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▶ 牧田 宏治の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144897
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】室内墓及び室内墓の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 13/00 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
E04H13/00 C
E04H13/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057067
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】523110684
【氏名又は名称】牧田 宏治
(74)【代理人】
【識別番号】100135448
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】牧田 宏治
(57)【要約】
【課題】複数の故人の遺骨を納めることができる、室内墓及び室内墓の製造方法を提供する。
【解決手段】室内墓は、住宅内に設置され、納骨室体を備える。納骨室体は、遺骨を納めた容器が収納される納骨室を内部に含み、納骨室を閉鎖及び開放する蓋体を含む。納骨室は、蓋体によって閉鎖された状態では、第一平面、第二平面、第三平面、第四平面、第五平面及び第六平面を含む内壁面によって囲まれた空間である。第一平面は、納骨室の水平な奥行方向の手前側に配置される。第二平面は、納骨室の奥行方向の奥側に配置され、奥行方向に第一平面と向かい合う。第三平面は、納骨室の水平な幅方向の左側に配置される。第四平面は、納骨室の幅方向の右側に配置され、幅方向に第三平面と向かい合う。第五平面は、納骨室の鉛直な高さ方向の上側に配置される。第六平面は、納骨室の高さ方向の下側に配置され、高さ方向に第五平面と向かい合う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅内に設置される室内墓であって、
遺骨を納めた容器が収納される納骨室を内部に含む、納骨室体を備え、
前記納骨室体は、前記納骨室を閉鎖及び開放する蓋体を含み、
前記納骨室は、前記蓋体によって閉鎖された状態では、第一平面、第二平面、第三平面、第四平面、第五平面及び第六平面を含む内壁面によって囲まれた空間であり、
前記第一平面は、前記納骨室の水平な奥行方向の手前側に配置され、
前記第二平面は、前記納骨室の前記奥行方向の奥側に配置され、前記奥行方向に前記第一平面と向かい合い、
前記第三平面は、前記納骨室の前記奥行方向に直交する水平な幅方向の左側に配置され、
前記第四平面は、前記納骨室の前記幅方向の右側に配置され、前記幅方向に前記第三平面と向かい合い、
前記第五平面は、前記納骨室の前記奥行方向及び前記幅方向の両方向に直交する鉛直な高さ方向の上側に配置され、
前記第六平面は、前記納骨室の前記高さ方向の下側に配置され、前記高さ方向に前記第五平面と向かい合う、室内墓。
【請求項2】
前記納骨室体は、
台座と、
前記台座の上に載せ置かれる、壁体と、を含み、
前記壁体は、前記納骨室に収納される前記容器が通る収納開口を含み、
前記蓋体は、
前記収納開口に対して着脱自在に設けられ、
前記収納開口に対して設けられた状態では、前記収納開口を閉鎖し、
前記収納開口に対して設けられていない状態では、前記収納開口を開放し、
前記納骨室は、
前記収納開口の閉鎖に伴い閉鎖された状態となり、
前記収納開口の開放に伴い開放された状態となる、請求項1に記載の室内墓。
【請求項3】
前記壁体は、前記高さ方向の上側に前記収納開口を含み、
前記蓋体は、前記壁体の上に載せ置かれる、請求項2に記載の室内墓。
【請求項4】
仏具が載せ置かれる、載置台を備え、
前記壁体の前記奥行方向の寸法は、第一値に設定され、
前記載置台の前記奥行方向の寸法は、第二値に設定され、
前記台座の前記奥行方向の寸法は、前記第一値及び前記第二値の合計値以上の第三値に設定され、
前記載置台は、前記壁体の前記奥行方向の手前側で前記台座の上に載せ置かれる、請求項2又は請求項3に記載の室内墓。
【請求項5】
請求項1の室内墓の製造方法であって、
墓地又は霊園に設置された既存の墓を撤去する第一工程と、
前記第一工程で撤去された前記既存の墓を工場に搬送する第二工程と、
前記納骨室体を形成する第三工程と、を含み、
前記第三工程は、前記納骨室体の一部又は全部の素材として前記第二工程で搬送された前記既存の墓を用いる、製造方法。
【請求項6】
請求項2又は請求項3の室内墓の製造方法であって、
墓地又は霊園に設置された既存の墓を撤去する第一工程と、
前記第一工程で撤去された前記既存の墓を工場に搬送する第二工程と、
前記納骨室体を形成する第三工程と、を含み、
前記第三工程は、前記蓋体及び前記壁体の素材として前記第二工程で搬送された前記既存の墓を用いる、製造方法。
【請求項7】
請求項4に記載の室内墓の製造方法であって、
墓地又は霊園に設置された既存の墓を撤去する第一工程と、
前記第一工程で撤去された前記既存の墓を工場に搬送する第二工程と、
前記納骨室体を形成する第三工程と、を含み、
前記第三工程は、前記蓋体、前記壁体及び前記載置台の素材として前記第二工程で搬送された前記既存の墓を用いる、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅内に設置される室内墓に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、3段式室内墓を開示する。墓石は、上段墓石体と中段墓石体と下段墓石体と称する3つの墓石体を上下3段に組み合わせる。上段墓石体は幅約30センチメートル、奥行約30センチメートル、高さ約35センチメートルである。中段墓石体は幅約40センチメートル、奥行約36センチメートル、高さ約6センチメートルである。下段墓石体は幅約50センチメートル、奥行約40センチメートル、高さ約5センチメートルである。上段墓石体の上面から下方へ約5センチメートルの位置から直径約25センチメートルの円柱状の空洞が、中段墓石体を貫通して、下段墓石体の下端から上方へ約3センチメートルの位置まで連続的空間を形成する。この連続的空間は、骨壺収納庫となる。骨壺収納庫は上段墓石体と中段墓石体と下段墓石体の3つにまたがる。上段墓石体の下端の円周縁には幅約1センチメートル、高さ約1センチメートルの凸部(上段墓石体勘合凸部)が下方向に出る。上段墓石体勘合凸部に当接する中段墓石体の上端においては、中段墓石体の上端の円縁域が同じ厚み幅、同じ高さで凹んでおり、重ね合わせ部を形成する。中段墓石体の下端の円周縁には幅約1センチメートル、高さ約1センチメートルの凸部(中段墓石体勘合凸部)が下方向に出る。中段墓石体勘合凸部に当接する下段墓石体の上端においては、下段墓石体の上端の円縁域が同じ厚み幅、同じ高さで凹んでおり、重ね合わせ部を形成する。
【0003】
特許文献2は、簡易墓石を開示する。簡易墓石は、小さな円柱形の骨壺を安置する。骨壺は、直径80mm程度、高さ100mm程度の小さな円柱形を有する。簡易墓石は、基台と、納骨壇と、上蓋と、墓石本体とから構成される。簡易墓石は、従来から墓石に用いられている材料と同様の材料、例えば、御影石、その他の天然石を用いて製作されることが望ましいが、人造石、合成樹脂、金属等の任意の材料を用いて製作することもできる。基台は、厚板状に形成され、室内、例えば、仏壇内やタンスの上に設置できる大きさを有する。基台の上面には、骨壺を載置する窪みが形成される。この窪みは、骨壺の直径よりも少し大きめで、直径90mm程度に形成され、骨壺の底部を支持できる深さ5~10mm程度の有底状とする。納骨壇は、基台よりも厚く形成され、平面の大きさは、基台よりも小さくされる。納骨壇は、ブロック状とされる。納骨壇には、内部に骨壺を挿入できる円柱形の空間部が形成される。この空間部は、骨壺の直径より若干大きい直径90mm程度に形成される。上蓋は、納骨壇よりも一回り小さく形成される。上蓋には、必要に応じて、内天面に骨壺の上部が入り込む窪みが形成される。上蓋の上には、墓石本体が載置される。墓石本体には、死者の戒名、墓石建立年月日、逝去日等を記入又は刻設される。納骨壇、上蓋及び墓石本体は、基台上に順次積み重ねられる。この場合、部材の互いに対向する位置に窪みとだぼを形成し、両者を嵌合係止することもできる。基台上には、納骨壇の前位置に、花壇及び水鉢等の付属具が載置される。花壇は、水鉢を挟んで左右に対称となる位置に載置される。花壇の上面には、差込穴が形成される。水鉢には、上面中央を窪ませて水盤穴が形成され、その両側に線香立穴が形成される。簡易墓石は、室内の仏壇内やタンスの上に設置することができるように、その大きさを設定する。例えば、基台は、厚さ40mm、幅200mm~300mm、奥行き200mm~300mmとされ、納骨壇は、厚さ80~100mm、幅150mm~300mm、奥行き150mm~300mmとされ、上蓋は、納骨壇に形成した空間部を塞ぐことができ、かつ、納骨壇よりも小さくされ、墓石本体は、高さ150~200mm、幅50mm~100mm、奥行き50mm~100mm程度とされる。基台、納骨壇、上蓋及び墓石本体の全体の高さは、500mm以下の大きさに形成することが望ましい。
【0004】
特許文献3は、簡易納骨壇を開示する。簡易納骨壇では、その中の底部にカロートが内設され、少量化した遺灰が入った骨壺がほぼ密着状態に収納される。カロート上部には、墓石として、墓石座部が墓石本体と一体となって載置される。骨壺は、陶磁器製であり、大きさが適合すれば市販のものも使用可能である。カロートは、コンクリート、プラスチック又は木材で形成することができる。墓石は、天然石又は成形物が主に使用される。天然石の例としては、御影石及び大理石が挙げられる。成形物の例としては、鋳物及び焼物が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3216727号公報
【特許文献2】特開2001-173272号公報
【特許文献3】特開平11-62319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
家庭の諸事情により墓仕舞をすることがある。この諸事情の例としては、生活の拠点が墓地又は霊園から遠方であることが挙げられる。また、故人の遺骨を身近に置いて手元供養することを希望する方もいる。発明者は、このような事情を考慮しつつ、大型とならずに、屋外に設置される一般的な墓と同様、複数の故人の遺骨を一緒に納めることができる室内墓の構造について検討した。
【0007】
本発明は、複数の故人の遺骨を納めることができる、室内墓及び室内墓の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面は、住宅内に設置される室内墓であって、遺骨を納めた容器が収納される納骨室を内部に含む、納骨室体を備え、前記納骨室体は、前記納骨室を閉鎖及び開放する蓋体を含み、前記納骨室は、前記蓋体によって閉鎖された状態では、第一平面、第二平面、第三平面、第四平面、第五平面及び第六平面を含む内壁面によって囲まれた空間であり、前記第一平面は、前記納骨室の水平な奥行方向の手前側に配置され、前記第二平面は、前記納骨室の前記奥行方向の奥側に配置され、前記奥行方向に前記第一平面と向かい合い、前記第三平面は、前記納骨室の前記奥行方向に直交する水平な幅方向の左側に配置され、前記第四平面は、前記納骨室の前記幅方向の右側に配置され、前記幅方向に前記第三平面と向かい合い、前記第五平面は、前記納骨室の前記奥行方向及び前記幅方向の両方向に直交する鉛直な高さ方向の上側に配置され、前記第六平面は、前記納骨室の前記高さ方向の下側に配置され、前記高さ方向に前記第五平面と向かい合う、室内墓である。
【0009】
前記納骨室体は、台座と、前記台座の上に載せ置かれる、壁体と、を含み、前記壁体は、前記納骨室に収納される前記容器が通る収納開口を含み、前記蓋体は、前記収納開口に対して着脱自在に設けられ、前記収納開口に対して設けられた状態では、前記収納開口を閉鎖し、前記収納開口に対して設けられていない状態では、前記収納開口を開放し、前記納骨室は、前記収納開口の閉鎖に伴い閉鎖された状態となり、前記収納開口の開放に伴い開放された状態となる、ようにしてもよい。
【0010】
前記壁体は、前記高さ方向の上側に前記収納開口を含み、前記蓋体は、前記壁体の上に載せ置かれる、ようにしてもよい。
【0011】
このような室内墓によれば、納骨室を6個の平面で囲まれた空間とすることができる。納骨室では、遺骨を納めた複数の容器を奥行方向及び幅方向の一方向又は両方向に並べて収納することが可能となり、又は第六平面内で奥行方向及び幅方向の両方向に交差する方向に並べて収納することが可能となる。
【0012】
室内墓は、仏具が載せ置かれる、載置台を備え、前記壁体の前記奥行方向の寸法は、第一値に設定され、前記載置台の前記奥行方向の寸法は、第二値に設定され、前記台座の前記奥行方向の寸法は、前記第一値及び前記第二値の合計値以上の第三値に設定され、前記載置台は、前記壁体の前記奥行方向の手前側で前記台座の上に載せ置かれる、ようにしてもよい。
【0013】
この構成によれば、載置台を台座の上で壁体の奥行方向の手前側に設置し、遺骨を納めた容器の奥行方向の手前側に仏具を飾ることができる。仏具の例としては、花立、灯立、香炉、おりん、仏飯器及び湯呑が挙げられる。
【0014】
本発明の他の側面は、室内墓の製造方法であって、墓地又は霊園に設置された既存の墓を撤去する第一工程と、前記第一工程で撤去された前記既存の墓を工場に搬送する第二工程と、前記納骨室体を形成する第三工程と、を含み、前記第三工程は、前記納骨室体の一部又は全部の素材として前記第二工程で搬送された前記既存の墓を用いる、製造方法である。
【0015】
本発明の更に他の側面は、室内墓の製造方法であって、墓地又は霊園に設置された既存の墓を撤去する第一工程と、前記第一工程で撤去された前記既存の墓を工場に搬送する第二工程と、前記納骨室体を形成する第三工程と、を含み、前記第三工程は、前記蓋体及び前記壁体の素材として前記第二工程で搬送された前記既存の墓を用いる、製造方法である。
【0016】
本発明の更に他の側面は、室内墓の製造方法であって、墓地又は霊園に設置された既存の墓を撤去する第一工程と、前記第一工程で撤去された前記既存の墓を工場に搬送する第二工程と、前記納骨室体を形成する第三工程と、を含み、前記第三工程は、前記蓋体、前記壁体及び前記載置台の素材として前記第二工程で搬送された前記既存の墓を用いる、製造方法である。
【0017】
このような製造方法によれば、室内墓を、墓地又は霊園に設置された既存の墓から製造することができる。墓仕舞を行いつつ、その後も継続して自宅で故人を手元供養することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の故人の遺骨を納めることができる、室内墓及び室内墓の製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】室内墓の第一例を示す写真である。
図2】室内墓の概略構成を示す斜視図である。室内墓は、図1の室内墓に対応する。室内墓を簡略化し且つ一部の要素を省略して示す。納骨室が閉鎖状態である納骨室体及び2個の容器を収納する納骨室を示す。
図3図2のI-I線断面図である。
図4】納骨室体及び載置台の概略構成を示す斜視図である。納骨室体及び載置台は、図2の室内墓に対応する。納骨室が閉鎖状態である納骨室体及び容器を未収納とする納骨室を示す。
図5】納骨室体及び載置台の概略構成を示す斜視図である。納骨室体及び載置台は、図2の室内墓に対応する。納骨室が開放状態である納骨室体、容器を未収納とする納骨室及び収納対象である2個の容器を示す。
図6】納骨室体及び載置台の概略構成を示す斜視図である。納骨室体及び載置台は、図2の室内墓に対応する。納骨室が開放状態である納骨室体及び2個の容器を収納する納骨室を示す。
図7】蓋体の概略構成を示す斜視図である。蓋体は、図2の室内墓に対応する。高さ方向の下側から見た蓋体を示す。
図8】室内墓の第二例を示す写真である。
図9】室内墓の概略構成を示す斜視図である。室内墓は、図8の室内墓に対応する。室内墓を簡略化し且つ一部の要素を省略して示す。納骨室が閉鎖状態である納骨室体及び2個の容器を収納する納骨室を示す。
図10】納骨室体及び載置台の概略構成を示す斜視図である。納骨室体及び載置台は、図9の室内墓に対応する。納骨室が開放状態である納骨室体、容器を未収納とする納骨室及び収納対象である2個の容器を示す。
図11】納骨室体及び載置台の概略構成を示す斜視図である。納骨室体及び載置台は、図9の室内墓に対応する。納骨室が開放状態である納骨室体及び2個の容器を収納する納骨室を示す。
図12】蓋体の概略構成を示す斜視図である。蓋体は、図9の室内墓に対応する。高さ方向の下側から見た蓋体を示す。
図13】室内墓の第三例を示す写真である。
図14】室内墓の第四例を示す写真である。
図15】室内墓の第五例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を実施するための実施形態について図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成に置換してもよい。本発明は、他の構成を含んでもよい。図面は、本発明を理解するための説明図であり、設計図とは異なる。従って、各図面は、他の図面との対応、又は後述の数値との対応が正確ではない場合もある。ハッチングは、切断面を示す。破線は、かくれ線である。
【0021】
<室内墓10>
室内墓10について図1~7を参照して説明する。実施形態では、室内墓10を特定する方向として、「奥行方向」、「幅方向」及び「高さ方向」を用いる。幅方向は、奥行方向に直交する。高さ方向は、奥行方向及び幅方向の両方向に直交する。奥行方向及び幅方向を水平とし、高さ方向を鉛直とする。奥行方向の一方側を「手前側」といい、これとは反対となる奥行方向の他方側を「奥側」という。幅方向の一方側を「左側」といい、これとは反対となる幅方向の他方側を「右側」という。高さ方向の一方側を「上側」といい、これとは反対となる高さ方向の他方側を「下側」という。
【0022】
室内墓10は、住宅内に設置される。設置場所の例としては、部屋及び廊下が挙げられる。室内墓10の用途の例としては、手元供養が挙げられる。室内墓10は、納骨室体20及び載置台70を備える(図1,2,4~6参照)。室内墓10には、仏具80が設けられる(図1参照)。仏具80については後述する。この他、室内墓10は、仏像90と、位牌91とを備える(図1参照)。図2~6では、仏具80、仏像90及び位牌91の図示は省略する。
【0023】
納骨室体20は、内部に納骨室30を含む(図2~6参照)。納骨室30には、複数の容器15が収納される(図2,3,5,6参照)。容器15には、遺骨が納められる。容器15の例としては、骨壺が挙げられる。容器15としての骨壺のサイズの例としては、概ね直径60~125mm(図3に示す「容器15の直径D」参照)及び高さ70~140mmの範囲が挙げられる。換言すれば、容器15の例としては、2~4寸サイズの骨壺が挙げられる。
【0024】
実施形態では、納骨室体20は、納骨室30に容器15として2個の3寸の骨壺を収納することができる(図2,3,5,6参照)。納骨室体20の各部及び載置台70のサイズについては後述する。容器15は、遺骨を納めることができる態様であればよく、骨壺でなくてもよい。骨壺とは異なる容器15の例としては、骨袋が挙げられる。室内墓10では、容器15として採用する容器は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0025】
納骨室体20は、蓋体40と、台座50と、壁体60とを含む(図1~6参照)。蓋体40は、納骨室30を閉鎖し(図1~4参照)、納骨室30を開放する(図5,6参照)。蓋体40は、高さ方向の下側に嵌合凸部41を含む(図3,7参照)。嵌合凸部41は、蓋体40の高さ方向の下側で高さ方向の下側に突出する。この他、嵌合凸部41については後述する。蓋体40の高さ方向の上側の面は、平面形状を有する。実施形態では、蓋体40は、奥行方向の寸法を幅方向の寸法より短く設定した長方形の外形を有する(図2,4~7参照)。
【0026】
納骨室30は、蓋体40によって閉鎖された状態では、第一平面31、第二平面32、第三平面33、第四平面34、第五平面35及び第六平面36を含む内壁面によって囲まれた空間である(図2,4参照)。第一平面31は、納骨室30の奥行方向の手前側に配置される。第二平面32は、納骨室30の奥行方向の奥側に配置され、奥行方向に第一平面31と向かい合う。第三平面33は、納骨室30の幅方向の左側に配置される。第四平面34は、納骨室30の幅方向の右側に配置され、幅方向に第三平面33と向かい合う。第五平面35は、納骨室30の高さ方向の上側に配置される。第六平面36は、納骨室30の高さ方向の下側に配置され、高さ方向に第五平面35と向かい合う。
【0027】
台座50は、高さ方向の上側及び下側の両面が平行な板状の形状を有する(図2~6参照)。実施形態では、台座50は、奥行方向の寸法L3(図2参照)を幅方向の寸法より長く設定した長方形の外形を有する(図1,2,4~6参照)。台座50の高さ方向の上側の面を「載置面51」という。納骨室体20では、台座50は高さ方向の下側に設けられる。台座50は、室内墓10の高さ方向の下側を形成する。例えば、室内墓10は、台座50の載置面51が水平な状態で住宅内に設置される。壁体60は、台座50の上に載せ置かれる(図1~6参照)。壁体60の上には、蓋体40が載せ置かれる(図1~4参照)。壁体60は、高さ方向に貫通する筒状の形状を有する(図3,5,6参照)。更に、壁体60は、四角筒状の内周面を有する(図2,4~6参照)。
【0028】
実施形態では、壁体60は、幅方向の寸法を奥行方向の寸法L1(図2参照)より長く設定した長方形筒状の形状を有し(図5,6参照)、壁体60の外形は、蓋体40及び壁体60を高さ方向から見た状態で長方形状の蓋体40の外形に一致する(図1~4参照)。壁体60の内周面は、奥行方向に沿った2個の平行な平面部と、幅方向に沿った2個の平行な平面部と、4個の入隅部とを含む(図5,6参照)。この入隅部は、一定の曲率の曲面形状を有し、奥行方向に沿った平面部及び幅方向に沿った平面部を繋ぐ。更に、実施形態では、壁体60は次の態様を有する。即ち、幅方向に沿った平面部の幅方向の寸法は、奥行方向に沿った平面部の奥行方向の寸法より長く設定される(図5,6参照)。奥行方向に沿った部分の厚さT1(図5参照)は一定の寸法とされ、幅方向に沿った部分の厚さT2(図5参照)は一定の寸法とされる。厚さT1,T2は、同一寸法とされる。
【0029】
壁体60では、高さ方向の上側及び下側の両端面は平面とされる(図3,5,6参照)。壁体60は、高さ方向の下側の端面で台座50の載置面51と接する。壁体60では、高さ方向の上側及び下側の両端面は平行に設けられる。但し、壁体60は、高さ方向の上側の端面を高さ方向の下側の端面に対して傾斜した平面としてもよい。納骨室体20では、壁体60が台座50の上に載せ置かれた状態で壁体60の高さ方向の下側の開口は閉鎖される。実施形態では、壁体60の高さ方向の上側の開口を「収納開口61」という。納骨室30に容器15を収納する場合、納骨室30に収納される容器15は収納開口61を通る(図5,6参照)。納骨室30から容器15を取り出す場合、納骨室30から取り出される容器15は収納開口61を通る(図6,5参照)。
【0030】
収納開口61には、蓋体40が着脱自在に設けられる(図4~6参照)。蓋体40は、収納開口61に設けられた状態では収納開口61を閉鎖する(図3参照)。この場合、蓋体40は納骨室30を閉鎖する(図2~4参照)。蓋体40は、収納開口61に設けられていない状態では収納開口61を開放する(図5,6参照)。この場合、蓋体40は納骨室30を開放する。蓋体40では、嵌合凸部41は収納開口61の外周形状に対応した外周形状を有する(図3,5~7参照)。嵌合凸部41の外周形状は、収納開口61の外周形状を縮小させた相似形とされる。蓋体40が収納開口61に設けられた状態では、収納開口61に嵌合凸部41が嵌まり込む(図3参照)。
【0031】
壁体60では、内周面の奥行方向の手前側の幅方向に沿った平面部は、納骨室30の第一平面31を形成し、内周面の奥行方向の奥側の幅方向に沿った平面部は、納骨室30の第二平面32を形成する(図2,4参照)。壁体60では、内周面の幅方向の左側の奥行方向に沿った平面部は、納骨室30の第三平面33を形成し、内周面の幅方向の右側の奥行方向に沿った平面部は、納骨室30の第四平面34を形成する(図2~4参照)。蓋体40では、嵌合凸部41の先端側(高さ方向の下側)の平面は、納骨室30の第五平面35を形成する(図3,7参照)。台座50では、載置面51としての平面の一部は、納骨室30の第六平面36を形成する(図2~5参照)。
【0032】
載置台70は、壁体60の奥行方向の手前側で台座50の上に載せ置かれる(図1,2,4~6参照)。室内墓10では、載置台70は奥行方向に壁体60と並んで設けられる。載置台70は、台座50の上で奥行方向に壁体60と接する。載置台70は、高さ方向の上側及び下側の両面が平行な板状の形状を有する。実施形態では、載置台70は、奥行方向の寸法L2(図2参照)を幅方向の寸法より短く設定した長方形の外形を有する。
【0033】
室内墓10では、載置台70に1個又は複数の仏具80が載せ置かれる(図1参照)。仏具80の例としては、花立、灯立、香炉、おりん、仏飯器及び湯呑が挙げられる。実施形態では、仏具80として花立81、灯立82及び香炉83を例示する。花立81、灯立82及び香炉83は、三具足と称される。花立81、灯立82及び香炉83を区別しない場合又はこれらを総称する場合、「仏具80」という。
【0034】
仏像90及び位牌91は、納骨室体20の高さ方向の上側に載せ置かれる。換言すれば、仏像90及び位牌91は、納骨室30が蓋体40によって閉鎖状態とされた納骨室体20で蓋体40の上に載せ置かれる。
【0035】
<蓋体40のサイズ>
蓋体40の奥行方向の寸法及び幅方向の寸法は、125~350mmであることが好ましく、150~300mmであることがより好ましく、200~285mmであることが更に好ましい。蓋体40の奥行方向の寸法及び幅方向の寸法は、異ならせてもよく又は同じとしてもよい。蓋体40の奥行方向の寸法及び幅方向の寸法を異ならせる場合、蓋体40の奥行方向の寸法は、蓋体40の幅方向の寸法より短く設定してもよく又は長く設定してもよい。嵌合凸部41を含む蓋体40の高さ方向の寸法は、5~40mmであることが好ましく、10~35mmであることがより好ましく、15~30mmであることが更に好ましい。
【0036】
嵌合凸部41の奥行方向の寸法は、後述する壁体60の収納開口61の奥行方向の寸法に対応させて適宜設定され、嵌合凸部41の幅方向の寸法は、後述する壁体60の収納開口61の幅方向の寸法に対応させて適宜設定される。嵌合凸部41の高さ方向の寸法は、後述する壁体60の高さ方向の寸法及び容器15の高さ方向の寸法を考慮して適宜設定される。
【0037】
蓋体40のサイズの一例は次の通りである。即ち、蓋体40では、奥行方向の寸法は200mmに設定してもよく、幅方向の寸法は260mmに設定してもよく、高さ方向の寸法(嵌合凸部41を含む)は20mmに設定してもよい。蓋体40の奥行方向の寸法、幅方向の寸法及び高さ方向の寸法は、諸条件を考慮して適宜設定される。嵌合凸部41では、奥行方向の寸法は140mmに設定してもよく、幅方向の寸法は200mmに設定してもよく、高さ方向の寸法は5mmに設定してもよい。
【0038】
<台座50のサイズ>
台座50の奥行方向の寸法L3及び幅方向の寸法は、170~600mmであることが好ましく、220~530mmであることがより好ましく、270~460mmであることが更に好ましい。台座50の奥行方向の寸法L3及び幅方向の寸法は、異ならせてもよく又は同じとしてもよい。台座50の奥行方向の寸法L3及び幅方向の寸法を異ならせる場合、台座50の奥行方向の寸法L3は、台座50の幅方向の寸法より長く設定してもよく又は短く設定してもよい。台座50の高さ方向の寸法は、5~50mmであることが好ましく、10~40mmであることがより好ましく、20~30mmであることが更に好ましい。
【0039】
台座50のサイズの一例は次の通りである。即ち、台座50では、奥行方向の寸法L3は350mmに設定してもよく、幅方向の寸法は300mmに設定してもよく、高さ方向の寸法は25mmに設定してもよい。台座50の奥行方向の寸法L3、幅方向の寸法及び高さ方向の寸法は、諸条件を考慮して適宜設定される。
【0040】
<壁体60のサイズ>
壁体60の奥行方向の寸法L1及び幅方向の寸法は、125~350mmであることが好ましく、150~300mmであることがより好ましく、200~285mmであることが更に好ましい。壁体60の奥行方向の寸法L1及び幅方向の寸法は、異ならせてもよく又は同じとしてもよい。壁体60の奥行方向の寸法L1及び幅方向の寸法を異ならせる場合、壁体60の奥行方向の寸法L1は、壁体60の幅方向の寸法より短く設定してもよく又は長く設定してもよい。納骨室体20では、壁体60の奥行方向の寸法L1は、蓋体40の奥行方向の寸法と同じとしてもよく又は異ならせてもよい。納骨室体20では、壁体60の幅方向の寸法は、蓋体40の幅方向の寸法と同じとしてもよく又は異ならせてもよい。
【0041】
壁体60の内周面によって囲まれた空間の奥行方向の寸法は、容器15の奥行方向の寸法を考慮して適宜設定され、この空間の幅方向の寸法は、容器15の幅方向の寸法を考慮して適宜設定される。容器15の外形が円形であるとする(図2,5,6参照)。この場合、容器15の奥行方向の寸法及び幅方向の寸法は、一致し、及び容器15の直径D(図3参照)を意味する。壁体60の内周面の入隅部の曲率半径は、5~50mmであることが好ましい。壁体60では、厚さT1,T2は、10~45mmであることが好ましく、20~40mmであることがより好ましく、25~35mmであることが更に好ましい。厚さT1,T2は、同じとしてもよく又は異ならせてもよい。
【0042】
壁体60のサイズの一例は次の通りである。即ち、壁体60では、奥行方向の寸法L1は200mmに設定してもよく、幅方向の寸法は260mmに設定してもよく、高さ方向の寸法は120mmに設定してもよく、厚さT1,T2は30mmに設定してもよい。壁体60の内周面によって囲まれた空間では、奥行方向の寸法は140mmに設定してもよく、幅方向の寸法は200mmに設定してもよい。壁体60の内周面の入隅部では、曲率半径は20mm又は24mmに設定してもよい。
【0043】
<載置台70のサイズ>
載置台70の奥行方向の寸法L2は、50~150mmであることが好ましく、70~130mmであることがより好ましく、90~110mmであることが更に好ましい。載置台70の幅方向の寸法は、125~350mmであることが好ましく、150~300mmであることがより好ましく、200~285mmであることが更に好ましい。
【0044】
載置台70の幅方向の寸法は、壁体60の奥行方向の手前側の幅方向の寸法より長く設定してもよく又は短く設定してもよい。但し、載置台70の幅方向の寸法は、壁体60の奥行方向の手前側の幅方向の寸法と同じとすることが好ましい。この場合、載置台70の幅方向の寸法は、更に次の第一態様及び第二態様を満足する値に設定することがより好ましい。第一態様では、載置台70の幅方向の左側の側面が壁体60の幅方向の左側の側面に沿い、第二態様では、載置台70の幅方向の右側の側面が壁体60の幅方向の右側の側面に沿う(図2,4~6参照)。換言すれば、第一態様では、載置台70の幅方向の左側の側面は壁体60の幅方向の左側の側面を含む仮想の平面内に含まれ、第二態様では、載置台70の幅方向の右側の側面は壁体60の幅方向の右側の側面を含む仮想の平面内に含まれる。載置台70の幅方向の寸法を、壁体60の奥行方向の手前側の幅方向の寸法と同じとし、且つ第一態様及び第二態様が満たされた値に設定することで、室内墓10では、台座50上の壁体60及び載置台70に一体感を付与することができる。
【0045】
載置台70の高さ方向の寸法は、5~35mmであることが好ましく、10~30mmであることがより好ましく、15~25mmであることが更に好ましい。
【0046】
載置台70のサイズの一例は次の通りである。即ち、載置台70では、奥行方向の寸法L2は100mmに設定してもよく、幅方向の寸法は260mmに設定してもよく、高さ方向の寸法は20mmに設定してもよい。載置台70の奥行方向の寸法L2、幅方向の寸法及び高さ方向の寸法は、諸条件を考慮して適宜設定される。
【0047】
<室内墓10の素材>
室内墓10では、蓋体40、壁体60及び載置台70は石製とされる。蓋体40及び壁体60は同じ種類の石を素材としてもよい。更に、載置台70は、蓋体40及び壁体60と同じ種類の石を素材としてもよい。但し、蓋体40、壁体60及び載置台70の一部又は全部は異なる種類の石を素材としてもよい。室内墓10では、公知の墓で採用される石を素材として採用することができる。素材としての石の例としては、花崗岩、閃緑岩、斑れい岩、安山岩及び凝灰岩が挙げられる。
【0048】
室内墓10では、台座50は木製としてもよい。台座50を木製とすることで、室内墓10の取り扱いを容易にすることができる。例えば、木製の台座50によれば、台座50が石製である場合と比較し、室内墓10の重量を軽量化することができ、更に、室内墓10の設置面の傷付きを抑制することが可能となる。
【0049】
<室内墓10の製造方法>
室内墓10の製造方法は、第一工程と、第二工程と、第三工程とを含む。第一工程は、墓地又は霊園に設置された既存の墓を撤去する。墓は、石製である。第一工程では、既存の墓が解体される。墓の解体は、公知の手法にて行われる。
【0050】
第二工程は、第一工程で撤去された既存の墓を工場に搬送する。第二工程には、貨物自動車を用いてもよい。即ち、撤去済みの既存の墓は、貨物自動車に積載され、工場に搬送される。工場の例としては、石材加工所が挙げられる。
【0051】
第三工程は、納骨室体20を形成する。即ち、第三工程は、石製の蓋体40、壁体60及び載置台70を形成し、更に、石製の仏像90及び位牌91を形成する。蓋体40、壁体60及び載置台70は、第二工程で搬送された既存の墓を素材とする。仏像90及び位牌91は、第二工程で搬送された既存の墓を素材としてもよく、又はこれとは異なる石を素材としてもよい。例えば、図1の室内墓10では、仏像90は第二工程で搬送された既存の墓とは異なる石を素材とし、位牌91の見台は第二工程で搬送された既存の墓を素材とし、見台を除く位牌91の部分は第二工程で搬送された既存の墓とは異なる石を素材とする。この他、第三工程は、木を素材として木製の台座50を形成する。
【0052】
第三工程では、石を対象とした公知の加工法及び木を対象とした公知の加工法が採用される。加工法の例としては、切り出し、切削及び研磨が挙げられる。切削は、穴加工を含む。この他、加工法は、図柄及び文字の一方又は両方の彫り込み及び色付けを含んでもよい。台座50の素材となる木は、無垢材とすることができる。但し、この木は、集成材であってもよく、又は木質材であってもよい。
【0053】
第三工程の終了に伴い、室内墓10の製造方法は終了する。その後、室内墓10は、依頼者が指定する住宅に納入及び設置される。室内墓10の納入には、付属品を含めてもよい。付属品の例としては、仏具80が挙げられる。但し、一部又は全ての仏具80は、第三工程で形成してもよい。一部又は全ての仏具80は、第二工程で搬送された既存の墓を素材としてもよい。仏具80の素材は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0054】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0055】
(1)室内墓10は、住宅内に設置される。室内墓10は、納骨室体20を備える(図1,2,4~6参照)。納骨室体20は、納骨室30を内部に含む(図2~6参照)。納骨室30には、遺骨を納めた容器15が収納される(図2,3,5,6参照)。納骨室体20は、蓋体40を含む(図1~6参照)。蓋体40は、納骨室30を閉鎖及び開放する。納骨室30は、第一平面31、第二平面32、第三平面33、第四平面34、第五平面35及び第六平面36を含む内壁面によって囲まれた空間である(図2,4参照)。第一平面31は、納骨室30の奥行方向の手前側に配置される。第二平面32は、納骨室30の奥行方向の奥側に配置され、奥行方向に第一平面31と向かい合う。第三平面33は、納骨室30の幅方向の左側に配置される。第四平面34は、納骨室30の幅方向の右側に配置され、幅方向に第三平面33と向かい合う。第五平面35は、納骨室30の高さ方向の上側に配置される。第六平面36は、納骨室30の高さ方向の下側に配置され、高さ方向に第五平面35と向かい合う。
【0056】
納骨室体20は、台座50と、壁体60とを含む(図1~6参照)。壁体60は、台座50の上に載せ置かれる。壁体60は、収納開口61を含む(図3,5,6参照)。収納開口61は、壁体60の高さ方向の上側に設けられる。収納開口61には、納骨室30に収納される容器15が通る(図5,6参照)。蓋体40は、収納開口61に対して着脱自在に設けられる(図4~6参照)。蓋体40は、壁体60の上に載せ置かれる(図1~4参照)。蓋体40は、収納開口61に対して設けられた状態では、収納開口61を閉鎖する(図3参照)。納骨室30は、収納開口61の閉鎖に伴い閉鎖された状態となる(図2~4参照)。蓋体40は、収納開口61に対して設けられていない状態では、収納開口61を開放する(図5,6参照)。納骨室30は、収納開口61の開放に伴い開放された状態となる。
【0057】
室内墓10によれば、納骨室30を6個の平面で囲まれた空間とすることができる。納骨室30では、遺骨を納めた2個の容器15を幅方向に並べて収納することができる(図2,3,5,6参照)。この他、納骨室30では、遺骨を納めた2個の容器15を次の方向に並べて収納することもできる。この方向は、第六平面36内で奥行方向及び幅方向の両方向に交差する。
【0058】
(2)室内墓10では、壁体60の奥行方向の寸法L1、載置台70の奥行方向の寸法L2及び台座50の奥行方向の寸法L3は「L3≧L1+L2」の関係に設定される(図2参照)。この構成によれば、載置台70を台座50の上で壁体60の奥行方向の手前側に設置し、遺骨を納めた容器15の奥行方向の手前側に仏具80を飾ることができる。室内墓10では、台座50の幅方向の寸法は、蓋体40の幅方向の寸法、壁体60の幅方向の寸法及び載置台70の幅方向の寸法より長く設定される。台座50の上に蓋体40が載せ置かれた壁体60の全体を載せ置き、更に、その奥行方向の手前側に載置台70の全体を載せ置くことができる(図1,2,4参照)。
【0059】
(3)室内墓10の製造方法は、第一工程と、第二工程と、第三工程とを含む。第一工程は、墓地又は霊園に設置された既存の墓を撤去する。第二工程は、第一工程で撤去された既存の墓を工場に搬送する。第三工程は、納骨室体20を形成する。即ち、第三工程は、第二工程で搬送された既存の墓を素材として石製の蓋体40及び壁体60を形成する。更に、第三工程は、第二工程で搬送された既存の墓を素材として石製の載置台70を形成する。この他、第三工程は、石を素材として石製の仏像90及び位牌91を形成し、木を素材として木製の台座50を形成する。図1に例示する室内墓10では、位牌91の見台は第二工程で搬送された既存の墓を素材とし、仏像90及び見台を除く位牌91の部分は第二工程で搬送された既存の墓とは異なる石を素材とする。
【0060】
室内墓10の製造方法によれば、室内墓10を、墓地又は霊園に設置された既存の墓から製造することができる。墓仕舞を行いつつ、その後も継続して自宅で故人を手元供養することができる。
【0061】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は適宜省略する。
【0062】
(1)室内墓10は、内部に納骨室30を含む納骨室体20を備える(図1~6参照)。納骨室体20は、蓋体40と、台座50と、壁体60とを含む。蓋体40は、長方形の外形を有する(図2,4~7参照)。壁体60は、長方形筒状の形状を有する(図5,6参照)。納骨室30は、蓋体40によって閉鎖された状態では、第一平面31、第二平面32、第三平面33、第四平面34、第五平面35及び第六平面36を含む内壁面によって囲まれた直方体状の空間である(図2,4参照)。
【0063】
室内墓10では、納骨室体20及び載置台70は図1~7とは異なる態様としてもよい。この変形例の説明では、図1~7に基づき上述した実施形態との対応を明らかにするため、各部に対する符号は上記同様とする(図8~12参照)。図9~11では、仏具80及び仏石92の図示は省略する。仏石92については後述する。この変形例の納骨室体20では、蓋体40は、幅方向の寸法が奥行方向の手前側より奥側で幅広となる台形状の外形を有し、壁体60は、台形筒状の形状を有する。壁体60の外形は、蓋体40及び壁体60を高さ方向から見た状態で台形状の蓋体40の外形に一致する(図8,9参照)。
【0064】
この変形例の載置台70は、幅方向の寸法が奥行方向の手前側より奥側で幅広となる台形状の外形を有する(図8~11参照)。載置台70の奥行方向の奥側の幅方向の寸法は、壁体60の奥行方向の手前側の幅方向の寸法に一致する。この変形例の納骨室体20及び載置台70では、載置台70の幅方向の左側の側面は壁体60の幅方向の左側の側面に沿い、載置台70の幅方向の右側の側面は壁体60の幅方向の右側の側面に沿う。換言すれば、載置台70の幅方向の左側の側面は壁体60の幅方向の左側の側面を含む仮想の平面内に含まれ、載置台70の幅方向の右側の側面は壁体60の幅方向の右側の側面を含む仮想の平面内に含まれる。
【0065】
この変形例の蓋体40のサイズの一例は次の通りである。即ち、この変形例の蓋体40では、奥行方向の寸法は200mmに設定してもよく、幅方向の最大寸法は260mmに設定してもよく、高さ方向の寸法(嵌合凸部41を含む)は20mmに設定してもよい。この変形例の嵌合凸部41では、奥行方向の寸法は140mmに設定してもよく、幅方向の最大寸法は200mmに設定してもよく、高さ方向の寸法は5mmに設定してもよい。
【0066】
この変形例の壁体60のサイズの一例は次の通りである。即ち、この変形例の壁体60では、奥行方向の寸法L1(図9参照)は200mmに設定してもよく、幅方向の最大寸法は260mmに設定してもよく、高さ方向の寸法は120mmに設定してもよく、厚さT1,T2(図10参照)は、30mmに設定してもよい。この変形例の壁体60の内周面によって囲まれた空間では、奥行方向の寸法は140mmに設定してもよく、幅方向の最大寸法は200mmに設定してもよい。この変形例の壁体60の内周面の入隅部では、曲率半径は20mm又は24mmに設定してもよい。
【0067】
この変形例の載置台70のサイズの一例は次の通りである。即ち、この変形例の載置台70では、奥行方向の寸法L2(図9参照)は100mmに設定してもよく、幅方向の最小寸法は200mmに設定してもよく、高さ方向の寸法は20mmに設定してもよい。この変形例の載置台70では、幅方向の寸法は、奥行方向の手前側で最小となり、奥行方向の奥側で最大となる。上述した通り、この載置台70の奥行方向の奥側の幅方向の寸法(最大寸法)は、この変形例の壁体60の奥行方向の手前側の幅方向の寸法に一致する。
【0068】
容器15が3寸の骨壺であるとする。この場合、この変形例の納骨室体20は、上述した実施形態の納骨室体20と同様(図2,3,5,6参照)、納骨室30に容器15として2個の3寸の骨壺を収納することができる(図9~11参照)。但し、この変形例の納骨室体20では、2個の容器15は、奥行方向にずらしつつ幅方向に配置した状態で納骨室30に収納される。
【0069】
(2)室内墓10は、仏像90と、位牌91とを備える(図1参照)。室内墓10は、仏像90及び位牌91の一方又は両方を省略してもよい。室内墓10は、仏石92を備えてもよく(図8,13,14参照)、又は仏石92及び宝珠93を備えてもよい(図15参照)。図13,14の室内墓10は、図1の室内墓10と同じ構造の納骨室体20及び載置台70を備える。図15の室内墓10は、図8の室内墓10と同じ構造の納骨室体20及び載置台70を備える。室内墓10が仏石92を備えるとする(図8,13~15参照)。この場合、室内墓10の製造方法では、第三工程は仏石92を形成する。室内墓10が宝珠93を備えるとする(図15)。この場合、室内墓10の製造方法では、第三工程は、宝珠93を形成する。仏石92及び宝珠93は、第二工程で搬送された既存の墓を素材としてもよく、又はこれとは異なる石を素材としてもよい。例えば、図8,13~15の室内墓10では、仏石92は第二工程で搬送された既存の墓を素材とし、図15の室内墓10では、宝珠93は第二工程で搬送された既存の墓を素材とする。
【0070】
図1,8,13~15の室内墓10では、奥行方向の寸法、幅方向の寸法及び高さ方向の寸法(全高)は次の通りである。即ち、図1,8,13~15の全ての室内墓10では、台座50が同じ仕様とされ、奥行方向の寸法(図2,9に示す「台座50の奥行方向の寸法L3」参照)は350mmに設定され、幅方向の寸法(「台座50の幅方向の寸法」参照)は300mmに設定される。図1の室内墓10では、高さ方向の寸法は300mmに設定される。図8,13の室内墓10では、高さ方向の寸法は290mmに設定される。図14の室内墓10では、高さ方向の寸法は260mmに設定される。図15の室内墓10では、高さ方向の寸法は340mmに設定される。図1,8,13~15の室内墓10の重量は、概ね12.5~16kgの範囲に含まれる。但し、室内墓10の重量は、室内墓10のサイズの他、石種及び仕様(仏像90、位牌91、仏石92及び宝珠93)によっても相違する。
【0071】
(3)納骨室体20では、壁体60は高さ方向の上側に収納開口61を含み、蓋体40は収納開口61に対して着脱自在に壁体60の上に載せ置かれる(図1~6参照)。室内墓10では、納骨室30への容器15の収納及び納骨室30からの容器15の取り出しは、納骨室30を開放状態として納骨室体20の高さ方向の上側から実施される(図5,6参照)。納骨室への容器15の収納及び納骨室からの容器15の取り出しは、高さ方向の上側とは異なる向きに実施してもよい。この場合、壁体及び蓋体は、容器15の収納及び取り出しの向きに応じた構造へと適宜変更される。
【0072】
納骨室への容器15の収納及び納骨室からの容器15の取り出しを奥行方向の手前側から行うとする。この場合、納骨室体は、収納開口が奥行方向の手前側に配置される構造を有する。納骨室が閉鎖された状態では、蓋体は納骨室体の奥行方向の手前側に設けられ、嵌合凸部はこの蓋体の奥行方向の奥側で奥行方向の奥側に突出する。壁体は、奥行方向の奥側、幅方向の左側及び右側及び高さ方向の上側の四方から覆われ、奥行方向の手前側及び高さ方向の下側に開口する。蓋体では、嵌合凸部の先端側(奥行方向の奥側)の平面部は、納骨室の第一平面を形成する。壁体では、奥行方向の奥側を形成する部分の奥行方向の手前側の平面部は、納骨室の第二平面を形成し、幅方向の左側を形成する部分の幅方向の右側の平面部は、納骨室の第三平面を形成し、幅方向の右側を形成する部分の幅方向の左側の平面部は、納骨室の第四平面を形成し、高さ方向の上側を形成する部分の高さ方向の下側の平面部は、納骨室の第五平面を形成する。台座50では、載置面51としての平面の一部は、納骨室の第六平面を形成する。
【0073】
(4)室内墓10の製造方法は、第一工程と、第二工程と、第三工程とを含む。第一工程は、墓地又は霊園に設置された既存の墓を撤去する。第二工程は、第一工程で撤去された既存の墓を工場に搬送する。第三工程は、納骨室体20及び載置台70を形成する。第三工程は、第二工程で搬送された既存の墓を素材として石製の蓋体40、壁体60及び載置台70を形成する。蓋体40、壁体60及び載置台70は、第二工程で搬送された既存の墓とは異なる石を素材としてもよい。この場合、第一工程及び第二工程は省略される。第三工程は、既存の墓とは別の石を素材として蓋体40、壁体60及び載置台70を形成する。墓仕舞に関わらず室内墓10を得ることができる。
【0074】
(5)納骨室体20では、台座50は高さ方向の上側及び下側の両面が平行な板状の形状を有する(図2~6参照)。台座は、引き出しを含む家具調台であってもよい。但し、台座は、上述した台座50と同様、高さ方向の上側及び下側の両面が平行な形状を有する。台座として家具調台を採用した場合も、室内墓は、台座の高さ方向の上側の載置面が水平な状態で住宅内に設置される。
【符号の説明】
【0075】
10 室内墓、 15 容器、 20 納骨室体、 30 納骨室、 31 第一平面
32 第二平面、 33 第三平面、 34 第四平面、 35 第五平面
36 第六平面、 40 蓋体、 41 嵌合凸部、 50 台座、 51 載置面
60 壁体、 61 収納開口、 70 載置台、 80 仏具、 81 花立
82 灯立、 83 香炉、 90 仏像、 91 位牌、 92 仏石
93 宝珠、 D 直径(容器15)、 L1 寸法(壁体60,奥行方向)
L2 寸法(載置台70,奥行方向)、 L3 寸法(台座50,奥行方向)
T1,T2 厚さ(壁体60)
図1
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