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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014489
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/14 20060101AFI20240125BHJP
   F16B 21/08 20060101ALI20240125BHJP
   F16B 5/07 20060101ALI20240125BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
H02G3/14
F16B21/08
F16B5/07 L
B60R16/02 610A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117352
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 英樹
(72)【発明者】
【氏名】横山 椋一
(72)【発明者】
【氏名】古谷 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤永 育浩
(72)【発明者】
【氏名】大塚 孝太郎
(72)【発明者】
【氏名】大門 達矢
(72)【発明者】
【氏名】江間 悠
【テーマコード(参考)】
3J001
3J037
5G361
【Fターム(参考)】
3J001FA12
3J001GA06
3J001GB01
3J001JD26
3J001KA11
3J001KB01
3J037AA02
3J037BA02
3J037BB01
3J037DA01
3J037DA02
3J037DC01
5G361AA06
5G361AC02
5G361AC04
5G361AE01
(57)【要約】
【課題】第1樹脂体からの第2樹脂体の分離作業性に優れるとともに、分離作業時の作業スペースを削減可能な電気接続箱を提供すること。
【解決手段】電気接続箱1は、第1樹脂体10及び第2樹脂体20を備えて、第2樹脂体20は、第1樹脂体10の被係止部12に係止される第1係止部23が設けられる第1壁部21と、組付方向と交差する第1方向の一端部に凹部29が設けられる第2壁部22と、が一体に構成され、第1係止部23は、第1樹脂体10への第2樹脂体20の組み付け時において、被係止部12の被係止突起13を組付方向における第1樹脂体側に乗り越えて、被係止突起13に係止される係止突起25を有し、係止突起25には、第1樹脂体10からの第2樹脂体20の組付方向に沿った分離時において、被係止突起13と接触して、被係止突起13に対する組付方向における第2樹脂体側への乗り越えをガイドする傾斜面25aが設けられる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電子部品が収容される第1樹脂体と、前記第1樹脂体に組み付けられる第2樹脂体と、を備えた電気接続箱であって、
前記第2樹脂体は、
前記第1樹脂体との組付方向に延びる枠状の第1壁部と、
前記第1壁部の開口端を塞ぐ第2壁部と、が一体に構成され、
前記第2壁部は、前記組付方向と交差する第1方向の一端部に、凹部が設けられ、
前記第1壁部には、前記第1樹脂体の被係止部に係止される第1係止部が設けられ、
前記第1係止部は、
前記第1樹脂体への前記第2樹脂体の組み付け時において、前記被係止部の被係止突起を前記組付方向における前記第1樹脂体側に乗り越えて、前記被係止突起に係止される係止突起を有し、
前記係止突起には、
前記第1樹脂体からの前記第2樹脂体の前記組付方向に沿った分離時において、前記被係止突起と接触して、前記被係止突起に対する前記組付方向における前記第2樹脂体側への乗り越えをガイドする傾斜面が設けられる、
電気接続箱。
【請求項2】
請求項1に記載の電気接続箱において、
前記第2壁部には、
前記組付方向及び前記第1方向と交差する第2方向において、互いに離間して配置される一対の前記凹部が設けられる、
電気接続箱。
【請求項3】
請求項2に記載の電気接続箱において、
前記第1壁部は、
前記第1方向の前記一端部に、前記第1係止部が設けられ、
前記第1方向の他端部に、前記被係止部に係止される第2係止部が設けられる、
電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載されるとともにリレーやヒューズ等の電子部品が収容される収容空間を有するリレーボックスやヒューズボックス等の電気接続箱(以下、「従来電気接続箱」ともいう。)が提案されている。従来電気接続箱の一つは、電子部品が内部に収容されるフレームと、フレームの上端開口を塞ぐように組み付けられるアッパカバーと、を備えて、フレームの複数の被係止部にアッパカバーの複数の係止部がそれぞれ係止されることで、フレームにアッパカバーが組み付けられている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-208247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来電気接続箱は、メンテナンス等によってフレームからアッパカバーを外す際、作業者が例えば指や治具によって、フレームの複数の被係止部とアッパカバーの複数の係止部との係止を一つ一つ解除する必要があり、作業が煩雑であった。更に、フレームからアッパカバーを外す際、複数の被係止部と複数の係止部との係止をそれぞれ解除するための作業スペースが必要となり、車両への電気接続箱の搭載箇所に限りがあった。このように、従来電気接続箱には、作業性及び作業スペースの観点から改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述した状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、第1樹脂体からの第2樹脂体の分離作業性に優れるとともに、分離作業時の作業スペースを削減可能な電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電気接続箱は、下記を特徴としている。
【0007】
内部に電子部品が収容される第1樹脂体と、前記第1樹脂体に組み付けられる第2樹脂体と、を備えた電気接続箱であって、
前記第2樹脂体は、
前記第1樹脂体との組付方向に延びる枠状の第1壁部と、
前記第1壁部の開口端を塞ぐ第2壁部と、が一体に構成され、
前記第2壁部は、前記組付方向と交差する第1方向の一端部に、凹部が設けられ、
前記第1壁部には、前記第1樹脂体の被係止部に係止される第1係止部が設けられ、
前記第1係止部は、
前記第1樹脂体への前記第2樹脂体の組み付け時において、前記被係止部の被係止突起を前記組付方向における前記第1樹脂体側に乗り越えて、前記被係止突起に係止される係止突起を有し、
前記係止突起には、
前記第1樹脂体からの前記第2樹脂体の前記組付方向に沿った分離時において、前記被係止突起と接触して、前記被係止突起に対する前記組付方向における前記第2樹脂体側への乗り越えをガイドする傾斜面が設けられる、
電気接続箱であること。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る電気接続箱について以下に述べる。
本構成の電気接続箱によれば、第2樹脂体の第1係止部は、第1樹脂体への第2樹脂体の組み付け時において、第1樹脂体における被係止部の被係止突起を組付方向における第1樹脂体側に乗り越えて、被係止突起に係止される、係止突起を有する。この係止突起には、被係止突起に対する組付方向における第2樹脂体側への乗り越えをガイドする傾斜面が設けられる。これにより、フレームからアッパカバーを分離させる際、アッパカバーを組付方向における第2樹脂体側に引っ張ることで、係止突起と被係止突起との係止が解除され、アッパカバーをフレームから容易に分離できる。更に、第1方向において第2樹脂体における第2壁部の一端部に凹部が設けられる。これにより、フレームからアッパカバーを分離させる際、例えば、第2樹脂体の第1壁部における第1方向の他端部と凹部の内壁とを指の掛け場、即ちアッパカバーの掴み部として使用できる。このように、本構成の電気接続箱は、第1樹脂体からの第2樹脂体の分離作業性に優れるとともに、分離作業時の作業スペースを削減できる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る電気接続箱を車両に固定した態様を示す上面図である(ただし、締結部材の図示省略)
図2図2は、電気接続箱の要部分解前側斜視図である。
図3図3は、アッパカバーの後側斜視図である。
図4図4は、図1のA-A断面図である(ただし、電気接続箱の下側領域の図示省略)。
図5図5は、図4のB部拡大図である。
図6図6は、図4のC部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、図1等に示す本発明の実施形態に係る電気接続箱1について説明する。電気接続箱1は、典型的には、車両に搭載され、リレー等の電子部品やその他の部品である部品R(図2及び図4参照)を収容する内部空間を有するリレーボックスである。
【0012】
以下、説明の便宜上、図1図6に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。電気接続箱1の車両搭載時において、「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、それぞれ、車両の前後方向、左右方向及び上下方向に対応している。また、電気接続箱1の内部に面する側を「内」側と呼び、電気接続箱1の外部に面する側を「外」側と呼ぶ。
【0013】
加えて、上下方向は、本発明の「組付方向」に対応している。なお、上下方向の「下」側は、本発明の「組付方向における第1樹脂体側」に対応し、上下方向の「上」側は、本発明の「組付方向における第2樹脂体側」に対応している。加えて、前後方向は、本発明の「第1方向」に対応している。加えて、左右方向は、本発明の「第2方向」に対応している。
【0014】
図2に示すように、電気接続箱1は、部品Rが収容される枠状のフレーム10(本発明の「第1樹脂体」に対応)と、フレーム10の上端開口を塞ぐように組み付けられるアッパカバー20(本発明の「第2樹脂体」に対応)と、フレーム10の下端開口を塞ぐように組み付けられるロアカバー30と、により構成される。電気接続箱1を構成する上記3つの部品は全て、樹脂成形体である。以下、電気接続箱1を構成するフレーム10、アッパカバー20、及びロアカバー30について順に説明する。
【0015】
まず、フレーム10について説明する。図2に示すように、フレーム10は、上下方向に延びる略矩形筒状の側壁部11を備える。側壁部11は、電気接続箱1の側面の外観の大部分を構成する。
【0016】
側壁部11の上端部における前端部(本発明の「第1方向における一端部」に対応)及び後端部(本発明の「第1方向における他端部」に対応)の外面には、それぞれ、上下方向に延びる貫通孔を含む被係止部12が一体に設けられている。被係止部12は、アッパカバー20をフレーム10に組み付ける機能を有する。
【0017】
図5図6に示すように、被係止部12の上端部には、それぞれ、内側に突出する被係止突起13が一体に設けられている。被係止突起13の下端面13aは、外側から内側に下る傾斜状に形成されている。
【0018】
側壁部11の下端部における周方向の複数箇所(本例では、5箇所)の外面には、それぞれ、上下方向に延びる貫通孔を含む被係止部14が一体に設けられている。被係止部14は、ロアカバー30をフレーム10に組み付ける機能を有する。
【0019】
前側の側壁部11の外面には、前後方向に貫通する締結孔(符号省略)を含む締結部15が一体に設けられている。締結部15は、電気接続箱1を車両の固定箇所2に固定する機能を有する(図1参照)。
【0020】
次いで、アッパカバー20について説明する。図2及び図3に示すように、アッパカバー20は、電気接続箱1の上側側面の外観の大部分を構成する環状の側壁部21(本発明の「第1壁部」に対応)と、側壁部21の環状の上端開口を塞ぐとともに電気接続箱1の上面の外観の大部分を構成する上壁部22(本発明の「第2壁部」に対応)と、を一体に備える。側壁部21の環状の下端縁部は、フレーム10の側壁部11の環状の上端縁部に対応する形状を有し、側壁部11の環状の上端縁部と嵌合可能となっている。
【0021】
前側の側壁部11の外面には、フレーム10の前側の被係止部12に対応して、第1係止部23が一体に設けられている(図1も参照)。図5に示すように、第1係止部23は、上下方向に延びる可撓片24と、可撓片24の下端部に位置して外側に突出する係止突起25と、が一体に設けられている。
【0022】
係止突起25の上端面25a(本発明の「傾斜面」に対応)は、内(後)側から外(前)側に下る傾斜状に形成されている。上端面25aは、フレーム10からのアッパカバー20の分離時において、フレーム10の被係止突起13と接触して、被係止突起13に対する係止突起25の上側への乗り越えをガイドする機能を有する。
【0023】
前側の側壁部11の外面には、フレーム10の後側の被係止部12に対応して、第2係止部26が一体に設けられている(図1も参照)。図6に示すように、第2係止部26は、上下方向に延びる可撓片27と、可撓片27の下端部に位置して外側に突出する係止突起28と、が一体に設けられている。係止突起28の上端面28aは、外(後)側から内(前)側に下る傾斜状に形成されている。
【0024】
上壁部22の前端部の外面には、下側に窪む一対の凹部29が左右方向に離間して配置される(図1図3参照)。より具体的には、前端部の右角には凹部29aが設けられ、前端部の左角には凹部29bが設けられている。凹部29は、フレーム10からのアッパカバー20の分離時にアッパカバー20を掴むための作業者の指の掛け場としての機能を有する。
【0025】
次いで、ロアカバー30について説明する。図2に示すように、ロアカバー30は、電気接続箱1の下側側面の外観の大部分を構成する環状の側壁部31と、側壁部31の環状の下端開口を塞ぐとともに電気接続箱1の底面の外観の大部分を構成する底壁部32と、を一体に備える。側壁部31の環状の上端縁部は、フレーム10の側壁部11の環状の下端縁部に対応する形状を有し、側壁部11の環状の下端縁部と嵌合可能となっている。
【0026】
側壁部31の上端部における周方向の複数個所(本例では、5箇所)の外面には、それぞれ、フレーム10の複数の被係止部14に対応して、上側に延びる係止片33が一体に設けられている。
【0027】
後側の側壁部31の外面には、上下方向に貫通する締結孔(符号省略)を含む締結部34が一体に設けられている。締結部34は、電気接続箱1を車両の搭載箇所(図示省略)に固定する機能を有する。
【0028】
以上、電気接続箱1を構成するフレーム10、アッパカバー20、及びロアカバー30について説明した。以下、フレーム10、アッパカバー20、及びロアカバー30からなる電気接続箱1の製造方法について説明する。
【0029】
電気接続箱1を得るためには、フレーム10にアッパカバー20を組み付ける必要がある。フレーム10にアッパカバー20を組み付けるには、まず、アッパカバー20の第1係止部23及び第2係止部26(図1図4参照)を、上側からフレーム10の被係止部12(図2参照)の貫通孔にそれぞれ挿入し、この状態から、アッパカバー20の側壁部21の環状の下端縁部をフレーム10の側壁部11の環状の上端縁部に嵌合させ、且つ、第1係止部23及び第2係止部26を被係止部12にそれぞれ係止させる。これにより、フレーム10へのアッパカバー20の組み付けが完了する(図1参照)。
【0030】
フレーム10へのアッパカバー20の組み付け時において、組付途中段階にて第1係止部23の係止突起25及び第2係止部26の係止突起28は、被係止部12の被係止突起13を上側から下側に乗り越えて、被係止突起に係止される。換言すると、係止突起25,28は、被係止突起13よりも、係止状態では下側に位置し、分離状態では上側に位置している。
【0031】
フレーム10にアッパカバー20が組み付けられた状態におけるフレーム10の被係止部12とアッパカバー20の第1係止部23との係止態様、及び、被係止部12とアッパカバー20の第2係止部26との係止態様について順に説明する。
【0032】
図5に示すように、被係止部12における被係止突起13の下端面13aが外側から内側に下る傾斜状に形成されているのに対して、第1係止部23における係止突起25の上端面25aは内側から外側に下る傾斜状に形成されている。換言すると、被係止突起13の下端面13aと係止突起25の上端面25aとは平行に対向していない。このため、アッパカバー20をフレーム10から分離させる(即ち、上下方向に沿った上側に向けた所定の力がアッパカバー20に掛かった)際に、下端面13aと上端面25aとが係り合わない。
【0033】
一方、図6に示すように、第2係止部26における係止突起28の上端面28aは、外側から内側に下る傾斜状に形成されているため、被係止突起13の下端面13aと係止突起28の上端面28aとが略平行に対向している。これにより、アッパカバー20がフレーム10から上側へ分離することが防止される。
【0034】
同様に、電気接続箱1を得るためには、フレーム10にロアカバー30を組み付ける必要がある。フレーム10にロアカバー30を組み付けるには、まず、ロアカバー30の複数の係止片33(図2参照)を、下側からフレーム10の被係止部14(図2参照)の複数の貫通孔にそれぞれ挿入し、この状態から、ロアカバー30の側壁部31の環状の上端縁部をフレーム10の側壁部11の環状の下端縁部に嵌合させ、且つ、複数の係止片33を複数の被係止部14に係止させる。これにより、フレーム10へのロアカバー30の組み付けが完了する(図1参照)。
【0035】
フレーム10にロアカバー30が組み付けられた状態では、複数の係止片33と複数の被係止部14との係止により、ロアカバー30がフレーム10から下側へ分離することが防止される。
【0036】
フレーム10にアッパカバー20及びロアカバー30がそれぞれ組み付けられることで、電気接続箱1が完成される。なお、フレーム10へのアッパカバー20の組み付け作業及びフレーム10へのロアカバー30の組み付け作業の順番の前後は問わない。
【0037】
以上、フレーム10へのアッパカバー20及びロアカバー30の組み付け作業、即ち電気接続箱1の製造方法について説明した。以下、フレーム10からのアッパカバー20の分離作業について説明する。
【0038】
フレーム10からアッパカバー20を分離させるには、まず、第2係止部26に親指、凹部29a(具体的には、凹部29aの後側の壁部)に人差し指、凹部29b(具体的には、凹部29bの後側の壁部)に中指をそれぞれ掛けて、人差し指及び中指、並びに親指でアッパカバー20を前後方向に挟み込むように掴む。
【0039】
アッパカバー20を掴んだ状態で親指に力を加えることで第2係止部26の可撓片27を操作して、後側の被係止部12の被係止突起13と第2係止部26の係止突起28との係止を解除し、この状態で、アッパカバー20を上下方向に沿って上側に引っ張る。
【0040】
アッパカバー20が上下方向に沿って上側に引っ張られると、前側の被係止突起13と第1係止部23における係止突起25の上端面25aとが接触し、上端面25aのガイドによって、係止突起25が被係止突起13の上側に乗り越える。つまり、被係止突起13と係止突起25との係止が解除される。これにより、フレーム10からアッパカバー20が分離される。以上、フレーム10からのアッパカバー20の分離作業について説明した。
【0041】
<作用・効果>
本実施形態に係る電気接続箱1は、フレーム10からのアッパカバー20の分離作業が容易(いわゆるワンアクション)に行えるとともに、凹部29が指の掛け場(アッパカバー20の掴み部)として機能することで、分離作業時のフレーム10の被係止部12とアッパカバー20の係止部(特に第2係止部26)との係止解除に必要な作業スペースを削減できる。
【0042】
更に、本実施形態に係る電気接続箱1は、被係止部12との係止解除の操作が不要な第1係止部23が凹部29側(前側)に設けられ、被係止部12との係止解除の操作が必要な第2係止部26が凹部29とは反対側(後側)に設けられている。これにより、分離作業時のフレーム10とアッパカバー20の係止解除に必要な作業スペースをより削減できる。
【0043】
更に、本実施形態に係る電気接続箱1は、第1係止部23のほかに第2係止部26が設けられることで、フレーム10からのアッパカバー20の意図せぬ分離を抑制できる。
【0044】
更に、本実施形態に係る電気接続箱1によれば、フレーム10からのアッパカバー20の分離作業の作業スペースが削減されることで、例えば車両等に対する搭載箇所の自由度が向上する。
【0045】
<他の形態>
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0046】
上記実施形態では、アッパカバー20に第1係止部23のほかに第2係止部26が設けられているが、電気接続箱1が搭載される場所や環境によっては、アッパカバー20に設けられる係止部は第1係止部23のみでもよい。
【0047】
具体的には、アッパカバー20に掛かる上下方向に沿った上側に向けた力が所定値未満である場合、上端面25aは上述したガイドとして機能せず、被係止突起13と係止突起25とが互いに干渉して、フレーム10からアッパカバー20が分離されない。このため、電気接続箱1は、例えば、車両走行時に生じる振動が伝達され難い箇所に搭載される場合、アッパカバー20に設けられる係止部は第1係止部23のみでもよい。
【0048】
ここで、上述した本発明に係る電気接続箱の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
内部に電子部品(部品R)が収容される第1樹脂体(フレーム10)と、前記第1樹脂体に組み付けられる第2樹脂体(アッパカバー20)と、を備えた電気接続箱(1)であって、
前記第2樹脂体(アッパカバー20)は、
前記第1樹脂体(フレーム10)との組付方向(上下方向)に延びる枠状の第1壁部(側壁部21)と、
前記第1壁部の開口端を塞ぐ第2壁部(上壁部22)と、が一体に構成され、
前記第2壁部(上壁部22)は、前記組付方向と交差する第1方向の一端部(前端部)に、凹部(29)が設けられ、
前記第1壁部(側壁部21)には、前記第1樹脂体の被係止部(12)に係止される第1係止部(23)が設けられ、
前記第1係止部(23)は、
前記第1樹脂体(フレーム10)への前記第2樹脂体(アッパカバー20)の組み付け時において、前記被係止突起(13)と接触して、前記被係止部の被係止突起(13)を前記組付方向における前記第1樹脂体側(上下方向の下側)に乗り越えて、前記被係止突起に係止される係止突起(25)を有し、
前記係止突起(25)には、
前記第1樹脂体(フレーム10)からの前記第2樹脂体(アッパカバー20)の前記組付方向(上下方向)に沿った分離時において、前記被係止突起(13)に対する前記組付方向における前記第2樹脂体側(上下方向の上側)への乗り越えをガイドする傾斜面(上端面25a)が設けられる、
電気接続箱(1)。
[2]
上記[1]に記載の電気接続箱(1)において、
前記第2壁部(上壁部22)には、
前記組付方向及び前記第1方向と交差する第2方向(左右方向)において、互いに離間して配置される一対の前記凹部(29a,29b)が設けられる、
電気接続箱(1)。
[3]
上記[2]に記載の電気接続箱(1)において、
前記第1壁部(側壁部21)は、
前記第1方向の前記一端部(前端部)に、前記第1係止部(23)が設けられ、
前記第1方向の他端部(後端部)に、前記被係止部(12)に係止される第2係止部(26)が設けられる、
電気接続箱(1)。
【0049】
上記[1]の構成の電気接続箱によれば、第2樹脂体の第1係止部は、第1樹脂体への第2樹脂体の組み付け時において、第1樹脂体における被係止部の被係止突起を組付方向における第1樹脂体側に乗り越えて、被係止突起に係止される、係止突起を有する。この係止突起には、被係止突起に対する組付方向における第2樹脂体側への乗り越えをガイドする傾斜面が設けられる。これにより、フレームからアッパカバーを分離させる際、アッパカバーを組付方向における第2樹脂体側に引っ張ることで、係止突起と被係止突起との係止が解除され、アッパカバーをフレームから容易に分離できる。更に、第1方向において第2樹脂体における第2壁部の一端部に凹部が設けられる。これにより、フレームからアッパカバーを分離させる際、例えば、第2樹脂体の第1壁部における第1方向の他端部と凹部の内壁とを指の掛け場、即ちアッパカバーの掴み部として使用できる。このように、本構成の電気接続箱は、第1樹脂体からの第2樹脂体の分離作業性に優れるとともに、分離作業時の作業スペースを削減できる。
【0050】
上記[2]の構成の電気接続箱によれば、第2壁部に一対の凹部が設けられることで、フレームからアッパカバーを分離させる際、一方の凹部に人差し指、他方の凹部に中指を掛け、且つ、第1壁部における第1方向の他端部に親指を掛けることで、3本の指でアッパカバーを容易に操作できる。つまり、本構成の電気接続箱は、第1樹脂体からの第2樹脂体の分離作業性により優れるとともに、分離作業時の作業スペースをより削減できる。
【0051】
上記[3]の構成の電気接続箱によれば、第1係止部のほかに第2係止部が設けられることで、フレームからのアッパカバーの意図せぬ分離を抑制できる。
【符号の説明】
【0052】
1 電気接続箱
2 固定箇所
10 フレーム(第1樹脂体)
12 被係止部
13 被係止突起
13a 下端面
20 アッパカバー(第2樹脂体)
21 側壁部(第1壁部)
22 上壁部(第2壁部)
23 第1係止部
25 係止突起
25a 上端面(傾斜面)
26 第2係止部
28 係止突起
28a 上端面
29,29a,29b 凹部
30 ロアカバー
R 部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6