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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144886
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】筆記具の組立装置及び組立方法
(51)【国際特許分類】
   B43K 8/03 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
B43K8/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057054
(22)【出願日】2023-03-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 工場見学の実施日:令和4(2022)年10月7日、同月13日、同月26日、11月7日、令和5(2023)年2月13日、同月27日、3月3日、同月9日、同月15日、同月24日 工場の場所:シヤチハタエンジニアリング株式会社山形工場(山形県山形市くぬぎざわ西2番1)
(71)【出願人】
【識別番号】390017891
【氏名又は名称】シヤチハタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】230117259
【弁護士】
【氏名又は名称】綿貫 敬典
(72)【発明者】
【氏名】東海林 達也
【テーマコード(参考)】
2C350
【Fターム(参考)】
2C350GA04
2C350KC12
2C350NE01
2C350NE02
(57)【要約】
【課題】筆記具本体にペン芯ホルダを嵌合させる際に、吸収体が押し潰れることをなくした筆記具の組立装置及び組立方法を提供すること。
【解決手段】筆記具本体10に吸収体11をその一部が突出するように挿入した状態で、吸収体11にペン芯ホルダ12を係止し、その後にペン芯ホルダ12を吸収体11とともに筆記具本体10の内部に押し込み嵌合させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の筆記具本体と、その内部に挿入された吸収体と、前記筆記具本体の開口端部に嵌合されたペン芯ホルダと、該ペン芯ホルダの内部に挿入されたペン芯とからなる筆記具の組立装置であって、
前記筆記具本体に前記吸収体をその一部が突出するように挿入する吸収体挿入手段と、
前記筆記具本体の端部から突出した前記吸収体を固定する吸収体固定手段と、
固定された前記吸収体の端部に前記ペン芯ホルダを係止するペン芯ホルダ係止手段と、
前記ペン芯ホルダを前記吸収体とともに前記筆記具本体の内部に押し込み嵌合させる嵌合手段と、を備えることを特徴とする筆記具の組立装置。
【請求項2】
前記吸収体挿入手段が、挿入される前記吸収体に摩擦力を付与する摩擦力付与手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の筆記具の組立装置。
【請求項3】
前記摩擦力付与手段が、前記吸収体の側面を押圧する回転式ローラであることを特徴とする請求項2に記載の筆記具の組立装置。
【請求項4】
中空の筆記具本体と、その内部に挿入された吸収体と、前記筆記具本体の開口端部に嵌合されたペン芯ホルダと、該ペン芯ホルダの内部に挿入されたペン芯とからなる筆記具の組立方法であって、
前記筆記具本体に前記吸収体をその一部が突出するように挿入した状態で、前記吸収体に前記ペン芯ホルダを係止し、
その後に前記ペン芯ホルダを前記吸収体とともに前記筆記具本体の内部に押し込み嵌合させることを特徴とする筆記具の組立方法。
【請求項5】
前記ペン芯ホルダを前記筆記具本体の内部に押し込み嵌合させた後に、前記ペン芯を挿入することを特徴とする請求項4に記載の筆記具の組立方法。
【請求項6】
前記筆記具本体の内部に押し込み嵌合させる前記ペン芯ホルダに、予め前記ペン芯を挿入しておくことを特徴とする請求項4に記載の筆記具の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具の組立装置及び組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
中空の筆記具本体と、その内部に挿入されたインクの吸収体と、筆記具本体の開口端部に嵌合されたペン芯ホルダと、ペン芯ホルダの内部に挿入されたペン芯とからなる筆記具は、特許文献1に示すように古くから知られている。
【0003】
このような構造の筆記具を組み立てるには、インクを吸収させた吸収体を中空の筆記具本体の内部に挿入した後、筆記具本体の開口部にペン芯ホルダを押し込んで嵌合させ、更にペン芯をペン芯ホルダに挿入する方法が取られてきた。ところが、筆記具本体の開口部にペン芯ホルダを押し込む際に軟質の吸収体が押し潰されることがあった。吸収体が押し潰されるとペン芯との接触が不十分となり、ペン芯へのインクの供給がうまく行われなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7-5778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は上記した従来の問題を解決し、筆記具本体にペン芯ホルダを嵌合させる際に、吸収体が押し潰れることをなくした筆記具の組立装置及び組立方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた本発明の筆記具の組立装置は、中空の筆記具本体と、その内部に挿入された吸収体と、前記筆記具本体の開口端部に嵌合されたペン芯ホルダと、該ペン芯ホルダの内部に挿入されたペン芯とからなる筆記具の組立装置であって、前記筆記具本体に前記吸収体をその一部が突出するように挿入する吸収体挿入手段と、前記筆記具本体の端部から突出した前記吸収体を固定する吸収体固定手段と、固定された前記吸収体の端部に前記ペン芯ホルダを係止するペン芯ホルダ係止手段と、前記ペン芯ホルダを前記吸収体とともに前記筆記具本体の内部に押し込み嵌合させる嵌合手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0007】
なお、前記吸収体挿入手段が、挿入される前記吸収体に摩擦力を付与する摩擦力付与手段を備えていることが好ましく、前記摩擦力付与手段が、前記吸収体の側面を押圧する回転式ローラであることが好ましい。
【0008】
また上記の課題を解決するためになされた本発明の筆記具の組立方法は、中空の筆記具本体と、その内部に挿入された吸収体と、前記筆記具本体の開口端部に嵌合されたペン芯ホルダと、該ペン芯ホルダの内部に挿入されたペン芯とからなる筆記具の組立方法であって、前記筆記具本体に前記吸収体をその一部が突出するように挿入した状態で、前記吸収体に前記ペン芯ホルダを係止し、その後に前記ペン芯ホルダを前記吸収体とともに前記筆記具本体の内部に押し込み嵌合させることを特徴とするものである。
【0009】
なお、前記ペン芯ホルダを前記筆記具本体の内部に押し込み嵌合させた後に、前記ペン芯を挿入する方法、あるいは、前記筆記具本体の内部に押し込み嵌合させる前記ペン芯ホルダに、予め前記ペン芯を挿入しておく方法を採用することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ペン芯ホルダを吸収体とともに筆記具本体の内部に押し込み嵌合させるので、筆記具本体にペン芯ホルダを嵌合させる際に、吸収体が押し潰れるトラブルをなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】組立てられた筆記具の中央縦断面図である。
図2】実施形態の筆記具の組立方法を説明するフローチャートである。
図3】実施形態の筆記具の組立ラインの一部を平面視で概略的に示した模式図である。
図4】実施形態の筆記具の組立ラインの一部を側面視で概略的に示した模式図である。
図5】実施形態の吸収体挿入ユニットの部分拡大断面図である。なお、吸収体が筆記具本体に挿入された状態を示している。
図6】実施形態の吸収体挿入ユニットに設けられたワーク保持ユニットの中央縦断面図である。
図7】実施形態の吸収体挿入ユニットに設けられたワーク保持ユニットの底面図である。
図8】実施形態のペン芯ホルダ係止ユニットの部分拡大断面図である。
図9】実施形態のペン芯ホルダ圧入ユニットの部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(筆記具)
以下に本発明の実施形態を説明するが、まず、組立てられた筆記具1の構造を示す。
図1はこの筆記具1の中央縦断面図であり、中空の筆記具本体10の内部に細長円筒状の吸収体11が挿入されている。吸収体11は多孔質であり、インクを含浸させてある。筆記具本体10の開口端部にはペン芯ホルダ12が嵌合されている。ペン芯ホルダ12は中心孔を備え、その内部にペン芯13が挿入されている。ペン芯13の一端は吸収体11に差し込まれている。ペン芯ホルダ12とペン芯13はキャップ14で覆われている。なお、本明細書では、図1に示す筆記具1の軸線方向Dにおいて、ペン芯13側を前側、ペン芯13側と反対側を後側とする。
【0013】
(組立フロー)
次に、筆記具1の組立方法の概略を説明する。図2に示されるように、本実施形態に係る筆記具1の組立方法は、製造ライン上に筆記具本体10を供給する本体供給工程S1と、供給された筆記具本体10に吸収体11を挿入する吸収体挿入工程S2と、吸収体11にペン芯ホルダ12を係止するペン芯ホルダ係止工程S3と、ペン芯ホルダ12を吸収体11とともに筆記具本体10の内部に圧入し嵌合させるペン芯ホルダ圧入工程S4と、筆記具本体10に嵌合されたペン芯ホルダ12にペン芯13を挿入し圧入するペン芯挿入・圧入工程S5と、筆記具本体10にキャップ14を被せるキャップ係止・圧入工程S6と、完成した筆記具1を排出する完成品排出工程S7とを含む。
【0014】
(組立装置)
次に、実施形態における筆記具1の組立装置の概略を説明する。本実施形態の筆記具の組立装置は、筆記具1の各部材が自動供給される自動組立装置の一部を構成するものである。図3に示されるように、実施形態の筆記具1の組立装置は、筆記具本体10を搬送する搬送部20を備えている。実施形態の搬送部20はウォーキングビーム(リフトアンドキャリー)形式の搬送装置である。
【0015】
図3に示されるように、実施形態の搬送部20は、筆記具本体10が供給され載置される固定ベース21と、固定ベース21に載置された筆記具本体10を持ち上げて水平方向に搬送するリフト部材22と、固定ベース21に載置された筆記具本体10の前後方向の移動を規制する製品ガイド23とを含む。実施形態の搬送部20は、リフト部材22を上昇・水平移動・下降させる図示しない駆動機構を備えている。
【0016】
実施形態の組立装置では、搬送部20に、上述した各組立工程に対応した組立ユニットが接続されている。以下、組立工程に沿って各組立ユニットの説明を行うが、本明細書では主に、図3及び図4に示される吸収体挿入工程S2~ペン芯挿入・圧入工程S5において用いられる組立ユニットについて詳しく述べる。
【0017】
(本体供給工程)
実施形態の本体供給工程S1では、図示しない本体供給ホッパーから搬送部20に筆記具本体10が供給される。図3に示されるように、固定ベース21に載置された筆記具本体10は、上方から本体押さえ部材R1によって押さえられ、かつ、後方から本体位置決めピン31によって押圧されて位置決めされる。実施形態では、位置決めされた筆記具本体10は、センサSEによってその有無が検知されたのち、吸収体挿入工程へ進む。なお、実施形態のセンサSEはファイバセンサであるが、センサの種類はこれに限定されない。
【0018】
(吸収体挿入工程及び吸収体挿入ユニット)
実施形態の吸収体挿入工程S2では、筆記具本体10の内部に吸収体11が挿入される。本発明の吸収体挿入工程S2では、図3に示されるように、筆記具本体10から吸収体11の一部が突出するようにして吸収体11が挿入される。
【0019】
吸収体11を筆記具本体10に挿入する吸収体挿入ユニット40について説明する。図4及び図5に示されるように、実施形態の吸収体挿入ユニット40は、吸収体ホッパー41と、吸収体受け治具42と、吸収体プッシャー43とを備えている。
【0020】
図5に示されるように、実施形態の吸収体ホッパー41は、固定ベース21(図示略)に載置された筆記具本体10の前側上方に位置している。吸収体ホッパー41は、図示しないインキタンクと接続されたインキ注入用のニードルNを挿入可能な構成としてもよい。実施形態の吸収体ホッパー41は、前後方向に進退可能なニードルNによって内部の吸収体11にインキが注入される構造となっている。
【0021】
インキが注入された吸収体11は、吸収体ホッパー41の下側に位置する吸収体受け治具42の上に供給される。実施形態の吸収体受け治具42の上面には前後方向にわたって断面半円形状の溝が形成されており、吸収体11はこの溝内に保持される。この溝の深さ寸法は吸収体11の直径より小さいことが好ましい。また、実施形態の吸収体受け治具42の後部上面には、図5に示されるように、筆記具本体10の前側の一部が、吸収体11と同軸となるように載置される。
【0022】
吸収体プッシャー43は、図4及び図5に示されるように、吸収体受け治具42上に保持された吸収体42を前方から後方へ押圧して筆記具本体10の内部に挿入する。実施形態の吸収体プッシャー43は、図示しないシリンダなどの駆動機構によって前後方向に進退可能な長尺の棒状部材である。吸収体プッシャー43の中心軸と、吸収体受け治具42上に載置された筆記具本体10及び吸収体11の中心軸は同軸である。
【0023】
なお、図5に示されるように、実施形態の吸収体挿入ユニット40はワークを押さえて安定させるためのワーク保持ユニット90を備えている。実施形態の吸収体挿入ユニット40に設けられたワーク保持ユニット90は、図5及び図6に示されるように、ユニット取付用のベース91と、ベース91に固定され圧縮空気によって作動するエアシリンダ92とを備えている。実施形態のワーク保持ユニット90は、吸収体受け治具42の後部の上方に設けられており、ワークである筆記具本体10及び吸収体11に対して上方から加圧することができる。
【0024】
図5及び図6に示されるように、実施形態のエアシリンダ92はガイド付きシリンダであり、ピストンロッド93と、ガイドロッド94、94と、ピストンロッド93及びガイドロッド94、94の下端に固定された第1プレート95と、第1プレート95の下面に固定された第2プレート96とを備えている。ガイドロッド94、94と、第1プレート95及び第2プレート96は、ピストンロッド93と一体となって昇降する。
【0025】
吸収体挿入ユニット40には、吸収体11が筆記具本体10に挿入されるときに吸収体11に摩擦力を付与することができる摩擦力付与手段が設けられていることが好ましい。実施形態の吸収体挿入ユニット40では、図5乃至図7に示されるように、吸収体11への摩擦力付与手段として加圧ローラ97が設けられている。実施形態の加圧ローラ97は、第2プレート96に固定された軸を中心に回転可能に軸支されたローラ部材であり、ピストンロッド93の下降に伴い吸収体11に押し当てられる円筒形状のローラ面を有している。
【0026】
吸収体挿入ユニット40に吸収体11への摩擦力付与手段が設けられていれば、筆記具本体10に挿入される吸収体11の挿入量を制御し、吸収体11全体が筆記具本体10の内部に入り込んでしまうことを抑制しやすくなる。摩擦力付与手段の具体的な動作については後述する。
【0027】
また、ワーク保持ユニット90には、筆記具本体10を押さえて保持する本体押さえ部材R1が設けられていることが好ましい。実施形態の本体押さえ部材R1は、図5乃至図7に示されるように、第1プレート95に固定されたクランプシリンダ98に設けられている。実施形態のクランプシリンダ98は空気圧式のクランプシリンダであるが、これに限定されない。
【0028】
次に、吸収体挿入ユニット40の動作について説明する。実施形態の吸収体挿入ユニット40では、吸収体受け治具42に筆記具本体10の前端部分及び吸収体11が載置されると、ワーク保持ユニット90が作動してピストンロッド93が下降する。ピストンロッド93の下降に伴って、本体押さえ部材R1及び加圧ローラ97も下降する。下降した本体押さえ部材R1は、図4(a)に模式的に示されるように、筆記具本体10の側面に押し当てられ、ワークである筆記具本体10が動かないように保持する。
【0029】
筆記具本体10が本体押さえ部材R1によって保持されると、吸収体プッシャー43が吸収体11を筆記具本体10に向かって押し、吸収体11が筆記具本体10の内部に挿入される。このとき、実施形態の吸収体11は、その側面を加圧ローラ97のローラ面によって押圧されながら進む。すなわち、実施形態では吸収体11に摩擦力が付与された状態で吸収体11が筆記具本体10に挿入される。
【0030】
前述したように、吸収体挿入工程S2では、吸収体11の全体を筆記具本体10に挿入するのではなく、吸収体11の一部を未挿入の状態にとどめる。このとき、吸収体挿入ユニット40に吸収体11に対する摩擦力付与手段が設けられていれば、吸収体11が滑るなどして筆記具本体10の奥まで挿入されてしまうことを抑制し、吸収体11の挿入位置を安定させ、吸収体11の出代を均一にしやすくなるため好ましい。
【0031】
吸収体11が、図5に示されるように規定の長さの出代を残して筆記具本体10に挿入されると、吸収体プッシャー43は押圧を止めて元の位置に戻り、ワーク保持ユニット90が上昇して筆記具本体10及び吸収体11への押圧が解除される。吸収体11が挿入された筆記具本体10は、リフト部材22によって持ち上げられて水平方向に搬送される。実施形態では、図3及び図4に示されるように、搬送された筆記具本体10は、センサSEによって吸収体11の有無が検知されたのち、ペン芯ホルダ係止工程へ進む。
【0032】
なお、吸収体挿入工程S2では、筆記具本体10に圧入などの大きな力がかからないことに加え、固定ベース21に載置された筆記具本体10は、壁状の製品ガイド23によって後方への移動が規制されている。よって、吸収体挿入ユニット40は本体押さえ部材R1を備えない構成であってもよい。
【0033】
(ペン芯ホルダ係止工程及びペン芯ホルダ係止ユニット)
実施形態のペン芯ホルダ係止工程S3では、筆記具本体10から突出している吸収体11にペン芯ホルダ12が係止される。
【0034】
ペン芯ホルダ12を吸収体11に被せて係止させるペン芯ホルダ係止ユニット50について説明する。図8に示されるように、実施形態のペン芯ホルダ係止ユニット50は、供給スライダ51と、ペン芯ホルダ受け治具52と、本体支持治具53と、ペン芯ホルダプッシャー54と、ワーク保持ユニット90とを備えている。
【0035】
実施形態の供給スライダ51は、図示しないペン芯ホルダ供給ホッパーと接続されている。実施形態では、ペン芯ホルダ12は、供給スライダ51からペン芯ホルダ受け治具52の上に1個ずつ供給される。ペン芯ホルダ12は、ペン芯ホルダ受け治具52の上面に前後方向にわたって形成された断面半円形状の溝内に載置される。
【0036】
図8に示されるように、ペン芯ホルダ受け治具52の後方には、筆記具本体10の前側の一部が載置される本体支持治具53が設けられている。本体支持治具53には、吸収体11の一部を前方に突出させた筆記具本体10の、前側の一部が載置される。この筆記具本体10及び吸収体11と、ペン芯ホルダ受け治具52上のペン芯ホルダ12とは同軸に配置されている。
【0037】
ペン芯ホルダプッシャー54は、ペン芯ホルダ受け治具52上に載置されたペン芯ホルダ12を前方から後方へ押圧し、吸収体11に被せて係止させる。実施形態のペン芯ホルダプッシャー54は、図示しないシリンダなどの駆動機構によって前後方向に進退可能な長尺の棒状部材である。ペン芯ホルダ係止ユニット50では、ペン芯ホルダプッシャー54と、ペン芯ホルダ受け治具52上に載置されたペン芯ホルダ12と、筆記具本体10とが同軸となるように配置される。実施形態のペン芯ホルダプッシャー54は、先端側に、ペン芯ホルダ12の前側の少なくとも一部をホールドする凹部を備えている。
【0038】
ペン芯ホルダ係止ユニット50に設けられたワーク保持ユニット90は、ペン芯ホルダ12係止時にワークを押さえて安定させるものであり、その基本的な構造は吸収体挿入ユニット40に設けられたワーク保持ユニット90と共通である。このため、吸収体挿入ユニット40のワーク保持ユニット90と共通する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0039】
ペン芯ホルダ係止ユニット50には、筆記具本体10から突出した吸収体11を固定する吸収体固定手段が設けられている。図8に示される実施形態では、ペン芯ホルダ係止ユニット50に設けられたワーク保持ユニット90の第2プレート96に、吸収体11の側面を上方から押さえて固定する吸収体押さえ部材R2が設けられている。実施形態の吸収体押さえ部材R2は第2プレート96に形成された凸部であるが、これに限定されず他の形状の押さえピンであってもよい。
【0040】
ペン芯ホルダ係止ユニット50の動作について説明する。実施形態のペン芯ホルダ係止ユニット50では、ペン芯ホルダ受け治具52にペン芯ホルダ12が載置され、本体支持治具53に筆記具本体10の前端部分が載置されると、ワーク保持ユニット90が作動してピストンロッド93が下降する。ピストンロッド93の下降に伴って、本体押さえ部材R1及び吸収体押さえ部材R2も下降する。下降した本体押さえ部材R1は、図4(b)に模式的に示されるように、筆記具本体10の側面に押し当てられ、ワークである筆記具本体10が動かないように保持する。
【0041】
このとき、吸収体11のうち筆記具本体10から突出した部分は、下降した吸収体押さえ部材R2によって押さえられて固定される。吸収体押さえ部材R2の吸収体11と当接する部分は、吸収体11の外周面に沿った形状とすることが好ましい。また、吸収体押さえ部材R2と対向する位置には、吸収体11の下側を支持する部材が設けられていることが好ましい。
【0042】
吸収体11の突出部分が吸収体押さえ部材R2によって固定されると、ペン芯ホルダプッシャー54がペン芯ホルダ12を吸収体11に向かって押し、ペン芯ホルダ12が吸収体11の前端部に被せられて係止される。図8に示す実施形態では、ペン芯ホルダプッシャー54に押されたペン芯ホルダ12の後端が吸収体押さえ部材R2の側面に突き当たり、それ以上の移動が規制される。
【0043】
ペン芯ホルダ12が吸収体11に係止されると、ペン芯ホルダプッシャー54は押圧を止めて元の位置に戻り、ワーク保持ユニット90が上昇して筆記具本体10及び吸収体11の固定が解除される。吸収体11の前端部にペン芯ホルダ12が係止された筆記具本体10は、リフト部材22によって持ち上げられて水平方向に搬送される。実施形態では、図3及び図4(b)に示されるように、搬送された筆記具本体10のペン芯ホルダ12の有無がセンサSEによって検知され、正常と判断された筆記具本体10はペン芯ホルダ圧入工程へ進む。
【0044】
(ペン芯ホルダ圧入工程及びペン芯ホルダ圧入ユニット)
実施形態のペン芯ホルダ圧入工程S4では、吸収体11に係止されたペン芯ホルダ12を、吸収体11とともに筆記具本体10の内部に押し込んで圧入し嵌合させる。
【0045】
ペン芯ホルダ12を吸収体11とともに筆記具本体10に圧入するペン芯ホルダ圧入ユニット60について説明する。図9に示されるように、実施形態のペン芯ホルダ圧入ユニット60は、圧入ガイド治具61と、ペン芯ホルダ圧入プッシャー62と、ワーク保持ユニット90とを備えている。
【0046】
実施形態の圧入ガイド治具61は、上面に前後方向にわたって断面半円形状の溝を備え、この溝内の後側に筆記具本体10の前端部が配置される。また、実施形態のペン芯ホルダ圧入プッシャー62は、この溝に案内されて前後方向に進退する。
【0047】
実施形態のペン芯ホルダ圧入プッシャー62は、図示しないシリンダなどの駆動機構によって前後方向に進退可能な長尺の棒状部材である。ペン芯ホルダ圧入プッシャー62と筆記具本体10とは同軸に配置される。また、図9に示されるように、実施形態のペン芯ホルダ圧入プッシャー62の先端側には、ペン芯ホルダ12の外周形状に沿った凹部が形成されている。このような形状とすれば、ペン芯ホルダ12をしっかりホールドしながら押し込むことができる。
【0048】
ペン芯ホルダ圧入ユニット60に設けられたワーク保持ユニット90も、基本的な構造は吸収体挿入ユニット40に設けられたワーク保持ユニット90と共通である。このため、吸収体挿入ユニット40のワーク保持ユニット90と共通する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。なお、実施形態のペン芯ホルダ圧入ユニット60に設けられたワーク保持ユニット90は、本体押さえ部材R1と第2プレート96とによって、筆記具本体10の前部上側の外周面を押圧可能な構造である。
【0049】
図3及び図4(c)に示されるように、前工程から搬送された筆記具本体10が所定の
位置に載置されると、ワーク保持ユニット90が作動してピストンロッド93が下降し、本体押さえ部材R1と第2プレート96も下降する。下降した本体押さえ部材R1は、図4(c)に模式的に示されるように、筆記具本体10の側面に押し当てられ、ワークである筆記具本体10が動かないように保持する。また、実施形態では、第2プレート96の一部が筆記具本体10の前端部近傍を押圧し、さらに確実に筆記具本体10を固定可能な構成となっている。
【0050】
筆記具本体10が固定されると、ペン芯ホルダ圧入プッシャー62がペン芯ホルダ12を筆記具本体10に向かって押し込み、ペン芯ホルダ12は吸収体11とともに筆記具本体10に押し込まれて圧入され、筆記具本体10の開口端部に嵌合する。
【0051】
ペン芯ホルダ12が筆記具本体10の開口端部に嵌合すると、ペン芯ホルダ圧入プッシャー62は押圧を止めて元の位置に戻り、ワーク保持ユニット90が上昇して筆記具本体10の固定が解除される。筆記具本体10は、リフト部材22によって持ち上げられて水平方向に搬送される。実施形態では、図3及び図4(c)に示されるように、搬送された筆記具本体10は、センサSEによってペン芯ホルダ12の有無が検知されたのち、ペン芯挿入・圧入工程へ進む。
【0052】
上記したように、本実施形態では、筆記具本体10に吸収体11をその一部が突出するように挿入した状態で、この吸収体11の端部にペン芯ホルダ12を係止し、その後にペン芯ホルダ12を吸収体11とともに筆記具本体10の内部に押し込んで嵌合させる。これにより、ペン芯ホルダ12の圧入時に吸収体11が押しつぶされることを抑制することができる。
【0053】
(ペン芯挿入・圧入工程)
実施形態のペン芯挿入・圧入工程S5では、筆記具本体10に嵌合したペン芯ホルダ12にペン芯を挿入し、さらに圧入する。
【0054】
ペン芯ホルダ12にペン芯13を挿入するペン芯挿入ユニット70について説明する。図4(d)に模式的に示されるように、実施形態のペン芯挿入ユニット70は、ペン芯受け治具71と、ペン芯プッシャー72と、図示しないワーク保持ユニット90と、このワーク保持ユニット90と連動する本体押さえ部材R1とを備えている。
【0055】
実施形態のペン芯受け治具71には、図示しないペン芯フィーダから供給されたペン芯13が載置される。また、実施形態のペン芯プッシャー72は、図示しないシリンダなどの駆動機構によって前後方向に進退可能な長尺の棒状部材である。
【0056】
前工程から筆記具本体10が搬送されると、ワーク保持ユニット90が下降して本体押さえ部材R1が筆記具本体10を固定する。筆記具本体10が固定されると、ペン芯プッシャー72がペン芯13を押圧し、ペン芯ホルダ12に挿入する。
【0057】
ペン芯ホルダ12へのペン芯13の挿入が完了すると、ワーク保持ユニット90が上昇して筆記具本体10の固定が解除される。筆記具本体10は、リフト部材22によって持ち上げられて水平方向に搬送される。実施形態では、図3及び図4(d)に示されるように、筆記具本体10はセンサSEによってペン芯13の有無が検知された後、ペン芯圧入ユニット80へ搬送される。
【0058】
実施形態のペン芯圧入ユニット80は、図4(e)に模式的に示されるように、ペン芯圧入プッシャー81と、図示しないワーク保持ユニット90と、このワーク保持ユニット90と連動する本体押さえ部材R1とを備えている。
【0059】
ペン芯圧入ユニット80に筆記具本体10が搬送されて定位置に静止すると、ワーク保持ユニット90が下降して本体押さえ部材R1が筆記具本体10を固定する。筆記具本体10が固定されると、ペン芯圧入プッシャー81がペン芯13を押圧し、ペン芯ホルダ12に圧入する。ペン芯ホルダ12に圧入されたペン芯13は、カメラセンサなどにより圧入状態を検査されることが好ましい。
【0060】
(キャップ係止・圧入工程)
ペン芯13が圧入された筆記具本体10は、キャップ係止・圧入工程S6においてキャップ14が圧入される。実施形態では、図示しないキャップ圧入プッシャーを備えたキャップ圧入ユニットを用いてキャップ14が筆記具本体10に圧入される。
【0061】
(完成品排出工程)
キャップ14が被せられて完成品となった筆記具1は、完成品排出工程S7において固定ベース21から排出される。実施形態の完成品排出工程S7では、良品と不良品とを選別する選別機構が設けられている。
【0062】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、実施形態ではペン芯ホルダ12を筆記具本体10に嵌合させてからペン芯13を挿入しているが、先にペン芯13が挿入されたペン芯ホルダ12を筆記具本体10に嵌合させる組立方法とすることも可能である。また、完成品排出工程S7の前に、例えばロット番号刻印工程などの工程を付加してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 筆記具
10 筆記具本体
11 吸収体
12 ペン芯ホルダ
13 ペン芯
20 搬送部
40 吸収体挿入ユニット
43 吸収体プッシャー
50 ペン芯ホルダ係止ユニット
54 ペン芯ホルダプッシャー
60 ペン芯ホルダ圧入ユニット
70 ペン芯挿入ユニット
80 ペン芯圧入ユニット
90 ワーク保持ユニット
92 エアシリンダ
95 第1プレート
96 第2プレート
97 加圧プレート
98 クランプシリンダ
R1 本体押さえ部材
R2 吸収体押さえ部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9