(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144861
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20241004BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20241004BHJP
G08G 1/0968 20060101ALI20241004BHJP
G06Q 50/26 20240101ALI20241004BHJP
【FI】
G01C21/26 C
G09B29/00 A
G08G1/0968 B
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057011
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】598059572
【氏名又は名称】東京海上ディーアール株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】595140170
【氏名又は名称】東京海上日動火災保険株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100166442
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋雅
(74)【代理人】
【識別番号】100209794
【弁理士】
【氏名又は名称】三瓶 真弘
(72)【発明者】
【氏名】駒田 悠一
(72)【発明者】
【氏名】石川 優太朗
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5H181
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2C032HB05
2C032HC27
2C032HC38
2F129AA02
2F129AA03
2F129CC13
2F129EE26
2F129EE29
2F129EE43
2F129EE57
2F129EE62
2F129HH12
2F129HH20
2F129HH21
5H181AA01
5H181AA21
5H181DD01
5H181EE02
5H181FF22
5H181FF24
5H181FF32
5H181FF35
5H181MC17
5H181MC27
5L049CC35
5L050CC35
(57)【要約】
【課題】事故データ及び道路データに基づいて、交通路のリスク情報を好適に導出できる情報処理装置を提供する。
【解決手段】割当部103は、事故データ取得部101が取得した事故データに含まれる事故発生場所の住所と事故環境と道路データ取得部102が取得した道路データとに基づいて、事故発生場所を該事故発生場所の住所に隣接する交通路に割り当てる。加算部104は、割当部103が割り当てた交通路それぞれに対して、交通事故件数に対応する数値を加算する。出力部105は、各交通路の事故件数の累積値に基づく情報(リスク情報、リスクマップ)を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも交通事故の発生場所の住所を含む事故データを取得する事故データ取得部と、
地図上の道路及び交差点を含む交通路に関する道路データを取得する道路データ取得部と、
前記事故データに含まれる交通事故の発生場所の住所と、前記事故データに含まれる事故環境と、前記道路データと、に基づいて、交通事故の発生場所を該交通事故の発生場所の住所に隣接する交通路に割り当てる割当部と、
前記割当部が割り当てた交通路それぞれに対して、交通事故件数に対応する数値を加算する加算部と、
それぞれの交通路の前記加算部による数値の累積値に応じた情報を、該交通路のリスク情報として出力する出力部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記割当部は、前記事故環境が道路を示している場合、交通事故の発生場所を該交通事故の発生場所の住所に隣接する道路に割り当て、前記事故環境が交差点を示している場合、交通事故の発生場所を該交通事故の発生場所の住所に隣接する交差点に割り当てる
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記割当部は、前記事故環境が駐車場を示していない場合に、交通事故の発生場所を交通路に割り当てる
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記加算部は、前記事故データに含まれる事故形態が特定事故形態である場合、該特定事故形態の交通事故件数に対応する数値を加算可能であり、
前記出力部は、前記特定事故形態の交通事故件数に対応する数値の累積値に基づいて、前記特定事故形態のリスク情報を出力可能である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記道路データは、交差点を示すノードと、道路を示すリンクと、を含み、
前記リンクが所定範囲内で近接する場合、それらのリンクを一つの道路として処理する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記出力部は、各道路及び交差点における数値の累積値に応じた情報を地図に重畳したリスクマップを出力可能である
請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置が、
少なくとも交通事故の発生場所の住所を含む事故データを取得し、
地図上の道路及び交差点を含む交通路に関する道路データを取得し、
前記事故データに含まれる交通事故の発生場所の住所と、前記事故データに含まれる事故環境と、前記道路データと、に基づいて、交通事故の発生場所を該交通事故の発生場所の住所に隣接する交通路に割り当て、
割り当てた交通路それぞれに対して、交通事故件数に対応する数値を加算し、
それぞれの交通路の前記数値の累積値に応じた情報を、該交通路のリスク情報として出力する
情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
少なくとも交通事故の発生場所の住所を含む事故データを取得する事故データ取得部、
地図上の道路及び交差点を含む交通路に関する道路データを取得する道路データ取得部、
前記事故データに含まれる交通事故の発生場所の住所と、前記事故データに含まれる事故環境と、前記道路データと、に基づいて、交通事故の発生場所を該交通事故の発生場所の住所に隣接する交通路に割り当てる割当部、
前記割当部が割り当てた交通路それぞれに対して、交通事故件数に対応する数値を加算する加算部、
それぞれの交通路の前記加算部による数値の累積値に応じた情報を、該交通路のリスク情報として出力する出力部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザとの音声通話中に、通話データに基づいてユーザの現在いる地点の緯度および経度を特定する推論装置が提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1に記載の技術では、住所で表される位置を特定し、当該位置が道路上や交差点上の位置ではない場合に、当該位置を、当該位置の最寄りの道路や交差点上の位置に補正するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、住所で表される位置の最寄りの道路や交差点上を事故発生場所とするが、必ずしも最寄りの地点が事故発生場所であるとは限らない。そのため、事故発生場所が住所で記録されている場合、正しい道路上の事故発生場所を特定することは困難である。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて成されたものであり、事故データ及び道路データに基づいて、交通路のリスク情報を好適に導出できる情報処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の情報処理装置は、
少なくとも交通事故の発生場所の住所を含む事故データを取得する事故データ取得部と、
地図上の道路及び交差点を含む交通路に関する道路データを取得する道路データ取得部と、
前記事故データに含まれる交通事故の発生場所の住所と、前記事故データに含まれる事故環境と、前記道路データと、に基づいて、交通事故の発生場所を該交通事故の発生場所の住所に隣接する交通路に割り当てる割当部と、
前記割当部が割り当てた交通路それぞれに対して、交通事故件数に対応する数値を加算する加算部と、
それぞれの交通路の前記加算部による数値の累積値に応じた情報を、該交通路のリスク情報として出力する出力部と、
を備える。
【0007】
前記割当部は、前記事故環境が道路を示している場合、交通事故の発生場所を該交通事故の発生場所の住所に隣接する道路に割り当て、前記事故環境が交差点を示している場合、交通事故の発生場所を該交通事故の発生場所の住所に隣接する交差点に割り当てるようにしてもよい。
【0008】
前記割当部は、前記事故環境が駐車場を示していない場合に、交通事故の発生場所を交通路に割り当てるようにしてもよい。
【0009】
前記加算部は、前記事故データに含まれる事故形態が特定事故形態である場合、該特定事故形態の交通事故件数に対応する数値を加算可能であり、
前記出力部は、前記特定事故形態の交通事故件数に対応する数値の累積値に基づいて、前記特定事故形態のリスク情報を出力可能であるようにしてもよい。
【0010】
前記道路データは、交差点を示すノードと、道路を示すリンクと、を含み、
前記リンクが所定範囲内で近接する場合、それらのリンクを一つの道路として処理するようにしてもよい。
【0011】
前記出力部は、各道路及び交差点における数値の累積値に応じた情報を地図に重畳したリスクマップを出力可能であるようにしてもよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の情報処理方法は、
情報処理装置が、
少なくとも交通事故の発生場所の住所を含む事故データを取得し、
地図上の道路及び交差点を含む交通路に関する道路データを取得し、
前記事故データに含まれる交通事故の発生場所の住所と、前記事故データに含まれる事故環境と、前記道路データと、に基づいて、交通事故の発生場所を該交通事故の発生場所の住所に隣接する交通路に割り当て、
割り当てた交通路それぞれに対して、交通事故件数に対応する数値を加算し、
それぞれの交通路の前記数値の累積値に応じた情報を、該交通路のリスク情報として出力する。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明のプログラムは、
コンピュータを、
少なくとも交通事故の発生場所の住所を含む事故データを取得する事故データ取得部、
地図上の道路及び交差点を含む交通路に関する道路データを取得する道路データ取得部、
前記事故データに含まれる交通事故の発生場所の住所と、前記事故データに含まれる事故環境と、前記道路データと、に基づいて、交通事故の発生場所を該交通事故の発生場所の住所に隣接する交通路に割り当てる割当部、
前記割当部が割り当てた交通路それぞれに対して、交通事故件数に対応する数値を加算する加算部、
それぞれの交通路の前記加算部による数値の累積値に応じた情報を、該交通路のリスク情報として出力する出力部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、事故データ及び道路データに基づいて、交通路のリスク情報を好適に導出できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施の形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
【
図2】本実施の形態における事故データの構成例を示す図である。
【
図3】(A)~(C)は、本実施の形態における道路データの構成例を示す図である。
【
図4】(A)及び(B)は、本実施の形態における交通路事故件数データの構成例を示す図である。
【
図5】事故データの割り当て方を説明するための示す図である。
【
図6】本実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図7】事故データ分析処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】(A)及び(B)は、リスク情報の出力例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態の情報処理装置10について、図面を参照しながら説明する。なお、図中同一または対応する部分には同一符号を付す。
【0017】
本実施の形態の情報処理装置10は、事故データと道路データとに基づいて、道路及び交差点を含む各交通路のリスク情報を導出するようになっている。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る情報処理装置10の機能構成を示す機能ブロック図である。情報処理装置10は、事故データ取得部101と、道路データ取得部102と、割当部103と、加算部104と、出力部105と、DB(データベース)110と、から構成される。
【0019】
事故データ取得部101は、交通事故の事故データ(オープンデータ)を蓄積する外部のデータベース、サーバ等から事故データを取得する。事故データは、事故データ取得部101が、ネットワークを介して取得するようにしてもよいし、メモリーカード等の記憶媒体を介して事故データ取得部101に入力されるようにしてもよい。事故データ取得部101は、外部から適宜事故データを取得することで、最新の事故データを取得できればよい。
【0020】
図2は、事故データの構成例を示す図である。
図2に示すように、事故データは、事故発生場所、事故環境、事故形態、損害額等の情報を含む。事故発生場所は、この実施の形態では事故発生場所の住所を想定している。事故環境は、信号有交差点、信号無交差点、直線、高速道路、駐車場等といった、事故発生場所の信号機有無、道路形状、道路線形、場所の種別を示す情報である。事故形態は、追突、接触、出会い頭、人身事故等といった、事故の種別、事故類型を示す情報である。なお、事故データは、事故発生日時、天候、当事者の情報等、他の情報を含んでいてもよい。
【0021】
道路データ取得部102は、地図上の道路、交差点の情報を含む道路データを蓄積する外部のデータベース、サーバ等から道路データを取得する。道路データは、道路データ取得部102が、ネットワークを介して取得するようにしてもよいし、メモリーカード等の記憶媒体を介して道路データ取得部102に入力されるようにしてもよい。道路データ取得部102は、外部から適宜道路データを取得することで、最新の道路データを取得できればよい。
【0022】
図3(A)~(C)は、道路データの構成例を示す図である。道路データは、地図上の道路ネットワークを示すデータとなっており、
図3(A)に示すように、道路の特徴点(交差点、曲がり角、行き止まり等)を示すノードn1~n5と、ノードを結んで道路の形状を示すリンクl1~l4と、を含む情報となっている。なお、
図3(A)は、説明のため、リンクとしてl1~l4のみ図示する。リンクは、パスともいう。
【0023】
また、各ノードは、
図3(B)に示すように、属性情報として、ノード番号、位置座標、ノード種別、接続リンク本数、接続ノード番号、交差点名称等の情報を持っている。ノードの属性情報は、他の情報を含んでいてもよい。
【0024】
各リンクは、
図3(C)に示すように、属性情報として、リンク番号(起終点ノードの番号)、道路種別、路線番号、リンク長、車線数、車道幅員、中央帯幅員、交通量、旅行速度、制限速度、斜度、周辺の地物等の情報を持っている。リンクの属性情報は、他の情報を含んでいてもよい。
【0025】
なお、道路データは、標高、地形、規制情報等、他の情報を含んでいてもよい。
【0026】
割当部103は、事故データに含まれる事故発生場所の住所と事故環境と道路データとに基づいて、事故発生場所を該事故発生場所の住所に隣接する交通路に割り当てる。加算部104は、割当部103が割り当てた交通路それぞれに対して、交通事故件数に対応する数値を加算する。具体的には、
図5に示すように、割当部103は、事故データが示す事故環境が直線である場合、該直線事故の事故件数を、事故データが示す事故発生場所の住所が属するブロックに隣接する各道路に割り当てる。また、割当部103は、事故データが示す事故環境が交差点である場合、該交差点事故の事故件数を、事故データが示す事故発生場所の住所が属するブロックに隣接する各交差点に割り当てる。即ち、事故データに含まれる交通事故の発生場所の住所を、隣接する交通路に移動させる。加算部104は、各交通路に割り当てられた事故件数を加算して累積値をDB110に記憶する。
【0027】
このように、この実施の形態の情報処理装置10では、住所で示される事故発生地点を、隣接する交通路で起きたと見なして隣接する交通路に事故件数を割り当て、その累積値により各交通路の事故件数を評価するようになっている。このようにすることで、事故発生地点が交通路でない住所で示されている場合でも、各交通路の事故件数、リスクを評価することができる。なお、合計の事故件数は大幅に増加するが、各交通路の事故件数の多寡を評価する要素と使用するので問題とはならない。
【0028】
なお、事故データが示す事故環境が駐車場である場合、事故データが示す事故発生場所の住所が、実際の事故発生場所である駐車場の住所を示している可能性が高いため、その事故データは交通路には割り当てない。このようにすることで、事故発生場所の誤った割り当てを防止できる。なお、この実施の形態では、主として交通路(道路、交差点)の事故件数を計数し、その交通路のリスク評価し、リスク情報を導出するが、事故環境が駐車場である場合、その駐車場における事故件数をカウントして記憶し、駐車場毎の事故リスクを評価、導出するようにしてもよい。
【0029】
隣接する交通路の判定方法は、任意でよいが、事故発生場所の住所が示す地点や該住所が属するブロックから、道路幅(例えば3mや3.5m)を基準とした所定距離(例えば道路幅の2倍等)内に存在する交通路は隣接すると判定してもよい。
【0030】
出力部105は、各交通路の事故件数の累積値に基づく情報(リスク情報、リスクマップ)を情報処理装置10の表示装置や、情報処理装置10に接続された外部機器等に出力する。なお、接続された外部機器等とは、インターネット等のネットワークを介して接続された外部機器等を含む。このように出力部105は、任意のデバイスに各交通路の事故件数の累積値に基づく情報(リスク情報、リスクマップ)を出力可能となっている。
【0031】
DB110は、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置から構成され、各交通路の事故件数の累積値を含む交通路事故件数データを記憶する。また、事故データ取得部101が取得した事故データ、道路データ取得部102が取得した道路データを記憶するようにしてもよい。この場合、事故データ取得部101、道路データ取得部102は、DB110に記憶されていない差分データを適宜取得するようにしてもよい。
【0032】
なお、情報処理装置10は、
図1に示した機能部以外の構成を備えていていもよい。
【0033】
図4は、DB110に記憶される交通路事故件数データの一例を示す図である。
図4(A)に示すように、交通路事故件数データは、交通路の識別情報である交通路識別情報、該交通路識別情報に対応する交通路の加算部104による事故件数累積値、事故件数累積値を交通量で除した交通量除算値、交通事故による損害額累計、交通路識別情報に対応する交通路名等を対応付けた情報である。交通路事故件数データは、交通路の属性情報等、他の情報を含んでいてもよい。
【0034】
交通路識別情報は、例えば、加算部104がある交通路について初回に事故件数を加算するときに割り振られるものであればよい。交通路識別情報は、道路データにおけるノード番号、リンク番号を流用してもよい。
【0035】
事故件数累積値は、該交通路のリスク値に相当する。交通量除算値は、加算部104による事故件数累積値を道路データに含まれる交通量データで除算した値であり、この値により交通量を加味したリスク評価を行うことができる。交通量除算値は、加算部104が事故件数を加算するとき等に算出されればよい。
【0036】
損害額累計は、事故データに含まれる損害額を累計したものである。損害額累計は、加算部104が事故件数を加算するとき等に事故データが示す損害額が加算されればよい。
【0037】
交通路名は、道路データのノード、リンクの属性情報が示す交差点、道路名であり、例えば、加算部104がある交通路について初回に事故件数を加算するときに道路データに基づいて記憶される。交通路名は、例えば出力部105が事故件数累積値に基づく情報(リスク情報、リスクマップ)を出力する際に参照される。
【0038】
また、この実施の形態では、事故形態が特定事故形態である場合、特定事故形態のみについての交通路事故件数データを生成し、記憶可能となっている。例えば、加算部104が事故件数を加算するときに、事故データに含まれる事故形態が特定事故形態であるか否かを判別し、特定事故形態であるものについて別データとして交通路事故件数データを生成、記憶すればよい。
【0039】
図4(B)は、特定事故形態として、人身事故の交通路事故件数データを示している。記憶される情報の種類は、
図4(A)に示した交通路事故件数データと同様であるが、事故件数累積値は人身事故件数累積値となり、人身事故件数累積値は歩行者の事故リスク値ともいえる。人身事故を抽出しての交通路事故件数データを生成することで、例えば各交通路における歩行者の事故リスクを分析、評価できる。なお、人身事故以外の特定事故形態についての交通路事故件数データを生成し、記憶するようにしてもよい。特定事故形態を予め設定できるようにしてもよいし、特定事故形態の交通路事故件数データを生成を省略してもよい。
【0040】
情報処理装置10は、メインフレームやワークステーション、あるいはパーソナルコンピュータ(PC)などの1又は複数の物理的な情報処理装置等から構成されていてもよいし、ハイパーバイザー(hypervisor)上で動作する仮想的な情報処理装置を用いて構成されていてもよいし、クラウドサーバを用いて構成されていてもよい。また、情報処理装置10は、専用の装置であってもよい。
【0041】
図6は、情報処理装置10のハードウェア構成例を示す図である。情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical processing unit)等のプロセッサ11、メモリ、HDD及び/又はSSD等の記憶装置12、有線又は無線通信を行う通信インターフェース13、入力操作を受け付ける入力デバイス14、及び情報の出力を行う出力デバイス15を有する。入力デバイス14は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス及び/又はマイク等である。出力デバイス15は、例えば、ディスプレイ及び/又はスピーカ等である。
【0042】
プロセッサ11が記憶装置12に記憶されるプログラムを読み込むことで、
図1に示す各種機能部として動作する。また、記憶装置12は、
図1に示すDB110として機能する。
【0043】
続いて、情報処理装置10の動作について説明する。
図7は、情報処理装置10が実行する事故データ分析処理の一例を示すフローチャートである。事故データ分析処理は、事故データ及び道路データに基づいて、各交通路(道路、交差点)のリスクを分析するための処理である。事故データ分析処理は、情報処理装置10により所定周期で実行されるようにしてもよいし、オペレーター等の操作に応じて実行されるようにしてもよい。
【0044】
事故データ分析処理において、先ず、情報処理装置10のプロセッサ11(事故データ取得部101)は、外部のサーバ等から事故データを取得する(ステップS11)。
【0045】
続いて、プロセッサ11は、取得した事故データ内に、情報処理装置10で処理していない新たな事故データが有るか否かを判定する(ステップS12)。新たな事故データがなければ(ステップS12;No)、事故データ分析処理を終了する。
【0046】
新たな事故データがあれば(ステップS12;Yes)、プロセッサ11(道路データ取得部102)は、外部のサーバ等から道路データを取得する(ステップS13)。
【0047】
続いて、プロセッサ11は、道路データに含まれるリンクのうち1つの道路と見なせる近接リンクを統合する処理を行う(ステップS14)。
【0048】
図3(A)に示すリンクl2とl3、リンクl4とl5のように、中央分離帯がある道路において、道路データでは上下線が別のリンクとなっている場合がある。このようなリンクを1つ道路として扱うため、ステップS14では近接するリンクを統合する処理を行う。
【0049】
ステップS14では、例えば、
図8に示すように、リンクの真ん中の点を代表点とみなし、二つのリンクの代表点間距離の近接判定を行う。そして、二つのリンクの代表点が一定距離以内で近接している場合、それらのリンクは1つの道路であると判定し、それらのリンクを統合する。このとき、二つのリンクの属性情報に含まれる車線数、幅員を加味して近接判定を行ってもよい。例えば、近接判定する距離(閾値)を、車線数×3.5m+αや、幅員+α等としてもよい。この場合の車線数、幅員は、いずれかのリンクの代表値または二つのリンクの平均値とすればよい。なお、各リンクは、
図8に示すように、起点及び終点のノードの情報を持っているので、起点と終点の位置座標に基づいてリンクの代表点を導出すればよい。
【0050】
2つのリンクが1つの道路であるか否かの判定方法はこれに限定されず、例えば、リンクの属性情報に中央帯幅員情報が含まれている場合、1つの道路であると判定するようにしてもよい。また、2つのリンクの起点及び終点のノードの類似度(近接度)や2つのリンクの平行度により、1つの道路であるか否かを判定するようにしてもよい。また、複数の判定方法を組み合わせてもよい。これにより、より正確な判定、リンクの統合が可能になる。
【0051】
2つのリンクを統合する場合、各リンクの持つ交通量、旅行速度といった属性情報も統合してもよいし、2つの属性情報を持つようにしてもよい。属性情報も統合する場合、例えば、最大値等で代表するようにしてもよい。
【0052】
なお、この実施の形態では、中央分離帯を有する道路の上下線と見なせるリンクを統合して1つ道路として扱うが、上下線を別道路して扱うようにしてもよい。この場合、それぞれのリンクが1つの道路に相当することになる。また、この場合、ステップS14の処理は省略すればよい。そして、この場合、後述する事故件数の割り当てについては、事故発生場所の住所に隣接する道路が上下線に分かれている場合、近い方の車線のみに事故件数を割り当てるようにしてもよいし、上下線の両方に事故件数を割り当てるようにしてもよい
【0053】
その後、プロセッサ11(割当部103)は、所定の事故データに含まれる事故発生場所を、事故環境が直線であるか交差点であるかに応じて、該事故発生場所の住所に隣接する交通路(道路または交差点)に割り当てる(ステップS15)。
【0054】
続いて、プロセッサ11は、事故データが事故形態を特定する(ステップS16)。ステップS16では、例えば、事故形態が特定事故形態である人身事故であるか否かを判定する。
【0055】
そして、プロセッサ11(加算部104)は、事故形態に応じて、各交通路の事故件数を加算して事故件数データを更新する(ステップS17)。具体的には、先ず、
図4(A)に示す交通路事故件数データのうち、ステップS15にて割り当てられた交通路に対応する事故件数累積値を1加算して更新する。このとき、交通量除算値や損害額累計も更新する。なお、対応する交通路のデータが未登録の場合は、新たな交通路識別情報を割り振って対応する交通路のデータを生成し、交通路名も記憶する。
【0056】
ステップS16にて特定した事故形態が人身事故の場合、同様に、
図4(B)に示す交通路事故件数データ(人身事故)も更新すればよい。
【0057】
その後、プロセッサ11は、未処理の事故データが有るか否かを判定する(ステップS18)。未処理の事故データがなければ(ステップS18;No)、事故データ分析処理を終了する。未処理の事故データが有れば(ステップS18;Yes)、ステップS15の処理に戻り、未処理の事故データについて、事故発生場所を交通路への割り当てる処理を実行する。
【0058】
このような事故データ分析処理を行うことで、各交通路の交通路事故件数データを生成、更新できる。
【0059】
出力部105は、このようにして生成、更新された交通路事故件数データに基づいて、各交通路のリスク情報やリスクマップを出力することができる。
【0060】
図9は、交通路事故件数データに基づく情報の出力例を示している。出力部105は、例えば、交通路事故件数データが示す交通量除算値や損害額累計が所定の閾値以上である交通路を抽出し、地図上に該交通路のリスク(事故のリスク)が高いことを示す情報を重畳してリスクマップを生成し、出力する。地図データは、インターネット等の外部から取得するようにしてもよいし、道路データに含まれる地図データを流用してもよい。
【0061】
図9(A)は、出力例として例えばカーナビやスマートフォン等に表示されるリスクマップ50を示している。
図9(A)に示す例では、リスクマップ50には、現在地表示51と、道路表示r21~r23等と、交差点表示n21等と、が含まれる。リスクマップ50では、道路表示r21~r23が、事故のリスクに応じて色分けして表示される。例えば、色の濃い道路程、事故のリスクが高いことを示している。また、交差点表示n21は、危険マークを表示することで、事故のリスクが高いことを示している。このように、情報処理装置10は、GIS(Geographic Information System:地理情報システム)として機能する。このようにすることで、運転者や歩行者に対して注意喚起することができる。なお、
図9(A)に示すリスクマップ50は一例であり、リスクマップ50は文字情報(事故多発地点の表示)、画像情報等の事故のリスクを示す他の情報を含んでいてもよいし、事故リスクの注意喚起する音声を出力するようにしてもよい。
【0062】
図9(B)は、出力例として例えば情報処理装置10の出力デバイス15としての表示装置に表示されるリスク情報(交通事故リスク予測)の例を示している。
図9(B)に示す例では、交通事故リスクの高い交通路名、交通事故リスク予測値、歩行者事故リスク予測値、損害額予測が含まれる。例えば、出力部105は、交通路事故件数データが示す交通量除算値や損害額累計が所定の閾値以上である交通路のデータを抽出し、そのデータに対応する交通路名、リスク予測値、損害額予測を生成して出力すればよい。また、オペレーター等の操作により、リスク情報の出力する条件(地域、交通路種別、事故の種類等)を指定できるようにして、リスク情報を検索できるようにしてもよい。この場合、出力部105は、指定された条件に相当する交通路事故件数データをDB110から抽出し、出力形式に変換して出力すればよい。なお、
図9(B)に示す出力例は一例であり、
図4に示した交通路事故件数データに基づく情報が出力されればよい。また、交通路事故件数データに基づく情報とともに、対応する事故データや道路データに含まれる情報を抽出して出力するようにしてもよい。
【0063】
このように、本実施の形態の情報処理装置10によれば、事故データ及び道路データに基づいて、
図9(A)及び(B)に示すようなリスクマップ、交通路のリスク情報を好適に導出することができる。
【0064】
また、事故データは、個人情報でもあるため、正確な事故発生場所を記録したり、事故データをそのまま公開すると個人情報保護の観点で問題が生ずるおそれがある。本実施の形態の情報処理装置10によれば、個人情報を含まない形で、事故データに基づくリスク情報を出力することができるので、そのような問題を解決できる。
【0065】
(変形例)
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。例えば、上記実施の形態の一部の省略、置き換え、任意の構成の追加等が可能である。
【0066】
事故リスクの高い交通路の属性情報を分析することで、交通路の特性と事故リスクの相関関係、係数を導出するようにしてもよい。また、その導出結果に基づいて、事故がまだ発生していない交通路、新規に開通する道路、周辺に新たな施設ができる交通路等のリスク予測を行うようにしてもよい。
【0067】
情報処理装置10は、専用の装置によらず、通常のコンピュータを用いて実現可能である。例えば、コンピュータに上述の機能を実行するためのプログラムを格納した記録媒体から該プログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の処理を実行する情報処理装置10を構成してもよい。また、複数のコンピュータが協同して動作することによって、1つの情報処理装置10を構成しても良い。
【0068】
また、コンピュータにプログラムを供給するための手法は、任意である。例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システム等を介して供給しても良い。
【0069】
また、上述の機能の一部をOS(Operation System)が提供する場合には、OSが提供する機能以外の部分をプログラムで提供すれば良い。
【0070】
以上説明した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0071】
10…情報処理装置、11…プロセッサ、12…記憶装置、13…通信インターフェース、14…入力デバイス、15…出力デバイス、50…リスクマップ、101…事故データ取得部、102…道路データ取得部、103…割当部、104…加算部、105…出力部、110…DB