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特開2024-144876運航支援装置、運航支援方法およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144876
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】運航支援装置、運航支援方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/00 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
G08G5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057039
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】内田 健介
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 大輔
(72)【発明者】
【氏名】吉原 香織
(72)【発明者】
【氏名】田川 勉
(72)【発明者】
【氏名】八幡 知倫
(72)【発明者】
【氏名】岡田 伶実
(72)【発明者】
【氏名】大城 智洋
(72)【発明者】
【氏名】安達 英夫
(72)【発明者】
【氏名】荒井 貴成
(72)【発明者】
【氏名】大場 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】八幡 正典
(72)【発明者】
【氏名】板倉 州優
(72)【発明者】
【氏名】石川 和広
(72)【発明者】
【氏名】田中 優美
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA26
5H181BB04
5H181BB20
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF22
(57)【要約】
【課題】 飛行計画の不備のために飛行計画をスムーズに登録できずに手間取るという事態を削減することによりによってエアモビリティの運航を支援する。
【解決手段】 運航支援装置は、受付部と判定部と出力部とを備える。受付部は、エアモビリティの飛行計画の情報を受け付ける。判定部は、予め与えられている判定基準を用いて、受け付けた飛行計画が適正であるか否かを判定する。出力部は、判定部による判定結果を出力する。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアモビリティの飛行計画の情報を受け付ける受付部と
予め与えられている判定基準を用いて、受け付けた飛行計画が適正であるか否かを判定する判定部と、
判定結果を出力する出力部と
を備える運航支援装置。
【請求項2】
受付部により受け付けられた飛行計画を用いて、飛行計画に関連する飛行計画関連情報を、受け付けられた飛行計画を発信した発信元に提供する提供部をさらに備える
請求項1に記載の運航支援装置。
【請求項3】
前記飛行計画関連情報は、飛行計画についてのリスクに関する情報を含む
請求項2に記載の運航支援装置。
【請求項4】
予め定められた支援対象のエアモビリティの飛行計画であって登録システムに登録された飛行計画について、外部の情報源から取得した情報を用いて、飛行計画に関する新たなリスクが発生したか否かを判定し、飛行計画に関する新たなリスクが発生した場合には当該判定の結果を出力する支援部をさらに備える
請求項1に記載の運航支援装置。
【請求項5】
前記判定部が用いる判定基準には、地図情報を用いる判定基準が含まれており、
前記判定部が用いる記憶装置に格納されている地図情報に関連する収集対象の情報を取集し、収集した情報を解析した解析結果を用いてその地図情報を更新する更新部をさらに備える
請求項1に記載の運航支援装置。
【請求項6】
前記判定部により適正であると判定された飛行計画を運航者に代わって登録システムに登録する代行登録部をさらに備える
請求項1に記載の運航支援装置。
【請求項7】
コンピュータによって、
エアモビリティの飛行計画の情報を受け付け、
予め与えられている判定基準を用いて、受け付けた飛行計画が適正であるか否かを判定し、
判定結果を出力する
運航支援方法。
【請求項8】
エアモビリティの飛行計画の情報を受け付ける処理と
予め与えられている判定基準を用いて、受け付けた飛行計画が適正であるか否かを判定する処理と、
判定結果を出力する処理と
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドローンや空飛ぶクルマなどのエアモビリティの運航を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エアモビリティを用いた空の利活用を実現するために、エアモビリティの機体開発や運航管理のルール検討などが行われている。ここでのエアモビリティとは、電動垂直離着陸型航空機であり、UAV(Unmanned Aerial Vehicle(ドローンとも称される))や空飛ぶクルマが例として挙げられる。このようなエアモビリティの利活用の拡大に伴う安全の確保のために、飛行計画の登録や閲覧を行うシステムが、ドローンに関しては構築され、空飛ぶクルマに関しては検討されているというように整備されてきている。
【0003】
なお、特許文献1(国際公開第2020/242447号)は航空機の飛行計画の評価に関し、特許文献1には、飛行計画の地上リスク値と空中リスク値を算出し、算出した情報を含むリスク評価の情報を航空機のオペレータに送付する技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/242447号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドローンなどの無人航空機にあっては、特定飛行として定められている飛行空域や方法での飛行を行う場合には、飛行許可・承認の手続を行うだけでなく、さらに、飛行計画の登録(通報)が必要である。しかしながら、無人航空機の運航者が飛行計画を指定の登録システムに登録しようとする場合に、飛行計画の不備のためにスムーズに登録できない場合がある。つまり、飛行計画には、予め定められた多くの情報を含めなければならず、人的ミスにより情報抜けが生じてしまう場合がある。また、飛行計画には、予定されている出発地から目的地までの飛行経路の情報を含ませなければならないが、その飛行経路が飛行禁止空域を通過する経路となっているというような適切でない飛行経路である場合がある。このような不備のために、運航者が飛行計画を登録システムに登録する場合に、飛行計画をスムーズに登録できずに手間取ることがある。なお、ドローン以外の空飛ぶクルマなどのエアモビリティに関しても、飛行計画の登録が本格化した場合に同様の事態が生じることが想定される。
【0006】
本発明は上記課題を解決するために考え出された。すなわち、本発明の主な目的は、飛行計画の不備のために飛行計画をスムーズに登録できずに手間取るという事態を削減することによりによってエアモビリティの運航を支援する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る運航支援装置は、その一態様として、
エアモビリティの飛行計画の情報を受け付ける受付部と
予め与えられている判定基準を用いて、受け付けた飛行計画が適正であるか否かを判定する判定部と、
判定結果を出力する出力部と
を備える。
【0008】
また、本発明に係る運航支援方法は、その一態様として、
コンピュータによって、
エアモビリティの飛行計画の情報を受け付け、
予め与えられている判定基準を用いて、受け付けた飛行計画が適正であるか否かを判定し、
判定結果を出力する。
【0009】
さらに、本発明に係るコンピュータプログラムは、その一態様として、
エアモビリティの飛行計画の情報を受け付ける処理と
予め与えられている判定基準を用いて、受け付けた飛行計画が適正であるか否かを判定する処理と、
判定結果を出力する処理と
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、飛行計画の不備のために飛行計画をスムーズに登録できずに手間取るという事態を削減することによりによってエアモビリティの運航を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る実施形態の運航支援装置の構成例を説明する図である。
図2】運航支援装置における動作の一例を表すフローチャートである。
図3】本発明に係る運航支援装置の別の実施形態の構成例を説明する図である。
図4】運航支援装置がエアモビリティから位置情報を取得する構成を説明する図である。
図5】運航支援装置のさらに別の実施形態の構成例を説明する図である。
図6】運航支援装置のさらにまた別の実施形態の構成例を説明する図である。
図7】運航支援装置のその他の実施形態の構成例を説明する図である。
図8】運航支援装置のその他の実施形態における動作の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
<第1実施形態>
本発明に係る第1実施形態の運航支援装置は、図1に表されるような構成を備えている。この運航支援装置1は、エアモビリティの運航者(以下、単に運航者とも称する)により生成された飛行計画が適正であるか否かの判定結果の情報を運航者に、登録システム8に登録する前に提供できる構成を備えている。すなわち、運航支援装置1は端末装置4に接続されている。端末装置4は、運航者が操作するコンピュータ装置であり、運航支援装置1との間で情報を通信する通信機能を備えている。図1の例では、運航支援装置1に接続されている端末装置4は1つであるが、運航支援装置1に接続される端末装置4の数は限定されず、複数であってもよい。つまり、運航支援装置1は、複数の運航者の端末装置4と接続可能である。
【0014】
ここでは、端末装置4は、運航者により生成されたエアモビリティの飛行計画の情報を運航者の操作により運航支援装置1に出力可能である。飛行計画には、法律や規則などにより予め定められた次のような事項が含まれる。例えば、飛行計画に含まれる主な事項としては、飛行の日時、飛行経路、機体の登録記号(届出番号)、機体の型式、操縦者(運航者)の氏名、飛行の目的、飛行高度、飛行速度、出発地、目的地、目的地に到着するまでの所要時間などがある。
【0015】
運航支援装置1は、必要に応じて、1つ又は複数の情報源6に接続される。情報源6は、運航支援装置1が処理を実行する場合に用いる情報を出力する情報源である。情報源6の一例として、エアモビリティが飛行する空域(飛行空域)の気象情報を出力する情報源が挙げられる。
【0016】
さらに、運航支援装置1は、データベース7に接続される。このデータベース7は、登録システム8に登録された飛行計画が格納されるデータベースである。
【0017】
運航支援装置1は、図1に表されるように、演算装置10と、記憶装置20とを備えている。記憶装置20は、データや、コンピュータプログラム(以下、プログラムとも称する)21を記憶する記憶媒体を備えている。ここでは、運航支援装置1に備えられる記憶装置20の種類や数は限定されず、その説明は省略される。また、運航支援装置1に複数種の記憶装置が備えられる場合には、それらをまとめて記憶装置20と記すこととする。なお、運航支援装置1は、外部の記憶装置(図示せず)と接続し、当該記憶装置への情報の書き込み(格納)や当該記憶装置からの情報の読み出しを行う場合があるが、以下の説明では、そのような場合についての説明は省略される。
【0018】
演算装置10は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサにより構成される。演算装置10は、記憶装置20に記憶されているプログラム21を読み出して実行することにより、当該プログラム21に基づいた様々な機能を持つことができる。ここでは、演算装置10は、エアモビリティの運航支援に関わる機能部として、受付部11と、判定部12と、出力部13と、提供部14とを有している。
【0019】
受付部11は、端末装置4から運航支援装置1に向けて出力された飛行計画の情報を受け付ける。また、受付部11は、受け付けた飛行計画の情報を、例えば運航者ごとに記憶装置20に格納する。記憶装置20に格納された飛行計画には、当該飛行計画を識別する飛行計画識別情報が付与されている。
【0020】
判定部12は、予め与えられている判定基準を用いて、受付部11により受け付けられた飛行計画が適正であるか否かを判定する。判定基準は、飛行計画が適正であるか否かを判定する基準である。換言すれば、ここでの判定基準は、飛行計画が登録システム8に登録できる状態になっているか否かを判定する基準である。前述したように飛行計画には複数の事項が含まれることから、ここでは、判定基準として、複数の判定基準が与えられる。また、飛行計画における必須事項や、飛行計画に含まれる飛行経路に関しては、法律や規則が関係する事柄であることから、判定基準は、法律や規則に基づいた判定基準が設定される。つまり、ここでは、判定基準は、法律や規則に基づいた適宜な判定基準が設定されればよく、限定されるものではない。このため、判定基準の詳細な説明を省略するが、具体例を挙げると、次のような判定基準が挙げられる。
【0021】
例えば、判定基準の一つとしては、適正な事項として、飛行計画に必須事項が抜けなく含まれていることという基準がある。また、別の判定基準の一つとしては、適正な事項として、飛行経路に飛行禁止空域が含まれていないことという基準がある。この判定基準が与えられる場合には、記憶装置20には、飛行禁止空域などの情報を含む地図情報が予め格納される。換言すれば、その判定部12が用いる判定基準は、地図情報を用いる判定基準であり、当該判定基準が与えられている場合には、判定部12は、記憶装置20における地図情報と、その判定基準とを用いて、飛行計画が適正であるか否かを判定する。
【0022】
さらに、別の判定基準の一つとしては、適正な事項として、飛行経路が飛行許可申請の必要な空域を通過する経路である場合に当該必要な飛行許可申請が成されていることという基準がある。この判定基準が与えられる場合であってそのような飛行許可申請の有無を表す情報が飛行計画の必須事項でない場合には、例えば、飛行計画とは別の情報として、飛行許可申請の必要な空域を通過する許可(承認)を取得しているか否かの情報が運航者から取得されることとなる。
【0023】
さらに、別の判定基準の一つとしては、適正な事項として、飛行計画に含まれている飛行日時および飛行経路に表されている飛行(以下、飛行計画に表されている飛行日時および飛行経路の飛行を判定対象の運航計画飛行とも称する)が他のエアモビリティの飛行の予定と重複している部分が無いことという基準がある。この判定基準が与えられる場合には、判定部12は、データベース7に格納されている他のエアモビリティの飛行計画を参照し、判定対象の運航計画飛行と重複する飛行の予定が含まれている他のエアモビリティの飛行計画の有無を判定することとなる。
【0024】
判定部12は、上述したような判定基準を用いて、飛行計画が適正であるか否かを判定する。また、判定部12は、判定した結果(判定結果)を、判定した飛行計画に関連付けられる態様でもって記憶装置20に格納する。
【0025】
出力部13は、判定部12による判定結果を、判定した飛行計画の発信元である端末装置4に出力する。例えば、前述したように、判定部12が判定処理で用いる判定基準は複数であることから、それら判定基準のそれぞれの判定結果および総合的な判定結果が飛行計画の判定結果として出力部13から出力される。
【0026】
第1実施形態の運航支援装置1は、判定部12による判定結果を出力部13によって端末装置4(運航者)に出力するだけでなく、さらに、運航者にとって有用な情報を端末装置4(運航者)に出力(提供)する機能を備える。
【0027】
提供部14が端末装置4(運航者)に出力する情報は、飛行計画に関連する情報(以下、飛行計画関連情報とも称する)である。飛行計画関連情報の一例としては、飛行計画に含まれている飛行経路が飛行許可申請の必要な空域を通過する経路であるのにも拘わらず判定部12の判定結果により飛行許可申請が出されていないと判定された場合に、未申請の飛行許可申請に関する情報が挙げられる。未申請の飛行許可申請に関する情報とは、例えば、飛行許可申請に関する説明や申請フォームそのものの情報であってもよいし、そのような説明や申請フォームが記載されているウェブサイトにアクセスするリンク情報であってもよい。
【0028】
また、飛行計画関連情報の別の一例としては、飛行計画に表されている飛行日時における飛行経路の周辺で行われるイベント(例えば花火大会、街頭演説)の情報が挙げられる。
【0029】
上述したような飛行許可申請に関する情報やイベントの情報は、情報源6から運航支援装置1により取得されて記憶装置20に格納されていたり、運航支援装置1の操作者により入力されて記憶装置20に格納されていたりする。この場合には、提供部14により記憶装置20から読み出された飛行許可申請に関する情報やイベントの情報が端末装置4に提供される。また、イベントの情報のように内容が更新されていく情報の場合には、例えば、提供部14が、そのような情報を出力する情報源6から飛行計画に応じた最新の情報を読み出して端末装置4に出力(提供)してもよい。
【0030】
さらに、提供部14により提供される飛行計画関連情報の別の例としては、受付部11により受け付けられた飛行計画とは別の飛行計画が挙げられる。その別の飛行計画は、受け付けられた飛行計画を基に生成された飛行計画である。このような別の飛行計画が提供される場合には、提供部14は、受け付けられた飛行計画に含まれている情報を用いて飛行計画を立てる機能を備える。例えば、提供部14は、飛行計画に表されている出発時刻や飛行経路を変更した1つ又は複数の飛行計画を生成する。
【0031】
さらに、飛行計画関連情報の別の例として、判定対象の運航計画飛行(飛行計画に表されている飛行日時および飛行経路の飛行)に関するリスクについての情報が挙げられる。この場合には、提供部14は、飛行計画に含まれている情報を用いて、判定対象の運航計画飛行が持つリスクの情報を記憶装置20などから検索して提供する機能を備える。例えば、空域が複数の領域(以下、区分空域とも称する)に区分されており、区分空域ごとに、エアモビリティの飛行に悪影響を与えることが懸念されるリスクの情報が記憶装置20に予め与えられる。換言すれば、空域ごとに空域識別情報(空間ID(IDentification)とも称する)が付与され、空域識別情報に関連付けられたリスクの情報が記憶装置20に予め与えられる。提供部14は、飛行計画に含まれている飛行経路に対応する区分空域の空域識別情報を用いて、記憶装置20からリスクの情報を検索し、当該リスクの情報を記憶装置20から読み出して飛行計画関連情報として提供する。リスクの情報の一例としては、例えば、高層の建物が多い空域であるから建物への衝突事故やビル風による突風による危険性が高く、また、街中であるから落下した場合に人的被害が出てしまう危険性が高いというような情報がある。
【0032】
また、提供部14は、判定対象の運航計画飛行に関するリスクの情報として、判定対象の運航計画飛行におけるリスクの度合いを表すリスク値の情報を飛行計画関連情報として提供してもよい。例えば、提供部14は、区分空域ごとの予め与えられたリスク値の情報を用いて、判定対象の運航計画飛行におけるリスク値を算出し、算出したリスク値を飛行計画関連情報として提供してもよい。なお、このようなリスク値を算出する手法はここでは限定されず、適宜な算出手法が採用されてよく、その詳細な説明は省略される。また、例えば、エアモビリティの種類によって、リスク値の算出手法を異ならせるというように、ここで用いられるリスク値の算出手法は1つに限定されない。さらに、例えば、用途には輸送、空撮、警備、測量というように複数の種類があり、用途の種類によって、運航に際して注目される事項(例えば、到着予定時刻、速度、エネルギー消費量、飛行経路などの事項)における優先事項が異なる場合がある。このような場合、到着予定時刻が優先事項である運航にとっては到着の遅延のリスクは、到着予定時刻が優先事項でない運航におけるリスクに比べて高くなる。つまり、同じような飛行日時および飛行経路の飛行であっても用途によってリスクが異なることが考えられる。このようなことから、リスク値を算出する場合に、用途が考慮されたリスク値を算出する手法が用いられてもよい。
【0033】
上述したように提供部14が提供する飛行計画関連情報には様々な種類の情報が考えられる。提供部14が端末装置4に提供する飛行計画関連情報の種類や種類数はここでは限定されず、予め設定された種類および種類数の飛行計画関連情報が提供部14から端末装置4に提供される。また、その提供タイミングは、例えば、判定部12による判定結果の出力と合わせたタイミングが考えられる。
【0034】
第1実施形態の運航支援装置1は上述したような構成を備えている。次に、第1実施形態の運航支援装置1における動作の一例を、図2を参照ながら説明する。図2は、第1実施形態の運航支援装置1における動作の一例を説明するフローチャートである。
【0035】
例えば、受付部11が端末装置4から飛行計画の情報を受け付けると(ステップ101)、判定部12が、予め与えられている判定基準を用いて、受け付けた飛行計画が適正であるか否かを判定する(ステップ102)。一方、提供部14が、受け付けた飛行計画を用いた飛行計画関連情報の提供に関わる処理を実行する(ステップ103)。飛行計画関連情報の提供に関わる処理とは、例えば、受け付けた飛行計画に関連する情報を記憶装置20や情報源6から取得して端末装置4に提供する処理や、受け付けた飛行計画に表されている判定対象の運航計画飛行に関するリスクの情報を提供する処理である。
【0036】
その後、出力部13が判定部12による判定結果を、判定された飛行計画を発信した発信元の端末装置4に出力する(ステップ104)。また、提供部14がその端末装置4に提供する飛行計画関連情報がある場合には、提供部14が飛行計画関連情報を飛行計画の発信元の端末装置4に出力する。
【0037】
然る後に、例えば、運航者は、運航支援装置1により判定された飛行計画の判定結果や飛行計画関連情報を参照し、飛行計画を見直して変更したり、例えば端末装置4を用いて飛行計画を登録システム8に登録したりする。また、運航者が飛行計画を見直して変更した後に、変更した後の飛行計画が端末装置4から運航支援装置1に出力されると、運航支援装置1は、ステップ101以降の動作を実行することになる。
【0038】
第1実施形態の運航支援装置1は上述したような構成を備えているため、飛行計画を登録システム8に登録する前に、運航者が飛行計画の不備に気付く情報(つまり、判定結果)を提供でき、運航者に飛行計画の見直しを促すことができる。これにより、運航者が飛行計画を登録システム8に登録する際には、登録対象の飛行計画を適正なものとすることができ、不備があるために登録作業に手間取るという事態を運航支援装置1は軽減できる。すなわち、運航支援装置1は、スムーズな飛行計画の登録につながる情報を提供することによりエアモビリティの運航を支援していると言える。
【0039】
また、第1実施形態の運航支援装置1は、提供部14を備えており、飛行計画が適正であるか否かの判定の結果だけでなく、飛行計画に関わる飛行計画関連情報を運航者に提供できる。飛行計画関連情報は、飛行計画を運航者が見直しする際などに有効な情報である。つまり、飛行計画関連情報の提供は、飛行計画関連情報が提供されない場合に比べて飛行計画の見直しに係る時間の短縮化を図ることができる。また、リスクに関する情報が飛行計画関連情報として運航者に提供される場合には、運航支援装置1は、リスクが少ない飛行計画の策定に寄与できるという効果を奏することができる。
【0040】
<第2実施形態>
以下に、本発明に係る第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態の運航支援装置の構成と同一名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0041】
第2実施形態の運航支援装置1は、第1実施形態の運航支援装置1の構成に加えて、図3に表されているような支援部15を備える。支援部15は、予め定められた支援対象のエアモビリティの飛行計画であって登録システム8に登録された飛行計画について、情報源6から取得した情報を用いて、飛行計画に関する新たなリスクが発生したか否かを判定し、リスクの度合いによっては飛行計画の見直しを提案する。
【0042】
すなわち、支援部15は、登録システム8に登録された支援対象のエアモビリティの飛行計画について、例えば情報源6から取得した情報を用いて、飛行計画における出発までは、計画されている飛行日時および飛行経路の飛行に新たなリスクが生じたか否かを監視する。情報源6から取得する情報としては、例えば、天気予報やイベント情報などが例として挙げられる。リスクとしては、例えば、飛行経路となる空域が飛行日時に悪天候になる予報であるというリスクが挙げられる。また、飛行経路に道路の上方のコリドーが含まれている場合にそのコリドーの近くで飛行日時に大きな催しが開催される予定であり、コリドーの下の道路が混雑することが予想されエアモビリティの万が一の落下による運航の危険性が高くなるというリスクが挙げられる。
【0043】
また、支援部15は、支援対象のエアモビリティの飛行計画における飛行期間においても、飛行計画について、情報源6から取得した情報を用いてリスクの発生の有無を引き続き監視する。なお、ここでは、運航支援装置1は、支援対象のエアモビリティが実際に飛行しているという情報や実際の飛行位置を取得してもよいし、そのような飛行位置の情報を取得せずに支援対象のエアモビリティの飛行計画に関する支援部15による監視が行われてもよい。運航支援装置1が支援対象のエアモビリティの飛行位置を取得する場合には、例えば、運航支援装置1は、図4に表されるような飛行中のエアモビリティ2から発信された位置情報を、受信装置3を介して取得する。エアモビリティ2から発信される位置情報は、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System:全地球航法衛星システム)を利用してエアモビリティ2により算出される情報である。
【0044】
さらに、支援部15は、上述したような飛行計画における飛行前や飛行中のリスクの監視によって、新たなリスクが発生したと判断した場合には、新たに発生したリスクの内容と、予め定められている見直し基準とを用いて、飛行計画の見直しの要否が判定される。見直し基準は、運航支援装置1が情報源6から取得できる情報の種類に基づいて定められるものであり、ここでは限定されないが、見直し基準の一例として、次のような基準が挙げられる。例えば、見直しが必要な状況として、風速が閾値以上になるという気象予報が出されたという見直し基準が一例として挙げられる。
【0045】
さらに、支援部15は、飛行計画の見直しが必要であると判定した場合には、その見直し対象の飛行計画よりもリスクを低減させた1つ又は複数の飛行計画を見直し案として生成し、この見直し案の飛行計画を、対応するエアモビリティの運航者の端末装置4に提案(出力)する。ここでは、見直し案の飛行計画が端末装置4に提案される場合には、飛行計画を見直す要因となったリスクの内容を説明する情報も端末装置4(運航者)に出力される。
【0046】
また、支援部15は、例えば、複数の見直し案の飛行計画を提案する場合に、見直し案の飛行計画のそれぞれにリスクの情報を付与してもよい。例えば、見直し案Aに、リスクの情報として、飛行経路の安全性は高いが遠回りであるためバッテリー消費量が多いというリスクがあるというような情報が付与される。また、見直し案Bには、リスクの情報として、飛行距離が短いが、飛行の時間帯が変更されて夜間であるというリスクがあるというような情報が付与される。
【0047】
なお、飛行中のエアモビリティの飛行計画を見直す場合には、飛行している位置から目的地までの飛行経路が見直されることになるが、実際の飛行位置を運航支援装置1が取得していない場合がある。この場合には、そのような運航支援装置1は、例えば、登録済みの飛行計画から飛行位置が推定されて飛行経路が見直される。
【0048】
支援部15から見直し案の飛行計画が提案された運航者にあっては、例えば、飛行計画を見直す要因となったリスクの内容を説明する情報をも参照しながら、飛行計画を変更するか否か、また、飛行計画を変更する場合には見直し案の飛行計画を採用するか否かが判断される。そして、見直し案の飛行計画を採用すると運航者により判断された場合には、見直し案の飛行計画に変更したエアモビリティの運航が行われることとなる。
【0049】
第2実施形態の運航支援装置1における上述した構成以外の構成は、第1実施形態の運航支援装置1の構成と同様である。
【0050】
第2実施形態の運航支援装置1は、第1実施形態の運航支援装置1と同様の構成を備えていることから、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。その上、第2実施形態の運航支援装置1は、支援部15を備えており、登録システム8に登録された飛行計画について新たなリスクの発生の有無を支援部15により監視できる。そして、飛行計画の変更が必要なリスクが発生した場合には、第2実施形態の運航支援装置1は、支援部15により見直し案の飛行計画を運航者に提案できる。このような機能は、運航支援装置1の利便性を高め、エアモビリティの飛行(運航)の更なる支援を図ることができる。
【0051】
なお、第2実施形態では、支援部15は、見直しが必要と判定した場合には、その判定結果だけでなく、見直し案の飛行計画も運航者に向けて出力されるが、装置の負荷軽減などの理由により、支援部15にける見直し案の飛行計画の提案に係る処理は省略されてもよい。
【0052】
<その他の実施形態>
本発明は、第1や第2の実施形態に限定されず、様々な実施の形態を採り得る。例えば、第1や第2の実施形態に加えて、運航支援装置1は、図5に表されるような代行登録部16が備えられてもよい。代行登録部16は、運航者(つまり、端末装置4)からの要求に応じて、運航者に代わって、判定部12により適正であると判定された飛行計画を登録システム8に登録する。なお、運航者が登録システム8に飛行計画を登録する際に利用するシステムの登録用画面は、入力し易さを考慮した画面構成となっている。登録システム8は、そのような画面を用いて入力された情報を用いて、飛行計画の書類データを生成してデータベース7に登録する。運航支援装置1は、そのような飛行計画の書類データに関するテンプレートの情報を予め登録システム8から取得し、飛行計画テンプレートとして記憶装置20に格納しておく。代行登録部16は、判定部12により適正であると判定された飛行計画から飛行計画テンプレートに挿入する情報を抽出し、抽出した情報を飛行計画テンプレートに挿入することにより飛行計画を生成する。そして、代行登録部16は、生成した飛行計画をデータベース7に登録する。
【0053】
代行登録部16は、さらに、次のような機能を備えていてもよい。例えば、飛行計画に関連する飛行許可・承認の手続きが必要な場合に、代行登録部16は、そのような飛行許可・承認の手続きに関しても代行する機能を備える。このような代行登録部16を備えることにより、運航支援装置1は、運航者における飛行計画の登録の手間を軽減することができる。さらに、代行登録部16によって飛行計画に関連する飛行許可・承認の手続きも代行する機能を備えることにより、運航支援装置1は、複数の手続きのワンストップ化を図ることができ、さらに、利便性を高めることができる。
【0054】
また、運航支援装置1は、第1や第2の実施形態に加えて、図6に表されるような更新部18が備えられていてもよい。なお、図6に示される運航支援装置1は、第1又は第2の実施形態と同様の構成を備えているが、図6では、第1又は第2の実施形態の説明で述べた構成部分の図示が省略されている。
【0055】
更新部18は、記憶装置20に格納されている地図情報を更新する機能を備える。つまり、前述したような飛行計画に関連する判定処理や、別の飛行計画の提案に係る処理などにおいて地図情報が用いられることが想定され、これにより、記憶装置20に地図情報が格納される場合がある。ここでは、地図情報とは、道路や建物の位置を単に示す情報だけではなく、土地や建物の高さの情報を含む情報である。例えば、更地に建物が建設されたり、建設中のビルが高層であって徐々に建物の高さが高くなったりするというように、実際の空間においては変化していく事項がある。このため、そのような変化に応じて地図情報が更新されなければ、地図情報には、実際の空間とは異なる情報が含まれている状態となる。このような状態は、運航支援装置1が実行する処理の結果に悪影響を及ぼすおそれがある。このようなことを考慮し、更新部18は、次のような処理を実行することにより記憶装置20の地図情報を更新する。例えば、更新部18は、地図情報に関連する収集対象の情報を取集する。収集対象の情報とは、例えば、エアモビリティに搭載されたカメラの撮影画像や、エアモビリティに搭載されたライダーなどの距離や形状を測定するセンサからの出力情報や、SNS(Social Networking Service)などに投稿された情報などである。また、更新部18は、そのように収集した情報を例えばAI(Artificial Intelligence)技術を用いて解析し、解析結果を用いて記憶装置20に格納されている情報のうち、変化した事項を含む情報を抽出し、抽出した情報を解析結果を用いて更新する。このような更新部18により、記憶装置20に格納されている地図情報は、実際の空間での変化に応じて更新していくことができ、地図情報が古いことによる問題発生を抑制できる。
【0056】
また、第1や第2の実施形態では、運航支援装置1は提供部14を備えているが、例えば、処理に係る負荷を軽減すべく提供部14が省略された運航支援装置1が構成されてもよい。
【0057】
また、本発明に係るその他の実施形態の運航支援装置は、図7に示されるような構成を備える。この運航支援装置50は、例えばコンピュータ装置であり、コンピュータ装置がコンピュータプログラムを実行することにより実現される機能部として、受付部51と判定部52と出力部53とを備える。受付部51は、エアモビリティの飛行計画の情報を受け付ける。判定部52は、予め与えられている判定基準を用いて、受け付けた飛行計画が適正であるか否かを判定する。出力部53は、判定部52による判定結果を出力する。
【0058】
以下に、その他の実施形態の運航支援装置50における動作の一例を、図8を参照しながら説明する。図8は、その他の実施形態の運航支援装置50における動作の一例を説明するフローチャートである。
【0059】
例えば、受付部51がエアモビリティの飛行計画の情報を受け付けると(ステップ201)、判定部52が、受け付けた飛行計画が適正であるか否かを、判定基準を用いて判定する(ステップ202)。その後、出力部53が、判定部52による判定結果を出力する。出力された判定結果が、飛行計画が適正でないという判定であった場合には、例えば、運航者により適正なものにするために飛行計画が立て直される。これにより、運航支援装置は、飛行計画の不備のために飛行計画をスムーズに登録できずに手間取るという事態を削減できる。
【符号の説明】
【0060】
1,50 運航支援装置
11,51 受付部
12,52 判定部
13,53 出力部
14 提供部
15 支援部
16 代行登録部
18 更新部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8