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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144854
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】充電システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20241004BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20241004BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20241004BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20241004BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241004BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20241004BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
G09B29/00 A
G09B29/10 A
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057000
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 伊代
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5G503
5H181
【Fターム(参考)】
2C032HC08
2C032HD07
2C032HD17
2C032HD21
2C032HD23
2F129AA03
2F129BB02
2F129CC15
2F129CC16
2F129CC17
2F129CC25
2F129DD31
2F129DD40
2F129DD42
2F129DD46
2F129DD49
2F129EE02
2F129EE43
2F129EE52
2F129EE75
2F129EE92
2F129EE96
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF51
2F129FF60
2F129HH02
2F129HH04
2F129HH12
2F129HH20
2F129HH21
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB08
5H181AA01
5H181BB08
5H181CC12
5H181FF05
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181FF40
(57)【要約】
【課題】充電レーンの渋滞を低減しつつ、充電の必要度が高い車両を充電レーンに案内する。
【解決手段】充電システムは、道路に設置された送電装置から非接触充電によりバッテリを充電可能な車両と、車両と通信可能なサーバとを備える。充電システムは、目的地、経由地、及び、経由地での滞在時間に関する情報を取得する情報取得部と、目的地に前記車両が到達するために必要な電力量を算出する電力量算出部と、経由地の施設情報に基づいて経由地で充電可能な充電量を算出する充電量算出部と、電力量及び充電量に基づいて、送電装置が設置された充電レーンへの進入可否の判定を行う進入判定部と、進入判定部により充電レーンへの進入が可能と判定された場合、充電レーンへの進入を案内する案内部と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に設置された送電装置から非接触充電によりバッテリを充電可能な車両と、前記車両と通信可能なサーバとを備える充電システムであって、
目的地、経由地、及び、前記経由地での滞在時間に関する情報を取得する情報取得部と、
前記目的地に前記車両が到達するために必要な電力量を算出する電力量算出部と、
前記経由地の施設情報に基づいて前記経由地で充電可能な充電量を算出する充電量算出部と、
前記電力量及び前記充電量に基づいて、前記送電装置が設置された充電レーンへの進入可否の判定を行う進入判定部と、
前記進入判定部により前記充電レーンへの進入が可能と判定された場合、前記充電レーンへの進入を案内する案内部と、
を備える充電システム。
【請求項2】
前記進入判定部は、
前記電力量から前記バッテリの残量及び前記充電量を減算した値が閾値以上である場合、前記充電レーンへの進入を許可する判定を行う
請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記充電レーンを含む道路を走行する全車両数、前記充電レーンを走行する車両数に基づいて前記閾値を更新する閾値更新部を備える
請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記閾値更新部は、
所定時間ごとに前記閾値を更新する
請求項3に記載の充電システム。
【請求項5】
前記施設情報には、充電施設に関する情報、前記充電施設の混雑状況、及び、前記経由地の天気に関する情報が含まれている
請求項1に記載の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の一部に充電レーンが設けられ、充電レーンを走行する車両のバッテリを非接触で充電する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-128571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、充電レーンに多数の車両が進入してしまうと、充電レーンのみが渋滞してしまうおそれがある。また、バッテリの充電量が少ない車両や、目的地に到達することができるだけの充電量がない車両が、充電レーンに入れないおそれもある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、充電レーンの渋滞の解消を図りつつ、充電の必要度が高い車両を充電レーンに案内することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施の形態に係る充電システムは、道路に設置された送電装置から非接触充電によりバッテリを充電可能な車両と、前記車両と通信可能なサーバとを備える充電システムであって、目的地、経由地、及び、前記経由地での滞在時間に関する情報を取得する情報取得部と、前記目的地に前記車両が到達するために必要な電力量を算出する電力量算出部と、前記経由地の施設情報に基づいて前記経由地で充電可能な充電量を算出する充電量算出部と、前記電力量及び前記充電量に基づいて、前記送電装置が設置された充電レーンへの進入可否の判定を行う進入判定部と、前記進入判定部により前記充電レーンへの進入が可能と判定された場合、前記充電レーンへの進入を案内する案内部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、充電レーンの渋滞の低減しつつ、充電の必要度が高い車両を充電レーンに案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】充電システムの構成概要を示した図である。
図2】車両の構成を示した図である。
図3】ナビゲーション装置の構成を示した図である。
図4】サーバの構成を示した図である。
図5】車両が走行する道路の一例を示した図である。
図6】充電システムにおける充電レーン案内処理の流れを示したシーケンスチャートである。
図7】目的地、経由地及び滞在時間の入力画面を示した図である。
図8】ナビゲーション画面を示した図である。
図9】充電レーン進入案内画面を示した図である。
図10】通常レーン走行案内画面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<1.充電システムの構成>
図1は、充電システム1の構成概要を示した図である。図1に示すように、充電システム1は、車両2及びサーバ3を備える。
車両2は、例えば無線によりインターネット等のネットワーク4に接続される。また、サーバ3は、有線又は無線によりネットワーク4に接続される。そして、車両2及びサーバ3は、ネットワーク4を介して通信可能となっている。
【0010】
図2は、車両2の構成を示した図である。図2に示すように、車両2は、モータ11を備える電気自動車又はハイブリッド自動車である。車両2は、モータ11に加え、インバータ12、バッテリ13、充電プラグ14、受電部15、及びナビゲーション装置16を備える。
【0011】
モータ11は、車両2を走行させる動力源であり、例えば三相交流モータである。モータ11は、バッテリ13からインバータ12を介して供給される電力によって駆動力を発生させ、その駆動力を駆動輪に伝達することで車両2を走行させる。なお、車両2がハイブリッド自動車である場合、動力源としてエンジンも備えることとなる。
【0012】
また、モータ11は、回生運転を行うことによって電気(電力)を生成する。モータ11の回生運転によって生成された電気は、インバータ12を介してバッテリ13に供給される。
【0013】
インバータ12は、バッテリ13から供給される直流電流を三相の交流電流に変換しモータ11に供給する。また、モータ11が回生運転を行う場合、インバータ12は、モータ11から供給される交流電流を直流電流に変換してバッテリ13に供給する。
【0014】
バッテリ13は、いわゆる高電圧二次電池であり、モータ11に供給するための電気を蓄電する。バッテリ13は、モータ11による回生運転によって充電が可能である。
【0015】
また、バッテリ13は、充電プラグ14に挿入された充電ガン等を介して外部の充電装置から供給される電気によっても充電が可能である。
【0016】
さらに、車両2の下方には受電部15が設けられている。受電部15は、充電レーン104に設置された送電装置17から供給される電力を非接触で受電し、受電した電気をバッテリ13に供給する。これにより、バッテリ13は、非接触で充電が可能である。なお、非接触充電の方式は、電磁誘導方式、電解共鳴方式、マイクロ波方式などが採用される。
【0017】
図3は、ナビゲーション装置16の構成を示した図である。図3に示すように、ナビゲーション装置16は、制御部21、操作部22、表示部23、位置情報取得部24、音声出力部25、記憶部26及び通信部27を備える。
【0018】
制御部21は、ECU(Electronic Control Unit)等のコンピュータでなり、ナビゲーション装置16全体を制御する。制御部21は、情報取得部31、走行計画算出部32、充電量算出部33、電力量算出部34及び案内部35として機能する。なお、これらの機能部については後述する。
【0019】
操作部22は、ボタン、ダイヤル、タッチパネル等でなり、ユーザの操作を受け付ける。操作部22は、ユーザの操作を受け付けると、その操作に応じた信号を制御部21に出力する。
【0020】
表示部23は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであり、制御部21の制御に基づいて、様々な画像(画面)を表示する。
【0021】
位置情報取得部24は、GNSS(Global Navigation Satellite System)信号を受信する受信器を備える。位置情報取得部24は、複数のGNSS衛星からGNSS信号を受信し、受信したGNSS信号に基づいて車両2の位置(現在位置)を算出する。なお、位置情報取得部24は、GNSS信号を受信するのみであり、車両2の現在位置は制御部21が算出するようにしてもよい。
【0022】
音声出力部25は、例えばスピーカであり、制御部21の制御に基づいて、種々の音(音楽や音声等)を出力する。
【0023】
記憶部26は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、様々な情報(例えば、地図データ)を記憶する。また、記憶部26には、制御部21が実行するプログラムが記憶されるようにしてもよい。
【0024】
通信部27は、ネットワーク4を介してサーバ3との間で通信を行う。
【0025】
制御部21は、例えば、記憶部26に記憶されている地図データから、車両2の現在位置周辺の地図を読み出し、車両2の現在位置を示すアイコンとともに読み出した地図を表示部23に表示する。また、制御部21は、ユーザによって予め設定された目的地までのルートを表示部23や音声出力部25を介して案内する。
【0026】
図4は、サーバ3の構成を示した図である。図4に示すように、サーバ3は、CPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42及びRAM(Random Access Memory)43を備えるコンピュータである。
【0027】
CPU41は、ROM42に記憶されたプログラムや、記憶部46から読み出されRAM43に展開されたプログラムを実行することにより、サーバ3全体を制御する。CPU41は、閾値更新部51及び進入判定部52として機能する。なお、これらの機能部については後述する。
【0028】
サーバ3は、CPU41、ROM42及びRAM43に加え、操作部44、表示部45、記憶部46及び通信部47を備える。
【0029】
操作部44は、キーボード、マウス、ボタン、ダイヤル、タッチパネル等でなり、ユーザの操作を受け付ける。操作部44は、ユーザの操作を受け付けると、その操作に応じた信号をCPU41に出力する。
【0030】
表示部45は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであり、CPU41の制御に基づいて、様々な画像(画面)を表示する。
【0031】
記憶部46は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、様々な情報を記憶する。また、記憶部46には、CPU41が実行するプログラムが記憶されるようにしてもよい。
【0032】
通信部47は、ネットワーク4を介して車両2(ナビゲーション装置16)との間で通信を行う。
【0033】
図5は、車両2が走行する道路100の一例を示した図である。図5に示すように、車両2が走行する道路100としては例えば高速道路が挙げられる。道路100は、中央分離帯101を挟んで、反対方向に走行可能な走行レーン102がそれぞれ設けられている。図5の例では、走行レーン102がそれぞれ2本ずつ設けられている場合を図示している。
【0034】
走行レーン102は、通常レーン103及び充電レーン104に大別される。通常レーン103は、送電装置17が設置されていないレーンである。充電レーン104は、送電装置17が設置されたレーンであり、例えば中央分離帯101から最も離れたレーンである。但し、送電装置17は、走行レーン102の全域に亘って設置されているのではなく一定の区間にのみ設置されている。従って、充電レーン104の前後は、それぞれ通常レーン103が接続されている。
【0035】
なお、走行レーン102の本数は、2本に限らず何本であってもよい。また、通常レーン103及び充電レーン104の本数も、1本に限らず、それぞれ何本であってもよい。
【0036】
図6は、充電システム1における充電レーン案内処理の流れを示したシーケンスチャートである。
ところで、受電部15により非接触充電が可能な車両2が充電レーン104に大量に進入し走行することになると、充電レーン104のみが渋滞し、通常レーン103には殆ど車両2が走行していないといった自体が起こり得る。また、このような場合、目的地まで到達可能なバッテリ残量がない車両2が充電レーン104に進入できないおそれもある。
【0037】
そこで、充電システム1では、充電レーン104で充電が必要な車両2を優先的に充電レーン104に案内して充電させる充電レーン案内処理を実行する。
【0038】
図7は、目的地、経由地及び滞在時間の入力画面60を示した図である。図8は、ナビゲーション画面70を示した図である。
【0039】
ナビゲーション装置16では、図7に示すような目的地、経由地及び滞在時間をユーザに入力させる入力画面60を表示部23に表示可能である。
【0040】
入力画面60には、目的地を入力させるための目的地入力欄61、経由地を入力させるための経由地入力欄62、及び、経由地での滞在時間を入力させるための滞在時間入力欄63が設けられている。
【0041】
ユーザは、入力画面60の目的地入力欄61、経由地入力欄62及び滞在時間入力欄63に対して操作部22を介して目的地、経由地及び滞在時間をそれぞれ入力する。これにより、情報取得部31は、図6に示したステップS1で目的地、経由地及び滞在時間に関する情報を取得する。
【0042】
なお、情報取得部31は、目的地、経由地及び滞在時間に関する情報を、入力画面60を介した入力以外の方法で取得するようにしてもよい。例えば、情報取得部31は、ユーザが所有するスマートフォン等から通信部27を介して取得するようにしてもよい。
また、滞在時間は、ユーザが経由地で滞在する予測時間であり、必ず滞在時間に亘ってユーザが経由地に滞在しなくてはならないわけではない。
【0043】
走行計画算出部32は、目的地、経由地及び滞在時間に関する情報が取得されると、経由地及び目的地へのルートを算出する。そして、制御部21は、例えば図8に示すように、現在位置、目的地及び経由地にそれぞれ対応するアイコン71、72、73が地図上に重畳されたナビゲーション画面70を表示部23に表示する。また、制御部21は、位置情報取得部24から入力される車両2の現在位置や地図データに基づいて、経由地及び目的地までのルートを案内する。
【0044】
情報取得部31は、取得した経由地の施設情報をサーバ3又は他の装置から取得する。施設情報には、充電設備に関する情報、混雑状態及び天気が含まれている。
充電設備に関する情報は、経由地に設置された充電装置の台数、充電装置の充電能力等が示されている。
混雑状態は、充電装置の使用状況(何台使用されているか)、経由地の混雑具合等が示されている。
天気は、経由地の天気が示されている。
これらの施設情報は、サーバ3の記憶部26に記憶されていてもよく、また、ネットワーク4を介した他の装置に記憶されていてもよい。
【0045】
ステップS3で充電量算出部33は、取得した施設情報及び滞在時間に基づいて、車両2が経由地に滞在している間にバッテリ13が充電可能な充電量を算出する。なお、充電量の算出方法としては、混雑状況及び充電装置の台数に基づいて車両2が充電装置を使用可能な時間を算出するとともに、算出した時間、充電装置の充電能力及び天気に基づいて充電量を算出する方法が考えられる。このとき、充電量算出部33は、算出した時間、充電装置の充電能力及び天気が関連付けられたマップに基づいて充電量を算出してもよいし、予め機械学習しておいたモデルを用いて算出するようにしてもよし、他の方法で充電量を算出してもよい。
以下では、経由地に滞在している間にバッテリ13の充電可能な充電量を経由地充電量と表記する。
【0046】
ステップS4で電力量算出部34は、地図データ及び車両2の現在位置に基づいて、車両2が充電レーン104の入口に接近したかを判定する。このとき、地図データに充電レーン104の位置情報が含まれていればよい。
なお、車両2が充電レーン104の入口に接近したかは、他の方法により判定してもよい。例えば、ナビゲーション装置16が車両2の現在位置をサーバ3に送信し、サーバ3が地図データに基づいて車両2が充電レーン104の入口に接近したかを判定した後、その結果をナビゲーション装置16に送信するようにしてもよい。また、車両2は、道路100に設置している通信装置から、車両2が充電レーン104の入口に接近していることを通信により受信するようにしてもよい。
【0047】
車両2が充電レーン104の入口に接近した場合(ステップS4でYes)、電力量算出部34は、例えば目的地までの残り距離を車両2(モータ11)の電費で除算して、目的地に到着するまでに必要な電力量を算出する。
また、電力量算出部34は、目的地に到着するまでに必要な電力量から現在のバッテリ13の残量を減算して、目的地に到着するために不足する電力量を算出する。
以下では、目的地に到着するまでに必要な電力量を必要電力量、現在のバッテリ13の残量をバッテリ残量、目的地に到着するために不足する電力量を不足電力量と表記する。
【0048】
また、電力量算出部34は、不足電力量から経由地充電量を減算して充電レーン104で充電しなければならない充電量を算出する。すなわち、電力量算出部34は、必要電力量からバッテリ残量及び経由地充電量を減算することで、充電レーン104で充電しなければならない充電量を算出する。
以下、充電レーン104で充電しなければならない充電量を走行時充電量と表記する。
【0049】
例えば、必要電力量が100kWhで、バッテリ残量が30kWhである場合、不足電力量は70kWhとなる。また、経由地充電量が40kWhである場合、走行時充電量は30kWhとなる。
なお、例えば必要電力量が少なかったり、バッテリ残量が多かったりすると、不足電力量や走行時充電量がマイナスとなる(充電レーン104で充電しなくても目的地に到達可能となる)こともある。
【0050】
このようにして走行時充電量が算出されると、ステップS6で電力量算出部34は、算出した走行時充電量をサーバ3に送信する。
【0051】
一方、サーバ3では、ステップS11で閾値更新部51が道路情報を取得する。道路情報は、走行レーン102を走行する車両2の総数(全車両数)と、充電レーン104を走行する車両2の数(充電車両数)とが含まれている。
なお、全車両数は、例えば道路100が高速道路の場合、高速道路に入ってきた車両2の数から算出可能である。
また、充電車両数は、送電装置17が充電している車両2の数から算出可能である。
【0052】
ステップS12で閾値更新部51は、全車両数及び充電車両数に基づいて閾値を更新する。ここで、閾値は、車両2を充電レーン104に案内するか否かを判定するために走行時充電量との比較に用いられる値である。そして、閾値が大きい値であるほど充電レーン104に案内しにくくなり、閾値が小さい値であるほど充電レーン104に案内しやすくなる。
【0053】
閾値更新部51は、全体車両数から充電車両数を減算することで通常レーン103を走行する車両2の数を算出する。また、閾値更新部51は、通常レーン103を走行する車両2の数と、充電レーン104を走行する車両2の数との比率に基づいて閾値を更新する。例えば、閾値更新部51は、通常レーン103を走行する車両2の割合が多ければ閾値を下げ、充電レーン104を走行する車両2の割合が多ければ閾値を上げる。
【0054】
ステップS13で進入判定部52は、車両2から走行時充電量を受信したかを判定する。走行時充電量を受信していない場合(ステップS13でNo)、走行時充電量を受信するまでステップS11及びステップS12を所定間隔ごとに繰り返し行う。
これにより、走行時充電量を受信したときの道路100の状態に応じた閾値を用いて後述する進入判定(ステップS14)を行うことが可能となる。
【0055】
走行時充電量を受信した場合(ステップS13でYes)、ステップS14で進入判定部52は、走行時充電量、及び、ステップS12で更新された閾値に基づいて、充電レーン104に進入可能かを判定する。ここでは、進入判定部52は、走行時充電量が閾値以上である場合に進入可能と判定する。一方、進入判定部52は、走行時充電量が閾値未満である場合に進入不可と判定する。
そして、ステップS14で進入判定部52は、ステップS14での判定結果を車両2に送信する。
【0056】
図9は、充電レーン進入案内画面81を示した図である。図10は、通常レーン走行案内画面82を示した図である。
車両2では、判定結果を受信すると、ステップS7で案内部35が、判定結果に基づいて、充電レーン104への進入が可能であるかを判定する。その結果、充電レーン104への進入が可能である場合(ステップS7でYes)、ステップS8で案内部35は、図9に示すように、充電レーン104への進入を案内する充電レーン進入案内画面81を表示部23に表示させる。
【0057】
一方、充電レーン104への進入が可能でない場合(ステップS7でNo)、ステップS9で案内部35は、図10に示すように、通常レーン103を走行させる、すなわち、充電レーン104への進入を案内しない通常レーン走行案内画面82を表示部23に表示させる。
【0058】
このように、充電システム1では、車両2が経由地に滞在する場合に、経由地での充電量を考慮して充電レーン104への進入可否を決定するとともに、充電レーン104への進入又は通常レーン103の走行の案内を行う。
これにより、通常レーン103及び充電レーン104の一方に車両2が集中して渋滞が起こりやすくなる状況を低減しつつ、充電レーン104で充電の必要性が高い車両2を優先して充電レーン104で走行させてバッテリ13を充電させることが可能となる。
【0059】
<2.変形例>
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記した具体例に限定されず多様な構成を採り得るものである。
例えば、上記の実施形態では、情報取得部31、走行計画算出部32、充電量算出部33、電力量算出部34及び案内部35の各機能部がナビゲーション装置16(制御部21)に設けられるようにした。しかしながら、情報取得部31、走行計画算出部32、充電量算出部33、電力量算出部34及び案内部35の各機能部の一部又は全てがサーバ3(CPU41)に設けられるようにしてもよい。
【0060】
また、上記の実施形態では、閾値更新部51及び進入判定部52の各機能部がサーバ3(CPU41)に設けられるようにした。しかしながら、閾値更新部51及び進入判定部52の各機能部がナビゲーション装置16(制御部21)に設けられるようにしてもよい。
【0061】
また、上記の実施形態では、充電レーン104への進入又は通常レーン103の走行の案内を表示部23に充電レーン進入案内画面81又は通常レーン走行案内画面82を表示することで行うようにした。しかしながら、案内部35は、充電レーン104への進入又は通常レーン103の走行の案内を音声により行うようにしてもよく、画面の表示及び音声の双方で行うようにしてもよい。
【0062】
また、上記の実施形態では、滞在時間をユーザに入力させるようにしたが、その経由地での平均滞在時間を滞在時間として取得するようにしてもよい。
【0063】
また、上記の実施形態では、施設情報として、充電施設に関する情報、前記充電施設の混雑状況、及び、前記経由地の天気に関する情報が含まれるようにした。しかしながら、設備情報は、経由地充電量が算出可能であれば、これらの一部が含まれていなくてもよいし、また、他の情報が含まれていてもよい。
【0064】
<3.実施形態のまとめ>
上記のように実施形態の充電システム1は、道路100に設置された送電装置17から非接触充電によりバッテリ13を充電可能な車両2と、車両2と通信可能なサーバ3とを備える。そして、充電システム1は、目的地、経由地、及び、前記経由地での滞在時間に関する情報を取得する情報取得部31と、目的地に車両2が到達するために必要な電力量(必要電力量)を算出する電力量算出部34と、経由地の施設情報に基づいて経由地で充電可能な充電量(経由地充電量)を算出する充電量算出部33と、電力量及び充電量に基づいて、送電装置17が設置された充電レーン104への進入可否の判定を行う進入判定部52と、進入判定部52により充電レーン104への進入が可能と判定された場合、充電レーン104への進入を案内する案内部35と、を備える。
これにより、充電システム1では、経由地での充電量を考慮して目的地に到着するまでに不足するバッテリ13の電力量を算出することになる。これにより、充電システム1では、充電レーン104で充電する必要がある車両2をより正確に判定することが可能となる。
かくして、充電システム1では、充電レーン104の渋滞を低減しつつ、充電の必要度が高い車両2を充電レーン104に案内することができる。
【0065】
また、進入判定部52は、電力量(必要電力量)からバッテリ13の残量(バッテリ残量)及び充電量(経由地充電量)を減算した値(不足電力量)が閾値以上である場合、充電レーン104への進入を許可する判定を行う。
これにより、道路100の状況に応じて閾値を変更可能であるため、道路100の状況に応じて最適に車両2を充電レーン104に案内することができ、より渋滞を低減することができる。
【0066】
また、充電レーン104を含む道路100を走行する全車両数、充電レーン104を走行する車両数に基づいて閾値を更新する閾値更新部51を備える。
これにより、充電システム1では、通常レーン103及び充電レーン104を走行する車両2の割合に応じて閾値を変更することが可能となる。従って、充電システム1では、より渋滞を低減しつつ、充電の必要度が高い車両2を充電レーン104に案内することができる。
【0067】
閾値更新部51は、所定時間ごとに閾値を更新する。
これにより、充電システム1では、車両2が充電レーン104の入口に接近した際の閾値を用いて充電レーン104への進入可否を判定することができる。
従って、充電システム1は、充電レーン104への進入可否の判定を精度よく行うことができる。
【0068】
施設情報には、充電施設に関する情報、充電施設の混雑状況、及び、経由地の天気に関する情報が含まれている。
これにより、充電システム1では、経由地での充電量を精度よく算出することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 充電システム
2 車両
3 サーバ
16 ナビゲーション装置
17 送電装置
31 情報取得部
32 走行計画算出部
33 充電量算出部
34 電力算出部
35 案内部
51 閾値更新部
52 進入判定部
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