(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144899
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】インターホンシステムおよびナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20241004BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20241004BHJP
H04N 13/302 20180101ALI20241004BHJP
G06F 3/0484 20220101ALI20241004BHJP
G06F 3/0346 20130101ALI20241004BHJP
【FI】
G06F3/01 510
H04M9/00 D
H04N13/302
G06F3/0484
G06F3/0346 422
G06F3/01 570
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057069
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】大政 拓輝
(72)【発明者】
【氏名】山本 将之
(72)【発明者】
【氏名】楠 浩和
【テーマコード(参考)】
5B087
5E555
5K038
【Fターム(参考)】
5B087BC06
5B087DE01
5B087DE03
5E555AA02
5E555AA11
5E555AA22
5E555AA25
5E555AA27
5E555AA64
5E555BA01
5E555BB01
5E555BC04
5E555BE16
5E555CA41
5E555CA42
5E555CA47
5E555DA11
5E555DA21
5E555DB20
5E555DB41
5E555DB53
5E555DC13
5E555DC35
5E555DC36
5E555DC37
5E555DC43
5E555DC84
5E555FA00
5K038AA06
5K038BB01
5K038CC12
5K038DD15
5K038DD18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】来訪者による取り扱いの利便性を向上させる空中タッチディスプレイを備えたインターホンシステム及びナースコールシステムを提供する。
【解決手段】家屋Mにおいて、インターホンシステム1は、玄関子機10と、居室親機と、を備える。玄関子機は、空中画像を来訪者に向けて表示するための空中タッチディスプレイ100と、制御部と、来訪者検出部と、を備えている。来訪者検出部は、来訪者が第一範囲内に居ることに対応する検出信号を制御部に出力する。制御部は、空中タッチディスプレイ100を制御し、空中画像の表示状態を変更させる。表示状態を変更させることは、検出信号を受信したことを受けて、空中画像の表示を開始することを含む。さらに、制御部は、検知部によって来訪者による操作入力が検出されるまでに、表示状態を変更する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者が居住者を呼び出して通話するための玄関子機と、前記玄関子機からの呼び出しに前記居住者が応答するための居室親機と、を備えたインターホンシステムであって、
前記玄関子機は、
空中画像を前記来訪者に向けて表示するための空中タッチディスプレイであって、前記空中画像を生成するための光を出射する光源と、前記光の反射および透過の少なくとも一方によって前記空中画像を所定の空間に結像する光学部材と、前記空中画像に対する前記来訪者の操作入力を検知する検知部と、を有する空中タッチディスプレイと、
前記空中タッチディスプレイを制御する制御部と、
前記来訪者が第一範囲内に居ることに対応する検出信号を前記制御部に出力するように構成されている来訪者検出部と、
を備え、
前記制御部は、前記空中画像の表示状態を変更させるように構成されており、
前記表示状態を変更させることは、前記検出信号を受信したことを受けて、前記空中画像の表示を開始することを含み、
前記制御部は、前記検知部によって前記来訪者による前記操作入力が検出されるまでに、前記表示状態を変更するように構成されている、
インターホンシステム。
【請求項2】
来訪者が居住者を呼び出して通話するための玄関子機と、前記玄関子機からの呼び出しに前記居住者が応答するための居室親機と、を備えたインターホンシステムであって、
前記玄関子機は、
空中画像を前記来訪者に向けて表示するための空中タッチディスプレイであって、前記空中画像を生成するための光を出射する光源と、前記光の反射および透過のうちの少なくとも一方によって前記空中画像を所定の空間に結像する光学部材と、を有する空中タッチディスプレイと、
前記空中タッチディスプレイを制御する制御部と、
前記来訪者が第一範囲内に居ることに対応する第一検出信号を前記制御部に出力するように構成されている来訪者検出部と、
を備え、
前記制御部は、前記空中画像の表示状態を変更させるように構成されており、
前記表示状態を変更させることは、前記制御部が前記第一検出信号を受信したことを受けて、前記空中画像の表示を開始することを含み、
前記来訪者検出部は、前記第一範囲よりも前記玄関子機に近い第二範囲内に前記来訪者が近づいたことに対応する第二検出信号を前記制御部に出力するように構成され、
前記制御部は、前記第二検出信号を受信すると、前記表示状態を変更させるように構成されている、
インターホンシステム。
【請求項3】
前記表示状態を変更させることは、前記来訪者を前記空中画像の操作が可能な領域内に誘導するための表示を実行することを含む、請求項1または2に記載のインターホンシステム。
【請求項4】
前記来訪者の前記玄関子機に対する位置情報を取得可能な位置情報取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記位置情報に応じて前記空中画像の前記表示状態を変更させるように構成されている、
請求項1または2に記載のインターホンシステム。
【請求項5】
前記表示状態を変更させることは、前記空中画像の大きさ、位置、色、明るさ、点滅状態、表示内容の少なくとも一つを変更させることを含む、請求項1または2に記載のインターホンシステム。
【請求項6】
操作受付部を有するハード機器と、
空中画像をユーザに向けて表示するための空中タッチディスプレイであって、前記空中画像を生成するための光を出射する光源と、前記光の反射および透過のうちの少なくとも一方によって前記空中画像を所定の空間に結像する光学部材と、前記空中画像に対する前記ユーザの操作入力を検知する検知部と、を有する空中タッチディスプレイと、
前記ハード機器と、前記空中タッチディスプレイと、を制御する制御部と、
前記ハード機器または前記空中タッチディスプレイの近傍に設けられて来訪者の人物認証を実行し、取得した人物情報を前記制御部に出力する情報取得部と、
前記来訪者が第一範囲内に居ることに対応する検出信号を前記制御部に出力するように構成されている位置取得部と、
を備え、
前記制御部は、前記空中画像の表示状態を変更させるように構成されており、
前記表示状態を変更させることは、前記検出信号を受信したことを受けて、前記空中画像の表示を開始することを含み、
前記制御部は、少なくとも前記人物情報に基づいて、前記検知部によって前記来訪者による前記操作入力が検出されるまでに、前記表示状態を変更するように構成されている、
ナースコールシステム。
【請求項7】
操作受付部を有するハード機器と、
空中画像をユーザに向けて表示するための空中タッチディスプレイであって、前記空中画像を生成するための光を出射する光源と、前記光の反射および透過のうちの少なくとも一方によって前記空中画像を所定の空間に結像する光学部材と、を有する空中タッチディスプレイと、
前記ハード機器と、前記空中タッチディスプレイと、を制御する制御部と、
前記ハード機器または前記空中タッチディスプレイの近傍に設けられて来訪者の人物認証を実行し、取得した人物情報を前記制御部に出力する情報取得部と、
前記来訪者が第一範囲内に居ることに対応する第一検出信号を前記制御部に出力するように構成されている位置取得部と、
を備え、
前記制御部は、前記空中画像の表示状態を変更させるように構成されており、
前記表示状態を変更させることは、前記制御部が前記第一検出信号を受信したことを受けて、前記空中画像の表示を開始することを含み、
前記位置取得部は、前記第一範囲よりも前記ハード機器に近い第二範囲内に前記来訪者が近づいたことに対応する第二検出信号を前記制御部に出力するように構成され、
前記制御部は、前記人物情報と前記第二検出信号とを受信すると、前記表示状態を変更させるように構成されている、
ナースコールシステム。
【請求項8】
前記ハード機器は、廊下灯またはナースコール親機である、
請求項6または7に記載のナースコールシステム。
【請求項9】
前記表示状態を変更させることは、前記空中画像の大きさ、位置、色、明るさ、点滅状態、表示内容の少なくとも一つを変更させることを含む、
請求項6または7に記載のナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インターホンシステムおよびナースコールシステムに関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、来訪者が居住者を呼び出して通話するための集合玄関機を備えるインターホンシステムが開示されている。集合玄関機は、来訪者に向けて表示され、来訪者による操作を検知可能な空中タッチディスプレイを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、空中タッチディスプレイを備えたインターホンシステムおよびナースコールシステムにおいて、来訪者による取り扱いの利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示により提供される態様例の一つは、インターホンシステムであって、
来訪者が居住者を呼び出して通話するための玄関子機と、前記玄関子機からの呼び出しに前記居住者が応答するための居室親機と、を備えたインターホンシステムであって、
前記玄関子機は、
空中画像を前記来訪者に向けて表示するための空中タッチディスプレイであって、前記空中画像を生成するための光を出射する光源と、前記光の反射および透過の少なくとも一方によって前記空中画像を所定の空間に結像する光学部材と、前記空中画像に対する前記来訪者の操作入力を検知する検知部と、を有する空中タッチディスプレイと、
前記空中タッチディスプレイを制御する制御部と、
前記来訪者が第一範囲内に居ることに対応する検出信号を前記制御部に出力するように構成されている来訪者検出部と、
を備え、
前記制御部は、前記空中画像の表示状態を変更させるように構成されており、
前記表示状態を変更させることは、前記検出信号を受信したことを受けて、前記空中画像の表示を開始することを含み、
前記制御部は、前記検知部によって前記来訪者による前記操作入力が検出されるまでに、前記表示状態を変更するように構成されている。
【0006】
上記のような構成によれば、検知部によって来訪者による操作入力が検出されるまでに、空中画像の表示状態が変更されるので、来訪者に対してどのような行動をするべきかを示唆することがより容易となる。来訪者による操作入力の開始まで、空中画像の表示状態を変更しながら空中画像を投影するので、来訪者のスムーズな案内を行う構成が可能となる。これにより、空中タッチディスプレイを備えた集合玄関機を備えるインターホンシステムにおいて、来訪者による取り扱いの利便性が向上する。
【0007】
本開示により提供される態様例の一つは、インターホンシステムであって、
来訪者が居住者を呼び出して通話するための玄関子機と、前記玄関子機からの呼び出しに前記居住者が応答するための居室親機と、を備えたインターホンシステムであって、
前記玄関子機は、
空中画像を前記来訪者に向けて表示するための空中タッチディスプレイであって、前記空中画像を生成するための光を出射する光源と、前記光の反射および透過の少なくとも一方によって前記空中画像を所定の空間に結像する光学部材と、を有する空中タッチディスプレイと、
前記空中タッチディスプレイを制御する制御部と、
前記来訪者が第一範囲内に居ることに対応する第一検出信号を前記制御部に出力するように構成されている来訪者検出部と、
を備え、
前記制御部は、前記空中画像の表示状態を変更させるように構成されており、
前記表示状態を変更させることは、前記第一検出信号を受信したことを受けて、前記空中画像の表示を開始することを含み、
前記来訪者検出部は、前記第一範囲よりも前記玄関子機に近い第二範囲内に前記来訪者が近づいたことに対応する第二検出信号を前記制御部に出力するように構成され、
前記制御部は、前記第二検出信号を受信すると、前記表示状態を変更させるように構成されている。
【0008】
上記構成によれば、制御部は、玄関子機から第一範囲内に来訪者が居ることに対応する第一検出信号を受信して玄関子機に近い第二範囲内に来訪者が居ることに対応する第二検出信号を受信すると、空中画像の表示状態を変更させる。このため、第一範囲内に居る来訪者と第二範囲内に居る来訪者とに対して、それぞれの状況に適した情報を表示することが可能となる。これにより、空中タッチディスプレイを備えた集合玄関機を備えるインターホンシステムにおいて、来訪者による取り扱いの利便性が向上する。
【0009】
本開示により提供される態様例の一つは、ナースコールシステムであって、
操作受付部を有するハード機器と、
空中画像をユーザに向けて表示するための空中タッチディスプレイであって、前記空中画像を生成するための光を出射する光源と、前記光の反射および透過のうちの少なくとも一方によって前記空中映像を所定の空間に結像する光学部材と、前記空中画像に対する前記ユーザの操作入力を検知する検知部と、を有する空中タッチディスプレイと、
前記ハード機器と、前記空中タッチディスプレイと、を制御する制御部と、
前記ハード機器または前記空中タッチディスプレイの近傍に設けられて来訪者の人物認証を実行し、取得した人物情報を前記制御部に出力する情報取得部と、
前記来訪者が第一範囲内に居ることに対応する検出信号を前記制御部に出力するように構成されている位置取得部と、
を備え、
前記制御部は、前記空中画像の表示状態を変更させるように構成されており、
前記表示状態を変更させることは、前記検出信号を受信したことを受けて、前記空中画像の表示を開始することを含み、
前記制御部は、少なくとも前記人物情報に基づいて、前記検知部によって前記来訪者による前記操作入力が検出されるまでに、前記表示状態を変更するように構成されている。
【0010】
上記構成によれば、空中画像の表示は、来訪者が第一範囲に入ってから開始されるように構成されているので、来訪者に対して空中画像は注目されやすくなる。また、制御部は、少なくとも人物情報に基づいて、検知部によって来訪者による操作入力が検出されるまでに、空中画像の表示状態を変更するように構成されている。このため、空中タッチディスプレイは来訪者それぞれに適した情報を表示することが可能となる。これにより、空中タッチディスプレイを備えた廊下灯を備えるインターホンシステムにおいて、来訪者による取り扱いの利便性が向上する。
【0011】
本開示により提供される態様例の一つは、ナースコールシステムであって、
操作受付部を有するハード機器と、
空中画像をユーザに向けて表示するための空中タッチディスプレイであって、前記空中画像を生成するための光を出射する光源と、前記光の反射および透過のうちの少なくとも一方によって前記空中映像を所定の空間に結像する光学部材と、を有する空中タッチディスプレイと、
前記ハード機器と、前記空中タッチディスプレイと、を制御する制御部と、
前記ハード機器または前記空中タッチディスプレイの近傍に設けられて来訪者の人物認証を実行し、取得した人物情報を前記制御部に出力する情報取得部と、
前記来訪者が第一範囲内に居ることに対応する第一検出信号を前記制御部に出力するように構成されている位置取得部と、
を備え、
前記制御部は、前記空中画像の表示状態を変更させるように構成されており、
前記表示状態を変更させることは、前記制御部が前記第一検出信号を受信したことを受けて、前記空中画像の表示を開始することを含み、
前記位置取得部は、前記第一範囲よりも前記ハード機器に近い第二範囲内に前記来訪者が近づいたことに対応する第二検出信号を前記制御部に出力するように構成され、
前記制御部は、前記人物情報と前記第二検出信号とを受信すると、前記表示状態を変更させるように構成されている。
【0012】
上記構成によれば、空中画像の表示は、第一検出信号を受信したことを受けて、開始されるように構成されているので、来訪者に対して空中画像は注目されやすくなる。また、制御部は、少なくとも人物情報に基づいて、第二検出信号を受信すると、空中画像の表示状態を変更するように構成されている。このため、空中タッチディスプレイは来訪者Wそれぞれに適した情報を表示することが可能となる。これにより、空中タッチディスプレイを備えた廊下灯を備えるインターホンシステムにおいて、来訪者による取り扱いの利便性が向上する。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、空中タッチディスプレイを備えたインターホンシステムおよびナースコールシステムにおいて、来訪者による取り扱いの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るインターホンシステムの構成図である。
【
図2】
図2は、インターホンシステムが設けられるエントランスを例示している。
【
図3】
図3は、空中タッチディスプレイを備える玄関子機の模式図である。
【
図4】
図4は、第一実施形態における第一の表示状態の空中画像を例示する。
【
図5】
図5は、第一実施形態における第二の表示状態の空中画像を例示する。
【
図6】
図6は、第二実施形態における第一の表示状態および第二の表示状態の空中画像を例示する。
【
図7】
図7は、空中タッチディスプレイを備える玄関子機を例示している。
【
図8】
図8は、第一範囲に進入した来訪者と空中画像を例示している
【
図9】
図9は、第一範囲内において玄関子機に近づいた来訪者と空中画像を例示する。
【
図10】
図10は、第二範囲内の来訪者と空中画像を例示する。
【
図11】
図11は、来訪者が第二範囲内に居るときに表示される空中画像の一例である。
【
図12】
図12は、廊下灯を含むナースコールシステムのブロック構成図である。
【
図13】
図13は、ナースコールシステムが設けられる廊下を例示している。
【
図14】
図14は、第五実施形態における第一の表示状態の空中画像を例示している。
【
図15】
図15は、第二範囲内に居る来訪者が、医師、看護師等の医療従事者であった場合の第二の表示状態の空中画像を例示している。
【
図16】
図16は、第二範囲内に居る来訪者が、患者に院内食を提供する配膳担当者であった場合の第二の表示状態の空中画像を例示している。
【
図17】
図17は、第二範囲内に居る来訪者が、患者に面会に来た面会者であった場合の第二の表示状態の空中画像を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態例について添付の図面を参照しながら説明する。以下の説明に用いられる各図面においては、各要素を認識可能な大きさとするために縮尺が適宜に変更されている。
【0016】
なお、本明細書で用いられる「前後方向」という語は、インターホンシステムあるいはナースコールシステムが設けられる空間において設定された前方向と後方向に沿う方向を意味している。同様に、「左右方向」という語は、インターホンシステムあるいはナースコールシステムが設けられる空間において設定された左方向と右方向に沿う方向を意味している。「上下方向」という語は、インターホンシステムあるいはナースコールシステムが設けられる空間において設定された上方向と下方向に沿う方向を意味している。
【0017】
各図面において、符号Fは「前方向」を意味している。符号Bは「後方向」を意味している。符号Lは「左方向」を意味している。符号Rは「右方向」を意味している。符号Uは「上方向」を意味している。符号Dは「下方向」を意味している。
【0018】
(インターホンシステム1の基本構成)
図1は、本実施形態に係るインターホンシステム1の構成図である。
図2は、インターホンシステム1が設けられるエントランスEを例示している。エントランスEは、インターホンシステム1の一部の装置が設けられる空間の一例であり、屋外から集合住宅等の家屋Mに来訪した来訪者Wを一時的に迎え入れる空間である。
【0019】
エントランスEには第一扉210が設けられている。第一扉210は、屋外OとエントランスEとを隔てるように設けられている。エントランスEには第二扉220が設けられている。第二扉220は、エントランスEと、居住区Iとを隔てるように設けられている。居住区Iは、家屋Mの居住者と家屋Mの管理者の他に、居住者に認可された者のみが進入できる空間である。
【0020】
インターホンシステム1は、玄関子機10を備えている。玄関子機10は、エントランスEに設けられている。玄関子機10は、第二扉220の付近に設けられていてもよい。玄関子機10は、例えば、家屋Mに設けられた居室親機20等を介して、居住者や管理者等を呼び出して通話できるように構成されている。玄関子機10は、カメラを備え、来訪者Wの顔等を撮像するように構成されていてもよい。
【0021】
インターホンシステム1は、居室親機20を備えている。居室親機20は、玄関子機10からの呼び出しに居住者が応答できるように構成されている。居室親機20は、例えば、家屋M内に設けられ、居住者が居住する各住居内に設けられていてもよい。
【0022】
インターホンシステム1は、管理室親機30を備えていてもよい。管理室親機30は、玄関子機10からの呼出に管理者が応答できるように構成されている。管理室親機30は、例えば、家屋M内に設けられた管理室等に設けられてもよい。
【0023】
次に、
図2と
図3を用いて、玄関子機10の構成について説明する。
図3は、空中タッチディスプレイ100を備える玄関子機10の模式図である。
【0024】
玄関子機10は、空中タッチディスプレイ100を備えている。空中タッチディスプレイ100は、空中画像Gを来訪者に向けて表示するように構成されている。
【0025】
空中タッチディスプレイ100は、光源101を備えている。光源101は、空中画像Gを生成するための光を出射するように構成されている。
【0026】
空中タッチディスプレイ100は、光学部材102を備えている。光学部材102は、光源101から出射された光の反射および透過の少なくとも一方によって空中画像Gを所定の空間に結像するように構成されている。
図3の例示においては、光学部材102は、その中を光が透過して、その際に光を屈折させることで、所望の空間に空中画像Gを結像するように構成されている。
【0027】
空中タッチディスプレイ100は、検知部103を備えている。検知部103は、来訪者Wによる空中画像Gへの操作を検知するように構成されている。検知部103は、例えば、空間にある物体までの距離を測定可能な三次元距離センサを備えていてもよい。
【0028】
玄関子機10は、制御部110を備えている。制御部110は、空中タッチディスプレイ100を制御するように構成されている。制御部110は、検知部103と通信可能に接続されていてもよい。制御部110による空中タッチディスプレイ100の制御については後述する。
【0029】
玄関子機10は、来訪者検出部を備えている。エントランスEに設置されたカメラ120は、来訪者検出部の一例である。
【0030】
例えば、エントランスEにおいて、玄関子機10から比較的遠い第一範囲A1と、玄関子機10に比較的近い第二範囲A2とが設定される。第二範囲A2は、例えば、玄関子機10に搭載されたマイク、カメラ、空中画像ではない呼出用操作盤等が有効に使用されることが可能な範囲として設定されてもよい。
【0031】
カメラ120は、来訪者Wが第一範囲A1内に居ることに対応する第一検出信号DS1を制御部110に出力するように構成されている。また、カメラ120は、来訪者Wが第二範囲A2内に居ることに対応する第二検出信号DS2を制御部110に出力するように構成されていてもよい。
【0032】
制御部110は、空中画像Gの表示状態を変更させるように構成されている。表示状態を変更する前の空中画像Gを第一の表示状態の空中画像Gと呼ぶ。表示状態を変更した後の空中画像Gを第二の表示状態の空中画像Gと呼ぶ。表示状態を変更させることは、空中画像Gの大きさ、位置、色、明るさ、点滅状態、表示内容の少なくとも一つを変更させることを含んでいる。
【0033】
以下の実施形態において、インターホンシステム1において、空中画像Gの表示状態を変更させる例示について説明する。
【0034】
(第一実施形態)
図4は、第一実施形態における第一の表示状態の空中画像Gを例示する。
図5は、第一実施形態における第二の表示状態の空中画像Gを例示する。第一実施形態における空中画像Gは、主に表示内容が変更される。
【0035】
カメラ120は、第一範囲A1内に来訪者Wが居ることを検知すると、第一検出信号DS1を制御部110に出力する。制御部110は、第一検出信号DS1を受信すると、第一の表示状態の空中画像Gの表示を開始する。
【0036】
第一の表示状態の空中画像Gは、「呼出はこちらから」と記載されている画像であってもよい。
図2に例示されるように、空中画像Gは、玄関子機10の近傍に表示されてもよい。これにより、来訪者Wは玄関子機10の付近で呼出操作が可能であることが理解できる。
【0037】
カメラ120は、例えば、第二範囲A2内に来訪者Wがいることを検知すると、第二検出信号DS2を制御部110に出力する。制御部110は、第二検出信号DS2を受信すると、第二の表示状態の空中画像Gの表示を開始する。
【0038】
第二の表示状態の空中画像Gは、「部屋番号を入力して呼出を押してください」との表記と呼出操作に必要なボタンが表示されている画像である。来訪者Wによって空中画像G上のボタンに触れるように操作されると、検知部103は、各操作に対応した操作信号OSを制御部110に出力する。
【0039】
制御部110は、受信した操作信号OSに応じて光源101を制御することで、来訪者Wの操作に応じた空中画像Gの表示を変更するように構成されている。また、制御部110は、来訪者Wによる呼出操作に対応した操作信号OSを受信すると、対応する住居に設置された居室親機20と通信するように構成されている。
【0040】
このように、第一実施形態において、制御部110は、検知部103によって来訪者Wによる操作入力が検出されるまで、空中画像Gの表示状態を変更するように構成されている。あるいは、制御部110は、第二検出信号DS2を受信すると、空中画像Gの表示状態を変更させるように構成されている。これにより、空中タッチディスプレイ100は、エントランスEに進入した来訪者Wに、どこで呼出操作を行うことができるのかを示唆することができるので、来訪者Wのスムーズな案内を行う構成が可能となる。
【0041】
(第二実施形態)
第二実施形態における空中画像Gは、主に大きさが変更される。なお、表示内容は、第一の表示状態でも第二の表示状態でも
図5に例示された空中画像Gと同等のものである。
【0042】
第二実施形態においても、第一実施形態と同様に、カメラ120が第一範囲A1内に来訪者Wが居ることを検知すると、制御部110は、第一の表示状態の空中画像Gの表示を開始する。また、第一実施形態と同様に、カメラ120が第二範囲A2内に来訪者Wが居ることを検知すると、制御部110は、第二の表示状態の空中画像Gの表示を開始する。
【0043】
第二の表示状態の空中画像Gは、第一の表示状態の空中画像Gよりも大きく表示されるように構成されている。第二の表示状態の空中画像Gは、空中画像Gの大きさのほかに、空中画像Gの色や明るさが変更されるように構成されてもよい。
【0044】
第二実施形態における操作の受付は、第一実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0045】
このように、第二実施形態においても、制御部110は、検知部103によって来訪者Wによる操作入力が検出されるまで、空中画像Gの表示状態を変更するように構成されている。あるいは、制御部110は、第二検出信号DS2を受信すると、空中画像Gの表示状態を変更させるように構成されている。これにより、空中タッチディスプレイ100は、来訪者Wに対して、操作入力の受付が可能な状態であるか否かを示唆することができるので、来訪者Wのスムーズな案内を行う構成が可能となる。
【0046】
(第三実施形態)
図6は、第三実施形態における第一の表示状態および第二の表示状態の空中画像Gを例示する。第三実施形態における空中画像Gは、主に一部の点灯状態が変更される。第二実施形態の空中画像Gの表示内容と比較して、第三実施形態の空中画像Gは、外枠G1が設けられている点が異なっている。
【0047】
第三実施形態においても、第一実施形態と同様に、カメラ120が第一範囲A1内に来訪者Wが居ることを検知すると、制御部110は、第一の表示状態の空中画像Gの表示を開始する。このとき、第一の表示状態の空中画像Gにおいて、外枠G1は点滅するように表示されている。
【0048】
また、第一実施形態と同様に、カメラ120が第二範囲A2内に来訪者Wが居ることを検知すると、制御部110は、第二の表示状態の空中画像Gの表示を開始する。このとき、第二の表示状態の空中画像Gにおいて、外枠G1は点灯するように表示されている。
【0049】
このように、第三実施形態においても、制御部110は、検知部103によって来訪者Wによる操作入力が検出されるまで、空中画像Gの表示状態を変更するように構成されている。あるいは、制御部110は、第二検出信号DS2を受信すると、空中画像Gの表示状態を変更させるように構成されている。これにより、空中タッチディスプレイ100は、来訪者Wに対して、操作入力の受付が可能な状態であるか否かを示唆することができるので、来訪者Wのスムーズな案内を行う構成が可能となる。
【0050】
(第四実施形態)
第四実施形態における空中画像Gは、その表示位置が変更される。
図7は、空中タッチディスプレイ100´を備える玄関子機10を例示している。第四実施形態の玄関子機10は、
図3において例示される空中画像Gを投影する空中タッチディスプレイ100に加えて、
図7において例示される空中画像G´を投影する空中タッチディスプレイ100´も備えている。
【0051】
空中タッチディスプレイ100´は、空中画像Gと異なる位置に空中画像G´を投影するように構成されている。換言すると、空中画像G´は第一の表示状態の空中画像であり、空中画像Gは第二の表示状態の空中画像である。
【0052】
図7に例示されるように、空中タッチディスプレイ100´は、光源101´を備えている。光源101´は、空中画像G´を生成するための光を出射するように構成されている。光源101´は、空中タッチディスプレイ100と同一の制御部110によって制御されてもよい。
【0053】
空中タッチディスプレイ100´は、光学部材102´を備えている。光学部材102´は、光源101´から出射された光の反射および透過の少なくとも一方によって空中画像G´を所定の空間に結像するように構成されている。空中画像G´が結像する所定の空間は、第二範囲A2よりも前方の空間であってもよい(
図10参照)。
図7の例示において、光学部材102´は、その中を光が透過して、その際に光を屈折させることで、所望の空間に空中画像が結像するように構成されている。
【0054】
空中タッチディスプレイ100´は、反射鏡104を備えていてもよい。反射鏡104は、空中画像Gよりも遠くの空間に空中画像G´を結像できるように構成されている。
【0055】
インターホンシステム1は、位置情報取得部をさらに備えていてもよい。本実施形態においては、来訪者検出部の機能を担うカメラ120が、位置情報取得部でもある。カメラ120は、玄関子機10に対する来訪者Wの位置情報LSを取得するように構成されている。カメラ120は、制御部110に位置情報LSを出力するように構成されている(
図3参照)。制御部110は、位置情報LSに応じて空中画像Gの表示状態を変更させるように構成されている。
【0056】
図8は、エントランスEの第一範囲A1に進入した来訪者Wと、投影される空中画像G´を例示している。カメラ120が第一範囲A1内に来訪者Wが進入したことを検知すると、制御部110は、空中画像G´の表示を開始する。空中画像G´は、来訪者Wを空中画像G´の操作が可能な領域内に誘導するための表示の一例である。空中画像G´は、第二範囲A2に近づく方向を示す矢印として表示されてもよい。
【0057】
図9は、第一範囲A1内において玄関子機10に近づいた来訪者Wと空中画像G´を例示する。カメラ120は、来訪者Wが第一範囲A1内において玄関子機10に近づいた位置情報LSを取得すると、制御部110に位置情報LSを送信する。制御部110は、受信した位置情報LSに基づいて、空中画像G´の表示位置を玄関子機10により近い位置に変更させるように制御してもよい。
【0058】
図10は、第二範囲A2内の来訪者Wと空中画像G,G´を例示する。第一実施形態と同様に、カメラ120が第二範囲A2内に来訪者Wが居ることを検知すると、制御部110は、空中画像Gの表示を開始する。空中画像Gは、第一実施形態において第二範囲A2内の来訪者Wに向けて表示されるものと同等のものであってもよい(
図5参照)。
【0059】
カメラ120が第二範囲A2内に来訪者Wが居ることを検知すると、制御部110は、来訪者Wが第一範囲A1内に居るときとは表示内容が異なる空中画像G´を表示させるように制御してもよい。空中画像G´は、第二範囲A2内に居る来訪者Wの前方の空間、つまり、空中画像Gを視認している来訪者Wの背後の空間に表示されてもよい。
【0060】
図11は、来訪者Wが第二範囲A2内に居るときに表示される空中画像G´の一例である。空中画像G´には「ただいま呼出操作中。少々お待ちください。」と表示されている。これにより、第二範囲A2内の来訪者Wの次にエントランスEに進入した来訪者W´に向けて、待機するように要請することができる。
【0061】
このように、第四実施形態においても、制御部110は、検知部103によって来訪者Wによる操作入力が検出されるまで、空中画像G,G´の表示状態を変更するように構成されている。あるいは、制御部110は、第二検出信号DS2を受信すると、空中画像G,G´の表示状態を変更させるように構成されている。これにより、空中タッチディスプレイ100は、エントランスEに進入した来訪者Wに、どこで呼出操作が行われるかを示唆することができるので、来訪者Wのスムーズな案内を行う構成が可能となる。
【0062】
エントランスEへ来訪した来訪者Wが空中タッチディスプレイ100に不慣れである場合、空中画像の表示が来訪者Wを困惑させることがある。
【0063】
しかしながら、上記構成のインターホンシステム1においては、来訪者WがエントランスEに来訪してから空中画像G,G´の表示が開始されるので、空中画像G,G´が来訪者Wに向けた情報を表示するものであることを示唆することができる。また、来訪者Wによる操作入力の開始までに、空中画像G,G´は表示状態が変更されながら投影されるので、来訪者Wのスムーズな案内を行う構成が可能となる。これにより、空中タッチディスプレイ100を備えた玄関子機10を備えるインターホンシステム1において、来訪者Wによる取り扱いの利便性が向上する。
【0064】
また、上記構成のインターホンシステム1において、制御部110は第一検出信号DS1を受信したことを受けて、空中画像G,G´の表示を開始する。また、制御部110は、第二検出信号DS2を受信すると、空中画像G,G´の表示状態を変更させるように構成されている。このため、第一範囲A1内に居る来訪者Wと第二範囲A2内に居る来訪者Wとに対して、それぞれの状況に合わせた情報を表示することが可能となる。これにより、空中タッチディスプレイ100を備えた玄関子機10を備えるインターホンシステム1において、来訪者Wによる取り扱いの利便性が向上する。
【0065】
第一実施形態から第四実施形態までに例示されたインターホンシステム1は、空中画像G,G´の表示状態を変更させることで、来訪者Wの注目を集め、来訪者Wを第二範囲A2に誘導している。つまり、空中画像G,G´の表示状態を変更させることは、来訪者Wを空中画像Gの操作が可能な領域内に誘導するための表示を実行することを含んでいる。これにより、来訪者Wをスムーズに玄関子機10等に誘導することができる。
【0066】
上記構成のインターホンシステムは、来訪者Wの玄関子機10に対する位置情報LSを取得可能な位置情報取得部としてカメラ120を備えている。また、制御部110は、位置情報LSに応じて空中画像G,G´の表示状態を変更させるように構成されている。これにより、来訪者Wの現在位置に適した案内を行うことが可能となる。
【0067】
第一実施形態から第四実施形態において説明した通り、表示状態を変更させることは、空中画像G,G´の大きさ、位置、色、明るさ、点滅状態、表示内容の少なくとも一つを変更させることを含む。これにより、空中画像G,G´が示す情報の変化を来訪者Wへ気づかせることが容易となり、来訪者Wのスムーズな誘導が行われやすくなる。
【0068】
なお、制御部110は、例えば空中画像G,G´の像の点滅、空中画像G,G´の像の明るさ等の点灯状態、空中画像G,G´の表示位置等の表示状態を、連続的に変えるように構成されても、断続的に変えるように構成されてもよい。例えば、
図8から
図10に例示されるように、来訪者Wの位置によって空中画像G´の表示位置は変更されている。この場合において、来訪者Wの位置の変更に伴って、空中画像G´の表示位置が常に連続的に変化してもよい。また、来訪者Wの位置がある程度変更されて初めて空中画像G´の表示位置が変化してもよい。
【0069】
(ナースコールシステムの基本構成)
次に、ナースコールシステム301における空中タッチディスプレイによる表示について例示して説明する。
図12は、廊下灯302を含むナースコールシステム301のブロック構成図である。
図13は、ナースコールシステム301が設けられる廊下Hを例示している。
【0070】
ナースコールシステム301は、ハード機器を備えている。本例示においては、ハード機器として、廊下灯302が例示されている。また、廊下Hは、ナースコールシステム301のハード機器である廊下灯302が設けられる空間の一例である。廊下灯302は、病室の出入り口付近に設けられている。廊下灯302は、来訪者Wに対して病室へに関する表示を行うように構成されている。来訪者Wは、例えば、医療従事者、配膳担当者、面会者等である。
【0071】
廊下灯302は、廊下灯CPU321を備えている。廊下灯CPU321は、制御部の一例である。廊下灯CPU321は、廊下灯302が備えるモニタ322、表示灯324、スピーカー325、および、廊下灯カメラ328を制御するように構成されている。
【0072】
廊下灯CPU321は、例えば、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により構成されている。電子制御ユニットは、プロセッサを含むマイクロコントローラと、その他の電子回路(例えば、トランジスタ等)を含む。プロセッサは、例えば、CPU以外に、MPU(Micro Processing Unit)及び/又はGPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。
【0073】
廊下灯302はモニタ322を備えている。モニタ322は、例えば液晶モニタであり、病室名の表示、患者名の表示などの各種情報を表示するように構成されている。モニタ322は、廊下灯302の表示部の一例である。表示灯324は、廊下灯302が設けられた病室内のナースコール子機からの呼び出しを点滅や点灯で報知する。スピーカー325は、廊下灯CPU321から出力される報知内容を報音する。
【0074】
廊下灯302は、記憶部326を備えている。記憶部326は、廊下灯302が表示する情報を記憶するように構成されている。記憶部326にはメモリが搭載されている。メモリは、各種制御プログラム(例えば、人工知能(AI)プログラム等)が記憶されたROM(Read Only Memory)と、各種制御データが一時的に記憶されるRAM(Random Access Memory)を含む。プロセッサは、ROMに記憶された各種制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されている。メモリには廊下灯302における制御・処理に関するプログラムが記憶されている。記憶部326は、廊下灯302における制御・処理に関するプログラムに加えて、廊下灯カメラ328で撮像した画像を記憶する。
【0075】
廊下灯302は、復旧ボタン327を備えている。復旧ボタン327は、表示灯324やスピーカー325による報知動作等を停止させるためのボタンである。廊下灯CPU321は、復旧ボタン327から入力される操作を受け付けて、表示灯324を消灯させたり、スピーカー325からの報音を停止させたりする。
【0076】
廊下灯302は、通信IF329を備えている。通信IF329は、制御部310と廊下灯CPU321との通信を仲介する。また、ナースコール親機またはナースコール子機と廊下灯302との通信は、通信IF329を介して行われる。
【0077】
廊下灯302は、空中タッチディスプレイ323を備えている。空中タッチディスプレイ323は、空中画像Gをユーザに向けて表示するように構成されている。
【0078】
空中タッチディスプレイ323の基本構成は、
図3に例示されるインターホンシステム1における空中タッチディスプレイ100と同様の構成である。すなわち、空中タッチディスプレイ323は、空中画像Gを生成するための光を出射する光源と、光を反射及び透過の少なくとも一方によって空中画像を所定の空間に結像する光学部材と、空中画像に対するユーザの操作入力を検知する検知部と、を有する。
【0079】
ナースコールシステム301は制御部310を備えている。制御部110は、廊下灯302と通信可能に接続されている。制御部110は、廊下灯302と、廊下灯302が備える空中タッチディスプレイ323と、を制御するように構成されている。
【0080】
ナースコールシステム301は制御部310を備えている。制御部110は、廊下灯302と通信可能に接続されている。制御部110は、廊下灯302と、廊下灯302が備える空中タッチディスプレイ323と、を制御するように構成されている。
【0081】
ナースコールシステム301は、情報取得部330を備えている。情報取得部330は、廊下灯302または空中タッチディスプレイ323の近傍に設けられている。情報取得部330は、病室等に訪問してきた来訪者Wの人物認証を実行し、取得した人物情報HSを制御部310に出力するように構成されている。情報取得部330は、例えば、来訪者Wが所有しているスマートフォン等の通信端末と通信可能であり、通信端末との通信によって、来訪者Wの人物情報HSを取得するように構成されていてもよい。
【0082】
ナースコールシステム301は、位置取得部を備えている。位置取得部は、来訪者Wが第一範囲A1内に居ることに対応する第一検出信号DS1および第二範囲A2内に居ることに対応する第二検出信号DS2を制御部310に出力するように構成されている。本実施形態において、位置取得部は、病室の出入り口付近の廊下に設けられたカメラ340である。
【0083】
例えば、廊下Hにおいて、廊下灯302から比較的遠い第一範囲A1と、廊下灯302に比較的近い第二範囲A2とが設定される。第二範囲A2は、例えば、廊下灯302に搭載された廊下灯カメラ328、復旧ボタン等が有効に使用されることが可能な範囲として設定されてもよい。
【0084】
ナースコールシステム301における制御部310も、空中画像Gの表示状態を変更させるように構成されている。表示状態を変更する前の空中画像Gを第一の表示状態の空中画像Gと呼ぶ。表示状態を変更した後の空中画像Gを第二の表示状態の空中画像Gと呼ぶ。表示状態を変更させることは、空中画像Gの大きさ、位置、色、明るさ、点滅状態、表示内容の少なくとも一つを変更させることを含んでいる。
【0085】
以下の実施形態において、ナースコールシステム301において、空中画像Gの表示状態を変更させる例示について説明する。
【0086】
(第五実施形態)
第五実施形態の空中画像Gは、来訪者Wの位置と来訪者Wの人物情報HSによって、主に表示内容が変更される。
【0087】
カメラ340は、第一範囲A1内に来訪者Wが居ることを検知すると、第一検出信号DS1を制御部310に出力する。制御部310は、第一検出信号DS1を受信すると、第一の表示状態の空中画像Gの表示を開始する。
【0088】
図14は、第五実施形態における第一の表示状態の空中画像Gを例示している。
図14に例示されるように、第一の表示状態の空中画像Gは病室の部屋番号だけを表示している。これによって、来訪者Wは、病室が訪問先であるかどうかを判別しやすくなる。
【0089】
カメラ340は、例えば、第二範囲A2内に来訪者Wが居ることを検知すると、第二検出信号DS2を制御部310に出力する。制御部310は、第二検出信号DS2を受信すると、情報取得部330に、来訪者Wの人物認証を実行させる。情報取得部330による人物認証が完了した場合、情報取得部330は、制御部310に人物情報HSを出力する。制御部310は、人物情報HSを受信すると、人物情報に応じた第二の表示状態の空中画像Gの表示を開始する。
【0090】
図15は、第二範囲A2内に居る来訪者Wが、医師、看護師等の医療従事者であった場合の第二の表示状態の空中画像Gを例示している。
図15に例示されるように、医療従事者が第二範囲A2内に居る場合、空中画像Gは、病室の部屋番号の他に、患者名、担当医師、担当看護師、看護に関する注記等が表示されている。
【0091】
空中画像Gには、「終了」と書かれた表示終了被操作部G2が表示されている。検知部が来訪者Wによる表示終了被操作部G2に対する操作を検知すると、制御部310は、空中タッチディスプレイ323に空中画像Gの表示を停止させるように構成されている。表示終了被操作部G2への操作は、操作入力の一例である。
【0092】
図16は、第二範囲A2内に居る来訪者Wが、患者に院内食を提供する配膳担当者であった場合の第二の表示状態の空中画像Gを例示している。
図16に例示されるように、配膳担当者が第二範囲A2内に居る場合、空中画像Gには、病室の部屋番号の他に、患者名、担当医師、担当看護師、院内食の提供に関する注記等が表示されている。
【0093】
空中画像Gには、「終了」と書かれた表示終了被操作部G2が表示されている。検知部が来訪者Wによる表示終了被操作部G2に対する操作を検知すると、制御部310は、空中タッチディスプレイ323に空中画像Gの表示を停止させるように構成されている。
【0094】
図17は、第二範囲A2内に居る来訪者Wが、患者に面会に来た面会者であった場合の第二の表示状態の空中画像Gを例示している。
図17に例示されるように、面会者が第二範囲A2内に居る場合、空中画像Gには、病室の部屋番号の他に、患者名、面会者名、予定されている面会時間等が表示されている。
【0095】
空中画像Gには、「入室」と書かれた表示終了被操作部G2が表示されている。検知部が来訪者Wによる表示終了被操作部G2に対する操作を検知すると、制御部310は、空中タッチディスプレイ323に空中画像Gの表示を停止させるように構成されている。
【0096】
なお、
図15~
図17に例示された第二の表示状態の終了は、来訪者Wによる操作によって終了する以外の形態によって実現されてもよい。例えば、カメラ340が第二範囲A2から第二範囲A2以外の領域に移動したことを検知すると、制御部310は、空中タッチディスプレイ323に空中画像Gの表示を停止させるように構成されていてもよい。第二範囲A2以外の領域への移動とは、第一範囲A1への移動や病室への入室を含んでいる。
【0097】
上記構成のナースコールシステム301において、空中画像Gの表示は、来訪者Wが第一範囲A1に入ってから開始されるように構成されているので、来訪者Wに対して空中画像Gは注目されやすくなる。また、制御部310は、少なくとも人物情報HSに基づいて、検知部によって来訪者Wによる操作入力が検出されるまでに、空中画像Gの表示状態を変更するように構成されている。このため、空中タッチディスプレイ323は来訪者Wそれぞれに適した情報を表示することが可能となる。これにより、空中タッチディスプレイ100を備えた廊下灯302を備えるインターホンシステム1において、来訪者Wによる取り扱いの利便性が向上する。
【0098】
上記構成のナースコールシステム301において、空中画像Gの表示は、第一検出信号DS1を受信したことを受けて、開始されるように構成されているので、来訪者Wに対して空中画像Gは注目されやすくなる。また、制御部310は、少なくとも人物情報HSに基づいて、第二検出信号DS2を受信すると、空中画像Gの表示状態を変更するように構成されている。このため、空中タッチディスプレイ323は来訪者Wそれぞれに適した情報を表示することが可能となる。これにより、空中タッチディスプレイ100を備えた廊下灯302を備えるインターホンシステム1において、来訪者Wによる取り扱いの利便性が向上する。
【0099】
上記構成のナースコールシステム301は、患者情報を必要としている人物に対してのみ、空中画像Gによる表示が行われるように構成されうるので、患者のプライバシーが保護されやすい。
【0100】
上記構成のナースコールシステム301において、ハード機器は廊下灯302であるので、空中画像Gの表示状態が変更されることで、廊下Hに居る来訪者Wの注目を得やすくなる。
【0101】
インターホンシステム1同様、上記構成のナースコールシステム301においても、表示状態を変更させることは、空中画像Gの大きさ、位置、色、明るさ、点滅状態、表示内容の少なくとも一つを変更させることを含んでもよい。これにより、空中画像Gが示す情報の変化を来訪者Wへ気づかせることが容易となり、来訪者Wのスムーズな誘導が行われやすくなる
【0102】
これまで説明した各構成は、本開示の理解を容易にするための例示にすぎない。各構成例は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や他の構成との組合せがなされうる。
【0103】
本実施形態のナースコールシステム301において、ハード機器が廊下灯302である形態について例示されているが、ハード機器はナースコールシステム301における他の装置であってもよい。例えば、ハード機器は、ナースコール親機であってもよい。
【0104】
以下に列挙される構成もまた、本開示の一部を構成する。
(1):
来訪者が居住者を呼び出して通話するための玄関子機と、前記玄関子機からの呼び出しに前記居住者が応答するための居室親機と、を備えたインターホンシステムであって、
前記玄関子機は、
空中画像を前記来訪者に向けて表示するための空中タッチディスプレイであって、前記空中画像を生成するための光を出射する光源と、前記光の反射および透過の少なくとも一方によって前記空中画像を所定の空間に結像する光学部材と、前記空中画像に対する前記来訪者の操作入力を検知する検知部と、を有する空中タッチディスプレイと、
前記空中タッチディスプレイを制御する制御部と、
前記来訪者が第一範囲内に居ることに対応する検出信号を前記制御部に出力するように構成されている来訪者検出部と、
を備え、
前記制御部は、前記空中画像の表示状態を変更させるように構成されており、
前記表示状態を変更させることは、前記検出信号を受信したことを受けて、前記空中画像の表示を開始することを含み、
前記制御部は、前記検知部によって前記来訪者による前記操作入力が検出されるまでに、前記表示状態を変更するように構成されている、
インターホンシステム。
(2):
来訪者が居住者を呼び出して通話するための玄関子機と、前記玄関子機からの呼び出しに前記居住者が応答するための居室親機と、を備えたインターホンシステムであって、
前記玄関子機は、
空中画像を前記来訪者に向けて表示するための空中タッチディスプレイであって、前記空中画像を生成するための光を出射する光源と、前記光の反射および透過の少なくとも一方によって前記空中画像を所定の空間に結像する光学部材と、を有する空中タッチディスプレイと、
前記空中タッチディスプレイを制御する制御部と、
前記来訪者が第一範囲内に居ることに対応する第一検出信号を前記制御部に出力するように構成されている来訪者検出部と、
を備え、
前記制御部は、前記空中画像の表示状態を変更させるように構成されており、
前記表示状態を変更させることは、前記制御部が前記第一検出信号を受信したことを受けて、前記空中画像の表示を開始することを含み、
前記来訪者検出部は、前記第一範囲よりも前記玄関子機に近い第二範囲内に前記来訪者が近づいたことに対応する第二検出信号を前記制御部に出力するように構成され、
前記制御部は、前記第二検出信号を受信すると、前記表示状態を変更させるように構成されている、
インターホンシステム。
(3):
前記表示状態を変更させることは、前記来訪者を前記空中画像の操作が可能な領域内に誘導するための表示を実行することを含む、(1)または(2)に記載のインターホンシステム。
(4):
前記来訪者の前記玄関子機に対する位置情報を取得可能な位置情報取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記位置情報に応じて前記空中画像の前記表示状態を変更させるように構成されている、
(1)から(3)のいずれかに記載のインターホンシステム。
(5):
前記表示状態を変更させることは、前記空中画像の大きさ、位置、色、明るさ、点滅状態、表示内容の少なくとも一つを変更させることを含む、(1)から(4)のいずれかに記載のインターホンシステム。
(6):
操作受付部を有するハード機器と、
空中画像をユーザに向けて表示するための空中タッチディスプレイであって、前記空中画像を生成するための光を出射する光源と、前記光の反射および透過の少なくとも一方によって前記空中画像を所定の空間に結像する光学部材と、前記空中画像に対する前記ユーザの操作入力を検知する検知部と、を有する空中タッチディスプレイと、
前記ハード機器と、前記空中タッチディスプレイと、を制御する制御部と、
前記ハード機器または前記空中タッチディスプレイの近傍に設けられて来訪者の人物認証を実行し、取得した人物情報を前記制御部に出力する情報取得部と、
前記来訪者が第一範囲内に居ることに対応する検出信号を前記制御部に出力するように構成されている位置取得部と、
を備え、
前記制御部は、前記空中画像の表示状態を変更させるように構成されており、
前記表示状態を変更させることは、前記検出信号を受信したことを受けて、前記空中画像の表示を開始することを含み、
前記制御部は、少なくとも前記人物情報に基づいて、前記検知部によって前記来訪者による前記操作入力が検出されるまでに、前記表示状態を変更するように構成されている、
ナースコールシステム。
(7):
操作受付部を有するハード機器と、
空中画像をユーザに向けて表示するための空中タッチディスプレイであって、前記空中画像を生成するための光を出射する光源と、前記光の反射および透過の少なくとも一方によって前記空中画像を所定の空間に結像する光学部材と、を有する空中タッチディスプレイと、
前記ハード機器と、前記空中タッチディスプレイと、を制御する制御部と、
前記ハード機器または前記空中タッチディスプレイの近傍に設けられて来訪者の人物認証を実行し、取得した人物情報を前記制御部に出力する情報取得部と、
前記来訪者が第一範囲内に居ることに対応する第一検出信号を前記制御部に出力するように構成されている位置取得部と、
を備え、
前記制御部は、前記空中画像の表示状態を変更させるように構成されており、
前記表示状態を変更させることは、前記制御部が前記第一検出信号を受信したことを受けて、前記空中画像の表示を開始することを含み、
前記位置取得部は、前記第一範囲よりも前記ハード機器に近い第二範囲内に前記来訪者が近づいたことに対応する第二検出信号を前記制御部に出力するように構成され、
前記制御部は、前記人物情報と前記第二検出信号とを受信すると、前記表示状態を変更させるように構成されている、
ナースコールシステム。
(8):
前記ハード機器は、廊下灯またはナースコール親機である、
(6)または(7)に記載のナースコールシステム。
(9):
前記表示状態を変更させることは、前記空中画像の大きさ、位置、色、明るさ、点滅状態、表示内容の少なくとも一つを変更させることを含む、
(6)~(8)のいずれかに記載のナースコールシステム。
【符号の説明】
【0105】
1 インターホンシステム
10 玄関子機
20 居室親機
30 管理室親機
100 空中タッチディスプレイ
101 光源
102 光学部材
103 検知部
104 反射鏡
110 制御部
120 カメラ
210 第一扉
220 第二扉
301 ナースコールシステム
302 廊下灯
310 制御部
321 廊下灯CPU
322 モニタ
323 空中タッチディスプレイ
324 表示灯
325 スピーカー
326 記憶部
327 復旧ボタン
328 廊下灯カメラ
329 通信IF
330 情報取得部
340 カメラ
A1 第一範囲
A2 第二範囲
DS1 第一検出信号
DS2 第二検出信号
G,G´ 空中画像
G1 外枠
G2 表示終了被操作部
HS 人物情報
L 符号
LS 位置情報
OS 操作信号
W 来訪者