(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144803
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】土壌診断システム、土壌診断方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20241004BHJP
A01C 21/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G06Q50/02
A01C21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056918
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】523286071
【氏名又は名称】株式会社NTTデータ
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山根 和也
【テーマコード(参考)】
2B052
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2B052BA08
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】農業における土壌診断利用の効率化及び活性化を図ることが可能な土壌診断システム、土壌診断方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】衛星画像に基づく土壌の分析結果を圃場ごとに示す土壌分析情報を取得する取得部と、評価対象である圃場の分析結果と、前記評価対象である圃場の比較対象として選定基準に基づき選定された圃場の分析結果とを、取得された前記土壌分析情報から抽出する抽出部と、抽出された前記評価対象の分析結果及び前記比較対象の分析結果を比較可能に出力する出力処理部と、を備える土壌診断システム。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星画像に基づく土壌の分析結果を圃場ごとに示す土壌分析情報を取得する取得部と、
評価対象である圃場の分析結果と、前記評価対象である圃場の比較対象として選定基準に基づき選定された圃場の分析結果とを、取得された前記土壌分析情報から抽出する抽出部と、
抽出された前記評価対象の分析結果及び前記比較対象の分析結果を比較可能に出力する出力処理部と、
を備える土壌診断システム。
【請求項2】
前記分析結果には、分析された圃場の区画に関する情報を示す圃場情報と、分析された圃場における土壌の特性に関する情報を示す土壌特性情報とが対応付けられており、
抽出された前記評価対象の分析結果及び前記比較対象の分析結果と、各分析結果に対応付けられた前記圃場情報又は前記土壌特性情報とに基づき、抽出された前記評価対象の分析結果及び前記比較対象の分析結果を比較可能な出力情報を生成する生成部、
をさらに備え、
前記出力処理部は、生成された前記出力情報を出力する、
請求項1に記載の土壌診断システム。
【請求項3】
前記生成部は、抽出された各分析結果と、抽出された各分析結果に対応付けられた前記圃場情報とに基づき、各分析結果をヒートマップで示す分析結果画像を生成し、前記分析結果画像を含む画像形式の前記出力情報を生成する、
請求項2に記載の土壌診断システム。
【請求項4】
抽出された前記比較対象の分析結果に関する統計量を算出する算出部、
をさらに備え、
前記生成部は、抽出された各分析結果と、抽出された各分析結果に対応付けられた前記圃場情報及び前記土壌特性情報と、算出された前記統計量とに基づき、各分析結果を数値で示す表形式の前記出力情報を生成する、
請求項2に記載の土壌診断システム。
【請求項5】
抽出された前記評価対象の分析結果に基づき、前記評価対象である圃場において推奨される資材量を算出する算出部、
をさらに備え、
前記生成部は、抽出された各分析結果と、抽出された各分析結果に対応付けられた前記圃場情報及び前記土壌特性情報と、算出された前記資材量を示す推奨資材量情報とに基づき、前記評価対象である圃場に対する施肥に関して対象者への提案内容を示す提案情報を含む、提案書形式の前記出力情報を生成する、
請求項2に記載の土壌診断システム。
【請求項6】
前記選定基準は、前記評価対象である圃場を含む所定の範囲内にある圃場、かつ前記評価対象である圃場と土壌種別が同一の圃場である、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の土壌診断システム。
【請求項7】
前記分析結果は、前記土壌に含まれる物質の内、分析対象である物質の量を示す、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の土壌診断システム。
【請求項8】
前記分析対象は、無機態窒素及び腐植である、
請求項7に記載の土壌診断システム。
【請求項9】
コンピュータが、
衛星画像に基づく土壌の分析結果を圃場ごとに示す土壌分析情報を取得する取得過程と、
評価対象である圃場の分析結果と、前記評価対象である圃場の比較対象として選定基準に基づき選定された圃場の分析結果とを、取得された前記土壌分析情報から抽出する抽出過程と、
抽出された前記評価対象の分析結果及び前記比較対象の分析結果を比較可能に出力する出力処理過程と、
を含む土壌診断方法。
【請求項10】
コンピュータを、
衛星画像に基づく土壌の分析結果を圃場ごとに示す土壌分析情報を取得する取得手段と、
評価対象である圃場の分析結果と、前記評価対象である圃場の比較対象として選定基準に基づき選定された圃場の分析結果とを、取得された前記土壌分析情報から抽出する抽出手段と、
抽出された前記評価対象の分析結果及び前記比較対象の分析結果を比較可能に出力する出力処理手段と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌診断システム、土壌診断方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業において、生産者がより効率的な営農活動を行うために、自身の有する圃場の土壌状態を把握したいという生産者からのニーズがある。当該ニーズに対して、例えば、生産者から依頼を受けた農業協同組合(以下、「農協」とも称される)による土壌診断が行われている。土壌診断の大多数は、診断対象である土壌から土壌サンプルを採取して分析することで行われている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
農協からも、生産者に対して資材提案などの渉外活動を行うために、土壌診断を行いたいというニーズがある。しかしながら、土壌サンプルの採取による土壌診断では、土壌サンプルの採取や分析に人員と時間を要する。近年では、人員減少の影響もあり、依頼のあったすべての生産者について、次期作に間に合うように資材提案できるよう土壌診断を行うことは困難である。このため、農協から生産者に対して土壌診断の実施を積極的に推し進めることも難しい状況にある。
また、生産者としては、自身の圃場の分析結果を農協から受け取っても、その分析結果のみでは次期作に向けてどのような対応を取ればよいか判断できなかった。このため、生産者としても、積極的に土壌診断を活用する動機付けが無い状況であった。
【0005】
上述の課題を鑑み、本発明の目的は、農業における土壌診断利用の効率化及び活性化を図ることが可能な土壌診断システム、土壌診断方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係る土壌診断システムは、衛星画像に基づく土壌の分析結果を圃場ごとに示す土壌分析情報を取得する取得部と、評価対象である圃場の分析結果と、前記評価対象である圃場の比較対象として選定基準に基づき選定された圃場の分析結果とを、取得された前記土壌分析情報から抽出する抽出部と、抽出された前記評価対象の分析結果及び前記比較対象の分析結果を比較可能に出力する出力処理部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る土壌診断方法は、コンピュータが、衛星画像に基づく土壌の分析結果を圃場ごとに示す土壌分析情報を取得する取得過程と、評価対象である圃場の分析結果と、前記評価対象である圃場の比較対象として選定基準に基づき選定された圃場の分析結果とを、取得された前記土壌分析情報から抽出する抽出過程と、抽出された前記評価対象の分析結果及び前記比較対象の分析結果を比較可能に出力する出力処理過程と、を含む。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータを、衛星画像に基づく土壌の分析結果を圃場ごとに示す土壌分析情報を取得する取得手段と、評価対象である圃場の分析結果と、前記評価対象である圃場の比較対象として選定基準に基づき選定された圃場の分析結果とを、取得された前記土壌分析情報から抽出する抽出手段と、抽出された前記評価対象の分析結果及び前記比較対象の分析結果を比較可能に出力する出力処理手段と、として機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、農業における土壌診断利用の効率化及び活性化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る土壌診断システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る土壌診断サーバの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る画像形式の出力情報(分析範囲全体)の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る画像形式の出力情報(圃場単位)の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る表形式の出力情報の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る提案書形式の出力情報の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る土壌診断サーバにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0012】
<1.土壌診断システムの構成>
図1を参照して、本実施形態に係る土壌診断システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る土壌診断システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示す土壌診断システム1は、農業において土壌の土壌状態を診断するためのシステムである。土壌診断システム1は、対象者に対して営農活動のための渉外活動を行う者によって利用され、例えば、農業協同組合(以下、「農協」とも称される)によって利用される。対象者は、例えば生産者(例えば農家)や圃場の所有者など、農協が管理する圃場や作物の生産に関係のある人物であり、農協の組合員に限定されない。渉外活動では、例えば、対象者に対して資材提案などが行われる。
【0013】
図1に示すように、土壌診断システム1は、例えば、農協端末10と、印刷装置11と、土壌診断サーバ20と、衛星画像サーバ30と、圃場情報サーバ40と、土壌特性情報サーバ50と、農協管理サーバ60とを備える。
ネットワークNWには、情報の授受を行うための構成として、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、電話網(携帯電話網、固定電話網等)、地域IP(Internet Protocol)網、インターネット等が適用される。
【0014】
(1)農協端末10
農協端末10は、農協職員US1が使用する端末である。農協端末10は、例えば、スマートフォンやタブレット端末などの携帯端末、又はPC(Personal Computer)などである。
農協端末10は、ネットワークNWを介して、各種サーバと通信可能に接続されている。農協端末10は、衛星画像サーバ30と、圃場情報サーバ40と、土壌特性情報サーバ50と、農協管理サーバ60との通信において、例えば、各種情報の要求を送信し、要求に応じた各種情報を受信する。また、農協端末10は、土壌診断サーバ20との通信において、例えば、入力情報や他のサーバから受信した各種情報を送信し、出力情報を受信する。
【0015】
入力情報は、例えば、土壌診断システム1の利用に必要な情報を登録するために入力される情報、農協管理サーバ60に登録するために入力される情報、各種操作のために入力される情報などである。
出力情報は、土壌診断による分析結果を示す情報である。出力情報は、例えば、評価対象である圃場の分析結果と、当該評価対象である圃場の比較対象である圃場の分析結果とを比較可能に示す情報である。評価対象である圃場は、例えば、出力情報の提示先である生産者、即ち農協による渉外活動の相手となる生産者が有する圃場である。比較対象である圃場は、評価対象の圃場を有する生産者が有する他の圃場であってもよいし、評価対象の圃場を有する生産者とは異なる生産者が有する圃場であってもよい。
【0016】
また、農協端末10は、有線接続又は無線接続により、印刷装置11と通信可能に接続されている。農協端末10は、農協職員US1によって出力情報を出力(印刷)するための出力操作を入力された場合、出力情報の印刷指示を示す信号を印刷装置11へ送信し、印刷装置11に出力情報を印刷させる。
【0017】
農協端末10には、農協職員が土壌診断システム1を利用するためのアプリケーション(以下、「土壌診断アプリ」とも称される)によって、土壌診断のための画面が表示される。農協職員は、土壌診断アプリによって農協端末10に表示される画面を操作することで、土壌診断の実施や出力情報の出力を行うことができる。
【0018】
なお、土壌診断アプリの機能は、農協端末10に土壌診断アプリをインストールすること(即ちネイティブアプリ)で提供されてもよいし、Webシステム(即ちWebアプリ)によって提供されてもよい。Webアプリの場合、土壌診断アプリはサーバで管理されており、その機能はWebブラウザを介して提供される。
また、出力情報の出力は、各アプリの利用以外にも、メールによる要求及び受信によって可能であってもよい。
【0019】
(2)印刷装置11
印刷装置11は、出力情報を印刷する装置であり、例えばプリンタである。印刷装置11は、例えば、農協職員US1によって農協端末10に対して出力操作が入力されると、出力情報を印刷する。農協職員US1は、印刷装置11によって出力情報が印刷された資料を用いて、生産者US2に対する渉外活動を行う。
【0020】
(3)土壌診断サーバ20
土壌診断サーバ20は、土壌診断に関する処理を行うサーバであり、土壌診断装置の一例である。土壌診断サーバ20は、1つ又は複数のサーバ(例えば、クラウドサーバ)で構成される。
土壌診断サーバ20は、ネットワークNWを介して、農協端末10と通信可能に接続されている。土壌診断サーバ20は、農協端末10との通信において、例えば、入力情報を受信し、当該入力情報に応じた出力情報を送信する。
【0021】
土壌診断サーバ20は、土壌診断に関する処理において、衛星画像に基づく土壌の分析結果を、評価対象である圃場の分析結果と比較対象である圃場の分析結果とを比較可能に出力する。衛星画像に基づく土壌の分析では、土壌の状態が分析される。具体的に、土壌の状態として、当該土壌に含まれる物質の内、分析対象である物質の量が分析される。即ち、分析結果は、土壌に含まれる物質の内、分析対象である物質の量を示す情報である。 なお、以下では、衛星画像に基づく土壌の分析結果を圃場ごとに示す情報は、「土壌分析情報」とも称される。
分析対象は、例えば、無機態窒素及び腐植などの物質である。無機態窒素及び腐植は、水稲の生育に関係性が深いとされている。
【0022】
無機態窒素は、作物(例えば水稲)の収量や食味に影響を与える物質である。無機態窒素の量が多いと収量も多くなる。一方で、無機態窒素の量が多くなると、作物のタンパク質含有量が増えてしまう。食味が良い作物はタンパク質含有量が少ないといわれている。よって、農協職員は、分析結果が示す無機態窒素の量から、収量と食味のバランスを考慮して、目標となる収量と無機態窒素の量を決定し、生産者へ提案することができる。
【0023】
また、腐植は、土壌中での窒素発現量に影響する物質である。土壌の腐植含有量は、施肥によって増やすことができる。施肥される肥料は、例えば、鶏糞、牛糞、豚糞など糞尿系から作られる堆肥類や化学質の堆肥などである。よって、農協職員は、分析結果が示す腐植含有量から、圃場に施肥する肥料の種類や量などを決定し、生産者へ提案することができる。
【0024】
(4)衛星画像サーバ30
衛星画像サーバ30は、衛星画像を管理するサーバである。衛星画像サーバ30は、1つ又は複数のサーバ(例えば、クラウドサーバ)で構成される。
衛星画像サーバ30は、ネットワークNWを介して、農協端末10と通信可能に接続されている。衛星画像サーバ30は、農協端末10との通信において、例えば、衛星画像の要求を受信し、当該要求に応じた衛星画像を送信する。
【0025】
(5)圃場情報サーバ40
圃場情報サーバ40は、圃場情報を管理するサーバである。圃場情報サーバ40は、1つ又は複数のサーバ(例えば、クラウドサーバ)で構成される。
圃場情報サーバ40は、ネットワークNWを介して、農協端末10と通信可能に接続されている。圃場情報サーバ40は、農協端末10との通信において、例えば、圃場情報の要求を受信し、当該要求に応じた圃場情報を送信する。
【0026】
圃場情報は、分析された圃場の区画に関する情報である。圃場情報は、例えば、筆ポリゴンである。筆ポリゴンは、具体的に、筆ポリゴンID、耕地(圃場)の種類(田、畑など)、位置情報などを有する情報である。位置情報は、例えば、圃場の重心点における経度及び緯度を示す情報である。農協端末10では、土壌分析情報の分析結果に対して、対応する圃場情報が対応付けて管理される。
【0027】
(6)土壌特性情報サーバ50
土壌特性情報サーバ50は、土壌特性情報を管理するサーバである。土壌特性情報サーバ50は、1つ又は複数のサーバ(例えば、クラウドサーバ)で構成される。
土壌特性情報サーバ50は、ネットワークNWを介して、農協端末10と通信可能に接続されている。土壌特性情報サーバ50は、農協端末10との通信において、土壌特性情報の要求を受信し、当該要求に応じた土壌特性情報を送信する。
【0028】
土壌特性情報は、分析された圃場における土壌の特性に関する情報である。土壌特性情報は、例えば、e-土壌図において公開されている情報である。土壌特性情報は、例えば、土壌種別である。土壌種別には、例えば、グライ土、火山灰質、砂質などがある。農協端末10では、土壌分析情報の分析結果に対して、対応する土壌特性情報が対応付けて管理される。
【0029】
(7)農協管理サーバ60
農協管理サーバ60は、農協が有する情報(以下、「農協管理情報」とも称される)を管理するサーバである。農協管理サーバ60は、1つ又は複数のサーバ(例えば、クラウドサーバ)で構成される。
農協管理サーバ60は、ネットワークNWを介して、農協端末10と通信可能に接続されている。農協管理サーバ60は、農協端末10との通信において、農協管理情報の要求を受信し、当該要求に応じた農協管理情報を送信する。
【0030】
農協管理情報には、例えば、補正情報、生産者情報、及び資材情報などがある。補正情報は、衛星画像に基づく分析結果を補正するための情報である。補正情報は、例えば、現地にて採取された土壌サンプルに基づく分析結果である。生産者情報は、例えば、生産者の氏名、生産者が有する圃場、生産者又は圃場ごとの目標値(目標収量、目標窒素量、目標腐植量など)、資材の資料履歴などを示す情報である。資材情報は、農協にて取り扱っている資材(例えば肥料)を示す情報である。
【0031】
<2.土壌診断サーバ20の機能構成>
以上、本実施形態に係る土壌診断システム1の構成について説明した。続いて、
図2から
図6を参照して、本実施形態に係る土壌診断サーバ20の機能構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る土壌診断サーバの機能構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、土壌診断サーバ20は、例えば、通信部210と、記憶部220と、制御部230とを備える。
【0032】
(1)通信部210
通信部210は、各種情報を送受信する機能を有する。例えば、通信部210は、ネットワークNWを介して農協端末10と通信を行い、入力情報や他のサーバにて管理されている各種情報を受信し、出力情報を送信する。他のサーバにて管理されている各種情報は、例えば、衛星画像、圃場情報、土壌特性情報、農協管理情報(補正情報、生産者情報、資材情報)などである。
【0033】
(2)記憶部220
記憶部220は、各種情報を記憶する機能を有する。記憶部220は、土壌診断サーバ20がハードウェアとして備える記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、又はこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
【0034】
記憶部220は、記憶する情報に応じたデータベース(DB)を備える。例えば、記憶部220は、衛星画像DB、圃場情報DB、土壌特性情報DB、補正情報DB、生産者情報DB、資材情報DB、土壌分析情報DB、出力情報DBなどを備える。
衛星画像DBは、衛星画像を記憶するデータベースである。圃場情報DBは、圃場情報を記憶するデータベースである。土壌特性情報DBは、土壌特性情報を記憶するデータベースである。補正情報DBは、補正情報を記憶するデータベースである。生産者情報DBは、生産者情報を記憶するデータベースである。資材情報DBは、資材情報を記憶するデータベースである。土壌分析情報DBは、土壌分析情報を分析するデータベースである。出力情報DBは、出力情報を記憶するデータベースである。
なお、土壌分析情報DBに記憶されている分析結果には、圃場情報DBに記憶されている圃場情報と、土壌特性情報DBに記憶されている土壌特性情報のうち、分析結果に対応する圃場情報と土壌特性情報とが対応付けられている。
【0035】
(3)制御部230
制御部230は、土壌診断サーバ20の動作全般を制御する機能を有する。制御部230は、例えば、土壌診断サーバ20がハードウェアとして備えるCPU(Central Processing Unit)にプログラムを実行させることによって実現される。
図2に示すように、制御部230は、取得部231と、分析部232と、補正部233と、抽出部234と、算出部235と、生成部236と、出力処理部237とを備える。
【0036】
(3-1)取得部231
取得部231は、各種情報を取得する機能を有する。取得部231は、農協端末10から送信されて通信部210が受信した各種情報を取得し、記憶部220に記憶させる。
また、取得部231は、後述する各処理にて必要な情報を、記憶部220から取得する。例えば、取得部231は、後述する分析部232による分析処理に必要な衛星画像を衛星画像DBから取得する。
また、取得部231は、後述する補正部233による補正処理に必要な補正情報を補正情報DBから取得する。また、取得部231は、後述する抽出部234による抽出処理に必要な土壌分析情報を土壌分析情報DBから取得する。また、取得部231は、後述する生成部236による生成処理に必要な圃場情報を圃場情報DBから取得し、土壌特性情報を土壌特性情報DBから取得する。また、取得部231は、後述する出力処理部237による出力処理に必要な出力情報を出力情報DBから取得する。
【0037】
(3-2)分析部232
分析部232は、衛星画像を分析する機能を有する。例えば、分析部232は、取得部231によって取得された衛星画像に基づき、従来知られている手法により衛星画像範囲内の土壌状態を分析する。分析後、分析部232は、分析結果を補正部233へ出力する。
なお、本実施形態では、土壌状態の分析に衛星画像を用いることで、1枚の衛星画像から1つの圃場に限らず複数の圃場の土壌状態を分析することができ、1度に広範囲の分析を行うことができる。
【0038】
(3-3)補正部233
補正部233は、衛星画像に対する分析によって得らえた分析結果を補正する機能を有する。例えば、補正部233は、分析部232による分析によって得られた分析結果を、取得部231によって取得された補正情報(例えば10地点程のデータ)に基づき補正する。補正後、補正部233は、補正後の分析結果を土壌分析情報として抽出部234へ出力するとともに、記憶部220の土壌分析情報DBに記憶させる。
【0039】
(3-4)抽出部234
抽出部234は、土壌分析情報から必要な情報を抽出する機能を有する。例えば、抽出部234は、評価対象である圃場の分析結果と、評価対象である圃場の比較対象として選定基準に基づき選定された圃場の分析結果とを、取得部231によって取得された土壌分析情報から抽出する。
【0040】
選定基準は、例えば、生産者からのニーズに応じて設定される。一例として、「評価対象である圃場を含む所定の範囲内にある圃場、かつ評価対象である圃場と土壌種別が同一の圃場」であることが選定基準として設定される。所定の範囲は、例えば、評価対象である圃場を含む1km2の範囲である。この選定基準は、近隣で土壌種別が近い圃場を比較したいという生産者からのニーズに基づく設定である。
他にも、「同じ種類の作物が栽培されている圃場、かつ評価対象の圃場がある地域とは異なる地域にある圃場」、「同じ種類の作物だが品種が異なる作物が栽培されている圃場」、「評価対象である圃場に対して川向こうにある圃場」、「評価対象である圃場に対して山向こうにある圃場」などの選定基準などが設定され得る。
【0041】
(3-5)算出部235
算出部235は、各種の情報を算出する機能を有する。算出部235は、抽出部234によって抽出された比較対象の分析結果に関する統計量を算出する。統計量は、例えば、平均値、最大値、最小値、中央値、分散、標準偏差などである。
また、算出部235は、抽出部234によって抽出された評価対象の分析結果に基づき、評価対象である圃場において推奨される資材量を算出する。例えば、算出部235は、評価対象の分析結果が示す無機態窒素の量又は腐植含有量を、各目標値や比較対象の分析結果と比較し、比較結果に応じた資材量を算出する。
【0042】
(3-6)生成部236
生成部236は、出力情報を生成する機能を有する。例えば、生成部236は、抽出部234によって抽出された評価対象の分析結果及び比較対象の分析結果と、各分析結果に対応付けられた圃場情報又は土壌特性情報とに基づき、出力情報を生成する。出力情報には、例えば、画像形式の出力情報と、表形式の出力情報と、提案書形式の出力情報とがある。生成後、生成部236は、生成した出力情報を記憶部220の出力情報DBに記憶させる。
【0043】
(画像形式の出力情報)
生成部236は、抽出された各分析結果と、抽出された各分析結果に対応付けられた圃場情報とに基づき、各分析結果をヒートマップで示す分析結果画像を生成し、分析結果画像を含む画像形式の出力情報を生成する。画像形式の出力情報には、分析範囲全体のヒートマップを示すものと、圃場単位のヒートマップを示すものとがある。ヒートマップは、分析範囲全体又は圃場における分析結果の偏りを示す。
【0044】
ここで、
図3及び
図4を参照して、画像形式の出力情報について説明する。
図3は、本実施形態に係る画像形式の出力情報(分析範囲全体)の一例を示す図である。
図4は、本実施形態に係る画像形式の出力情報(圃場単位)の一例を示す図である。
【0045】
図3には、分析範囲全体のヒートマップを示す画像形式の出力情報70-1が示されている。画像形式の出力情報70-1には、無機態窒素量を示すヒートマップ71と、腐植含有量を示すヒートマップ72が示されている。ヒートマップ71では、凡例73が示すように、色が濃くなるほど無機態窒素量が多いことが分かる。同様に、ヒートマップ72では、凡例74が示すように、色が濃くなるほど腐植含有量が多いことが分かる。ヒートマップ71内の圃場75とヒートマップ72内の圃場76は、圃場単位で出力される出力情報の対象となる圃場を示している。
【0046】
図4には、圃場単位のヒートマップを示す画像形式の出力情報70-2が示されている。
図4に示す圃場75のヒートマップは、
図3に示すヒートマップ71内の圃場75の部分のヒートマップを拡大したものである。圃場75のヒートマップでは、凡例77が示すように、色が濃くなるほど無機態窒素量が多いことが分かる。また、
図4に示す圃場76のヒートマップは、
図3に示すヒートマップ72内の圃場76の部分のヒートマップを拡大したものである。圃場76のヒートマップでは、凡例78が示すように、色が濃くなるほど腐植含有量が多いことが分かる。
【0047】
(表形式の出力情報)
生成部236は、抽出部234によって抽出された各分析結果と、抽出された各分析結果に対応付けられた圃場情報及び土壌特性情報とに基づき、各分析結果を数値で示す表形式の出力情報を生成する。例えば、生成部236は、抽出された評価対象の分析結果を示す数値と、算出部235によって算出された統計量を示す数値とを対応付けて、表形式の出力情報を生成する。
【0048】
ここで、
図5を参照して、表形式の出力情報について説明する。
図5は、本実施形態に係る表形式の出力情報の一例を示す図である。
【0049】
図5に示す表形式の出力情報80には、筆ポリゴンID、面積、緯度、経度、無機態窒素量(圃場平均)、腐植含有量(圃場平均)、土壌種別、周辺圃場数、無機態窒素量(周辺平均)、腐植含有量(周辺平均)などの情報が示されている。筆ポリゴンID、面積、緯度、経度は、圃場情報から取得される情報である。無機態窒素量(圃場平均)、腐植含有量(圃場平均)は、評価対象の分析結果から取得される情報である。土壌種別は、土壌特性情報から取得される情報である。周辺圃場数は、比較対象として選定された圃場の数である。無機態窒素量(周辺平均)、腐植含有量(周辺平均)は、算出部235によって算出された統計量である。
【0050】
(提案書形式の出力情報)
生成部236は、抽出部234によって抽出された各分析結果と、抽出された各分析結果に対応付けられた圃場情報及び土壌特性情報とに基づき、提案書形式の出力情報を生成する。提案書形式の出力情報は、評価対象である圃場に対する施肥に関して対象者への提案内容を示す提案情報を含む情報である。提案情報は、例えば、算出部235によって算出された資材量を示す推奨資材量情報である。
なお、提案書形式の出力情報には、画像形式の出力情報や表形式の出力情報が含まれてもよい。
【0051】
ここで、
図6を参照して、提案書形式の出力情報について説明する。
図6は、本実施形態に係る提案書形式の出力情報の一例を示す図である。
【0052】
図6に示す提案書形式の出力情報90には、農協職員がある生産者(** **様)に対して次年度作(次期作)に向けた資材を提案するための情報が示されている。
領域91には、圃場の情報が示されている。具体的な情報として、領域91には、評価対象である圃場の周辺を示す衛星画像と、評価対象である圃場の画像形式の出力情報、表形式の出力情報の一部(無機態窒素量と腐植含有量の圃場内平均)が示されている。
領域92には、営農活動の情報が示されている。具体的に、領域92には、目標収量と目標窒素量が示されている。
領域93には、施肥提案の内容が示されている。具体的に、領域93には、推奨される肥料に関する情報(製品名、容量、投入数、NPK(窒素、リン酸、カリウム)の量など)、比較対象である圃場における無機態窒素量の平均値、比較対象である圃場の分析結果と比較した場合の評価対象である圃場の分析結果に対する評価、分析結果に基づき推奨される資材の投入量などが示されている。
【0053】
(3-7)出力処理部237
出力処理部237は、各種情報を出力する機能を有する。例えば、出力処理部237は、生成部236によって生成された出力情報を出力する。例えば、出力処理部237は、通信部210を介して、農協端末10へ出力情報を出力(送信)し、農協端末10に出力情報を表示させる。
これにより、出力処理部237は、抽出部234によって抽出された評価対象の分析結果及び比較対象の分析結果を比較可能に出力する。
【0054】
<3.処理の流れ>
以上、本実施形態に係る土壌診断サーバ20の機能構成について説明した。続いて、
図7を参照して、本実施形態に係る土壌診断サーバ20における処理の流れについて説明する。
図7は、本実施形態に係る土壌診断サーバ20における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0055】
図7に示すように、まず、土壌診断サーバ20の取得部231は、衛星画像を取得して、記憶部220の衛星画像DBに記憶させる(ステップS101)。この時、取得部231は、通信部210を介して、農協端末10から衛星画像を取得する。
【0056】
次いで、取得部231は、圃場情報を取得して、記憶部220の圃場情報DBに記憶させる(ステップS102)。この時、取得部231は、通信部210を介して、農協端末10から圃場情報を取得する。
【0057】
次いで、取得部231は、土壌特性情報を取得して、記憶部220の土壌特性情報DBに記憶させる(ステップS103)。この時、取得部231は、通信部210を介して、農協端末10から土壌特性情報を取得する。
【0058】
次いで、取得部231は、補正情報を取得して、記憶部220の補正情報DBに記憶させる(ステップS104)。この時、取得部231は、通信部210を介して、農協端末10から補正情報を取得する。
【0059】
次いで、取得部231は、生産者情報を取得して、記憶部220の生産者情報DBに記憶させる(ステップS105)。この時、取得部231は、通信部210を介して、農協端末10から生産者情報を取得する。
【0060】
次いで、取得部231は、資材情報を取得して、記憶部220の資材情報DBに記憶させる(ステップS106)。この時、取得部231は、通信部210を介して、農協端末10から資材情報を取得する。
【0061】
次いで、土壌診断サーバ20の分析部232は、分析処理を行う(ステップS107)。例えば、分析部232は、取得部231によって取得され記憶部220の衛星画像DBに記憶された衛星画像に基づき、衛星画像内の土壌を分析する。
【0062】
分析後、土壌診断サーバ20の補正部233は、補正処理を行う(ステップS108)。例えば、補正部233は、分析部232による分析で得られた分析結果を、取得部231によって取得され記憶部220の補正情報DBに記憶された補正情報を用いて補正する。この時、補正部233は、補正する分析結果に対応する圃場の補正情報を記憶部220の補正情報DBから取得する。
【0063】
補正後、補正部233は補正後の分析結果を示す土壌分析情報を記憶部220の土壌分析情報DBに記憶させ、取得部231は当該土壌分析情報を取得する(ステップS109)。この時、補正部233は、補正によって得られた分析結果を、記憶部220の圃場情報DBに記憶されている圃場情報と、記憶部220の土壌特性情報DBに記憶されている土壌特性情報と対応付け、土壌分析情報として記憶部220の土壌分析情報DBに記憶させる。
【0064】
次いで、土壌診断サーバ20の抽出部234は、抽出処理を行う(ステップS110)。例えば、抽出部234は、評価対象である圃場の分析結果と、評価対象である圃場の比較対象として選定基準に基づき選定された圃場の分析結果とを、取得部231によって取得された土壌分析情報から抽出する。
【0065】
次いで、土壌診断サーバ20の算出部235は、算出処理を行う(ステップS111)。例えば、算出部235は、抽出部234によって抽出された比較対象の分析結果に関する統計量や評価対象である圃場において推奨される資材量などを算出する。
【0066】
次いで、土壌診断サーバ20の生成部236は、生成処理を行う(ステップS112)。例えば、生成部236は、抽出部234によって抽出された評価対象の分析結果及び比較対象の分析結果と、各分析結果に対応付けられた圃場情報又は土壌特性情報とに基づき、出力情報を生成する。この時、生成部236は、画像形式の出力情報、表形式の出力情報、又は提案書形式の出力情報のうち、全ての種類の出力情報を生成してもよいし、指定された種類の出力情報のみを生成してもよい。
生成後、生成部236は、生成した出力情報を記憶部220の出力情報DBに記憶させる。
【0067】
次いで、土壌診断サーバ20の出力処理部237は、出力処理を行う(ステップS113)。例えば、出力処理部237は、生成部236によって生成された出力情報を、通信部210から農協端末10へ送信し、農協端末10に出力情報を表示させる。
出力処理後、土壌診断サーバ20は、処理を終了する。
【0068】
以上説明したように、本実施形態に係る土壌診断システム1は、衛星画像に基づく土壌の分析結果を圃場ごとに示す土壌分析情報を取得する取得部231と、評価対象である圃場の分析結果と、評価対象である圃場の比較対象として選定基準に基づき選定された圃場の分析結果とを、取得された土壌分析情報から抽出する抽出部234と、抽出された評価対象の分析結果及び比較対象の分析結果を比較可能に出力する出力処理部237と、を備える。
【0069】
かかる構成により、農協は、土壌診断システム1によって衛星画像に基づき土壌診断が行われるため、土壌サンプルの採取や分析に人員と時間を割く必要がなくなり、広範囲の土壌診断を低負荷で実施することができる。また、農協は、土壌診断システム1によって土壌診断にかかる時間が大幅に削減されるため、生産者に対して、次期作に間に合うように資材提案できるよう対応することができる。これにより、農協は、生産者に対して土壌診断の実施を積極的に推し進めることができる。
また、農協は、生産者に対して、生産者が有する圃場の分析結果だけでなく、他の圃場の分析結果も比較可能に提供することができる。生産者は、自身が有する圃場の分析結果と他の圃場の分析結果とを比較し、自身の圃場が周囲の圃場と比べてどのような状態であるかを相対的に判断することができ、これを判断材料として次期作に向けてどのような対応を取ればよいかを判断することができる。この判断材料が得られることを動機付けとして、生産者が積極的に土壌診断を活用することが期待できる。
よって、本実施形態に係る土壌診断システム1は、農業における土壌診断利用の効率化及び活性化を図ることを可能とする。
【0070】
なお、上述した土壌診断システム1では、土壌診断における分析対象となる情報を取得するための機器(センサ装置やドローンなど)を用意する必要がなく、これらを用いた場合にかかる作業や手間を省くことができる。さらに、衛星画像を用いることで広範囲の分析を容易に行うことができる。これにより、対象地域内のすべての圃場を同時期に分析し、横並びで土壌状況を把握することも可能となる。
よって、農協では、土壌診断のための費用と人員を削減することができ、安価に広範囲の土壌診断を実現することができる。
【0071】
また、上述した土壌診断システム1では、衛星画像に基づく分析結果を用いた土壌診断により、従来のように土壌サンプルの採取による土壌診断の場合と比較して農協職員にかかる負担を低減することができる。これにより、農協職員は、生産者に対する営農指導活動など、土壌診断以外の活動に注力することもできる。
【0072】
また、上述した土壌診断システム1では、従来のように土壌サンプルの採取による分析も併用することで、より精度高い土壌診断を行うこともできる。例えば、収量や品質が良い圃場に対しては衛星画像に基づく分析のみを用い、収量や品質が悪い圃場に対しては土壌サンプルの採取による分析も併用することで、地域全体の土づくり活動の普及を推進することができる。
【0073】
また、上述した土壌診断システム1では、農協職員は、出力情報を画像形式、表形式、又は提案書形式の3種類の形式で出力することができる。これにより、農協職員は、生産者に合わせて情報提供しやすい形式で出力した情報を用いて、生産者に対する渉外活動をより効率的に行うことができる。
【0074】
また、農協では、土壌診断システム1による渉外活動の効率化による資材取扱高の向上や、営農指導活動の活性化に伴う土づくり向上による生産物取扱高向上が見込まれる。また、土壌診断システム1による出力情報を用いた渉外活動の強化に伴う生産者(組合員)の満足度向上や、それに伴う農協利用率の向上が見込まれる。
【0075】
<4.変形例>
以上、実施形態について説明した。続いて、上述した実施形態の変形例について説明する。なお、以下に説明する各変形例は、単独で実施形態に適用されてもよいし、組み合わせで実施形態に適用されてもよい。また、各変形例は、実施形態で説明した構成に代えて適用されてもよいし、実施形態で説明した構成に対して追加的に適用されてもよい。
【0076】
上述した実施形態では、取得部231による各種情報の取得先が農協端末10である例(例えば
図7のステップS101からステップS106)について説明したが、かかる例に限定されない。取得部231は、各種情報を有する各種サーバへ直接アクセスし、各種情報を取得してもよい。この場合、土壌診断サーバ20は、ネットワークNWを介して、衛星画像サーバ30、圃場情報サーバ40、土壌特性情報サーバ50、及び農協管理サーバ60と通信可能に接続される。
例えば、ステップS101において、取得部231は、ネットワークNWを介して、衛星画像サーバ30から衛星画像を取得し、記憶部220の衛星画像DBに記憶させてもよい。また、ステップS102において、取得部231は、ネットワークNWを介して、圃場情報サーバ40から圃場情報を取得し、記憶部220の圃場情報DBに記憶させてもよい。また、ステップS103において、取得部231は、ネットワークNWを介して、土壌特性情報サーバ50から土壌特性情報を取得し、記憶部220の土壌特性情報DBに記憶させてもよい。また、ステップS104において、取得部231は、ネットワークNWを介して、農協管理サーバ60から補正情報を取得し、記憶部220の補正情報DBに記憶させてもよい。また、ステップS105において、取得部231は、ネットワークNWを介して、農協管理サーバ60から生産者情報を取得し、記憶部220の生産者情報DBに記憶させてもよい。また、ステップS106において、取得部231は、ネットワークNWを介して、農協管理サーバ60から資材情報を取得し、記憶部220の資材情報DBに記憶させてもよい。
【0077】
以上、本実施形態について説明した。なお、上述した実施形態における土壌診断システム1及び土壌診断サーバ20の一部又は全部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0078】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1…土壌診断システム、10…農協端末、11…印刷装置、20…土壌診断サーバ、30…衛星画像サーバ、40…圃場情報サーバ、50…土壌特性情報サーバ、60…農協管理サーバ、210…通信部、220…記憶部、230…制御部、231…取得部、232…分析部、233…補正部、234…抽出部、235…算出部、236…生成部、237…出力処理部、NW…ネットワーク