(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144960
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】半導体装置及びテスト方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20241004BHJP
G01R 31/3185 20060101ALI20241004BHJP
G06F 11/22 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G01R31/28 W
G01R31/3185
G06F11/22 673T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057157
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 浩一
【テーマコード(参考)】
2G132
5B048
【Fターム(参考)】
2G132AA01
2G132AB02
2G132AD06
2G132AG08
2G132AK15
2G132AK20
2G132AL32
5B048CC01
5B048DD07
(57)【要約】
【目的】回路規模の増大を抑えて、LSIテスタの適応可能周波数に依存することなく高速動作テストを行うことが可能な半導体装置及びそのテスト方法を提供することを目的とする。
【構成】本発明は、夫々が、個別にデータ信号を受信して受信したデータ信号に所定の信号処理を施すと共に、通常動作又はテスト動作を指示するテストモード信号を受ける複数の受信回路ブロックを含む半導体装置であって、複数の受信回路ブロックの各々は、自身が受信したデータ信号に位相同期したクロック信号を生成するPLL回路と、複数の受信回路ブロックのうちの自身の受信回路ブロック以外の他の受信回路ブロックのPLL回路が生成したクロック信号、及び自身の受信回路ブロックのPLL回路が生成したクロック信号のうちの一方をテストモード信号に基づき選択する第1のセレクタと、第1のセレクタが選択したクロック信号に同期させて所定の信号処理を行う信号処理回路と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
夫々が、個別にデータ信号を受信して受信した前記データ信号に所定の信号処理を施すと共に、通常動作又はテスト動作を指示するテストモード信号を受ける複数の受信回路ブロックを含む半導体装置であって、
前記複数の受信回路ブロックの各々は、
自身が受信したデータ信号に位相同期したクロック信号を生成するPLL回路と、
前記複数の受信回路ブロックのうちの自身の受信回路ブロック以外の他の受信回路ブロックの前記PLL回路が生成した前記クロック信号、及び前記自身の受信回路ブロックの前記PLL回路が生成した前記クロック信号のうちの一方を前記テストモード信号に基づき選択する第1のセレクタと、
前記第1のセレクタが選択した前記クロック信号に同期させて前記所定の信号処理を行う信号処理回路と、を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記PLL回路は、前記テストモード信号が前記通常動作を示す場合には前記自身の受信回路ブロックで受信した前記データ信号の周波数に対応した第1の周波数を有する前記クロック信号を生成する一方、前記テストモード信号が前記テスト動作を示す場合には前記第1の周波数よりも高い第2の周波数を有する前記クロック信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1のセレクタは、前記テストモード信号が前記通常動作を示す場合には前記自身の受信回路ブロックの前記PLL回路が生成した前記クロック信号を選択する一方、前記テストモード信号が前記テスト動作を示す場合には前記他の受信回路ブロックの前記PLL回路が生成した前記クロック信号を選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
テスト実行を促すテスト信号に応じて前記テスト動作を示す前記テストモード信号、及び所定のテストデータ信号を前記複数の受信回路ブロックの各々に供給するテスト制御回路を含み、
前記複数の受信回路ブロックの各々は、
前記自身の受信回路ブロックで受信した前記データ信号、及び前記テスト制御回路から供給された前記テストデータ信号を受け、前記テストモード信号が前記通常動作を示す場合には前記自身の受信回路ブロックで受信した前記データ信号を選択して前記信号処理回路に供給する一方、前記テストモード信号が前記テスト動作を示す場合には前記テストデータ信号を選択して前記信号処理回路に供給する第2のセレクタを更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記テスト制御回路は、前記テストデータ信号を前記複数の受信回路ブロックの各々に供給した際に前記複数の受信回路ブロック各々の前記信号処理回路から出力された出力信号を取り込み、前記出力信号と所定の期待値とが一致しているか否かによって前記信号処理回路各々の良否を判定することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置のテスト方法であって、
テスト実行を促すテスト信号に応じて前記テスト動作を示す前記テストモード信号を前記複数の受信回路ブロック各々の前記PLL回路及び前記第1のセレクタに供給するステップと、
前記複数の受信回路ブロック各々の前記信号処理回路にテスト用のデータ信号を供給するステップと、
前記複数の受信回路ブロック各々の前記信号処理回路から出力された出力結果を順に取り込んで期待値と比較することで良否の判定を行うステップと、を有することを特徴とするテスト方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び当該半導体装置のテスト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体IC(integrated circuit)チップの製品出荷前のテストでは、先ず、テスト対象となる半導体ICチップにLSIテスタを接続する。次に、このLSIテスタにより、半導体ICチップに形成されている回路群を仕様上の定格周波数で実際に動作させるためのテスト用の信号を当該半導体ICチップに入力する。この際、当該テスト用の信号に応じて半導体ICチップが動作して出力した出力結果をLSIテスタで取り込み、引き続きその出力結果と期待値とを比較することで半導体ICチップの良否を判定する。
【0003】
ところで、近年、画像の高解像度化に伴い、画像処理回路の動作周波数が高周波数化しており、このような画像処理回路を含む半導体ICチップをテストする場合には、高周波数対応のLSIテスタが必要となる。
【0004】
例えば、入力端子で受けた外部クロック信号に同期して動作する画像処理回路を含む半導体ICチップをテストする場合、高周波数のクロック信号をテスト用の外部クロック信号として半導体ICチップに供給することが可能な高周波数対応のLSIテスタが必要となる。
【0005】
しかしながら、このような高周波数対応のLSIテスタは高価であり、製造コストの増加を招くことになる。
【0006】
そこで、仕様上の定格周波数を有するテスト用のクロック信号を生成するPLL(Phase Locked Loop)回路と、このテスト用クロック信号及び上記した外部クロック信号のうちの一方を選択的に内部回路に供給する切替回路と、を半導体ICチップに設けるようにした半導体集積回路が提案された(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
かかる半導体集積回路をテストする場合、LSIテスタは自身で生成可能な、仕様上の定格周波数よりも低い周波数を有するクロック信号を外部クロック信号として半導体集積回路に供給しつつ、テスト用データ信号を半導体集積回路に供給する。この際、LSIテスタは、外部クロック信号を内部回路に供給させるように切替回路を制御する。ここで、当該外部クロック信号によってテスト用データ信号が半導体集積回路に取り込まれたら、LSIテスタは、外部クロック信号に代えて、PLL回路で生成された定格周波数のテスト用クロック信号を内部回路に供給させるように切替回路を制御する。
【0008】
これにより、内部回路は、仕様上の定格周波数を有するテスト用クロック信号により、テスト用データ信号に基づく動作を行い、その動作に伴う出力結果をLSIテスタに出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の半導体集積回路では、テスト用途の為だけにPLL回路と共に、当該PLL回路に供給する基準クロックを生成する回路又は当該基準クロックを外部入力する為の入力端子が必要となり、回路規模が増大するという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、回路規模の増大を抑えて、LSIテスタの適応可能周波数に依存することなく高速動作テストを行うことが可能な半導体装置及びそのテスト方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る半導体装置は、夫々が、個別にデータ信号を受信して受信した前記データ信号に所定の信号処理を施すと共に、通常動作又はテスト動作を指示するテストモード信号を受ける複数の受信回路ブロックを含む半導体装置であって、前記複数の受信回路ブロックの各々は、自身が受信したデータ信号に位相同期したクロック信号を生成するPLL回路と、前記複数の受信回路ブロックのうちの自身の受信回路ブロック以外の他の受信回路ブロックの前記PLL回路が生成した前記クロック信号、及び前記自身の受信回路ブロックの前記PLL回路が生成した前記クロック信号のうちの一方を前記テストモード信号に基づき選択する第1のセレクタと、前記第1のセレクタが選択した前記クロック信号に同期させて前記所定の信号処理を行う信号処理回路と、を含む。
【0013】
また、本発明に係る半導体装置のテスト方法は、上記半導体装置をテストするテスト方法であって、テスト実行を促すテスト信号に応じて前記テスト動作を示す前記テストモード信号を前記複数の受信回路ブロック各々の前記PLL回路及び前記第1のセレクタに供給するステップと、前記複数の受信回路ブロック各々の前記信号処理回路にテスト用のデータ信号を供給するステップと、前記複数の受信回路ブロック各々の前記信号処理回路から出力された出力信号を順に取り込んでこれを期待値と比較することで良否の判定を行うステップと、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、テスト動作時には各受信回路ブロックに含まれるPLL回路が生成するクロック信号の周波数を通常動作時よりも高い周波数に切り替える。そして、受信回路ブロックの各々では、自身以外の他の受信回路ブロックのPLL回路が生成したクロック信号によって自身の信号処理回路を動作させる。これにより、テスト用途の為だけに、LSIテスタの適応可能周波数よりも高い周波数のクロック信号を生成する発振回路を設けることなく、内部生成された高い周波数のクロック信号によって信号処理回路の動作をテストすることができる。
【0015】
よって、本発明によれば、回路規模の増大を抑えて、LSIテスタの適応可能周波数に依存することなく半導体装置に対して高速動作テストを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る半導体装置としての半導体チップに形成されているデータ受信回路100の構成を示すブロック図である。
【
図2】受信回路ブロック10_1に含まれるレシーバ11及び選択回路12の内部構成を示すブロック図である。
【
図3】PLL回路112の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】テスト制御フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る半導体装置としての半導体チップに形成されているデータ受信回路100の構成を示すブロック図である。
【0019】
尚、データ受信回路100は、4系統の受信回路ブロック10_1~10_4、及びテスト制御回路20を含む。
【0020】
受信回路ブロック10_1~10_4は、シリアル形態の2値(論理レベル0又は1)のデータ信号を差動信号化した、以下の4系統の差動シリアルデータ信号を個別に受ける。
【0021】
差動シリアルデータ信号(EDP_1P、EDP_1N)
差動シリアルデータ信号(EDP_2P、EDP_2N)
差動シリアルデータ信号(EDP_3P、EDP_3N)
差動シリアルデータ信号(EDP_4P、EDP_4N)
そして、受信回路ブロック10_1~10_4は、これら4系統の差動シリアルデータ信号を、夫々例えば8ビットのパラレル形態のデータに変換し、夫々を受信データTD1~TD4として出力する。受信回路ブロック10_1~10_4は、当該受信データTD1~TD4を、本半導体チップに形成されている主信号処理回路(図示せず)及びテスト制御回路20に供給する。尚、かかる主信号処理回路は、受信データTD1~TD4に基づき、本半導体チップの機能を司る各種の信号処理を行う。
【0022】
図1に示すように、受信回路ブロック10_1~10_4の各々は同一の内部構成、つまりレシーバ11、選択回路12、及びシリアルパラレル変換回路13(以下、S/P変換回路13と称する)を含む。
【0023】
以下に、受信回路ブロック10_1~10_4のうちから受信回路ブロック10_1を抜粋して、その内部構成について説明する。
【0024】
図2は、受信回路ブロック10_1に含まれるレシーバ11及び選択回路12の内部構成を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すように、レシーバ11は、シングルエンド変換回路111、及びPLL(Phase Locked Loop)回路112を含む。
【0026】
シングルエンド変換回路111は、差動シリアルデータ信号(EDP_1P、EDP_1N)を受け、その差動信号の形態をシングルエンド信号の形態、つまり単一の2値のシリアルデータ信号を復元する。そして、シングルエンド変換回路111は、この復元したシリアルデータ信号をシリアルデータ信号DTEとして選択回路12及びPLL回路112に供給する。
【0027】
図3は、PLL回路112の内部構成を示すブロック図である。
【0028】
図3に示すように、PLL回路112は、位相比較器1120、ループフィルタ(LPF)1121、VCO(Voltage-controlled oscillator)1122、及び分周器1123を含む。
【0029】
位相比較器1120は、シリアルデータ信号DTEの立ち上り又は立ち下がりエッジの位相と、分周器1123から供給された分周発振信号FVの立ち上り又は立ち下がりエッジの位相との位相差を検出する。位相比較器1120は、検出した位相差を表す位相差信号PVをループフィルタ1121に供給する。ループフィルタ1121は、位相差信号PVにおける低域成分の電圧を制御電圧CVとしてVCO1122に供給する。VCO1122は、制御電圧CVの電圧値に対応した周波数を有する信号をクロック信号CKEとして分周器1123及び選択回路12に供給する。
【0030】
分周器1123は、テスト制御回路20から供給されたテストモード信号TC1に基づく分周比で、上記したクロック信号CKEを分周した分周発振信号FVを生成し、これを位相比較器1120に供給する。例えば、分周器1123は、テストモード信号TC1が通常動作を示す場合には、第1の分周比でクロック信号CKEを分周する。一方、テストモード信号TC1がテスト動作を示す場合には、分周器1123は、の分周比より高い第2の分周比でクロック信号CKEを分周する。
【0031】
これにより、PLL回路112は、シリアルデータ信号DTEのエッジのタイミングに位相同期し且つテストモード信号TC1に基づく周波数を有するクロック信号CKEを生成する。
【0032】
すなわち、PLL回路112は、テストモード信号TC1が通常動作を示す場合には、所定の第1の周波数、つまり、受信したシリアルデータ信号DTEに位相同期しており且つ同一の周波数を有するクロック信号CKEを生成する。一方、当該テストモード信号TC1がテスト動作を示す場合には、この第1の周波数より高い第2の周波数を有するクロック信号CKEを生成する。
【0033】
そして、PLL回路112は、生成したクロック信号CKEを選択回路12に供給すると共に、この生成したクロック信号CKEをテストクロック信号CKI2として、他の受信回路ブロック10_2の選択回路12及びテスト制御回路20に供給する。
【0034】
選択回路12は、
図2に示すように、クロック信号の選択を行うセレクタ121と、データ信号の選択を行うセレクタ122と、を含む。
【0035】
セレクタ121は、PLL回路112から供給されたクロック信号CKEと、受信回路ブロック10_4から供給されたテストクロック信号CKI1とのうちの一方を、テストモード信号TC1に従って選択する。すなわち、セレクタ121は、テストモード信号TC1が通常動作を示す場合には、クロック信号CKE及びCKI1のうちからクロック信号CKEを選択する一方、テストモード信号TC1がテスト動作を示す場合にはテストクロック信号CKI1を選択する。そして、セレクタ121は、クロック信号CKE及びCKI1のうちで選択した方をクロック信号CKとしてS/P変換回路13に供給する。
【0036】
セレクタ122は、シングルエンド変換回路111から供給されたシリアルデータ信号DTEと、テスト制御回路20から供給されたテストシリアルデータ信号TDTとのうちの一方を、上記テストモード信号TC1に従って選択する。すなわち、セレクタ122は、テストモード信号TC1が通常動作を示す場合には、シリアルデータ信号DTE及びテストシリアルデータ信号TDTのうちから、シリアルデータ信号DTEを選択する。一方、テストモード信号TC1がテスト動作を示す場合には、セレクタ122は、テストシリアルデータ信号TDTを選択する。そして、セレクタ122は、シリアルデータ信号DTE及びテストシリアルデータ信号TDTのうちで選択した方をシリアルデータ信号DTとしてS/P変換回路13に供給する。
【0037】
S/P変換回路13は、選択回路12から供給されたシリアルデータ信号DTを、当該選択回路12から供給されたクロック信号CKに同期したタイミングで例えば8ビットのパラレル形態のデータに変換し、これを受信データTD1としてテスト制御回路20及び主信号処理回路(図示せず)に供給する。
【0038】
かかる構成により、受信回路ブロック10_1は、テストモード信号TC1が通常動作を示す場合には、先ず、受信した差動シリアルデータ信号(EDP_1P、EDP_1N)を2値のシングルエンド信号の形態に変換したものをシリアルデータ信号DTEとして取得する。そして、受信回路ブロック10_1では、シリアルデータ信号DTEに基づき、PLL回路112がクロック信号CKEを生成し、当該クロック信号CKEに同期したタイミングでシリアルデータ信号DTEをパラレル形態に変換することで受信データTD1を得る。一方、テストモード信号TC1がテスト動作を示す場合には、受信回路ブロック10_1は、テスト制御回路20から供給されたテストシリアルデータ信号TDTを、受信回路ブロック10_4から供給されたテストクロック信号CKI2に同期したタイミングでパラレル形態に変換することで受信データTD1を得る。更に、受信回路ブロック10_1は、自身のPLL回路112で生成されたクロック信号CKEをテストクロック信号CKI2として、受信回路ブロック10_2の選択回路12に含まれるセレクタ121、及びテスト制御回路20に供給する。
【0039】
尚、受信回路ブロック10_2~10_4の各々も、上記した受信回路ブロック10_1と同様な態様で、夫々が受信した差動シリアルデータ信号(EDP_2P、EDP_2N)~(EDP_4P、EDP_4N)に基づき受信データTD2~TD4を取得する。
【0040】
ただし、受信回路ブロック10_2~10_4の各々は、テスト制御回路20から、テストモード信号TC2~TC4を夫々個別に受ける。尚、テストモード信号TC2~TC4の各々も、テストモード信号TC1と同様に、通常動作又はテスト動作を指示する信号である。
【0041】
また、受信回路ブロック10_2は、自身のPLL回路112で生成されたクロック信号CKEをテストクロック信号CKI3として受信回路ブロック10_3の選択回路12のセレクタ121及びテスト制御回路20に供給する。受信回路ブロック10_3は、自身のPLL回路112で生成されたクロック信号CKEをテストクロック信号CKI4として受信回路ブロック10_4の選択回路12のセレクタ121及びテスト制御回路20に供給する。更に、受信回路ブロック10_4は、自身のPLL回路112で生成されたクロック信号CKEをテストクロック信号CKI1として受信回路ブロック10_1の選択回路12のセレクタ121及びテスト制御回路20に供給する。
【0042】
テスト制御回路20は、受信回路ブロック10_1~10_4各々のS/P変換回路13に対してビルトインセルフテストを行い、その良否を示すテスト結果信号TRSLTを出力する。
【0043】
尚、テスト制御回路20には、テストパターン回路及び期待値回路(いずれも図示せず)が含まれている。テストパターン回路は、S/P変換回路13の動作を確認する為のテストシリアルデータ信号TDTを生成するテストデータ生成回路、或いは当該テストシリアルデータ信号TDTが予め記憶されているメモリ等から構成される。期待値回路は、当該テストシリアルデータ信号TDTをS/P変換回路13に入力した際に当該S/P変換回路13から出力されるであろう出力信号を期待値として生成する期待値生成回路、或いはこの期待値自体が予め記憶されているメモリ等から構成される。
【0044】
以下に、
図1に示すデータ受信回路100を含む半導体ICチップの製品出荷前のテストについて、
図4に示すテスト制御フローに沿って説明する。
【0045】
尚、当該テストを実施するにあたり、先ず、データ受信回路100を含む半導体ICチップをLSIテスタに接続する。LSIテスタは、テスト実行を促すテスト信号TSTを当該半導体ICチップに供給する。
【0046】
テスト制御回路20は、テスト実行を促すテスト信号TSTに応じて、
図4に示すテスト制御フローに沿って受信回路ブロック10_1~10_4各々のS/P変換回路13に対してテストを行う。
【0047】
図4において、テスト制御回路20は、まず、テスト対象とする受信回路ブロックを指定する受信回路ブロック番号nとして、初期値「1」を設定する(ステップS11)。
【0048】
次に、テスト制御回路20は、テスト動作を示すテストモード信号TC(n)及びTC(n-1)を夫々受信回路ブロック10_1~10_4のうちのn及び(n-1)番目の受信回路ブロックに供給する(ステップS12)。つまり、ステップS12では、テスト制御回路20は、テスト動作を示すテストモード信号TC(n)を受信回路ブロック10_(n)に供給すると共に、テスト動作を示すテストモード信号TC(n-1)を受信回路ブロック10_(n-1)に供給する。ただし、「n」が1である場合には、ステップS12においてテスト制御回路20は、テスト動作を示すテストモード信号TC1を受信回路ブロック10_1に供給すると共に、テスト動作を示すテストモード信号TC4を受信回路ブロック10_4に供給する。
【0049】
ステップS12により、受信回路ブロック10_1~10_4のうちで上記した「n」番にて指定される一対の受信回路ブロック各々のPLL回路112が、通常動作時の第1の周波数よりも高い第2の周波数を有するクロック信号CKEを生成する状態となる。この際、例えば受信回路ブロック10_(n-1)のPLL回路112で生成されたクロック信号CKEは、テストクロック信号CKI(n)として受信回路ブロック10_(n)の選択回路12に供給され、この選択回路12を介して当該受信回路ブロック10_(n)のS/P変換回路13に供給される。つまり、受信回路ブロック10_1のPLL回路112で生成されたクロック信号CKEは、テストクロック信号CKI2として受信回路ブロック10_2の選択回路12に供給され、この選択回路12を介して当該受信回路ブロック10_2のS/P変換回路13に供給される。また、受信回路ブロック10_2のPLL回路112で生成されたクロック信号CKEは、テストクロック信号CKI3として受信回路ブロック10_3の選択回路12に供給され、この選択回路12を介して当該受信回路ブロック10_3のS/P変換回路13に供給される。また、受信回路ブロック10_3のPLL回路112で生成されたクロック信号CKEは、テストクロック信号CKI4として受信回路ブロック10_4の選択回路12に供給され、この選択回路12を介して当該受信回路ブロック10_4のS/P変換回路13に供給される。
【0050】
ただし、「n」が1である場合には、受信回路ブロック10_4のPLL回路112で生成されたクロック信号CKEが、テストクロック信号CKI1として受信回路ブロック10_1の選択回路12に供給され、この選択回路12を介してS/P変換回路13に供給される。
【0051】
次に、テスト制御回路20は、テストデータ生成回路で生成されたテストシリアルデータ信号TDTをテストクロック信号CKI(n-1)に同期したタイミングで、受信回路ブロック10_1~10_4に供給する(ステップS13)。ステップS13により、テストシリアルデータ信号TDTは、受信回路ブロック10_(n)の選択回路12を介してS/P変換回路13に供給される。よって、受信回路ブロック10_(n)のS/P変換回路13は、受信回路ブロック10_(n-1)から供給されたテストクロック信号CKI(n-1)に同期したタイミングでテストシリアルデータ信号TDTをパラレル形態に変換したデータを受信データTD(n)としてテスト制御回路20に供給する。
【0052】
ここで、テスト制御回路20は、上記したように受信回路ブロック10_(n)から出力された受信データTD(n)を取り込み(ステップS14)、これが上記した期待値と一致しているか否かを判定する(ステップS15)。
【0053】
かかるステップS15において、一致していると判定した場合、テスト制御回路20は、検査結果として「良」を示すテスト結果信号TRSLTをLSIテスタに出力する(ステップS16)。一方、当該ステップS15において一致していないと判定した場合、テスト制御回路20は、検査結果として「不良」を示すテスト結果信号TRSLTをLSIテスタに出力する(ステップS17)。
【0054】
ステップS16又はS17の実行後、テスト制御回路20は、受信回路ブロック番号nが最大値の「4」であるか否かを判定する(ステップS18)。ステップS18において、受信回路ブロック番号nが最終の「4」ではないと判定した場合、テスト制御回路20は、受信回路ブロック番号nに「1」を加算したものを新たな受信回路ブロック番号nとして設定する(ステップS19)。ステップS19の実行後、テスト制御回路20は、上記したステップS12に戻り前述したステップS12~S19の処理を再び実行する。
【0055】
ここで、テスト制御回路20は、受信回路ブロック番号nが最終の「4」となるまで、ステップS14~S19の処理を繰り返し実行することで、受信回路ブロック10_1~10_4の各々毎に、その受信回路ブロックのS/P変換回路13が良品であるか否かを示すテスト結果信号TRSLTをLSIテスタに順次出力する。
【0056】
以上、詳述したように、データ受信回路100では、テスト動作時には受信回路ブロック10_1~10_4の各々に含まれるPLL回路112が生成するクロック信号の周波数を通常動作時よりも高い周波数に切り替える。そして、受信回路ブロック10_1~10_4の各々では、自身以外の他の受信回路ブロックのPLL回路112で生成されたクロック信号によって自身のS/P変換回路13を動作させることで、S/P変換回路13の良否を判定する。
【0057】
かかる構成によれば、テスト用途の為だけに、LSIテスタの適応可能周波数よりも高い周波数のクロック信号を生成する発振回路(PLL回路を含む)を搭載することなく、S/P変換回路13の動作テストを行うことができる。
【0058】
よって、本発明によれば、回路規模の増大を抑え、且つLSIテスタの適応可能周波数に依存することなく半導体ICチップに対して製品出荷前の高速動作テストを行うことが可能となる。
【0059】
尚、上記実施例では、S/P変換回路13をテスト対象としているが、クロック信号CKEに同期して動作する回路であれば、S/P変換回路以外の信号処理回路をテスト対象としても良い。
【0060】
また、上記実施例では、テスト対象となる回路ブロックが受信回路ブロック10_1~10_4の4つであるが、テスト対象とする回路ブロックの数は4つに限定されず、2つ、或いは5つ以上の複数であっても良い。
【0061】
要するに、各々が個別に受信したデータ信号(DTE)に所定の信号処理(例えばS/P変換)を施す複数の受信回路ブロック(10_1~10_4)を含む半導体ICチップをテストする為に、複数の受信回路ブロックの各々として、以下のPLL回路、第1のセレクタ及び信号処理回路を含むものであれば良い。
【0062】
PLL回路(112)は、受信したデータ信号(DTE)に位相同期したクロック信号(CKE、CKI)を生成する。第1のセレクタ(121)は、複数の受信回路ブロックのうちの自身の受信回路ブロック以外の他の受信回路ブロックのPLL回路(112)が生成したクロック信号(CKI)、及び自身の受信回路ブロックのPLL回路(112)が生成したクロック信号(CKE)のうちの一方を、テストモード信号(TC1~TC4)に基づき選択する。信号処理回路(13)は、第1のセレクタが選択したクロック信号に同期させて所定の信号処理(例えばS/P変換)を行う。
【0063】
ここで、PLL回路(112)は、テストモード信号(TC1~TC4)が通常動作を示す場合には自身の受信回路ブロックで受信したデータ信号(DTE)の周波数に対応した第1の周波数を有するクロック信号(CKE、CKI)を生成する。一方、テストモード信号がテスト動作を示す場合には、PLL回路(112)は第1の周波数よりも高い第2の周波数を有するクロック信号(CKE、CKI)を生成する。第1のセレクタ(121)は、テストモード信号が通常動作を示す場合には自身の受信回路ブロックのPLL回路が生成したクロック信号を選択して信号処理回路(13)に供給する。一方、テストモード信号がテスト動作を示す場合には、第1のセレクタ(121)は、自身以外の他の受信回路ブロックのPLL回路が生成したクロック信号を選択して信号処理回路(13)に供給する。
【0064】
かかる構成により、半導体装置としての半導体ICチップのテスト動作時には各受信回路ブロックに含まれるPLL回路が生成するクロック信号の周波数を通常動作時よりも高い周波数に切り替える。そして、受信回路ブロックの各々では、自身以外の他の受信回路ブロックのPLL回路が生成したクロック信号によって自身の信号処理回路を動作させる。これにより、テスト用途の為だけに、LSIテスタの適応可能周波数よりも高い周波数のクロック信号を生成する発振回路を設けることなく、内部生成されたクロック信号によって信号処理回路に高速動作テストを施すことができる。
【0065】
よって、本発明によれば、回路規模の増大を抑えて、LSIテスタの適応可能周波数に依存することなく、半導体装置に対して製品出荷前の高速動作テストを行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0066】
11 レシーバ
12 選択回路
13 シリアルパラレル変換回路
10_1~10_4 受信回路ブロック
20 テスト制御回路
112 PLL回路
121、122 セレクタ