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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144852
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ルーフレールユニット
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/04 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
B60R13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056998
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】落合 巧
【テーマコード(参考)】
3D023
【Fターム(参考)】
3D023AA01
3D023AB02
3D023AC08
3D023AD26
(57)【要約】
【課題】ルーフレール本体の端部に対してキャップ部材が装着されるルーフレールユニットにおいて、キャップ部材のルーフレール本体に対する取付作業を容易にする。
【解決手段】ルーフレール本体が、上壁部2aからエンドキャップに向けて突出して設けられると共に、下端に係止爪2c2が設けられた保持部2cと、保持部2cと別に上壁部2aからエンドキャップに向けて突出して設けられると共に、係止爪2c2を有していないガイド突部2dとを有し、エンドキャップが、係止爪が縁部に係止された状態で保持部が前後方向に移動可能に挿入される保持部挿入開口と、ガイド突部が前後方向に移動可能に挿入されるガイド突部挿入開口とを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前後方向を長手方向とする長尺状のルーフレール本体と、
前記ルーフレール本体の長手方向における端部と前記車両のパネルとの間に介装されて前記パネルに固定されるキャップ部材と
を備えるルーフレールユニットであって、
前記ルーフレール本体は、
上部から前記キャップ部材に向けて突出して設けられると共に、下端に係止爪が設けられた保持部と、
前記保持部と別に前記上部から前記キャップ部材に向けて突出して設けられると共に、前記係止爪を有していないガイド突部と
を有し、
前記キャップ部材は、
前記係止爪が縁部に係止された状態で前記保持部が前記前後方向に移動可能に挿入される保持部挿入開口と、
前記ガイド突部が前記前後方向に移動可能に挿入されるガイド突部挿入開口と
を有する
ことを特徴とするルーフレールユニット。
【請求項2】
前記保持部と前記ガイド突部とが、前記前後方向と直交する車幅方向に配列され、
前記保持部挿入開口と前記ガイド突部挿入開口とが、前記前後方向が長手方向であると共に前記車幅方向が短手方向である開口であり、前記車幅方向に配列されている
ことを特徴とする請求項1記載のルーフレールユニット。
【請求項3】
前記保持部は、前記ルーフレール本体の前記車幅方向における中央部に位置することを特徴とする請求項2記載のルーフレールユニット。
【請求項4】
前記ガイド突部は、突出方向から見てH形状に形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のルーフレールユニット。
【請求項5】
前記キャップ部材は、
前記保持部挿入開口及び前記ガイド突部挿入開口が設けられる樹脂製の本体部と、
前記車両の前記パネルに固定されたクリップが嵌入されると共に、前記本体部より硬い材料で形成されたクリップ固定枠部と
を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のルーフレールユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーフレールユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ルーフレール本体と、ルーフレール本体の後端の下方に重ねて配置されるエンドキャップとを備える車両用ルーフレールが開示されている。特許文献1に開示された車両用ルーフレールは、ルーフレール本体が外気温の変化等によって伸縮した場合であっても、ルーフレール本体とエンドキャップとの重合面に出現する摺動傷が外部から視認されることを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-85740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された車両用ルーフレールのルーフレール本体は、エンドキャップ側に向けて突出して設けられた突起状の保持部を有している。また、エンドキャップには、保持部が挿入される保持孔が設けられている。保持孔は、ルーフレール本体の長手方向を同様に長手方向とする長方形状に形成されている。突起状の保持部の下端には係止爪が設けられており、保持部は、係止爪を保持孔の縁部に係止した状態で、保持孔の長手方向に移動可能である。
【0005】
特許文献1に開示された車両用ルーフレールは、保持部と保持孔との対を2つ有している。これらの対は、車幅方向に配列されており、ルーフレール本体とエンドキャップとの車幅方向への相対移動や、車両前後方向から見た相対的な傾動を規制する。しかしながら、ルーフレール本体に対してエンドキャップを装着する場合等に、保持部の下端に設けられた係止爪が破損しやすい。特許文献1に開示された車両用ルーフレールでは、複数の保持部を同時に複数の保持孔に挿入する必要があるが、全ての保持部の係止爪が破損しないように、ルーフレール本体に対してエンドキャップを装着する作業が困難であった。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ルーフレール本体の端部に対してキャップ部材が装着されるルーフレールユニットにおいて、キャップ部材のルーフレール本体に対する取付作業を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0008】
本発明の第1の態様は、車両の前後方向を長手方向とする長尺状のルーフレール本体と、上記ルーフレール本体の長手方向における端部と上記車両のパネルとの間に介装されて上記パネルに固定されるキャップ部材とを備えるルーフレールユニットであって、上記ルーフレール本体が、上部から上記キャップ部材に向けて突出して設けられると共に、下端に係止爪が設けられた保持部と、上記保持部と別に上記上部から上記キャップ部材に向けて突出して設けられると共に、上記係止爪を有していないガイド突部とを有し、上記キャップ部材が、上記係止爪が縁部に係止された状態で上記保持部が上記前後方向に移動可能に挿入される保持部挿入開口と、上記ガイド突部が上記前後方向に移動可能に挿入されるガイド突部挿入開口とを有するという構成を採用する。
【0009】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記保持部と上記ガイド突部とが、上記前後方向と直交する車幅方向に配列され、上記保持部挿入開口と上記ガイド突部挿入開口とが、上記前後方向が長手方向であると共に上記車幅方向が短手方向である開口であり、上記車幅方向に配列されているという構成を採用する。
【0010】
本発明の第3の態様は、上記第2の態様において、上記保持部が、上記ルーフレール本体の上記車幅方向における中央部に位置するという構成を採用する。
【0011】
本発明の第4の態様は、上記第1~第3の態様において、上記ガイド突部が、突出方向から見てH形状に形成されているという構成を採用する。
【0012】
本発明の第5の態様は、上記第1~第4のいずれか一つの態様において、上記キャップ部材が、上記保持部挿入開口及び上記ガイド突部挿入開口が設けられる樹脂製の本体部と、上記車両の上記パネルに固定されたクリップが嵌入されると共に、上記本体部より硬い材料で形成されたクリップ固定枠部とを備えるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ルーフレール本体の保持部は、キャップ部材の保持部挿入開口に車両の前後方向に移動可能に挿入される。また、ルーフレール本体部のガイド突部は、キャップ部材のガイド突部挿入開口に車両の前後方向に移動可能に挿入される。このため、本発明においては、キャップ部材が車両のパネルに固定された状態で、ルーフレール本体が長手方向に伸縮できる。また、保持部とガイド突部との2つの部位がキャップ部材に挿入されているため、車幅方向におけるルーフレール本体とキャップ部材との相対移動と、前後方向から見たルーフレール本体とキャップ部材との相対的な傾動とを規制できる。さらに、本発明によれば、ガイド突部に対しては係止爪が設けられていない。つまり、本発明においては、ルーフレール本体に対してキャップ部材に挿入される複数の部位が設けられているが、これらの部位の少なくとも1つには係止爪が設けられていない。このため、キャップ部材をルーフレール本体に取り付ける場合に、係止爪が破損する可能性を低減できる。したがって、本発明によれば、ルーフレール本体の端部に対してキャップ部材が装着されるルーフレールユニットにおいて、キャップ部材のルーフレール本体に対する取付作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態におけるルーフレールユニットを有する車両の屋根の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態におけるルーフレールユニットである左側ルーフレールユニットの後端部の拡大分解斜視図である。
図3】本発明の一実施形態におけるルーフレールユニットが備えるルーフレール本体の後端部を上下反転させた模式的な斜視図である。
図4】本発明の一実施形態におけるルーフレールユニットが備えるエンドキャップの概略構成を示す分解斜視図である。
図5】クリップとクリップ固定枠部とを含む模試的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係るルーフレールユニットの一実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本実施形態のルーフレールユニット1を有する車両100の屋根101の斜視図である。この図に示すように、本実施形態のルーフレールユニット1は、車両100の前後方向に長い長尺状の部品である。本実施形態のルーフレールユニット1は、車両100に対して2つ設けられている。これらの本実施形態のルーフレールユニット1は、車幅方向に配列されており、互いに平行となるように配置されている。
【0017】
車両100の左側に位置するルーフレールユニット1は、左側ルーフレールユニット1Aと称する。車両100の右側に位置するルーフレールユニット1は、右側ルーフレールユニット1Bと称する。これらの左側ルーフレールユニット1Aと右側ルーフレールユニット1Bとは、左右対称の形状に形成されている。このため、以下の説明においては、左側ルーフレールユニット1Aの構造について、図面を参照して説明し、右側ルーフレールユニット1Bの構造の詳細な説明は省略する。
【0018】
図2は、左側ルーフレールユニット1Aの後端部の拡大分解斜視図である。図2に示すように、車両100の屋根101には、車両100のルーフパネル102(パネル)とサイドパネル103との境界部に合わせてルーフ溝104が設けられている。左側ルーフレールユニット1Aは、このようなルーフ溝104に配置されている。
【0019】
なお、ルーフ溝104にルーフモールが設置され、ルーフモール上に左側ルーフレールユニット1Aが配置されてもよい。ただし、このような場合であっても、左側ルーフレールユニット1Aの車両100の前後方向における両端部は、ルーフパネル102(パネル)に固定される。
【0020】
図2に示すように、左側ルーフレールユニット1Aは、ルーフレール本体2と、エンドキャップ3(キャップ部材)とを備える。ルーフレール本体2は、車両100の前後方向を長手方向とする長尺状の部位である。このようなルーフレール本体2には、例えば、ベースキャリア等が固定される。
【0021】
このようなルーフレール本体2は、例えば、合成樹脂によって形成されている。例えば、ルーフレール本体2は、ポリカーボネート(PC)とアクリロニトリルスチレンアクリレート(ASA)からなるポリマーアロイから形成される。また、ルーフレール本体2は、ポリカーボネート(PC)とポリエチレンテレフタラート(PET)からなるポリマーアロイや、ポリカーボネート(PC)とABS樹脂からなるポリマーアロイ又はABS樹脂等から形成されてもよい。
【0022】
図3は、ルーフレール本体2の後端部を上下反転させた模式的な斜視図である。この図に示すように、ルーフレール本体2は、上壁部2a(上部)と側壁部2bとを有している。上壁部2aは、ルーフレール本体2の上部を形成する。このようなルーフレール本体2の上壁部2aの上面は、外部から視認可能な意匠面である。また、図3に示すように、上壁部2aの内壁面には、後述する保持部2cと、ガイド突部2dとが設けられている。
【0023】
側壁部2bは、上壁部2aの車幅方向の両端から下方に垂下するように設けられている。なお、側壁部2bは、図3に示すように、ルーフレール本体2の前後方向における端に向かうに連れて上壁部2aの突出量が少なくなる。これによって、ルーフレール本体2は、前後方向の端部に向かうに連れて薄型化される形状を有する。なお、図3に示すように、ルーフレール本体2の前後方向の後端及びその近傍では、側壁部2bが設けられていなくてもよい。
【0024】
また、ルーフレール本体2は、図3に示すように、保持部2cと、ガイド突部2dとを有する。保持部2cは、ルーフレール本体2の上壁部2a(上部)からエンドキャップ3に向けて突出する部位である。図3に示すように、保持部2cは、対向配置される2つの可撓片2c1と、各々の可撓片2c1の下端から他の可撓片2c1と反対側に向けて突出する係止爪2c2とを有する。
【0025】
2つの可撓片2c1は、各々が板状の部位であり、車幅方向に湾曲可能な厚さに形成されている。各々の可撓片2c1は、前後方向に沿うように形成されており、互いに平行となるように設けられている。
【0026】
係止爪2c2は、可撓片2c1の下端から、車幅方向に水平に突出するように設けられている。各々の係止爪2c2は、図3に示すように、可撓片2c1の下縁に沿って、前後方向に沿って設けられている。各々の係止爪2c2は、保持部2cがエンドキャップ3の後述する保持部挿入開口3a1に上方から挿入された場合に、エンドキャップ3に下方から係止される。
【0027】
このような保持部2cは、エンドキャップ3の保持部挿入開口3a1に上方から挿入されている。本実施形態では、保持部挿入開口3a1が車両100の前後方向に長い長方形状に形成されている。このため、保持部2cは、エンドキャップ3の保持部挿入開口3a1に挿入された状態で、車両100の前後方向に移動可能である。
【0028】
本実施形態において保持部2cは、上述のように係止爪2c2を有しており、上下方向にてエンドキャップ3に対して係合されている。このような保持部2cは、ルーフレール本体2が車両100の前後方向に伸縮する場合には、ルーフレール本体2の上下方向への移動を規制しつつ、ルーフレール本体2の端部の移動を前後方向に案内する。
【0029】
ガイド突部2dは、保持部2cと同様に、ルーフレール本体2の上壁部2a(上部)からエンドキャップ3に向けて突出する部位である。図3に示すように、ガイド突部2dは、突出方向から見てH形状に形成されている。このようなガイド突部2dは、2つの対向壁2d1と、これらの対向壁2d1とを繋ぐ中間壁2d2とを有する。
【0030】
対向壁2d1の各々は、前後方向に沿うように形成された板状の部位である。これらの対向壁2d1は、車幅方向に配列されており、互いに平行となるように配置されている。各々の対向壁2d1の車幅方向における厚さ寸法は、保持部2cの可撓片2c1と比較して大きい。このため、各々の対向壁2d1は、各々の可撓片2c1よりも剛性が高い。
【0031】
これらの対向壁2d1の下端には、保持部2cと異なり、係止爪が設けられていない。このため、ガイド突部2dがエンドキャップ3の後述するガイド突部挿入開口3a2に上方から挿入された場合に、ガイド突部2dは上下方向においてエンドキャップ3に係合されない。
【0032】
中間壁2d2は、2つの対向壁2d1の間に位置する。中間壁2d2は、車幅方向に延びて一方の対向壁2d1と他方の対向壁2d1とに接続されている。この中間壁2d2は、2つの対向壁2d1を接続することで、これらの中間壁2d2が変形することを抑制する。このような中間壁2d2が設けられることで、ガイド突部2dの全体としての剛性が向上される。
【0033】
このようなガイド突部2dは、エンドキャップ3のガイド突部挿入開口3a2に上方から挿入されている。本実施形態では、ガイド突部挿入開口3a2が車両100の前後方向に長い長方形状に形成されている。このため、ガイド突部2dは、エンドキャップ3のガイド突部挿入開口3a2に挿入された状態で、車両100の前後方向に移動可能である。
【0034】
本実施形態においてガイド突部2dは、上述のように係止爪を有しておらず、上下方向にてエンドキャップ3に対して係合されていない。このようなガイド突部2dは、ルーフレール本体2が車両100の前後方向に伸縮する場合には、ルーフレール本体2の上下方向への移動を規制することなく、ルーフレール本体2の端部の移動を前後方向に案内する。
【0035】
また、図3に示すように、保持部2cとガイド突部2dとは、車両100の前後方向と直交する車幅方向に配列されている。また、保持部2cは、ルーフレール本体2の車幅方向における中央部に位置する。ガイド突部2dは、車幅方向にて保持部2cに並ぶにように配置されている。つまり、ガイド突部2dは、車幅方向にて、ルーフレール本体2の中央部から外れた箇所に位置する。
【0036】
エンドキャップ3は、図2に示すように、ルーフレール本体2の端部とルーフパネル102との間に介装されている。エンドキャップ3は、ルーフパネル102に設けられたクリップ105によりルーフパネル102に対して固定される。エンドキャップ3は、ルーフパネル102に固定されており、ルーフレール本体2が縮んだ場合に、ルーフレール本体2の端部の先にルーフパネル102が露出することを防止する。
【0037】
図4は、エンドキャップ3の概略構成を示す分解斜視図である。この図に示すように、エンドキャップ3は、キャップ本体3a(本体部)と、クリップ固定枠部3bとを備えている。キャップ本体3aは、樹脂によって形成された板状の部位であり、上下方向に貫通する複数の開口を有する。キャップ本体3aは、開口として、保持部挿入開口3a1と、ガイド突部挿入開口3a2と、クリップ固定枠部取付開口3a3とを有する。
【0038】
保持部挿入開口3a1は、ルーフレール本体2の保持部2cが上方から挿入される開口である。保持部挿入開口3a1は、車両100の前後方向を長手方向とし、車両100の幅方向を短手方向とする長方形状の開口である。この保持部挿入開口3a1は、保持部挿入開口3a1に挿入された保持部2cを車両100の前後方向に移動可能としている。なお、本実施形態においては、保持部挿入開口3a1は、車幅方向にて、キャップ本体3aの中央部に位置する。
【0039】
ガイド突部挿入開口3a2は、ルーフレール本体2のガイド突部2dが上方から挿入される開口である。ガイド突部挿入開口3a2は、車両100の前後方向を長手方向とし、車両100の幅方向を短手方向とする長方形状の開口である。本実施形態においては、ガイド突部挿入開口3a2は、保持部挿入開口3a1の同一の形状に形成されている。
【0040】
このガイド突部挿入開口3a2は、ガイド突部挿入開口3a2に挿入されたガイド突部2dを車両100の前後方向に移動可能としている。なお、本実施形態においては、ガイド突部挿入開口3a2は、車幅方向にて保持部挿入開口3a1に並ぶように配置されている。つまり、ガイド突部挿入開口3a2は、車幅方向にて、キャップ本体3aの中央部から外れた箇所に位置する。
【0041】
クリップ固定枠部取付開口3a3は、クリップ固定枠部3bが嵌合される開口である。本実施形態においては、クリップ105が、車両100の前後方向に配列されるように2つ設けられている。このため、本実施形態において、クリップ固定枠部取付開口3a3は、図4に示すように、2つ設けられている。これらのクリップ固定枠部取付開口3a3は、前後方向に配列されている。一方のクリップ固定枠部取付開口3a3はキャップ本体3aの前端部に設けられており、他方のクリップ固定枠部取付開口3a3はキャップ本体3aの後端部に設けられている。本実施形態においては、車両100の前後方向にて、一方のクリップ固定枠部取付開口3a3と、他方のクリップ固定枠部取付開口3a3との間に、保持部挿入開口3a1及びガイド突部挿入開口3a2が位置する。
【0042】
クリップ固定枠部3bは、上述のように、キャップ本体3aのクリップ固定枠部取付開口3a3に対して取り付けられており、ルーフパネル102に固定されたクリップ105が嵌入される。図5は、クリップ105とクリップ固定枠部3bとを含む模試的な断面図である。図5に示すように、クリップ105がクリップ固定枠部3bに嵌入されることで、エンドキャップ3が車両100のルーフパネル102に固定される。
【0043】
クリップ固定枠部3bは、2つのクリップ固定枠部取付開口3a3の各々に対して設けられている。つまり、クリップ固定枠部3bは、1つのエンドキャップ3に対して2つ設けられている。各々のクリップ固定枠部3bは、キャップ本体3aよりも硬い材料で形成されている。例えば、キャップ本体3aが樹脂によって形成され、クリップ固定枠部3bが金属によって形成される。クリップ固定枠部3bが硬い材料で形成されることで、クリップ固定枠部3bの剛性が高まり、エンドキャップ3のルーフパネル102に対する取付精度を向上させることが可能となる。
【0044】
このような本実施形態のルーフレールユニット1では、外気温の変化等に応じてルーフレール本体2の車両100の前後方向に伸縮すると、ルーフレール本体2の保持部2cがエンドキャップ3の保持部挿入開口3a1の内部にて前後方向に移動される。また、同様に、外気温の変化等に応じてルーフレール本体2の車両100の前後方向に伸縮すると、ルーフレール本体2のガイド突部2dがエンドキャップ3のガイド突部挿入開口3a2の内部にて前後方向に移動される。なお、ルーフレール本体2が縮んだ場合であっても、エンドキャップ3がルーフパネル102に固定されているため、ルーフレール本体2の端部の先にルーフパネル102が露出することがない。
【0045】
また、本実施形態のルーフレールユニット1を組み立てる場合には、エンドキャップ3の保持部挿入開口3a1にルーフレール本体2の保持部2cを挿入し、エンドキャップ3のガイド突部挿入開口3a2にルーフレール本体2のガイド突部2dを挿入する。エンドキャップ3の保持部挿入開口3a1にルーフレール本体2の保持部2cが挿入されることで、係止爪2c2が保持部挿入開口3a1の縁部に係合され、ルーフレール本体2とエンドキャップ3とが固定される。
【0046】
以上のような本実施形態のルーフレールユニット1は、ルーフレール本体2と、エンドキャップ3とを備える。ルーフレール本体2は、車両100の前後方向を長手方向とする長尺状に形成されている。エンドキャップ3は、ルーフレール本体2の長手方向における端部と車両100のルーフパネル102との間に介装されてルーフパネル102に固定されている。
【0047】
また、ルーフレール本体2は、保持部2cと、ガイド突部2dとを有している。保持部2cは、上壁部2aからエンドキャップ3に向けて突出して設けられると共に、下端に係止爪2c2が設けられている。ガイド突部2dは、保持部2cと別に上壁部2aからエンドキャップ3に向けて突出して設けられる。また、ガイド突部2dは、係止爪2c2を有していない。
【0048】
また、エンドキャップ3は、保持部挿入開口3a1とガイド突部挿入開口3a2とを有している。保持部挿入開口3a1は、係止爪2c2が縁部に係止された状態で保持部2cが前後方向に移動可能に挿入される。ガイド突部挿入開口3a2は、ガイド突部2dが前後方向に移動可能に挿入される。
【0049】
このような本実施形態のルーフレールユニット1によれば、ルーフレール本体2の保持部2cは、エンドキャップ3の保持部挿入開口3a1に車両100の前後方向に移動可能に挿入される。また、ルーフレール本体2部のガイド突部2dは、エンドキャップ3のガイド突部挿入開口3a2に車両100の前後方向に移動可能に挿入される。このため、エンドキャップ3が車両100のルーフパネル102に固定された状態で、ルーフレール本体2が長手方向に伸縮できる。
【0050】
また、本実施形態のルーフレールユニット1においては、保持部2cとガイド突部2dとの2つの部位がエンドキャップ3に挿入されているため、車幅方向におけるルーフレール本体2とエンドキャップ3との相対移動と、前後方向から見たルーフレール本体2とエンドキャップ3との相対的な傾動とを規制できる。
【0051】
さらに、本実施形態のルーフレールユニット1によれば、ガイド突部2dに対しては係止爪2c2が設けられていない。つまり、本実施形態のルーフレールユニット1においては、ルーフレール本体2に対してエンドキャップ3に挿入される複数の部位が設けられているが、これらの部位の少なくとも1つには係止爪2c2が設けられていない。このため、エンドキャップ3をルーフレール本体2に取り付ける場合に、係止爪2c2が破損する可能性を低減できる。したがって、本実施形態のルーフレールユニット1によれば、エンドキャップ3のルーフレール本体2に対する取付作業を容易にすることができる。
【0052】
また、本実施形態のルーフレールユニット1において、保持部2cとガイド突部2dとは、前後方向と直交する車幅方向に配列されている。また、保持部挿入開口3a1とガイド突部挿入開口3a2とは、前後方向が長手方向であると共に車幅方向が短手方向である開口であり、車幅方向に配列されている。
【0053】
このような本実施形態のルーフレールユニット1によれば、保持部2cとガイド突部2dとが車幅方向に配列されているため、車幅方向におけるルーフレール本体2とエンドキャップ3との相対移動と、前後方向から見たルーフレール本体2とエンドキャップ3との相対的な傾動とをより確実に規制できる。
【0054】
また、本実施形態のルーフレールユニット1において、保持部2cは、ルーフレール本体2の車幅方向における中央部に位置する。このような本実施形態のルーフレールユニット1によれば、ルーフレール本体2の車幅方向の中央部は、ルーフレール本体2の車幅方向の端部よりも、ルーフレール本体2が前後方向から見て傾動した場合の変位量が少ない。このため、このような中央部に保持部2cを位置させることで、ルーフレール本体2が傾いた場合の保持部2cへの負荷を小さくすることができる。したがって、係止爪2c2が破損することをより確実に防止できる。
【0055】
また、本実施形態のルーフレールユニット1において、ガイド突部2dは、突出方向から見てH形状に形成されている。このようなガイド突部2dは、保持部2cよりも剛性が高くなる。このため、例えばエンドキャップ3のルーフレール本体2への装着時に、ガイド突部2dが破損することを防止できる。また、例えば車両100へのルーフレールユニット1の装着後に、人がルーフレール本体2に手をかけた場合などは、ルーフレールユニット1に対して車幅方向への負荷がかかる場合がある。このような場合であっても、ガイド突部2dがH形状であることで剛性が確保され、ガイド突部2dで上記負荷を受けることができる。このため、係止爪2c2へ負荷を減らし、係止爪2c2が破損する事を抑止できる。
【0056】
また、本実施形態のルーフレールユニット1において、エンドキャップ3は、キャップ本体3aと、クリップ固定枠部3bとを備える。キャップ本体3aは、保持部挿入開口3a1及びガイド突部挿入開口3a2が設けられると共に樹脂製である。クリップ固定枠部3bは、車両100のルーフパネル102に固定されたクリップ105が嵌入されると共に、キャップ本体3aより硬い材料で形成されている。
【0057】
このような本実施形態のルーフレールユニット1によれば、クリップ固定枠部3bが硬い材料で形成されることで、クリップ固定枠部3bの剛性が高まり、エンドキャップ3のルーフパネル102に対する取付精度を向上させることが可能となる。このため、ルーフレール本体2とエンドキャップ3との位置精度も向上させることができ、保持部2cを保持部挿入開口3a1にて円滑に移動させ、ガイド突部2dをガイド突部挿入開口3a2にて円滑に移動させることができる。
【0058】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0059】
例えば、上記実施形態においては、1つの保持部2cと、1つのガイド突部2dとを備える構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、1つの保持部2cと複数のガイド突部2dを備える構成を採用することも可能である。また、ガイド突部2dと、複数の保持部2cを備える構成を採用することも可能である。
【0060】
また、上記実施形態においては、保持部2cとガイド突部2dとが車両100の車幅方向に並び、車両100の前後方向における同じ位置に配置された構成について説明した。しかしながら、保持部2cとガイド突部2dとの位置関係を変更することも可能である。
【符号の説明】
【0061】
1……ルーフレールユニット、1A……左側ルーフレールユニット、1B……右側ルーフレールユニット、2……ルーフレール本体、2a……上壁部(上部)、2b……側壁部、2c……保持部、2c1……可撓片、2c2……係止爪、2d……ガイド突部、2d1……対向壁、2d2……中間壁、3……エンドキャップ(キャップ部材)、3a……キャップ本体(本体部)、3a1……保持部挿入開口、3a2……ガイド突部挿入開口、3a3……クリップ固定枠部取付開口、3b……クリップ固定枠部、100……車両、101……屋根、102……ルーフパネル(パネル)、103……サイドパネル、104……ルーフ溝、105……クリップ
図1
図2
図3
図4
図5