周囲を覆う周壁部3cとを有して、これらが、例えばアルミニウム合金などの金属により一体に成形されたものからなる。
【0029】
立壁部3a及びリブ壁部3bは、着脱式ハンドル100の先端側に設けられた把持部101により把持される部分であり、鉛直よりも外側に僅かに傾斜しており、上方から見たときに略円弧形状を有している。なお、立壁部3aの傾斜は、鉛直方向に対して5~10°の角度で外側に傾斜させると、着脱式ハンドル100を取り付けた際に、使用に最適な角度となるように設計されている。
【0030】
立壁部3a及びリブ壁部3bは、略L字形状を有して、着脱式ハンドル100は、立壁部3a及びリブ壁部3bを把持部101と段部102とでL字状に挟持することで、強固に嵌合し得るものである。
【0031】
なお、本実施形態における着脱式ハンドル100は、ハンドル取付部材3が取り付けられた調理器本体2の他にも、例えば丸型フライパンを直接把持することができるように、把持部101は上方から見て略円弧形状を有している。
【0032】
このため、把持部101に把持される立壁部3a及びリブ壁部3bも略円弧形状を有しているが、このような形状に必ずしも限定されるものではなく、把持部101と立壁部3a及びリブ壁部3bとが互いに平板形状であってもよい。
【0033】
なお、ハンドル取付部材3の上方、すなわち立壁部3aの上部が上部開口部2cより上方に位置していることで、周壁部3cの下面の空間を十分に取ることができ、加熱時にハンドル取付部材3に滞留する熱が逃げ易くなっている。
【0034】
周壁部3cは、立壁部3aを把持した着脱式ハンドル100に直火が当たることがないように、立壁部3aの側方及び下側の周囲を覆うように湾曲していると共に、その先端が立壁部3aよりも外側(着脱式ハンドル100側)に突出して設けられている。また、周壁部3cは、外側(着脱式ハンドル100側)に向かって下向きに傾斜した形状を有している。立壁部3aは、この周壁部3cの内側を仕切るように設けられている。
【0035】
また、立壁部3aと周壁部3cとの間には、孔部3dが設けられている。孔部3dは、周壁部3cの内側に位置して、立壁部3aの下側を貫通して設けられている。
【0036】
ハンドル取付部材3は、このような孔部3dを有することで、調理器1の洗浄時に水抜きとして、周壁部3cの内側に水が溜まることを防ぎつつ、この周壁部3cの内側を洗浄し易くしている。
【0037】
また、孔部3dを有することで、直火が周壁部3cに当たった場合であっても、ハンドル取付部材3の熱が逃げ易くなると共に、その熱が周壁部3cの下面から立壁部3aに直接伝わらないため、立壁部3aから着脱式ハンドル100に伝わる熱により把持部101及び段部102が劣化することを防ぐことが可能である。
【0038】
着脱式ハンドル100は、上述した把持部101及び段部102の他にも、使用者が把持する取手部103と、把持部101の立壁部3a及びリブ壁部3bを把持した状態を保持するロックレバー104と、把持部101の立壁部3a及びリブ壁部3bを把持した状態を解除するロック解除ボタン105とを有している。
【0039】
着脱式ハンドル100では、その操作性を考慮して、ロックレバー104が取手部103の下面側に設けられ、ロック解除ボタン105が取手部103との上面側に設けられている。
【0040】
以上のような構成を有する本実施形態の調理器1では、上述した調理器本体2にハンドル取付部材3を介して着脱式ハンドル100が取り付けられている。
【0041】
これにより、本実施形態の調理器1では、着脱式ハンドル100の把持部101に食材が付着して汚れてしまうことを防ぐことが可能である。
【0042】
また、本実施形態の調理器1では、上述したハンドル取付部材3が調理器本体2のフランジ部2dに取り付けられているため、調理器本体2の内側にカシメ部分が露出することがない。
【0043】
また、本実施形態の調理器1では、上述した立壁部3aの下側の周囲を周壁部3cが覆う構成のため、立壁部3aを把持した着脱式ハンドル100に直火が当たることを防ぎつつ、この着脱式ハンドル100を保護することが可能である。
【0044】
また、本実施形態の調理器1では、上述した着脱式ハンドル100の把持部101によって、調理器本体2の上部開口部2cの周囲が把持できない形状となっている。すなわち、この調理器本体2の上部開口部2cの周囲には、全周に亘ってフランジ部2eが設けられている。
【0045】
フランジ部2eは、上部開口部2cの周囲から外側に向かって突出された端部までの長さが、リブ壁部3bの立壁部3aの上端から外側に向かって突出された端部までの長さよりも長くなるように設けられている。
【0046】
フランジ部2eの長さは、着脱式ハンドル100のロックレバー104をロックした状態で、把持部101と段部102との間の長さよりも長くなっているため、フランジ部2eが設けられた部分を着脱式ハンドル100の把持部101により把持することは不可能な形状となっている。
【0047】
これにより、本実施形態の調理器1では、上述したハンドル取付部材3にのみ着脱式ハンドル100を取り付けることが可能となっている。
【0048】
なお、本実施形態の調理器1では、フランジ部2d,2eが側壁部2bの上端部を外側に略水平に折り曲げることによって形成されているが、このような構成に限らず、上方又は下方に傾斜した角度を有したものであってもよい。
【0049】
以上のようにして、本実施形態の調理器1では、安全且つ使い勝手の良い着脱式ハンドル100の取付構造を得ることが可能である。
【0050】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0051】
例えば、上記着脱式ハンドル100の把持部101によって、調理器本体2の上部開口部2cの周囲が把持できない形状については、上述したフランジ部2eの突出量や折り曲げ角度、厚みなどを調整することによって実現可能である。
【0052】
また、上記調理器1では、立壁部3aを傾ける角度によって、着脱式ハンドル100の取り付け角度を調整することが可能である。すなわち、立壁部3aの上端が調理器本体2側に向かって傾いているほど、調理器本体2に取り付けられる着脱式ハンドル100の先端が上向きとなる。
【0053】
一方、立壁部3aの上端が調理器本体2から離れる方向に向かって傾いているほど、調理器本体2に取り付けられる着脱式ハンドル100の先端が下向きになる。したがって、立壁部3aの角度を調整することによって、着脱式ハンドル100の取り付け角度を任意に調整することが可能である。
【0054】
なお、本発明が適用される調理器については、上述した角形のフライパンに必ずしも限定されるのではなく、例えば丸形のフライパンや鍋などにも本発明を適用することが可能である。
【0055】
また、着脱式ハンドル100については、上述した1種類の角形フライパンにのみ取り付け可能なものではなく、例えば外径などのサイズが異なるフライパンや鍋などの調理器に対して、ある程度の互換性を持たせることが可能である。
【0056】
特に、本発明を適用した調理器1では、上述したハンドル取付部材3の立壁部3a及びリブ壁部3bの形状を共通化することで、形状やサイズが異なるフライパンや鍋などの調理器に対して、幅広く互換性を持たせることが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1…調理器 2…調理器本体 2a…底壁部 2b…側壁部 2c…上部開口部 2d,2e…フランジ部 3…ハンドル取付部材 3a…立壁部 3b…リブ壁部 3c…周壁部 3d…孔部 100…着脱式ハンドル 101…把持部 102…段部 103…取手部 104…ロックレバー 105…ロック解除ボタン