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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144877
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/04 20060101AFI20241004BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H02K5/04
H02K7/116
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057042
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】白井 寛
(72)【発明者】
【氏名】加藤 瞬
【テーマコード(参考)】
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
5H605AA08
5H605BB05
5H605BB10
5H605CC01
5H605CC02
5H605DD01
5H605DD09
5H605EC20
5H605GG01
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC01
5H607DD03
5H607DD08
5H607EE31
5H607JJ04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】製造コストが増大することを抑制した電動アクチュエータを提供する。
【解決手段】モータ9と、モータシャフト23の回転を出力シャフト66に伝達する伝達機構60と、ステータと接触するステータカバー40と、ケース10と、を備える。ケース本体11は、ステータを支持する第1位置決め部12cと、ステータの径方向の位置を決める第2位置決め部12eと、を有する。ステータカバーの径方向外側を向く面は、ケース本体の径方向内側を向く面と径方向に接触する。ケース本体の径方向内側を向く面には、径方向外側に窪み、周方向に延びる第1周溝12gが設けられる。ステータカバーの径方向外側を向く面には、径方向内側に窪み、周方向に延び、且つ、第1周溝と径方向に対向する第2周溝42aが設けられる。第1周溝および第2周溝によって構成される空間部には、第1周溝の内部および第2周溝の内部に跨って位置する接着剤55が充填されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸線を中心として回転可能なモータシャフトを有するロータと、前記ロータの径方向外側に配置されるステータと、を有するモータと、
前記モータシャフトの回転を出力シャフトに減速して伝達する伝達機構と、
前記ステータの軸方向一方側に配置され、前記ステータと軸方向に接触するステータカバーと、
前記モータ、前記伝達機構、および前記ステータカバーのそれぞれを内部に収容するケースと、
を備え、
前記ケースは、軸方向一方側に開口する開口部を有する筒状のケース本体と、前記開口部を覆う蓋部材と、を有し、
前記ケース本体は、前記ステータを軸方向他方側から支持する第1位置決め部と、前記ケース本体に対する前記ステータの径方向の位置を決める第2位置決め部と、を有し、
前記ステータカバーの径方向外側を向く面は、前記ケース本体の径方向内側を向く面と径方向に接触し、
前記ケース本体の径方向内側を向く面には、径方向外側に窪み、周方向に延びる第1周溝が設けられ、
前記ステータカバーの径方向外側を向く面には、径方向内側に窪み、周方向に延び、且つ、前記第1周溝と径方向に対向する第2周溝が設けられ、
前記第1周溝および前記第2周溝によって構成される空間部には、前記第1周溝の内部および前記第2周溝の内部に跨って位置する接着剤が充填されている、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記第1周溝および前記第2周溝のそれぞれは、周方向に沿って一周に亘って延びる、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記ステータカバーと前記ケース本体との少なくとも一方は、前記空間部と前記ケースの内部の空間とを繋ぐ接続部を有する、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記接続部は、互いに周方向に沿って間隔を空けて複数配置される、請求項3に記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
複数の前記接続部のうち2つの接続部は、前記モータ軸線を径方向に挟む位置に配置される、請求項4に記載の電動アクチュエータ。
【請求項6】
前記接続部の内部には、接着剤が充填されている、請求項3から5のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項7】
前記接続部は、前記ステータカバーに設けられ、前記空間部から軸方向一方側に延びる孔である、請求項3から5のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項8】
前記ケース本体および前記ステータカバーは、それぞれ、樹脂製である、請求項1から5のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータを収容するケースにステータを固定する構成の電動アクチュエータが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-68520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電動アクチュエータにおいてケースにステータを圧入して固定する構成では、ケースとステータとの締め代が大きい場合、ケースに加わる圧入荷重が増大するためケースに亀裂が発生する虞がある。また、ケースとステータとの締め代が小さい場合、電動アクチュエータの温度変動に伴うケースおよびステータの熱収縮によって圧入荷重が低下してしまい、強固にステータをケースに固定できない虞があった。したがって、ケースに加わる圧入荷重を軽減しつつ、強固にステータをケースに固定するためには、ケースおよびステータの寸法精度を高める必要があるが、この場合では、ケースおよびステータの製造コストが増大するため、電動アクチュエータの製造コストが増大していた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、製造コストが増大することを抑制できる電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、モータ軸線を中心として回転可能なモータシャフトを有するロータと、前記ロータの径方向外側に配置されるステータと、を有するモータと、前記モータシャフトの回転を出力シャフトに減速して伝達する伝達機構と、前記ステータの軸方向一方側に配置され、前記ステータと軸方向に接触するステータカバーと、前記モータ、前記伝達機構、および前記ステータカバーのそれぞれを内部に収容するケースと、を備える。前記ケースは、軸方向一方側に開口する開口部を有する筒状のケース本体と、前記開口部を覆う蓋部材と、を有する。前記ケース本体は、前記ステータを軸方向他方側から支持する第1位置決め部と、前記ケース本体に対する前記ステータの径方向の位置を決める第2位置決め部と、を有する。前記ステータカバーの径方向外側を向く面は、前記ケース本体の径方向内側を向く面と径方向に接触する。前記ケース本体の径方向内側を向く面には、径方向外側に窪み、周方向に延びる第1周溝が設けられる。前記ステータカバーの径方向外側を向く面には、径方向内側に窪み、周方向に延び、且つ、前記第1周溝と径方向に対向する第2周溝が設けられる。前記第1周溝および前記第2周溝によって構成される空間部には、前記第1周溝の内部および前記第2周溝の内部に跨って位置する接着剤が充填されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、電動アクチュエータにおいて、製造コストが増大することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の電動アクチュエータを示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。
図3図3は、第1実施形態の電動アクチュエータを示す断面図であって、図2のIII-III断面図である。
図4図4は、第1実施形態の電動アクチュエータの一部を示す上面図である。
図5図5は、第1実施形態の電動アクチュエータの一部を示す拡大断面図である。
図6図6は、第1実施形態の電動アクチュエータの他の一部を示す拡大断面図である。
図7図7は、第1実施形態のステータ固定工程を示す第1の断面図である。
図8図8は、第1実施形態のステータ固定工程を示す第2の断面図である。
図9図9は、第2実施形態の電動アクチュエータを示す第1の断面図である。
図10図10は、第2実施形態の電動アクチュエータを示す第2の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、正の側(+Z側)を上側とし、負の側(-Z側)を下側とする上下方向である。X軸方向は、Z軸方向と直交し、正の側(+X側)を右側とし、負の側(-X側)を左側とする左右方向である。Y軸方向は、X軸方向およびZ軸方向の両方と直交し、正の側(+Y側)を前側とし、負の側(-Y側)を後側とする前後方向である。なお、左側、右側、前側、後側、上側、および下側は、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0010】
各図に示すモータ軸線J1が延びる方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。モータ軸線J1は、仮想軸線である。以下の説明において、モータ軸線J1と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。モータ軸線J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。モータ軸線J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。本実施形態において、上側(+Z側)は軸方向一方側に相当し、下側(-Z側)は軸方向他方側に相当する。
【0011】
周方向は、各図において矢印θ1で示される。周方向のうち矢印θ1が向く側を「周方向一方側」と呼ぶ。周方向のうち矢印θ1が向く側と逆側を「周方向他方側」と呼ぶ。周方向一方側は、上側から見てモータ軸線J1回りに時計回りに進む側である。周方向他方側は、軸方向一方側から見てモータ軸線J1回りに反時計回りに進む側である。
【0012】
<第1実施形態>
図1に示す本実施形態の電動アクチュエータ1は、車両に取り付けられる。より詳細には、電動アクチュエータ1は、例えば、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるパーク・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される。図2に示すように、電動アクチュエータ1は、ケース10と、モータ9と、ステータカバー40と、伝達機構60と、出力シャフト66と、回路基板80と、を備える。
【0013】
ケース10は、モータ9、ステータカバー40、伝達機構60、出力シャフト66、および回路基板80を内部に収容する。ケース10は、ケース本体11と、蓋部材16と、を有する。ケース本体11は、モータ軸線J1を囲む筒状である。ケース本体11は、上側、すなわち軸方向一方側に開口する開口部12bを有する。ケース本体11は、第1収容部12と、第2収容部14と、コネクタ部15と、を有する。第2収容部14は、第1収容部12の上側に配置される。第1収容部12と第2収容部14とは軸方向に繋がる。本実施形態において、ケース本体11は、樹脂製である。ケース本体11は、金属製であってもよい。
【0014】
第1収容部12は、ケース本体11の下側の部分である。第1収容部12は、軸方向に延びる筒状の第1周壁部12aと、第1周壁部12aの下端から径方向内側に広がる底壁部13と、を有する。
【0015】
底壁部13には、孔部13aおよび軸受保持部13bが設けられる。孔部13aは、底壁部13を軸方向に貫通する孔である。軸方向に見て、孔部13aは、モータ軸線J1を中心とする円形状である。孔部13aには、フィルタ部材95が着脱可能に取り付けられる。フィルタ部材95は、ケース10の内部とケース10の外部とを通気可能なフィルタである。フィルタ部材95と孔部13aの内側面との間にはOリング96が配置される。Oリング96は、フィルタ部材95とケース10との間を封止する。
【0016】
軸受保持部13bは、底壁部13から上側に突出する。軸受保持部13bは、モータ軸線J1を中心とする円筒状である。軸受保持部13bの内周面には、第1軸受91が保持される。本実施形態において、第1軸受91は、ボールベアリングである。
【0017】
第1周壁部12aは、モータ軸線J1を囲む筒状である。第1周壁部12aは、モータ9の下側の部分およびステータカバー40を径方向外側から囲む。軸方向に見て、第1周壁部12aの内周面は、モータ軸線J1を中心とする円形状である。第1周壁部12aは、第1位置決め部12cと、第1段差面12dと、第2位置決め部12eと、第1周溝12gと、ケース突出部12hと、を有する。
【0018】
第1位置決め部12cは、上側を向く段差面である。第1位置決め部12cは、第1周壁部12aの内側面の一部である。軸方向に見て、第1位置決め部12cは、モータ軸線J1を中心とする円環状である。第1段差面12dは、上側を向く段差面である。第1段差面12dは、第1周壁部12aの内側面の一部である。軸方向に見て、第1段差面12dは、モータ軸線J1を中心とする円環状である。第1段差面12dは、第1位置決め部12cよりも上側に配置される。第1段差面12dの内径は、第1位置決め部12cの内径よりも大きい。
【0019】
第2位置決め部12eは、モータ軸線J1を囲み軸方向に延びる円筒状である。軸方向に見て、第2位置決め部12eの内周面は、モータ軸線J1を中心とする円形状である。第2位置決め部12eは、第1周壁部12aのうち、第1位置決め部12cと第1段差面12dとの間の部分である。第2位置決め部12eの内周面の下端は、第1位置決め部12cの径方向外縁と繋がる。第2位置決め部12eの内周面の上端は、第1段差面12dの径方向内縁と繋がる。
【0020】
第1周溝12gは、第1周壁部12aの内周面から径方向外側に窪む溝である。すなわち、ケース本体11の径方向内側を向く面には、第1周溝12gが設けられる。第1周溝12gは、第1段差面12dよりも上側に配置される。図3に示すように、第1周溝12gは、周方向に延びる。第1周溝12gは、周方向に沿って一周に亘って延びる。図2に示すように、周方向に見て、第1周溝12gは、径方向外側に凸となる半円形状である。周方向に見て、第1周溝12gは、矩形状および三角形状等の他の形状であってもよい。第1周溝12gの内部には、接着剤55が充填されている。
【0021】
ケース突出部12hは、第1収容部12の上側を向く面のうち、右側(+X側)の縁部から上側に突出する円柱状である。ケース突出部12hの上側を向く面には、下側に窪む雌ねじ穴が設けられる。図4に示すように、本実施形態において、ケース突出部12hは、2個設けられる。各ケース突出部12hは、前後方向(Y軸方向)に間隔をあけて配置される。
【0022】
図2に示すように、第2収容部14は、ケース本体11の上側の部分である。第2収容部14は、モータ軸線J1を囲み、軸方向に突出する筒状である。第2収容部14は、回路基板80を径方向外側から囲む。図1に示すように、軸方向に見て、第2収容部14の左側(-X側)の部分は、モータ軸線J1を中心とする略半円弧状である。軸方向に見て、第2収容部14の右側(+X側)の部分は、長辺が前後方向(Y軸方向)に延びる略矩形状である。図2に示すように、第2収容部14の内側面の右側の部分は、第1収容部12の内周面よりも右側に位置する。
【0023】
コネクタ部15は、第1収容部12から右側(+X側)に突出する筒状である。コネクタ部15は、複数のコネクタピン15aを保持する。複数のコネクタピン15aの右側の端部は、コネクタ部15の内部に位置する。複数のコネクタピン15aは、回路基板80と電気的に接続される。
【0024】
蓋部材16は、ケース本体11の上端に固定される。蓋部材16は、ケース本体11の開口部12bを上側から覆う。蓋部材16は、蓋収容部16aと、フランジ部16dと、を有する。蓋収容部16aは、軸方向に突出する箱状である。蓋収容部16aは、下側に開口する。蓋収容部16aの内部とケース本体11の内部とは軸方向に繋がる。蓋収容部16aの内部には、伝達機構60が収容される。図1に示すように、軸方向に見て、蓋収容部16aの左側(-X側)の部分は、モータ軸線J1を中心とする略半円形状である。軸方向に見て、蓋収容部16aの右側(+X側)の部分は、長辺が前後方向(Y軸方向)に延びる略矩形状である。蓋収容部16aには、蓋孔部16bが設けられる。
【0025】
蓋孔部16bは、蓋収容部16aを軸方向に貫通する孔である。軸方向に見て、蓋孔部16bは、出力軸線J2を中心とする円形状である。出力軸線J2は、モータ軸線J1と平行な方向に延びる仮想軸線である。出力軸線J2は、モータ軸線J1の右側(+X側)に位置する。以下の説明では、出力軸線J2を中心とする径方向を単に「出力径方向」と呼び、出力軸線J2を中心とする周方向を単に「出力周方向」と呼ぶ。出力周方向は、各図において矢印θ2で示される。
【0026】
フランジ部16dは、蓋収容部16aの下端から軸方向と直交する方向に広がる板状である。軸方向に見て、フランジ部16dの外縁は、第2収容部14と重なる。フランジ部16dの外縁は、第2収容部14に固定される。これにより、蓋部材16は、ケース本体11に固定される。なお、蓋部材16とケース本体11とは、図示しないボルト等によって固定されてもよいし、熱溶着によって固定されてもよい。
【0027】
図2に示すように、モータ9は、ロータ20と、ステータ30と、を有する。ロータ20は、モータ軸線J1を中心として回転可能である。ロータ20は、ロータコア21と、図示しない磁石と、モータシャフト23と、を有する。ロータコア21は、モータ軸線J1を中心とする円環状である。ロータコア21は、第1収容部12の内部に収容される。磁石は、ロータコア21に固定される。本実施形態において、磁石は、周方向に間隔をあけて複数配置される。
【0028】
モータシャフト23は、モータ軸線J1を中心として回転可能である。モータシャフト23は、モータ軸線J1を中心として軸方向に延びる略円柱状である。モータシャフト23は、第1収容部12の内部、第2収容部14の内部、および蓋収容部16aの内部に跨って延びている。モータシャフト23の外周面には、ロータコア21が固定されている。モータシャフト23の下端は、ロータコア21よりも下側に位置する。モータシャフト23は、第1軸受91および第2軸受92によって、モータ軸線J1回りに回転可能に支持されている。
【0029】
ステータ30は、ロータ20を径方向外側から囲む。ステータ30は、ロータ20の径方向外側に配置される。ステータ30は、ロータ20と径方向に隙間を介して対向して配置される。ステータ30は、第1収容部12の内部に収容される。ステータ30は、ステータコア31と、インシュレータ32と、コイル部35と、を有する。
【0030】
ステータコア31は、ロータコア21を径方向外側から囲む環状である。ステータコア31は、ロータ20と径方向に隙間を介して対向する。図3に示すように、ステータコア31は、コアバック部31aと、複数のティース部31bと、を有する。コアバック部31aは、モータ軸線J1を中心とする環状である。図2に示すように、コアバック部31aは、ケース本体11の第2位置決め部12eに隙間嵌めされている。これにより、ケース本体11に対するステータ30の径方向の位置が決まる。つまり、第2位置決め部12eによって、ケース本体11に対するステータ30の径方向の位置が決まる。コアバック部31aの下側を向く面である第1支持面31dは、第1位置決め部12cと軸方向に接触する。これにより、ケース本体11は、ステータ30を下側、すなわち軸方向他方側から支持する。よって、ケース本体11に対するステータ30の軸方向の位置が決まる。
【0031】
図3に示すように、複数のティース部31bは、コアバック部31aから径方向内側に突出する。本実施形態において、ステータコア31は、6個のティース部31bを有する。各ティース部31bは、周方向に沿って間隔をあけて配置される。インシュレータ32は、ステータコア31に装着される。インシュレータ32は、ステータコア31とコイル部35とを絶縁する。
【0032】
図2に示すように、コイル部35は、複数のコイル本体部35aと、コイル引出線35bと、を有する。複数のコイル本体部35aのそれぞれは、インシュレータ32を介してティース部31bに装着される。コイル引出線35bは、コイル本体部35aから上側に引き出されて、回路基板80と接続される。これにより、コイル部35は、回路基板80と電気的に接続される。図4に示すように、本実施形態において、コイル部35は、6個のコイル引出線35bを有する。なお、コイル部35と回路基板80は、バスバー等の導電性を有する部材を介して電気的に接続されていてもよい。
【0033】
回路基板80は、軸方向と直交する方向に広がる板状である。回路基板80は、ステータ30よりも上側に配置される。回路基板80は、第2収容部14の内部に収容される。回路基板80には、コイル引出線35bが接続される。回路基板80には、第1基板孔80a、第2基板孔80b、第3基板孔80c、および第4基板孔80dが設けられる。第1基板孔80a、第2基板孔80b、第3基板孔80c、および第4基板孔80dのそれぞれは、回路基板80を軸方向に貫通する孔である。
【0034】
軸方向に見て、第1基板孔80aは、モータ軸線J1を中心とする略円形状である。第1基板孔80aには、モータシャフト23が軸方向に通される。軸方向に見て、第2基板孔80bは、略円形状である。回路基板80には、3個の第2基板孔80bが設けられる。1個の第2基板孔80bは、回路基板80の左側(-X側)の縁部に設けられる。図示は省略するが、他の2個の第2基板孔80bは、前後方向(Y軸方向)にモータ軸線J1を挟んで配置される。
【0035】
第3基板孔80cは、回路基板80の右側(+X側)の縁部に設けられる。軸方向に見て、第3基板孔80cは、略円形状である。本実施形態において、回路基板80には、2個の第3基板孔80cが設けられる。各第3基板孔80cは、前後方向(Y軸方向)に間隔をあけて配置される。各第3基板孔80cの周縁は、ケース本体11のケース突出部12hに下側から支持される。これにより、ケース本体11に対する回路基板80の軸方向の位置が決まる。ねじ98が各第3基板孔80cを軸方向に通され、ケース突出部12hの雌ねじ穴に締め込まれると、回路基板80はケース本体11に固定される。軸方向に見て、第4基板孔80dは、出力軸線J2を中心とする略円形状である。第4基板孔80dには、出力シャフト66が軸方向に通される。
【0036】
伝達機構60は、回路基板80の上側に配置される。伝達機構60は、蓋収容部16aの内部に収容される。伝達機構60は、モータシャフト23および出力シャフト66に連結される。伝達機構60は、モータシャフト23の回転を出力シャフト66に伝達する。本実施形態において、伝達機構60は、モータシャフト23の回転を出力シャフト66に減速して伝達する。伝達機構60は、モータシャフト23の回転を出力シャフト66に増速して伝達してもよいし、出力シャフト66にモータシャフト23の回転と同じ回転速度の回転を伝達してもよい。伝達機構60は、モータギヤ61と、第1段ギヤ62と、第2段ギヤ63と、出力ギヤ64と、を有する。モータシャフト23の回転は、モータギヤ61、第1段ギヤ62、第2段ギヤ63、出力ギヤ64、および出力シャフト66の順に伝達される。
【0037】
モータギヤ61は、モータシャフト23の回転を第1段ギヤ62に伝達する。モータギヤ61は、モータ軸線J1を中心とする円環板状である。モータギヤ61の内周面は、モータシャフト23の上端に固定される。これにより、モータギヤ61は、モータシャフト23と共にモータ軸線J1回りに回転する。モータギヤ61の径方向外側を向く面には、モータ歯車部が設けられる。
【0038】
第1段ギヤ62は、モータギヤ61の回転を第2段ギヤ63に伝達する。第1段ギヤ62は、出力軸線J2を中心とする円環板状である。第1段ギヤ62の内部には、出力シャフト66が軸方向に通される。第1段ギヤ62は、出力シャフト66によって出力軸線J2を中心に回転可能に支持される。第1段ギヤ62は、第1大径ギヤ62aと、第1小径ギヤ62bと、を有する。第1大径ギヤ62aと第1小径ギヤ62bとは、同一の単一部材の一部である。
【0039】
第1大径ギヤ62aは、出力軸線J2を中心とする円環板状である。第1大径ギヤ62aは、モータギヤ61と径方向に対向する。第1大径ギヤ62aの出力径方向外側を向く面には、第1大径歯車部が設けられる。第1大径歯車部は、モータ歯車部と噛み合う。第1大径歯車部の歯数は、モータ歯車部の歯数よりも大きい。これにより、モータシャフト23およびモータギヤ61の回転は、第1段ギヤ62に減速して伝達される。第1小径ギヤ62bは、出力軸線J2を中心とする円環板状である。第1小径ギヤ62bは、第1大径ギヤ62aの下側に配置される。第1小径ギヤ62bの出力径方向外側を向く面には、第1小径歯車部が設けられる。
【0040】
第2段ギヤ63は、第1段ギヤ62の回転を出力ギヤ64に伝達する。第2段ギヤ63は、モータ軸線J1を中心とする円環板状である。第2段ギヤ63の内部には、モータシャフト23が軸方向に通される。第2段ギヤ63は、モータシャフト23によってモータ軸線J1を中心に回転可能に支持される。第2段ギヤ63は、第2大径ギヤ63aと、第2小径ギヤ63bと、を有する。第2大径ギヤ63aと第2小径ギヤ63bとは、同一の単一部材の一部である。
【0041】
第2大径ギヤ63aは、モータ軸線J1を中心とする円環板状である。第2大径ギヤ63aは、第1小径ギヤ62bと径方向に対向する。第2大径ギヤ63aの径方向外側を向く面には、第2大径歯車部が設けられる。第2大径歯車部は、第1小径歯車部と噛み合う。第2大径歯車部の歯数は、第1小径歯車部の歯数よりも大きい。これにより、第1段ギヤ62の回転は、第2段ギヤ63に減速して伝達される。第2小径ギヤ63bは、モータ軸線J1を中心とする円環板状である。第2小径ギヤ63bは、第2大径ギヤ63aの下側に配置される。第2小径ギヤ63bの径方向外側を向く面には、第2小径歯車部が設けられる。
【0042】
出力ギヤ64は、第2段ギヤ63の回転を出力シャフト66に伝達する。出力ギヤ64は、出力軸線J2を中心とする円環板状である。出力ギヤ64の内周面は、出力シャフト66に固定される。これにより、出力シャフト66は、出力ギヤ64と共に出力軸線J2を中心として回転する。出力ギヤ64の出力径方向外側を向く面には、出力歯車部が設けられる。出力歯車部は、第2小径歯車部と噛み合う。出力歯車部の歯数は、第2小径歯車部の歯数よりも大きい。これにより、第2段ギヤ63の回転は、出力ギヤ64に減速して伝達される。上述のように、モータギヤ61の回転は、第1段ギヤ62に減速して伝達され、第1段ギヤ62の回転は、第2段ギヤ63に減速して伝達される。これらにより、伝達機構60は、モータシャフト23の回転を減速して出力シャフト66に伝達する。
【0043】
出力シャフト66は、電動アクチュエータ1の駆動力を出力する。出力シャフト66は、出力軸線J2を中心として軸方向に延びる略円柱状である。出力シャフト66は、出力軸線J2回りに回転可能である。出力シャフト66は、第1段ギヤ62および出力ギヤ64の内部を軸方向に通される。出力シャフト66は、回路基板80の第4基板孔80dを軸方向に通される。出力シャフト66の上側の部分は、蓋孔部16bを軸方向に通される。出力シャフト66は、蓋孔部16bの内周面によって出力軸線J2回りに回転可能に支持される。出力シャフト66の下側の部分は、第3軸受93によって出力軸線J2回りに回転可能に支持される。出力シャフト66の上端は、ケース10の外部に露出する。出力シャフト66の上端を含む部分は、図示しない被駆動部材と連結される。これにより、電動アクチュエータ1は、被駆動部材を駆動可能である。本実施形態では、上述のように、伝達機構60は、モータシャフト23の回転を減速して出力シャフト66に伝達する。したがって、電動アクチュエータ1は、モータシャフト23の回転トルクに対して、出力シャフト66の回転トルクを増大できるため、被駆動部材を円滑に駆動できる。
【0044】
ステータカバー40は、軸方向と直交する方向に広がる板状である。ステータカバー40は、第1収容部12の内部に配置される。ステータカバー40は、第1周壁部12aに径方向外側から囲まれる。ステータカバー40は、ステータ30の上側、すなわち軸方向一方側に配置される。ステータカバー40は、回路基板80の下側に配置される。本実施形態において、ステータカバー40は、樹脂製である。ステータカバー40は、金属製であってもよい。ステータカバー40は、カバー本体部41と、カバー固定部42と、を有する。
【0045】
カバー本体部41は、軸方向と直交する方向に広がる板状である。図4に示すように、本実施形態において、カバー本体部41は、モータ軸線J1を中心とする円環板状である。カバー本体部41は、第1カバー孔部41bと、第2カバー孔部41fと、第3カバー孔部41hと、突出部41iと、を有する。第1カバー孔部41b、第2カバー孔部41f、および第3カバー孔部41hのそれぞれは、カバー本体部41を貫通する孔である。また、図2に示すように、カバー本体部41は、カバー凹部41eを有する。
【0046】
軸方向に見て、第1カバー孔部41bは、モータ軸線J1を中心とする円形状である。第1カバー孔部41bには、モータシャフト23が軸方向に通される。図4に示すように、軸方向に見て、第2カバー孔部41fは、円形状である。本実施形態において、カバー本体部41は、3個の第2カバー孔部41fを有する。3個の第2カバー孔部41fは、周方向に沿って略等間隔をあけて配置される。各第2カバー孔部41fには、2個のコイル引出線35bが、軸方向に通される。軸方向に見て、第3カバー孔部41hは、出力軸線J2を中心とする円形状である。図2に示すように、第3カバー孔部41hには、出力シャフト66が軸方向に通される。第3カバー孔部41hには、第3軸受93が取り付けられる。第3軸受93は、出力シャフト66の下側の部分を出力軸線J2回りに回転可能に支持する。本実施形態において、第3軸受93は、滑り軸受である。第3軸受93は、ボールベアリングであってもよい。
【0047】
カバー凹部41eは、カバー本体部41の下側を向く面から上側に窪む。カバー凹部41eは、モータ軸線J1を中心として周方向一周に亘って延びる。カバー凹部41eの内部には、インシュレータ32の上側の部分および複数のコイル本体部35aの上側の部分が配置される。
【0048】
突出部41iは、カバー本体部41から上側に突出する円柱状である。図4に示すように、本実施形態において、カバー本体部41は、3個の突出部41iを有する。1個の突出部41iは、カバー本体部41の左側(-X側)の縁部と繋がる。他の2個の突出部41iは、モータ軸線J1を前後方向(Y軸方向)に挟んで配置される。他の2個の突出部41iは、カバー本体部41の前後方向の縁部と繋がる。各突出部41iには、各突出部41iの上側を向く面から下側に窪む雌ねじ穴が設けられる。図2に示すように、各突出部41iは、回路基板80の各第2基板孔80bそれぞれの周縁を下側から支持する。これにより、ステータカバー40に対する回路基板80の軸方向の位置が決まる。後述するように、ステータカバー40は、ケース本体11に固定される。よって、ステータカバー40を介して、ケース本体11に対する回路基板80の軸方向の位置が決まる。また、ねじ98が各第2基板孔80bを軸方向に通され、各突出部41iの雌ねじ穴に締め込まれると、回路基板80はステータカバー40に固定される。回路基板80は、ステータカバー40を介して、ケース本体11に固定される。
【0049】
カバー固定部42は、カバー本体部41の径方向外縁から下側に突出する。カバー固定部42は、モータ軸線J1を中心とする円環状である。カバー固定部42の内周面のうち上側の部分は、カバー本体部41の径方向外縁と繋がる。カバー固定部42の下端は、カバー本体部41の下端よりも下側に位置する。カバー固定部42の下側を向く面は、ステータコア31のコアバック部31aの上側を向く面である第2支持面31eと軸方向に接触する。これにより、ステータカバー40は、ステータ30を上側から支持する。よって、ステータカバー40に対する、ステータ30の軸方向の位置が決まる。後述するように、ステータカバー40は、ケース本体11に固定される。よって、ステータカバー40を介して、ケース本体11に対するステータコア31の軸方向の位置が決まる。カバー固定部42の外周面は、ケース本体11の内周面と径方向に接触する。つまり、ステータカバー40の径方向外側を向く面は、ケース本体11の径方向内側を向く面と径方向に接触する。本実施形態において、カバー固定部42は、ケース本体11に隙間嵌めされている。これにより、ケース本体11に対するステータカバー40の径方向の位置が決まる。なお、カバー固定部42の下端は、ケース本体11の第1段差面12dと軸方向に接触してもよいし、第1段差面12dと接触しなくてもよい。カバー固定部42は、第2周溝42aと、接続部43と、を有する。つまり、本実施形態において、ステータカバー40は、接続部43を有する。
【0050】
第2周溝42aは、カバー固定部42の外周面から径方向内側に窪む溝である。すなわち、ステータカバー40の径方向外側を向く面には、第2周溝42aが設けられる。図3に示すように、第2周溝42aは、周方向に延びる。第2周溝42aは、周方向に沿って一周に亘って延びる。図2に示すように、周方向に見て、第2周溝42aは、径方向内側に凸となる半円形状である。周方向に見て、第2周溝42aは、矩形状および三角形状等の他の形状であってもよい。第2周溝42aは、第1周溝12gと径方向に対向する。これより、第2周溝42aの内部と第1周溝12gの内部とが径方向に繋がる。第1周溝12gの内部空間と第2周溝42aの内部空間とは、空間部50を構成する。すなわち、空間部50は、第1周溝12gおよび第2周溝42aによって構成される。周方向に見て、空間部50は、円形状の空間である。図3に示すように、空間部50は、周方向一周に亘って構成される。図2に示すように、第2周溝42aの内部には、接着剤55が充填されている。上述のように、第1周溝12gの内部には、接着剤55が充填されている。つまり、空間部50には、第1周溝12gの内部および第2周溝42aの内部に跨って位置する接着剤55が充填されている。これにより、ステータカバー40は、ケース本体11に固定される。図3に示すように、接着剤55は、周方向一周に亘って空間部50に充填されている。
【0051】
なお、本実施形態において、接着剤55としては、例えば、エポキシ樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、およびフェノール樹脂系接着剤などの熱硬化性を有する接着剤を用いることができる。本実施形態において、接着剤55は、エポキシ樹脂系接着剤である。
【0052】
図2に示すように、本実施形態において、接続部43は、カバー固定部42の上側を向く面から下側に延びる孔である。接続部43は、第2周溝42aと繋がる。接続部43は、空間部50から上側、すなわち軸方向一方側に延びる孔である。これにより、接続部43は、空間部50とケース10の内部の空間とを繋ぐ。図3に示すように、軸方向に見て、接続部43は、円形状である。軸方向に見て、接続部43は、矩形状および三角形状等の他の形状であってもよい。本実施形態において、カバー固定部42は、複数の接続部43を有する。本実施形態において、カバー固定部42は、2個の接続部43を有する。接続部43は、第1接続部43aと、第2接続部43bとを、を含む。なお、カバー固定部42は、3個以上の接続部43を有してもよい。
【0053】
第1接続部43aは、カバー固定部42の左側(-X側)の縁部に設けられる。図5に示すように、第1接続部43aは、空間部50とケース10の内部の空間とを繋ぐ。図4に示すように、第2接続部43bは、カバー固定部42の右側(+X側)の縁部に設けられる。すなわち、複数の接続部43は、周方向に互いに間隔をあけて複数配置される。図6に示すように、第2接続部43bは、空間部50とケース10の内部の空間とを繋ぐ。また、図4に示すように、2つの接続部43a,43bは、モータ軸線J1を径方向に挟む位置に配置される。図3に示すように、空間部50は、第1空間部50aと、第2空間部50bと、を有する。第1空間部50aは、第1接続部43aから周方向他方側(-θ1側)に向けて延びる。第1空間部50aは、第1接続部43aと第2接続部43bとを繋ぐ。第2空間部50bは、第1接続部43aから周方向一方側(+θ1側)に向けて延びる。第2空間部50bは、第1接続部43aと第2接続部43bとを繋ぐ。上述のように、2つの接続部43a,43bは、モータ軸線J1を径方向に挟む位置に配置されるため、第1空間部50aの周方向の長さは、第2空間部50bの周方向の長さと同じ長さである。また、図5に示すように、第1接続部43aの内部には、接着剤55が充填されている。図6に示すように、第2接続部43bの内部には、接着剤55が充填されている。つまり、接続部43の内部には、接着剤55が充填されている。
【0054】
次に、本実施形態の電動アクチュエータ1のステータ固定工程Msについて説明する。ステータ固定工程Msは、電動アクチュエータ1の製造工程の一部である。ステータ固定工程Msでは、ケース本体11にステータ30およびステータカバー40を固定する。ステータ固定工程Msは、ケース本体11にモータ9の各部等を取り付ける第1ステップS1と、ケース本体11にステータカバー40を取り付ける第2ステップS2と、空間部50に接着剤55を充填する第3ステップS3と、を有する。なお、本明細書において「作業者等」とは、ステータ固定工程Msの各作業を行う作業者および組立装置等を含む。各作業は、作業者のみによって行われてもよいし、組立装置のみによって行われてもよいし、作業者と組立装置とによって行われてもよい。
【0055】
第1ステップS1では、図7に示すように、作業者等は、図示しない治具等に固定したケース本体11に、ロータ20およびステータ30等のモータ9の各部と、第1軸受91と、を取り付ける。モータ9の各部は、開口部12bを介して、ケース本体11の内部に取り付けられる。このとき、ステータコア31の外周面は、ケース本体11の第2位置決め部12eに隙間嵌めされる。これにより、ケース本体11に対するステータ30の径方向の位置が決まる。また、ステータコア31の第1支持面31dは、第1位置決め部12cと軸方向に接触する。これにより、ステータ30は、ケース本体11によって下側から支持される。ケース本体11にモータ9の各部が取り付けられると、第1ステップS1は終了する。
【0056】
第2ステップS2では、作業者等は、第2軸受92を取り付けたステータカバー40をケース本体11の上側から下側に移動し、開口部12bを介して、ケース本体11の内部に挿入する。このとき、第1カバー孔部41bおよび第2カバー孔部41fのそれぞれには、モータシャフト23およびコイル引出線35bのそれぞれが軸方向に通される。図8に示すように、作業者等は、カバー固定部42の下側を向く面がステータコア31の第2支持面31eと軸方向に接触するまで、ステータカバー40を下側に移動させると、ステータカバー40の移動を停止する。このとき、第1周溝12gと第2周溝42aとは径方向に対向している。よって、第1周溝12gおよび第2周溝42aによって、空間部50が構成される。また、カバー固定部42の外周面は、第1周壁部12aに隙間嵌めされている。これにより、ケース本体11にステータカバー40が取り付けられる。ケース本体11にステータカバー40が取り付けられると、第2ステップS2は終了する。
【0057】
第3ステップS3では、作業者等は、まず、開口部12bを介して図示しない充填治具をケース本体11の内部に挿入し、充填治具のノズルを第1接続部43aの内部に挿入する。次に、作業者等は、充填治具によって、第1接続部43aから空間部50に図示しない液状の接着剤55を充填する。第1接続部43aから空間部50に流れ込んだ液状の接着剤55は、図3に示す、第1空間部50aおよび第2空間部50bのそれぞれを第2接続部43bに向けて流れる。その後、第1空間部50aおよび第2空間部50bのそれぞれを流れる液状の接着剤55は第2接続部43bに達し、第2接続部43bを介してカバー固定部42の上側を向く面に漏れ出る。作業者等は、液状の接着剤55がカバー固定部42の上側を向く面に漏れ出たことを確認すると、液状の接着剤55の充填を終了する。その後、作業者等が、液状の接着剤55を硬化させると、ステータカバー40は、ケース本体11に固定される。上述のように、カバー固定部42の下側を向く面は、ステータコア31の第2支持面31eと軸方向に接触している。よって、ステータ30は、ステータカバー40を介してケース本体11によって上側から支持される。また、上述のように、ステータコア31の第1支持面31dは、第1位置決め部12cと軸方向に接触しているため、ステータ30は、ケース本体11によって下側から支持されている。これらにより、ケース本体11に対するステータコア31の軸方向の位置が決まる。ステータカバー40がケース本体11に固定されると、第3ステップS3が終了する。第3ステップS3が終了すると、ステータ固定工程Msは終了する。
【0058】
本実施形態によれば、接続部43は、ステータカバー40に設けられ、空間部50から上側、すなわち軸方向一方側に延びる孔である。よって、ステータ固定工程Msの第3ステップS3において、開口部12bを介して、容易に充填治具のノズルを第1接続部43aの内部に挿入できる。そのため、第3ステップS3において、液状の接着剤55を空間部50に充填する作業の作業性を高めることができる。よって、ステータ固定工程Msの作業工数が増大することを抑制できるため、電動アクチュエータ1の製造工数および製造コストが増大することを抑制できる。
【0059】
本実施形態によれば、電動アクチュエータ1は、ステータ30の上側、すなわち軸方向一方側に配置され、ステータ30と軸方向に接触するステータカバー40を備え、ケース10は、上側に開口する開口部12bを有する筒状のケース本体11を有し、ケース本体11は、ステータ30を下側、すなわち軸方向他方側から支持する第1位置決め部12cを有し、ステータカバー40の径方向外側を向く面は、ケース本体11の径方向内側を向く面と径方向に接触し、ケース本体11の径方向内側を向く面には、径方向外側に窪み、周方向に延びる第1周溝12gが設けられ、ステータカバー40の径方向外側を向く面には、径方向内側に窪み、周方向に延び、且つ、第1周溝12gと径方向に対向する第2周溝42aが設けられ、第1周溝12gおよび第2周溝42aによって構成される空間部50には、第1周溝12gの内部および第2周溝42aの内部に跨って位置する接着剤55が充填されている。
【0060】
ステータ30をケース本体11に圧入して固定する構成では、締め代が大きすぎる場合、ケース本体11に加わる圧入荷重が大きくなる。そのため、ケース本体11が樹脂製の場合、ケース本体11に亀裂が発生する虞があった。また、締め代が小さすぎる場合、電動アクチュエータ1の温度が上昇すると、ケース本体11の熱膨張によってケース本体11とステータ30との間の圧入荷重が低下し易くなる。そのため、ケース本体11に対するステータ30の軸方向の位置がずれる虞があった。特に、ケース本体11が樹脂製の場合、ケース本体11は大きく熱膨張するため、ケース本体11とステータ30との圧入荷重が低下し、ケース本体11に対するステータ30の軸方向の位置のずれが発生し易かった。したがって、係る構成の電動アクチュエータでは、ケース本体11およびステータ30の寸法精度を高める必要があった。
【0061】
これに対して、本実施形態では、空間部50に充填される接着剤55によって、ステータ30を上側から支持するステータカバー40をケース本体11に固定できる。よって、ケース本体11とステータカバー40とを圧入によって固定しなくても、ケース本体11に対するステータカバー40の軸方向の位置がずれることを抑制できる。また、上述のように、ケース本体11の第1位置決め部12cおよびステータカバー40によって、ステータ30を軸方向両側から支持できる。よって、ケース本体11とステータ30とを圧入によって固定しなくても、ケース本体11に対するステータ30の位置が軸方向にずれることを抑制できる。よって、ステータ30およびステータカバー40それぞれからケース本体11に加わる力を小さくできるため、ケース本体11が樹脂製であっても、ケース本体11に亀裂が発生することを抑制できる。したがって、ケース本体11、ステータカバー40、およびステータ30の寸法精度を緩和し易いため、ケース本体11、ステータカバー40、およびステータ30の製造コストが増大することを抑制できる。したがって、電動アクチュエータ1の製造コストが増大することを抑制できる。
【0062】
また、本実施形態では、上述のように、ケース本体11に対するステータ30およびステータカバー40それぞれは隙間嵌めされる。よって、ステータ固定工程Msの第1ステップS1において、ケース本体11にステータ30を取り付ける際に、ステータ30を下側に押し込む力を低減し易い。また、ステータ固定工程Msの第2ステップS2において、ケース本体11にステータカバー40を取り付ける際に、ステータカバー40を下側に押し込む力を低減し易い。したがって、容易にケース本体11にステータ30およびステータカバー40を取り付けることができるため、ステータ固定工程Msの製造工数が増大することを抑制できる。よって、電動アクチュエータ1の製造工数および製造コストが増大することを抑制できる。
【0063】
本実施形態によれば、第1周溝12gおよび第2周溝42aのそれぞれは、周方向に沿って一周に亘って延びる。よって、周方向一周に亘って空間部50を構成できるため、ケース本体11とステータカバー40とを周方向一周に亘って接着剤55によって固定できる。したがって、より強固にステータカバー40をケース本体11に固定できるため、ケース本体11に対するステータ30の位置が軸方向にずれることをより好適に抑制できる。
【0064】
本実施形態によれば、ステータカバー40は、空間部50とケース10の内部の空間とを繋ぐ接続部43を有する。本実施形態と異なり、ステータカバー40が接続部43を有さない構成の場合、ステータ固定工程Msの第2ステップS2において、あらかじめ第1周溝12gおよび第2周溝42aそれぞれの内部に液状の接着剤55を充填した後に、ケース本体11にステータカバー40を取り付ける作業を行う。この場合、ステータカバー40の第2周溝42aに充填された液状の接着剤55が第2周溝42aから漏れ出ることを抑制するために、ステータカバー40の姿勢を安定させつつ、ステータカバー40ケース本体11の内部に挿入して、ケース本体11に取り付ける必要がある。そのため、ケース本体11にステータカバー40を取り付ける作業が煩雑になる。これに対して、本実施形態では、ステータ固定工程Msの第2ステップS2において、ケース本体11にステータカバー40を取り付けた後に、接続部43を介して空間部50の内部に液状の接着剤55を充填できる。よって、容易にステータカバー40をケース本体11に取り付けることができる。したがって、ステータ固定工程Msの作業工数が増大することを抑制できるため、電動アクチュエータ1の製造工数および製造コストが増大することを抑制できる。
【0065】
本実施形態によれば、接続部43は、互いに周方向に沿って間隔を空けて複数配置される。よって、少なくとも1つの接続部43を空間部50に液状の接着剤55を充填する充填孔として利用でき、少なくとも1つの他の接続部43を空間部50の空気を空間部50外に排気する排気孔として利用できる。具体的に、本実施形態では、第1接続部43aを充填孔として利用でき、第2接続部43bを排気孔として利用できる。そのため、空間部50に液状の接着剤55を充填する際に、液状の接着剤55に空気が巻き込まれることを抑制できる。これにより、硬化後の接着剤55に巣が発生することを抑制できるため、ケース本体11とステータカバー40との接着強度を高めることができる。したがって、ケース本体11に対するステータカバー40の軸方向の位置がずれることをより好適に抑制できるため、ケース本体11に対するステータ30の軸方向の位置がずれることをより好適に抑制できる。
【0066】
また、本実施形態では、上述のように、ステータ固定工程Msの第3ステップS3において、作業者等は、空間部50に液状の接着剤55を充填する際に、排気孔として利用する第2接続部43bから液状の接着剤55が漏れ出ることを確認した後に、液状の接着剤55の充填を停止できる。これにより、空間部50の周方向一周に亘って液状の接着剤55をより好適に充填できる。よって、ケース本体11とステータカバー40との接着強度をより高めることができるため、ケース本体11に対するステータ30の軸方向の位置がずれることをより好適に抑制できる。
【0067】
本実施形態によれば、複数の接続部43のうち2つの接続部43a,43bは、モータ軸線J1を径方向に挟む位置に配置される。よって、上述のように、第1空間部50aの長さを、第2空間部50bの長さと同じ長さにし易い。そのため、ステータ固定工程Msの第3ステップS3において、第1空間部50aを通る液状の接着剤55および第2空間部50bを通る液状の接着剤55のそれぞれが、第2接続部43bに達するタイミングのずれを小さくできる。そのため、作業者等は、第2接続部43bから液状の接着剤55が漏れ出ることを確認した後に、液状の接着剤55の充填を停止することによって、空間部50の周方向一周に亘って液状の接着剤55をより好適に充填できる。したがって、ケース本体11とステータカバー40との接着強度をより高めることができるため、ケース本体11に対するステータ30の軸方向の位置がずれることをより好適に抑制できる。
【0068】
本実施形態によれば、接続部43の内部には、接着剤55が充填されている。よって、ステータ固定工程Msの第3ステップS3において、作業者等は、第2接続部43bから液状の接着剤55が漏れ出ることを確認した後に、空間部50への液状の接着剤55の充填を停止できる。これにより、上述のように、空間部50の周方向一周に亘って液状の接着剤55をより好適に充填できる。よって、ケース本体11とステータカバー40との接着強度をより安定して高めることができるため、ケース本体11に対するステータ30の軸方向の位置がずれることをより好適に抑制できる。
【0069】
本実施形態によれば、ケース本体11およびステータカバー40は、それぞれ、樹脂製である。よって、ケース本体11の線膨張係数とステータカバー40の線膨張係数との差分を小さくし易い。そのため、電動アクチュエータ1の温度が変動しても、ケース本体11の熱収縮量とステータカバー40の熱収縮量の差分を小さくし易い。これにより、電動アクチュエータ1の温度が変動しても、ケース本体11およびステータカバー40に加わる荷重が増大することを抑制し易い。そのため、ケース本体11およびステータカバー40に亀裂が発生することを抑制し易い。
【0070】
<第2実施形態>
図9および図10は、第2実施形態の電動アクチュエータ101の一部を示す断面図である。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0071】
図9および図10に示すように、本実施形態において、ステータカバー140のカバー固定部142は、接続部を有さない。本実施形態のステータカバー140のその他の構成等は、上述の第1実施形態のステータカバー40のその他構成等と同一である。
【0072】
図9および図10に示すように、本実施形態において、ケース110の第1収容部112は、接続部118を有する。本実施形態において、接続部118は、ケース本体111の第1周壁部112aの外周面から径方向内側に延びる孔である。接続部118は、第1周溝12gと繋がる。これにより、接続部118は、空間部50とケース10の外部の空間とを繋ぐ。本実施形態において、ケース本体111は、複数の接続部118を有する。本実施形態において、ケース本体111は、2個の接続部118を有する。接続部118は、第1接続部118aと第2接続部118bとを含む。なお、ケース本体111は、は、3個以上の接続部118を有してもよい。
【0073】
図9に示すように、第1接続部118aは、第1周壁部112aの左側(-X側)の縁部に設けられる。第1接続部118aは、空間部50とケース110の外部の空間とを繋ぐ。図10に示すように、第2接続部118bは、第1周壁部112aの右側(+X側)の縁部に設けられる。すなわち、複数の接続部118は、周方向に互いに間隔をあけて複数配置される。第2接続部118bは、空間部50とケース110の外部の空間とを繋ぐ。また、2つの接続部118a,118bは、モータ軸線J1を径方向に挟む位置に配置される。そのため、上述の第1実施形態と同様に、図示は省略するが、第1空間部50aの周方向の長さは、第2空間部50bの周方向の長さと同じ長さである。図9および図10に示すように、第1接続部118aの内部および第2接続部118bの内部には、接着剤55が充填されている。
【0074】
次に、本実施形態の電動アクチュエータ101のステータ固定工程Msについて説明する。ステータ固定工程Msは、ケース本体111にモータ9の各部等を取り付ける第1ステップS1と、ケース本体111にステータカバー140を取り付ける第2ステップS2と、空間部50に接着剤55を充填する第3ステップS32と、を有する。本実施形態の第1ステップS1および第2ステップS2は、上述の第1実施形態の第1ステップS1および第2ステップS2と同一である。
【0075】
第3ステップS32では、作業者等は、まず、図示しない充填治具のノズルをケース本体111の外部から図9に示す第1接続部118aの内部に挿入する。次に、作業者等は、充填治具によって、第1接続部118aから空間部50に図示しない液状の接着剤55を充填する。第1接続部118aから空間部50に流れ込んだ液状の接着剤55は、第1空間部50aおよび第2空間部50bのそれぞれを第2接続部118bに向けて流れ、図10に示す第2接続部118bに達する。作業者等は、液状の接着剤55が第2接続部118bを介してケース本体111の外部に漏れ出たことを確認すると、液状の接着剤55の充填を終了する。その後、作業者等が、液状の接着剤55を硬化させると、ステータカバー140は、ケース本体111に固定される。ステータカバー140がケース本体111に固定されると、第3ステップS32が終了する。第3ステップS32が終了すると、ステータ固定工程Msは終了する。
【0076】
本実施形態によれば、接続部118は、ケース本体111に設けられ、空間部50から径方向外側に延びる孔である。よって、ステータ固定工程Msの第3ステップS32において、ケース本体11の外部から容易に充填治具のノズルを第1接続部118aの内部に挿入できる。そのため、第3ステップS32において、液状の接着剤55を空間部50に充填する作業の作業性を高めることができる。よって、ステータ固定工程Msの作業工数が増大することを抑制できるため、電動アクチュエータ101の製造工数および製造コストが増大することを抑制できる。
【0077】
また、本実施形態では、接続部118の内部には、接着剤55が充填されている。よって、ステータ固定工程Msの第3ステップS32において、第2接続部118bから液状の接着剤55が漏れ出ることを確認した後に、空間部50への液状の接着剤55の充填を停止できる。これにより、上述の第1実施形態と同様に、空間部50の周方向一周に亘って液状の接着剤55をより好適に充填できる。よって、ケース本体111とステータカバー140との接着強度をより高めることができるため、ケース本体111に対するステータ30の軸方向の位置がずれることをより好適に抑制できる。
【0078】
また、本実施形態では、第2接続部118bがケース10の外部空間と繋がるため、作業者等は、第2接続部118bからケース本体111の外部に液状の接着剤55が漏れ出ることを確認し易い。これにより、第3ステップS32の作業性を高めることができるため、電動アクチュエータ101の製造工数が増大することを抑制できる。
【0079】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0080】
接続部が設けられる位置は本実施形態に限定されず、例えば第1接続部は、ケース固定部または第1周壁部の右側の部分に設けられてもよいし、第2接続部は、ケース固定部または第1周壁部の左側の部分に設けられてもよい。また、第1接続部および第2接続部は、モータ軸線を径方向に挟む位置に配置されていなくてもよい。接続部の内部には、接着剤が充填されていなくてもよい。
【0081】
伝達機構の構成は、モータシャフトの回転を出力シャフトに減速して伝達できるならば、特に限定されない。例えば、モータシャフトおよびモータギヤは同一の単一部材の一部であってもよいし、出力シャフトおよび出力ギヤは同一の単一部材の一部であってもよい。
【0082】
本発明が適用される電動アクチュエータの用途は、特に限定されない。電動アクチュエータは、運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載されてもよい。また、電動アクチュエータは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、以上に、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【0083】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) モータ軸線を中心として回転可能なモータシャフトを有するロータと、前記ロータの径方向外側に配置されるステータと、を有するモータと、前記モータシャフトの回転を出力シャフトに減速して伝達する伝達機構と、前記ステータの軸方向一方側に配置され、前記ステータと軸方向に接触するステータカバーと、前記モータ、前記伝達機構、および前記ステータカバーのそれぞれを内部に収容するケースと、を備え、前記ケースは、軸方向一方側に開口する開口部を有する筒状のケース本体と、前記開口部を覆う蓋部材と、を有し、前記ケース本体は、前記ステータを軸方向他方側から支持する第1位置決め部と、前記ケース本体に対する前記ステータの径方向の位置を決める第2位置決め部と、を有し、前記ステータカバーの径方向外側を向く面は、前記ケース本体の径方向内側を向く面と径方向に接触し、前記ケース本体の径方向内側を向く面には、径方向外側に窪み、周方向に延びる第1周溝が設けられ、前記ステータカバーの径方向外側を向く面には、径方向内側に窪み、周方向に延び、且つ、前記第1周溝と径方向に対向する第2周溝が設けられ、前記第1周溝および前記第2周溝によって構成される空間部には、前記第1周溝の内部および前記第2周溝の内部に跨って位置する接着剤が充填されている、電動アクチュエータ。
(2) 前記第1周溝および前記第2周溝のそれぞれは、周方向に沿って一周に亘って延びる、(1)に記載の電動アクチュエータ。
(3) 前記ステータカバーと前記ケース本体との少なくとも一方は、前記空間部と前記ケースの内部の空間とを繋ぐ接続部を有する、(1)または(2)に記載の電動アクチュエータ。
(4) 前記接続部は、互いに周方向に沿って間隔を空けて複数配置される、(3)に記載の電動アクチュエータ。
(5) 複数の前記接続部のうち2つの接続部は、前記モータ軸線を径方向に挟む位置に配置される、(4)に記載の電動アクチュエータ。
(6) 前記接続部の内部には、接着剤が充填されている、(3)から(5)のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
(7) 前記接続部は、前記ステータカバーに設けられ、前記空間部から軸方向一方側に延びる孔である、(3)から(6)のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
(8) 前記ケース本体および前記ステータカバーは、それぞれ、樹脂製である、(1)から(7)のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【符号の説明】
【0084】
1,101…電動アクチュエータ、9…モータ、10,110…ケース、11,111…ケース本体、12b…開口部、12c…第1位置決め部、12e…第2位置決め部、12g…第1周溝、16…蓋部材、20…ロータ、23…モータシャフト、30…ステータ、40,140…ステータカバー、42a…第2周溝、43,118…接続部、50…空間部、55…接着剤、60…伝達機構、66…出力シャフト、J1…モータ軸線
図1
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図10