(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144878
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 5/10 20060101AFI20241004BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20241004BHJP
H02K 11/30 20160101ALI20241004BHJP
【FI】
H02K5/10 Z
H02K7/116
H02K11/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057043
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】白井 寛
【テーマコード(参考)】
5H605
5H607
5H611
【Fターム(参考)】
5H605AA08
5H605BB05
5H605BB10
5H605BB17
5H605CC01
5H605CC02
5H605DD01
5H605DD32
5H605EC18
5H605EC20
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607BB25
5H607CC01
5H607DD03
5H607DD08
5H607EE31
5H611BB01
5H611BB06
5H611UA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】小型化を図ることができる電動アクチュエータを提供する。
【解決手段】モータ9および伝達機構60を収容するケース10は、開口部12bと、軸方向に延びる本体側壁部13と、を有する筒状のケース本体11と、軸方向に延びる蓋側壁部17を有し、開口部を覆う蓋部材16と、を有する。本体側壁部の径方向一方側を向く面である本体側壁面13dは、蓋側壁部の径方向他方側を向く面である蓋側壁面と径方向に対向する。本体側壁面および蓋側壁面の一方には、本体側壁面および蓋側壁面の他方に対して径方向に窪み、且つ、軸方向と直交する方向に沿って一周に亘って延びる第1周溝18が設けられる。ケースは、第1周溝と本体側壁面および蓋側壁面の他方とによって構成される空間部50とケースの外部空間とを繋ぐ接続孔19を有する。空間部には、本体側壁部と蓋側壁部との間を封止する封止材55が一周に亘って充填されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸線を中心として回転可能なモータシャフトを有するロータと、前記ロータの径方向外側に配置されるステータと、を有するモータと、
前記モータシャフトの回転を出力シャフトに減速して伝達する伝達機構と、
前記モータおよび前記伝達機構のそれぞれを収容するケースと、
を備え、
前記ケースは、
軸方向一方側に開口する開口部と、軸方向に延びる本体側壁部と、を有する筒状のケース本体と、
軸方向に延びる蓋側壁部を有し、前記開口部を覆う蓋部材と、
を有し、
前記本体側壁部の径方向一方側を向く面である本体側壁面は、前記蓋側壁部の径方向他方側を向く面である蓋側壁面と径方向に対向し、
前記本体側壁面および前記蓋側壁面の一方には、前記本体側壁面および前記蓋側壁面の他方に対して径方向に窪み、且つ、軸方向と直交する方向に沿って一周に亘って延びる第1周溝が設けられ、
前記ケースは、前記第1周溝と前記本体側壁面および前記蓋側壁面の他方とによって構成される空間部と前記ケースの外部空間とを繋ぐ接続孔を有し、
前記空間部には、前記本体側壁部と前記蓋側壁部との間を封止する封止材が一周に亘って充填されている、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記本体側壁面は、軸方向に見て、角状に曲がる本体角部を有し、
前記蓋側壁面は、軸方向に見て、角状に曲がり、前記本体角部と径方向に対向する蓋角部を有する、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記接続孔は、軸方向に見て前記空間部が延びる方向に沿って間隔を空けて複数配置される、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
複数の前記接続孔のうち2つの前記接続孔は、前記モータ軸線を径方向に挟む位置に配置される、請求項3に記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記空間部は、前記モータ軸線よりも軸方向と直交する第1方向の一方側を通る第1空間部と、前記モータ軸線よりも前記第1方向の他方側を通る第2空間部と、を有し、
複数の前記接続孔は、第1接続孔と、第2接続孔と、を含み、
前記第1空間部および前記第2空間部のそれぞれは、前記第1接続孔と前記第2接続孔とを繋ぎ、
前記第1空間部の長さは、前記第2空間部の長さと同じである、請求項3に記載の電動アクチュエータ。
【請求項6】
軸方向に見て、前記第1空間部と前記第2空間部とは、前記第1接続孔および前記第2接続孔を通る直線を対称線として互いに線対称な形状である、請求項5に記載の電動アクチュエータ。
【請求項7】
前記第1周溝は、前記本体側壁面および前記蓋側壁面のうち、径方向外側を向く面に設けられる、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項8】
前記接続孔の内部には、封止材が充填されている、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項9】
前記本体側壁面および前記蓋側壁面の他方には、径方向に窪み、軸方向と直交する方向に沿って一周に亘って延び、且つ、前記第1周溝と径方向に対向する第2周溝が設けられ、
前記空間部は、前記第1周溝および前記第2周溝によって構成され、
前記封止材は、前記第1周溝の内部および前記第2周溝の内部に跨って充填される、請求項1から8のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の部材によって構成されるハウジングを備えるアクチュエータが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなアクチュエータにおいて、複数の部材それぞれの互いに対向する面の間を例えばOリング等の弾性部材によって封止する場合、少なくとも一方の部材の対向面に弾性部材を収容する溝を設ける必要があった。そのため、一方の部材の対向面の寸法が大きくなり易く、アクチュエータが大型化する虞があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、小型化を図ることができる電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、モータ軸線を中心として回転可能なモータシャフトを有するロータと、前記ロータの径方向外側に配置されるステータと、を有するモータと、前記モータシャフトの回転を出力シャフトに減速して伝達する伝達機構と、前記モータおよび前記伝達機構のそれぞれを収容するケースと、を備える。前記ケースは、軸方向一方側に開口する開口部と、軸方向に延びる本体側壁部と、を有する筒状のケース本体と、軸方向に延びる蓋側壁部を有し、前記開口部を覆う蓋部材と、を有する。前記本体側壁部の径方向一方側を向く面である本体側壁面は、前記蓋側壁部の径方向他方側を向く面である蓋側壁面と径方向に対向する。前記本体側壁面および前記蓋側壁面の一方には、前記本体側壁面および前記蓋側壁面の他方に対して径方向に窪み、且つ、軸方向と直交する方向に沿って一周に亘って延びる第1周溝が設けられる。前記ケースは、前記第1周溝と前記本体側壁面および前記蓋側壁面の他方とによって構成される空間部と前記ケースの外部空間とを繋ぐ接続孔を有する。前記空間部には、前記本体側壁部と前記蓋側壁部との間を封止する封止材が一周に亘って充填されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、電動アクチュエータにおいて、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態の電動アクチュエータを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の電動アクチュエータの一部を示す上面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の電動アクチュエータを示す断面図であって、
図2のIV-IV断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の電動アクチュエータの一部を示す拡大断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態の電動アクチュエータの蓋部材固定工程を示す第1の断面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態の電動アクチュエータの蓋部材固定工程を示す第2の断面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図面において、Z軸方向は、正の側(+Z側)を上側とし、負の側(-Z側)を下側とする上下方向である。本実施形態において、上側(+Z側)は軸方向一方側に相当し、下側(-Z側)は軸方向他方側に相当する。
【0010】
各図面において、第1方向D1は、Z軸方向と直交する方向である。本実施形態において、第1方向D1は、電動アクチュエータの前後方向である。以下の説明では、第1方向D1の矢印が向く側(+D1側)を「前側」または「第1方向D1の一方側」と呼び、第1方向D1の矢印が向く側と反対側(-D1側)を「後側」または「第1方向D1の他方側」と呼ぶ。
【0011】
各図面において、第2方向D2は、Z軸方向および第1方向D1の両方と直交する方向である。本実施形態において、第2方向D2は、電動アクチュエータの左右方向である。以下の説明では、第2方向D2の矢印が向く側(+D2側)を「右側」と呼び、第2方向D2の矢印が向く側と反対側(-D2側)を「左側」と呼ぶ。なお、上側、下側、前側、後側、左側および右側は、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0012】
各図に示すモータ軸線J1が延びる方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。モータ軸線J1は、仮想軸線である。以下の説明において、モータ軸線J1と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。モータ軸線J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。モータ軸線J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0013】
周方向は、各図において矢印θ1で示される。周方向のうち矢印θ1が向く側を「周方向一方側」と呼ぶ。周方向のうち矢印θ1が向く側と逆側を「周方向他方側」と呼ぶ。周方向一方側は、上側から見てモータ軸線J1回りに時計回りに進む側である。周方向他方側は、軸方向一方側から見てモータ軸線J1回りに反時計回りに進む側である。
【0014】
以下の説明において、「径方向外側」とは、一つの方向を、径方向を向く成分と周方向を向く成分に分解した際に、径方向を向く成分が径方向外側を向く場合も含む。同様に、「径方向内側」とは、一つの方向を、径方向を向く成分と周方向を成分に分解した際に、径方向を向く成分が径方向内側を向く場合も含む。また、「周方向一方側」とは、一つの方向を、径方向を向く成分と周方向を向く成分に分解した際に、周方向を向く成分が周方向一方側を向く場合も含む。同様に、「周方向他方側」とは、一つの方向を、径方向を向く成分と周方向を向く成分に分解した際に、周方向を向く成分が周方向他方側を向く場合も含む。また、以下の説明において、「径方向一方側」とは、本体側壁面が向く方向であり、「径方向他方側」とは、蓋側壁面が向く方向である。「径方向一方側」は、「径方向内側」または「径方向外側」のいずれか一方であり、「径方向他方側」は、「径方向内側」または「径方向外側」の他方である。
【0015】
<第1実施形態>
図1に示す本実施形態の電動アクチュエータ1は、車両に取り付けられる。より詳細には、電動アクチュエータ1は、例えば、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるパーク・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される。
図2に示すように、電動アクチュエータ1は、ケース10と、モータ9と、ステータカバー40と、伝達機構60と、出力シャフト66と、回路基板80と、を備える。
【0016】
ケース10は、モータ9、ステータカバー40、伝達機構60、出力シャフト66、および回路基板80を内部に収容する。ケース10は、ケース本体11と、蓋部材16と、空間部50と、接続孔19と、を有する。ケース本体11は、モータ軸線J1を囲む筒状である。ケース本体11は、上側、すなわち軸方向一方側に開口する開口部12bを有する。ケース本体11は、周壁部12と、本体側壁部13と、底壁部15と、コネクタ部12mと、を有する。本体側壁部13は、周壁部12の上側に配置される。周壁部12と本体側壁部13とは軸方向に繋がる。本実施形態において、ケース本体11は、樹脂製である。ケース本体11は、金属製であってもよい。
【0017】
周壁部12は、モータ軸線J1を囲む筒状である。周壁部12は、軸方向に延びる。周壁部12は、モータ9の下側の部分およびステータカバー40を径方向外側から囲む。軸方向に見て、周壁部12の内周面は、モータ軸線J1を中心とする円形状である。周壁部12は、第1位置決め部12cと、第1段差面12dと、第2位置決め部12eと、ケース突出部12hと、を有する。
【0018】
第1位置決め部12cは、上側を向く段差面である。第1位置決め部12cは、周壁部12の内側面の一部である。軸方向に見て、第1位置決め部12cは、モータ軸線J1を中心とする円環状である。第1段差面12dは、上側を向く段差面である。第1段差面12dは、周壁部12の内側面の一部である。軸方向に見て、第1段差面12dは、モータ軸線J1を中心とする円環状である。第1段差面12dは、第1位置決め部12cよりも上側に配置される。第1段差面12dの内径は、第1位置決め部12cの内径よりも大きい。
【0019】
第2位置決め部12eは、モータ軸線J1を囲み軸方向に延びる円筒状である。軸方向に見て、第2位置決め部12eの内周面は、モータ軸線J1を中心とする円形状である。第2位置決め部12eは、周壁部12のうち、第1位置決め部12cと第1段差面12dとの間の部分である。第2位置決め部12eの内周面の下端は、第1位置決め部12cの径方向外縁と繋がる。第2位置決め部12eの内周面の上端は、第1段差面12dの径方向内縁と繋がる。
【0020】
ケース突出部12hは、周壁部12の上側を向く面のうち、右側(+D2側)の縁部から上側に突出する円柱状である。ケース突出部12hの上側を向く面には、下側に窪む雌ねじ穴が設けられる。
図3に示すように、本実施形態において、ケース突出部12hは、2個設けられる。各ケース突出部12hは、第1方向D1に間隔をあけて配置される。
【0021】
底壁部15は、周壁部12の下端から径方向内側に広がる板状である。底壁部15には、孔部15aおよび軸受保持部15bが設けられる。孔部15aは、底壁部15を軸方向に貫通する孔である。軸方向に見て、孔部15aは、モータ軸線J1を中心とする円形状である。孔部15aには、フィルタ部材95が着脱可能に取り付けられる。フィルタ部材95は、ケース10の内部とケース10の外部とを通気可能なフィルタである。フィルタ部材95と孔部15aの内側面との間にはOリング96が配置される。Oリング96は、フィルタ部材95とケース10との間を封止する。
【0022】
軸受保持部15bは、底壁部15から上側に突出する。軸受保持部15bは、モータ軸線J1を中心とする筒状である。軸受保持部15bの内周面には、第1軸受91が保持される。本実施形態において、第1軸受91は、ボールベアリングである。
【0023】
本体側壁部13は、モータ軸線J1を囲み、軸方向に延びる筒状である。本体側壁部13は、回路基板80を径方向外側から囲む。本体側壁部13は、周壁部12と軸方向に繋がる。
図3に示すように、本体側壁部13は、第1本体側壁部13aと、第2本体側壁部13bと、本体側壁面13dと、を有する。本体側壁部13には、本体突出部13pが設けられる。
【0024】
第1本体側壁部13aは、本体側壁部13の左側(-D2側)の部分である。軸方向に見て、第1本体側壁部13aは、モータ軸線J1を中心とする略半円弧状である。第2本体側壁部13bは、本体側壁部13の右側(+D2側)の部分である。軸方向に見て、第2本体側壁部13bは、長辺が第1方向D1に延びる略矩形状である。
図2に示すように、第2本体側壁部13bの内側面の右側の部分は、周壁部12の内周面よりも右側に位置する。
【0025】
図3に示すように、本実施形態において、本体側壁面13dは、本体側壁部13の内側面である。本体側壁面13dは、径方向内側を向く。本実施形態において、径方向一方側は、径方向内側である。本体側壁面13dは、第1本体側壁面13eと、第2本体側壁面13fと、第3本体側壁面13gと、第4本体側壁面13hと、を有する。
図2に示すように、本体側壁面13dには、第2周溝14が設けられる。
【0026】
図3に示すように、第1本体側壁面13eは、第1本体側壁部13aの内側面である。第1本体側壁面13eは、径方向内側を向く。軸方向に見て、第1本体側壁面13eは、モータ軸線J1を中心とする略半円弧状である。第2本体側壁面13fは、第2本体側壁部13bの内側面のうち、後側(-D1側)を向く面である。第2本体側壁面13fは、径方向内側を向く。軸方向に見て、第2本体側壁面13fは、第2方向D2に延びる直線状である。第2本体側壁面13fの左側(-D2側)の端部は、第1本体側壁面13eの前側(+D1側)の端部と繋がる。
【0027】
第3本体側壁面13gは、第2本体側壁部13bの内側面のうち、前側(+D1側)を向く面である。第3本体側壁面13gは、径方向内側を向く。軸方向に見て、第3本体側壁面13gは、第2方向D2に延びる直線状である。第3本体側壁面13gの左側(-D2側)の端部は、第1本体側壁面13eの後側(-D1側)の端部と繋がる。
【0028】
第4本体側壁面13hは、第2本体側壁部13bの内側面のうち、左側(-D2側)を向く面である。第4本体側壁面13hは、径方向内側を向く。軸方向に見て、第4本体側壁面13hは、第1方向D1に延びる直線状である。第4本体側壁面13hの前側(+D1側)の端部は、第2本体側壁面13fの右側(+D2側)の端部と繋がる。本体側壁面13dのうち、第4本体側壁面13hと第2本体側壁面13fとが繋がる部分は、軸方向に見て角状に曲がる本体角部13mである。第4本体側壁面13hの後側(-D1側)の端部は、第3本体側壁面13gの右側の端部と繋がる。本体側壁面13dのうち、第4本体側壁面13hと第3本体側壁面13gとが繋がる部分は、軸方向に見て角状に曲がる本体角部13nである。すなわち、本体側壁面13dは、本体角部13m,13nを有する。本実施形態において、本体角部13m,13nそれぞれの内角は、略90°である。
【0029】
図2に示すように、第2周溝14は、本体側壁面13dから径方向に窪む溝である。より詳細には、第2周溝14は、本体側壁面13dから径方向外側に窪む。第2周溝14の内側面は、本体側壁面13dの一部である。周方向に見て、第2周溝14は、径方向外側に凸となる半円形状である。周方向に見て、第2周溝14は、矩形状および三角形状等の他の形状であってもよい。第2周溝14の内部には、封止材55が充填されている。
図4に示すように、第2周溝14は、軸方向と直交する方向に沿って一周に亘って延びる。
【0030】
図5に示すように、本体突出部13pは、本体側壁部13から上側に突出する。より詳細には、本体突出部13pは、本体側壁部13の径方向内縁から上側に突出する。
図3に示すように、本体突出部13pは、モータ軸線J1を囲む。本体突出部13pは、本体側壁部13に沿って、一周に亘って設けられる。
【0031】
図2に示すように、コネクタ部12mは、周壁部12から右側(+D2側)に突出する筒状である。コネクタ部12mは、複数のコネクタピン12nを保持する。複数のコネクタピン12nは、回路基板80と電気的に接続される。
【0032】
蓋部材16は、ケース本体11の上端に固定される。蓋部材16は、ケース本体11の開口部12bを上側から覆う。蓋部材16は、蓋収容部16aと、フランジ部16dと、蓋突出部16eと、蓋側壁部17と、を有する。蓋収容部16aは、軸方向に突出する箱状である。蓋収容部16aは、下側に開口する。蓋収容部16aの内部とケース本体11の内部とは軸方向に繋がる。蓋収容部16aの内部には、伝達機構60が収容される。
図1に示すように、軸方向に見て、蓋収容部16aの左側(-D2側)の部分は、モータ軸線J1を中心とする略半円形状である。軸方向に見て、蓋収容部16aの右側(+D2側)の部分は、長辺が第1方向D1に延びる略矩形状である。蓋収容部16aには、蓋孔部16bが設けられる。
【0033】
蓋孔部16bは、蓋収容部16aを軸方向に貫通する孔である。軸方向に見て、蓋孔部16bは、出力軸線J2を中心とする円形状である。出力軸線J2は、モータ軸線J1と平行な方向に延びる仮想軸線である。出力軸線J2は、モータ軸線J1の右側(+D2側)に位置する。以下の説明では、出力軸線J2を中心とする径方向を単に「出力径方向」と呼び、出力軸線J2を中心とする周方向を単に「出力周方向」と呼ぶ。出力周方向は、各図において矢印θ2で示される。
【0034】
図2に示すように、フランジ部16dは、蓋収容部16aの下端から軸方向と直交する方向に広がる板状である。軸方向に見て、フランジ部16dの外縁は、本体側壁部13と重なる。
図5に示すように、フランジ部16dの外縁は、本体突出部13pの上端と軸方向に接触する。フランジ部16dの外縁は、本体側壁部13に固定される。これにより、蓋部材16は、ケース本体11に固定される。なお、蓋部材16とケース本体11とは、図示しないボルト等の締結部材によって固定されてもよいし、熱溶着によって固定されてもよい。
【0035】
図2に示すように、蓋突出部16eは、フランジ部16dの外縁から下側に突出する。蓋突出部16eは、フランジ部16dの外縁に沿って一周に亘って設けられる。蓋突出部16eは、モータ軸線J1を囲む。
図5に示すように、蓋突出部16eは、本体突出部13pよりも径方向外側に配置される。
【0036】
図2に示すように、蓋側壁部17は、モータ軸線J1を囲み、軸方向に延びる筒状である。蓋側壁部17は、フランジ部16dから下側に延びる。
図5に示すように、蓋側壁部17は、本体側壁部13の径方向内側に配置される。蓋側壁部17は、本体側壁部13と径方向に接触する。蓋側壁部17は、本体側壁部13と接触しなくてもよい。また、蓋側壁部17の一部が、本体側壁部13の一部と接触してもよい。
図4に示すように、蓋側壁部17は、第1蓋側壁部17aと、第2蓋側壁部17bと、蓋側壁面17dと、を有する。
【0037】
第1蓋側壁部17aは、蓋側壁部17の左側(-D2側)の部分である。軸方向に見て、第1蓋側壁部17aは、モータ軸線J1を中心とする略半円弧状である。第2蓋側壁部17bは、蓋側壁部17の右側(+D2側)の部分である。軸方向に見て、第2蓋側壁部17bは、長辺が第1方向D1に延びる略矩形状である。
【0038】
本実施形態において、蓋側壁面17dは、蓋側壁部17の外側面である。蓋側壁面17dは、径方向外側を向く。本実施形態において、径方向他方側は、径方向外側である。蓋側壁面17dは、第1蓋側壁面17eと、第2蓋側壁面17fと、第3蓋側壁面17gと、第4蓋側壁面17hと、を有する。
図5に示すように、蓋側壁面17dには、第1周溝18が設けられる。
【0039】
図4に示すように、第1蓋側壁面17eは、第1蓋側壁部17aの外側面である。第1蓋側壁面17eは、径方向外側を向く。軸方向に見て、第1蓋側壁面17eは、モータ軸線J1を中心とする略半円弧状である。第1蓋側壁面17eは、第1本体側壁面13eと径方向に対向する。第1蓋側壁面17eは、第1本体側壁面13eと径方向に接触する。
【0040】
第2蓋側壁面17fは、第2蓋側壁部17bの外側面のうち、前側(+D1側)を向く面である。第2蓋側壁面17fは、径方向外側を向く。軸方向に見て、第2蓋側壁面17fは、第2方向D2に延びる直線状である。第2蓋側壁面17fは、第2本体側壁面13fと径方向に対向する。第2蓋側壁面17fは、第2本体側壁面13fと径方向に接触する。第2蓋側壁面17fの左側(-D2側)の端部は、第1蓋側壁面17eの前側の端部と繋がる。
【0041】
第3蓋側壁面17gは、第2蓋側壁部17bの外側面のうち、後側(-D1側)を向く面である。第3蓋側壁面17gは、径方向外側を向く。軸方向に見て、第3蓋側壁面17gは、第2方向D2に延びる直線状である。第3蓋側壁面17gは、第3本体側壁面13gと径方向に対向する。第3蓋側壁面17gは、第3本体側壁面13gと径方向に接触する。第3蓋側壁面17gの左側(-D2側)の端部は、第1蓋側壁面17eの後側(-D1側)の端部と繋がる。
【0042】
第4蓋側壁面17hは、第2蓋側壁部17bの外側面のうち、右側(+D2側)を向く面である。第4蓋側壁面17hは、径方向外側を向く。軸方向に見て、第4蓋側壁面17hは、第1方向D1に延びる直線状である。第4蓋側壁面17hは、第4本体側壁面13hと径方向に対向する。第4蓋側壁面17hは、第4本体側壁面13hと径方向に接触する。第4蓋側壁面17hの前側(+D1側)の端部は、第2蓋側壁面17fの右側の端部と繋がる。蓋側壁面17dのうち、第4蓋側壁面17hと第2蓋側壁面17fと繋がる部分は、軸方向に見て角状に曲がる蓋角部17mである。第4蓋側壁面17hの後側(-D1側)の端部は、第3蓋側壁面17gの右側の端部と繋がる。蓋側壁面17dのうち、第4蓋側壁面17hと第3蓋側壁面17gと繋がる部分は、軸方向に見て角状に曲がる蓋角部17nである。すなわち、蓋側壁面17dは、蓋角部17m,17nを有する。本実施形態において、蓋角部17m,17nそれぞれの内角は、略90°である。
【0043】
蓋角部17mは、本体角部13mと径方向に対向する。蓋角部17nは、本体角部13nと径方向に対向する。つまり、蓋側壁面17dは、本体角部13m,13nと径方向に対向する蓋角部17m,17nを有する。
【0044】
上述のように、第1蓋側壁面17e、第2蓋側壁面17f、第3蓋側壁面17g、第4蓋側壁面17hのそれぞれは、第1本体側壁面13e、第2本体側壁面13f、第3本体側壁面13g、第4本体側壁面13hのそれぞれと径方向に対向する。つまり、本体側壁面13dは、蓋側壁面17dと径方向に対向する。
【0045】
図5に示すように、第1周溝18は、蓋側壁面17dから径方向に窪む溝である。より詳細には、第1周溝18は、蓋側壁面17dから径方向内側に窪む。第1周溝18は、本体側壁面13dに対して径方向に窪む。本実施形態において、第1周溝18は、本体側壁面13dおよび蓋側壁面17dのうち、径方向外側を向く面である蓋側壁面17dに設けられる。第1周溝18は、蓋側壁面17dの一部である。周方向に見て、第1周溝18は、径方向内側に凸となる半円形状である。周方向に見て、第1周溝18は、矩形状および三角形状等の他の形状であってもよい。第1周溝18の内部には、封止材55が充填されている。
図4に示すように、第1周溝18は、軸方向と直交する方向に沿って一周に亘って延びる。
【0046】
図5に示すように、第2周溝14は、第1周溝18と径方向に対向する。これにより、第1周溝18の内部と第2周溝14の内部とが径方向に繋がる。第1周溝18の内部空間と第2周溝14の内部空間とは、空間部50を構成する。すなわち、空間部50は、第1周溝18および第2周溝14によって構成される。上述のように、第2周溝14は、本体側壁面13dの一部である。よって、空間部50は、第1周溝18と本体側壁面13dとによって構成される。周方向に見て、空間部50は、円形状の空間である。
図4に示すように、空間部50は、軸方向と直交する方向に沿って一周に亘って延びる。
図2に示すように、空間部50には、封止材55が充填されている。封止材55は、第1周溝18の内部および第2周溝14の内部に跨って充填されている。これにより、封止材55は、本体側壁部13と蓋側壁部17との間を封止する。
図4に示すように、空間部50には、封止材55が一周に亘って充填されている。よって、封止材55は、本体側壁部13と蓋側壁部17との間を一周に亘って封止する。なお、本実施形態において、封止材55としては、例えば、シリコーン系ガスケットおよびアクリル系ガスケット等の弾性を有する熱硬化性液状ガスケットを用いることができる。
【0047】
図2に示すように、本実施形態において、接続孔19は、本体側壁部13に設けられる。接続孔19は、本体側壁部13を径方向に貫通する孔である。接続孔19は、第2周溝14と繋がる。接続孔19は、空間部50から径方向外側に延びる孔である。これにより、接続孔19は、空間部50とケース10の外部空間とを繋ぐ。図示は省略するが、径方向に見て、接続孔19は、円形状である。径方向に見て、接続孔19は、矩形状および三角形状等の他の形状であってもよい。
図4に示すように、本実施形態において、ケース10は、複数の接続孔19を有する。ケース10は、2個の接続孔19を有する。複数の接続孔19は、第1接続孔19aと、第2接続孔19bとを含む。なお、ケース10は、3個以上の接続孔19を有してもよい。
【0048】
第1接続孔19aは、第1本体側壁部13aの左側(-D2側)の縁部に設けられる。第1接続孔19aは、空間部50とケース10の外部空間とを繋ぐ。第2接続孔19bは、第2本体側壁部13bの右側(+D2側)の縁部に設けられる。すなわち、接続孔19は、空間部50が延びる方向に沿って間隔をあけて複数配置される。第2接続孔19bは、空間部50とケース10の外部空間とを繋ぐ。2つの接続孔19a,19bは、モータ軸線J1を径方向に挟む位置に配置される。第1接続孔19aの内部および第2接続孔19bの内部には、封止材55が充填されている。つまり、接続孔19の内部には、封止材55が充填されている。
【0049】
空間部50は、第1空間部50aと、第2空間部50bと、を有する。第1空間部50aおよび第2空間部50bのそれぞれは、第1接続孔19aと第2接続孔19bとを繋ぐ。第1空間部50aは、第1接続孔19aから周方向他方側(-θ1側)に向けて延び、第2接続孔19bに繋がる。第1空間部50aは、空間部50のうち、モータ軸線J1よりも前側、すなわち第1方向D1の一方側(+D1側)を通る部分である。第2空間部50bは、第1接続孔19aから周方向一方側(+θ1側)に向けて延び、第2接続孔19bに繋がる。第2空間部50bは、空間部50のうち、モータ軸線J1よりも後側、すなわち第1方向D1の他方側(-D1側)を通る部分である。本実施形態において、第1空間部50aの長さ、すなわち第1空間部50aの第1接続孔19aと繋がる部分から第2接続孔19bと繋がる部分までの長さは、第2空間部50bの長さ、すなわち第2空間部50bの第1接続孔19aと繋がる部分から第2接続孔19bと繋がる部分までの長さと同じである。
【0050】
図4に示す、第1仮想線L1は、第1接続孔19aおよび第2接続孔19bを通る仮想直線である。本実施形態では、軸方向に見て、第1空間部50aと第2空間部50bとは、第1仮想線L1を対称線として互いに線対称な形状である。第1空間部50aのうち、本体角部13mおよび蓋角部17mと軸方向に見て重なる部分は、角状に曲がる。第2空間部50bのうち、本体角部13nおよび蓋角部17nと軸方向に見て重なる部分は、角状に曲がる。
【0051】
図2に示すように、モータ9は、ロータ20と、ステータ30と、を有する。ロータ20は、モータ軸線J1を中心として回転可能である。ロータ20は、ロータコア21と、図示しない磁石と、モータシャフト23と、を有する。ロータコア21は、モータ軸線J1を中心とする円環状である。ロータコア21は、周壁部12の内部に収容される。図示しない磁石は、ロータコア21に固定される。本実施形態において、磁石は、周方向に間隔をあけて複数配置される。
【0052】
モータシャフト23は、モータ軸線J1を中心として回転可能である。モータシャフト23は、モータ軸線J1を中心として軸方向に延びる略円柱状である。モータシャフト23は、周壁部12の内部、本体側壁部13の内部、および蓋収容部16aの内部に跨って延びている。モータシャフト23は、ロータコア21の内部を軸方向に通される。モータシャフト23の外周面には、ロータコア21が固定されている。モータシャフト23は、第1軸受91および第2軸受92によって、モータ軸線J1回りに回転可能に支持されている。
【0053】
ステータ30は、ロータ20の径方向外側に配置される。ステータ30は、ロータ20と径方向に隙間を介して対向して配置される。ステータ30は、周壁部12の内部に収容される。ステータ30は、ステータコア31と、インシュレータ32と、コイル部35と、を有する。
【0054】
ステータコア31は、ロータコア21を径方向外側から囲む環状である。ステータコア31は、ロータ20と径方向に隙間を介して対向する。ステータコア31は、コアバック部31aと、複数のティース部31bと、を有する。コアバック部31aは、モータ軸線J1を中心とする環状である。コアバック部31aは、ケース本体11の第2位置決め部12eに固定されている。コアバック部31aの下側を向く面は、第1位置決め部12cと軸方向に接触する。これにより、ケース本体11に対するステータ30の軸方向の位置が決まる。複数のティース部31bは、コアバック部31aから径方向内側に突出する。各ティース部31bは、周方向に沿って間隔をあけて配置される。インシュレータ32は、ステータコア31に装着される。インシュレータ32は、ステータコア31とコイル部35とを絶縁する。
【0055】
コイル部35は、複数のコイル本体部35aと、コイル引出線35bと、を有する。各コイル本体部35aは、インシュレータ32を介してティース部31bに装着される。コイル引出線35bは、コイル本体部35aから上側に引き出されて、回路基板80と接続される。これにより、コイル部35は、回路基板80と電気的に接続される。
【0056】
回路基板80は、軸方向と直交する方向に広がる板状である。回路基板80は、ステータ30よりも上側に配置される。回路基板80は、本体側壁部13の内部に収容される。回路基板80には、第1基板孔80a、第2基板孔80b、第3基板孔80c、および第4基板孔80dが設けられる。第1基板孔80a、第2基板孔80b、第3基板孔80c、および第4基板孔80dのそれぞれは、回路基板80を軸方向に貫通する孔である。
【0057】
軸方向に見て、第1基板孔80aは、モータ軸線J1を中心とする略円形状である。第1基板孔80aには、モータシャフト23が軸方向に通される。軸方向に見て、第2基板孔80bは、略円形状である。図示は省略するが、回路基板80には、3個の第2基板孔80bが設けられる。1個の第2基板孔80bは、回路基板80の左側(-D2側)の縁部に設けられる。図示は省略するが、他の2個の第2基板孔80bは、第1方向D1にモータ軸線J1を挟んで配置される。
【0058】
第3基板孔80cは、回路基板80の右側(+X側)の縁部に設けられる。軸方向に見て、第3基板孔80cは、略円形状である。図示は省略するが、回路基板80には、2個の第3基板孔80cが設けられる。各第3基板孔80cは、第1方向D1に間隔をあけて配置される。各第3基板孔80cの周縁は、ケース本体11のケース突出部12hに下側から支持される。これにより、ケース本体11に対する回路基板80の軸方向の位置が決まる。ねじ98が各第3基板孔80cを軸方向に通され、ケース突出部12hの雌ねじ穴に締め込まれると、回路基板80はケース本体11に固定される。軸方向に見て、第4基板孔80dは、出力軸線J2を中心とする略円形状である。第4基板孔80dには、出力シャフト66が軸方向に通される。
【0059】
伝達機構60は、回路基板80の上側に配置される。伝達機構60は、蓋収容部16aの内部に収容される。伝達機構60は、モータシャフト23および出力シャフト66に連結される。伝達機構60は、モータシャフト23の回転を出力シャフト66に伝達する。本実施形態において、伝達機構60は、ロータ20の回転を出力シャフト66に減速して伝達する。伝達機構60は、ロータ20の回転を出力シャフト66に増速して伝達してもよいし、出力シャフト66にロータ20の回転と同じ回転速度の回転を伝達してもよい。伝達機構60は、モータギヤ61と、第1段ギヤ62と、第2段ギヤ63と、出力ギヤ64と、を有する。モータシャフト23の回転は、モータギヤ61、第1段ギヤ62、第2段ギヤ63、出力ギヤ64、および出力シャフト66の順に伝達される。
【0060】
モータギヤ61は、モータシャフト23の回転を第1段ギヤ62に伝達する。モータギヤ61は、モータ軸線J1を中心とする円環板状である。モータギヤ61の内周面は、モータシャフト23の上端に固定される。これにより、モータギヤ61は、モータシャフト23と共にモータ軸線J1回りに回転する。モータギヤ61の径方向外側を向く面には、モータ歯車部が設けられる。
【0061】
第1段ギヤ62は、モータギヤ61の回転を第2段ギヤ63に伝達する。第1段ギヤ62は、出力軸線J2を中心とする円環板状である。第1段ギヤ62の内部には、出力シャフト66が軸方向に通される。第1段ギヤ62は、出力シャフト66によって出力軸線J2を中心に回転可能に支持される。第1段ギヤ62は、第1大径ギヤ62aと、第1小径ギヤ62bと、を有する。第1大径ギヤ62aと第1小径ギヤ62bとは、同一の単一部材の一部である。
【0062】
第1大径ギヤ62aは、出力軸線J2を中心とする円環板状である。第1大径ギヤ62aは、モータギヤ61と径方向に対向する。第1大径ギヤ62aの出力径方向外側を向く面には、第1大径歯車部が設けられる。第1大径歯車部は、モータ歯車部と噛み合う。第1大径歯車部の歯数は、モータ歯車部の歯数よりも大きい。これにより、モータシャフト23およびモータギヤ61の回転は、第1段ギヤ62に減速して伝達される。第1小径ギヤ62bは、出力軸線J2を中心とする円環板状である。第1小径ギヤ62bは、第1大径ギヤ62aの下側に配置される。第1小径ギヤ62bの出力径方向外側を向く面には、第1小径歯車部が設けられる。
【0063】
第2段ギヤ63は、第1段ギヤ62の回転を出力ギヤ64に伝達する。第2段ギヤ63は、モータ軸線J1を中心とする円環板状である。第2段ギヤ63の内部には、モータシャフト23が軸方向に通される。第2段ギヤ63は、モータシャフト23によってモータ軸線J1を中心に回転可能に支持される。第2段ギヤ63は、第2大径ギヤ63aと、第2小径ギヤ63bと、を有する。第2大径ギヤ63aと第2小径ギヤ63bとは、同一の単一部材の一部である。
【0064】
第2大径ギヤ63aは、モータ軸線J1を中心とする円環板状である。第2大径ギヤ63aは、第1小径ギヤ62bと径方向に対向する。第2大径ギヤ63aの径方向外側を向く面には、第2大径歯車部が設けられる。第2大径歯車部は、第1小径歯車部と噛み合う。第2大径歯車部の歯数は、第1小径歯車部の歯数よりも大きい。これにより、第1段ギヤ62の回転は、第2段ギヤ63に減速して伝達される。第2小径ギヤ63bは、モータ軸線J1を中心とする円環板状である。第2小径ギヤ63bは、第2大径ギヤ63aの下側に配置される。第2小径ギヤ63bの径方向外側を向く面には、第2小径歯車部が設けられる。
【0065】
出力ギヤ64は、第2段ギヤ63の回転を出力シャフト66に伝達する。出力ギヤ64は、出力軸線J2を中心とする円環板状である。出力ギヤ64の内周面は、出力シャフト66に固定される。これにより、出力シャフト66は、出力ギヤ64と共に出力軸線J2を中心として回転する。出力ギヤ64の出力径方向外側を向く面には、出力歯車部が設けられる。出力歯車部は、第2小径歯車部と噛み合う。出力歯車部の歯数は、第2小径歯車部の歯数よりも大きい。これにより、第2段ギヤ63の回転は、出力ギヤ64に減速して伝達される。上述のように、モータギヤ61の回転は、第1段ギヤ62に減速して伝達され、第1段ギヤ62の回転は、第2段ギヤ63に減速して伝達される。これらにより、伝達機構60は、モータシャフト23の回転を減速して出力シャフト66に伝達する。
【0066】
出力シャフト66は、電動アクチュエータ1の駆動力を出力する。出力シャフト66は、出力軸線J2を中心として軸方向に延びる略円柱状である。出力シャフト66は、出力軸線J2回りに回転可能である。出力シャフト66は、第1段ギヤ62および出力ギヤ64の内部を軸方向に通される。出力シャフト66は、回路基板80の第4基板孔80dを軸方向に通される。出力シャフト66の上側の部分は、蓋孔部16bを軸方向に通される。出力シャフト66は、蓋孔部16bの内周面によって出力軸線J2回りに回転可能に支持される。出力シャフト66の下側の部分は、第3軸受93によって出力軸線J2回りに回転可能に支持される。出力シャフト66の上端は、ケース10の外部に露出する。出力シャフト66の上端を含む部分は、図示しない被駆動部材と連結される。これにより、電動アクチュエータ1は、被駆動部材を駆動可能である。本実施形態では、上述のように、伝達機構60は、モータシャフト23の回転を減速して出力シャフト66に伝達する。したがって、電動アクチュエータ1は、モータシャフト23の回転トルクに対して、出力シャフト66の回転トルクを増大できるため、被駆動部材を円滑に駆動できる。
【0067】
ステータカバー40は、軸方向と直交する方向に広がる板状である。ステータカバー40は、周壁部12の内部に配置される。ステータカバー40は、ステータ30の上側に配置される。ステータカバー40は、回路基板80の下側に配置される。本実施形態において、ステータカバー40は、樹脂製である。ステータカバー40は、金属製であってもよい。ステータカバー40は、カバー本体部41と、カバー固定部42と、を有する。
【0068】
カバー本体部41は、軸方向と直交する方向に広がる板状である。カバー本体部41は、モータ軸線J1を中心とする円環板状である。カバー本体部41は、第1カバー孔部41bと、第2カバー孔部41fと、第3カバー孔部41hと、カバー凹部41eと、突出部41iと、を有する。第1カバー孔部41b、第2カバー孔部41f、および第3カバー孔部41hのそれぞれは、カバー本体部41を貫通する孔である。
【0069】
軸方向に見て、第1カバー孔部41bは、モータ軸線J1を中心とする円形状である。第1カバー孔部41bには、モータシャフト23が軸方向に通される。軸方向に見て、第2カバー孔部41fは、円形状である。第2カバー孔部41fには、コイル引出線35bが、軸方向に通される。軸方向に見て、第3カバー孔部41hは、出力軸線J2を中心とする円形状である。第3カバー孔部41hには、出力シャフト66が軸方向に通される。第3カバー孔部41hには、第3軸受93が取り付けられる。第3軸受93は、出力シャフト66の下側の部分を出力軸線J2回りに回転可能に支持する。本実施形態において、第3軸受93は、滑り軸受である。第3軸受93は、ボールベアリングであってもよい。
【0070】
カバー凹部41eは、カバー本体部41の下側を向く面から上側に窪む。カバー凹部41eは、モータ軸線J1を中心として周方向一周に亘って延びる。カバー凹部41eの内部には、インシュレータ32の上側の部分および複数のコイル本体部35aの上側の部分が配置される。
【0071】
突出部41iは、カバー本体部41から上側に突出する円柱状である。図示は省略するが、本実施形態において、カバー本体部41は、3個の突出部41iを有する。各突出部41iには、各突出部41iの上側を向く面から下側に窪む雌ねじ穴が設けられる。各突出部41iは、回路基板80の各第2基板孔80bの周縁を下側から支持する。これにより、ステータカバー40に対する回路基板80の軸方向の位置が決まる。後述するように、ステータカバー40は、ケース本体11に固定される。よって、ステータカバー40を介してケース本体11に対する回路基板80の軸方向の位置が決まる。ねじ98が各第2基板孔80bを軸方向に通され、各突出部41iの雌ねじ穴に締め込まれると、回路基板80はステータカバー40に固定される。回路基板80は、ステータカバー40を介してケース本体11に固定される。
【0072】
カバー固定部42は、カバー本体部41の径方向外縁から下側に突出する。カバー固定部42は、モータ軸線J1を中心とする円環状である。カバー固定部42の外周面は、周壁部12に固定される。これにより、ステータカバー40は、ケース本体11に固定される。カバー固定部42の下側を向く面は、ステータコア31のコアバック部31aと軸方向に接触する。これにより、ステータカバー40を介して、ケース本体11に対するステータ30の軸方向の位置が決まる。
【0073】
次に、本実施形態の電動アクチュエータ1の蓋部材固定工程Mfについて説明する。蓋部材固定工程Mfは、電動アクチュエータ1の製造工程の一部である。蓋部材固定工程Mfでは、ケース本体11に蓋部材16を固定し、空間部50に封止材55を充填する。蓋部材固定工程Mfは、ケース本体11にモータ9および伝達機構60等の電動アクチュエータ1の各部を取り付ける第1ステップS1と、蓋部材16をケース本体11に固定する第2ステップS2と、空間部50に封止材55を充填する第3ステップS3と、を有する。なお、本明細書において「作業者等」とは、蓋部材固定工程Mfの各作業を行う作業者および組立装置等を含む。各作業は、作業者のみによって行われてもよいし、組立装置のみによって行われてもよいし、作業者と組立装置とによって行われてもよい。
【0074】
図6に示すように、第1ステップS1では、作業者等は、図示しない治具等に固定したケース本体11に、モータ9、伝達機構60、および出力シャフト66等の電動アクチュエータ1の各部を取り付ける。電動アクチュエータ1の各部は、開口部12bを介して、ケース本体11の内部に取り付けられる。ケース本体11に電動アクチュエータ1の各部が取り付けられると、第1ステップS1は終了する。
【0075】
第2ステップS2では、作業者等は、蓋部材16を、ケース本体11の上側から下側に移動する。このとき、作業者等は、蓋部材16の蓋孔部16bに出力シャフト66を軸方向に通す。また、作業者等は、本体側壁部13の内部に蓋側壁部17を挿入する。
図8に示すように、作業者等は、蓋部材16のフランジ部16dの外縁が、ケース本体11の本体突出部13pと軸方向に接触するまで、蓋部材16を下側に移動させると、蓋部材16の移動を停止する。このとき、第1周溝18と第2周溝14とは径方向に対向する。よって、第1周溝18および第2周溝14によって、空間部50が構成される。その後、作業者等は、蓋部材16をケース本体11に固定する。蓋部材16は、図示しないボルト等の締結部材によってケース本体11に固定されてもよいし、熱溶着によってケース本体11に固定されてもよい。蓋部材16をケース本体11に固定すると、第2ステップS2は終了する。
【0076】
第3ステップS3では、作業者等は、まず、図示しない充填治具のノズルをケース本体11の外側から第1接続孔19aの内部に挿入する。次に、作業者等は、充填治具によって、第1接続孔19aから空間部50に図示しない液状の封止材55を充填する。第1接続孔19aから空間部50に流れ込んだ液状の封止材55は、
図4に示す、第1空間部50aおよび第2空間部50bのそれぞれを第2接続孔19bに向けて流れる。その後、第1空間部50aおよび第2空間部50bのそれぞれを流れる液状の封止材55は第2接続孔19bに達し、第2接続孔19bを介してケース本体11の外部に漏れ出る。作業者等は、液状の封止材55がケース本体11の外部に漏れ出たことを確認すると、液状の封止材55の充填を終了する。その後、作業者等が、液状の封止材55を硬化させると、封止材55によって、本体側壁部13と蓋側壁部17との間が封止される。つまり、封止材55によって、ケース本体11と蓋部材16との間が封止される。封止材55の硬化が終了すると、第3ステップS3が終了する。第3ステップS3が終了すると、蓋部材固定工程Mfは終了する。
【0077】
なお、本実施形態では、上述のように、第2ステップS2において蓋部材16をケース本体11に固定した後に、第3ステップS3において空間部50に液状の封止材55を充填しているが、第2ステップS2では蓋部材16をケース本体11によって保持し、第3ステップS3において空間部50に液状の封止材55を充填した後に、蓋部材16をケース本体11に固定してもよい。
【0078】
本実施形態によれば、ケース10は、軸方向に延びる本体側壁部13を有する筒状のケース本体11と、軸方向に延びる蓋側壁部17を有し、開口部12bを覆う蓋部材16と、を有する。本体側壁部13の径方向内側、すなわち径方向一方側を向く面である本体側壁面13dは、蓋側壁部17の径方向外側、すなわち径方向他方側を向く面である蓋側壁面17dと径方向に対向し、蓋側壁面17dには、本体側壁面13dに対して径方向に窪み、且つ、軸方向と直交する方向に沿って一周に亘って延びる第1周溝18が設けられる。ケース10は、第1周溝18と本体側壁面13dとによって構成される空間部50とケース10の外部空間とを繋ぐ接続孔19を有し、空間部50には、本体側壁部13と蓋側壁部17との間を封止する封止材55が一周に亘って充填されている。本体側壁部13または蓋側壁部17の一方の側壁部の軸方向を向く面に設けた溝に配置されたOリング等の弾性部材によって本体側壁部13と蓋側壁部17との間を封止する構成の場合、本体側壁部13または蓋側壁部17の他方の側壁部の軸方向を向く面を弾性部材に押し付け必要がある。よって、係る構成の場合、当該一方の側壁部の剛性を確保するために、当該一方の側壁部の径方向の寸法が大きくなり易い。そのため、電動アクチュエータ1の小型化を図ることが困難であった。これに対して、本実施形態における電動アクチュエータ1は、蓋側壁面17dから径方向に窪む第1周溝18および本体側壁面13dが構成する空間部50に充填された封止材55によって、本体側壁部13と蓋側壁部17との間を封止する構成である。そのため、本体側壁部13および蓋側壁部17同士を押し付けあう必要が無いため、本体側壁部13および蓋側壁部17に加わる力を小さくし易い。そのため、本体側壁部13および蓋側壁部17の径方向の寸法を小さくし易い。これらにより、本体側壁部13および蓋側壁部17の径方向の寸法を小さくし易いため、電動アクチュエータ1の小型化を図ることができる。
【0079】
本実施形態によれば、本体側壁面13dは、軸方向に見て、角状に曲がる本体角部13m,13nを有し、蓋側壁面17dは、軸方向に見て、角状に曲がり、本体角部13m,13nと径方向に対向する蓋角部17m,17nを有する。Oリング等の弾性部材で本体側壁面13dと蓋側壁面17dとの間を封止する構成の場合、角状に曲がる角部の形状に沿った形状の弾性部材は成形しづらく、弾性部材の製造コストが増大し易い。これに対して、本実施形態では、蓋部材固定工程Mfの第3ステップS3において、空間部50に液状の封止材55を充填した後に、液状の封止材55硬化させることによって封止材55を成形できる。そのため、本体側壁面13dおよび蓋側壁面17dのそれぞれが角部を有していても、容易に角部に沿った形状の封止材55を成形できる。したがって、電動アクチュエータ1の製造コストが増大することを抑制できる。
【0080】
本実施形態によれば、接続孔19は、軸方向に見て空間部50が延びる方向に沿って間隔を空けて複数配置される。よって、少なくとも1つの接続孔19、本実施形態では第1接続孔19aを空間部50に液状の封止材55を充填する充填孔として利用でき、少なくとも1つの接続孔19、本実施形態では第2接続孔19bを空間部50の空気を空間部50外に排気する排気孔として利用できる。そのため、空間部50に液状の封止材55を充填する際に、液状の封止材55に空気が巻き込まれることを抑制できる。これにより、硬化後の封止材55に巣が発生することを抑制できるため、ケース本体11と蓋部材16との封止性能を高めることができる。
【0081】
本実施形態によれば、複数の接続孔19のうち2つの接続孔19は、モータ軸線J1を径方向に挟む位置に配置される。よって、蓋部材固定工程Mfの第3ステップS3において、作業者等は、空間部50に液状の封止材55を充填する際に、排気孔として利用する第2接続孔19bから液状の封止材55が漏れ出ることを確認した後に、液状の封止材55の充填を停止できる。これにより、空間部50の一周に亘って液状の封止材55を充填しやすい。したがって、ケース本体11と蓋部材16との封止性能を高めることができる。
【0082】
本実施形態によれば、空間部50は、モータ軸線J1よりも前側、すなわち第1方向D1の一方側(+D1側)を通る第1空間部50aと、モータ軸線J1よりも後側、すなわち第1方向D1の他方側(-D1側)を通る第2空間部50bと、を有し、複数の接続孔19は、第1接続孔19aと、第2接続孔19bと、を含み、第1空間部50aおよび第2空間部50bのそれぞれは、第1接続孔19aと第2接続孔19bとを繋ぎ、第1空間部50aの長さは、第2空間部50bの長さと同じである。よって、蓋部材固定工程Mfの第3ステップS3において、第1空間部50aを通る液状の封止材55および第2空間部50bを通る液状の封止材55のそれぞれが、第2接続孔19bに達するタイミングのずれを小さくできる。そのため、作業者等は、第2接続孔19bから液状の封止材55が漏れ出ることを確認した後に、液状の封止材55の充填を停止することによって、空間部50の一周に亘って液状の封止材55をより好適に充填できる。したがって、ケース本体11と蓋部材16との間の封止性能をより高めることができる。
【0083】
本実施形態によれば、軸方向に見て、第1空間部50aと第2空間部50bとは、第1接続孔19aおよび第2接続孔19bを通る直線である第1仮想線L1を対称線として互いに線対称な形状である。よって、蓋部材固定工程Mfの第3ステップS3において、第1空間部50aおよび第2空間部50bのそれぞれを流れる液状の封止材55の圧力損失の差分を小さくできる。よって、第1空間部50aおよび第2空間部50bのそれぞれを流れる液状の封止材55の流速の差分を小さくできる。したがって、第1空間部50aを通る液状の封止材55および第2空間部50bを通る液状の封止材55のそれぞれが、第2接続孔19bに達するタイミングのずれをより好適に小さくできる。そのため、作業者等は、第2接続孔19bから液状の封止材55が漏れ出ることを確認した後に、液状の封止材55の充填を停止することによって、空間部50の一周に亘って液状の封止材55をより好適に充填できる。したがって、ケース本体11と蓋部材16との間の封止性能をより高めることができる。
【0084】
本実施形態によれば、接続孔19の内部には、封止材55が充填される。よって、蓋部材固定工程Mfの第3ステップS3において、作業者等は、第2接続孔19bから液状の封止材55が漏れ出ることを確認した後に、空間部50への液状の封止材55の充填を停止できる。これにより、上述のように、空間部50の一周に亘って液状の封止材55をより好適に充填できる。したがって、ケース本体11と蓋部材16との間の封止性能をより高めることができる。
【0085】
本実施形態によれば、本体側壁面13dには、径方向に窪み、軸方向と直交する方向に沿って一周に亘って延び、且つ、第1周溝18と径方向に対向する第2周溝14が設けられ、空間部50は、第1周溝18および第2周溝14によって構成され、封止材55は、第1周溝18の内部および第2周溝14の内部に跨って充填される。よって、軸方向に見て、封止材55を、本体側壁面13dおよび蓋側壁面17dの両方に跨って配置できるため、封止材55によって、本体側壁部13と蓋側壁部17との間をより好適に封止できる。したがって、ケース本体11と蓋部材16との間の封止性能をより高めることができる。
【0086】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態の電動アクチュエータ101を示す断面図である。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0087】
図8に示すように、本実施形態の本体側壁部113の本体側壁面113dには、第2周溝が設けられない。本体側壁面113dは、上下方向(Z軸方向)に直線状に延びる。なお、本実施形態の第1周溝18は、上述の第1実施形態と同様に、本体側壁面113dおよび蓋側壁面17dのうち、径方向外側を向く面である蓋側壁面17dに設けられる。
【0088】
空間部150は、第1周溝18と本体側壁面113dとによって構成される。周方向に見て、空間部150は、径方向内側に凸となる半円形状の空間である。図示は省略するが、上述の第1実施形態と同様に、空間部150は、軸方向と直交する方向に沿って一周に亘って延びる。空間部150には、封止材155が充填されている。封止材155は、第1周溝18の内側面および本体側壁面113dの両方に接触する。これにより、封止材155は、本体側壁部113と蓋側壁部17との間を封止する。つまり、封止材155は、ケース本体111と蓋部材16との間を封止する。本実施形態の空間部150および封止材155のその他の構成等は、上述の第1実施形態の空間部50および封止材55のその他の構成等と同一である。
【0089】
接続孔119は、本体側壁部113に設けられる。接続孔119は、本体側壁部113を径方向に貫通する孔である。径方向に見て、接続孔119は、第1周溝18と重なる。これにより、接続孔119は、空間部150とケース110の外部空間とを繋ぐ。本実施形態において、ケース110は、複数の接続孔119を有する。本実施形態において、ケース110は、2個の接続孔119を有する。複数の接続孔119は、第1接続孔119aと、第2接続孔119bを、を含む。第1接続孔119aは、本体側壁部113の左側(-D2側)の縁部に設けられる。第1接続孔119aは、空間部150とケース110の外部空間とを繋ぐ。第2接続孔119bは、本体側壁部113の右側(+D2側)の縁部に設けられる。第2接続孔119bは、空間部150とケース110の外部空間とを繋ぐ。接続孔119のその他の構成等は、上述の第1実施形態の接続孔19の構成等と同一である。
【0090】
本実施形態によれば、第1周溝18は、本体側壁面113dおよび蓋側壁面17dのうち、径方向外側を向く面である蓋側壁面17dに設けられる。よって、例えば切削加工機によって、蓋側壁面17dに第1周溝18を設ける際に、蓋側壁部17の径方向外側から切削加工機によって第1周溝18を設けることができる。そのため、第1周溝18が本体側壁面113dおよび蓋側壁面17dのうち、径方向内側を向く面である本体側壁面113dに設けられる場合と比較して、第1周溝18を容易に設けることができる。したがって、ケース10の製造工数および製造コストが増大することを抑制できる。
【0091】
また、本実施形態では、蓋側壁面17dから径方向に窪む第1周溝18および上下方向(Z軸方向)に直線状に延びる本体側壁面113dが構成する空間部150に充填された封止材155によって、本体側壁部113と蓋側壁部17との間を封止できる。したがって、本体側壁部113にも周溝が設けられる構成と比較して、本体側壁部113の径方向の厚さを薄くし易い。そのため、より好適に電動アクチュエータ101の小型化を図ることができる。
【0092】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0093】
空間部は、本体側壁面から径方向内側に窪む第2周溝と軸方向に直線状に延びる蓋側壁面とによって構成されてもよい。また、第1空間部の長さと第2空間部の長さは異なる長さであってもよいし、第1空間部と第2空間部とは第1仮想線に対して非対称な形状であってもよい。これらの構成においては、蓋部材固定工程の第3ステップにおいて、作業者等は、第2接続孔から液状の封止材が漏れ出ることを確認した後、液状の封止材の充填を所定時間継続した後に、液状の封止材の充填を停止する等によって、空間部の一周に亘って液状の封止材を充填できる。
【0094】
第1接続孔および第2接続孔が設けられる位置は本実施形態に限定されず、例えば、第1接続孔は、本体側壁部の右側の部分に設けられてもよいし、第2接続部は、本体側壁部の左側の部分に設けられてもよい。また、第1接続孔および第2接続孔は、モータ軸線を径方向に挟む位置に配置されていなくてもよい。接続孔の内部には、接着剤が充填されていなくてもよい。
【0095】
本体側壁面および蓋側壁面の形状は本実施形態に限定されず、例えば、本体側壁面および蓋側壁面は、軸方向に見て、矩形状であってもよいし、円形状であってもよい。また、本体側壁面および蓋側壁面は、角部を有していなくてもよい。この場合、蓋部材固定工程の第3ステップにおいて、空間部を流れる液状の封止材の圧力損失を低減できるため、より容易に空間部の内部に液状の封止材を充填できる。
【0096】
伝達機構の構成は、モータシャフトの回転を出力シャフトに減速して伝達できるならば、特に限定されない。例えば、モータシャフトおよびモータギヤは同一の単一部材の一部であってもよいし、出力シャフトおよび出力ギヤは同一の単一部材の一部であってもよい。
【0097】
本発明が適用される電動アクチュエータの用途は、特に限定されない。電動アクチュエータは、運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載されてもよい。また、電動アクチュエータは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、以上に、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【0098】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) モータ軸線を中心として回転可能なモータシャフトを有するロータと、前記ロータの径方向外側に配置されるステータと、を有するモータと、前記モータシャフトの回転を出力シャフトに減速して伝達する伝達機構と、前記モータおよび前記伝達機構のそれぞれを収容するケースと、を備え、前記ケースは、軸方向一方側に開口する開口部と、軸方向に延びる本体側壁部と、を有する筒状のケース本体と、軸方向に延びる蓋側壁部を有し、前記開口部を覆う蓋部材と、を有し、前記本体側壁部の径方向一方側を向く面である本体側壁面は、前記蓋側壁部の径方向他方側を向く面である蓋側壁面と径方向に対向し、前記本体側壁面および前記蓋側壁面の一方には、前記本体側壁面および前記蓋側壁面の他方に対して径方向に窪み、且つ、軸方向と直交する方向に沿って一周に亘って延びる第1周溝が設けられ、前記ケースは、前記第1周溝と前記本体側壁面および前記蓋側壁面の他方とによって構成される空間部と前記ケースの外部空間とを繋ぐ接続孔を有し、前記空間部には、前記本体側壁部と前記蓋側壁部との間を封止する封止材が一周に亘って充填されている、電動アクチュエータ。
(2) 前記本体側壁面は、軸方向に見て、角状に曲がる本体角部を有し、前記蓋側壁面は、軸方向に見て、角状に曲がり、前記本体角部と径方向に対向する蓋角部を有する、(1)に記載の電動アクチュエータ。
(3) 前記接続孔は、軸方向に見て前記空間部が延びる方向に沿って間隔を空けて複数配置される、(1)または(2)に記載の電動アクチュエータ。
(4) 複数の前記接続孔のうち2つの前記接続孔は、前記モータ軸線を径方向に挟む位置に配置される、(3)に記載の電動アクチュエータ。
(5) 前記空間部は、前記モータ軸線よりも軸方向と直交する第1方向の一方側を通る第1空間部と、前記モータ軸線よりも前記第1方向の他方側を通る第2空間部と、を有し、複数の前記接続孔は、第1接続孔と、第2接続孔と、を含み、前記第1空間部および前記第2空間部のそれぞれは、前記第1接続孔と前記第2接続孔とを繋ぎ、前記第1空間部の長さは、前記第2空間部の長さと同じである、(3)または(4)に記載の電動アクチュエータ。
(6) 軸方向に見て、前記第1空間部と前記第2空間部とは、前記第1接続孔および前記第2接続孔を通る直線を対称線として互いに線対称な形状である、(5)に記載の電動アクチュエータ。
(7) 前記第1周溝は、前記本体側壁面および前記蓋側壁面のうち、径方向外側を向く面に設けられる、(1)から(6)のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
(8) 前記接続孔の内部には、封止材が充填されている、(1)から(7)のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
(9) 前記本体側壁面および前記蓋側壁面の他方には、径方向に窪み、軸方向と直交する方向に沿って一周に亘って延び、且つ、前記第1周溝と径方向に対向する第2周溝が設けられ、前記空間部は、前記第1周溝および前記第2周溝によって構成され、前記封止材は、前記第1周溝の内部および前記第2周溝の内部に跨って充填される、(1)から(8)のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【符号の説明】
【0099】
1,101…電動アクチュエータ、9…モータ、10,110…ケース、11,111…ケース本体、12b…開口部、13,113…本体側壁部、13d,113d…本体側壁面、13m,13n…本体角部、14…第2周溝、16…蓋部材、17…蓋側壁部、17d…蓋側壁面、17m,17n…蓋角部、19,119…接続孔、19a,119a…第1接続孔、19b,119b…第2接続孔、20…ロータ、23…モータシャフト、30…ステータ、18…第1周溝、50,150…空間部、50a…第1空間部、50b…第2空間部、55,155…封止材、60…伝達機構、66…出力シャフト、D1…第1方向、J1…モータ軸線