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特開2024-144880透過型ディスプレイにおける情報表示の調整
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144880
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】透過型ディスプレイにおける情報表示の調整
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20241004BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20241004BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G09G5/00 550C
G09G5/00 510B
G09G3/20 680Z
G09G5/38 100
G09G3/20 660E
G09G5/00 530H
G09G5/00 510D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057045
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】319010088
【氏名又は名称】楽天モバイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】久住 仁
(72)【発明者】
【氏名】青柳 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 拓也
【テーマコード(参考)】
5C080
5C182
【Fターム(参考)】
5C080EE21
5C080EE22
5C080JJ01
5C080JJ02
5C080JJ07
5C080KK05
5C080KK25
5C182AA14
5C182AA22
5C182AA27
5C182AB11
5C182AC02
5C182AC12
5C182BA14
5C182BA54
5C182BA56
5C182BC26
5C182CB13
5C182CB42
5C182DA44
(57)【要約】
【課題】ユーザに対して効果的に情報を提供するために、透過型ディスプレイにおける情報表示を調整する。
【解決手段】表示制御装置は、測定処理と、特定処理と、算出処理と、表示制御処理とを実行する。当該測定処理は、透過型ディスプレイを通じて所定の対象物を見る複数のユーザの位置と、当該対象物の位置を測定することを含む。当該特定処理は、当該複数のユーザの位置と、当該対象物の位置に基づいて、当該対象物に対する当該複数のユーザの視線と、当該透過型ディスプレイとの複数の交差点の、当該透過型ディスプレイにおける位置を特定することを含む。当該算出処理は、当該複数の交差点の位置に基づいて、当該複数の交差点のばらつき度を算出することを含む、当該表示制御処理は、当該ばらつき度に基づいて、当該対象物に関する情報を、当該透過型ディスプレイに表示することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のプロセッサを備え、前記1以上のプロセッサの少なくとも一つによって、
透過型ディスプレイを通じて所定の対象物を見る複数のユーザの位置と、前記対象物の位置を測定する測定処理と、
前記複数のユーザの位置と、前記対象物の位置に基づいて、前記対象物に対する前記複数のユーザの視線と、前記透過型ディスプレイとの複数の交差点の、前記透過型ディスプレイにおける位置を特定する特定処理と、
前記複数の交差点の位置に基づいて、前記複数の交差点のばらつき度を算出する算出処理と、
前記ばらつき度に基づいて、前記対象物に関する情報を、前記透過型ディスプレイに表示する表示制御処理と、
が実行される、表示制御装置。
【請求項2】
前記表示制御処理は、前記ばらつき度が所定のレベル以上か前記所定のレベル未満かに基づいて、異なる態様で、前記対象物に関する情報を、前記透過型ディスプレイに表示することを含む、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記表示制御処理は、前記ばらつき度が前記所定のレベル以上の場合に、前記複数のユーザが前記透過型ディスプレイにおいて前記対象物を視認する複数の領域と異なる領域において、前記対象物に関する情報を表示することを含む、
請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記表示制御処理は、前記ばらつき度が所定のレベル未満の場合に、前記複数のユーザが前記透過型ディスプレイにおいて前記対象物を視認する複数の領域を包含するように、前記対象物に関する情報を表示することを含む、
請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記表示制御処理は、前記複数のユーザのうちの第1ユーザが前記透過型ディスプレイを通じて前記対象物を見る場合に、前記第1ユーザが前記透過型ディスプレイにおいて前記対象物を認識する領域に、前記対象物に関する情報を表示することを含む、
請求項4に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記表示制御処理は、前記複数のユーザのうち、所定の条件を満たす1以上のユーザが前記透過型ディスプレイを通じて前記対象物を見る場合に、前記対象物に関する情報とは別の情報を、前記1以上のユーザが前記透過型ディスプレイにおいて前記対象物を認識する1以上の領域の周辺に表示することを含む、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記別の情報は、前記1以上のユーザの属性情報に応じた情報である、
請求項6に記載の表示制御装置。
【請求項8】
前記表示制御装置は、前記透過型ディスプレイを備える、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項9】
透過型ディスプレイを通じて所定の対象物を見る複数のユーザの位置と、前記対象物の位置を測定することと、
前記複数のユーザの位置と、前記対象物の位置に基づいて、前記対象物に対する前記複数のユーザの視線と、前記透過型ディスプレイとの複数の交差点の、前記透過型ディスプレイにおける位置を特定することと、
前記複数の交差点の位置に基づいて、前記複数の交差点のばらつき度を算出することと、
前記ばらつき度に基づいて、前記対象物に関する情報を、前記透過型ディスプレイに表示することと、
を含む、表示制御方法。
【請求項10】
プログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラムは、情報処理装置の1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、前記情報処理装置に、
透過型ディスプレイを通じて所定の対象物を見る複数のユーザの位置と、前記対象物の位置を測定する測定処理と、
前記複数のユーザの位置と、前記対象物の位置に基づいて、前記対象物に対する前記複数のユーザの視線と、前記透過型ディスプレイとの複数の交差点の、前記透過型ディスプレイにおける位置を特定する特定処理と、
前記複数の交差点の位置に基づいて、前記複数の交差点のばらつき度を算出する算出処理と、
前記ばらつき度に基づいて、前記対象物に関する情報を、前記透過型ディスプレイに表示する表示制御処理と、
を実行させる命令を含む記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、透過型ディスプレイにおける情報表示の調整に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、透明度が高い材料で構成され、画像や映像を表示することが可能な透過型ディスプレイが開発され、その活用が期待されている。透過型ディスプレイにおける情報の表示に関する技術として、例えば、特許文献1には、透過型ディスプレイを通して物体を見る場合に、透過型ディスプレイにおいて視認される当該物体の位置に合わせて、適切な位置に情報を表示するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-183554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
透過型ディスプレイを通して静止体や動体といった対象物を見るユーザに対して、当該対象物に関する情報を当該透過型ディスプレイに表示する場合を考える。ここで、一人のユーザが当該対象物を見る場合は、当該対象物に対する当該ユーザの視線方向と当該透過型ディスプレイとの交差点に基づく位置において当該情報を表示することにより、当該情報は、当該ユーザの視線方向に表示され、有益な情報となりうる。しかしながら、複数のユーザが当該対象物を見る場合は、当該対象物に対する当該複数のユーザの視線方向と当該透過型ディスプレイとの交差点はそれぞれ異なりうる。そのため、当該対象物に対する特定のユーザの視線方向と当該透過型ディスプレイとの交差点に基づく位置において当該情報を表示すると、当該特定のユーザ以外のユーザにとっては、視線方向とずれた位置に当該情報が表示され、有益な情報とならない可能性がある。よって、複数のユーザが透過型ディスプレイを通じて同一の対象物を見る際に当該対象物に関する情報を当該透過型ディスプレイに表示する場合、透過型ディスプレイにおける情報表示を調整する必要がある。
そのほか、ユーザに対して効果的に情報を提供するための透過型ディスプレイにおける情報表示の調整について、さらなる発展の余地がある。
【0005】
本開示では、このような課題に鑑みて、ユーザに対して効果的に情報を提供するために、透過型ディスプレイにおける情報表示を調整するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による表示制御装置は、1以上のプロセッサを備え、前記1以上のプロセッサの少なくとも一つによって、測定処理と、特定処理と、算出処理と、表示制御処理と、が実行される。前記測定処理は、透過型ディスプレイを通じて所定の対象物を見る複数のユーザの位置と、前記対象物の位置を測定することを含む。前記特定処理は、前記複数のユーザの位置と、前記対象物の位置に基づいて、前記対象物に対する前記複数のユーザの視線と、前記透過型ディスプレイとの複数の交差点の、前記透過型ディスプレイにおける位置を特定することを含む。前記算出処理は、前記複数の交差点の位置に基づいて、前記複数の交差点のばらつき度を算出することを含む。前記表示制御処理は、前記ばらつき度に基づいて、前記対象物に関する情報を、前記透過型ディスプレイに表示することを含む。
【0007】
本開示の一態様による表示制御方法は、透過型ディスプレイを通じて所定の対象物を見る複数のユーザの位置と、前記対象物の位置を測定することと、前記複数のユーザの位置と、前記対象物の位置に基づいて、前記対象物に対する前記複数のユーザの視線と、前記透過型ディスプレイとの複数の交差点の、前記透過型ディスプレイにおける位置を特定することと、前記複数の交差点の位置に基づいて、前記複数の交差点のばらつき度を算出することと、前記ばらつき度に基づいて、前記対象物に関する情報を、前記透過型ディスプレイに表示することと、を含む。
【0008】
本開示の一態様によるコンピュータ可読記憶媒体は、プログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラムは、情報処理装置の1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、前記情報処理装置に、測定処理と、特定処理と、算出処理と、表示制御処理と、を実行させる命令を含む。前記測定処理は、透過型ディスプレイを通じて所定の対象物を見る複数のユーザの位置と、前記対象物の位置を測定することを含む。前記特定処理は、前記複数のユーザの位置と、前記対象物の位置に基づいて、前記対象物に対する前記複数のユーザの視線と、前記透過型ディスプレイとの複数の交差点の、前記透過型ディスプレイにおける位置を特定することを含む。前記算出処理は、前記複数の交差点の位置に基づいて、前記複数の交差点のばらつき度を算出することを含む。前記表示制御処理は、前記ばらつき度に基づいて、前記対象物に関する情報を、前記透過型ディスプレイに表示することを含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の技術によれば、透過型ディスプレイにおける情報表示を調整することにより、ユーザに対して効果的に情報が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態による表示システム1の構成例を示す。
図2図2は、透過型ディスプレイ10と表示制御装置11の例示的な模式図を示す。
図3図3は、透過型ディスプレイ10の位置が変化する場合の、対象物20に対するユーザu1とユーザu2の視線と、透過型ディスプレイ10との交差点の変化を示す。
図4図4は、ユーザu1と対象物20の位置を測定するための処理を説明する図である。
図5A図5Aは、ユーザu1とユーザu2から視認される、透過型ディスプレイ10における対象物20の位置を示す。
図5B図5Bは、第1表示タイプに従う情報の表示例を示す。
図6A図5Aは、ユーザu1とユーザu2から視認される、透過型ディスプレイ10における対象物20の位置を示す。
図6B図5Bは、第2表示タイプに従う情報の表示例を示す。
図7A図7Aは、ユーザu1とユーザu2から視認される、透過型ディスプレイ10における対象物20の位置を示す。
図7B図7Bは、第2表示タイプに従う情報の表示例を示す。
図8A図8Aは、ユーザu1とユーザu2から視認される、透過型ディスプレイ10における対象物20の位置を示す。
図8B図8Bは、第3表示タイプに従う情報の表示例を示す。
図9図9は、表示制御装置11により実行される処理のフローチャートを示す。
図10A図10Aは、対象物が動体である場合の情報の表示例を示す。
図10B図10Bは、対象物を拡大表示する表示例を示す。
図10C図10Cは、ユーザにより指定された対象物に関する情報の表示例を示す。
図11A図11Aは、第2実施形態による表示システム1の構成例を示す。
図11B図11Bは、所定の条件を満たすユーザへの広告の表示例を示す。
図12図12は、第3実施形態を説明する概略図を示す。
図13図13は、表示制御装置のハードウェア構成例を示す。
図14図14は、表示制御装置の機能構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本開示の実施形態について詳細に説明する。以下に開示される構成要素のうち、同一機能を有するものには同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、以下に開示される実施形態は、本開示の一形態であり、装置の構成や各種条件によって適宜修正または変更されるべきものであり、以下の実施形態のみに限定されるものではない。また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが上記課題の解決手段に必須のものとは限らない。
【0012】
[第1実施形態]
<表示システムの構成>
図1は、本実施形態による表示システム1の構成例を示す。表示システム1は、透過型ディスプレイ10、表示制御装置11、および情報提供装置12を含んで構成される。透過型ディスプレイ10は、透明度が高い材料で構成され、表示制御装置11による制御により、ディスプレイ(表示面)上に各種情報を表示する。表示制御装置11は、透過型ディスプレイ10における表示を制御する。なお、図1に示す表示システム1では、表示制御装置11と透過型ディスプレイ10は、別の装置として描かれているが、表示制御装置11は、透過型ディスプレイ10を備えて構成されてもよい。情報提供装置12は、モバイルネットワーク13を介して表示制御装置11と接続され、透過型ディスプレイ10に表示する情報を表示制御装置11に提供する。透過型ディスプレイ10に表示する情報は、表示制御装置11において生成されてもよい。モバイルネットワーク13は、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))で規格されている第5世代(5G)に準拠したモバイルネットワーク(5Gネットワーク)を想定する。なお、モバイルネットワーク13は、5Gネットワーク以外のモバイルネットワークであってもよい。
【0013】
図1における対象物20は、静止体(すなわち、静止している物体)であり、2次元または3次元で構成される物体でありうる。ユーザu1とユーザu2はそれぞれ、透過型ディスプレイ10を通じて対象物20を見ることができる。ユーザu1が透過型ディスプレイ10を通じて対象物20を見ることは、ユーザu1が、ユーザu1からの実線矢印(直線ベクトル)で示す視線を対象物20に向けて、ユーザu1と対象物20との間の点線で囲む範囲で対象物20を視認することを含む。同様に、ユーザu2が透過型ディスプレイ10を通じて対象物20を見ることは、ユーザu2が、ユーザu2からの実線矢印で示す視線を対象物20に向けて、ユーザu2と対象物20との間の点線で囲む範囲で対象物20を視認することを含む。なお、本開示において、ユーザ(図1ではユーザu1またはu2)と対象物20との間の点線で囲む範囲を、視野と称する。
【0014】
ユーザu1とユーザu2が、透過型ディスプレイ10を通じて対象物20を見る場合に、表示制御装置11は、情報提供装置12から取得された、または、表示制御装置11によって生成された、対象物20に関する情報を、透過型ディスプレイ10に表示することができる。ここで、当該情報をユーザの視線に合わせて表示することができれば、当該情報は当該ユーザにとって有益な情報になりうる。
【0015】
図1を参照すると、ユーザu1は、透過型ディスプレイ10において、ディスプレイ面の一部分の領域r1を含む領域で対象物20を視認する一方、ユーザu2は、透過型ディスプレイ10においてディスプレイ面の一部分の領域r2を含む領域で対象物20を視認する。よって、表示制御装置11が、対象物20に関する情報として、透過型ディスプレイ10において視認される対象物20を囲む1つの丸枠を表示する場合、領域r1を含む領域に当該丸枠を表示すると、ユーザu1にとっては、透過型ディスプレイ10において対象物20を囲むように当該丸枠が表示される。当該丸枠は、ユーザu1にとっては対象物20を認識するための有益な情報となりうる。例えば、ユーザu1は、当該丸枠により、対象物20の位置や外見を、透過型ディスプレイ10を通じて容易に特定して確認することができる。しかしながら、領域r1を含む領域に表示された当該丸枠は、ユーザu2にとっては、透過型ディスプレイ10において対象物20を囲むように表示されず、ユーザu2にとっては対象物20を認識するための有益な情報とならない。これは、対象物20に対するユーザu1とユーザu2の視線と、透過型ディスプレイ10との交差点(すなわち、当該視線が透過型ディスプレイ10を通過する点)にズレが生じているためである。
【0016】
本実施形態では、対象物20に対するユーザu1とユーザu2の視線と、透過型ディスプレイ10との交差点のズレが生じている場合であっても、表示制御装置11は、当該ズレを考慮して、対象物20に関する情報を、ユーザu1とユーザu2に有益になるように調整して透過型ディスプレイ10に表示するように動作する。
以下では、このような動作を実現するための構成と処理の流れについて説明する。
【0017】
<表示制御装置による情報表示の調整の概要>
図2に、透過型ディスプレイ10と表示制御装置11の例示的な模式図を示す。本実施形態では、透過型ディスプレイ10は、屋内または屋外の所定の位置に設置され、図1に示すユーザu1とユーザu2といった、透過型ディスプレイ10の周辺に位置するユーザが利用可能である。図2では、表示制御装置11は、透過型ディスプレイ10の上面において透過型ディスプレイ10と接続可能に設置されている。本実施形態による表示制御装置11は、透過型ディスプレイ10周辺(例えば、透過型ディスプレイ10を中心とする一定距離の範囲や、透過型ディスプレイ10の面から一定距離の範囲)を撮像可能な撮像機能を有する。さらに、表示制御装置11は、撮影した対象の位置を測定する機能を有する。図1を参照すると、表示制御装置11は、対象物20、ユーザu1、およびユーザu2の位置を測定することができる。当該位置は、図2に示すように、X軸、Y軸、Z軸で表される3次元空間の座標で特定することができる。X軸は、透過型ディスプレイ10の面と平行になるように設定され、Y軸とZ軸は、図示するように、X軸に対して垂直に設定される。また、本実施形態では、表示制御装置11は、透過型ディスプレイ10の面を構成する2次元平面(例えば、図2におけるX座標とZ座標で構成される平面)における測定ができるものとする。
【0018】
図2では、本実施形態の説明のために、向き21、22、および23も表されている。向き21はZ軸の負方向であり、向き22はX軸の正方向であり、向き23はY軸の正方向に対応する。図1では、透過型ディスプレイ10の配置は、向き21の眺めに対応する。また、ユーザu1とユーザu2は、向き23で透過型ディスプレイ10を通じて対象物20を見ており、該ユーザそれぞれは、透過型ディスプレイ10から同じ距離に位置しているものとする(すなわち、ユーザu1とユーザu2は同じY座標の位置にいる)。
【0019】
対象物20に対するユーザu1とユーザu2の視線と、透過型ディスプレイ10との交差点のズレは、透過型ディスプレイ10の位置によって変化する。図3は、透過型ディスプレイ10の位置が変化する場合の、対象物20に対するユーザu1とユーザu2の視線と、透過型ディスプレイ10との交差点の変化を示す。図3において、透過型ディスプレイ10A、10B、10C、および10Dは、異なる位置に配置された透過型ディスプレイ10を示す。透過型ディスプレイ10A、10B、10C、および10Dは、順に、対象物20から遠い位置(すなわち、ユーザu1とユーザu2から近い位置)に配置されている。また、図3において、ユーザu1は、視線s1を対象物20に向けて、視野v1で対象物20を視認し、ユーザu2は、視線s2を対象物20に向けて、視野v2で対象物20を視認している。
【0020】
図3から理解されるように、対象物20に対するユーザu1とユーザu2の視線s1とs2と、透過型ディスプレイ10との交差点のズレは、透過型ディスプレイ10Aで最も大きく、透過型ディスプレイ10Dで最も小さくなる。本実施形態では、表示制御装置11は、当該交差点のズレを表す指標として、ばらつき度を算出し、当該ばらつき度に基づいて、透過型ディスプレイ10への対象物20に関する情報の表示を調整する。
【0021】
<表示制御装置による情報表示の調整の具体例>
表示制御装置11による情報表示の調整の具体例として、図3に示した透過型ディスプレイ10A、10B、10C、および10Dそれぞれにおける情報表示について説明する。表示制御装置11は、ユーザu1とユーザu2と対象物20の位置を測定し、当該位置から、対象物20に対するユーザu1とユーザu2の視線と透過型ディスプレイ10との交差点のばらつき度を算出する。当該交差点のばらつき度は、透過型ディスプレイ10における、ばらつき度である。そして、表示制御装置11は、当該交差点のばらつき度に基づいて、透過型ディスプレイ10への対象物20に関する情報の表示を調整する。まず、図4を参照して、ユーザu1と対象物20の位置を測定する処理について説明する。図4は、ユーザu1と対象物20の位置を測定するための処理を説明する図である。ここでは、表示制御装置11が、ユーザu1と対象物20の位置を測定する処理を説明するが、ユーザu2の位置の測定についても同様の説明を適用できる。
【0022】
図4に示す透過型ディスプレイ10の配置は、図2における向き22からの眺めに対応する。表示制御装置11は、図2に示す3次元空間(X軸、Y軸、およびZ軸で構成される空間)において、当該装置における所定の位置を原点({0,0,0})とする。そして、表示制御装置11は、当該原点に対するユーザu1の位置({x1,y1,z1})と、対象物20の位置({xt、yt、zt})を測定する。なお、本例では、対象物20の位置は、対象物20の中心の位置とするが、これに限定されない。
【0023】
また、表示制御装置11は、対象物20の3次元空間で占められる空間(以下、対象物20の空間とも称する)を測定する。対象物20の空間は、対象物20そのものの空間に限定されず、例えば、対象物20を囲むバウンディングボックスであってもよい。表示制御装置11は、ユーザu1の位置、対象物20の位置、および対象物20の空間に基づいて、視野v1を特定し、視野v1と透過型ディスプレイ10とが交差する領域(図1における領域r1)を算出することができる。表示制御装置11は、当該領域を用いて、当該領域を含む丸枠(後述する図5Bの丸枠C1に対応)を生成することができる。当該丸枠は、表示制御装置11から測定データを取得した情報提供装置12が生成してもよい。
【0024】
さらに、表示制御装置11は、ユーザu1の位置と対象物20の位置とを結ぶ直線に対応するユーザu1の視線s1を算出し、透過型ディスプレイ10における、視線s1と透過型ディスプレイ10との交差点P1の位置を特定する。当該交差点P1の位置は、透過型ディスプレイ10のユーザu1側の面における2次元平面上の座標でありうる。なお、本例では、交差点P1は、透過型ディスプレイ10のユーザu1側の面における点とするが、これに限定されず透過型ディスプレイ10の他方の面または内部の点であってよい。また、表示制御装置11は、ユーザu2に対して同様の処理を行うことにより、ユーザu2の位置({x2,y2,z2})、ユーザu2の位置と対象物20の位置とを結ぶユーザu2の視線s2を算出し、視線s2と透過型ディスプレイ10との交差点P2の位置を特定する。また、表示制御装置11は、ユーザu1の位置と透過型ディスプレイ10との距離D1をしてもよい。同様に、表示制御装置11は、ユーザu2の位置と透過型ディスプレイ10との距離D2をしてもよい。前述したように、本実施形態では、ユーザu1とユーザu2と、透過型ディスプレイ10とのそれぞれの距離は等しく、距離D1と距離D2は等しい。
【0025】
表示制御装置11は、対象物20に対するユーザu1とユーザu2の視線と、透過型ディスプレイ10との交差点の位置に基づいて、当該交差点のばらつき度を算出する。そして、表示制御装置11は、当該交差点のばらつき度に基づいて、透過型ディスプレイ10への対象物20に関する情報の表示を調整する。表示制御装置11は、当該交差点のばらつき度が所定のレベル(以下、第1レベルとも称する)以上か第1レベル未満かに基づいて、異なる態様で、対象物20に関する情報を、透過型ディスプレイ10に表示する。当該交差点のばらつき度が第1レベル以上の場合は、表示制御装置11は、ユーザu1とユーザu2が透過型ディスプレイ10において対象物20を視認する複数の領域と異なる領域において、対象物20に関する情報を表示しうる。一方、当該交差点のばらつき度が第1レベル未満の場合は、表示制御装置11は、ユーザu1とユーザu2が透過型ディスプレイ10において対象物20を視認する複数の領域を包含するように、対象物20に関する情報を表示しうる。
【0026】
(1)交差点のばらつき度が第1レベル以上の場合
交差点のばらつき度が第1レベル以上の場合の、第1表示タイプに従う透過型ディスプレイ10における情報表示について、図5A図5Bを参照して説明する。本実施形態では、第1表示タイプは、透過型ディスプレイ10が、図3に示す透過型ディスプレイ10Aの位置に設置された場合に適用される。
【0027】
図5Aは、ユーザu1とユーザu2から視認される、透過型ディスプレイ10Aにおける対象物20の位置を示す。図5Aでは、対象物20の位置として、ユーザu1とユーザu2から視認される、透過型ディスプレイ10A上の対象物20を囲む丸枠C1とC2が示されている。丸枠C1とC2はそれぞれ、図1に示す領域r1とr2を含む丸枠に対応する。また、交差点P1は、ユーザu1の視線s1と、透過型ディスプレイ10Aとの交差点を示し、交差点P2は、ユーザu2の視線s2と透過型ディスプレイ10Aとの交差点を示す。表示制御装置11は、交差点P1とP2の位置から、交差点P1とP2のばらつき度を算出する。本実施形態では、ユーザ数が2の場合、表示制御装置11は、当該交差点間の距離P12を、ばらつき度として算出するが、他の値をばらつき度として算出してもよい。例えば、表示制御装置11は、交差点の分散値や標準偏差といった値を、ばらつき度として算出することができる。また、表示制御装置11は、交差点を包含する円の直径または半径、あるいは、交差点を包含する楕円の長径と短径に基づく値を、ばらつき度として算出してもよい。
【0028】
図5Aに示す例の場合、表示制御装置11は、交差点P1とP2のばらつき度が第1レベル以上であると判断し、第1表示タイプに従って対象物20に関する情報を表示することを決定する。交差点P1とP2のばらつき度が第1レベル以上であることは、距離P12が所定の第1閾値以上であることに対応しうる。
【0029】
図5Bに、透過型ディスプレイ10Aにおける第1表示タイプに従う情報の表示例を示す。表示制御装置11は、対象物20に関する情報として、ユーザu1の視線s1とユーザu2の視線s2と、透過型ディスプレイ10Aとの交差点に基づく位置に(例えば、当該交差点を中心として)、丸枠C1とC2を表示することができる。表示される丸枠C1は、前述のように、ユーザu1の位置、対象物20の位置、および対象物20の空間に基づいて、表示制御装置11により生成されうる。あるいは、丸枠C1は、情報提供装置12により生成され、表示制御装置11に提供されてもよい。丸枠C2についても同様である。図5Bでは、丸枠C1とC2が表示されているが、表示制御装置11は、透過型ディスプレイ10を介して対象物20を見ていることを検知したユーザに対応する丸枠を表示してよい。当該検知は、ユーザの顔の向きの検知が可能な、表示制御装置11の撮像機能を用いて行われうる。例えば、表示制御装置11は、ユーザu1が対象物20を見ていることを検知した場合に、丸枠C1を表示して丸枠C2を表示せず、ユーザu2が対象物20を見ていることを検知した場合に、丸枠C2を表示して丸枠C1を表示しなくてよい。これにより、ユーザu1が透過型ディスプレイ10を通じて対象物20を見る際には、ユーザu1にとって不要な丸枠C2は表示されず、有用なC1が表示され、ユーザu1により効果的な情報表示が可能となる。
【0030】
これに加えて、あるいは、これに代えて、表示制御装置11は、透過型ディスプレイ10において、ユーザu1とユーザu2が対象物20を視認する2つの領域と異なる領域に、対象物20に関する情報を表示してもよい。例えば、対象物20に関する情報として、対象物20への方向を示す情報(画像)50を、透過型ディスプレイ10Aに表示してよい。情報50により、ユーザu1とユーザu2は、対象物20が位置する方向を、視覚的に認識することができる。
また、例えば、表示制御装置11は、対象物20に関する情報として、情報51を表示してよい。情報51は、対象物20のイメージ画像52や、対象物20に関するテキスト情報53の少なくともいずれかを含む。透過型ディスプレイ10Aでは、交差点P1とP2のばらつき度が相対的に高く、また、丸枠C1とC2が相対的に小さいため、透過型ディスプレイ10Aにおける丸枠C1とC2以外のスペースにおいて情報51を表示することにより、情報51は、両ユーザにとって対象物20に対する有益な情報になりうる。
【0031】
(2)交差点のばらつき度が第1レベル未満の場合
交差点のばらつき度が第1レベル未満の場合の、第2表示タイプに従う透過型ディスプレイ10における情報表示について、図6A図6B図7A、および図7Bを参照して説明する。本実施形態では、第2表示タイプは、透過型ディスプレイ10が、図3に示す透過型ディスプレイ10Bおよび10Cの位置に設置された場合に適用される。以下、図5A図5Bと同様の説明については、説明を省略する。
【0032】
図6Aは、ユーザu1とユーザu2から視認される、透過型ディスプレイ10B上の対象物20の位置を示す。図5Aと同様に、図6Aでは、対象物20の位置として、ユーザu1とユーザu2から視認される、透過型ディスプレイ10B上の対象物20を囲む丸枠C1とC2が示されている。交差点P1とP2はそれぞれ、ユーザu1の視線s1とユーザu2の視線s2と、透過型ディスプレイ10Bとの交差点を示す。表示制御装置11は、交差点P1とP2の位置から、交差点P1とP2のばらつき度を算出する。
【0033】
図6Aに示す例の場合、表示制御装置11は、交差点P1とP2のばらつき度が第1レベル未満であると判断し、第2表示タイプに従って対象物20に関する情報を表示することを決定する。交差点P1とP2のばらつき度が第1レベル未満であることは、距離P12が所定の第1閾値未満であることに対応しうる。
【0034】
図6Bに、透過型ディスプレイ10Bにおける第2表示タイプに従う情報の表示例を示す。表示制御装置11は、対象物20に関する情報として、丸枠C1とC2を表示することができる。なお、表示制御装置11は、対象物20を見ていることを検知したユーザに対応する丸枠を表示してよい。例えば、表示制御装置11は、ユーザu1が対象物20を見ていることを検知した場合に、丸枠C1を表示して丸枠C2を表示せず、ユーザu2が対象物20を見ていることを検知した場合に、丸枠C2を表示して丸枠C1を表示しなくてよい。
これに加えて、あるいは、これに代えて、表示制御装置11は、対象物20に関する情報として、丸枠C1とC2とを包含する丸枠60を、対象物20に関する情報として透過型ディスプレイ10Bに表示してよい。これにより、ユーザu1とユーザユーザu2の両ユーザは、丸枠60により、対象物20を視認することができる。
これに加えて、あるいは、これに代えて、表示制御装置11は、対象物20に関する情報として、対象物20に関するテキスト情報61を、透過型ディスプレイ10Bに表示してよい。図6Bに示すように、丸枠60の内部にテキスト情報61を表示することにより、ユーザu1とユーザu2は、丸枠60により対象物20を視認しつつ、対象物20に関するテキスト情報61を、ユーザ視線に近い領域で認識することができる。
【0035】
図7Aは、ユーザu1とユーザu2から視認される、透過型ディスプレイ10C上の対象物20の位置を示す。図7Aの説明は、図6Aの説明と同様であり、表示制御装置11は、距離P12に基づく交差点P1とP2のばらつき度が第1レベル未満であると判断し、第2表示タイプに従って対象物20に関する情報を表示することを決定する。
【0036】
図7Bに、透過型ディスプレイ10Cにおける第2表示タイプに従う情報の表示例を示す。図7Bの説明は、図6Bの説明と同様であり、表示制御装置11は、対象物20に関する情報として、丸枠C1とC2、丸枠C1とC2とを包含する丸枠70の少なくともいずれかを表示しうる。
これに加えて、あるいは、これに代えて、表示制御装置11は、対象物20に関する情報として、対象物20に関するテキスト情報71を、透過型ディスプレイ10Cに表示してよい。図7Bに示すように、丸枠70の内部にテキスト情報71を表示することにより、ユーザu1とユーザu2は、丸枠70により対象物20を視認しつつ、対象物20に関するテキスト情報71を、ユーザ視線に近い領域で認識することができる。
【0037】
(3)交差点のばらつき度が第1レベル未満の場合(第1レベル未満の場合の変形例)
交差点のばらつき度が第1レベルよりかなり低い場合は、前述の第2表示タイプとは異なるに従って対象物20に関する情報を表示してもよい。第1レベル未満の場合の変形例として、第1レベルより低い所定のレベル(以下、第2レベルとも称する)未満の場合の、第3表示タイプに従う透過型ディスプレイ10における情報表示について、図8A図8Bを参照して説明する。本実施形態では、第3表示タイプは、透過型ディスプレイ10が、図3に示す透過型ディスプレイ10Dの位置に設置された場合に適用される。以下、図5A図5Bと同様の説明については、説明を省略する。
【0038】
図8Aは、ユーザu1とユーザu2から視認される、透過型ディスプレイ10D上の対象物20の位置を示す。図5Aと同様に、図8Aでは、対象物20の位置として、ユーザu1とユーザu2から視認される、透過型ディスプレイ10B上の対象物20を囲む丸枠C1とC2が示されている。交差点P1とP2はそれぞれ、ユーザu1の視線s1とユーザu2の視線s2と、透過型ディスプレイ10Dとの交差点を示す。表示制御装置11は、交差点P1とP2の位置から、交差点P1とP2のばらつき度を算出する。
【0039】
図8Aに示す例の場合、表示制御装置11は、交差点P1とP2のばらつき度が第2レベル未満と判断し、第3表示タイプに従って対象物20に関する情報を表示することを決定する。交差点P1とP2のばらつき度が第2レベル未満であることは、距離P12が所定の第2閾値未満であることに対応しうる。
【0040】
図8Bに、透過型ディスプレイ10Dにおける第2表示タイプに従う情報の表示例を示す。表示制御装置11は、対象物20に関する情報として、丸枠C1とC2を表示することができる。なお、表示制御装置11は、対象物20を見ていることを検知したユーザに対応する丸枠を表示してよい。例えば、表示制御装置11は、ユーザu1が対象物20を見ていることを検知した場合に、丸枠C1を表示して丸枠C2を表示せず、ユーザu2が対象物20を見ていることを検知した場合に、丸枠C2を表示して丸枠C1を表示しなくてよい。
これに加えて、あるいは、これに代えて、表示制御装置11は、対象物20に関する情報として、対象物20への方向を示す情報(画像)80を、透過型ディスプレイ10Dに表示してよい。情報80により、ユーザu1とユーザu2は、対象物20が位置する方向を、視覚的に認識することができる。
これに加えて、あるいは、これに代えて、表示制御装置11は、対象物20に関する情報として、対象物20に関するテキスト情報81を、透過型ディスプレイ10Dに表示してよい。
【0041】
<処理の流れ>
図9を参照して、表示制御装置11による処理の流れについて説明する。図9は、表示制御装置11により実行される処理のフローチャートを示す。説明のために、図1に示す表示システム1を参照する。また、表示制御装置11は、対象物20の位置(すなわち、図2に示す3次元空間上の座標)を予め測定して、取得しているものとする。表示制御装置11は、他の装置により測定された対象物20の位置を取得してもよい。
【0042】
表示制御装置11は、透過型ディスプレイ10を通じて対象物20を見ている複数のユーザを検知したかを判定する(S1)。ここで、表示制御装置11は、撮像機能を用いて、透過型ディスプレイ10を通じて対象物20を見ているユーザであって、一定時間同じ位置で動かなかったユーザをカウントしうる。複数のユーザを検知した場合(S1でYes)、表示制御装置11は、複数のユーザそれぞれの位置(すなわち、図2に示す3次元空間上の座標)を測定する(S2)。続いて、表示制御装置11は、対象物20の位置と複数のユーザの位置に基づいて、対象物20に対する当該複数のユーザの視線と、透過型ディスプレイ10との交差点の位置を特定する(S3)。表示制御装置11は、当該交差点のばらつき度を算出し、当該ばらつき度に基づいて、透過型ディスプレイ10における、対象物20に関する情報の表示タイプを決定する(S4)。本実施形態では、表示制御装置11は、当該ばらつき度に基づいて、上記の3つの表示タイプのいずれかを決定する。そして、表示制御装置11は、決定した表示タイプに従って、対象物20に関する情報を、透過型ディスプレイ10に表示する(S5)。
【0043】
S5において対象物20に関する情報を透過型ディスプレイ10に表示しながら、表示制御装置11は、S1で検知した複数のユーザの位置を測定し続け、当該位置に基づいて算出したばらつき度が変化した場合は、それに従って、情報表示を調整する。例えば、ばらつき度が、第1レベル以上から、第1レベル未満に変化した場合は、表示制御装置11は、第1表示タイプから第2表示タイプに切り替え、第2表示タイプに従って、対象物20に関する情報を、透過型ディスプレイ10に表示する。
また、透過型ディスプレイ10を通じて対象物20を見ているユーザの数が変化した場合は、表示制御装置11は、それに従って、情報表示を調整する。例えば、ユーザu1とユーザu2を検知していた表示制御装置11が、ユーザu2を検知しなくなった場合、ユーザu1の視線と透過型ディスプレイ10との交差点のみに基づいて、対象物20に関する情報を透過型ディスプレイ10に表示する。
【0044】
このように、表示制御装置11は、対象物20に対する複数のユーザの視線と、透過型ディスプレイ10との交差点のばらつき度に基づいて、透過型ディスプレイ10への対象物20に関する情報の表示を調整する。具体的には、本実施形態では、表示制御装置11は、当該交差点のばらつき度を2つのレベルを比較し、比較結果により、3つの表示タイプのいずれかに従って、対象物20に関する情報を透過型ディスプレイ10に表示する。このような情報表示調整により、調整なしの一律の情報表示と比較して、対象物に対する複数のユーザの視線に応じた、当該対象物に対する適切な情報提供が実現される。また当該複数のユーザそれぞれに、より効果的に当該対象物に対する関する情報が提供される。
【0045】
なお、本実施形態では、ユーザu1とユーザu2は、透過型ディスプレイ10から同じ距離に位置しているものとして説明したが、透過型ディスプレイ10から異なる距離に位置してもよく、この場合も、表示制御装置11は、視線と対象物20との交差点のばらつき度に従って、情報表示の調整を行いうる。
また、本実施形態では、ユーザu1とユーザu2の2ユーザの場合を例に説明したが、ユーザ数が多い場合は、より交差点のばらつき度が高くなりうる。また、本実施形態では、ユーザが透過型ディスプレイ10を通じて視認する対象物が1つであることを想定したが、対象物が複数存在する場合は、より交差点のばらつき度が高くなりうる。このようなことを考慮し、ユーザ数が一定数以上の場合や、透過型ディスプレイ10を通じて視認されうる対象物が一定数以上の場合に、表示制御装置11は、透過型ディスプレイ10において、対象物に関する情報の表示を行わなくてもよい。
【0046】
<変形例>
上述の実施形態では、図1に示す対象物20は静止体であることを想定したが、対象物20が動体の場合も、同様の説明を適用できる。すなわち、対象物20は、静止体でも動体でもよい。変形例として、対象物が動体、具体的には、泳いでいる魚である場合の、表示制御装置11による透過型ディスプレイ10における表示例について、図10Aから図10Cを参照して説明する。図10Aから図10Cに示す透過型ディスプレイ10は、例えば、魚が泳ぐ水槽に張り付けられている。
【0047】
図10Aに、対象物が動体(魚である対象物20A)である場合の、透過型ディスプレイ10における当該対象物に関する情報の表示例を示す。図1に示す表示システム1のように、ユーザu1とユーザu2が、透過型ディスプレイ10を通じて対象物20Aを見ており、透過型ディスプレイ10における、対象物20Aに対する各ユーザの視線と透過型ディスプレイ10との交差点のばらつき度が、第1レベル以上の場合を想定する。この場合、表示制御装置11は、図5Bを参照して説明したように、対象物20Aに関する情報として、丸枠C1とC2を表示しうる。
【0048】
また、図10Aにおいて、透過型ディスプレイ10を通じて対象物20Aを見るユーザが一定数以上の場合、透過型ディスプレイ10における丸枠の数が多く、対象物20Aが見にくくなってしまう。このような場合、表示制御装置11は、対象物20Aを、透過型ディスプレイ10において拡大表示してもよい。図10Bに、対象物が動体(本例では、魚である対象物20A)である場合に、透過型ディスプレイ10における、当該対象物を拡大表示する表示例を示す。図10Bにおいて、表示制御装置11は、対象物20Aを拡大した対象物20Bを、透過型ディスプレイ10に表示している。対象物20Bは、対象物20Aを拡大したイメージ画像や、表示制御装置11あるいは他の装置の撮像機能を用いて撮影された対象物20Aの拡大画像でありうる。表示制御装置11は、対象物20Bを、透過型ディスプレイ10を通じて対象物20Aを見る複数のユーザの視線を遮らないように表示しうる。当該ユーザは、対象物20Bと同じ形や動きの魚を水槽で探すことにより、対象物20Aの発見が容易になりうる。また、図10Bでは、1種類の対象物を想定しているが、異なる種類の対象物が水槽にいる場合は、当該異なる種類の対象物それぞれの拡大画像を、透過型ディスプレイ10に表示してもよい。これにより、例えば、複数のユーザの視線が分散している場合であっても、拡大表示された対象物と同じ形や動きの魚を水槽で探すことにより、所望の対象物の発見が容易になりうる。
【0049】
また、表示制御装置11は、ユーザによる指定に従って、対象物に関する情報を透過型ディスプレイ10に表示してもよい。図10Cに、透過型ディスプレイ10における、ユーザにより指定された対象物に関する情報の表示例を示す。図10Cにおいて、対象物20Cと、対象物20Cと異なる種類の対象物20Dが存在する場合、ユーザは、予め所望の対象物を指定する。例えば、表示制御装置11と通信可能な通信端末を保持するユーザが、当該通信端末で起動する所定のアプリケーション上で、複数の対象物候補から、所望の対象物を選択し、当該ユーザの識別情報と共に表示制御装置11に登録する。当該通信端末は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示部(表示面)を有し、ユーザは、当該液晶ディスプレイに装備されたGUI(Graphic User Interface)により各種操作を行うことができる。
表示制御装置11は、登録されたユーザの識別情報と、選択された対象物に基づき、当該ユーザが透過型ディスプレイ10の前に立った場合に、当該選択された対象物に関する情報(例えば、当該対象物を囲む丸枠)を表示することができる。図10Cでは、ユーザu1が対象物20Cを選択し、ユーザu2が対象物20Dを選択して登録した場合に、対象物20Cに関する情報として丸枠C1が、対象物20Dに関する情報として丸枠C2が表示されている。これにより、ユーザu1は対象物20Cを、ユーザu2は対象物20Dを、水槽において容易に発見することが可能になる。
【0050】
[第2実施形態]
第1実施形態では、透過型ディスプレイ10を通じて対象物20を見る複数のユーザに対して、対象物20に関する情報を、透過型ディスプレイ10に表示した。本実施形態では、所定の条件を満たす特定のユーザに対して、対象物20に関する情報だけでなく、他の情報を透過型ディスプレイ10に表示する。本実施形態では、当該他の情報を、広告とする。当該広告は、対象物20に関する広告に限定されない。
【0051】
図11Aに、本実施形態による表示システム2を示す。図11Aについて、図1に示した表示システム1と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。表示システム2では、ユーザu1からu4のユーザが、透過型ディスプレイ10を通じて対象物20を見ており、ユーザu1は、通信端末t1を保持し、ユーザu4は、通信端末t4を保持している。通信端末t1とt4は、例えば、スマートフォンやタブレットといった通信端末であり、モバイルネットワーク13を介して、情報提供装置12と通信可能に構成されている。通信端末t1とt4は、液晶ディスプレイ等の表示部(表示面)を有し、各ユーザは、当該液晶ディスプレイに装備されたGUIにより各種操作を行うことができる。
【0052】
ユーザu1は、通信端末t1を操作することにより、所定の情報を情報提供装置12に登録している。例えば、ユーザu1は、通信端末t1を操作してコンサートのチケットを購入し、当該チケットの購入に関する情報を情報提供装置12に登録している。当該登録は、例えば、チケットを購入するためのアプリケーションにより行われうる。所定の条件が、当該チケットの購入に関する情報を登録していることである場合、ユーザu1は当該条件を満たす。また、ユーザu4もユーザu1と同様に、当該条件を満たすとする。また、当該コンサートが、対象物20で示される会場で行われるとする。
この場合、情報提供装置12は、ユーザu1とu4が、透過型ディスプレイ10を通じて対象物20(本例では、コンサートの会場)を見た場合に、所定の広告を表示するように、表示制御装置11に要求する。これに応じて、表示制御装置11は、ユーザu1とu4が、透過型ディスプレイ10を通じて対象物20(本例では、コンサートの会場)を見ていることを検知した場合に、ユーザu1とu4に対して当該所定の広告を表示することができる。
【0053】
図11Bに、透過型ディスプレイ10における、所定の条件を満たすユーザへの広告の表示例を示す。図11Bでは、対象物20に対するユーザu1からu4の視線と、透過型ディスプレイ10との交差点に基づく位置に、丸枠C1からC4が表示されている。さらに、広告60が丸枠C1の周辺かつ丸枠C2からC4に重ならないように表示されている。また、広告61が丸枠C4の周辺かつ丸枠C1からC3に重ならないように表示されている。このように、広告を視聴させたいユーザの視線とディスプレイとの交差点から所定距離以内で、ユーザが対象物20を視認する領域外または当該領域を囲む丸枠外に、広告を表示してもよい。すなわち、対象物20に対するユーザu1とu4の視線と、透過型ディスプレイ10との交差点に基づく位置に、広告が表示されてもよい。透過型ディスプレイ10において、所定の条件を満たすユーザu1とu4の視線の近い位置に、広告60と61が表示されることにより、当該広告は、ユーザu1とu4に容易に視認され、広告効果が向上しうる。
【0054】
さらに、表示制御装置11は、ユーザの属性情報を取得し、当該属性情報に応じた情報(広告を含む)を透過型ディスプレイ10に表示してもよい。当該属性情報は、ユーザにより、予め情報提供装置12に登録されている。例えば、ユーザu1が法律で定められた飲酒可能な年齢未満でありユーザu4が飲酒可能な年齢以上である場合、表示制御装置11は、ユーザu4に対して、対象物20の近隣で飲酒可能な飲食店の広告を表示することができる。このように、表示制御装置11は、透過型ディスプレイ10に表示する情報を、年齢、性別、職業(学生か社会人かを含む)、国籍、住所といった当該情報を提供するユーザの属性に応じたものに変更してもよい。
【0055】
[第3実施形態]
本実施形態では、前述した第1および第2実施形態の応用例として、透過型ディスプレイ10と連携して光を用いた情報提示について説明する。図12に、本実施形態を説明する概略図を示す。本実施形態では、図1に示す表示システム1において、表示制御装置11と通信可能に証明装置(ライト)が設置されている。照明装置120は、表示制御装置11による制御により、透過型ディスプレイ10の周辺において光を照射する機能を有する。
【0056】
表示制御装置11は、透過型ディスプレイ10の前にいるユーザu1が対象物20を見ていることを検知すると、ユーザu1の位置を一定時間毎に測定して、さらに、ユーザu1の移動方向を予測する。表示制御装置11は、ユーザu1の移動方向に、対象物20に関する情報を光で提示するように、照明装置120を制御する。例えば、照明装置120に当該制御に対する指示を送信する。これに応じて、照明装置120は、ユーザu1の移動方向において、対象物20に関する情報を光で照射する。図10Cの例では、ユーザu1の移動方向において、矢印121、122が床に照射されている。このほか、照明装置120は、壁といった、光情報を表示可能な場所において、対象物20に関する情報を光で照射することができる。また、ユーザu1が透過型ディスプレイ10により近づいた場合には、表示制御装置11は、照射を停止するように、照明装置120を制御する。
これにより、透過型ディスプレイ10を通じて対象物20を見るユーザu1は、透過型ディスプレイ10に到達する前であっても、光情報により、対象物20に関する情報を受け取ることが可能となる。
【0057】
[表示制御装置のハードウェア構成]
図13に、上記実施形態および変形例による表示制御装置11のハードウェア構成例を示す。
図13に示すように、表示制御装置11は、ハードウェア構成の一例として、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、HDD(Hard Disk Drive)104と、入力部105と、撮像部106と、通信I/F(Interface)107と、システムバス108とを備える。表示制御装置11はまた、外部メモリを備えてよい。
【0058】
CPU101は、1つ以上のプロセッサにより構成され、表示制御装置11における動作を統括的に制御するものである。CPU101は、データ伝送路であるシステムバス108を介して、各構成部(102から107)を制御する。1つ以上のプロセッサの少なくともいずれかは、ASIC(Application specific integrated circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等の1つ以上のプロセッサによって置き換えられてもよい。
【0059】
ROM102は、CPU101が処理を実行するために必要な制御プログラム等を記憶する不揮発性メモリである。なお、当該プログラムは、HDD104、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリや着脱可能な記憶媒体(不図示)等の外部メモリに記憶されていてもよい。
RAM103は、揮発性メモリであり、CPU101の主メモリ、ワークエリア等として機能する。すなわち、CPU101は、処理の実行に際してROM102から必要なプログラム等をRAM103にロードし、当該プログラム等を実行することで各種の機能動作を実現する。
【0060】
HDD104は、例えば、CPU101がプログラムを用いた処理を行う際に必要な各種データや各種情報等を記憶している。また、HDD104には、例えば、CPU101がプログラム等を用いた処理を行うことにより得られた各種データや各種情報等が記憶される。なお、当該記憶は、HDD104とともに、または、HDD104に代えて、SSD等の不揮発性メモリや着脱可能な記憶媒体等の外部メモリを用いて行われてもよい。
【0061】
入力部105は、ボタンやタッチパネル等で構成され、表示制御装置11の操作者の操作に応じた情報を入力するために使用される。
撮像部106は、所定の撮像可能な画角および焦点距離を有する撮像素子(例えば、CCD)を有するカメラを有する。撮像部106は、当該カメラの出力から、画像データを生成する。本開示において、当該画像データは、透過型ディスプレイ10の周辺の画像を含む。
通信I/F107は、表示制御装置11と外部装置との通信を制御するインタフェースである。
【0062】
なお、表示制御装置11は、各自の各機能を実行する専用のハードウェアを備えてもよいし、各自の全機能の一部をハードウェアで実行し、プログラムを動作させるコンピュータでその他の部分を実行してもよい。また、全機能がコンピュータとプログラムにより実行されてもよい。また、図13は、透過型ディスプレイ10が表示制御装置11と別に備えられる場合のハードウェア構成であるが、透過型ディスプレイ10が表示制御装置11に備えられる場合、図13は、表示制御装置11に対応する表示部を含む。
【0063】
<表示制御装置の機能構成>
図14に、本実施形態による表示制御装置11の機能構成例を示す。表示制御装置11の各機能は、例えば、図13に示す表示制御装置11のハードウェアによって実現される論理的な機能であり、CPU101がROM102等に格納されたプログラムを実行することによって実現されうる。本実施形態では、表示制御装置11は、機能構成として、送信部201、受信部202、撮像制御部203、測位部204、ばらつき度算出部205、表示制御部206、および照明制御部207を有する。
【0064】
送信部201と受信部202はそれぞれ、通信I/F107を介して、パケットの送信および受信を行う。本実施形態において、当該パケットは、情報提供装置12や照明装置120と送受信するデータを含むパケットでありうる。撮像制御部203は、撮像部106を制御して、撮像部106により生成された画像データを取得する。測位部204は、撮像制御部203により取得された画像データに基づいて、ユーザと対象物の位置を測定する。図4を参照すると、測位部204は、当該装置自身の位置を原点として、ユーザu1と対象物20の位置を測定し、当該位置の座標を特定する。なお、測位部204は、撮像制御部203により取得された画像データ以外の情報に基づいて、ユーザと対象物の位置を測定してもよい。
【0065】
ばらつき度算出部205は、撮像制御部203により取得された画像データに基づいて、透過型ディスプレイ10を介して対象物を見ている複数のユーザを検知した場合に、当該対象物に対する当該複数のユーザの視線と、透過型ディスプレイ10との交差点を特定する。当該交差点は、透過型ディスプレイ10上に位置し、測位部204により測定されたユーザと対象物の位置に基づいて特定される。そして、ばらつき度算出部205は、当該交差点のばらつき度を算出する。算出されるばらつき度の例は、上述の通りである。表示制御部206は、ばらつき度算出部205により算出されたばらつき度を、予め設定されたレベルと比較して、比較結果に基づいて、異なる態様で、当該対象物に関する情報を、透過型ディスプレイ10に表示する。当該対象物に関する情報と別に広告が表示されてもよい。当該対象物に関する情報や広告は、情報提供装置12により提供される。あるいは、当該対象物に関する情報は、表示制御部206が生成してもよい。照明制御部207は、第3実施形態で用いられる照明装置120を制御する。例えば、照明制御部207は、測位部204により一定時間毎に測定されたユーザの位置から、当該ユーザの移動方向を予測し、当該移動方向におい対象物に関する情報を光で提示するように、照明装置120を制御する。
【0066】
なお、本実施形態は、プロセッサ、メモリなどを備えた情報処理装置にソフトウェア(プログラム)が記録された記憶媒体を読み込ませ、プロセッサがソフトウェアに係る処理(具体的には、上記実施形態を実行する処理)を実行することによって、実行されてよい。
【0067】
また、上記において特定の実施形態が説明されているが、当該実施形態は単なる例示であり、本開示の範囲を限定する意図はない。本明細書に記載された装置及び方法は上記した以外の形態において具現化することができる。また、本開示の範囲から離れることなく、上記した実施形態に対して適宜、省略、置換及び変更をなすこともできる。かかる省略、置換及び変更をなした形態は、請求の範囲に記載されたもの及びこれらの均等物の範疇に含まれ、本開示の技術的範囲に属する。
【0068】
(本開示の実施形態)
本開示は以下の実施形態を含む。
[1]1以上のプロセッサを備え、前記1以上のプロセッサの少なくとも一つによって、透過型ディスプレイを通じて所定の対象物を見る複数のユーザの位置と、前記対象物の位置を測定する測定処理と、 前記複数のユーザの位置と、前記対象物の位置に基づいて、前記対象物に対する前記複数のユーザの視線と、前記透過型ディスプレイとの複数の交差点の、前記透過型ディスプレイにおける位置を特定する特定処理と、前記複数の交差点の位置に基づいて、前記複数の交差点のばらつき度を算出する算出処理と、前記ばらつき度に基づいて、前記対象物に関する情報を、前記透過型ディスプレイに表示する表示制御処理と、が実行される、表示制御装置。
【0069】
[2]前記表示制御処理は、前記ばらつき度が所定のレベル以上か前記所定のレベル未満かに基づいて、異なる態様で、前記対象物に関する情報を、前記透過型ディスプレイに表示することを含む、[1]に記載の表示制御装置。
【0070】
[3]前記表示制御処理は、前記ばらつき度が前記所定のレベル以上の場合に、前記複数のユーザが前記透過型ディスプレイにおいて前記対象物を視認する複数の領域と異なる領域において、前記対象物に関する情報を表示することを含む、[2]に記載の表示制御装置。
【0071】
[4]前記表示制御処理は、前記ばらつき度が所定のレベル未満の場合に、前記複数のユーザが前記透過型ディスプレイにおいて前記対象物を視認する複数の領域を包含するように、前記対象物に関する情報を表示することを含む、[2]または[3]に記載の表示制御装置。
【0072】
[5]前記表示制御処理は、前記複数のユーザのうちの第1ユーザが前記透過型ディスプレイを通じて前記対象物を見る場合に、前記第1ユーザが前記透過型ディスプレイにおいて前記対象物を認識する領域に、前記対象物に関する情報を表示することを含む、[4]に記載の表示制御装置。
【0073】
[6]前記表示制御処理は、前記複数のユーザのうち、所定の条件を満たす1以上のユーザ前記透過型ディスプレイを通じて前記対象物を見る場合に、前記対象物に関する情報とは別の情報を、前記1以上のユーザが前記透過型ディスプレイにおいて前記対象物を認識する1以上の領域の周辺に表示することを含む、[1]から[6]のいずれかに記載の表示制御装置。
【0074】
[7]前記別の情報は、前記1以上のユーザの属性情報に応じた情報である、[6]に記載の表示制御装置。
【0075】
[8]前記表示制御装置は、前記透過型ディスプレイを備える、[1]から[7]のいずれかに記載の表示制御装置。
【0076】
[9]透過型ディスプレイを通じて所定の対象物を見る複数のユーザの位置と、前記対象物の位置を測定することと、前記複数のユーザの位置と、前記対象物の位置に基づいて、前記対象物に対する前記複数のユーザの視線と、前記透過型ディスプレイとの複数の交差点の、前記透過型ディスプレイにおける位置を特定することと、前記複数の交差点の位置に基づいて、前記複数の交差点のばらつき度を算出することと、前記ばらつき度に基づいて、前記対象物に関する情報を、前記透過型ディスプレイに表示することと、を含む、表示制御方法。
【0077】
[10]プログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラムは、情報処理装置の1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、前記情報処理装置に、透過型ディスプレイを通じて所定の対象物を見る複数のユーザの位置と、前記対象物の位置を測定する測定処理と、前記複数のユーザの位置と、前記対象物の位置に基づいて、前記対象物に対する前記複数のユーザの視線と、前記透過型ディスプレイとの複数の交差点の、前記透過型ディスプレイにおける位置を特定する特定処理と、前記複数の交差点の位置に基づいて、前記複数の交差点のばらつき度を算出する算出処理と、前記ばらつき度に基づいて、前記対象物に関する情報を、前記透過型ディスプレイに表示する表示制御処理と、を実行させる命令を含む記憶媒体。
【符号の説明】
【0078】
1;2:通信システム、10;10A;10B;10C;10D:透過型ディスプレイ、11:表示制御装置、12:情報提供装置、13:モバイルネットワーク、20;20A;20B;20C;20D:対象物、21;22;23:向き、120:照明装置、121;122:矢印、101:CPU、102:ROM、103:RAM、104:HDD、105:入力部、106:撮像部、107:通信I/F、201:送信部、202:受信部、203:撮像制御部、204:測位部、205:ばらつき度算出部、206:表示制御部、207:照明制御部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12
図13
図14