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特開2024-144812無線端末装置、無線通信システム及び無線通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144812
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】無線端末装置、無線通信システム及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/28 20090101AFI20241004BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20241004BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20241004BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20241004BHJP
   H04W 72/0453 20230101ALI20241004BHJP
【FI】
H04W16/28
H04W16/26
H04B7/06 952
H04L27/26 300
H04W72/0453
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056941
(22)【出願日】2023-03-31
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/Beyond 5Gに向けたテラヘルツ帯を活用した端末拡張型無線通信システム実現のための研究開発 研究開発項目 3 端末拡張型無線通信システム構築・制御技術 副題:Beyond 5Gに向けたテラヘルツ帯を活用するユーザセントリックアーキテクチャ実現に関する研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】國澤 良雄
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067EE02
5K067EE08
5K067EE10
5K067EE61
5K067KK02
(57)【要約】
【課題】周波数チャネル間の干渉の抑制効果の向上を図る。
【解決手段】複数の無線中継装置を介して基地局との間で信号を送受する無線端末装置において、変復調部と、アンテナと、複数の無線中継装置それぞれに向けるアンテナビームを制御するビーム制御部と、複数の無線中継装置それぞれに向けられたアンテナビーム同士のビーム方向差に基づいて、複数の無線中継装置それぞれに使用する周波数チャネルを割当てる周波数割当部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線中継装置を介して基地局との間で信号を送受する無線端末装置において、
前記複数の無線中継装置それぞれに向けるアンテナビームを制御するビーム制御部と、
前記複数の無線中継装置それぞれに向けられたアンテナビーム同士のビーム方向差に基づいて、前記複数の無線中継装置それぞれに使用する周波数チャネルを割当てる周波数割当部と、
を備える無線端末装置。
【請求項2】
前記周波数割当部は、前記複数の無線中継装置における無線中継装置の組合せのうちビーム方向差が小さい無線中継装置の組合せほど、周波数が離れた周波数チャネルを割当てる、
請求項1に記載の無線端末装置。
【請求項3】
前記周波数割当部は、ビーム方向差に対応するアンテナ利得を取得し、前記複数の無線中継装置における無線中継装置の組合せのうちアンテナ利得が大きい無線中継装置の組合せほど、周波数が離れた周波数チャネルを割当てる、
請求項1に記載の無線端末装置。
【請求項4】
前記周波数割当部は、
ビーム方向差に対応するアンテナ利得を取得し、
アンテナ利得と、前記無線端末装置の受信信号に使用されるバンドパスフィルターの周波数チャネル間のフィルター減衰量とに基づいて、周波数チャネル間の干渉の抑制効果が大きくなるように、前記複数の無線中継装置それぞれに使用する周波数チャネルを割当てる、
請求項1に記載の無線端末装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の無線端末装置と、
複数の無線中継装置と、を備え、
前記無線端末装置が前記複数の無線中継装置それぞれに割当てた周波数チャネルを使用して前記無線端末装置と前記複数の無線中継装置それぞれとが無線通信を行う、
無線通信システム。
【請求項6】
無線端末装置が複数の無線中継装置を介して基地局との間で信号を送受する無線通信方法であって、
前記無線端末装置が、前記複数の無線中継装置それぞれに向けるアンテナビームを制御するビーム制御ステップと、
前記無線端末装置が、前記複数の無線中継装置それぞれに向けられたアンテナビーム同士のビーム方向差に基づいて、前記複数の無線中継装置それぞれに使用する周波数チャネルを割当てる周波数割当ステップと、
を含む無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線端末装置、無線通信システム及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信の受信機は、ダウンコンバージョンで生じる主波以外の周波数チャネルの信号のイメージ(折り返し信号)や、帯域外信号が主波に重畳されて干渉信号にならないように、高周波(RF:Radio Frequency、無線周波数)の帯域通過フィルタ(BPF:Band-Pass Filter、バンドパスフィルター)を用いて所望帯域外からの干渉妨害波の抑制を行い、受信機のスプリアス応答や非線形ひずみを回避している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-277480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の受信機では、使用周波数帯で急峻な遮断特性を持つBPFによって主波以外の周波数チャネルの信号を減衰させているが、近年のより高い周波数帯で複数の周波数チャネルを使用する無線通信システムにおいては、BPFのみでは主波以外の周波数チャネルの信号を十分に減衰することが難しかった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、周波数チャネル間の干渉の抑制効果の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、複数の無線中継装置を介して基地局との間で信号を送受する無線端末装置において、前記複数の無線中継装置それぞれに向けるアンテナビームを制御するビーム制御部と、前記複数の無線中継装置それぞれに向けられたアンテナビーム同士のビーム方向差に基づいて、前記複数の無線中継装置それぞれに使用する周波数チャネルを割当てる周波数割当部と、を備える無線端末装置である。
本発明の一態様は、上記の無線端末装置において、前記周波数割当部は、前記複数の無線中継装置における無線中継装置の組合せのうちビーム方向差が小さい無線中継装置の組合せほど、周波数が離れた周波数チャネルを割当てる、無線端末装置である。
本発明の一態様は、上記の無線端末装置において、前記周波数割当部は、ビーム方向差に対応するアンテナ利得を取得し、前記複数の無線中継装置における無線中継装置の組合せのうちアンテナ利得が大きい無線中継装置の組合せほど、周波数が離れた周波数チャネルを割当てる、無線端末装置である。
本発明の一態様は、上記の無線端末装置において、前記周波数割当部は、ビーム方向差に対応するアンテナ利得を取得し、アンテナ利得と、前記無線端末装置の受信信号に使用されるバンドパスフィルターの周波数チャネル間のフィルター減衰量とに基づいて、周波数チャネル間の干渉の抑制効果が大きくなるように、前記複数の無線中継装置それぞれに使用する周波数チャネルを割当てる、無線端末装置である。
【0007】
本発明の一態様は、上記のいずれかの無線端末装置と、複数の無線中継装置と、を備え、前記無線端末装置が前記複数の無線中継装置それぞれに割当てた周波数チャネルを使用して前記無線端末装置と前記複数の無線中継装置それぞれとが無線通信を行う、無線通信システムである。
【0008】
本発明の一態様は、無線端末装置が複数の無線中継装置を介して基地局との間で信号を送受する無線通信方法であって、前記無線端末装置が、前記複数の無線中継装置それぞれに向けるアンテナビームを制御するビーム制御ステップと、前記無線端末装置が、前記複数の無線中継装置それぞれに向けられたアンテナビーム同士のビーム方向差に基づいて、前記複数の無線中継装置それぞれに使用する周波数チャネルを割当てる周波数割当ステップと、を含む無線通信方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、周波数チャネル間の干渉の抑制効果の向上を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る無線通信システムの構成例を示すブロック図である。
図2】一実施形態に係る指向方向情報の一例を説明するための図である。
図3】一実施形態に係る周波数チャネル割当方法の例1の手順の一例を示すフローチャートである。
図4】一実施形態に係る周波数チャネル割当方法を説明するための図である。
図5】一実施形態に係る周波数チャネル割当方法を説明するための図である。
図6】一実施形態に係る周波数チャネル割当方法を説明するための図である。
図7】一実施形態に係る周波数チャネル割当方法の例2の手順の一例を示すフローチャートである。
図8】一実施形態に係る周波数チャネル割当方法を説明するための図である。
図9】一実施形態に係る周波数チャネル割当方法を説明するための図である。
図10】一実施形態に係る周波数チャネル割当方法を説明するための図である。
図11】一実施形態に係る周波数チャネル割当方法の例3の手順の一例を示すフローチャートである。
図12】一実施形態に係る周波数チャネル割当方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る無線通信システムの構成例を示すブロック図である。図1に示される無線通信システム1は、無線中継装置(中継器)200を境に、基地局側で使用される無線周波数と、端末側で使用される無線周波数とが異なる。図1の例では、基地局側で使用される無線周波数はミリ波帯である。一方、端末側で使用される無線周波数はミリ波帯よりも高い周波数(高周波数帯)である。高周波数帯は、例えばテラヘルツ帯である。
【0012】
無線通信システム1において、無線端末装置(端末)UEは、複数の中継器200を介して基地局BSとの間で信号を送受する。図1の例では、端末UEは、4台の中継器(#1,#2,#3,#4)200を介して基地局BSとの間で信号を送受する。なお、中継器200の台数は4台に限定されない。
【0013】
また、端末UEは、同時に複数の中継器200を介して基地局BSとの間で信号を送受してもよいし、複数の中継器200それぞれで異なる時間において中継器200を介して基地局BSとの間で信号を送受してもよい。
【0014】
基地局BSは、端末UEとの間で送受する信号を伝送する電磁波(搬送波)を送受するアンテナ(基地局アンテナ)を含む。図1の例では、搬送波はミリ波である。中継器200は、自己のアンテナビームを基地局アンテナの方向に向けて、搬送波を送受する。
【0015】
なお、図1の例では、基地局BSは1台のみを図示しているが、空間多重によるMIMOを適用する場合は、複数の基地局BSが存在し、端末UEは複数の中継器200を介して複数の基地局BSとの間で信号を送受する。例えばミリ波帯が使用周波数帯である場合、空間多重によるMIMO方式を適用することができる。
【0016】
また、図1の例では、基地局BSが図示されるが、基地局BSの代わりに、基地局BSとは別個に設けられる基地局アンテナを備えるアンテナサイトであってもよい。この場合、中継器200は、自己のアンテナビームをアンテナサイトの方向に向けて、搬送波を送受する。
【0017】
また、無線通信システム1の複信方式は、TDD(Time Division Duplex、時分割複信)方式でもよいし、FDD(Frequency Division Duplex、周波数分割複信)方式でもよい。
【0018】
図1において、端末UEは、変復調部101と、RF部102,103,104,105と、ビーム制御部106,107,108,109と、周波数割当部110と、アンテナ111,112,113,114とを備える。中継器200は、端末側アンテナ201と、周波数変換型無線中継部202と、基地局側アンテナ203とを備える。
【0019】
端末UEにおいて、変復調部101は、各中継器(#1,#2,#3,#4)200を介して基地局BSと通信するために、端末UEから基地局BSへ向う上り方向の信号(上り信号)として送信する変調信号を、各中継器(#1,#2,#3,#4)200に対応するRF部102,103,104,105へ出力する。また、変復調部101は、基地局BSから端末UEへ向う下り方向の信号(下り信号)に関して、各中継器(#1,#2,#3,#4)200を介して基地局BSから受信する下り信号を、各中継器(#1,#2,#3,#4)200に対応するRF部102,103,104,105から入力する。
【0020】
RF部102,103,104,105は、変復調部101から入力されたベースバンド信号と、端末UEと各中継器(#1,#2,#3,#4)200との間の無線伝送で使用する高周波数帯の高周波信号との、アップコンバート及びダウンコンバートを行う。また、複信方式としてTDD方式を用いる場合は、RF部102,103,104,105において、上り信号の送信回路と下り信号の受信回路の切換えを行う。
【0021】
ビーム制御部106,107,108,109は、4台の中継器(#1,#2,#3,#4)200それぞれに向けるアンテナビームを制御する。ビーム制御部106,107,108,109は、それぞれ対応する中継器(#1,#2,#3,#4)200との間で1対1の高周波数帯での無線伝送を行うために、それぞれのアンテナ111,112,113,114のアンテナビームBM1,BM2,BM3,BM4をそれぞれ対応する中継器(#1,#2,#3,#4)200の方向に向ける。
【0022】
周波数割当部110は、4台の中継器(#1,#2,#3,#4)200それぞれに向けられたアンテナビーム同士のビーム方向差に基づいて、4台の中継器(#1,#2,#3,#4)200それぞれに使用する周波数チャネルを割当てる。周波数割当部110は、ビーム制御部106,107,108,109から、アンテナ111,112,113,114のアンテナビームBM1,BM2,BM3,BM4の指向方向情報「φ1,θ1」,「φ2,θ2」,「φ3,θ3」,「φ4,θ4」を取得する。
【0023】
図2は、本実施形態に係る指向方向情報の一例を説明するための図である。指向方向情報「φ1,θ1」,「φ2,θ2」,「φ3,θ3」,「φ4,θ4」は、一例として図2に示されるように、φはアンテナ111,112,113,114の正面方向を0°として水平方向に反時計回りの角度で表し、θはアンテナ111,112,113,114の真上方向を0°として垂直方向の角度で表してもよい。また、アンテナの正面方向及び真上方向は、全てのアンテナ111,112,113,114で同じでもよいし、各アンテナ111,112,113,114で異なってもよい。
【0024】
以降の説明では、指向方向情報「φ1,θ1」,「φ2,θ2」,「φ3,θ3」,「φ4,θ4」は、図2に示される例を用い、また、アンテナの正面方向及び真上方向が全てのアンテナ111,112,113,114で同じである。なお、アンテナの正面方向及び真上方向が各アンテナ111,112,113,114で異なっている場合、指向方向情報「φ1,θ1」,「φ2,θ2」,「φ3,θ3」,「φ4,θ4」は、アンテナ111,112,113,114のいずれかの正面方向及び真上方向を基準にして変換したφ,θを用いればよい。
【0025】
周波数割当部110は、端末UEと各中継器(#1,#2,#3,#4)200との間で使用する高周波数帯の周波数チャネルを決定する。周波数割当部110は、決定した周波数チャネルに基づいて、RF部102,103,104,105に対して、ベースバンド信号との間でアップコンバート及びダウンコンバートする周波数を設定する。
【0026】
端末UEは、周波数割当部110が決定した周波数チャネルを各中継器(#1,#2,#3,#4)200へ通知する。各中継器(#1,#2,#3,#4)200において、周波数変換型無線中継部202は、端末UEから通知された周波数チャネルを、高周波数帯で使用する周波数チャネルに設定する。
【0027】
周波数チャネルは、端末UEから各中継器(#1,#2,#3,#4)200へ通知されればよく、その通知方法は限定されない。例えば、無線通信システム1において上り信号の無線伝送チャネルの帯域のガードバンドを利用して、周波数チャネルを示す周波数チャネル情報を端末UEから各中継器(#1,#2,#3,#4)200へ無線伝送してもよい。例えば、端末UEと各中継器(#1,#2,#3,#4)200の間の近距離無線通信により、周波数チャネル情報を端末UEから各中継器(#1,#2,#3,#4)200へ無線伝送してもよい。近距離無線通信方式として、例えば「Bluetooth(登録商標)」や「Wi-Fi(登録商標)」等を用いてもよい。
【0028】
中継器(#1,#2,#3,#4)200において、周波数変換型無線中継部202は、端末側アンテナ201により受信した高周波数帯の上り信号をミリ波帯の使用周波数へ変換し、基地局側アンテナ203から基地局BSへ送信する。また、周波数変換型無線中継部202は、基地局側アンテナ203により受信したミリ波帯の下り信号を高周波数帯の設定された周波数チャネルへ変換し、端末側アンテナ201から端末UEへ送信する。
【0029】
次に本実施形態に係る周波数チャネル割当方法を例を挙げて説明する。
【0030】
端末UEの周波数割当部110は、端末UEと各中継器(#1,#2,#3,#4)200との間で使用する周波数チャネルの割当てを行う。
【0031】
なお、以降の説明では、説明の便宜上、アンテナ111,112,113,114のアンテナビームBM1,BM2,BM3,BM4のビーム方向を2次元として説明するが、ビーム方向をφ,θによる3次元とした場合でも各ビーム方向間の相対的な方向差を用いることにより、同様に適用することができる。また、4台の中継器(#1,#2,#3,#4)200それぞれを、中継器#1,中継器#2,中継器#3,中継器#4と称する場合がある。
【0032】
(周波数チャネル割当方法の例1)
図3図6を参照して本実施形態に係る周波数チャネル割当方法の例1を説明する。図3は、本実施形態に係る周波数チャネル割当方法の例1の手順の一例を示すフローチャートである。
【0033】
周波数チャネル割当方法の例1では、周波数割当部110は、4台の中継器(#1,#2,#3,#4)200における中継器200の組合せのうちビーム方向差が小さい中継器200の組合せほど、周波数が離れた周波数チャネルを割当てる。
【0034】
(ステップS101) 端末UEにおいて、周波数割当部110は、ビーム制御部106,107,108,109から、各中継器(#1,#2,#3,#4)200へのアンテナビームBM1,BM2,BM3,BM4のビーム方向「φn、n=1,2,3,4」を取得する。ここでは、説明上の一例として、図4に示されるように、中継器#1に関するビーム方向φ1は「0°」、中継器#2に関するビーム方向φ2は「-30°」、中継器#3に関するビーム方向φ3は「-50°」、中継器#4に関するビーム方向φ4は「60°」、である。
【0035】
(ステップS102) 周波数割当部110は、4台の中継器(#1,#2,#3,#4)200の組合せ毎に、中継器200間のビーム方向差を求める。ここでは、説明上の一例として、図4に示されるように、中継器#1と中継器#2間のビーム方向差「Δφ1,2=φ1-φ2=30°」、中継器#2と中継器#3間のビーム方向差「Δφ2,3=φ2-φ3=20°」、中継器#1と中継器#3間のビーム方向差「Δφ1,3=φ1-φ2=50°」、中継器#4と中継器#1間のビーム方向差「Δφ4,1=φ4-φ1=60°」、・・・である。図5に、各中継器200間のビーム方向差が示される。
【0036】
(ステップS103) 周波数割当部110は、ビーム方向差が小さい順にソートする。ここでは、説明上の一例として、ソート結果は、Δφ2,3「20°」、Δφ1,2「30°」、Δφ1,3「50°」、Δφ4,1「60°」、・・・である。周波数割当部110は、ソート結果の順に、周波数が離れた周波数チャネルを割当てていく。これにより、ビーム方向差が小さい中継器200の組合せほど、周波数が離れた周波数チャネルが割当てられる。
【0037】
ここでは、説明上の一例として、無線通信システム1の高周波数帯の周波数チャネルは、図6に示される4個の周波数チャネル「#Fa」、「#Fb」、「#Fc」、「#Fd」である。周波数割当部110は、ビーム方向差が最小である「(1)中継器#2,中継器#3」に対して周波数軸上の両端の周波数チャネル「#Fa」,「#Fd」を、ここでの一例として、中継器#2に周波数チャネル「#Fa」を割当て、中継器#3に周波数チャネル「#Fd」を割当てる。次いで、周波数割当部110は、次にビーム方向差が小さい「(2)中継器#1,中継器#2」のうち周波数チャネルが未割当の中継器#1に対して、未割当の周波数チャネル「#Fb」、「#Fc」のうち中継器#2の周波数チャネル「#Fa」から周波数軸上の最も離れた周波数チャネル「#Fc」を割当てる。次いで、周波数割当部110は、次にビーム方向差が小さい「(3)中継器#1,中継器#3」が共に周波数チャネルを割当済みなので、割当て処理をスキップする。次いで、周波数割当部110は、次にビーム方向差が小さい「(4)中継器#1,中継器#4」のうち周波数チャネルが未割当の中継器#4に対して、残りの周波数チャネル「#Fb」を割当てる。
【0038】
(周波数チャネル割当方法の例2)
図7図10を参照して本実施形態に係る周波数チャネル割当方法の例2を説明する。図7は、本実施形態に係る周波数チャネル割当方法の例2の手順の一例を示すフローチャートである。
【0039】
周波数チャネル割当方法の例2では、周波数割当部110は、ビーム方向差に対応するアンテナ利得を取得し、4台の中継器(#1,#2,#3,#4)200における中継器200の組合せのうちアンテナ利得が大きい中継器200の組合せほど、周波数が離れた周波数チャネルを割当てる。
【0040】
図7の手順のうちステップS201,S202は、上述した図3のステップS101,S102と同じである。ここでは、説明上の一例として、ステップS201,S202によって、図5に示される各中継器200間のビーム方向差が求められる。
【0041】
(ステップS203) 周波数割当部110は、アンテナ指向特性のビーム中心方向からビーム方向差だけずれた方向のアンテナ利得を取得する。ここでは、説明上の一例として、図8にアンテナ指向特性が示される。また、図8のアンテナ指向特性に対応するアンテナ利得データの例(抜粋)が図10に示される。端末UEは、図10に例示されるアンテナ利得データを、予め保持する。周波数割当部110は、例えば「(1)中継器#2,中継器#3」のビーム方向差「20°」に対応するアンテナ利得「-0.87[dB]」を、図10のアンテナ利得データから取得する。同様にして取得された各アンテナ利得の結果が図9に示される。
なお、アンテナ利得データは、図10に例示されるようにアンテナ利得の一覧表でもよいし、アンテナ利得を導出する関数であってもよい。
【0042】
(ステップS204) 周波数割当部110は、アンテナ利得が大きい順にソートする。ここでは、説明上の一例として、ソート結果は、「(1)中継器#2,中継器#3:-0.87[dB]」、「(2)中継器#1,中継器#2:-5[dB]」、「(3)中継器#1,中継器#3:-12[dB]」、「(4)中継器#1,中継器#4-15[dB]」、・・・である。周波数割当部110は、ソート結果の順に、周波数が離れた周波数チャネルを割当てていく。これにより、アンテナ利得が大きい中継器200の組合せほど、周波数が離れた周波数チャネルが割当てられる。
【0043】
ここでは、説明上の一例として、無線通信システム1の高周波数帯の周波数チャネルは、図6に示される4個の周波数チャネル「#Fa」、「#Fb」、「#Fc」、「#Fd」である。周波数割当部110は、アンテナ利得が最大である「(1)中継器#2,中継器#3」に対して周波数軸上の両端の周波数チャネル「#Fa」,「#Fd」を、ここでの一例として、中継器#2に周波数チャネル「#Fa」を割当て、中継器#3に周波数チャネル「#Fd」を割当てる。次いで、周波数割当部110は、次にアンテナ利得が大きい「(2)中継器#1,中継器#2」のうち周波数チャネルが未割当の中継器#1に対して、未割当の周波数チャネル「#Fb」、「#Fc」のうち中継器#2の周波数チャネル「#Fa」から周波数軸上の最も離れた周波数チャネル「#Fc」を割当てる。次いで、周波数割当部110は、次にアンテナ利得が大きい「(3)中継器#1,中継器#3」が共に周波数チャネルを割当済みなので、割当て処理をスキップする。次いで、周波数割当部110は、次にアンテナ利得が大きい「(4)中継器#1,中継器#4」のうち周波数チャネルが未割当の中継器#4に対して、残りの周波数チャネル「#Fb」を割当てる。
【0044】
(周波数チャネル割当方法の例3)
図11図12を参照して本実施形態に係る周波数チャネル割当方法の例3を説明する。図11は、本実施形態に係る周波数チャネル割当方法の例3の手順の一例を示すフローチャートである。
【0045】
周波数チャネル割当方法の例3では、周波数割当部110は、ビーム方向差に対応するアンテナ利得を取得し、アンテナ利得と、端末UEの受信信号に使用されるバンドパスフィルターの周波数チャネル間のフィルター減衰量とに基づいて、周波数チャネル間の干渉の抑制効果が大きくなるように、4台の中継器(#1,#2,#3,#4)200それぞれに使用する周波数チャネルを割当てる。端末UEの受信信号に使用されるバンドパスフィルターの周波数チャネル間のフィルター減衰量のデータ(フィルター減衰量データ)は、予め、端末UEに保持される。
【0046】
図11の手順のうち、ステップS301,S302は上述した図3のステップS101,S102と同じであり、ステップS303は上述した図7のステップS203と同じである。ここでは、説明上の一例として、ステップS301,S302,S303によって、図9に示される各アンテナ利得が求められる。
【0047】
(ステップS304) 周波数割当部110は、4台の中継器(#1,#2,#3,#4)200に対する周波数チャネル割当ての全ての組合せから、アンテナ利得とフィルター減衰量の合計が最小になる組合せを求める。但し、ここでは、アンテナ利得は、高利得ほど大きい値であり、低利得ほど小さい値である。また、フィルター減衰量は、高減衰ほど小さい値であり、低減衰ほど大きい値である。
【0048】
ここでは、説明上の一例として、無線通信システム1の高周波数帯の周波数チャネルは、図6に示される4個の周波数チャネル「#Fa」、「#Fb」、「#Fc」、「#Fd」である。
【0049】
具体的には、周波数割当部110は、次の(1)式の値を最小にする「freq(i) {i=1,2,3,4}」を求める。freq(i)は、周波数チャネル「#Fa」、「#Fb」、「#Fc」、「#Fd」のうち中継器#iに割当てる周波数チャネルである。
Σ( Gant(i,j)+Gfilt(freq(i)-freq(j))) {i=1,2,3,4, j=1,2,3,4, i≠j} (1)
【0050】
(1)式において、i,jは中継器番号(中継器#nにおけるn、n=1,2,3,4)である。Gant(i, j)は、中継器#iと中継器#jに関するアンテナ利得である。Gfilt(freq(i)-freq(j))は、中継器#iに割当てる周波数チャネルと中継器#jに割当てる周波数チャネルとの間のフィルター減衰量である。図12に、フィルター減衰量データの例が示される。フィルター減衰量データは、予め、端末UEに保持される。なお、フィルター減衰量データは、図12に例示されるようにフィルター減衰量の一覧表でもよいし、フィルター減衰量を導出する関数であってもよい。
【0051】
上述したように本実施形態によれば、複数の中継器200それぞれに向けられたアンテナビーム同士のビーム方向差に基づいて当該複数の中継器200それぞれに使用する周波数チャネルを割当てる。これにより、使用周波数帯で急峻な遮断特性を持つBPFがなくても、隣接する周波数チャネル間の干渉の抑制効果を向上させることができる。
【0052】
また、端末UEにより周波数チャネルが割当てられるので、中継器200は周波数チャネルの割当て処理を行う必要がない。これにより、端末UEとの間で高周波数帯を使用する中継器200の小型化や軽量化などに寄与することができる。
【0053】
なお、これにより、例えば無線通信システムにおける総合的なサービス品質の向上を実現することができることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0055】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0056】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…無線通信システム、UE…無線端末装置、101…変復調部、102,103,104,105…RF部、106,107,108,109…ビーム制御部、110…周波数割当部、111,112,113,114…アンテナ、200…無線中継装置、201…端末側アンテナ、202…周波数変換型無線中継部、203…基地局側アンテナ、BS…基地局
図1
図2
図3
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図10
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図12