(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144905
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】制御システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20241004BHJP
【FI】
G05D1/02 R
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057077
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】片平 尭之
(72)【発明者】
【氏名】藤原 陽一
(72)【発明者】
【氏名】周 超
(72)【発明者】
【氏名】青野 恵莉
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD15
5H301GG08
5H301GG09
5H301KK03
(57)【要約】
【課題】マイクスピーカー装置を使用して自動走行装置の作業環境を改善することが可能な制御システム及び制御方法を提供する。
【解決手段】自動走行システムは、自動走行装置の現在位置を示す位置情報を取得する位置取得処理部と、マイク及びスピーカーを含むマイクスピーカー装置を所持するユーザーの姿勢を示す姿勢情報を取得する姿勢取得処理部と、前記位置取得処理部により取得される前記位置情報と前記姿勢取得処理部により取得される前記姿勢情報とに応じた所定の通知情報を前記スピーカーから音声出力させる出力処理部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動走行装置の現在位置を示す位置情報を取得する位置取得処理部と、
マイク及びスピーカーを含むマイクスピーカー装置を所持するユーザーの姿勢を示す姿勢情報を取得する姿勢取得処理部と、
前記位置取得処理部により取得される前記位置情報と前記姿勢取得処理部により取得される前記姿勢情報とに応じた所定の通知情報を前記スピーカーから音声出力させる出力処理部と、
を備える制御システム。
【請求項2】
前記出力処理部は、前記位置情報から特定される前記自動走行装置の走行方向に応じた前記通知情報を前記スピーカーから音声出力させる、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記出力処理部は、前記自動走行装置の走行方向が前記ユーザーのいる方向である場合に、前記自動走行装置が接近していることを示す前記通知情報を前記スピーカーから音声出力させる、
請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記出力処理部は、前記マイクスピーカー装置に含まれる複数の前記スピーカーのうち前記自動走行装置の現在位置の方向に位置する前記スピーカーから、前記通知情報を音声出力させる、
請求項1~3のいずれかに記載の制御システム。
【請求項5】
前記マイクに入力される音声を取得する音声取得処理部と、
前記自動走行装置の走行を制御する走行処理部と、
をさらに備え、
前記走行処理部は、前記スピーカーから前記通知情報が音声出力された後に前記音声取得処理部が前記ユーザーから前記マイクに音声入力された回答情報を取得した場合に、前記回答情報に基づいて前記自動走行装置の走行を制御する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項6】
前記走行処理部は、前記自動走行装置の走行経路を前記ユーザーの位置を回避する経路に変更、又は、前記ユーザーが移動するまで前記自動走行装置を停止させる、
請求項5に記載の制御システム。
【請求項7】
前記マイクスピーカー装置は、前記ユーザーの左耳に向けて音声出力可能な左側スピーカーと、前記ユーザーの右耳に向けて音声出力可能な右側スピーカーと、前記ユーザーの発話音声を集音するマイクとを含み、前記ユーザーの首に装着可能なネックバンド型の音響機器である、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項8】
前記マイクスピーカー装置は、前記ユーザーの首に装着可能なネックバンド型の音響機器であって、前記ユーザーの首の周囲を囲う本体部に配置される複数のスピーカーを備え、前記複数のスピーカーによりサラウンドスピーカーを構築し、
前記出力処理部は、前記サラウンドスピーカーにおいて、前記位置情報及び前記姿勢情報に基づいて特定される前記ユーザーに対する前記自動走行装置の相対位置の方向から、前記通知情報を音声出力させる、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項9】
自動走行装置の現在位置を示す位置情報を取得することと、
マイク及びスピーカーを含むマイクスピーカー装置を所持するユーザーの姿勢を示す姿勢情報を取得することと、
前記位置情報と前記姿勢情報とに応じた所定の通知情報を前記スピーカーから音声出力させることと、
を一又は複数のプロセッサーが実行する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動走行装置及びマイクスピーカー装置を含むシステムを制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、倉庫などにおいて、自動走行装置(例えばAGV(無人搬送車))が搬送対象の物品を保管位置(例えば保管棚)において作業者から受け取って払い出し位置(出庫場所)まで搬送するシステムが知られている。また、車両が歩行者に接近した場合に、歩行者が携帯するポータブルオーディオプレーヤーから警告音を出力させるシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来のシステムによれば、例えば倉庫において作業を行う作業者に自動走行装置が接近した場合に、作業者に注意を促すことが可能になる。しかし、前記従来のシステムでは、作業者はいずれの方向から自動走行装置が接近しているのか把握し難いため、安全性が十分とは言えない。また、自動走行装置が作業者を検知した場合に走行を制限(停止又は迂回)することも考えられるが、この場合、作業効率が低下してしまう。
【0005】
本開示の目的は、マイクスピーカー装置を使用して自動走行装置の作業環境を改善することが可能な制御システム及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の態様に係る制御システムは、位置取得処理部と姿勢取得処理部と出力処理部とを備える。前記位置取得処理部は、自動走行装置の現在位置を示す位置情報を取得する。前記姿勢取得処理部は、マイク及びスピーカーを含むマイクスピーカー装置を所持するユーザーの姿勢を示す姿勢情報を取得する。前記出力処理部は、前記位置取得処理部により取得される前記位置情報と前記姿勢取得処理部により取得される前記姿勢情報とに応じた所定の通知情報を前記スピーカーから音声出力させる。
【0007】
本開示の他の態様に係る制御方法は、自動走行装置の現在位置を示す位置情報を取得することと、マイク及びスピーカーを含むマイクスピーカー装置を所持するユーザーの姿勢を示す姿勢情報を取得することと、前記位置情報と前記姿勢情報とに応じた所定の通知情報を前記スピーカーから音声出力させることと、を一又は複数のプロセッサーが実行する方法である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、マイクスピーカー装置を使用して自動走行装置の作業環境を改善することが可能な制御システム及び制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る自動走行システムの全体構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に係る自動走行システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態に係るマイクスピーカー装置の構成例を示す外観図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態に係る自動走行システムの適用例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態に係る自動走行システムの適用例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態に係る自動走行装置で実行される走行制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態に係る自動走行装置で実行される走行制御処理の手順の他の例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態に係る自動走行システムの適用例を示す模式図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態に係る自動走行システムの適用例を示す模式図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態に係る自動走行システムの全体構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明し、本開示の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
[自動走行システム10]
図1に示すように、本開示の実施形態に係る自動走行システム10は、自動走行装置2と、ユーザーが所持するマイクスピーカー装置1とを備えている。なお、本開示において、自動走行装置2の台数は限定されず、1台であってもよいし複数台であってもよい。また、マイクスピーカー装置1の台数は限定されず、1台であってもよいし複数台であってもよい。自動走行装置2は、自律走行可能な移動体である。具体的には、自動走行装置2は、自己位置を推定しながら予め設定された設定経路(走行経路)を走行する自律走行型の移動体(AGV、無人搬送車ともいう)である。マイクスピーカー装置1は、ユーザーが携帯する携帯型の無線音響機器である。例えば、マイクスピーカー装置1は、ユーザーの左耳に向けて音声出力可能な左側スピーカーと、ユーザーの右耳に向けて音声出力可能な右側スピーカーと、ユーザーの発話音声を集音するマイクとを含み、ユーザーの首に装着可能なネックバンド型の音響機器である。ユーザーは、マイクスピーカー装置1のスピーカーから出力される音声を聞き取ることができ、また自身が発話した音声をマイクスピーカー装置1のマイクに集音させることができる。
【0012】
マイクスピーカー装置1と自動走行装置2とは、Bluetooth(登録商標)などの無線通信方式により接続可能である。
【0013】
自動走行システム10は、例えば工場、倉庫などの施設に導入される。本実施形態では、一例として、自動走行システム10が
図4に示す施設W1に適用される例について説明する。
図4に示す施設W1には、商品(搬送対象)を保管する複数の保管棚(保管位置)が配置されている。
【0014】
また施設W1には、自動走行装置2の待機場所が設定されている。例えば、施設W1には、AGV1が待機する待機場所Q1と、AGV2が待機する待機場所Q2と、AGV3が待機する待機場所Q3とが設定されている。各自動走行装置2は、所定の待機場所で待機し、管理サーバー(不図示)から搬送指示(走行指示)を受信すると走行を開始する。
【0015】
管理サーバーは、自動走行装置2の運行を管理する機能(運行管理機能)を有する。自動走行装置2は、管理サーバーから搬送指示を受信すると、自己位置を推定しながら搬送指示に含まれる設定経路に従って自律走行を行う。
【0016】
マイクスピーカー装置1を装着したユーザー(作業者)は、保管棚から商品をピッキングする作業、保管棚に商品を収納する作業などを行う。また作業者は、ピッキングした商品を自動走行装置2に積み込んだり、自動走行装置2に積載された商品を受け取って保管棚に収納したりする。
【0017】
[自動走行装置2]
図2に示すように、自動走行装置2は、制御部21、記憶部22、ライダーセンサ23、通信部24などを備える。
【0018】
通信部24は、自動走行装置2を無線でネットワークに接続し、ネットワークを介してマイクスピーカー装置1などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0019】
自動走行装置2は、駆動車輪、駆動車輪の回転角度を計測するためのエンコーダ、台車を連結するための連結器、モータ、バッテリなどを含む(不図示)。自動走行装置2は、バッテリの電力によりモータを駆動し、モータの駆動力により駆動車輪を回転させて走行する。バッテリは、充電式バッテリであり、自動充電器により充電される。例えば、自動走行装置2は、設定された設定経路を走行中に所定の充電位置において、充電器によりバッテリを充電することが可能である。連結器は、自動走行装置2に台車を連結するための連結具である。自動走行装置2は、設定経路を走行中に所定の連結位置において、連結器により台車を連結して、台車を牽引しながら走行することが可能である。
【0020】
ライダーセンサ23は、レーザー光を用いて障害物までの距離を3次元で測定可能な距離センサ(距離測定装置)である。具体的には、ライダーセンサ23は、ミラー、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を使用してレーザー光を周囲に照射しながら、その反射光を受光し、照射から受光までの時間差を測定することによりレーザー照射した方向の障害物までの距離を測定する。このとき、レーザー光の照射方向を一定パターンで繰り返すことによって、数10Hzの周波数で空間の障害物の配置を観測することができる。
【0021】
記憶部22は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリーなどの不揮発性の記憶部である。記憶部22には、予め設定された設定経路の経路データが記憶される。例えば、設定経路は、管理者による登録操作(ティーチング操作など)により設定される。
【0022】
また、記憶部22には、制御部21に後述の走行制御処理(
図6参照)を実行させるための自動走行プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記自動走行プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に非一時的に記録され、自動走行装置2が備える読取装置(不図示)で読み取られて記憶部22に記憶される。なお、前記自動走行プログラムは、クラウドサーバーから配信されて記憶部22に記憶されてもよい。
【0023】
制御部21は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部21は、前記ROM又は記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより自動走行装置2を制御する。
【0024】
具体的には、制御部21は、
図2に示すように、位置取得処理部211、走行処理部212、出力処理部213などの各種の処理部を含む。なお、制御部21は、前記CPUで前記制御プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記制御プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0025】
位置取得処理部211は、自動走行装置2の現在位置(自己位置)を取得する。具体的には、位置取得処理部211は、周知の自己位置推定方法により、地図上における自身の自己位置を推定する。例えば、位置取得処理部211は、ライダーセンサ23の測定結果を取得して、既知の障害物地図に対して、当該測定結果に対応する障害物の配置をマッチングさせることにより、障害物地図上における自動走行装置2の位置を推定する。
【0026】
他の実施形態として、位置取得処理部211は、自動走行装置2に搭載されるカメラ(不図示)を使用して自己位置を取得してもよい。例えば、位置取得処理部211は、カメラによって撮影した動画像の各フレーム内の特徴点の動きからカメラの動きを推定することで自動走行装置2の自己位置を算出する。位置取得処理部211は、本開示の位置取得処理部の一例である。
【0027】
走行処理部212は、自動走行装置2を設定経路(走行経路)に従って走行させる。
図4には、自動走行装置2(AGV1)に対応する設定経路R1の一例を示している。また
図4には、AGV1の現在位置P2を示している。
【0028】
具体的には、AGV1において、走行処理部212は、位置取得処理部211が取得したAGV1の現在位置P2に基づいて、設定経路R1に応じた駆動信号をモータに出力して駆動車輪を駆動させることによりAGV1を設定経路R1に沿って自律走行させる。また、走行処理部212は、施設W1の地図情報、現在位置P2の位置情報、ライダーセンサ23などの検出結果に基づいて、自己位置を推定しながら、AGV1を設定経路R1に従って自律走行させる。また、管理者が設定経路R1の走行計画を予め設定していた場合には、走行処理部212は、当該走行計画に基づいてAGV1を自律走行させる。
【0029】
また、走行処理部212は、障害物(人物、物体など)を検出した場合には障害物を回避する回避走行を実行させる。
【0030】
出力処理部213は、位置取得処理部211が取得した自動走行装置2の現在位置の位置情報をマイクスピーカー装置1に出力する。
図4に示す例では、AGV1の出力処理部213は、AGV1の現在位置P2の位置情報をマイクスピーカー装置1に出力する。出力処理部213は、本開示の出力処理部の一例である。
【0031】
また、制御部21は、マイクスピーカー装置1と通信することにより、マイクスピーカー装置1の現在位置P1と、マイクスピーカー装置1の姿勢(向きD1)とを特定することが可能である。
【0032】
例えば、制御部21は、マイクスピーカー装置1との通信状態(例えば無線通信の受信強度)に基づいて、自動走行装置2からマイクスピーカー装置1までの距離を算出してマイクスピーカー装置1の位置を特定する。また、制御部21は、マイクスピーカー装置1から出力(再生)される音声を受信した場合に、音の強度及び方向に基づいてマイクスピーカー装置1の位置を特定する。また、制御部21は、自動走行装置2にカメラが搭載されている場合に、カメラ映像に基づいてユーザー又はマイクスピーカー装置1の位置を特定する。また、制御部21は、マイクスピーカー装置1にLEDが搭載されている場合に、所定周期で点滅するLED光をカメラで検知することによりマイクスピーカー装置1の位置を特定する。また、制御部21は、施設W1内に複数のアンテナが設置されている場合に、マイクスピーカー装置1のネットワーク接続状況に基づいてマイクスピーカー装置1の位置を特定する。
【0033】
制御部21は、マイクスピーカー装置1の現在位置P1及び姿勢(向きD1)に基づいて自動走行装置2の走行を制御する構成を備えている(詳細は後述)。
【0034】
また、制御部21は、マイクスピーカー装置1と通信することにより、マイクスピーカー装置1のマイク14に集音された音声(ユーザーの発話音声)の音声データを取得可能である。制御部21は、前記音声データに基づいて自動走行装置2の走行を制御する構成を備えている(詳細は後述)。
【0035】
[マイクスピーカー装置1]
図2には、マイクスピーカー装置1の機能ブロック図を示している。また
図3には、マイクスピーカー装置1の外観の一例を示している。
図2に示すように、マイクスピーカー装置1は、制御部11、記憶部12、操作部13、マイク14、スピーカー15、通信部16などを備える。
図3に示すように、操作部13には、電源13a、接続ボタン13bなどが含まれる。マイクスピーカー装置1は、例えばユーザーの首に装着可能なネックバンド型のウェアラブル機器である。マイクスピーカー装置1は、ユーザーが発話した音声をマイク14を介して取得したり、当該ユーザーに対してスピーカー15から音声を再生(出力)したりする。マイクスピーカー装置1は、各種情報を表示する表示部を備えてもよい。
【0036】
マイクスピーカー装置1の本体1aは、マイクスピーカー装置1を装着したユーザーから見て左右のアームを備え、U字状に形成されている。
【0037】
マイク14は、ユーザーの発話音声を集音し易いように、マイクスピーカー装置1の先端部に配置されている。マイク14は、マイクスピーカー装置1に内蔵されたマイク用基板(制御部11)に接続され、制御部11はユーザーの発話音声を取得する。
【0038】
スピーカー15には、マイクスピーカー装置1を装着したユーザーから見て左側のアームに配置されるスピーカー15Lと、右側のアームに配置されるスピーカー15Rとが含まれる。スピーカー15L,15Rは、ユーザーが再生音を聞き取り易いように、マイクスピーカー装置1のアームの中央付近に配置されている。スピーカー15L,15Rは、マイクスピーカー装置1に内蔵されたスピーカー用基板(制御部11)に接続されている。
【0039】
通信部16は、マイクスピーカー装置1を無線で自動走行装置2との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。具体的には、通信部16は、例えばBluetooth方式により自動走行装置2と接続して通信を行う。例えば、ユーザーが電源13aをオン状態にした後に接続ボタン13bを押下すると、通信部16は、ペアリング処理を実行してマイクスピーカー装置1を自動走行装置2に接続する。なお、マイクスピーカー装置1と自動走行装置2との間に送信機が配置され、当該送信機がマイクスピーカー装置1とペアリング(Bluetooth接続)し、当該送信機と自動走行装置2とがネットワークを介して接続されてもよい。
【0040】
記憶部12は、各種の情報を記憶する不揮発性の記憶部である。具体的には、記憶部12には、制御部11に後述の走行制御処理(
図6参照)を実行させるための自動走行プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記自動走行プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録され、マイクスピーカー装置1が備える読取装置(不図示)で読み取られて記憶部12に記憶されてもよい。
【0041】
制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することによりマイクスピーカー装置1を制御する。
【0042】
具体的には、制御部11は、
図1に示すように、位置取得処理部111、姿勢取得処理部112、出力処理部113、音声取得処理部114などの各種の処理部を含む。なお、制御部11は、前記CPUで前記制御プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記制御プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0043】
位置取得処理部111は、マイクスピーカー装置1の現在位置P1を取得する。例えば、マイクスピーカー装置1に位置検出部(GPSなど)が搭載されている場合に、位置取得処理部111は、位置検出部の検出結果に基づいてマイクスピーカー装置1の現在位置P1を取得する。位置取得処理部111は、マイクスピーカー装置1の現在位置P1の位置情報を自動走行装置2に送信する。なお、自動走行装置2の制御部21が、マイクスピーカー装置1の現在位置P1を特定可能である場合には、マイクスピーカー装置1において位置取得処理部111が省略されてもよい。位置取得処理部111は、本開示の位置取得処理部の一例である。
【0044】
姿勢取得処理部112は、ユーザー(マイクスピーカー装置1)の姿勢(向き)を取得する。例えば、姿勢取得処理部112は、IMU(慣性計測装置)、コンパスなどの計測結果に基づいて、マイクスピーカー装置1(又はユーザー)の姿勢(向き)を特定する。例えば、姿勢取得処理部112は、前記計測結果に基づいて施設W1又は保管棚に対するマイクスピーカー装置1の向きを特定する。姿勢取得処理部112は、マイクスピーカー装置1の姿勢(向き)の姿勢情報を自動走行装置2に送信する。
【0045】
自動走行装置2の制御部21は、マイクスピーカー装置1から位置情報及び姿勢情報を受信すると、自動走行装置2に対するマイクスピーカー装置1の位置及び方向を特定する。すなわち、制御部21は、自動走行装置2とマイクスピーカー装置1との位置関係を特定する。
【0046】
出力処理部113は、位置取得処理部211により取得される自動走行装置2の前記位置情報と、姿勢取得処理部112により取得されるユーザー(マイクスピーカー装置1)の前記姿勢情報とに応じた所定の通知情報をスピーカー15から音声出力させる。すなわち、出力処理部113は、自動走行装置2とマイクスピーカー装置1との位置関係に基づいて、所定の通知情報をスピーカー15から音声出力させる。出力処理部113は、自動走行装置2から出力される指示(通知指示)に従って前記通知情報をスピーカー15から音声出力させてもよい。出力処理部113は、本開示の出力処理部の一例である。
【0047】
音声取得処理部114は、マイク14に入力される音声を取得する。例えば、マイクスピーカー装置1を装着したユーザーが発話した場合に、音声取得処理部114は、マイク14に集音されたユーザーの発話音声を取得する。音声取得処理部114は、取得したユーザーの発話音声の音声データを自動走行装置2に送信する。
【0048】
以下、図面を参照しつつ具体例について説明する。
図4に示す例では、AGV1に対して設定経路R1が設定されており、AGV1は現在位置P2から目的地(待機場所Q1)まで設定経路R1に従って自律走行する。マイクスピーカー装置1を装着した作業者は、現在位置P1において、保管棚の方(D1方向)を向いて作業を行っている。ここで、作業者は、AGV1の設定経路R1上にいるためAGV1の走行を阻害する状態となっている。
【0049】
図4に示す例の場合、例えばAGV1の制御部21は、マイクスピーカー装置1から受信するBluetoothの電波強度(受信強度)に基づいて、AGV1の現在位置P2からマイクスピーカー装置1までの距離を推定し、推定した距離に基づいてマイクスピーカー装置1の現在位置P1を特定する。他の実施形態として、制御部21は、ライダーセンサ23の検知結果に基づいて、マイクスピーカー装置1(又は作業者)の現在位置P1を特定してもよい。
【0050】
また、マイクスピーカー装置1の制御部11は、IMUの計測結果に基づいて施設W1内におけるマイクスピーカー装置1の向きD1を特定する。AGV1の制御部21は、マイクスピーカー装置1からマイクスピーカー装置1の向きD1を示す姿勢情報を取得すると、AGV1に対するマイクスピーカー装置1の位置(相対位置)及び向きD1(相対方向)を特定する。
図4に示す例では、制御部21は、AGV1が作業者の右側から作業者に接近しており、作業者までの距離がL(m)であることを特定する。制御部21は、特定した情報、すなわちAGV1の位置状況を示す位置状況情報(通知指示)をマイクスピーカー装置1に送信する。
【0051】
マイクスピーカー装置1の制御部11(出力処理部113)は、AGV1から前記位置状況情報(通知指示)を取得すると、所定の通知情報をスピーカー15から音声出力させる。また、制御部11は、AGV1の走行方向に応じた通知情報をスピーカー15から音声出力させる。また、制御部11は、AGV1の走行方向が作業者のいる方向である場合に、AGV1が接近していることを示す通知情報をスピーカー15から音声出力させる、
図4に示す例では、AGV1が作業者の右側から作業者に接近しているため、制御部11は、右側からAGV1が近付いていることを示すメッセージM1(「右からAGVが近付いています」)を、スピーカー15から音声出力させる。
【0052】
また、制御部11は、マイクスピーカー装置1に含まれる複数のスピーカー15のうちAGV1の現在位置P2の方向に位置するスピーカー15から、通知情報を音声出力させる。ここでは、AGV1がマイクスピーカー装置1の右側に位置するため、制御部11は、右側のスピーカー15R(
図3参照)からメッセージM1(「右からAGVが近付いています」)を音声出力させる。これにより、作業者は、右側からAGV1が接近していることを確実に認識することができる。作業者は、AGV1の接近を認識すると、AGV1との接触を防ぐとともにAGV1の走行を妨げないように、設定経路R1から避ける行動を行う。
【0053】
なお、マイクスピーカー装置1の制御部11は、AGV1までの距離Lに応じて音声の音量を調整してもよい。例えば、制御部11は、距離Lが近くなるほど音量を大きくする。また、制御部11は、AGV1の車速が速いほど音量を大きくしてもよい。また、制御部11は、マイクスピーカー装置1の現在位置P1と設定経路R1との間の距離が近いほど音量を大きくしてもよい。これにより、作業者にAGV1が接近していることを気付かせ易くすることができる。
【0054】
ここで、マイクスピーカー装置1が前記通知情報を音声出力しても作業者が気付かずその場から移動しないことも考えられる。この場合、AGV1の制御部21は、作業者との接触を防ぐために、
図5に示すように回避経路R2を走行してもよい。例えば、制御部21は、AGV1と作業者との間の距離Lが所定距離以下になった場合に、作業者を回避する回避経路R2を生成して、AGV1を回避経路R2に従って自律走行(回避走行)させる。
【0055】
なお、制御部21は、AGV1を回避走行させる際に車速を低速に設定してもよい。また、マイクスピーカー装置1の制御部11は、AGV1が回避走行する際に、回避走行中であることを示すメッセージ(「AGVが後ろを回避走行中です」)をスピーカー15から音声出力させてもよい。これにより、作業者の近くをAGV1が通過することについて、作業者に注意喚起することができる。
他の実施形態として、音声取得処理部114がユーザーからマイク14を介して停止指示の音声(「ストップ」など)を取得した場合に、自動走行装置2の制御部21は、停止指示に応じて走行を停止させてもよい。また、音声取得処理部114がユーザーからマイク14を介して減速指示の音声(「速度を下げて」など)を取得した場合に、自動走行装置2の制御部21は、減速指示に応じて車速を減速させてもよい。このように、自動走行装置2は、ユーザーの音声に応じて走行を制御してもよい。
【0056】
[走行制御処理]
図4及び
図5に示した例について、マイクスピーカー装置1及び自動走行装置2において実行される走行制御処理の手順の一例を、
図6を参照しつつ説明する。
【0057】
具体的に、本実施形態では、マイクスピーカー装置1の制御部11及び自動走行装置2の制御部21によって前記走行制御処理が実行される。制御部11及び制御部21は、管理サーバーから搬送要求(走行指示)を受信した場合に前記走行制御処理の実行を開始する。
【0058】
なお、本開示は、前記走行制御処理に含まれる一又は複数のステップを実行する自動走行方法(本開示の制御方法の一例)の開示として捉えることができる。また、ここで説明する前記走行制御処理に含まれる一又は複数のステップは適宜省略されてもよい。なお、前記走行制御処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは制御部11及び制御部21が前記走行制御処理における各ステップを実行する場合を例に挙げて説明するが、一又は複数のプロセッサーが当該走行制御処理における各ステップを分散して実行する自動走行方法も他の実施形態として考えられる。
【0059】
自動走行装置2(ここではAGV1)が設定経路R1に従って自律走行を開始すると、ステップS1において、制御部21は、AGV1の現在位置P2を取得する。具体的には、制御部21は、施設W1に対応する地図におけるAGV1の自己位置の情報と、地図における設定経路R1との情報に基づいて、AGV1の位置及び方向(進行方向)を特定する。
【0060】
次にステップS2において、マイクスピーカー装置1の制御部11は、マイクスピーカー装置1を装着するユーザー(作業者)の姿勢(向き)を取得する。具体的には、制御部11は、マイクスピーカー装置1に搭載されたIMUの計測結果に基づいて、施設W1に対応する地図におけるマイクスピーカー装置1の向きD1(作業者の姿勢)を特定する。
【0061】
次にステップS3において、AGV1の制御部21は、AGV1とマイクスピーカー装置1との位置関係を特定する。具体的には、制御部21は、マイクスピーカー装置1からマイクスピーカー装置1の向きD1を示す姿勢情報を取得すると、AGV1に対するマイクスピーカー装置1の位置(相対位置)及び向きD1(相対方向)を特定する。
【0062】
図4に示す例では、制御部21は、AGV1が作業者の右側から作業者に接近しており、作業者までの距離がL(m)であることを特定する。制御部21は、特定した情報、すなわちAGV1の位置状況を示す位置状況情報(通知指示)をマイクスピーカー装置1に送信する。
【0063】
次にステップS4において、マイクスピーカー装置1の制御部11は、所定の通知情報をスピーカー15から音声出力させる。具体的には、制御部11は、AGV1から前記位置状況情報を取得すると、AGV1の走行方向に応じた通知情報をスピーカー15から音声出力させる。例えば
図4に示すように、AGV1の走行方向が作業者のいる方向であり、AGV1が作業者の右側から作業者に接近している場合に、制御部11は、右側からAGV1が近付いていることを示すメッセージM1(「右からAGVが近付いています」)を、右側のスピーカー15Rから音声出力させる。
【0064】
次にステップS5において、AGV1の制御部21は、AGV1が作業者に接触する可能性があるか否かを判定する。例えば、AGV1と作業者(マイクスピーカー装置1)との間の距離Lが所定距離に到達した時点で作業者(マイクスピーカー装置1)が設定経路R1上にいる場合に、制御部21は、AGV1が作業者に接触する可能性があると判定する(S5:Yes)。一方、前記距離Lが所定距離に到達した時点で作業者(マイクスピーカー装置1)が設定経路R1から移動している場合に、制御部21は、AGV1が作業者に接触する可能性がないと判定する(S5:No)。
【0065】
制御部21は、AGV1が作業者に接触する可能性がないと判定すると(S5:No)、処理をステップS6に移行させ、AGV1が作業者に接触する可能性があると判定すると(S5:Yes)、処理をステップS51に移行させる。
【0066】
ステップS6では、制御部21は、AGV1を設定経路R1に従って自律走行を継続させる。具体的には、制御部21は、設定経路R1から作業者が移動したことを検知した場合に、設定経路R1の自律走行を継続する。
【0067】
これに対して、ステップS51では、制御部21は、作業者を回避する回避経路R2を生成して、AGV1を回避経路R2に従って自律走行(回避走行)させる(
図5参照)。
【0068】
制御部21は、ステップS6、S51の後、処理をステップS7に移行させる。ステップS7において、AGV1の制御部21は、AGV1が目的地に到着したか否かを判定する。制御部21は、AGV1が目的地に到着したと判定すると(S7:Yes)、前記走行制御処理を終了する。一方、制御部21は、AGV1が目的地に到着していないと判定すると(S7:No)、処理をステップS1に移行させる。制御部11及び制御部21は、AGV1が目的地に到着するまでステップS1~S6の処理を繰り返す(S7:No)。
【0069】
このように、自動走行装置2の制御部21は、自動走行装置2の現在位置P2を示す位置情報を取得し、マイクスピーカー装置1の制御部11は、マイクスピーカー装置1を所持するユーザーの姿勢を示す姿勢情報を取得する。また、制御部11は、前記位置情報と前記姿勢情報とに応じた所定の通知情報(メッセージM1)をスピーカー15から音声出力させる。
【0070】
例えば、制御部11は、マイクスピーカー装置1に含まれる複数のスピーカーのうち自動走行装置2の現在位置P2の方向に位置するスピーカーから、前記通知情報を音声出力させる。
【0071】
上記構成によれば、ユーザーの姿勢(向き)に応じた情報(通知情報)をユーザーのマイクスピーカー装置から音声出力することができる。よって、マイクスピーカー装置を使用して自動走行装置2の作業環境を改善することができる。
【0072】
次に、走行制御処理の他の例について
図7~
図9を参照しつつ説明する。
図7に示すフローチャートでは、
図6に示した処理と同一の処理には同一のステップ番号を付している。ここでは、AGV1が、設定経路R1上にいる作業者の後方から接近する場合を示している。
【0073】
自動走行装置2(AGV1)が設定経路R1に従って自律走行を開始すると、ステップS1において、制御部21は、AGV1の現在位置P2を取得する。
【0074】
次にステップS2において、マイクスピーカー装置1の制御部11は、マイクスピーカー装置1を装着するユーザー(作業者)の姿勢(向きD1)を取得する。
【0075】
次にステップS3において、AGV1の制御部21は、AGV1とマイクスピーカー装置1との位置関係を特定する。具体的には、制御部21は、マイクスピーカー装置1からマイクスピーカー装置1の向きD1を示す姿勢情報を取得すると、AGV1に対するマイクスピーカー装置1の位置(相対位置)及び向きD1(相対位置)を特定する。
【0076】
図8に示す例では、制御部21は、AGV1が作業者の後方から作業者に接近しており、作業者までの距離がL(m)であることを特定する。制御部21は、AGV1の位置状況を示す位置状況情報(通知指示)をマイクスピーカー装置1に送信する。
【0077】
次にステップS4において、マイクスピーカー装置1の制御部11は、所定の通知情報をスピーカー15から音声出力させる。例えば
図8に示すように、AGV1の走行方向が作業者のいる方向であり、AGV1が作業者の後方から作業者に接近している場合に、制御部11は、後方からAGV1が近付いていることを示すメッセージM2(「後方からAGVが近付いています。道をあけてください。」)を、右側のスピーカー15R及び左側のスピーカー15Lのそれぞれから音声出力させる。
【0078】
次にステップS21において、AGV1の制御部21は、マイクスピーカー装置1から、作業者が退避する(道をあける)旨の回答を受信したか否かを判定する。具体的には、作業者は、メッセージM2の音声を聞き取ると、メッセージM2に対する回答A1を発話する。作業者が発話した音声はマイクスピーカー装置1のマイク14に集音され、マイクスピーカー装置1の制御部11は、マイク14に集音された音声を取得する。制御部11は、取得した音声データをAGV1に送信し、AGV1の制御部21は、当該音声データに対応する回答A1を受信する。制御部21は、作業者の回答A1に応じてAGV1の走行を制御する。
【0079】
例えば、制御部21は、マイクスピーカー装置1から、作業者が退避する(道をあける)旨の回答A1(退避回答)を受信した場合(S21:Yes)、処理をステップS6に移行させる。一方、例えば、制御部21は、マイクスピーカー装置1から、作業者が退避しない(道をあけることができない)旨の回答A1を受信した場合(S21:No)、処理をステップS22に移行させる。
【0080】
ステップS6では、制御部21は、AGV1を設定経路R1に従って自律走行を継続させる。具体的には、制御部21は、設定経路R1から作業者が移動したことを検知した場合に、設定経路R1の自律走行を継続する。
【0081】
これに対して、ステップS22では、制御部21は、作業者を回避する回避経路R2を生成して、AGV1を回避経路R2に従って自律走行(回避走行)させる。例えば
図8に示すように、作業者がメッセージM2に対して、退避しない旨の回答A1(「今は避けれません」)を発話した場合に、制御部21は、
図9に示すように、作業者を回避する回避経路R2を生成して、AGV1を回避経路R2に従って自律走行(回避走行)させる。他の実施形態として、制御部21は、作業者が回避経路を指定する回答(例えば「左ルートを回避走行してください」)を発話した場合に、AGV1を作業者が指定したルートを回避走行させてもよい。
【0082】
制御部21は、ステップS6、S22の後、処理をステップS7に移行させる。ステップS7において、AGV1の制御部21は、AGV1が目的地に到着したか否かを判定する。制御部21は、AGV1が目的地に到着したと判定すると(S7:Yes)、前記走行制御処理を終了する。一方、制御部21は、AGV1が目的地に到着していないと判定すると(S7:No)、処理をステップS1に移行させる。制御部11及び制御部21は、AGV1が目的地に到着するまでステップS1~S6の処理を繰り返す(S7:No)。
【0083】
このように、マイクスピーカー装置1の制御部11は、マイク14に入力される音声を取得し、自動走行装置2の制御部21は、マイクスピーカー装置1から前記音声を取得する。また、自動走行装置2の制御部21は、スピーカー15から前記通知情報(メッセージM2)が音声出力された後にユーザーからマイク14に音声入力された回答情報(回答A1)を取得した場合に、前記回答情報に基づいて自動走行装置2の走行を制御する。具体的には、制御部21は、自動走行装置2の設定経路R1をユーザーの位置を回避する経路に変更する。他の実施形態として、制御部21は、ユーザーが設定経路R1上から移動(退避)するまで自動走行装置2を所定位置で停止させてもよい。
【0084】
上記構成によれば、ユーザーに自動走行装置2の接近を通知することができるとともに、通知に対するユーザーの回答に応じて自動走行装置2の走行を制御することができる。このように、本実施形態に係る自動走行システム10では、マイクスピーカー装置1がマイク14を備えておりユーザーの発話音声を取得することができるため、ユーザーは作業しながら発話(回答)するだけで自動走行装置2の走行を制御することができる。
【0085】
[他の実施形態]
本開示の他の実施形態として、自動走行システム10は、
図10に示すように、マイクスピーカー装置1及び自動走行装置2と通信可能なサーバー3を備えてもよい。サーバー3は、無線通信によりマイクスピーカー装置1及び自動走行装置2のそれぞれとデータ通信可能である。例えば、サーバー3は、自動走行装置2の現在位置P2を示す位置情報を取得し、マイクスピーカー装置1を所持するユーザーの姿勢を示す姿勢情報を取得する処理を実行する。また、サーバー3は、前記位置情報と前記姿勢情報とに応じた所定の通知情報をスピーカー15から音声出力させる処理を実行する。すなわち、サーバー3は、マイクスピーカー装置1の制御部11の各処理部と、自動走行装置2の制御部21の各処理部とを備えて構成されてもよい。
【0086】
また、サーバー3は、複数台のマイクスピーカー装置1及び複数台の自動走行装置2とそれぞれデータ通信可能に接続されてもよい。この場合、サーバー3は、複数台のマイクスピーカー装置1のそれぞれについて、複数台の自動走行装置2のそれぞれとの位置関係を判定し、判定結果に基づいて各マイクスピーカー装置1に通知情報を通知したり、各自動走行装置2の走行を制御したりする。
【0087】
また、他の実施形態として、マイクスピーカー装置1は、ユーザーの首に装着可能なネックバンド型の音響機器であって、ユーザーの首の周囲を囲う本体部(アーム)に配置される複数のスピーカーを備え、前記複数のスピーカーによりサラウンドスピーカー(サラウンドシステム)を構築してもよい。例えば、マイクスピーカー装置1は、スピーカー15L,15Rに加えて、さらに左右それぞれのアームに一又は複数のスピーカーが配置され、これら複数のスピーカーにより、ユーザーの周囲の前後左右又は360度の方向から音が聞こえるように構成される。前記サラウンドスピーカーにおいて、出力処理部113は、自動走行装置2の現在位置P2の位置情報とマイクスピーカー装置1の姿勢(向きD1)の姿勢情報とに基づいて特定されるユーザーに対する自動走行装置2の相対位置の方向から、所定の通知情報(メッセージM1)を音声出力させる。例えば、ユーザーの右斜め後方から自動走行装置2がユーザーに近付いてきた場合に、出力処理部113は、ユーザーの右斜め後方から音声が聞こえるように、メッセージM1(「右斜め後方からAGVが近付いています」)を音声出力させる。また例えば、ユーザーの後方から自動走行装置2がユーザーに近付いてきた場合に、出力処理部113は、ユーザーの後方から音声が聞こえるように、メッセージM1(「後方からAGVが近付いています」)を音声出力させる。上記構成によれば、より細かい位置情報を自動走行装置2が存在する方向からユーザーに伝えることができるため、ユーザーは自動走行装置2の位置を確実に把握することが可能になる。
【0088】
[開示の付記]
以下、上述の実施形態から抽出される開示の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0089】
<付記1>
自動走行装置の現在位置を示す位置情報を取得する位置取得処理部と、
マイク及びスピーカーを含むマイクスピーカー装置を所持するユーザーの姿勢を示す姿勢情報を取得する姿勢取得処理部と、
前記位置取得処理部により取得される前記位置情報と前記姿勢取得処理部により取得される前記姿勢情報とに応じた所定の通知情報を前記スピーカーから音声出力させる出力処理部と、
を備える制御システム。
【0090】
<付記2>
前記出力処理部は、前記位置情報から特定される前記自動走行装置の走行方向に応じた前記通知情報を前記スピーカーから音声出力させる、
付記1に記載の制御システム。
【0091】
<付記3>
前記出力処理部は、前記自動走行装置の走行方向が前記ユーザーのいる方向である場合に、前記自動走行装置が接近していることを示す前記通知情報を前記スピーカーから音声出力させる、
付記2に記載の制御システム。
【0092】
<付記4>
前記出力処理部は、前記マイクスピーカー装置に含まれる複数の前記スピーカーのうち前記自動走行装置の現在位置の方向に位置する前記スピーカーから、前記通知情報を音声出力させる、
付記1~3のいずれかに記載の制御システム。
【0093】
<付記5>
前記マイクに入力される音声を取得する音声取得処理部と、
前記自動走行装置の走行を制御する走行処理部と、
をさらに備え、
前記走行処理部は、前記スピーカーから前記通知情報が音声出力された後に前記音声取得処理部が前記ユーザーから前記マイクに音声入力された回答情報を取得した場合に、前記回答情報に基づいて前記自動走行装置の走行を制御する、
付記1~4のいずれかに記載の制御システム。
【0094】
<付記6>
前記走行処理部は、前記自動走行装置の走行経路を前記ユーザーの位置を回避する経路に変更、又は、前記ユーザーが移動するまで前記自動走行装置を停止させる、
付記5に記載の制御システム。
【0095】
<付記7>
前記マイクスピーカー装置は、前記ユーザーの左耳に向けて音声出力可能な左側スピーカーと、前記ユーザーの右耳に向けて音声出力可能な右側スピーカーと、前記ユーザーの発話音声を集音するマイクとを含み、前記ユーザーの首に装着可能なネックバンド型の音響機器である、
付記1~6のいずれかに記載の制御システム。
【0096】
<付記8>
前記マイクスピーカー装置は、前記ユーザーの首に装着可能なネックバンド型の音響機器であって、前記ユーザーの首の周囲を囲う本体部に配置される複数のスピーカーを備え、前記複数のスピーカーによりサラウンドスピーカーを構築し、
前記出力処理部は、前記サラウンドスピーカーにおいて、前記位置情報及び前記姿勢情報に基づいて特定される前記ユーザーに対する前記自動走行装置の相対位置の方向から、前記通知情報を音声出力させる、
付記1~6のいずれかに記載の制御システム。
【0097】
<付記9>
自動走行装置の現在位置を示す位置情報を取得することと、
マイク及びスピーカーを含むマイクスピーカー装置を所持するユーザーの姿勢を示す姿勢情報を取得することと、
前記位置情報と前記姿勢情報とに応じた所定の通知情報を前記スピーカーから音声出力させることと、
を一又は複数のプロセッサーが実行する制御方法。
【0098】
<付記10>
自動走行装置の現在位置を示す位置情報を取得することと、
マイク及びスピーカーを含むマイクスピーカー装置を所持するユーザーの姿勢を示す姿勢情報を取得することと、
前記位置情報と前記姿勢情報とに応じた所定の通知情報を前記スピーカーから音声出力させることと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための制御プログラム。
【符号の説明】
【0099】
10 :自動走行システム
1 :マイクスピーカー装置
11 :制御部
12 :記憶部
13 :操作部
14 :マイク
15 :スピーカー
15L :スピーカー
15R :スピーカー
16 :通信部
111 :位置取得処理部
112 :姿勢取得処理部
113 :出力処理部
114 :音声取得処理部
2 :自動走行装置
21 :制御部
22 :記憶部
23 :ライダーセンサ
24 :通信部
211 :位置取得処理部
212 :走行処理部
213 :出力処理部
3 :サーバー
A1 :回答
D1 :向き(ユーザーの姿勢)
M1 :メッセージ(通知情報)
M2 :メッセージ(通知情報)
P1 :現在位置
P2 :現在位置
R1 :設定経路(走行経路)
R2 :回避経路