(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144793
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】積層セラミックコンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
H01G4/30 201K
H01G4/30 201C
H01G4/30 512
H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056905
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 好洋
(72)【発明者】
【氏名】早川 達也
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AD02
5E001AD05
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE04
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG18
5E082GG10
(57)【要約】
【課題】より信頼性の高い積層セラミックコンデンサを提供すること。
【解決手段】積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層14及び内部電極15を含む積層体2を備える。内部電極15は、積層体2の第1端面CAに引き出される第1内部電極15Aと、第2端面CBに引き出される第2内部電極15Bと、を有する。誘電体層14は、第1誘電体層17と、第2誘電体層18と、からなる。第1誘電体層17は、第1内部電極15Aと第2内部電極15Bとの間に配置されており、第2誘電体層18は、内部電極15を介して対向する第1誘電体層17間の、内部電極15が配置されていない領域において、第1誘電体層17と積層方向Tに重畳するように配置されている。内部電極15と、当該内部電極15と長さ方向Lに隣り合う第2誘電体層18と、の間には、空隙19が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向に積層される、誘電体層及び内部電極を含む積層体と、
前記内部電極に接続される外部電極と、
を備える積層セラミックコンデンサであって、
前記積層体は、前記積層方向において相対する第1主面及び第2主面と、前記積層方向に直交する幅方向において相対する第1側面及び第2側面と、前記積層方向及び前記幅方向に直交する長さ方向において相対する第1端面及び第2端面と、を有し、
前記内部電極は、前記第1端面に引き出される第1内部電極と、前記第2端面に引き出される第2内部電極と、を含み、
前記誘電体層は、第1誘電体層と、第2誘電体層と、からなり、
前記第1誘電体層は、前記第1内部電極と前記第2内部電極との間に配置されており、
前記第2誘電体層は、前記内部電極を介して対向する前記第1誘電体層間の、前記内部電極が配置されていない領域において、前記第1誘電体層と前記積層方向に重畳するように配置されており、
前記内部電極と、当該内部電極と前記長さ方向に隣り合う前記第2誘電体層と、の間には、空隙が設けられている、積層セラミックコンデンサ。
【請求項2】
全ての前記内部電極のうち、50%以上の前記内部電極が、当該内部電極と前記長さ方向に隣り合う前記第2誘電体層との間に前記空隙を有している、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項3】
前記内部電極は、前記積層方向に隣り合う前記内部電極同士で対向する対向部と、前記対向部から前記外部電極へ延びる引出部と、を有し、
前記空隙の前記長さ方向の寸法は、当該空隙の界面を形成する前記内部電極と対向する前記内部電極の前記引出部の前記長さ方向の寸法に対して、0.1%以上、50%以下となっている、請求項1又は2に記載の積層セラミックコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
積層セラミックコンデンサ等の積層電子部品を製造する際、内部電極が印刷された複数のセラミックグリーンシートが積み重ねられる。セラミックグリーンシートに内部電極が印刷されると、内部電極が印刷されている部分と印刷されていない部分との間に段差が生じる。そのため、内部電極が印刷された複数のセラミックグリーンシートを積層してプレスしてマザー積層体を製造すると、マザー積層体において、内部電極が印刷されている部分と印刷されていない部分とで厚さが異なる。そうすると、マザー積層体を切断した積層チップから製造される積層電子部品が変形する。
【0003】
このような、積層電子部品の変形を防止するため、内部電極が印刷されていない部分に、段差吸収用ペーストを印刷することで、段差を緩和することが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、段差解消用の誘電体を印刷する際に、誘電体が内部電極にかかってしまうと、積層体のプレス時に、内部電極の平滑性が損なわれてしまうおそれがある。その場合、構造欠陥や絶縁不良といった不具合が引き起こされ、積層セラミックコンデンサの信頼性が損なわれるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、より信頼性の高い積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明の積層セラミックコンデンサは、積層方向に積層される、誘電体層及び内部電極を含む積層体と、前記内部電極に接続される外部電極と、を備える積層セラミックコンデンサであって、前記積層体は、前記積層方向において相対する第1主面及び第2主面と、前記積層方向に直交する幅方向において相対する第1側面及び第2側面と、前記積層方向及び前記幅方向に直交する長さ方向において相対する第1端面及び第2端面と、を有し、前記内部電極は、前記第1端面に引き出される第1内部電極と、前記第2端面に引き出される第2内部電極と、を含み、前記誘電体層は、第1誘電体層と、第2誘電体層と、からなり、前記第1誘電体層は、前記第1内部電極と前記第2内部電極との間に配置されており、前記第2誘電体層は、前記内部電極を介して対向する前記第1誘電体層間の、前記内部電極が配置されていない領域において、前記第1誘電体層と前記積層方向に重畳するように配置されており、前記内部電極と、当該内部電極と前記長さ方向に隣り合う前記第2誘電体層と、の間には、空隙が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より信頼性の高い積層セラミックコンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】積層セラミックコンデンサ1の概略斜視図である。
【
図2】積層セラミックコンデンサ1の
図1におけるII-II方向に切断した断面図である。
【
図3】積層セラミックコンデンサ1の
図2におけるP部の部分拡大図である。
【
図4】積層セラミックコンデンサ1の
図1におけるIII-III方向に切断した断面図である。
【
図5】積層セラミックコンデンサ1の第1内部電極15Aに沿った断面図である。
【
図6】マザーブロックの一例を模式的に示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1について説明する。
図1は、積層セラミックコンデンサ1の概略斜視図である。
図2は、積層セラミックコンデンサ1の
図1におけるII-II方向に切断した断面図である。
図3は、積層セラミックコンデンサ1の
図2におけるP部の部分拡大図である。
図4は、積層セラミックコンデンサ1の
図1におけるIII-III方向に切断した断面図である。
図5は、積層セラミックコンデンサ1の第1内部電極15Aに沿った断面図である。
【0011】
(積層セラミックコンデンサ1)
図1及び
図2に示すように、積層セラミックコンデンサ1は、略直方体形状をなし、積層体2と、積層体2の両端に設けられた一対の外部電極3と、を備える。積層体2は、誘電体層14と内部電極15とが積層された内層部11を含む。積層体2は、略直方体状をなし、6つの外表面を有する。
【0012】
本明細書では、積層セラミックコンデンサ1において誘電体層14と内部電極15とが積層されている方向を積層方向Tとする。積層方向Tと直交する方向であって、各外部電極3が並んでいる方向を長さ方向Lとする。長さ方向L及び積層方向Tのいずれにも直交する方向を幅方向Wとする。
【0013】
以下の説明において、積層体2の6つの外表面のうち、積層方向Tの両側に設けられた一対の外表面を主面Aとし、積層方向Tに延び且つ幅方向Wの両側に設けられた一対の外表面を側面Bとし、積層方向Tに延び且つ長さ方向Lの両側に設けられた一対の外表面を端面Cとする。主面Aのうち一方を主面AAとし、他方を主面ABとする。側面Bのうち一方を側面BAとし、他方を側面BBとする。端面Cのうち一方を端面CAとし、他方を端面CBとする。
【0014】
(積層体2)
積層体2は、積層体チップ10と、一対の側面側外層部20とを備える。
【0015】
(積層体チップ10)
積層体チップ10は、内層部11と、一対の外層部12と、を備える。
【0016】
(内層部11)
図2及び
図3に示すように、内層部11は、積層方向Tに積層された誘電体層14と、内部電極15と、を複数含む。
【0017】
(誘電体層14)
誘電体層14は、誘電体材料により構成されている。誘電体材料は、例えば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、又はCaZrO3等の成分を含む誘電体セラミックを用いることができる。また、誘電体材料は、これらの主成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物等の副成分を添加したものであってもよい。
【0018】
(内部電極15)
内部電極15は、導電性ペーストが焼結されたものである。導電ペーストは、例えばNiである金属粉末と、バインダと、可塑剤や分散剤等の添加剤と、有機溶剤と、を含む。
【0019】
内部電極15は、第1端面CAに引き出される第1内部電極15Aと、第2端面CBに引き出される第2内部電極15Bと、を有する。第1内部電極15Aと、第2内部電極15Bとは、積層方向Tに交互に配置されている。
【0020】
第1内部電極15Aは、隣り合う第2内部電極15Bと対向する第1対向部15Aaと、当該第1対向部15Aaから第1端面CAに延びる第1引出部15Abと、を有する。第1引出部15Abは、積層体2の第1端面CAに露出している。第1内部電極15Aは、第2端面CB及び両側面Bからそれぞれ離間している。
【0021】
第2内部電極15Bは、隣り合う第1内部電極15Aと対向する第2対向部15Baと、当該第2対向部15Baから第2端面CBに延びる第2引出部15Bbと、を有する。第2引出部15Bbは、積層体2の第2端面CBに露出している。第2内部電極15Bは、第1端面CA及び両側面Bからそれぞれ離間している。なお、第1対向部15Aaと、第2対向部15Baとは、まとめて「対向部15a」ということがある。第1引出部15Abと、第2引出部15Bbとは、まとめて「引出部15b」ということがある。
【0022】
(外層部12)
外層部12は、内層部11を積層方向Tから挟むようにそれぞれ配置されている。各外層部12は、誘電体層14と同様の誘電体材料により構成されている。
【0023】
(側面側外層部20)
側面側外層部20は、積層体チップ10の両側面を、積層体チップ10の幅方向Wからに挟むように配置されている。詳細には、各側面側外層部20は、積層体チップ10両側面の内層部11と外層部12をそれぞれ覆っている。各側面側外層部20は、誘電体層14と同様の誘電体材料により構成されている。
【0024】
(外部電極3)
各外部電極3は、端面Cにそれぞれ配置されている。各外部電極3は、端面Cだけでなく、主面A及び側面Bの当該端面C側の一部もそれぞれ覆っている。各外部電極3のうち、第1端面CA側のものには、第1内部電極15Aが接続され、第2端面CB側のものには、第2内部電極15Bが接続されている。図示していないが、各外部電極3は、例えば、下地電極層と、下地電極層の上に配置されたNiめっき層と、Niめっき層の上に配置されたSnめっき層と、をそれぞれ含む。
【0025】
ここで、誘電体層14は、第1誘電体層17と、第2誘電体層18とからなる。第1誘電体層17は、第1内部電極15Aと、第2内部電極15Bとの間に配置されている。第2誘電体層18は、内部電極15を介して対向する第1誘電体層17間の、内部電極15が配置されていない領域において、第1誘電体層17と積層方向Tに重畳するように配置されている。換言すると、一の第1誘電体層17上には、第1内部電極15A及び第2内部電極15Bのうちいずれか一の内部電極15と、第2誘電体層18とが、長さ方向Lに並んで配置されている。
【0026】
図2、
図3及び
図4に示すように、内部電極15と、当該内部電極15と長さ方向Lに隣り合う第2誘電体層18との間には、空隙19が設けられている。これにより、誘電体セラミックが内部電極15上に部分的に配置されることを抑制することができるため、内部電極15の平滑性が損なわれてしまうのを抑制することができる。したがって、積層セラミックコンデンサ1の信頼性を高めることができる。
【0027】
空隙19の長さ方向Lの寸法は、当該空隙19の界面を形成する内部電極15と対向する内部電極15の引出部15bの長さ方向Lの寸法に対して、0.1%以上、50%以下となっており、例えば、0.1μm以上、5μm以下となっている。空隙19の長さ方向Lの寸法が、当該空隙19の界面を形成する内部電極15と対向する内部電極15の引出部15bの長さ方向Lの寸法に対して0.1%以上となっていることで、誘電体セラミックが内部電極15上に部分的に配置されることを抑制することを、より好適に抑制することができる。空隙19の長さ方向Lの寸法が、当該空隙19の界面を形成する内部電極15と対向する内部電極15の引出部15bの長さ方向Lの寸法に対して50%以下となっていることで、隣接する第1誘電体層17同士の密着性の低下を抑制することができる。
【0028】
(空隙19の長さ方向Lの寸法の測定方法)
空隙19の長さ方向Lの寸法を測定する場合、積層体を研磨して所定の断面を露出させる。そして、マイクロメータや光学顕微鏡で露出された断面を観察し、空隙19の長さ方向Lの寸法を測定する。所定の断面は、長さ方向L及び積層方向Tに平行且つ各内部電極15の幅方向Wの中央部を通過する断面である。なお、引出部15bの長さ方向Lの寸法についても、同様に測定する。
【0029】
(積層セラミックコンデンサ1の製造方法)
続いて、積層セラミックコンデンサ1の製造方法について説明する。
図6は、マザー積層体104の一例を模式的に示す分解斜視図である。
【0030】
まず、第1誘電体層17用のセラミックグリーンシートと、内部電極15用の導電性ペーストと、第2誘電体層18用の誘電体ペースト118が準備される。これらセラミックグリーンシート、誘電体ペースト118は、バインダ及び溶剤を含む。第2誘電体層18用の誘電体ペースト118には、バインダ及び溶剤の量をセラミックグリーンシートと変えたものを使用可能である。導電性ペーストは、金属粉末に有機バインダ及び有機溶剤が加えられたものとされる。
【0031】
次いで、セラミックグリーンシート上に、例えばスクリーン印刷やグラビア印刷等により、所定のパターンで複数の内部電極15用の導電性ペーストが印刷される。これにより、複数の第1内部電極15Aのパターンが形成されたセラミックグリーンシート(「第1セラミックグリーンシート101」という)と、複数の第2内部電極15Bのパターンが形成されたセラミックグリーンシート(「第2セラミックグリーンシート102」という)とが得られる。
【0032】
次いで、第1セラミックグリーンシート101及び第2セラミックグリーンシート102の内部電極15のパターンが形成されていない領域に、例えばスクリーン印刷等により、第2誘電体層18用の誘電体ペースト118が、それぞれ印刷される。各内部電極15のパターンと、第2誘電体層18用の誘電体ペースト118との間には、所定の間隔が設けられる。これにより、内部電極15と、第2誘電体層18との間に空隙19が形成される。なお、所定の間隔は、積層セラミックコンデンサ1の完成品において、空隙19の長さ方向Lの寸法が所望の値となるように調整される。
【0033】
なお、先に第2誘電体層18用の誘電体ペースト118が配置され、この後に導電性ペーストによる複数の内部電極15のパターンが形成されてもよい。
【0034】
次いで、内部電極15のパターンが印刷されていないセラミックグリーンシート(「第3セラミックグリーンシート103」という)が所定枚数積層されることにより、外層部12となる部分が形成される。その上に、第1セラミックグリーンシート101と、第2セラミックグリーンシート102と、が順次交互に積層されて、内層部11となる部分が形成される。内層部11となる部分の上に、第3セラミックグリーンシート103が所定枚数積層され、外層部12となる部分が形成される。これにより、マザー積層体104が得られる。
【0035】
次いで、マザー積層体104は、プレスされる。マザー積層体104がプレスされる方法としては、例えば、剛体プレス、静水圧プレスといった方法を採用可能である。
【0036】
次いで、プレスされたマザー積層体104は、チップ形状にカットされる。マザー積層体104がカットされる方法としては、例えば、押切り、ダイシング、レーザーカットといった方法を採用可能である。
【0037】
次いで、マザー積層体104は、導電性ペーストが配置されていない位置において、幅方向Wに沿ってカットされる。これにより、当該カットにより生じたマザー積層体104のカット面において、導電性ペーストが露出しないようにすることができる。マザー積層体104は、長さ方向Lに沿って積層方向Tにカットされる。当該カットにより生じたマザー積層体104のカット面においては、導電性ペーストが露出しており、詳しくは、当該カット面と、各導電性ペーストの当該カット面側の端部と、は、略面一となっている。これにより、各内部電極15の長さ方向Lの端部の位置を容易に揃えることができる。以上により、積層体チップ10が得られる。
【0038】
次いで、積層体チップ10に側面側外層部用セラミックグリーンシートが貼り付けられる。側面側外層部用セラミックグリーンシートは、導電性ペーストが露出する各カット面にそれぞれ貼り付けられる。これにより、積層体チップ10に側面側外層部20が形成される。以上により、積層体2が得られる。なお、積層体2には、バレル研磨等が施されることが好ましい。これにより、積層体2の角部や稜線部に丸みがつけられる。
【0039】
次いで、積層体2は、窒素雰囲気中で脱脂処理される。次いで、積層体2は、窒素と水素と水蒸気との混合雰囲気中で焼成される。なお、積層体2が焼成される際の温度は、例えば、900℃以上且つ1300℃以下であることが好ましい。
【0040】
次いで、積層体2に各外部電極3が形成される。例えば、積層体2の端面Cにおいて、下地電極層と、Snめっき層と、Niめっき層とが、順次形成される。下地電極層は、例えば、導電性金属とガラスとを含む導電性ペーストが塗布されて焼き付けられることにより形成される。下地電極層の導電性金属は、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等である。Niめっき層及びSnめっき層は、例えば、電解めっき法又は無電解めっき法により形成される。
【0041】
以上により、積層セラミックコンデンサ1が得られる。
【0042】
(実施形態の効果)
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0043】
内部電極15と、当該内部電極15と長さ方向Lに隣り合う第2誘電体層18との間には、空隙19が設けられている。これにより、誘電体セラミックが内部電極15上に部分的に配置されることを抑制することができるため、内部電極15の平滑性が損なわれてしまうのを抑制することができる。したがって、積層セラミックコンデンサ1の信頼性を高めることができる。
【0044】
空隙19の長さ方向Lの寸法は、当該空隙19の界面を形成する内部電極15と対向する内部電極15の引出部15bの長さ方向Lの寸法に対して0.1%以上となっている。これにより、誘電体セラミックが内部電極15上に部分的に配置されることを、より好適に抑制することができる。
【0045】
また、空隙19の長さ方向Lの寸法は、当該空隙19の界面を形成する内部電極15と対向する内部電極15の引出部15bの長さ方向Lの寸法に対して50%以下となっている。これにより、隣接する第1誘電体層17同士の密着性の低下を抑制することができるため、積層セラミックコンデンサ1の信頼性を、より好適に高めることができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更及び変形が可能である。
【0047】
例えば、全ての内部電極15が、長さ方向Lに隣り合う第2誘電体層18との間に空隙19を有している必要はなく、一部の内部電極15は、第2誘電体層18と接触していてもよい。ただし、全ての内部電極15のうち、50%以上の内部電極15が、当該内部電極15と長さ方向Lに隣り合う第2誘電体層18との間に空隙19を有していることが好ましい。これにより、所望の効果を好適に得ることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 積層セラミックコンデンサ
2 積層体
3 外部電極
11 内層部
14 誘電体層
15 内部電極
15a 対向部
15b 引出部
15A 第1内部電極
15B 第2内部電極
17 第1誘電体層
18 第2誘電体層
19 空隙
AA 第1主面
AB 第2主面
BA 第1側面
BB 第2側面
CA 第1端面
CB 第2端面