(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144858
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】オーバフェンダ
(51)【国際特許分類】
B62D 25/18 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
B62D25/18 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057007
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】関 健太
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BC22
3D203CA07
3D203CB03
(57)【要約】
【課題】オーバフェンダの意匠面の面精度を向上可能とする。
【解決手段】オーバフェンダ1であって、外壁面に外部から視認可能な意匠面11aが設けられたアウタ11と、アウタ11と別体とされると共にアウタ11をアウタ11の内壁面11b側から支持するインナブラケット12とを備え、アウタ11に対して複数のインナブラケット12が互いに離間した状態で固定され、複数のインナブラケット12の少なくともいずれかは、車体に対して接続される取付部を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーバフェンダであって、
外壁面に外部から視認可能な意匠面が設けられたアウタと、
前記アウタと別体とされると共に前記アウタを前記アウタの内壁面側から支持するインナブラケットと
を備え、
前記アウタに対して複数の前記インナブラケットが互いに離間した状態で固定され、
複数の前記インナブラケットの少なくともいずれかは、車体に対して接続される取付部を有する
ことを特徴とするオーバフェンダ。
【請求項2】
前記アウタは、内壁面から前記インナブラケットに向けて突出する板状の溶着リブを複数備え、
各々の前記インナブラケットは、前記溶着リブが貫通状態で挿入されると共に前記溶着リブの先端部が前記アウタと反対側の面に溶着されるリブ溶着部を備える
ことを特徴とする請求項1記載のオーバフェンダ。
【請求項3】
各々の前記リブ溶着部は、挿入される前記溶着リブの板幅に沿った方向に直線状に延伸する挿入スリットを有し、
同一の前記インナブラケットに対して設けられた前記挿入スリットのうち、いずれか1つの前記挿入スリットの幅寸法が小さく、他の前記挿入スリットの幅寸法が大きいことを特徴とする請求項2記載のオーバフェンダ。
【請求項4】
複数の前記インナブラケットの少なくともいずれかは、
車体に対して締結される締結リブと、
前記締結リブを傾動可能に支持する樹脂ヒンジ部と
を備えることを特徴とする請求項2または3記載のオーバフェンダ。
【請求項5】
前記締結リブ及び前記樹脂ヒンジ部は、前記リブ溶着部に隣接配置されていることを特徴とする請求項4記載のオーバフェンダ。
【請求項6】
前記アウタは、円弧状に湾曲した形状に形成され、
前記インナブラケットは、円弧に沿った方向に配列され、
前記アウタの端部に位置する前記インナブラケットの少なくとも1つは、前記リブ溶着部が前記アウタ側から視認されることを防ぐ遮蔽壁を備える
ことを特徴とする請求項2または3記載のオーバフェンダ。
【請求項7】
前記遮蔽壁が設けられた前記インナブラケットが前記リブ溶着部を複数備え、
前記遮蔽壁が設けられた前記インナブラケットが前記リブ溶着部に挿入される複数の前記溶着リブにて、少なくともいずれの前記溶着リブは、他の前記溶着リブと板幅方向が異なる
ことを特徴とする請求項6記載のオーバフェンダ。
【請求項8】
前記インナブラケットは、前記遮蔽壁の先端から前記リブ溶着部と反対側に向けて突出する屈曲片を有することを特徴とする請求項6記載のオーバフェンダ。
【請求項9】
前記アウタ及び前記インナブラケットの少なくとも一方に、前記アウタに対する前記インナブラケットの取付位置を示すインナブラケット識別マークが設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のオーバフェンダ。
【請求項10】
前記取付部がクリップを介して車体に接続可能であり、
前記インナブラケットは、取り付けられる前記クリップの種類を識別可能とすると共に前記取付部に対して設けられるクリップ識別マークを有する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のオーバフェンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバフェンダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車両に対して取り付けられるオーバフェンダが開示されている。オーバフェンダは、フェンダパネル等の車体側の部材に対して取り付けられ、車両側方から見て車輪を上方から囲うように取り付けられている。このようなオーバフェンダは、車輪の回転に伴って跳ね上げられる砂利や、道路脇の植物等によって、フェンダパネル等が傷つくことを抑止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようなオーバフェンダは、上述のように異物によって車体が傷つくことを抑止するために設けられるため、悪路等を走行するスポーツ用多目的車に設けられる。オーバフェンダは、一般的に黒色の樹脂によって形成されており、傷がついても目立ちにくくするために外表面が樹脂のシボ面に形成されている。
【0005】
しかしながら、近年においては、舗装道路を中心に走行し、悪路の走行を想定しないスポーツ用多目的車が増加している。このような舗装道路を中心に走行するスポーツ用多目的車では、外観印象の向上のために、オーバフェンダの外表面に対して塗装を施す場合がある。ところが、塗装面は光沢面であることから、樹脂のシボ面と比較して僅かな歪み等が光の反射により目立つ場合がある。このため、オーバフェンダの意匠面の面精度のさらなる向上が求められている。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、上述する問題点に鑑みてなされたもので、オーバフェンダの意匠面の面精度を向上可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0008】
本発明の第1の態様は、オーバフェンダであって、外壁面に外部から視認可能な意匠面が設けられたアウタと、上記アウタと別体とされると共に上記アウタを上記アウタの内壁面側から支持するインナブラケットとを備え、上記アウタに対して複数の上記インナブラケットが互いに離間した状態で固定され、複数の上記インナブラケットの少なくともいずれかは、車体に対して接続される取付部を有するという構成を採用する。
【0009】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記アウタが、内壁面から上記インナブラケットに向けて突出する板状の溶着リブを複数備え、各々の上記インナブラケットが、上記溶着リブが貫通状態で挿入されると共に上記溶着リブの先端部が上記アウタと反対側の面に溶着されるリブ溶着部を備えるという構成を採用する。
【0010】
本発明の第3の態様は、上記第2の態様において、各々の上記リブ溶着部が、挿入される上記溶着リブの板幅に沿った方向に直線状に延伸する挿入スリットを有し、同一の上記インナブラケットに対して設けられた上記挿入スリットのうち、いずれか1つの上記挿入スリットの幅寸法が小さく、他の上記挿入スリットの幅寸法が大きいという構成を採用する。
【0011】
本発明の第4の態様は、上記第2または第3の態様において、複数の上記インナブラケットの少なくともいずれかが、車体に対して締結される締結リブと、上記締結リブを傾動可能に支持する樹脂ヒンジ部とを備えるという構成を採用する。
【0012】
本発明の第5の態様は、上記第4の態様において、上記締結リブ及び上記樹脂ヒンジ部が、上記リブ溶着部に隣接配置されているという構成を採用する。
【0013】
本発明の第6の態様は、上記第2~第5のいずれかの態様において、上記アウタが、円弧状に湾曲した形状に形成され、上記インナブラケットが、円弧に沿った方向に配列され、上記アウタの端部に位置する上記インナブラケットの少なくとも1つは、上記リブ溶着部が上記アウタ側から視認されることを防ぐ遮蔽壁を備えるという構成を採用する。
【0014】
本発明の第7の態様は、上記第6の態様において、上記遮蔽壁が設けられた上記インナブラケットが上記リブ溶着部を複数備え、上記遮蔽壁が設けられた上記インナブラケットが上記リブ溶着部に挿入される複数の上記溶着リブにて、少なくともいずれの上記溶着リブは、他の上記溶着リブと板幅方向が異なるという構成を採用する。
【0015】
本発明の第8の態様は、上記第6または第7の態様において、上記インナブラケットは、上記遮蔽壁の先端から上記リブ溶着部と反対側に向けて突出する屈曲片を有するという構成を採用する。
【0016】
本発明の第9の態様は、上記第1~第8のいずれかの態様において、上記アウタ及び上記インナブラケットの少なくとも一方に、上記アウタに対する上記インナブラケットの取付位置を示すインナブラケット識別マークが設けられているという構成を採用する。
【0017】
本発明の第10の態様は、上記第1~第9のいずれかの態様において、上記取付部がクリップを介して車体に接続可能であり、上記インナブラケットが、取り付けられる上記クリップの種類を識別可能とすると共に上記取付部に対して設けられるクリップ識別マークを有するという構成を採用する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、意匠面を有するアウタと、車体に対して取り付けられる取付部を有するインナブラケットとが別体である。このため、本発明は、取付部によってアウタの意匠面にヒケ等の歪みが発生することを防止できる。つまり、本発明は、取付部の影響が意匠面に及ぶことを防止できる。また、本発明は、複数のインナブラケットが互いに離間した状態でアウタに対して固定されている。このため、アウタとインナブラケットの熱膨張率が異なる場合であっても、温度変化によってアウタの表面が歪むことを抑制できる。したがって、本発明は、オーバフェンダの意匠面の面精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態のオーバフェンダを備える車両の模式的な側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態のオーバフェンダであるフロントオーバフェンダの概略構成図であり、(a)が左側から見た側面図であり、(b)が右側から見た側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態のオーバフェンダであるフロントオーバフェンダが備えるアウタの右側から見た側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態のオーバフェンダが備える溶着リブを含む拡大斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態のオーバフェンダであるフロントオーバフェンダが備える第1インナブラケットの概略構成図である。
【
図6】本発明の一実施形態のオーバフェンダであるフロントオーバフェンダが備える第2インナブラケットの概略構成図である。
【
図7】本発明の一実施形態のオーバフェンダであるフロントオーバフェンダが備える第3インナブラケットの概略構成図である。
【
図8】本発明の一実施形態のオーバフェンダが備える締結リブと本体部とを含む模式図である。
【
図9】本発明の一実施形態のオーバフェンダであるフロントオーバフェンダが備える第4インナブラケットの概略構成図である。
【
図10】本発明の一実施形態のオーバフェンダであるフロントオーバフェンダが備える第5インナブラケットの概略構成図である。
【
図11】本発明の一実施形態のオーバフェンダであるフロントオーバフェンダが備える第6インナブラケットの概略構成図である。
【
図12】本発明の一実施形態のオーバフェンダであるフロントオーバフェンダが備える第6インナブラケットの斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態のオーバフェンダであるリアオーバフェンダの概略構成図であり、(a)が左側から見た側面図であり、(b)が右側から見た側面図である。
【
図14】本発明の一実施形態のオーバフェンダであるリアオーバフェンダが備える突出部を右側から見た拡大側面図である。
【
図15】本発明の一実施形態のオーバフェンダであるリアオーバフェンダが備える第7インナブラケットの概略構成図である。
【
図16】本発明の一実施形態のオーバフェンダであるリアオーバフェンダが備える第8インナブラケットの概略構成図である。
【
図17】本発明の一実施形態のオーバフェンダであるリアオーバフェンダが備える第9インナブラケットの概略構成図である。
【
図18】本発明の一実施形態のオーバフェンダであるリアオーバフェンダが備える第10インナブラケットの概略構成図である。
【
図19】本発明の一実施形態のオーバフェンダであるリアオーバフェンダが備える第11インナブラケットの概略構成図である。
【
図20】本発明の一実施形態のオーバフェンダにおいて溶着リブの先端部を溶かす前の状態におけるアウタとインナブラケットとの一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明に係るオーバフェンダの一実施形態について説明する。
【0021】
図1は、本実施形態のオーバフェンダ1を備える車両100の模式的な側面図である。なお、以下の説明においては、
図1に示すように、車両100の走行方向を前後方向と称する。また、前後方向と直交する水平方向を左右方向と称し、前後方向及び左右方向と直交する方向を上下方向と称する。
【0022】
図1に示すように、車両100は、車輪101を備えている。車輪101は、車両100の前部と後部との各々に設けられている。また、車両100は、前部の車輪101である前輪102の上部に位置するフロントフェンダ103と、後部の車輪101である後輪104の上部に位置するリアフェンダ105とを備えている。フロントフェンダ103及びリアフェンダ105は、いずれもフェンダであり、車体110の一部を形成している。
【0023】
なお、本実施形態の説明においては、車両100のうち、オーバフェンダ1を除く部分を車体110とする。つまり、本実施形態の車両100は、車体110に対して取り付けられるオーバフェンダ1を備える。なお、周知のように、車両100は、2つの前輪102と、2つの後輪104とを備える。このため、本実施形態の車両100は、2つのフロントフェンダ103と、2つのリアフェンダ105とを備え、合計で4つのフェンダを備える。
【0024】
本実施形態のオーバフェンダ1は、各々のフェンダに対して設けられている。つまり、本実施形態の車両100は、4つのオーバフェンダ1を備える。なお、車両100の前部に設けられたオーバフェンダ1をフロントオーバフェンダ1aと称し、車両100の後部に設けられたオーバフェンダ1をリアオーバフェンダ1bと称する。
【0025】
フロントオーバフェンダ1aは、左右方向から見て、全体として湾曲した形状に形成されており、前輪102を上方から覆うように設けられている。なお、左側の前輪102の上方に位置するフロントオーバフェンダ1aと、右側の前輪102の上方に位置するフロントオーバフェンダ1aとは、左右対称形状である。
【0026】
このため、以下の説明においては、左側の前輪102の上方に位置するフロントオーバフェンダ1aと、右側の前輪102の上方に位置するフロントオーバフェンダ1aとのうち、左側の前輪102の上方に位置するフロントオーバフェンダ1aについて詳細な説明を行い、右側の前輪102の上方に位置するフロントオーバフェンダ1aについての詳細な説明は省略する。
【0027】
図2は、フロントオーバフェンダ1aの概略構成図であり、(a)が左側から見た側面図であり、(b)が右側から見た側面図である。なお、左側の前輪102の上方に位置するフロントオーバフェンダ1aは、左側が車両100の外部であり、右側が車両100の内部である。つまり、
図2(a)は、左側の前輪102の上方に位置するフロントオーバフェンダ1aを車両100の外側から見た図であり、
図2(b)は、左側の前輪102の上方に位置するフロントオーバフェンダ1aを車両100の内側から見た図である。
【0028】
図2に示すように、フロントオーバフェンダ1aは、アウタ11と、複数のインナブラケット12と、複数のクリップ13とを備える。
【0029】
アウタ11は、
図2に示すように、前後方向における中央部が上方に膨出する円弧状に形成されている。アウタ11の左側の面は、車両100の外部に向けて露出される意匠面11aである。一方で、アウタ11の右側の面は、車両100の外部に露出されない内壁面11bである。
【0030】
アウタ11の意匠面11aは、平滑な光沢面に形成されている。この意匠面11aは、必要に応じて塗装される。塗装が施された場合に意匠面11aは、塗装面となる。例えば、意匠面11aは、車体110の同一色に塗装される。アウタ11は、樹脂により形成されており、意匠面11aを平滑可能とするために、例えばABS樹脂によって形成されている。
【0031】
アウタ11の後側の端部には、後方に向けて突出する突出部11cが設けられている。突出部11cの後端面11d(先端面)は、
図1に示す車両100のフロントドア106の外部に対して対向配置されている。なお、
図1に示すように、フロントドア106を開閉可能とするために、突出部11cの後端面11dとフロントドア106との間には、僅かな隙間S1が形成されている。
【0032】
本実施形態においてアウタ11は、1つのフロントオーバフェンダ1aに対して1つのみ設けられている。つまり、本実施形態のフロントオーバフェンダ1aにおいては、単一のアウタ11に対して複数のインナブラケット12が設けられている。なお、アウタ11は、複数のパーツに分割形成されていてもよい。
【0033】
図3は、アウタ11の右側から見た側面図である。この図に示すように、アウタ11の内壁面11bには、複数の溶着リブ11eが設けられている。これらの溶着リブ11eの各々は、内壁面11bからインナブラケット12に向けて突出する。つまり、アウタ11は、内壁面11bからインナブラケット12に向けて突出する複数の溶着リブ11eを有する。
【0034】
図4は、溶着リブ11eを含む拡大斜視図である。各々の溶着リブ11eは、板状に形成されている。このような溶着リブ11eは、先端部がインナブラケット12の後述するリブ溶着部31に挿入される。また、各々の溶着リブ11eは、溶着装置によって溶融され、リブ溶着部31に対して溶着される。なお、
図4に示す溶着リブ11eの形状は、先端部が溶着される前の状態の形状である。
【0035】
このような溶着リブ11eは、インナブラケット12をアウタ11に対して固定する部位であり、各々のインナブラケット12に対応して設けられている。なお、本実施形態においては、1つのインナブラケット12に対して複数の溶着リブ11eが溶着されるように、溶着リブ11eの数及び位置が定められている。
【0036】
複数のインナブラケット12は、アウタ11の内壁面11b側に配置されており、各々が溶着リブ11eを介してアウタ11に固定されている。これらのインナブラケット12は、車体110に対して固定されており、アウタ11を支持している。このようなインナブラケット12は、アウタ11と異なる材料で形成できる。例えば、インナブラケット12は、PP(ポリプロピレン)によって形成することができる。
【0037】
本実施形態では、
図2(b)に示すように、アウタ11に対して、合計で6つのインナブラケット12が取り付けられている。各々のインナブラケット12は、円弧形状に沿ったアウタ11の一方の端部から他方の端部までの長さよりも短く形成されている。
【0038】
これら6つのインナブラケット12のうち、最も前側に位置するインナブラケット12を第1インナブラケット12aと称する。また、第1インナブラケット12aの1つ後側のインナブラケット12を第2インナブラケット12bと称する。また、第2インナブラケット12bの1つ後側のインナブラケット12を第3インナブラケット12cと称する。また、第3インナブラケット12cの1つ後側のインナブラケット12を第4インナブラケット12dと称する。また、第4インナブラケット12dの1つ後側のインナブラケット12を第5インナブラケット12eと称する。また、最も後側に位置するインナブラケット12を第6インナブラケット12fと称する。
【0039】
図5は、第1インナブラケット12aの概略構成図である。この図に示すように、第1インナブラケット12aは、本体部30と、リブ溶着部31とを備える。本体部30は、アウタ11の形状に沿って湾曲された円弧形状に形成された板状の部位である。本体部30は、アウタ11の内壁面11bに一方側の面が対向するように配置されている。リブ溶着部31は、アウタ11の溶着リブ11eが溶着される部位であり、本体部30のアウタ11の反対側の面に設けられている。
【0040】
図5に示すように、第1インナブラケット12aに対してリブ溶着部31は、3つ設けられている。第1インナブラケット12aに設けられるリブ溶着部31の位置は、変更可能である。各々のリブ溶着部31には、溶着リブ11eが挿入される挿入スリット31aが設けられている。各々の挿入スリット31aは、挿入される溶着リブ11eの板幅に沿った方向に直線状に延伸するように設けられている。
【0041】
本実施形態において第1インナブラケット12aには、3つの挿入スリット31aが設けられている。これらの挿入スリット31aのうち1つは、他の挿入スリット31aよりも幅寸法が小さく形成されている。ただし、幅寸法が小さい挿入スリット31aも、他の挿入スリット31aと同様に、溶着リブ11eの板幅よりも幅寸法が大きく形成されている。
【0042】
本実施形態では、アウタ11に複数設けられた溶着リブ11eの板幅は全て同一に形成されている。このため、幅寸法が小さい挿入スリット31aに溶着リブ11eを挿入した場合には、他の幅寸法が大きい挿入スリット31aに溶着リブ11eを挿入した場合と比較して、溶着リブ11eと挿入スリット31aの延伸方向における端部までの距離が短くなる。したがって、幅寸法が小さい挿入スリット31aに溶着リブ11eを挿入することで、アウタ11に対してインナブラケット12を正確に位置決めできる。
【0043】
一方で、幅寸法が大きい挿入スリット31aは、溶着リブ11eの板幅に対して余裕があるため、溶着リブ11eを容易に挿入することができる。つまり、本実施形態では、アウタ11に対するインナブラケット12の位置決めを正確に行いつつ、アウタ11に対してインナブラケット12を容易に取り付けることが可能となる。
【0044】
また、
図5に示すように、第1インナブラケット12aには、単一のアウタ11に設けられる複数のインナブラケット12のうち第1インナブラケット12aであることを示す刻印32が設けられている。
【0045】
本実施形態では、
図5に示すように、第1インナブラケット12aには、Aの文字が丸で囲まれた刻印32が設けられている。ただし、刻印32の形状は変更可能である。このような刻印32は、例えば第1インナブラケット12aを射出成形する場合に用いる金型によって形成される。なお、刻印32に換えて、印刷や塗装によって形成された識別マークを形成してもよい。
【0046】
このような刻印32は、アウタ11に対するインナブラケット12の取付位置を作業者等が識別するものである。なお、
図3に示すように、アウタ11の内壁面11bには、インナブラケット12の取付位置を示すアウタ側刻印33が形成されている。
【0047】
アウタ側刻印33は、例えばインナブラケット12に設けられた刻印32に対応した形状に形成される。例えば、
図2(b)に示すように、アウタ側刻印33は、各々のインナブラケット12に設けられた刻印32と同種の文字を含む形状に形成されている。また、例えば、インナブラケット12に設けられた刻印32と、対応するアウタ側刻印33とは、
図2(b)に示すように、インナブラケット12がアウタ11に対して取り付けられた場合に、隣接する位置に互いに形成されている。
【0048】
なお、アウタ側刻印33の形状は変更可能である。このようなアウタ側刻印33は、例えばアウタ11を射出成形する場合に用いる金型によって形成される。また、アウタ側刻印33に換えて、印刷や塗装によって形成された識別マークを形成してもよい。
【0049】
図6は、第2インナブラケット12bの概略構成図である。この図に示すように、第2インナブラケット12bも、第1インナブラケット12aと同様に、本体部30と、リブ溶着部31とを備える。
図6に示すように、第2インナブラケット12bに対してリブ溶着部31は、4つ設けられている。第2インナブラケット12bに設けられるリブ溶着部31の位置は、変更可能である。
【0050】
また、
図6に示すように、第2インナブラケット12bには、単一のアウタ11に設けられる複数のインナブラケット12のうち第2インナブラケット12bであることを示す刻印32が設けられている。
【0051】
本実施形態では、
図6に示すように、第2インナブラケット12bには、Bの文字が丸で囲まれた刻印が設けられている。ただし、刻印32の形状は変更可能である。このような刻印32は、例えば第2インナブラケット12bを射出成形する場合に用いる金型によって形成される。なお、刻印32に換えて、印刷や塗装によって形成されたインナブラケット識別マークを形成してもよい。
【0052】
図7は、第3インナブラケット12cの概略構成図である。この図に示すように、第3インナブラケット12cも、第1インナブラケット12aと同様に、本体部30と、リブ溶着部31とを備える。
図7に示すように、第3インナブラケット12cに対してリブ溶着部31は、6つ設けられている。第3インナブラケット12cに設けられるリブ溶着部31の位置は、変更可能である。
【0053】
また、
図7に示すように、第3インナブラケット12cには、単一のアウタ11に設けられる複数のインナブラケット12のうち第3インナブラケット12cであることを示す刻印32が設けられている。
【0054】
本実施形態では、
図7に示すように、第3インナブラケット12cには、Cの文字が丸で囲まれた刻印32が設けられている。ただし、刻印32の形状は変更可能である。このような刻印32は、例えば第3インナブラケット12cを射出成形する場合に用いる金型によって形成される。なお、刻印32に換えて、印刷や塗装によって形成されたインナブラケット識別マークを形成してもよい。
【0055】
また、第3インナブラケット12cは、
図7に示すように、取付部34と、締結リブ35とを備えている。取付部34は、車体110に対して接続される部位であり、第3インナブラケット12cに対して2つ設けられている。
【0056】
各々の取付部34は、クリップ13を介して車体110に対して接続される部位であり、クリップ13が装着可能に形成されている。なお、オーバフェンダ1は、例えば僅かに形状が異なる複数種類のクリップ13を用いる。これらのクリップ13は、種類ごとに異なる色に形成されている。このため、各々の取付部34には、装着すべきクリップ13の種類(色)を識別可能とするクリップ識別用刻印36が形成されている。
【0057】
本実施形態では、
図7に示すように、第3インナブラケット12cには、Yの文字が丸で囲まれたクリップ識別用刻印36が設けられている。これは黄色のクリップ13を装着することを意味する。ただし、クリップ識別用刻印36の形状は変更可能である。このようなクリップ識別用刻印36は、例えば第3インナブラケット12cを射出成形する場合に用いる金型によって形成される。なお、クリップ識別用刻印36に換えて、印刷や塗装によって形成されたクリップ識別マークを形成してもよい。
【0058】
締結リブ35は、車体110に対して締結されるリブである。本実施形態では、締結リブ35は、ボルト等を挿通するための貫通孔が形成されている。
図8は、締結リブ35と本体部30とを含む模式図である。この図に示すように、締結リブ35は、樹脂ヒンジ部37を介して本体部30に接続されている。樹脂ヒンジ部37は、締結リブ35や本体部30よりも薄肉化された部位であり、締結リブ35を本体部30に対して傾動可能に支持する。締結リブ35は、取付部34に対して上下方向にて隣接するように配置されている。
【0059】
本実施形態においては、上述のように、例えばアウタ11がABS樹脂によって形成され、インナブラケット12がPPによって形成される。ABS樹脂は、PPと比較して変形しにくく、樹脂ヒンジ部を形成することが難しい。本実施形態では、アウタ11に対して締結リブ35が設けられておらず、樹脂ヒンジ部37をアウタ11に設ける必要がない。このため、アウタ11を表面光沢が得られるABS樹脂によって形成することができ、意匠面11aに良好な塗装を施すことが可能となる。
【0060】
図9は、第4インナブラケット12dの概略構成図である。この図に示すように、第4インナブラケット12dも、第1インナブラケット12aと同様に、本体部30と、リブ溶着部31とを備える。
図9に示すように、第4インナブラケット12dに対してリブ溶着部31は、6つ設けられている。第4インナブラケット12dに設けられるリブ溶着部31の位置は、変更可能である。
【0061】
また、
図9に示すように、第4インナブラケット12dには、単一のアウタ11に設けられる複数のインナブラケット12のうち第4インナブラケット12dであることを示す刻印32が設けられている。
【0062】
本実施形態では、
図9に示すように、第4インナブラケット12dには、Dの文字が丸で囲まれた刻印が設けられている。ただし、刻印32の形状は変更可能である。このような刻印32は、例えば第4インナブラケット12dを射出成形する場合に用いる金型によって形成される。なお、刻印32に換えて、印刷や塗装によって形成されたインナブラケット識別マークを形成してもよい。
【0063】
また、第4インナブラケット12dは、
図9に示すように、取付部34及び締結リブ35を備えている。取付部34は、第4インナブラケット12dに対して2つ設けられている。また、各々の取付部34には、装着すべきクリップ13の種類(色)を識別可能とするクリップ識別用刻印36が形成されている。
【0064】
図10は、第5インナブラケット12eの概略構成図である。この図に示すように、第5インナブラケット12eも、第1インナブラケット12aと同様に、本体部30と、リブ溶着部31とを備える。
図10に示すように、第5インナブラケット12eに対してリブ溶着部31は、6つ設けられている。第5インナブラケット12eに設けられるリブ溶着部31の位置は、変更可能である。
【0065】
また、
図10に示すように、第5インナブラケット12eには、単一のアウタ11に設けられる複数のインナブラケット12のうち第5インナブラケット12eであることを示す刻印32が設けられている。
【0066】
本実施形態では、
図10に示すように、第5インナブラケット12eには、Eの文字が丸で囲まれた刻印32が設けられている。ただし、刻印32の形状は変更可能である。このような刻印32は、例えば第5インナブラケット12eを射出成形する場合に用いる金型によって形成される。なお、刻印32に換えて、印刷や塗装によって形成されたインナブラケット識別マークを形成してもよい。
【0067】
また、第5インナブラケット12eは、
図10に示すように、取付部34を備えている。取付部34は、第5インナブラケット12eに対して2つ設けられている。また、各々の取付部34には、装着すべきクリップ13の種類(色)を識別可能とするクリップ識別用刻印36が形成されている。
【0068】
図11は、第6インナブラケット12fの概略構成図である。この図に示すように、第6インナブラケット12fも、第1インナブラケット12aと同様に、本体部30と、リブ溶着部31とを備える。
図11に示すように、第6インナブラケット12fに対してリブ溶着部31は、4つ設けられている。第6インナブラケット12fに設けられるリブ溶着部31の位置は、変更可能である。
【0069】
また、
図11に示すように、第6インナブラケット12fには、単一のアウタ11に設けられる複数のインナブラケット12のうち第6インナブラケット12fであることを示す刻印32が設けられている。
【0070】
本実施形態では、
図11に示すように、第6インナブラケット12fには、Fの文字が丸で囲まれた刻印32が設けられている。ただし、刻印32の形状は変更可能である。このような刻印32は、例えば第6インナブラケット12fを射出成形する場合に用いる金型によって形成される。なお、刻印32に換えて、印刷や塗装によって形成されたインナブラケット識別マークを形成してもよい。
【0071】
また、第6インナブラケット12fは、
図11に示すように、取付部34及び締結リブ35を備えている。取付部34は、第6インナブラケット12fに対して1つ設けられている。また、この取付部34には、装着すべきクリップ13の種類(色)を識別可能とするクリップ識別用刻印36が形成されている。
【0072】
図12は、第6インナブラケット12fの斜視図である。この図に示すように、第6インナブラケット12fは、遮蔽壁40を備える。遮蔽壁40は、本体部30から車内側(本実施実施形態では右側)に向けて突出する壁部である。この遮蔽壁40は、
図12に示すように、本体部30の後側の端部に接続されている。このような遮蔽壁40は、リブ溶着部31等の本体部30の内壁面に設けられた部位が車両100の外部(アウタ側)から視認されることを防ぐ。
【0073】
また、第6インナブラケット12fは、
図12に示すように、屈曲片41を備える。屈曲片41は、遮蔽壁40の先端からリブ溶着部31と反対側(本実施形態では後側)に向けて突出するように設けられた片部である。この屈曲片41は、車両100の隙間S1を左側から見た場合に、隙間S1に重なるように位置する。このため、屈曲片41は、車両100の外側から隙間S1の奥側が視認されることを抑止する。
【0074】
また、
図11に示すように、第6インナブラケット12fに設けられる複数のリブ溶着部31は、挿入スリット31aの延伸する方向が異なる。このため、第6インナブラケット12fのリブ溶着部31に挿入される溶着リブ11eの板幅方向は、溶着リブ11eによって異なる。つまり、第6インナブラケット12fのリブ溶着部31に挿入される複数の溶着リブ11eにて、少なくともいずれかの溶着リブ11eは、他の溶着リブ11eと板幅方向が異なる。
【0075】
第6インナブラケット12fは、遮蔽壁40が設けられることで、他のインナブラケット12よりも大型化するが、板幅方向が異なる溶着リブ11eが挿入されることで、第6インナブラケット12fがアウタ11に対して傾動することを様々な方向から規制できる。このため、第6インナブラケット12fをアウタ11に対して安定的に装着できる。
【0076】
フロントオーバフェンダ1aにおいて、これらの第1インナブラケット12a、第2インナブラケット12b、第3インナブラケット12c、第4インナブラケット12d、第5インナブラケット12e、及び第6インナブラケット12fは、アウタ11の円弧形状に沿って互いに離間されて配列されている。
【0077】
リアオーバフェンダ1bは、左右方向から見て、全体として湾曲した形状に形成されており、後輪104を上方から覆うように設けられている。なお、左側の後輪104の上方に位置するリアオーバフェンダ1bと、右側の後輪104の上方に位置するリアオーバフェンダ1bとは、左右対称形状である。このため、以下の説明においては、左側の後輪104の上方に位置するリアオーバフェンダ1bと、右側の後輪104の上方に位置するリアオーバフェンダ1bとのうち、左側の後輪104の上方に位置するリアオーバフェンダ1bについて詳細な説明を行い、右側の後輪104の上方に位置するリアオーバフェンダ1bについての詳細な説明は省略する。
【0078】
図13は、リアオーバフェンダ1bの概略構成図であり、(a)が左側から見た側面図であり、(b)が右側から見た側面図である。なお、左側の後輪104の上方に位置するリアオーバフェンダ1bは、左側が車両100の外部であり、右側が車両100の内部である。つまり、
図13(a)は、左側の後輪104の上方に位置するリアオーバフェンダ1bを車両100の外側から見た図であり、
図13(b)は、左側の後輪104の上方に位置するリアオーバフェンダ1bを車両100の内側から見た図である。
【0079】
図13に示すように、リアオーバフェンダ1bは、フロントオーバフェンダ1aと同様に、アウタ11と、複数のインナブラケット12と、複数のクリップ13とを備える。
【0080】
リアオーバフェンダ1bのアウタ11も、
図13に示すように、前後方向における中央部が上方に膨出する円弧状に形成されている。リアオーバフェンダ1bのアウタ11の前側の端部には、前方に向けて突出する突出部11fが設けられている。突出部11fの前端面11g(先端面)は、
図1に示す車両100のリアドア107の外部に対して対向配置されている。なお、
図1に示すように、リアドア107を開閉可能とするために、突出部11fの前端面11gとリアドア107との間には、僅かな隙間S2が形成されている。
【0081】
本実施形態においてアウタ11は、1つのリアオーバフェンダ1bに対して1つのみ設けられている。つまり、本実施形態のリアオーバフェンダ1bにおいては、単一のアウタ11に対して複数のインナブラケット12が設けられている。なお、アウタ11は、複数のパーツに分割形成されていてもよい。
【0082】
図14は、突出部11fを右側から見た拡大側面図である。この図に示すように、突出部11fには、クリップ13を装着するためのインナ側取付部38が設けられている。このインナ側取付部38は、クリップ13を介して車体110に対して接続される部位である。インナ側取付部38には、装着すべきクリップ13の種類(色)を識別可能とするクリップ識別用刻印36が形成されている。なお、リアオーバフェンダ1bのアウタ11も、内壁面11bからインナブラケット12に向けて突出する複数の溶着リブ11eを有する。
【0083】
本実施形態では、
図13(b)に示すように、リアオーバフェンダ1bのアウタ11に対して、合計で5つのインナブラケット12が取り付けられている。各々のインナブラケット12は、円弧形状に沿ったアウタ11の一方の端部から他方の端部までの長さよりも短く形成されている。
【0084】
これら5つのインナブラケット12のうち、最も前側に位置するインナブラケット12を第7インナブラケット12hと称する。また、第7インナブラケット12hの1つ後側のインナブラケット12を第8インナブラケット12iと称する。また、第8インナブラケット12iの1つ後側のインナブラケット12を第9インナブラケット12jと称する。また、第9インナブラケット12jの1つ後側のインナブラケット12を第10インナブラケット12kと称する。また、最も後側に位置するインナブラケット12を第11インナブラケット12mと称する。
【0085】
図15は、第7インナブラケット12hの概略構成図である。この図に示すように、第7インナブラケット12hは、第1インナブラケット12aと同様に、本体部30と、リブ溶着部31とを備える。
図15に示すように、第7インナブラケット12hに対してリブ溶着部31は、10個設けられている。第7インナブラケット12hに設けられるリブ溶着部31の位置は、変更可能である。
【0086】
また、
図15に示すように、第7インナブラケット12hには、単一のアウタ11に設けられる複数のインナブラケット12のうち第7インナブラケット12hであることを示す刻印32が設けられている。
【0087】
本実施形態では、
図15に示すように、第7インナブラケット12hには、Hの文字が丸で囲まれた刻印32が設けられている。ただし、刻印32の形状は変更可能である。このような刻印32は、例えば第7インナブラケット12hを射出成形する場合に用いる金型によって形成される。なお、刻印32に換えて、印刷や塗装によって形成されたインナブラケット識別マークを形成してもよい。
【0088】
また、第7インナブラケット12hは、
図15に示すように、取付部34を備えている。取付部34は、第7インナブラケット12hに対して2つ設けられている。また、各々の取付部34には、装着すべきクリップ13の種類(色)を識別可能とするクリップ識別用刻印36が形成されている。
【0089】
図16は、第8インナブラケット12iの概略構成図である。この図に示すように、第8インナブラケット12iは、第1インナブラケット12aと同様に、本体部30と、リブ溶着部31とを備える。
図16に示すように、第8インナブラケット12iに対してリブ溶着部31は、6つ設けられている。第8インナブラケット12iに設けられるリブ溶着部31の位置は、変更可能である。
【0090】
また、
図16に示すように、第8インナブラケット12iには、単一のアウタ11に設けられる複数のインナブラケット12のうち第8インナブラケット12iであることを示す刻印32が設けられている。
【0091】
本実施形態では、
図16に示すように、第8インナブラケット12iには、Iの文字が丸で囲まれた刻印32が設けられている。ただし、刻印32の形状は変更可能である。このような刻印32は、例えば第8インナブラケット12iを射出成形する場合に用いる金型によって形成される。なお、刻印32に換えて、印刷や塗装によって形成されたインナブラケット識別マークを形成してもよい。
【0092】
また、第8インナブラケット12iは、
図16に示すように、取付部34を備えている。取付部34は、第8インナブラケット12iに対して2つ設けられている。また、各々の取付部34には、装着すべきクリップ13の種類(色)を識別可能とするクリップ識別用刻印36が形成されている。
【0093】
図17は、第9インナブラケット12jの概略構成図である。この図に示すように、第9インナブラケット12jは、第1インナブラケット12aと同様に、本体部30と、リブ溶着部31とを備える。
図17に示すように、第9インナブラケット12jに対してリブ溶着部31は、6つ設けられている。第9インナブラケット12jに設けられるリブ溶着部31の位置は、変更可能である。
【0094】
また、
図17に示すように第9インナブラケット12jには、単一のアウタ11に設けられる複数のインナブラケット12のうち第9インナブラケット12jであることを示す刻印32が設けられている。
【0095】
本実施形態では、
図17に示すように、第9インナブラケット12jには、Jの文字が丸で囲まれた刻印32が設けられている。ただし、刻印32の形状は変更可能である。このような刻印32は、例えば第9インナブラケット12jを射出成形する場合に用いる金型によって形成される。なお、刻印32に換えて、印刷や塗装によって形成されたインナブラケット識別マークを形成してもよい。
【0096】
また、第9インナブラケット12jは、
図17に示すように、取付部34を備えている。取付部34は、第9インナブラケット12jに対して2つ設けられている。また、各々の取付部34には、装着すべきクリップ13の種類(色)を識別可能とするクリップ識別用刻印36が形成されている。
【0097】
図18は、第10インナブラケット12kの概略構成図である。この図に示すように、第10インナブラケット12kは、第1インナブラケット12aと同様に、本体部30と、リブ溶着部31とを備える。
図18に示すように、第10インナブラケット12kに対してリブ溶着部31は、5つ設けられている。第10インナブラケット12kに設けられるリブ溶着部31の位置は、変更可能である。
【0098】
また、
図18に示すように第10インナブラケット12kには、単一のアウタ11に設けられる複数のインナブラケット12のうち第10インナブラケット12kであることを示す刻印32が設けられている。
【0099】
本実施形態では、
図18に示すように、第10インナブラケット12kには、Kの文字が丸で囲まれた刻印32が設けられている。ただし、刻印32の形状は変更可能である。このような刻印32は、例えば第10インナブラケット12kを射出成形する場合に用いる金型によって形成される。なお、刻印32に換えて、印刷や塗装によって形成されたインナブラケット識別マークを形成してもよい。
【0100】
また、第10インナブラケット12kは、
図18に示すように、取付部34を備えている。取付部34は、第10インナブラケット12kに対して2つ設けられている。また、各々の取付部34には、装着すべきクリップ13の種類(色)を識別可能とするクリップ識別用刻印36が形成されている。
【0101】
図19は、第11インナブラケット12mの概略構成図である。この図に示すように、第11インナブラケット12mは、第1インナブラケット12aと同様に、本体部30と、リブ溶着部31とを備える。
図19に示すように、第11インナブラケット12mに対してリブ溶着部31は、4つ設けられている。第11インナブラケット12mに設けられるリブ溶着部31の位置は、変更可能である。
【0102】
また、
図19に示すように第11インナブラケット12mには、単一のアウタ11に設けられる複数のインナブラケット12のうち第11インナブラケット12mであることを示す刻印32が設けられている。
【0103】
本実施形態では、
図19に示すように、第11インナブラケット12mには、Mの文字が丸で囲まれた刻印32が設けられている。ただし、刻印32の形状は変更可能である。このような刻印32は、例えば第11インナブラケット12mを射出成形する場合に用いる金型によって形成される。なお、刻印32に換えて、印刷や塗装によって形成されたインナブラケット識別マークを形成してもよい。
【0104】
リアオーバフェンダ1bにおいて、これらの第7インナブラケット12h、第8インナブラケット12i、第9インナブラケット12j、第10インナブラケット12k、及び第11インナブラケット12mは、リアオーバフェンダ1bのアウタ11の円弧形状に沿って互いに離間されて配列されている。
【0105】
図20は、溶着リブ11eの先端部を溶かす前の状態におけるアウタ11とインナブラケット12との一部を示す斜視図である。この図に示すように、本実施形態のオーバフェンダ1を組み立てる場合には、インナブラケット12のリブ溶着部31に、アウタ11の溶着リブ11eが貫通状態で挿入される。このような状態で、溶着装置によって溶着リブ11eの先端部が溶融され、リブ溶着部31のアウタ11と反対側の面に溶着される。なお、
図20においては、既にクリップ13がインナブラケット12に装着されているが、クリップ13は、溶着リブ11eの溶着後であってもよい。
【0106】
以上のような本実施形態のオーバフェンダ1は、アウタ11と、インナブラケット12とを備える。アウタ11は、外壁面に外部から視認可能な意匠面11aが設けられている。インナブラケット12は、アウタ11と別体とされると共にアウタ11をアウタ11の内壁面11b側から支持する。また、アウタ11に対して複数のインナブラケット12が互いに離間した状態で固定されている。また、複数のインナブラケット12の少なくともいずれかは、車体110に対して接続される取付部34を有する。
【0107】
このような本実施形態のオーバフェンダ1によれば、意匠面11aを有するアウタ11と、車体110に対して取り付けられる取付部34を有するインナブラケット12とが別体である。このため、取付部34によってアウタ11の意匠面11aにヒケ等の歪みが発生することを防止できる。つまり、本実施形態のオーバフェンダ1は、取付部34の影響が意匠面11aに及ぶことを防止できる。また、本実施形態のオーバフェンダ1は、複数のインナブラケット12が互いに離間した状態でアウタ11に対して固定されている。このため、アウタ11とインナブラケット12の熱膨張率が異なる場合であっても、温度変化によってアウタ11の表面が歪むことを抑制できる。したがって、本実施形態のオーバフェンダ1は、意匠面11aの面精度を向上させることが可能となる。
【0108】
また、本実施形態のオーバフェンダ1においてアウタ11は、内壁面11bからインナブラケット12に向けて突出する板状の溶着リブ11eを複数備える。また、各々のインナブラケット12は、溶着リブ11eが貫通状態で挿入されると共に溶着リブ11eの先端部がアウタ11と反対側の面に溶着されるリブ溶着部31を備える。このような本実施形態のオーバフェンダ1によれば、溶着リブ11eの先端部を溶融させることで、アウタ11とインナブラケット12とを容易に固定することが可能となる。
【0109】
また、本実施形態のオーバフェンダ1において各々のリブ溶着部31は、挿入される溶着リブ11eの板幅に沿った方向に直線状に延伸する挿入スリット31aを有する。また、同一のインナブラケット12に対して設けられた挿入スリット31aのうち、いずれか1つの挿入スリット31aの幅寸法が小さく、他の挿入スリット31aの幅寸法が大きい。
【0110】
このような本実施形態のオーバフェンダ1によれば、幅寸法が小さい挿入スリット31aに溶着リブ11eを挿入することで、アウタ11に対してインナブラケット12を正確に位置決めできる。一方で、幅寸法が大きい挿入スリット31aは、溶着リブ11eの板幅に対して余裕があるため、溶着リブ11eを容易に挿入することができる。したがって、本実施形態のオーバフェンダ1によれば、アウタ11に対するインナブラケット12の位置決めを正確に行いつつ、アウタ11に対してインナブラケット12を容易に取り付けることが可能となる。
【0111】
また、本実施形態のオーバフェンダ1において、複数のインナブラケット12の少なくともいずれかは、締結リブ35と、樹脂ヒンジ部37とを備えている。締結リブ35は、車体110に対して締結される。樹脂ヒンジ部37は、締結リブ35を傾動可能に支持する。このような本実施形態のオーバフェンダ1によれば、締結リブ35を傾動させることができるため、インナブラケット12と車体110とを容易に締結することが可能となる。
【0112】
また、本実施形態においては、上述のように、例えばアウタ11がABS樹脂によって形成され、インナブラケット12がPPによって形成される。ABS樹脂は、PPと比較して変形しにくく、樹脂ヒンジ部を形成することが難しい。本実施形態では、アウタ11に対して締結リブ35が設けられておらず、樹脂ヒンジ部37をアウタ11に設ける必要がない。このため、アウタ11を表面光沢が得られるABS樹脂によって形成することができ、意匠面11aに良好な塗装を施すことが可能となる。このように本実施形態のオーバフェンダ1によれば、締結リブ35及び樹脂ヒンジ部37をインナブラケット12に設けることで、締結リブ35及び樹脂ヒンジ部37を備えつつ、アウタ11をインナブラケット12と異なる材料で形成することが可能となる。
【0113】
また、本実施形態のオーバフェンダ1において締結リブ35及び樹脂ヒンジ部37は、リブ溶着部31に隣接配置されている。このような本実施形態のオーバフェンダ1によれば、締結リブ35を車体110の定められた箇所に固定することで、リブ溶着部31を車体110の定められた箇所に対して正確に位置決めすることができ、さらには、アウタ11を車体110の定められた箇所に対して正確に位置決めすることができる。
【0114】
また、本実施形態のオーバフェンダ1において、アウタ11は、円弧状に湾曲した形状に形成されている。また、インナブラケット12は、円弧に沿った方向に配列されている。さらに、アウタ11の端部に位置するインナブラケット12の少なくとも1つは、リブ溶着部31がアウタ11側から視認されることを防ぐ遮蔽壁40を備えている。このような本実施形態のオーバフェンダ1によれば、遮蔽壁40によって、アウタ11側からリブ溶着部31等が視認されることを抑止することができる。
【0115】
また、本実施形態のオーバフェンダ1において遮蔽壁40が設けられたインナブラケット12がリブ溶着部31を複数備えている。また、遮蔽壁40が設けられたインナブラケット12がリブ溶着部31に挿入される複数の溶着リブ11eにて、少なくともいずれの溶着リブ11eは、他の溶着リブ11eと板幅方向が異なる。
【0116】
このような本実施形態のオーバフェンダ1によれば、遮蔽壁40が設けられることでのインナブラケット12が大型化しても、板幅方向が異なる溶着リブ11eが挿入されることで、インナブラケット12がアウタ11に対して傾動することを様々な方向から規制できる。このため、遮蔽壁40が設けられたインナブラケット12をアウタ11に対して安定的に装着できる。
【0117】
また、本実施形態のオーバフェンダ1においてインナブラケット12は、遮蔽壁40の先端からリブ溶着部31と反対側に向けて突出する屈曲片41を有する。このような本実施形態のオーバフェンダ1によれば、屈曲片41は、車両100の外側から隙間等を介して奥側が視認されることを抑止することができる。
【0118】
また、本実施形態のオーバフェンダ1においては、インナブラケット12に、アウタ11に対するインナブラケット12の取付位置を示す刻印32が設けられている。また、アウタ11に、アウタ11に対するインナブラケット12の取付位置を示すアウタ側刻印33が設けられている。このような本実施形態のオーバフェンダ1によれば、複数のインナブラケット12をアウタ11に対して正確かつ容易に取り付けることが可能となる。
【0119】
また、本実施形態のオーバフェンダ1においては、取付部34がクリップ13を介して車体110に接続可能である。また、インナブラケット12は、取り付けられるクリップ13の種類を識別可能とすると共に取付部34に対して設けられるクリップ識別用刻印36を有する。
【0120】
このような本実施形態のオーバフェンダ1によれば、インナブラケット12に装着するクリップ13の種類を容易に識別することが可能となり、誤ったクリップ13をインナブラケット12に装着することを抑止できる。
【0121】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0122】
例えば、上記実施形態においては、アウタ11とインナブラケット12とを溶着する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。アウタ11とインナブラケット12とをビス等で固定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0123】
1……オーバフェンダ、1a……フロントオーバフェンダ、1b……リアオーバフェンダ、11……アウタ、11a……意匠面、11b……内壁面、11c……突出部、11d……後端面、11e……溶着リブ、11f……突出部、11g……前端面、12……インナブラケット、13……クリップ、30……本体部、31……リブ溶着部、31a……挿入スリット、32……刻印(インナブラケット識別マーク)、33……アウタ側刻印(インナブラケット識別マーク)、34……取付部、35……締結リブ、36……クリップ識別用刻印(クリップ識別マーク)、37……樹脂ヒンジ部、38……インナ側取付部、40……遮蔽壁、41……屈曲片、100……車両、101……車輪、110……車体