(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144881
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】緊急呼を発信したユーザ装置の位置特定
(51)【国際特許分類】
H04W 64/00 20090101AFI20241004BHJP
H04W 4/80 20180101ALI20241004BHJP
H04W 4/90 20180101ALI20241004BHJP
H04W 4/02 20180101ALI20241004BHJP
H04W 88/18 20090101ALI20241004BHJP
【FI】
H04W64/00
H04W4/80
H04W4/90
H04W4/02
H04W88/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057046
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】319010088
【氏名又は名称】楽天モバイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】青柳 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】久住 仁
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】片桐 貴士
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067EE02
5K067EE10
5K067JJ20
5K067JJ51
(57)【要約】
【課題】ネットワーク側で位置情報を取得していないユーザ装置が緊急呼を発信した場合に、当該ネットワーク側で当該ユーザ装置の位置を特定する。
【解決手段】位置特定装置は、取得処理と、特定処理を実行する。当該取得処理は、緊急呼の発信が検知された場合に、当該緊急呼を発信した通信装置が無線接続する基地局に無線接続する1以上の他の通信装置により近距離無線通信を介して検知された1以上の通信装置の情報を含む検知情報を取得することを含む。当該特定処理は、当該1以上の他の通信装置の位置情報および当該検知情報に基づいて、当該緊急呼を発信した通信装置の位置を特定することを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のプロセッサを備え、
前記1以上のプロセッサの少なくとも一つによって、
緊急呼の発信が検知された場合に、前記緊急呼を発信した通信装置が無線接続する基地局に無線接続する1以上の他の通信装置により近距離無線通信を介して検知された1以上の通信装置の情報を含む検知情報を取得する取得処理と、
前記1以上の他の通信装置の位置情報および前記検知情報に基づいて、前記緊急呼を発信した通信装置の位置を特定する特定処理と、
が実行される、位置特定装置。
【請求項2】
前記取得処理は、前記緊急呼の検知に応じて前記1以上の他の通信装置に対してリクエストを送信し、前記リクエストの応答として、前記1以上の他の通信装置から前記検知情報を取得することを含む、
請求項1に記載の位置特定装置。
【請求項3】
前記検知情報は、前記緊急呼を発信した通信装置を検知したか否かの情報を含み、
前記特定処理は、前記1以上の他の通信装置の位置情報のうち、前記緊急呼を発信した通信装置を検知した1以上の通信装置の位置情報に基づいて、前記緊急呼を発信した通信装置の位置を特定することを含む、
請求項2に記載の位置特定装置。
【請求項4】
前記取得処理は、前記1以上の他の通信装置から前記検知情報を取得するエッジサーバに対して前記緊急呼の検知に応じてリクエストを送信し、前記エッジサーバから、前記検知情報を取得することを含む、
請求項1に記載の位置特定装置。
【請求項5】
前記取得処理は、前記エッジサーバにより、前記緊急呼が発信された時間から所定時間内に取得された前記検知情報を、前記エッジサーバから取得することを含む、
請求項4に記載の位置特定装置。
【請求項6】
前記検知情報は、前記1以上の他の通信装置それぞれによって検知された1以上の通信装置の情報または検知された通信装置がなかったことを示す情報を含み、
前記特定処理は、前記1以上の他の通信装置のうち、前記緊急呼を発信した通信装置を検知した1以上の通信装置の位置情報に基づいて、前記通信装置の位置を特定することを含む、
請求項4に記載の位置特定装置。
【請求項7】
1以上のプロセッサを備え、
前記1以上のプロセッサの少なくとも一つによって、
同一基地局に無線接続する1以上の通信装置から、前記1以上の通信装置の位置情報と、前記1以上の通信装置により近距離無線通信を介して検知された1以上の他の通信装置の情報を含む検知情報と、を取得する取得処理と、
外部装置からのリクエストに応じて、前記検知情報を、前記外部装置へ送信する送信処理と、
が実行される、エッジサーバ。
【請求項8】
前記リクエストに時間情報が含まれる場合、前記送信処理は、前記時間情報が示す時間から所定時間内に取得された前記検知情報を、前記外部装置へ送信することを含む、
請求項7に記載のエッジサーバ。
【請求項9】
緊急呼の発信が検知された場合に、前記緊急呼を発信した通信装置が無線接続する基地局に無線接続する1以上の他の通信装置により近距離無線通信を介して検知された1以上の通信装置の情報を含む検知情報を取得する取得工程と、
前記1以上の他の通信装置の位置情報および前記検知情報に基づいて、前記緊急呼を発信した通信装置の位置を特定する特定工程と、
を含む、位置特定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、緊急呼を発信したユーザ装置の位置特定に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屋内や屋外を含む、あらゆるエリアに監視カメラが設置されている。監視カメラにより撮像された画像(映像を含む)は、例えば、防犯や追跡捜査に役立てられている。例えば、特許文献1には、屋外に設けられた複数のカメラにより撮像された複数の映像を、所定の手順に従って認証された通信端末に対して提供する、防犯システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献のように、監視カメラにより撮像された画像は、防犯や追跡捜査のために利用されており、さらに、緊急呼を発信したユーザ装置の周辺の状況を確認するために利用することも可能である。緊急呼を発信したユーザ装置の周辺の状況を確認するために、地理的に設定された監視カメラにより撮像された画像を利用する場合、当該ユーザ装置の位置をできるだけ正確に特定する必要がある。ユーザ装置は、GPS(Global Positioning System)機能といった位置取得機能を有効にしている場合、基地局を含むネットワーク側で当該ユーザ装置の位置を特定することができる。しかしながら、緊急呼を発信したユーザ装置が当該位置取得機能を無効にしている、あるいは、有効にしていても通信状況が悪いといった場合、ネットワーク側で当該ユーザ装置の位置を正確に特定できないという課題があった。
【0005】
本開示では、このような課題に鑑みて、ネットワーク側で位置情報を取得していないユーザ装置が緊急呼を発信した場合に、当該ネットワーク側で当該ユーザ装置の位置を特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による位置特定装置は、1以上のプロセッサを備え、前記1以上のプロセッサの少なくとも一つによって、取得処理と、特定処理が実行される。前記取得処理は、緊急呼の発信が検知された場合に、前記緊急呼を発信した通信装置が無線接続する基地局に無線接続する1以上の他の通信装置により近距離無線通信を介して検知された1以上の通信装置の情報を含む検知情報を取得することを含む。前記特定処理は、前記1以上の他の通信装置の位置情報および前記検知情報に基づいて、前記緊急呼を発信した通信装置の位置を特定することを含む。
【0007】
本開示の一態様によるエッジサーバは、1以上のプロセッサを備え、前記1以上のプロセッサの少なくとも一つによって、取得処理と、送信処理が実行される。前記取得処理は、同一基地局に無線接続する1以上の通信装置から、前記1以上の通信装置の位置情報と、前記1以上の通信装置により近距離無線通信を介して検知された1以上の他の通信装置の情報を含む検知情報と、を取得することを含む。前記送信処理は、外部装置からのリクエストに応じて、前記検知情報を、前記外部装置へ送信することを含む。
【0008】
本開示の一態様による位置特定方法は、緊急呼の発信が検知された場合に、前記緊急呼を発信した通信装置が無線接続する基地局に無線接続する1以上の他の通信装置により近距離無線通信を介して検知された1以上の通信装置の情報を含む検知情報を取得する取得工程と、前記1以上の他の通信装置の位置情報および前記検知情報に基づいて、前記緊急呼を発信した通信装置の位置を特定する特定工程と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の技術によれば、ネットワーク側で位置情報を取得していないユーザ装置が緊急呼を発信した場合に、当該ネットワーク側で当該ユーザ装置の位置を特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態による通信システムの構成例を示す。
【
図2】
図2は、通信システムにおけるネットワークの構成例を示す。
【
図3】
図3は、UEから緊急呼が発せられた場合の緊急セッション確立のための通信シーケンスを示す。
【
図4A】
図4Aは、UE検知アプリの第1機能に基づいてUEの位置を特定するための通信シーケンスを示す。
【
図4B】
図4Bは、UE検知アプリの第1機能に基づいてUEの位置を特定する際の通信システムの概念図を示す。
【
図5A】
図5Aは、UE検知アプリの第2機能に基づいてUEの位置を特定するための通信シーケンスを示す。
【
図5B】
図5Bは、UE検知アプリの第2機能に基づいてUEの位置を特定する際の通信システムの概念図を示す。
【
図5C】
図5Cは、変形例に従ってUEの位置を特定する際の通信システムの概念図を示す。
【
図6】
図6は、MECサーバが監視カメラを制御して画像を取得し、当該画像をPSAPへ送信するための通信シーケンスを示す。
【
図7】
図7は、MECサーバと位置特定装置のハードウェア構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本開示の実施形態について詳細に説明する。以下に開示される構成要素のうち、同一機能を有するものには同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、以下に開示される実施形態は、本開示の一形態であり、装置の構成や各種条件によって適宜修正または変更されるべきものであり、以下の実施形態のみに限定されるものではない。また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが上記課題の解決手段に必須のものとは限らない。
【0012】
以下に開示される実施形態では、本開示による技術を適用したネットワークとして、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))で規格されている第5世代(5G)に準拠したネットワーク(5Gネットワーク)を想定している。なお、ここでいうネットワークには、ユーザ装置も含まれる。なお、本開示による技術は、5Gネットワーク以外のネットワークに適用されてもよい。
【0013】
<通信システムの構成>
図1は、本実施形態による通信システム1の構成例を示す。基地局10は、RAN(Radio Access Network)の機能の一部を担うRU(Radio Unit)を実行する装置を少なくとも含む。そして、基地局10は、基地局10の担当範囲のセル100を形成する。ユーザ装置(User Equipment(UE))101から108、および、監視カメラ111から116は、セル100に存在し、基地局10と無線アクセスネットワークを介して無線接続されている。また、UE101から108、および、監視カメラ111から116は、基地局10とネットワーク200を介して、緊急応答機関(Public Safety Answering Point(PSAP))30と接続可能に構成されている。PSAP30は、緊急呼接続を実施する地域機関であり、受信した情報によって、状況を判断し、緊急サービス(消防、救急、警察等)を提供しうる。なお、監視カメラ111から116の少なくともいずれかは、基地局10と直接的に接続されなくてもよく、基地局10と無線接続された不図示の通信装置(例えば、IoT(Internet of Things)機器)と通信可能に構成されてもよい。すなわち、監視カメラ111から116の少なくともいずれかは、基地局10と間接的に接続されてもよい。この場合の、監視カメラ111から116の少なくともいずれかと、当該通信装置との接続形態は、Bluetooth(登録商標)といった無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。
【0014】
本実施形態では、ネットワーク200は、MECサーバ20、5Gに準拠したコアネットワーク(5Gコアネットワーク)21、IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワーク22、および位置特定装置23を含んで構成される。MECサーバ20は、エッジコンピューティング(本実施形態ではMEC)のためのサーバ装置(エッジサーバ)である。MECサーバ20は、基地局10を介して、基地局10に接続されるUEや監視カメラと通信可能に構成される。なお、基地局10がMECサーバ20の機能を備えてもよい。5Gコアネットワーク21の一例については
図2を参照して後述する。IMSネットワーク22は、PSAP30と通信可能に構成され、基地局10に無線接続されるUEからの緊急呼をPSAP30へ通知する機能を有する。位置特定装置23は、MECサーバ20、5Gコアネットワーク21、およびIMSネットワーク22の少なくともいずれに接続される。位置特定装置23は、GPS(Global Positioning System)機能といった位置取得機能が有効に機能せず、位置情報を提供できないUEが緊急呼を発信した場合に、当該UEの位置を特定するための処理を行う。
【0015】
UE101から108は、5Gに準拠した通信機能を有する通信装置である。監視カメラ111から116は、撮像機能を有し、撮像した画像を含む画像データ(画像パケット)を直接的または間接的に基地局10に伝送可能に構成される。なお、本開示において、画像という語は、静止画および動画(映像)の少なくともいずれかを含む語として理解される。監視カメラ111から116は、基地局10に直接的に接続される場合に、5Gに準拠した通信機能を含んで構成される。
【0016】
本実施形態では、基地局10は、監視カメラ111から116それぞれの位置(すなわち、設置位置)、撮像可能範囲、撮像倍率範囲といった情報(カメラ情報)を予め取得し、当該カメラ情報を、それぞれのカメラの識別情報と紐づけて管理している。さらに、基地局10は、当該識別情報に紐づけられた当該カメラ情報を、MECサーバ20と共有することができる。これにより、MECサーバ20は、基地局10を介して、監視カメラ111から116を、管理および動作制御することが可能となる。
【0017】
本実施形態において、UE101から108のそれぞれは、GPS機能といった位置取得機能を備える。UE101からUE108のユーザは、当該位置取得機能を有効にする(すなわち、当該機能をオン状態(アクティブ状態)にする)か、無効にする(すなわち、当該機能をオフ状態(非アクティブ状態)にする)かを、任意に設定することができる。本実施形態では、UE101が当該位置取得機能を無効にし、UE102からUE108が当該位置取得機能を有効にしているものとする。また、本実施形態では、当該位置取得機能が無効であることは、位置情報を提供できないことに対応し、当該位置取得機能が有効であることは、位置情報を提供できることに対応するものとする。
【0018】
また、本実施形態において、UE101から108のそれぞれは、近距離無線通信を利用して所定範囲内に位置する1以上の他のUEを検知するためのアプリケーションをインストールし、利用している(利用可能な状態にしている)ものとする。なお、近距離無線通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)が該当するが、UE同士が直接通信を行うことが可能なものであればよく、特に限られるものではない。また、当該所定範囲も、10メートル程度の距離が想定されるが、近距離無線通信が届く範囲内であれば適宜に定めてよい。すなわち、所定範囲は、近距離無線通信が届く限度でもよいし、それ以下でもよい。また、所定範囲内に存在するUEを、ここでは近隣のUEとも称する。また、本開示において、当該アプリケーションを、「UE検知アプリ」と称する。UE検知アプリ利用しているUEには、当該アプリで各UEを識別するための識別情報が付されているものとする。本開示では、説明のため、UE101から108の当該識別情報を、それぞれUE101から108とする。
【0019】
UE検知アプリは、第1機能と第2機能を含んで構成される。
当該第1機能は、所定時間毎に、所定距離内に1以上の他のUEが存在するか否かを検知し、当該他のUEの存在を検知した場合には、当該他のUEの識別情報を記憶し、検知しなかった場合には、非検知を示す情報、言い換えれば1台も検知しなかったことを示す情報、を記憶する機能を有する。本開示では、このような検知により得られた情報を、検知情報とも称する。さらに、当該第1機能は、基地局10を介して外部装置から所定のUEの識別情報を含むリクエストを受信した場合に、検知情報と、自身の位置情報とを含む検知データを、当該外部装置へ送信する機能を有する。あるいは、当該第1機能は、別モードとして、当該外部装置からリクエストを受信した場合に、検知情報と、自身の位置情報とを含む検知データを、当該外部装置へ送信する機能を有してもよい。送信される当該所定のUEを検知したか否かの情報は、最後に記憶された(すなわち、最新の)情報である。本実施形態では、当該外部装置を、位置特定装置23とする。当該第1機能によれば、UEは、位置特定装置23からリクエストを受信した場合に、検知した他のUEについての最新の情報を、位置特定装置23に送信することができる。
当該第2の機能は、所定時間毎に、所定距離内に1以上の他のUEが存在するか否かを検知し、検知情報(検知した他のUEの識別情報、または、検知したUEが無かったことを示す情報)を記憶する機能を有する。さらに、当該第2機能は、定期的に(例えば、検知のための所定時間毎に)、検知情報と、自身の位置情報とを含む検知データを、基地局10を介して外部装置へ送信する機能を有する。なお、定期的な送信だけではなく、非定期な送信(例えば、他のUEを検知したタイミングでの送信)も行ってもよい。また、当該検知データは、UEの検知を行った時間を示す時間情報(以下、検知時間とも称する)も含みうる。本実施形態では、当該外部装置を、MECサーバ20とする。当該第2機能によれば、UEは、定期的に、検知した他のUEについての情報を、MECサーバ20に送信することができる。
【0020】
本実施形態では、UE101から108のそれぞれは、当該第1の機能または当該第2の機能を利用するように設定される。また、UE101から108は、UE検知アプリを利用する際に、UE101から108自身の位置情報の提供に同意するか否かを示す情報を、MECサーバ20、位置特定装置23、およびPSAP30の少なくともいずれかに送信して登録することができる。なお、位置取得機能を無効にしているUE(本実施形態では、UE101)は、当該UE自身の位置情報の提供に同意するか否かを示す情報の送信を行わないように制御されてもよい。基地局10は、当該情報を、MECサーバ20、位置特定装置23、およびPSAP30の少なくともいずれかに送信し、登録しうる。
【0021】
セル100に属するUEが緊急呼を発信した場合、基地局10は、受信した呼が緊急呼であること、すなわち、緊急状態を検知する。基地局10は続いて、ネットワーク200を介してPSAP30に緊急状態を通知する。緊急呼を発信したUEが位置取得機能を有効にしている場合、PSAP30は、当該UEの位置情報を取得し、当該UEの位置を特定することができる。例えば、PSAP30は、誤差範囲を含めて、当該UEの位置を含む10メートルから50メートル程度の範囲を特定することができる。さらに、ネットワーク200におけるMECサーバ20に緊急状態が通知され、MECサーバ20は、当該UEの近くに配置されている監視カメラを特定し、当該特定した監視カメラを制御し、かつ、当該監視カメラにより撮影された画像がPSAP30へ伝送されるように制御する。
【0022】
緊急呼を発信したUEが位置取得機能を有効にしている場合は、PSAP30は、当該UEの位置情報を取得し、当該UEの位置を高い精度で特定することができるが、位置取得機能を無効にしている場合、PSAP30は、当該UEのおおまかな位置しか特定することができない。例えば、PSAP30は、位置取得機能を無効にしているUEが緊急呼を発信した場合、当該UEが無線接続する基地局の通信範囲である300メートルから数キロメートルを特定することに留まる。
【0023】
本実施形態では、位置取得機能を無効にしているUE101のユーザ(通報者)が、UE101を操作して緊急呼を発信した場合を想定する。UE102からUE108は、位置取得機能を有効にしており、ネットワーク200は、UE102から108から、UE検知アプリを介して取得した情報に基づいて、UE101の位置を特定する。MECサーバ20は、UE101の近傍(例えば、
図1に示すようなUE101から所定範囲のエリア120)に配置されている監視カメラを特定し、当該特定した監視カメラを制御し、かつ、当該監視カメラにより撮影された画像がPSAP30へ伝送されるように制御する。
【0024】
なお、
図1では、基地局10に無線接続される(すなわち、セル100に属する)UEは8台であるが(すなわち、UE101から108)、任意の数のUEが接続されてもよい。同様に、
図1では、基地局10に接続される監視カメラは6台であるが(すなわち、監視カメラ111から116)、任意の数の監視カメラが接続されてもよい。また、
図1では、PSAP30のみがネットワーク200に接続しているが、任意の外部サーバやサーバシステムが、ネットワーク200に接続することができる。
また、
図1のネットワーク構成例は、機能構成を示すものであり、必ずしも物理的な構成を示すものではない。
【0025】
図2に、5Gコアネットワーク21の一例を概略的に示す。
図2に示す5Gコアネットワーク21は、UPF(User Plane Function)203、AUSF(Authentication Server Function)205、AMF(Access and Mobility Management Function)206、SMF(Session Management Function)207、NEF(Network Exposure Function)208、NRF(Network Repository Function)209、PCF(Policy Control Function)210、およびUDM(Unified Data Management)211を備え、UE201およびRAN202に接続される。UPF203は、MEC204に接続される。また、UPF203はDN(Data Network)212へ接続され、DN212にIMS213が接続される。UE201とMEC204はそれぞれ、
図1におけるUE101から108と、MECサーバ20、に対応する。RAN202には、
図1の基地局10が含まれる。IMS213は、
図1のIMSネットワーク22に対応する。
図2を参照して理解されるように、IMSネットワーク22とMECサーバ20は、UPF203を介して、5Gコアネットワーク21に接続されている。
【0026】
<処理の流れ>
MECサーバ20が緊急呼を発信したUEの近傍に設置された監視カメラを制御する場合の、通信システム1における処理の流れについて、
図3から
図6を参照して説明する。本実施形態では、UE101が緊急呼を発信した場合を想定し、ここで、UE101は、位置取得機能を無効にしているものとする。
【0027】
(1)緊急セッションの確立
図3は、UE101から緊急呼が発せられた場合の緊急セッション確立のための通信シーケンスを示す。なお、
図3の処理に先立って、UE101からUE108は、基地局10を介して5Gコアネットワーク21と通信できるよう、接続確立処理が行われているものとする。当該接続確立処理は、UE101からUE108、基地局10、および5Gコアネットワーク21の間で、5G規格に準拠して行われうる。当該接続確立処理またはその後の処理において、UE101からUE108それぞれは、位置取得機能を有効または無効にしていることを、基地局10へ通知しうる。これにより、基地局10は、UE101からUE108それぞれが位置取得機能を有効または無効にしていることを認識しうる。あるいは、基地局10は、UE101からUE108それぞれが位置取得機能を有効または無効にしていることを、UE101からUE108に問い合わせることにより、認識してもよい。また、前述したように、UE101から108は、UE検知アプリを利用しており、UE101から108自身の位置情報の提供に同意するか否かを示す情報を、MECサーバ20、位置特定装置23、およびPSAP30の少なくともいずれかに送信して登録することができる。本例では、当該同意に関する情報が、少なくとも位置特定装置23に登録されているものとする。また、前述したように、基地局10およびMECサーバ20は、監視カメラ111から116のカメラ情報(位置、撮像可能範囲、撮像倍率範囲といった情報)を、それぞれのカメラの識別情報と紐づけて管理しているものとする。
【0028】
S301において、UE101が、UE101のユーザによる操作により緊急呼を発信した場合に、接続要求(RRC Connection Request)が、UE101から基地局10に送信される。当該接続要求には、緊急呼(緊急状態)であることを示す情報(Establishment cause=Emergency Call)が含まれる。また、当該接続要求には、UE101の識別情報(UE101-ID)が含まれる。基地局10は、UE101から接続要求(S301)を受信した段階で、緊急呼が発せられたUE101がセル100に属すること、および緊急呼を受信(検知)した時間(以下、緊急呼受信時間とも称する)を認識することができる。本開示では、当該緊急呼受信時間は、UE101が緊急呼を発信した時間に対応するものとする。
【0029】
UE101から接続要求を受信した基地局10は、UEメッセージ(Initial UE message)を、5Gコアネットワーク21へ送信し(S302)、5Gコアネットワーク21は、当該UEメッセージを、IMSネットワーク22へ送信する(S303)。当該UEメッセージには、緊急呼(緊急状態)であることを示す情報(Establishment cause=Emergency Call)が含まれる。さらに、緊急呼の発生を示す信号を受信した基地局10が形成するセル100を識別する情報(CGI(Cell Global Identity)、UE101の識別情報、および緊急呼受信時間が、当該UEメッセージに含まれる。UE101の識別情報は、UE101が位置取得機能を無効にしていることを識別する機能を有してもよい。
【0030】
IMSネットワーク22が基地局10からUEメッセージを受信すると、緊急セッションが開始される(S304)。S304までの処理により、5Gコアネットワーク21は、セル100においてUE101が緊急呼を発信したことを認識することができる。さらに、IMSネットワーク22は、UE101が位置取得機能を無効にしていることを認識する。例えば、IMSネットワーク22は、UEメッセージに含まれるUE101の識別情報から、UE101が位置取得機能を無効にしていることを認識しうる。あるいは、IMSネットワーク22は、不図示のLRF(Location Retrieval Function)を介して取得したUE101の位置情報が基地局10の情報である場合に、UE101が位置取得機能を無効にしていることを認識しうる。IMSネットワーク22は、UE101が位置取得機能を無効にしていることを認識すると、UE101の位置を特定するために、UE101の識別情報を位置特定装置23へ通知する(S305)。UE101の識別情報を取得した位置特定装置23は、UE101の位置を特定するための処理を行う。ここで、IMSネットワーク22は、緊急呼受信時間を位置特定装置23へ通知してもよい。UE101の位置の特定処理については、
図4A、
図4B、
図5A、および
図5Bを参照して後述する。位置特定装置23は、UE101の位置を特定すると、UE101の位置情報を、MECサーバ20へ送信する。さらに、位置特定装置23は、UE101の位置情報を、IMSネットワーク22へ通知しうる。
【0031】
さらに、IMSネットワーク22は、緊急呼を発信したUE101の情報およびPSAP30の情報の少なくともいずれかを取得する(S306)。UE101の情報は、位置特定装置23またはMECサーバ20から通知される、あるいは、LRFから取得されるUE101の位置情報を含み、PSAP30の情報は、PSAP30へのルーティング情報を含みうる。IMSネットワーク22は、IMSネットワーク22に接続される、LRFを介して、PSAP30の情報を取得しうる。IMSネットワーク22は、取得した情報に基づいて、適切なPSAPを所定のデータベースにおいて探索し、本実施形態では探索したPSAP30との緊急セッションを開始(確立)する(S307)。この状態で、PSAP30は、UE101から監視対象(動体または静止物)の情報を取得してもよい。また、PSAP30は、UE101の電話番号の情報を取得してもよい。また、PSAP30は、MECサーバ20に関する情報を取得してもよい。
【0032】
(2-1)UE101の位置の特定(UE検知アプリの第1機能を利用する場合)
図4Aと
図4Bを参照して、
図3のS305でIMSネットワーク22からUE101の識別情報を取得した位置特定装置23が、UE検知アプリの第1機能に基づいて、UE101の位置を特定する処理について説明する。
図4Aは、UE検知アプリの第1機能に基づいてUE101の位置を特定するための通信シーケンスを示す。
図4Bは、UE検知アプリの第1機能に基づいてUE101の位置を特定する際の通信システム1の概念図を示す。
【0033】
UE101からUE108は、前述したUE検知アプリの第1機能を利用可能にしているものとする。前述したように、当該第1機能は、所定時間毎に、所定距離内に1以上の他のUEが存在するか否かを検知し、検知情報(検知した他のUEの識別情報、または、検知したUEが無かったことを示す情報)を記憶する機能を有する。さらに、当該第1機能は、基地局10を介して位置特定装置23から所定のUEの識別情報を含むリクエストを受信した場合に、検知情報と、自身の位置情報とを含む検知データを、位置特定装置23へ送信する機能を有する。
【0034】
図4Aにおいて、位置特定装置23は、
図3に示すS305においてUE101の識別情報を受信すると、所定のUEとしてのUE101の識別情報を含むリクエストを、MECサーバ20へ送信する(S401)。続いて、MECサーバ20は当該リクエストを基地局10へ送信し(S402)、基地局10は、当該リクエストをUE102からUE108へ送信する(S403)。なお、
図4Aでは、位置特定装置23は当該リクエストを1度送信しているが、しばらくの間(例えば、位置特定装置23がUE101の識別情報を受信してから所定時間)、定期的に当該リクエストを送信してもよい。
【0035】
当該リクエストを受信したUE102からUE108はそれぞれ、UE検知アプリの第1機能により得られた検知データを、基地局10へ送信する(S404)。当該検知データには、UE102からUE108それぞれの位置情報と、UE101を検知したか否かの情報が含まれる。基地局10は、当該検知データをMECサーバ20に送信し(S405)、MECサーバ20は、当該検知データを位置特定装置23へ送信し、位置特定装置23はこれを受信する(S406)。位置特定装置23は、受信した検知データに基づいて、UE101の位置を特定する(S407)。UE101の位置を特定すると、位置特定装置23は、特定したUE101の位置を示す位置情報を、MECサーバ20へ送信する(S408)。位置特定装置23は、UE101の位置情報を、IMSネットワーク22へ送信してもよい。
【0036】
UE101の位置特定処理(S407)を、
図4Bを参照して説明する。セル100において、UE102、104、および108が、UE検知アプリの第1機能を利用してUE101を検知した場合、位置特定装置23は、UE102からUE108から、検知データ40を受信する。検知データ40において、「UE」はUEの識別情報を示す。また、「位置情報」は、各UEの位置情報を示し、各UEがGPSといった位置取得機能を用いて取得したUEの位置である。UE102を例にすると、検知データ40において、UE102の位置情報は、{x2,y2,z2}という、3次元座標で表される。なお、当該位置情報は、3次元座標に限定されず、他の方式で表された情報であってもよい。また、「UE101を検知?」は、各UEが、受信したリクエストに含まれるUE101の識別情報に基づいて、UE101を検知したか否かを示す情報であり、「YES」または「NO」で表される。検知データ40では、UE102、104、および108がUE101を検知したことが示されている。
【0037】
位置特定装置23は、検知データ40に基づいて、UE101の近傍には、UE102、104、および108が存在することを認識し、UE102、104、および108の位置情報に基づいて、UE101の位置を特定する。例えば、位置特定装置23は、UE102、104、および108の位置を含む範囲を、UE101の位置(UE101が存在しうる位置)と特定しうる。あるいは、位置特定装置23は、UE102、104、および108の位置を含む範囲の中心を、UE101の位置と特定しうる。
【0038】
図4Bの例では、位置特定装置23は、UE101の近傍に存在すると認識した3つのUEの位置情報に基づいて、UE101の位置を特定したが、UE101の近傍に存在すると認識されたUEの数が0である場合は、従来と同様に、セル100内にUE101が位置することを特定しうる。また、UE101の近傍に存在すると認識されたUEの数が1である場合は、位置特定装置23は、当該認識されたUEの位置を、UE101の位置として特定しうる。あるいは、この場合、位置特定装置23は、当該認識されたUEから所定範囲(UE検知アプリで検知しうる範囲)を、UE101の位置(UE101が存在しうる位置)と特定しうる。
また、位置特定装置23は、予めセル100における地図情報を取得して、当該地図情報に基づいてUE101の位置を特定することにより、位置の精度を高めてもよい。
【0039】
なお、
図4Aと
図4Bに示す例では、位置特定装置23は、UE101の識別情報を含むリクエストを、MECサーバ20と基地局10を介して、セル100内の全UE(UE102からUE108)へ送信したが、セル100内の限定したエリアにおけるUEに送信してもよい。例えば、位置特定装置23は、セル100を複数のエリアに分割し、エリアごとに、各エリアに存在するUEへ、UE101の識別情報を含むリクエストを送信してもよい。
なお、
図4Aと
図4Bに示す例では、位置特定装置23と基地局10とのやり取りの少なくとも一部は、MECサーバ20を介さずに行われてもよい。
【0040】
(2-2)UE101の位置の特定(UE検知アプリの第2機能を利用する場合)
図5Aと
図5Bを参照して、
図3のS305でIMSネットワーク22からUE101の識別情報を取得した位置特定装置23が、UE検知アプリの第2機能に基づいて、UE101の位置を特定する処理について説明する。
図5Aは、UE検知アプリの第2機能に基づいてUE101の位置を特定するための通信シーケンスを示す。
図5Bは、UE検知アプリの第2機能に基づいてUE101の位置を特定する際の通信システム1の概念図を示す。
【0041】
UE101からUE108は、前述したUE検知アプリの第2機能を利用可能にしているものとする。前述したように、当該第2機能は、所定時間毎に、所定距離内に1以上の他のUEが存在するか否かを検知し、検知情報(検知した他のUEの識別情報、または、検知したUEが無かったことを示す情報)を記憶する機能を有する。さらに、当該第2機能は、定期的に(例えば、検知のための所定時間毎に)、検知情報と、自身の位置情報とを含む検知データを、基地局10を介してMECサーバ20へ送信する機能を有する。また、当該検知データは、検知時間(UEの検知を行った時間の情報)も含みうる。
【0042】
図5Aにおいて、UE102からUE108は、定期的に検知データを基地局10に送信し(S501、S503)、基地局10は当該検知データをMECサーバ20へ送信している(S502、S504)。位置特定装置23は、
図3に示すS305においてUE101の識別情報を受信すると、所定のUEとしてのUE101の識別情報を含むリクエストを、MECサーバ20へ送信する(S505)。当該リクエストを受信したMECサーバ20は、UE102からUE108から取得した検知データを、位置特定装置23へ送信し、位置特定装置23はこれを受信する(S506)。ここで、MECサーバ20は、取得していた検知データのうち、最新の検知データを位置特定装置23へ送信しうる。位置特定装置23は、受信した検知データに基づいて、UE101の位置を特定する(S507)。UE101の位置を特定すると、位置特定装置23は、特定したUE101の位置を示す位置情報を、MECサーバ20へ送信する(S508)。位置特定装置23は、UE101の位置情報を、IMSネットワーク22へ送信してもよい。
【0043】
なお、位置特定装置23は、IMSネットワーク22から、緊急呼受信時間を取得し、検知データに検知時間が含まれる場合、位置特定装置23は、S505で送信するリクエストに、緊急呼受信時間を含めてもよい。これに応じて、MECサーバ20は、緊急時受信時間に近い(具体的には、緊急時受信時間から所定時間内の)検知時間を有する検知データを、位置特定装置23へ送信してもよい(S506)。これにより、位置特定装置23は、ネットワーク側が緊急呼を受信した時間に近い検知時間を有する検知データに基づいて、UE101の位置を特定することができ、特定する位置の精度が向上しうる。
【0044】
UE101の位置特定処理(S507)を、
図5Bを参照して説明する。セル100において、UE102がUE101と108を検知し、UE104がUE101と105を検知し、UE105がUE104を検知し、UE106がUE107を検知し、UE107がUE106を検知し、UE108がUE101とUE102を検知した場合を想定する。この場合、UE102からUE108は、検知データ50のようなデータを、基地局10を介してMECサーバ20へ送信する。検知データ50において、「UE」と「位置情報」はそれぞれ、
図4Bと同様に、各UEの識別情報と各UEの位置情報を示す。また、「検知UE」は、各UEが検知した1以上の他のUEの識別情報である。「N/A」は、検知したUEが無かったことを示す。
【0045】
位置特定装置23は、検知データ50に基づいて、UE102、104、および108がUE101を検知したことを認識し、UE102、104、および108の位置情報に基づいて、UE101の位置を特定する。UE101の位置の特定手順の例は、
図4Bを参照して上述した手順と同様である。UE101の位置を特定すると、位置特定装置23は、特定したUE101の位置情報を、MECサーバ20へ送信する。位置特定装置23は、UE101の位置情報を、IMSネットワーク22へ送信してもよい。
【0046】
このように、本実施形態によるUE検知アプリは、第1機能と第2機能とを備え、位置特定装置23は、それぞれの機能に従って、UE101の周辺に位置する1以上のUEによる検知情報に基づいて、UE101の位置を特定することができる。
【0047】
なお、UE検知アプリの第1機能は、別モードとして、前述したように、リクエストを受信した場合に、検知情報(検知した他のUEの識別情報、または、検知したUEが無かったことを示す情報)と、自身の位置情報とを含む検知データを、位置特定装置23へ送信する機能を有してもよい。例えば、
図4Aにおいて、位置特定装置23は、送信したリクエスト(S401)の応答として、
図5Bに示す検知データ50を受信してもよい。この場合、位置特定装置23は、検知データ50に基づいて、UE101の位置を特定してもよい。あるいは、位置特定装置23は、検知データ50から、
図4Bに示す検知データ40を作成し、検知データ40に基づいて、UE101の位置を特定してもよい。
【0048】
(3)監視カメラの制御
緊急呼を発信したUE101の位置が特定された後、MECサーバ20は、UE101の近傍に配置された監視カメラを特定して、当該特定した監視カメラを制御して画像を取得し、当該画像をPSAP30へ送信する。
図6は、MECサーバ20がUE101の近傍に設置された監視カメラを制御して画像を取得し、当該画像をPSAP30へ送信するための通信シーケンスを示す。
図6に示す処理は、
図3におけるS307で緊急セッションが開始され、かつ、MECサーバ20が、位置特定装置23(または、IMSネットワーク22)からUE101の位置情報を取得した後に開始されうる。
図6の説明のために、
図1に示す通信システム1を参照する。なお、ここでは、位置取得機能を無効にしているUE101を対象とするが、IMSネットワーク22から位置取得機能を有効にUEの位置情報を取得した場合も、同様の説明を適用できる。
【0049】
PSAP30はUE101からの緊急呼を受けてUE101周辺における撮像画像の閲覧を行おうとした場合に、MECサーバ20に閲覧開始要求を送信し、MECサーバ20は、当該閲覧開始要求を受信する(S601)。なお、S601でPSAP30が閲覧開始要求を送信するタイミングは、
図6に示すタイミングに限定されず、
図3におけるS307で緊急セッションが開始され、かつ、MECサーバ20が、位置特定装置23からUE101の位置情報を取得した後の任意のタイミングであってよい。閲覧開始要求には、監視対象(動体または静止物)の情報が含まれていてもよい。あるいは、当該監視対象の情報は、UE101から受信された情報であってもよいし、PSAP30が予め有している監視対象の情報(例えば画像情報)であってもよい。
【0050】
MECサーバ20は、取得したUE101の位置情報の位置に基づいて、UE101の近傍エリア120と、監視カメラ111と112を特定する(S602)。続いて、MECサーバ20は、監視カメラ111と112に対する指示を含む制御情報を生成する(S603)。当該指示は、例えば、起動、撮影開始などでもよい。これに代えて、または、これに加えて、S601で受信した閲覧開始要求に監視対象の情報が含まれる場合に、MECサーバ20は、当該監視対象を追従するように制御するための制御情報を生成してもよい。これに代えて、または、これに加えて、MECサーバ20は、撮影を制御するための制御情報を生成してもよい。例えば、パン、チルトなどといった撮像方向の制御でもよいし、撮像倍率(ズーム)の制御でもよい。
これに代えて、または、これに加えて、MECサーバ20は、監視カメラ111と112のうち利用するカメラを選択して(言い換えれば、絞り込んで)、選択した監視カメラに対して前述のように制御するための指示を含む制御情報を生成してもよい。例えば、MECサーバ20が、監視カメラ111と112のうち、UE101により位置的に近い監視カメラを選択して、起動かつ撮像方向を制御するための指示を含む制御情報を生成してよい。
【0051】
MECサーバ20は、生成した制御情報を、基地局10へ送信し(S604)、基地局10は当該制御情報を監視カメラ111と112へ転送する(S605)。ここで、利用する監視カメラが選択されている場合は、MECサーバ20は、当該選択した監視カメラに対して、制御情報を送信しうる(S604、S605)。
【0052】
監視カメラ111と112は、S605で受信した制御情報に従って撮像し、画像データを生成する(S606)。続いて、監視カメラ111と112は、生成した画像データを基地局10へ送信し(S607)、基地局10は当該画像データをMECサーバ20へ転送する(S608)。
【0053】
MECサーバ20は、基地局10を介して監視カメラ111と112から画像データを取得すると、当該画像データに対して画像処理を施す(S609)。例えば、MECサーバ20は、取得した画像データに対して、物体認識、物体検出、顔認識、文字認識等の認識処理や、データサイズの変更、解像度の変更等の画像処理を施す。なお、S609における画像処理は、オプション的な処理であってもよい。
【0054】
続いて、MECサーバ20は、(画像処理を施した)画像データを、PSAP30へ送信する(S610)。ここで、MECサーバ20は、閲覧開始要求の送信元のPSAP30に対して、MECサーバ20が取得した画像を閲覧するためのURL(Uniform Resource Locator)を生成し、当該URLをPSAP30に通知してもよい。この場合、当該URLを受け取ったPSAP30は、当該URLにアクセスすることにより、監視カメラ111と112により撮像された画像を閲覧することができる。なお、MECサーバ20は、PSAP30に限定されず、ネットワーク200に接続される外部の装置へ画像データを送信してもよい。例えば、PSAP30により受信された閲覧開始要求(S601)に、撮影画像の送信先装置が指定されていた場合に、MECサーバ20は、画像データを当該指定された装置へ送信してもよい。
【0055】
MECサーバ20は、PSAP30から閲覧終了要求(S611)を受信するまで、S608からS610の処理を継続する。なお、MECサーバ20は、PSAP30から、監視対象に関する指示といった更なる指示を受信した場合は、追加的な制御情報を生成して(S603)、送信する(S604、S605)。これに応じて、監視カメラ111と112は、追加的な制御情報に従って撮像し、画像データを生成し(S606)、MECサーバ20を介してPSAP30へ送信される(S607からS610)。
【0056】
その後、PSAP30から閲覧終了要求を受信すると(S611)、MECサーバ20は、PSAP30への画像データの送信を終了する(S612)。ここで、MECサーバ20は、監視カメラ111と112に対して、S605で送信した制御情報に従う撮影および画像データの生成を停止するように要求してもよい。
【0057】
このように、本実施形態によれば、通信システム1において、位置取得機能を無効にしているUE101が緊急呼を発信した場合に、UE101の周辺に位置する1以上の他のUEが近距離無線通信を介してUE101を検知する。そして、位置特定装置23は、当該1以上の他のUEの位置情報と、UE101を検知したか否かの情報に基づいて、UE101の位置を特定する。さらに、MECサーバ20は、UE101の位置の近傍に設置された監視カメラを特定し、当該監視カメラの撮像を制御し、かつ、PSAP30からの要求に応じて、当該監視カメラにより撮像された画像がPSAP30に伝送されるように制御することができる。このような通信システム1における処理手順により、位置取得機能を無効にしているUE101が緊急呼を発信した場合であっても、UE101の位置が迅速に特定され、PSAP30は、UE101の近傍に設置された監視カメラにより撮像された画像を迅速に確認することが可能となる。
【0058】
なお、上記の実施形態では、位置取得機能を無効にしているUE101が緊急呼を発信した場合に、UE101の近傍の監視カメラによる画像を閲覧するために、UE101の位置を特定する処理を説明したが、他の条件のUEにも本実施形態を適用可能である。例えば、位置取得機能を有さないUE、位置取得機能を有効にしているが通信状況により取得した位置情報が送信先に到達しないUE、位置取得機能が有効に機能しないUE(例えば、地下にいるUE)といった、ネットワーク側(例えば、当該UEが無線接続される基地局)で位置情報を取得していないUEの位置を特定するために、本実施形態を適用可能である。位置特定装置23は、ネットワーク側で位置情報を取得していないUE(本実施形態ではUE101)の位置を、ネットワーク側で位置情報を取得可能な他のUE(本実施形態ではUE102から108)による検知データに基づいて、上記の手順により、特定することができる。
また、本実施形態は、緊急呼を発信したUEの位置情報が、当該UEが無線接続される基地局において登録されていない場合や、緊急呼を発信したUEの位置情報に示される当該UEの位置が、当該基地局のセル内でない場合にも、適用可能である。例えば、位置情報を送信したUEであって、何等かの理由により接続基地局に当該位置情報が登録されていないUEや、隣接セルの基地局に当該位置情報が登録されたUEの位置を特定するために、本実施形態を適用可能である。
【0059】
また、上記の実施形態では、位置特定装置23は、位置取得機能を有効にしている1以上のUEあるいはMECサーバ20へリクエストを送信することに応じて、当該UEあるいはMECサーバ20から検知データを取得しているが、リクエスト無しに当該検知データを受信してもよい。例えば、当該UEあるいはMECサーバ20は、取得あるいは受信した検知データを、自主的に、位置特定装置23へ送信してもよい。あるいは、位置特定装置23は、リクエスト以外のトリガーにより、当該UEあるいはMECサーバ20から検知データを取得してもよい。
【0060】
また、上記の実施形態では、MECサーバ20と位置特定装置23は別装置として説明したが、MECサーバ20が位置特定装置23の機能を含んで構成されてもよい。以下の変形例についても同様である。
【0061】
<変形例>
上記の実施形態では、UE検知アプリの第1機能と第2の機能のいずれかに従って、UE101を検知する例を説明したが、変形例として、位置特定装置23は、以下のようにUE101の位置を特定することができる。変形例を、
図5Cを参照して説明する。
図5Cは、変形例に従ってUE101の位置を特定する際の通信システム1の概念図を示す。
【0062】
第1の変形例は、UE検知アプリの第3機能を利用する例である。当該第3機能は、緊急呼を発信したUEが、所定距離内に1以上の他のUEが存在するか否かを検知し、当該他のUEの存在を検知した場合に、当該他のUEの識別情報を送信する機能を有する。例えば、当該第3機能を利用してUE101が緊急呼を発信した際に、UE101は、UE101から所定範囲内に位置する1以上の他のUEを検知し、当該他のUEの識別情報を、位置特定装置23に送信する。位置特定装置23は、当該他のUEに、当該他のUEの位置情報を問い合わせて取得することにより、UE101の位置を特定することができる。
図5Cを参照すると、緊急呼を発信したUE101は、UE102、104、および108の識別情報を、位置特定装置23に送信する。位置特定装置23は、
図3のS305でIMSネットワーク22からUE101の識別情報を受信したことを受けて、UE102、104、および108に、各UEの位置情報を問い合わせる。これに応じて、UE102、104、および108が、UE自身の位置情報を位置特定装置23に送信し、位置特定装置23は、当該UEの位置情報に基づいて、前述した手順により、UE101の位置を取得することができる。
【0063】
第2の変形例は、UE検知アプリの第4機能を利用する例である。当該第4機能は、緊急呼を発信したUEが、所定距離内に存在する1以上の他のUE(ここでは、近隣UEと称する)に、緊急呼を発信したことと、当該緊急呼を発信したUEの識別情報を通知する機能を有する。さらに、当該第4機能は、当該近隣UEが、当該緊急呼を発信したUEの識別情報が通知された場合に、所定距離内に1以上の他のUEが存在するか否かを検知し、当該緊急呼を発信したUEの識別情報と、当該他のUEの存在を検知した場合には、当該他のUEの識別情報を位置特定装置23に送信する機能を有する。例えば、当該第4機能を利用してUE101が緊急呼を発信した際に、UE101は、UE101から所定範囲内に位置する1以上の他のUE(すなわち、近隣UE)に、UE101が緊急呼を発信したことと、UE101の識別情報を通知する。当該近隣UEは、自身の位置情報と、UE101の識別情報と、検知した1以上の他のUEの識別情報とを、位置特定装置23に送信する。さらに、当該近隣UEは、検知した1以上の他のUEに、UE101が緊急呼を発信したことと、UE101の識別情報を通知し、当該他のUEは、当該近隣UEと同様の処理を行う。位置特定装置23は、通知された情報により、UE101の位置を特定することができる。
図5Cを参照すると、緊急呼を発信したUE101は、UE102、104、および108に対して、UE101が緊急呼を発信したことと、UE101の識別情報を、通知する。UE102、104、および108は、所定距離内に1以上の他のUEが存在するか否かを検知する。
図5Cでは、UE102とUE108は、他のUEを検知しないが、UE104は、UE105を検知する。UE102とUE108は、UE自身の位置情報とUE101の識別情報を、UE104は、UE自身の位置情報とUE101の識別情報とUE105の識別情報とを、位置特定装置23へ送信する。また、UE105は、他のUEを検知せず、UE自身の位置情報とUE101の識別情報を、位置特定装置23へ送信する。位置特定装置23は、
図3のS305でIMSネットワーク22からUE101の識別情報を受信したことを受けて、UE102、104、105、および108から受信した情報を確認する。そして、位置特定装置23は、UE102、104、105、および108の位置に基づいて、前述した手順により、UE101の位置を取得することができる。
【0064】
なお、第2の変形例では、位置特定装置23は、UEから自発的に送信された情報に基づいてUE101の位置を特定するが、追加的な処理を行ってもよい。例えば、
図5Bにおいて、位置特定装置23は、UE103、106、および107に対して、検知UEに関する情報を含む検知データの送信を要求し、取得した検知データに基づいて、UE103、106、および107は、UE101を検知していないことを認識してもよい。これにより、位置特定装置23は、UE101が、UE103、106、および107の近傍に位置しないことを認識することができる。
【0065】
<MECサーバと位置特定装置のハードウェア構成>
図7に、上記実施形態および変形例によるMECサーバ20のハードウェア構成例を示す。なお、位置特定装置23も、同様のハードウェア構成を有する。
図7に示すように、MECサーバ20は、ハードウェア構成の一例として、CPU(Central Processing Unit)71と、ROM(Read Only Memory)72と、RAM(Random Access Memory)73と、HDD(Hard Disk Drive)74と、通信I/F(Interface)75と、システムバス76とを備える。MECサーバ20はまた、外部メモリを備えてよい。
CPU71は、1つ以上のプロセッサにより構成され、MECサーバ20における動作を統括的に制御するものである。CPU71は、データ伝送路であるシステムバス76を介して、各構成部(72から75)を制御する。1つ以上のCPU71の少なくともいずれかは、ASIC(Application specific integrated circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等の1つ以上のプロセッサによって置き換えられてもよい。
【0066】
ROM72は、CPU71が処理を実行するために必要な制御プログラム等を記憶する不揮発性メモリである。なお、当該プログラムは、HDD74、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリや着脱可能な記憶媒体(不図示)等の外部メモリに記憶されていてもよい。
RAM73は、揮発性メモリであり、CPU71の主メモリ、ワークエリア等として機能する。すなわち、CPU71は、処理の実行に際してROM72から必要なプログラム等をRAM73にロードし、当該プログラム等を実行することで各種の機能動作を実現する。
【0067】
HDD74は、例えば、CPU71がプログラムを用いた処理を行う際に必要な各種データや各種情報等を記憶している。また、HDD74には、例えば、CPU71がプログラム等を用いた処理を行うことにより得られた各種データや各種情報等が記憶される。なお、当該記憶は、HDD74とともに、または、HDD74に代えて、SSD等の不揮発性メモリや着脱可能な記憶媒体等の外部メモリを用いて行われてもよい。
通信I/F75は、MECサーバ20と外部装置との通信を制御するインタフェースである。
【0068】
なお、MECサーバ20は、各自の各機能を実行する専用のハードウェアを備えてもよいし、各自の全機能の一部をハードウェアで実行し、プログラムを動作させるコンピュータでその他の部分を実行してもよい。また、全機能がコンピュータとプログラムにより実行されてもよい。
【0069】
<MECサーバの機能構成>
図8に、本実施形態によるMECサーバ20の機能構成例を示す。MECサーバ20の各機能は、例えば、
図7に示すMECサーバ20のハードウェアによって実現される論理的な機能であり、CPU71がROM72等に格納されたプログラムを実行することによって実現されうる。本実施形態では、MECサーバ20は、機能構成として、送信部81、受信部82、UE位置管理部83、カメラ制御部84、および画像処理部85を有する。
【0070】
送信部81と受信部82はそれぞれ、通信I/F75を介して、パケットの送信および受信を行う。本実施形態において、当該パケットは、画像データを含むパケットや、監視カメラ111から116を制御するための制御情報を含むパケットを含む。UE位置管理部83は、緊急呼を発信したUEの位置を管理する。緊急呼を発信したUEの位置情報を取得可能な場合は、UE位置管理部83は、IMSネットワーク22から、当該UEの位置情報を取得しうる。一方、緊急呼を発信したUEの位置情報を取得可能でない場合は、UE位置管理部83は、前述した手順により、位置特定装置23(または、IMSネットワーク22)から、当該UEの位置情報を取得しうる。
【0071】
カメラ制御部84は、MECサーバ20に接続される基地局10と通信可能な監視カメラ111から116を制御するための制御情報を生成する(
図6のS603の処理に対応)。例えば、カメラ制御部84は、監視カメラ111から116のうち、UE位置管理部83により取得されたUEの位置情報に基づいて、緊急呼を発信したUEの近傍エリアと、当該近傍エリア内の1以上の監視カメラを特定する(絞り込む)。そして、カメラ制御部84は、当該1以上の監視カメラを起動するための指示を含む制御情報を生成しうる。すなわち、カメラ制御部84は、監視カメラ111から116のうち、緊急状態の発生場所の近くに設置された監視カメラを起動するための指示を含む制御情報を生成してよい。これに代えて、または、これに加えて、カメラ制御部83は、監視対象の情報を取得している場合に、当該監視対象を追従するように制御するための制御情報を生成してもよい。これに代えて、または、これに加えて、カメラ制御部84は、撮像方向(パン、チルト)、撮像倍率(ズーム)を制御するための制御情報を生成してもよい。
【0072】
画像処理部85は、監視カメラから取得した画像(画像データ)に対して画像処理を施す(
図6のS609の処理に対応)。例えば、画像処理部85は、当該画像に対して、物体認識、物体検出、顔認識、文字認識等の画像認識処理や、データサイズの変更、解像度の変更等の画像処理を施すことができる。当該画像認識処理は、AI(人工知能)を用いた画像認識処理でありうる。例えば、画像処理部85は、監視対象の画像を取得している場合に、監視カメラから得られた画像において、当該監視対象と似ている(例えば、共通の特徴を有する)対象を抽出するように構成される。
【0073】
<位置特定装置の機能構成>
図9に、本実施形態による位置特定装置23の機能構成例を示す。位置特定装置23の各機能は、例えば、
図7に示す位置特定装置23のハードウェアによって実現される論理的な機能であり、CPU71がROM72等に格納されたプログラムを実行することによって実現されうる。本実施形態では、位置特定装置23は、機能構成として、送信部91、受信部92、および位置特定制御部93を有する。
【0074】
送信部91および受信部92は、
図8のMECサーバ20の送信部81および受信部82とそれぞれ同様の機能を有する。位置特定制御部93は、緊急呼を発信したUEの位置情報を提供できないUEである場合に、当該UEの位置を特定するための処理を行う。当該処理の詳細については、上述の通りである。
【0075】
なお、本実施形態は、プロセッサ、メモリなどを備えた情報処理装置にソフトウェア(プログラム)が記録された記憶媒体を読み込ませ、プロセッサがソフトウェアに係る処理を実行することによって、実行されてよい。
【0076】
また、上記において特定の実施形態が説明されているが、当該実施形態は単なる例示であり、本開示の範囲を限定する意図はない。本明細書に記載された装置及び方法は上記した以外の形態において具現化することができる。また、本開示の範囲から離れることなく、上記した実施形態に対して適宜、省略、置換及び変更をなすこともできる。かかる省略、置換及び変更をなした形態は、請求の範囲に記載されたもの及びこれらの均等物の範疇に含まれ、本開示の技術的範囲に属する。
【0077】
(本開示の実施形態)
本開示は以下の実施形態を含む。
[1]1以上のプロセッサを備え、前記1以上のプロセッサの少なくとも一つによって、 緊急呼の発信が検知された場合に、前記緊急呼を発信した通信装置が無線接続する基地局に無線接続する1以上の他の通信装置により近距離無線通信を介して検知された1以上の通信装置の情報を含む検知情報を取得する取得処理と、前記1以上の他の通信装置の位置情報および前記検知情報に基づいて、前記緊急呼を発信した通信装置の位置を特定する特定処理と、が実行される、位置特定装置。
【0078】
[2]前記取得処理は、前記緊急呼の検知に応じて前記1以上の他の通信装置に対してリクエストを送信し、前記リクエストの応答として、前記1以上の他の通信装置から前記検知情報を取得することを含む、[1]に記載の位置特定装置。
【0079】
[3]検知情報は、前記緊急呼を発信した通信装置を検知したか否かの情報を含み、
前記特定処理は、前記1以上の他の通信装置の位置情報のうち、前記緊急呼を発信した通信装置を検知した1以上の通信装置の位置情報に基づいて、前記緊急呼を発信した通信装置の位置を特定することを含む、[1]または[2]に記載の位置特定装置。
【0080】
[4]前記取得処理は、前記1以上の他の通信装置から前記検知情報を取得するエッジサーバに対して前記緊急呼の検知に応じてリクエストを送信し、前記エッジサーバから、前記検知情報を取得することを含む、[1]に記載の位置特定装置。
【0081】
[5]前記取得処理は、前記エッジサーバにより、前記緊急呼が発信された時間から所定時間内に取得された前記検知情報を、前記エッジサーバから取得することを含む、[4]に記載の位置特定装置。
【0082】
[6]前記検知情報は、前記1以上の他の通信装置それぞれによって検知された1以上の通信装置の情報または検知された通信装置がなかったことを示す情報を含み、
前記特定処理は、前記1以上の他の通信装置のうち、前記緊急呼を発信した通信装置を検知した1以上の通信装置の位置情報に基づいて、前記通信装置の位置を特定することを含む、[4]または[5]に記載の位置特定装置。
【0083】
[7]1以上のプロセッサを備え、前記1以上のプロセッサの少なくとも一つによって、同一基地局に無線接続する1以上の通信装置から、前記1以上の通信装置の位置情報と、前記1以上の通信装置により近距離無線通信を介して検知された1以上の他の通信装置の情報を含む検知情報と、を取得する取得処理と、外部装置からのリクエストに応じて、前記検知情報を、前記外部装置へ送信する送信処理と、が実行される、エッジサーバ。
【0084】
[8]前記リクエストに時間情報が含まれる場合、前記送信処理は、前記時間情報が示す時間から所定時間内に取得された前記検知情報を、前記外部装置へ送信することを含む、[7]に記載のエッジサーバ。
【0085】
[9]緊急呼の発信が検知された場合に、前記緊急呼を発信した通信装置が無線接続する基地局に無線接続する1以上の他の通信装置により近距離無線通信を介して検知された1以上の通信装置の情報を含む検知情報を取得する取得工程と、前記1以上の他の通信装置の位置情報および前記検知情報に基づいて、前記緊急呼を発信した通信装置の位置を特定する特定工程と、を含む、位置特定方法。
【符号の説明】
【0086】
1:通信システム、10:基地局、100:セル、101;102;103;104;105;106;107;108:UE、111;112;113;114;115;116:監視カメラ、20:MECサーバ、21:5Gコアネットワーク、22:IMSネットワーク、23:位置特定装置、200:ネットワーク、30:PSAP、71:CPU、72:ROM、73:RAM、74:HDD、75:通信I/F、81:通信部、82:受信部、83:UE位置管理部83、84:カメラ制御部、85:画像処理部、91:送信部、92:受信部、93:位置特定制御部