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特開2024-144882メラニン分解促進剤、色素沈着予防剤、及び肌の明度を改善する成分のスクリーニング方法
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  • 特開-メラニン分解促進剤、色素沈着予防剤、及び肌の明度を改善する成分のスクリーニング方法 図1
  • 特開-メラニン分解促進剤、色素沈着予防剤、及び肌の明度を改善する成分のスクリーニング方法 図2
  • 特開-メラニン分解促進剤、色素沈着予防剤、及び肌の明度を改善する成分のスクリーニング方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144882
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】メラニン分解促進剤、色素沈着予防剤、及び肌の明度を改善する成分のスクリーニング方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20241004BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241004BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 36/51 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 36/882 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 36/48 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 36/35 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 8/9794 20170101ALI20241004BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q19/00
A61P17/00
A61K36/51
A61K36/882
A61K36/185
A61K36/48
A61K36/35
A61K8/9794
A61Q19/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057047
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100196313
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】河野 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】山地 史哉
(72)【発明者】
【氏名】中山 和紀
(72)【発明者】
【氏名】水越 興治
【テーマコード(参考)】
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083BB51
4C083CC03
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE16
4C083FF01
4C088AB12
4C088AB13
4C088AB61
4C088AB67
4C088AC03
4C088AC04
4C088AC11
4C088BA08
4C088BA10
4C088CA06
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZC41
(57)【要約】
【課題】
本発明は、真皮中のメラニンの分解を促進する新規な組成物を提供することを、第1の課題とする。
【解決手段】
センブリ(Swertia japonica)エキス、ショウブ(Acorus calamus var. angustatus)根エキス、ハイビスカス(Hibiscus hybrids)エキス、ダイズ(Glycine max)種子エキス、セイヨウボダイジュ(Tilia ×europaea)エキス、又はセイヨウニワトコ(Sambucus nigra)花エキスから選ばれる1以上の成分を含む、真皮中のメラニンの分解促進剤。
【選択図】 なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センブリ(Swertia japonica)エキス、ショウブ(Acorus calamus var. angustatus)根エキス、ハイビスカス(Hibiscus hybrids)エキス、ダイズ(Glycine max)種子エキス、セイヨウボダイジュ(Tilia ×europaea)エキス、又はセイヨウニワトコ(Sambucus nigra)花エキスから選ばれる1以上の成分を含む、真皮中のメラニンの分解促進剤。
【請求項2】
少なくともセンブリ(Swertia japonica)エキス及び/又はショウブ(Acorus calamus var. angustatus)根エキスを含む、請求項1に記載の真皮中のメラニンの分解促進剤。
【請求項3】
化粧料である、請求項1又は2に記載の真皮中のメラニンの分解促進剤。
【請求項4】
センブリエキス(Swertia japonica)、ショウブ(Acorus calamus var. angustatus)根エキス、ハイビスカス(Hibiscus hybrids)エキス、ダイズ(Glycine max)種子エキス、セイヨウボダイジュ(Tilia ×europaea)エキス、又はセイヨウニワトコ(Sambucus nigra)花エキスから選ばれる1以上の成分を含む、非表在性色素沈着部位の真皮における色素沈着の予防及び/又は改善剤。
【請求項5】
少なくともセンブリエキス(Swertia japonica)及び/又はショウブ(Acorus calamus var. angustatus)根エキスを含む、請求項4に記載の非表在性色素沈着部位の真皮における色素沈着の予防及び/又は改善剤。
【請求項6】
化粧料である、請求項4又は5に記載の非表在性色素沈着部位の真皮における色素沈着の予防及び/又は改善剤。
【請求項7】
マクロファージによるメラニンの分解速度を指標とする、非表在性色素沈着部位の肌の明度の低下を予防及び/又は改善する成分のスクリーニング方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真皮中のメラニンの分解を促進する組成物に関する。また、非表在性色素沈着部位の真皮における色素沈着を予防及び/又は改善する組成物にも関する。さらにまた、一見してシミがない(顕著な色素沈着がない)部位の肌の明度を改善する成分のスクリーニング方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
顔に表出するシミ等の色素沈着は、表皮に存在するメラニンだけではなく、真皮に存在するメラニンも原因となることもあった。
表皮に存在するメラニンに起因するシミは、皮膚のターンオーバーの促進やメラニン生成の抑制、メラニンの酸化抑制等により、比較的容易に改善することができるが、真皮に存在するメラニンに起因するシミは、これらの方法では改善することができなかった。
【0003】
ところで、生体内における真皮のメラニンの除去には、マクロファージが関与することが知られている。
そこで従来から、真皮に存在するメラニンを分解させるために、マクロファージに働きかける組成物やそのスクリーニング方法が、種々開発されてきた。
例えば特許文献1には、有色米ヌカ抽出物を含むマクロファージ誘引活性化剤が記載されている。
また例えば特許文献2には、(1)メラノソームを線維芽細胞に添加する工程と、(2)前記線維芽細胞がメラノソームを取り込むことに起因して、当該細胞中の発現量が増加する遺伝子及び/又はタンパク質を選択する工程と、(3)(2)の工程で選択されたものの内、マクロファージの誘引が既知である遺伝子及び/又はタンパク質を選択する工程と、(4)(3)の工程で選択した遺伝子及び/又はタンパク質の発現量を指標として、発現促進効果のある被験物質を選定する工程を含んでなる、真皮シミ予防・改善剤及び/マクロファージ誘引剤のスクリーニング方法が記載されている。
ただし、特許文献1に記載されたマクロファージ誘引活性化剤や、特許文献2に記載された方法でスクリーニングされた成分は、マクロファージを誘引する作用があることが示されているが、マクロファージの貪食作用を亢進し、これによりメラニン分解を促進することについては、確認されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-63219号公報
【特許文献2】特開2018-72098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
真皮に存在するメラニンは、上記の通り改善しにくいシミの原因となるほか、炎症性色素沈着など、シミ以外のメラニンに起因する色素沈着の原因ともなっていた。
しかし表皮に存在するメラニンとは異なり、真皮に存在するメラニンは除去しにくいものであり、真皮に存在するメラニンを除去できる組成物が求められていた。
【0006】
そこで本発明は、真皮中のメラニンの分解を促進する新規な組成物を提供することを、第1の課題とする。
【0007】
本発明者らは鋭意研究の結果、真皮に存在するメラニンは、改善しにくいシミ等の原因になるのみならず、表皮には顕著な色素沈着(シミ)が存在しないが、真皮には色素沈着(シミ)が存在する部位(以下、非表在性色素沈着部位という)における肌の明度の低下の原因になることを発見した。
すなわち、表皮にはメラニンによる色素沈着部位が存在しなくても、真皮のメラニンに起因して色素沈着が生じることにより、肌の明度の低下が引き起こされることを、本発明者らは明らかにした。
【0008】
そこで本発明は、上記発見に基づき、非表在性色素沈着部位の真皮における色素沈着を予防することができる組成物を提供することを、第2の課題とする。
また本発明は、上記発見に基づき、非表在性色素沈着部位の肌の明度を改善する成分のスクリーニング方法を提供することを、第3の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記第1の課題を解決する本発明は、センブリ(Swertia japonica)エキス、ショウブ(Acorus calamus var. angustatus)根エキス、ハイビスカス(Hibiscus hybrids)エキス、ダイズ(Glycine max)種子エキス、セイヨウボダイジュ(Tilia ×europaea)エキス、又はセイヨウニワトコ(Sambucus nigra)花エキスから選ばれる1以上の成分を含む、真皮中のメラニンの分解促進剤である。
本発明の好ましい形態では、少なくともセンブリ(Swertia japonica)エキス及び/又はショウブ(Acorus calamus var. angustatus)を含む。
本発明によれば、マクロファージによる真皮中のメラニンの分解を促進することができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、上記真皮中のメラニンの分解促進剤は、化粧料である。
【0011】
上記第2の課題を解決する本発明は、センブリ(Swertia japonica)エキス、ショウブ(Acorus calamus var. angustatus)根エキス、ハイビスカス(Hibiscus hybrids)エキス、ダイズ(Glycine max)種子エキス、セイヨウボダイジュ(Tilia ×europaea)エキス、又はセイヨウニワトコ(Sambucus nigra)花エキスから選ばれる1以上の成分を含む、非表在性色素沈着部位の真皮における色素沈着の予防及び/又は改善剤である。
本発明の好ましい形態では、少なくともセンブリ(Swertia japonica)エキス及び/又はショウブ(Acorus calamus var. angustatus)を含む。
本発明によれば、マクロファージによる真皮中のメラニンの分解を促進することにより、非表在性色素沈着部位の真皮における色素沈着を予防及び/又は改善することができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、上記非表在性色素沈着部位の真皮における色素沈着の予防及び/又は改善剤は、化粧料である。
【0013】
上記第3の課題を解決する本発明は、マクロファージによるメラニンの分解速度を指標とする、非表在性色素沈着部位の肌の明度の低下を予防及び/又は改善する成分のスクリーニング方法である。
本発明によれば、非表在性色素沈着部位の肌の明度の低下を予防及び/又は改善する成分をスクリーニングすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、マクロファージによる真皮中のメラニンの分解を促進することができる。
また本発明によれば、マクロファージによる真皮中のメラニンの分解を促進することにより、非表在性色素沈着部位の真皮における色素沈着を予防及び/又は改善することができる。
さらにまた本発明によれば、非表在性色素沈着部位の肌の明度の低下を予防及び/又は改善する成分をスクリーニングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】試験例1において、コントロール群における吸光度の変化量を1としたときの、エキス添加群の吸光度の変化を表すグラフである。
図2】試験例2において、貪食ピーク時及び貪食ピーク6時間後における、コントロール群とエキス添加群の顕微鏡写真である。
図3】試験例2において、貪食ピーク6時間後における、コントロール群の吸光度の変化量を1としたときの、エキス添加群の吸光度の変化を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の真皮中のメラニンの分解促進剤は、センブリ(Swertia japonica)エキス、ショウブ(Acorus calamus var. angustatus)根エキス、ハイビスカス(Hibiscus hybrids)エキス、ダイズ(Glycine max)種子エキス、セイヨウボダイジュ(Tilia ×europaea)エキス、又はセイヨウニワトコ(Sambucus nigra)花エキスから選ばれる1以上の成分を含む。
本発明の好ましい形態では、少なくともセンブリ(Swertia japonica)エキス及び/又はショウブ(Acorus calamus var. angustatus)根エキスを含む。
本発明によれば、マクロファージによる貪食作用を亢進し、真皮に存在するメラニンの分解を促進することができる。
以下本明細書では、各植物の学名は省略して記載する。
【0017】
本発明において使用する抽出物は、各植物由来の抽出物自体のみならず、これらの抽出物の画分、精製した画分、抽出物乃至は画分、精製物の溶媒除去物の総称を意味するものとする。また各植物由来の抽出物は、自生若しくは生育された植物、漢方生薬原料等として販売されるものを用いた抽出物、市販されている抽出物等を利用することができる。
センブリエキス、ハイビスカスエキス、セイヨウボダイジュエキス、及びセイヨウニワトコ花エキスを植物から抽出する場合、その抽出操作は、植物部位の全草を用いるほか、植物体、地上部、根茎部、木幹部、葉部、茎部、花穂、花蕾等の部位を使用することできる。またショウブ根エキスはショウブの根を用いて、ダイズ種子エキスはダイズの種子を用いて抽出操作を行う。使用する植物部位はそのまま抽出操作に供してもよく、予めこれらを粉砕あるいは細切して抽出効率を向上させることが好ましい。
抽出溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、1,3-ブタンジオール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等の極性溶媒から選択される1種乃至は2種以上が好適なものとして例示することができる。抽出溶媒としては、水、アルコール類又は水及びアルコール類の混合物を採用することが好ましい。
【0018】
上記エキスの具体的な抽出方法としては、例えば、植物体等の抽出に用いる部位乃至はその乾燥物1質量に対して、溶媒を1~30質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬し、室温まで冷却した後、所望により不溶物及び/又は溶媒除去し、カラムクロマトグラフィー等で分画精製する方法が挙げられるが、抽出方法はこれに限定されない。
【0019】
本発明の真皮中のメラニンの分解促進剤は、製剤化に用いられる任意の成分と適宜組み合わせて任意の剤型を採ることができる。
本発明の好ましい形態では、化粧料である。その他、医薬部外品、皮膚外用医薬品などの皮膚外用剤とすることができる。
【0020】
本発明の真皮中のメラニンの分解促進剤が化粧料である場合、その形態は特に制限されず、例えば、洗顔料、クレンジング剤、化粧水、美容液、乳液、クリーム、ジェル、サンケア品等の形態が好ましい。また、フェイスパックのような形態とすることもできる。
真皮中のメラニンを分解するという本発明の効果をより発揮するためには、化粧料の中でも継続的に使用するもの、例えば化粧水、乳液、美容液、クリームのような、いわゆる基礎化粧品であることが好ましい。
【0021】
本発明の真皮中のメラニンの分解促進剤が皮膚外用剤(好ましくは化粧料)である場合、上記エキスの含有量(乾燥重量)は、0.00001質量%以上であり、好ましくは0.0001質量%以上であり、より好ましくは0.001質量%以上であり、さらに好ましくは0.01質量%以上であり、さらにより好ましくは0.1質量%以上である。
また、通常80質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
上記範囲とすることで、マクロファージの貪食作用を亢進することにより、真皮に存在するメラニンの分解を促進することができる。
なお、センブリエキス、ショウブ根エキス、ハイビスカスエキス、ダイズ種子エキス、セイヨウボダイジュエキス、及びセイヨウニワトコ花エキスから選ばれる2種以上のエキスを含む皮膚外用剤である場合、各エキスの含有量の合計が、上記数値範囲内にあればよい。
【0022】
上記エキスを化粧料に配合する場合、真皮中のメラニン分解促進作用効果を損ねない範囲で、美白成分(ただし、真皮中のメラニン分解を促進することにより美白を実現するものを除く)、しわ改善成分、抗炎症成分、センブリエキス、ショウブ根エキス、ハイビスカスエキス、ダイズ種子エキス、セイヨウボダイジュエキス、及びセイヨウニワトコ花エキス以外の動植物由来の抽出物、有効成分以外に通常化粧料で使用される成分を、任意成分として配合してもよい。
これらの任意成分は、市販されているものを入手して配合してもよく、公知の方法で合成したものを配合してもよい。また、各任意成分は、2以上の効果(例えば、美白効果としわ改善効果)を有していてもよい。
【0023】
美白成分としては、一般的に化粧料で用いられている成分を、特に制限なく使用することができる。ただし、真皮中のメラニン分解を促進することにより美白を実現するものを除く。
例えば、4-n-ブチルレゾルシノール、アスコルビン酸グルコシド、3-О-エチルアスコルビン酸、トラネキサム酸、アルブチン、1-トリフェニルメチルピペリジン、1-トリフェニルメチルピロリジン、2-(トリフェニルメチルオキシ)エタノール、2-(トリフェニルメチルアミノ)エタノール、2-(トリフェニルメチルオキシ)エチルアミン、トリフェニルメチルアミン、トリフェニルメタノール、トリフェニルメタン及びアミノジフェニルメタン、N-(o-トルオイル)システイン酸、N-(m-トルオイル)システイン酸、N-(p-トルイル)システイン酸、N-(p-メトキシベンゾイル)システイン酸、N-ベンゾイル-セリン、N-(p-メチルベンゾイル)セリン、N-(p-エチルベンゾイル)セリン、N-(p-メトキシベンゾイル)セリン、N-(p-フルオロベンゾイル)セリン、N-(p-トリフルオロメチルベンゾイル)セリン、N-(2-ナフトイル)セリン、N-(4-フェニルベンゾイル)セリン、N-(p-メチルベンゾイル)セリンメチルエステル、N-(p-メチルベンゾイル)セリンエチルエステル、N-(2-ナフトイル)セリンメチルエステル、N-ベンゾイル-O-メチルセリン、N-(p-メチルベンゾイル)-O-メチルセリン、N-(p-メチルベンゾイル)-O-アセチルセリン、N-(2-ナフトイル)-O-メチルセリン、デクスパンテノールW、ナイアシンアミド等が挙げられる。
【0024】
化粧料における任意成分としての上記美白成分の含有量は、通常0.0001~30質量%であり、0.001~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましい(抽出物の場合は乾燥質量)。
【0025】
しわ改善成分としては、一般的に化粧料で用いられている成分を、特に制限なく使用することができる。
例えば、ビタミンA又はその誘導体としてレチノール、レチナール、レチノイン酸、トレチノイン、イソトレチノイン、レチノイン酸トコフェロール、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノールが挙げられる。また、ウルソール酸ベンジルエステル、ウルソール酸リン酸エステル、ベツリン酸ベンジルエステル、ベンジル酸リン酸エステル、三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸ナトリウム、ナイアシンアミド等が挙げられる。
【0026】
化粧料におけるしわ改善成分の含有量は、通常0.0001~30質量%であり、0.001~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましい(抽出物の場合は乾燥質量)。
【0027】
抗炎症成分としては、例えば、クラリノン、グラブリジン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、パントテニルアルコール、ナイアシンアミド、トラネキサム酸等が挙げられ、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸アルキル及びその塩、並びに、グリチルレチン酸及びその塩が好ましく挙げられる。
化粧料中における抗炎症成分の含有量は、通常0.01~30質量%であり、0.1~10質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい(抽出物の場合は乾燥質量)。
【0028】
センブリエキス、ショウブ根エキス、ハイビスカスエキス、ダイズ種子エキス、セイヨウボダイジュエキス、及びセイヨウニワトコ花エキス以外の植物由来の抽出物としては、例えば、アケビエキス、アスナロエキス、アスパラガスエキス、アッケシソウエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アーモンドエキス、アルニカエキス、アロニアエキス、アンズエキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウドエキス、エゾウコギエキス、エンメイソウエキス、オウバクエキス、オタネニンジンエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、カキョクエキス、カッコンエキス、カミツレエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、カンゾウエキス、キウイエキス、キューカンバーエキス、グアバエキス、クマザサエキス、クルミエキス、黒米エキス、クロレラエキス、クワエキス、ケイケットウエキス、ゲットウヨウエキス、ゲンチアナエキス、コメエキス、コメ発酵エキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンシャエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、ショウキョウエキス、スギナエキス、ステビアエキス、ステビア発酵物、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、ソウハクヒエキス、ダイオウエキス、タイソウエキス、タンポポエキス、チョウジエキス、トウガラシエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、バーチエキス、ハマメリスエキス、ヒキオコシエキス、ヒノキエキス、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ヘチマエキス、ペパーミントエキス、パウダルコエキス、マツエキス、ミズバショウエキス、メリッサエキス、モズクエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユリエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、ルイボス茶エキス、レイシエキス、レタスエキス、レンギョウエキス、レンゲソウエキス、ローズマリーエキス、ワレモコウエキス等のエキスが好ましいものとして挙げられる。
【0029】
化粧料中における上記センブリエキス、ショウブ根エキス、ハイビスカスエキス、ダイズ種子エキス、セイヨウボダイジュエキス、及びセイヨウニワトコ花エキス以外の植物由来抽出物の含有量(乾燥質量)は、通常0.01~30質量%であり、0.1~10質量%が好ましく、0.3~3質量%がより好ましい。
【0030】
有効成分以外に通常化粧料で使用される成分としては、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、ルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2-ペンタンジオール、2,4-ヘキシレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール等のポリオール、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE-ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE-グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2-オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック(登録商標)型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2-デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、表面処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面処理されていても良い、酸化コバルト、群青、紺青、酸化亜鉛の無機顔料類、表面処理されていても良い、酸化鉄二酸化チタン焼結体等の複合顔料、表面処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α-トコフェロール,β-トコフェロール,γ-トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類が挙げられる。
【0031】
また本発明に係る真皮中のメラニン分解促進剤は、センブリエキス、ショウブ根エキス、ハイビスカスエキス、ダイズ種子エキス、セイヨウボダイジュエキス、及びセイヨウニワトコ花エキスのうち食用可能なエキスのみを含む場合には、経口剤としてもよい。
経口剤とする場合、上記エキスの含有量は、剤形に応じて、1回あたりの摂取量が抽出物の乾燥質量として、0.1mg以上であり、好ましくは1mg以上であり、より好ましくは10mg以上である。
また、通常、2000mg以下、好ましくは1000mg以下、より好ましくは500mg以下である。
なお、センブリエキス、ショウブ根エキス、ハイビスカスエキス、ダイズ種子エキス、セイヨウボダイジュエキス、及びセイヨウニワトコ花エキスから選ばれる2種以上のエキスを含む経口剤である場合、各エキスの含有量の合計が、上記数値範囲内にあればよい。
【0032】
また本発明は、、センブリエキス、ショウブ根エキス、ハイビスカスエキス、ダイズ種子エキス、セイヨウボダイジュエキス、及びセイヨウニワトコ花エキスから選ばれる1以上の成分を含む、非表在性色素沈着部位の真皮における色素沈着の予防及び/又は改善剤にも関する。
上記の通り、上記エキスは、マクロファージによる貪食作用を亢進し、真皮に存在するメラニンの分解を促進する。
そして本発明者らは、非表在性色素沈着部位における肌の明度の低下の原因の1つが、非表在性色素沈着部位の真皮に存在するメラニンであることを発見した。
これらを合わせて考えると、センブリエキス、ショウブ根エキス、ハイビスカスエキス、ダイズ種子エキス、セイヨウボダイジュエキス、及びセイヨウニワトコ花エキスを含む組成物は、非表在性色素沈着部位における肌の明度の低下を予防及び/又は改善することができるといえる。
すなわち本発明に係る色素沈着の予防及び/又は改善剤は、マクロファージの貪食作用を亢進し、真皮中のメラニン分解を促進することにより、非表在性色素沈着部位における肌の明度の低下を予防及び/又は改善することができる。
【0033】
なお本発明において、「肌の明度を改善する」とは、使用者の肌の明度を、本来の肌の明度に近づけることを意味する。また「肌の明度の低下を予防する」とは、使用者の肌の明度が本来の肌の明度と比較して低下しないようにすることを意味する。
すなわち、本発明における「肌の明度を改善する」又は「肌の明度の低下を予防する」とは、使用者の肌色を白くすることとは異なる。
【0034】
また、非表在性色素沈着部位は、上記の通り表皮にはメラニンによる顕著な色素沈着が生じていないため、一見してシミのない肌に見える。
しかし、非表在性色素沈着部位の真皮にメラニンが存在する場合には、当該メラニンによる色素沈着に起因して、表皮にも真皮にもメラニンが存在しない部位や、非表在性色素沈着部位であってもメラニンの存在量が相対的に少ない部位と比較して、明度は低下している。
【0035】
また上記の通り、本発明に係る色素沈着の予防及び/又は改善剤は、真皮中のメラニンを分解することにより色素沈着を予防及び/又は改善するものであり、表皮におけるターンオーバーの促進又は改善、メラニン生成の抑制、あるいはメラニンの酸化抑制によりシミ(色素沈着)を予防及び/又は改善する組成物とは異なるものである。
【0036】
また本発明は、マクロファージによるメラニンの分解速度を指標とする、非表在性色素沈着部位の肌の明度の低下を予防及び/又は改善する成分のスクリーニング方法にも関する。
上記の通り、マクロファージによる貪食作用が亢進すると、真皮中のメラニンの分解が促進される。上記の通り真皮中のメラニンの存在と、非表在性色素沈着部位の明度との間には関連があることが、本発明者らによって発見されているから、マクロファージによるメラニンの分解速度を観察することによって、非表在性色素沈着部位における肌の明度の低下を予防及び/又は改善することができる成分をスクリーニングすることができる。
【0037】
本発明の好ましい形態では、対照試料におけるマクロファージによるメラニンの分解速度と比較して、被験物質添加試料におけるマクロファージによるメラニンの分解速度が向上している場合に、当該被験物質は、非表在性色素沈着部位の肌の明度の低下を予防及び/又は改善する成分であると判断する。
また本発明の別の好ましい形態では、一定時間中において、対照試料におけるマクロファージによるメラニンの分解量と比較して、被験物質添加試料におけるマクロファージによるメラニンの分解量が増加している場合に、当該被験物質は、非表在性色素沈着部位の肌の明度の低下を予防及び/又は改善する成分であると判断する。
上記判断は、例えば、必要に応じて前培養したマクロファージを含む適当な培地に、市販のメラニン溶液を添加し、一定時間経過後におけるメラニンの量を定量することにより、判断することができる。
【0038】
本発明に係るスクリーニング方法において、メラニンの分解速度及びメラニンの分解量は、適宜公知の方法で観察し定量することができる。
【0039】
本発明に係るスクリーニング方法において、被験物質の種類は特に制限されず、市販の化合物、公知化合物、動植物由来の抽出物等を例示することができる。また動植物由来の抽出物は、分画や精製、溶媒除去等がされたものでもよい。さらにまた植物由来の抽出物は、自生若しくは生育された植物、漢方生薬原料等として販売されるものを用いた抽出物、市販されている抽出物等を挙げることができる。
【実施例0040】
以下、実施例を参照して本願発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は、以下の実施例に限定されない。
【0041】
<試験例1>
本試験例では、センブリエキス、ショウブ根エキス、ハイビスカスエキス、ダイズ種子エキス、セイヨウボダイジュエキス、及びセイヨウニワトコ花エキスによるメラニン分解の促進効果を確認した。
【0042】
ヒト単球由来M2マクロファージ(タカラバイオ株式会社)を96wellプレートに播種し、公知のマクロファージの培養条件で24時間培養後、溶媒コントロール(コントロール群)または植物エキス含有培地(エキス添加群)を添加した。その後0.04質量%メラニン溶液を、終濃度が0.01質量%となるように添加し、公知のマクロファージの培養条件で再度24時間培養した。2回目の培養後のプレートに対して、405nmの吸光度を測定し、分解されずに残ったメラニン量を定量した。
コントロール群及びエキス添加群では、共通してMacrophage Base Medium XF(PromoCell社)を使用した。また溶媒コントロール群における溶媒は、各エキスの抽出溶媒と同じ溶媒(純度99.5%のエタノール(富士フィルム和光純薬株式会社)又は1,3-ブチレングリコール(株式会社ダイセル))を、下記表1に記載した各エキスの抽出溶媒と同濃度になるように希釈して調製した。
また植物エキスは、下記表1に記載のエキスを、抽出溶媒も含めたエキス全体が、培地に対して終濃度が0.1質量%となるように添加した。各エキスは、市販されているものを使用した。
【0043】
【表1】
【0044】
2回目の培養後のプレートにおいて、コントロール群の405nmの吸光度を1としたときの、各エキス添加群の吸光度を算出した。
算出結果を図1に示す。
【0045】
図1に示された通り、表1に記載のすべてのエキスは、コントロール群よりも405nmにおける吸光度が減少していた。特に、センブリエキス(エキス1)とショウブ根エキス(エキス3)は、他の植物エキスよりも吸光度の減少度合が高かった。
本試験例の結果から、表1に記載のエキスによって、マクロファージの貪食作用が亢進され、これによりメラニン分解が促進されることが示唆された。
特に、センブリエキスとショウブ根エキスは、マクロファージの貪食作用の亢進効果が高く、真皮におけるメラニン分解促進効果が高いことが示唆された。
【0046】
<試験例2>
本試験例では、植物エキスがマクロファージの貪食作用を亢進し、メラニン分解が促進されることを確認した。
【0047】
試験例1と同じマクロファージを96wellプレートに播種し、公知の条件で24時間培養した。次に、0.1%CellMask溶液を添加し、細胞膜を染色した。次に、溶媒コントロール(コントロール群)または植物エキス含有培地(エキス添加群)と、0.04質量%メラニン溶液を、終濃度が0.01質量%となるように加えた。
植物エキスとしては、センブリエキスとショウブ根エキスの混合エキスを使用し、それぞれのエキスの培地に対する終濃度が抽出溶媒を含めて0.1質量%ずつとなるように(混合エキスとしての終濃度は培地に対して抽出溶媒を含めて0.2質量%)、培地に添加した。培地としては、試験例1と同じものを使用した。
メラニン溶液を添加したマクロファージを37℃、5%CO環境下で培養しながら、同じ細胞を経時的に共焦点レーザー顕微鏡システムA1+(Nikon)で観察し、メラニン貪食ピーク時における顕微鏡画像と、ピークから6時間後における顕微鏡画像をそれぞれ取得した。
Image Jを用いて、取得した顕微鏡画像を二値化し、細胞中に含まれるメラニン量を定量した。具体的には、まず、マクロファージの細胞膜を適当な公知の蛍光色素で染色し、上記共焦点レーザー顕微鏡システムA1+で撮影した。その後、蛍光画像から細胞面積を、明視野画像の二値化画像からメラニン面積をそれぞれ算出し、メラニン面積を細胞面積で除した値(細胞面積に占めるメラニン面積の割合)をメラニン量とした。これを、メラニン貪食ピーク時と、ピークから6時間後にそれぞれ行った。
【0048】
コントロール群とエキス添加群の培地及びコントロール群における溶媒は、試験例1と同様にして調製した。
結果を図2及び図3に示す。図2は、内部にメラニンを取り込んだマクロファージを撮影した写真であり、点線がマクロファージの外延を示す。図3は、メラニン貪食ピーク時におけるメラニン量を1としたときの、ピークから6時間後におけるメラニン量を示す。
【0049】
図2図3に示された通り、コントロール群においては、メラニン貪食ピーク時のメラニン量と、ピークから6時間後のメラニン量は、あまり減少していなかった。
これに対し、エキス添加群においては、メラニン貪食ピーク時のメラニン量と比較して、ピークから6時間後のメラニン量が、コントロール群よりも顕著に減少していた。
以上の結果から、上記植物エキスは、マクロファージの貪食作用を亢進し、メラニン分解を促進することが確認された。
また上記した事項とあわせると、上記植物エキスは、マクロファージの貪食作用を亢進し、真皮中のメラニン分解を促進することが示唆された。
【0050】
試験例1、試験例2の結果をあわせると、本願発明に係る真皮中のメラニンの分解促進剤は、少なくともセンブリエキス及び/又はショウブ根エキスを含むことが好ましいことが示唆された。
【0051】
また上記の通り、本発明者らは、非表在性色素沈着部位の真皮にメラニンが存在することで、真皮において色素沈着を引き起こし、肌の明度を低下させることを明らかにしている。
試験例1、試験例2の結果とあわせると、本発明は、非表在性色素沈着部位のメラニンを分解することにより、真皮における色素沈着を予防及び/又は改善することが示唆された。また非表在性色素沈着部位の真皮中のメラニンを分解し、真皮における色素沈着を予防及び/又は改善することにより、非表在性色素沈着部位の肌の明度の低下を予防し、又は明度を改善することができることが示唆された。
【0052】
さらにまた試験例2の結果から、マクロファージによるメラニンの分解速度を指標として、非表在性色素沈着部位の肌の明度の低下を予防及び/又は改善する成分をスクリーニングすることができることが示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明によれば、マクロファージによる真皮中のメラニンの分解を促進することができる。
また本発明によれば、マクロファージによる真皮中のメラニンの分解を促進することにより、非表在性色素沈着部位の真皮における色素沈着を予防及び/又は改善することができる。
さらにまた本発明によれば、非表在性色素沈着部位の肌の明度の低下を予防及び/又は改善する成分をスクリーニングすることができる。

図1
図2
図3