IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナブテスコサービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-コネクタ装置 図1
  • 特開-コネクタ装置 図2
  • 特開-コネクタ装置 図3
  • 特開-コネクタ装置 図4
  • 特開-コネクタ装置 図5
  • 特開-コネクタ装置 図6
  • 特開-コネクタ装置 図7
  • 特開-コネクタ装置 図8
  • 特開-コネクタ装置 図9
  • 特開-コネクタ装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144963
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20241004BHJP
   B60L 15/00 20060101ALN20241004BHJP
【FI】
H01R13/52 Z
H01R13/52 D
B60L15/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057161
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】510242521
【氏名又は名称】ナブテスコサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】中井 雅章
(72)【発明者】
【氏名】上田 純一
【テーマコード(参考)】
5E087
5H125
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE07
5E087EE10
5E087EE11
5E087EE14
5E087FF04
5E087FF06
5E087FF07
5E087HH01
5E087LL02
5E087LL21
5E087QQ03
5E087QQ04
5E087RR12
5H125AA01
5H125FF03
(57)【要約】
【課題】分離状態のコネクタ部の一方に水が付着した状態で他方が接続された場合にも使用可能なコネクタ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ある態様のコネクタ装置100は、N個(Nは2以上の整数)のメス型端子11が設けられる第1端子面10を有する第1コネクタ部1と、N個のオス型端子21が設けられる第2端子面20を有し、第1コネクタ部1に対して鉛直上方向に相対移動して第1コネクタ部1と電気接続される第2コネクタ部2と、を備える。N個のメス型端子11の各々の周囲、及び、N個のオス型端子21の各々の周囲の少なくとも一方に設けられ、第2コネクタ部2が鉛直上方向に相対移動して電気接続されるときに、対向面に押し付けられて、第2端子面20上のN個のオス型端子21の周囲に形成された水膜を破壊可能である防水機構5が設けられる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N個(Nは2以上の整数)のメス型端子が設けられる第1端子面を有する第1コネクタ部と、
前記N個のオス型端子が設けられる第2端子面を有し、前記第1コネクタ部に対して鉛直上方向に相対移動して前記第1コネクタ部と電気接続される第2コネクタ部と、
を備え、
前記N個のメス型端子の各々の周囲、及び、前記N個のオス型端子の各々の周囲の少なくとも一方に設けられ、前記第2コネクタ部が鉛直上方向に相対移動して電気接続されるときに、対向面に押し付けられて、前記第2端子面上の前記N個の前記オス型端子の周囲に形成された水膜を破壊可能である防水機構が設けられるコネクタ装置。
【請求項2】
前記防水機構は、
前記第2端子面から突出し、前記N個の前記オス型端子の各々の周囲を覆うように設けられる第2防水部材と、
前記第1端子面から突出し、前記N個の前記メス型端子の各々の周囲を覆うように設けられる第1防水部材と、
を含む、請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記第2防水部材は、
電気接続されたときに前記第1防水部材と当接する当接面と、
前記当接面に連続して設けられ、前記当接面に対して鉛直方向下向きに傾斜するテーパ面と、
を有する、請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記第2コネクタ部は、電気接続された状態で、前記メス型端子に対して前記オス型端子を鉛直上方向に付勢する付勢部材を有する、請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記第1コネクタ部は、前記第1端子面に設けられる第1案内部材を有し、
前記第2コネクタ部は、前記第2端子面に設けられ、鉛直上方向に相対移動するとき、前記第1案内部材と接触して前記第1コネクタ部に対する相対位置を案内する第2案内部材を有し、
前記第2案内部材の先端部は、電気接続時に前記第1端子面と当接する、請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項6】
前記第2案内部材は、前記N個の前記オス型端子の外周を囲む中空筒状を有する、請求項5に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
前記第2端子面に排水孔が設けられる、請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項8】
前記防水機構は、樹脂材料、又は、ゴム材料から構成される、請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項9】
200Vの交流電圧を供給するコネクタである、請求項1に記載のコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気配線に使用されるコネクタが知られている。例えば、特許文献1には、ケーブルを電気接続するためのコネクタであって電気自動車に使用されるコネクタの技術が記載されている。このコネクタは、外部からの液体の侵入を防ぐ防水パッキンと、メス側とオス側とが嵌合固定されて防水機能を発揮する防水機構と、動力線と制御線の間に設けられたシールド壁とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-177740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタは、水にさらされる環境で使用されることがある。コネクタの複数の端子間が水によって導通すると、リークやショートなどの不具合を生じる。特許文献1には、電気自動車向けのコネクタ技術が開示されており、端子の周囲にシールを設けることと、端子間に凸形状のシールド壁を設けて沿面距離を延ばす技術思想が開示されている。
【0005】
特許文献1に記載の技術は、コネクタが接続されていない分離状態で水にさらされる状況が想定されていないため、分離状態のコネクタの一方に水が付着した状態で他方が接続された場合に、水が端子間のシールド壁を超えて端子間がショートするおそれがある。
【0006】
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、分離状態のコネクタ部の一方に水が付着した状態で他方が接続された場合にも使用可能なコネクタ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のコネクタ装置は、N個(Nは2以上の整数)のメス型端子が設けられる第1端子面を有する第1コネクタ部と、N個のオス型端子が設けられる第2端子面を有し、第1コネクタ部に対して鉛直上方向に相対移動して第1コネクタ部と電気接続される第2コネクタ部と、を備える。N個のメス型端子の各々の周囲、及び、N個のオス型端子の各々の周囲の少なくとも一方に設けられ、第2コネクタ部が鉛直上方向に相対移動して電気接続されるときに、対向面に押し付けられて、第2端子面上のN個のオス型端子の周囲に形成された水膜を破壊可能である防水機構が設けられる。
【0008】
なお、以上の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、分離状態のコネクタ部の一方に水が付着した状態で他方が接続された場合にも使用可能なコネクタ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態のコネクタ装置が適用された立体駐車装置を示す側面図である。
図2図1の立体駐車装置を示す別の側面図である。
図3図1のコネクタ装置の第1コネクタユニットを示す断面図である。
図4図1のコネクタ装置の第2コネクタユニットを示す断面図である。
図5】接続状態の第1コネクタユニットと第2コネクタユニットとを示す断面図である。
図6図3の第1コネクタ部を示す断面図である。
図7図4の第2コネクタ部を示す断面図である。
図8】接続状態の第1コネクタ部と第2コネクタ部とを示す断面図である。
図9図1のコネクタ装置の防水機構を模式的に示す図である。
図10】変形例のコネクタ装置の防水機構を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【0012】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部または全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部または全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【0013】
また、共通点のある別々の構成要素には、名称の冒頭に「第1、第2」等と付して区別し、総称するときはこれらを省略する。また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0014】
本発明に係るコネクタ装置は、多様な用途に使用されるコネクタ装置に適用可能であり、特に、水や水溶液などの導電性を有する液体(以下、本明細書で単に「水」という)がかかる可能性がある環境で使用されるコネクタ装置に好適に適用される。
【0015】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態及び変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0016】
[実施形態]
図1図2を参照して、本発明の実施形態に係るコネクタ装置100が適用された立体駐車装置90を説明する。図1図2は、コネクタ装置100が適用された立体駐車装置90を示す側面図である。図1は、分離状態のコネクタ装置100を示し、図2は、接続状態のコネクタ装置100を示す。
【0017】
以下、主にXYZ直交座標系をもとに説明する。便宜的に、X方向を左右方向といい、Y方向を前後方向といい、Z方向を上下方向という。X方向およびY方向は水平面に沿った方向であり、Z方向は鉛直方向に沿った方向である。Y方向およびZ方向はそれぞれX方向に直交する。X方向で矢印の先端側を「右」、「右方」と、反先端側を「左」、「左方」ということがある。Y方向で矢印の先端側を「前」、「前方」と、反先端側を「後」、「後方」ということがある。このような方向の表記はコネクタ装置100の姿勢を制限するものではなく、コネクタ装置100は、用途に応じて任意の姿勢で使用されうる。
【0018】
一例として、実施形態では、コネクタ装置100がEV(Electric vehicle)91を格納可能な立体駐車装置90に適用された例を示す。立体駐車装置90は、固定フレーム92を有する格納スペース93と、EV91を搭載して移動可能なパレット94と、パレット94を昇降可能な昇降装置(不図示)とを備える。パレット94は、下降状態で搭載したEV91を、昇降装置によって上昇させ、格納スペース93に格納する。実施形態のコネクタ装置100は、EV91を充電するために200Vの交流電圧を供給するコネクタである。この電圧は、厳密に200Vであることは要せず、実質的に200Vと見なせる範囲の誤差を含んでもよく、電力会社から供給される公称200Vの交流電圧を含む。
【0019】
コネクタ装置100は、固定フレーム92に装着された第1コネクタユニット30と、パレット94に装着された第2コネクタユニット40とを含む。図1は、EV91およびパレット94が上昇途中の状態を示し、第1コネクタユニット30と、第2コネクタユニット40とは分離されている。図2は、EV91およびパレット94が格納スペース93に格納された状態を示し、第1コネクタユニット30と、第2コネクタユニット40とは接続されている。接続状態では、第1コネクタユニット30のコネクタ端子(電極)と第2コネクタユニット40のコネクタ端子(電極)とは電気的に接続された状態(以下、「電気接続状態」という)であり、分離状態では、電気的に接続されていない状態(以下、「非電気接続状態」という)になる。
【0020】
第1コネクタユニット30のコネクタ端子は、所定のケーブルを介して充電用の電源(不図示)に接続される。第2コネクタユニット40のコネクタ端子は、所定のケーブルを介してEV91の受電端子97に接続される。つまり、図2の状態では、EV91の受電端子97は、第1コネクタユニット30および第2コネクタユニット40を介して電源から給電される。したがって、立体駐車装置90は、格納状態のEV91を充電することができる。コネクタ装置100は、パレット94の上昇により自動的に接続され、パレット94の下降により自動的に分離されるオートコネクタとして機能する。
【0021】
図3図5を参照して、コネクタ装置100の構成を説明する。図3は、コネクタ装置100の第1コネクタユニット30を示す断面図である。図4は、コネクタ装置100の第2コネクタユニット40を示す断面図である。図5は、接続状態のコネクタ装置100を示す断面図である。
【0022】
第1コネクタユニット30を説明する。第1コネクタユニット30は、第1コネクタ部1と、第1ベースブラケット31と、第1可動ブラケット32と、複数(例えば4つ)の揺動シャフト33とを有する。第1コネクタ部1については後述する。
【0023】
第1ベースブラケット31は、水平面に沿って延在する板状の部材であり、固定フレーム92に固定される。第1可動ブラケット32は、水平面に沿って延在する板状の部材であり、第1コネクタ部1を構成する。揺動シャフト33は、基端部331から先端部332に向かって略鉛直下方に延びる棒状の部材である。実施形態では4つの揺動シャフト33は、平面視で長方形の4角に対応する4つの位置に配置される。図3では、4つの揺動シャフト33のうち2つが見え、他の2つは見えていない。揺動シャフト33の基端部331は、ボールジョイント333によって、所定の範囲で揺動可能に第1ベースブラケット31に支持されている。揺動シャフト33の先端部332は、ボールジョイント334によって、第1可動ブラケット32に揺動可能に連結されている。この構成により、第1可動ブラケット32は、平面方向に移動可能に第1ベースブラケット31に吊り下げられている。
【0024】
第2コネクタユニット40を説明する。第2コネクタユニット40は、第2コネクタ部2と、第2ベースブラケット41と、第2可動ブラケット42と、支持部43とを有する。第2コネクタ部2については後述する。
【0025】
第2ベースブラケット41は、水平面に沿って延在する板状の部材であり、パレット94に固定される。第2可動ブラケット42は、水平面に沿って延在する板状の部材であり、第2コネクタ部2を構成する。支持部43は、第2ベースブラケット41に対して第2可動ブラケット42を上下動可能に支持する円形の部材であり、X方向に離れて2つ設けられる。支持部43は、固定シリンダ432と、シャフト433と、ストッパリング434と、付勢部材47とを有する。
【0026】
固定シリンダ432は、第2可動ブラケット42に固定される円筒状の部材である。固定シリンダ432は、第2可動ブラケット42の上側に配置される大径部436と、大径部436の下側に設けられ、第2可動ブラケット42の下側に延びる小径部437と、固定シリンダ432を上下に貫通する貫通孔438とを有する。大径部436と、小径部437とは一体的に形成される。固定シリンダ432は、大径部436が第2可動ブラケット42にボルト(不図示)で固定されることによって、第2可動ブラケット42に固定される。
【0027】
シャフト433は、固定シリンダ432の貫通孔438を円滑に上下動可能な棒状の部材である。シャフト433の上部は、固定シリンダ432から上側に突出する。シャフト433の下部は、ボルトB5によって第2ベースブラケット41に固定される。
【0028】
ストッパリング434は、ボルトB6によってシャフト433の上部に固定されるフランジ状の部材で、固定シリンダ432の内径よりも大きな外径を有する。ストッパリング434は、シャフト433が固定シリンダ432から下方に抜けるのを規制する抜け止めストッパとして機能する。
【0029】
付勢部材47は、第1コネクタ部1と第2コネクタ部2とが電気接続された状態で、メス型端子11に対してオス型端子21を鉛直上方向に付勢する弾性部材である。実施形態の付勢部材47は、小径部437を環囲するコイルスプリングである。付勢部材47の下端は、第2ベースブラケット41に接し、付勢部材47の上端は、第2可動ブラケット42に接する。つまり、付勢部材47は、第2ベースブラケット41と第2可動ブラケット42の間の上下隙間に介在する。付勢部材47の収縮量は、パレット94の上昇に連れて大きくなる。図4図5に示すように、付勢部材47の収縮量は、コネクタ装置100が分離状態にあるときよりも、コネクタ装置100が接続状態にあるときの方が大きい。このため、コネクタ装置100が接続状態であるとき、付勢部材47は、収縮量に応じた反発力である付勢力F1で第2可動ブラケット42を上向きに付勢する。
【0030】
図6図8を参照して第1コネクタ部1および第2コネクタ部2を説明する。図6は、第1コネクタ部1を示す断面図である。図7は、第2コネクタ部2を示す断面図である。
【0031】
第1コネクタ部1は、第1可動ブラケット32と、メス型端子11と、第1防水部材12と、第1リード部13と、第1ケーブルクランプ14と、第1ケーブル15と、第1案内部材16と、第1絶縁台部17とを含む。第1コネクタ部1の第2コネクタ部2と対向する面(下面)を第1端子面10という。第1コネクタ部1は、各部材が第1可動ブラケット32に組み付けられており、第1可動ブラケット32が移動するとき一体的に移動する。
【0032】
メス型端子11は、上下に延びる中空円筒状のソケット電極であり、オス型端子21の外周面に嵌合する。第1防水部材12は、上下に延びる中空円筒状の絶縁部材であり、メス型端子11を収容保持する絶縁スリーブとして機能する。第1防水部材12は、第1端子面10から突出し、N個のメス型端子11の各々の周囲を覆うように設けられる。第1防水部材12の下端面を、第1当接面124という。一例として、第1当接面124は水平な平坦面であってもよい。第1防水部材12は、第1当接面124に連続して上向に延びる円筒面121を有する。第1防水部材12の上部は、第1絶縁台部17の凹部に嵌合した状態で接着やネジ等により固定される。第1リード部13は、上下に延びる棒状のリード線であり、第1リード部13の下部はメス型端子11の上部に電気的に接合される。
【0033】
第1ケーブル15は、一方が第1リード部13の上部と電気的に接合され、他方は電源に延びる。第1ケーブルクランプ14は、上下に延びる円筒状の絶縁部材であり、第1ケーブル15と第1リード部13とを囲んで支持する。第1ケーブルクランプ14は、第1絶縁台部17の電極孔172に嵌合した状態で接着やネジ等により固定される。
【0034】
メス型端子11、第1防水部材12、第1リード部13、第1ケーブルクランプ14、及び第1ケーブル15の組を第1電極ユニット19という。第1コネクタ部1は、N個(Nは2以上の整数)の第1電極ユニット19を有する。実施形態の第1コネクタ部1は、X方向に離れて配置された2つの第1電極ユニット19を有する。第1絶縁台部17の上部は、第1可動ブラケット32の嵌合孔322に嵌入される。第1絶縁台部17は、周方向に所定間隔で配置された複数のボルトB1によって、第1可動ブラケット32に固定される。
【0035】
第1案内部材16は、第1コネクタ部1と第2コネクタ部2とを接続する過程で第2案内部材26の内周に接触し、第1コネクタ部1と第2コネクタ部2の水平方向の相対位置関係を適切な位置関係に修正する機能を有する。また、第1案内部材16は、第1端子面10から下方に突出する第1電極ユニット19を保護する機能を有する。特に、第1案内部材16は、N個のメス型端子11の外周を囲む中空筒状を有し、第1端子面10に設けられる。実施形態の第1案内部材16は、第1可動ブラケット32から下方に延びる中空円筒状の部材である。第1案内部材16は、第1絶縁台部17を、隙間を介して環囲する内径を有し、第1防水部材12の下端を超えて下方に延びる。第1案内部材16は、周方向に所定間隔で配置された複数のボルトB2によって、第1可動ブラケット32に固定される。
【0036】
第1案内部材16は、第2案内部材26の内周に嵌合する外周面を有する。第1案内部材16の外周面は、上端から下方に延びる円筒面161と、円筒面161に連続して設けられ下方に向かって徐々に外径が小さくなるテーパ面162を有する。テーパ面162は、第2案内部材26と接触する場合の案内面として機能する。
【0037】
第2コネクタ部2は、第2可動ブラケット42と、オス型端子21と、第2防水部材22と、第2リード部23と、第2ケーブルクランプ24と、第2ケーブル25と、第2案内部材26と、第2絶縁台部27と、リング部材28と、排水孔6とを含む。第2案内部材26については後述する。第2コネクタ部2の第1コネクタ部1と対向する面(上面)を第2端子面20という。第2コネクタ部2は、各部材が第2可動ブラケット42に組み付けられており、第2可動ブラケット42が移動するとき一体的に移動する。
【0038】
オス型端子21は、上下に延びる円柱状のプラグ電極であり、メス型端子11の内周面に嵌合する。第2防水部材22は、上下に延びる中空円筒状の絶縁部材であり、オス型端子21を収容保持する絶縁スリーブとして機能する。第2防水部材22は、第2端子面20から突出し、N個のオス型端子21の各々の周囲を覆うように設けられる。第2防水部材22の上端面を、第2当接面224という。一例として、第2当接面224は水平な平坦面であってもよい。第2防水部材22は、第2当接面224に連続して斜め下向きに延びるテーパ面222と、テーパ面222に連続して下向きに延びる円筒面221とを有する。換言すると、テーパ面222は、第2当接面224に対して鉛直方向下向きに傾斜する。第2防水部材22の下部は、第2絶縁台部27の凹部に嵌合した状態で接着やネジ等により固定される。
【0039】
リング部材28は、オス型端子21の外周に嵌合固定される円環状の部材である。リング部材28の外周面は、第2防水部材22の中空部の上端に嵌合した状態で固定される。これによって、リング部材28は、オス型端子21の倒れを抑制できる。第2リード部23は、上下に延びる棒状のリード線であり、第2リード部23の上部はオス型端子21の下部に電気的に接合される。
【0040】
第2ケーブル25は、一方が第2リード部23の下部と電気的に接合され、他方はEV91の受電端子97に延びる(図2も参照)。第2ケーブルクランプ24は、上下に延びる円筒状の絶縁部材であり、第2ケーブル25と第2リード部23とを囲んで支持する。第2ケーブルクランプ24は、第2絶縁台部27の電極孔272に嵌合した状態で接着やネジ等により固定される。
【0041】
オス型端子21、第2防水部材22、第2リード部23、第2ケーブルクランプ24、第2ケーブル25、及びリング部材28の組を第2電極ユニット29という。第2コネクタ部2は、第1電極ユニット19と同数の第2電極ユニット29を有する。実施形態の第2コネクタ部2は、X方向に離れて配置された2つの第2電極ユニット29を有する。第2絶縁台部27の下部は、第2可動ブラケット42の嵌合孔422に嵌入される。第2絶縁台部27は、周方向に所定間隔で配置された複数のボルトB3によって、第2可動ブラケット42に固定される。
【0042】
排水孔6は、第2端子面20に付着する水滴を排出するための孔である。実施形態では、排水孔6は、第2可動ブラケット42に形成された貫通孔である。第2可動ブラケット42には、第2案内部材26の内周側であって、第2絶縁台部27の外周側の領域において、周方向に所定間隔で配置された複数の排水孔6が形成される。
【0043】
第2案内部材26は、第1コネクタ部1と第2コネクタ部2とを接続する過程で第1案内部材16の外周に接触し、第1コネクタ部1と第2コネクタ部2の水平方向の相対位置関係を適切な位置関係に修正する機能を有する。また、第2案内部材26は、第2端子面20から上方に突出する第2電極ユニット29を保護する機能を有する。特に、第2案内部材26は、N個のオス型端子21の外周を囲む中空筒状を有し、第2端子面20に設けられる実施形態の第2案内部材26は、第2可動ブラケット42から上方に延びる中空円筒状の部材である。第2案内部材26は、第2絶縁台部27を、隙間を介して環囲する内径を有し、オス型端子21の上端を超えて上方に延びる。第2案内部材26は、周方向に所定間隔で配置された複数のボルトB4によって、第2可動ブラケット42に固定される。
【0044】
第2案内部材26は、第1案内部材16の外周に嵌合する内周面を有する。第2案内部材26の内周面は、下端から上方に延びる円筒面261と、円筒面261に連続して設けられ上方に向かって徐々に内径が大きくなるテーパ面262を有する。テーパ面262は、第1案内部材16と嵌合する場合の案内面として機能する。
【0045】
図8は、接続状態の第1コネクタ部1と第2コネクタ部2とを示す。第2案内部材26は、第2コネクタ部2が、第1コネクタ部1に接続されるために鉛直上方向に相対移動するとき、第1案内部材16と接触して第1コネクタ部1に対する相対位置を案内する。相対移動するとき、最初に第2案内部材26のテーパ面262が、第1案内部材16のテーパ面162に接触する。このとき、テーパ面262とテーパ面162とが互いに水平方向の位置を案内する。さらに、円筒面261が、円筒面161に接触することにより、これらは互いに位置決めする。
【0046】
接続状態では、第1案内部材16の先端部163(第1案内部材16の下端面)は、後述する第2端子面20の第2可動ブラケット42の上面に当接し、第2案内部材26の先端部263(第2案内部材26の上端面)は、第1端子面10の第1可動ブラケット32の下面に当接する。
【0047】
図8図9を参照して防水機構5を説明する。図9はコネクタ装置100の防水機構5を模式的に示す図である。図9(A)は分離状態を示し、図9(B)は接続状態を示す。
【0048】
雨水がかかる環境に立体駐車装置90が設置される場合、分離状態の第2コネクタ部2は、雨水などの水にさらされる。第2コネクタ部2が水で濡れた状態では、複数のオス型端子21の間に水膜による電流路が形成され、これらの端子間でリークあるいはショート(以下、「ショート等」という)が生じる可能性がある。そこで、実施形態のコネクタ装置100は、N個のメス型端子11の各々の周囲、及び、N個のオス型端子21の各々の周囲の少なくとも一方に設けられ、第2コネクタ部2が鉛直上方向に相対移動して電気接続されるときに、対向面に押し付けられて、第2端子面20上のN個のオス型端子21の周囲に形成された水膜を破壊可能である防水機構5が設けられる。水膜を破壊するとは、対象物に付着した水膜(膜状の水の他に、水滴等の水の塊を含む)を2以上の部分に分離して切り離すことを意味する。防水機構5がオス型端子21の周囲に形成された水膜を破壊することによって、その部分で水膜による電流路が切り離され、ショート等が生じる可能性を大幅に低減できる。
【0049】
防水機構5の構成に限定はないが、防水機構5は、第2端子面20のN個のオス型端子21の各々に対応して設けられる第2防水部材22と、第1端子面10のN個のメス型端子11の各々に対応して設けられる第1防水部材12と、を含む。
【0050】
図9(A)に示す分離状態で、第2端子面20が水に濡れた場合、第2端子面20の各オス型端子21を囲む第2防水部材22に水膜Wが付着することがある。例えば、水膜Wは、破線で示すように、第2防水部材22の第2当接面224からテーパ面222および円筒面221等に付着し、N個のオス型端子21の間に水膜による電流路が形成される。この状態で、N個のオス型端子21に電力を供給した場合、水膜の電流路によって端子間でショート等が生じる。
【0051】
実施形態では、第2コネクタ部2を第1コネクタ部1に対して鉛直上方向に相対移動し、第2コネクタ部2が第1コネクタ部1に電気接続されるとき、防水機構5がオス型端子21を囲む第2防水部材22に付着する水膜Wを破壊する。図9(B)に示す接続状態で、第2当接面224は、第1当接面124に当接して密着し、第2当接面224に付着する水膜Wを破壊する。このとき、上向の付勢力F1によって、第2コネクタ部2の第2当接面224は、第1コネクタ部1の第1当接面124に向かって押し付けられる。この結果、水膜Wは、第2当接面224から押し出されて下方に移動し、第2当接面224で水膜の電流路が切り離される。この状態で、N個のオス型端子21に電力を供給した場合、端子間のショート等は殆ど生じない。
【0052】
防水機構5の第1防水部材12および第2防水部材22は、互いの密着性を確保する観点から、鉄系金属よりも軟らかい絶縁材料で構成されることが望ましい。実施例の防水機構5では、第1防水部材12および第2防水部材22は、樹脂材料、又は、ゴム材料から構成されている。
【0053】
実施形態のコネクタ装置100の特徴を説明する。実施形態のコネクタ装置100は、N個(Nは2以上の整数)のメス型端子11が設けられる第1端子面10を有する第1コネクタ部1と、N個のオス型端子21が設けられる第2端子面20を有し、第1コネクタ部1に対して鉛直上方向に相対移動して第1コネクタ部1と電気接続される第2コネクタ部2と、を備える。N個のメス型端子11の各々の周囲、及び、N個のオス型端子21の各々の周囲の少なくとも一方に設けられ、第2コネクタ部2が鉛直上方向に相対移動して電気接続されるときに、対向面に押し付けられて、第2端子面20上のN個のオス型端子21の周囲に形成された水膜を破壊可能である防水機構5が設けられる。
【0054】
この構成によれば、電気接続時に防水機構5が第2端子面20に付着した水膜を破壊するため、電気接続前に第2端子面20が水に晒される環境でも、N個のオス型端子21の間でショート等が起きる可能性を小さくできる。このため、分離状態の第1端子面10と第2端子面20の一方に水が付着した状態で他方が接続された場合にも使用することができる。
【0055】
一例として、防水機構5は、第2端子面20から突出し、N個のオス型端子21の各々の周囲を覆うように設けられる第2防水部材22と、第1端子面10から突出し、N個のメス型端子11の各々の周囲を覆うように設けられる第1防水部材12と、を含む。この場合、それぞれの端子面に設けた第1防水部材12と第2防水部材22とによって、防水機構5を構成できるので、別個に防水機構を設ける場合と比較して簡易な構成で第2端子面20に付着した水膜を破壊できる。
【0056】
一例として、第2防水部材22は、電気接続されたときに第1防水部材12と当接する第2当接面224と、第2当接面224に連続して設けられ、第2当接面224に対して鉛直方向下向きに傾斜するテーパ面222と、を有する。この場合、第2当接面224に溜まった水の一部がテーパ面222から排水されるので、第2当接面224に残って破壊するべき水量が減少し、防水機構5の防水性能が向上する。
【0057】
一例として、第2コネクタ部2は、電気接続された状態で、メス型端子11に対してオス型端子21を鉛直上方向に付勢する付勢部材47を有する。この場合、電気接続状態において、付勢部材47は、メス型端子11に対してオス型端子21を付勢するため、構成部材の寸法誤差などの影響を低減し、安定した水破壊力を防水機構5に付与できる。
【0058】
一例として、第1コネクタ部1は、第1端子面10に設けられる第1案内部材16を有し、第2コネクタ部2は、第2端子面20に設けられ、鉛直上方向に相対移動するとき、第1案内部材16と接触して第1コネクタ部1に対する相対位置を案内する第2案内部材26を有する。第2案内部材26の先端部263は、電気接続時に第1端子面10と当接する。この場合、先端部263が第1端子面10に接触して防水シールとして機能するため、接続状態における水の侵入を抑制できる。また、別個に防水シールを設ける場合と比較して簡易な構成でシール性を確保できる。
【0059】
一例として、第2案内部材26は、N個のオス型端子21の外周を囲む中空筒状を有する。この場合、分離状態で、オス型端子21の外周が第2案内部材26に覆われるため、利用者がオス型端子21につまずくことによる端子の損傷を少なくできる。
【0060】
一例として、コネクタ装置100は、第2端子面20に排水孔6が設けられる。この場合、第2端子面20に溜まった水を排水孔6によって排出できるので、第2当接面224に残る破壊対象の水量が減り、水膜を破壊し易くなる。
【0061】
一例として、防水機構5は、樹脂材料、又は、ゴム材料から構成される。この場合、当接面に細かな凹凸があっても、圧力に応じて表面が密着しやすくなり、水膜を破壊する性能が向上する。
【0062】
一例として、コネクタ装置100は、200Vの交流電圧を供給するコネクタである。この場合、EVの充電用の送電経路のコネクタとして使用できる。
【0063】
以上が実施形態の説明である。
【0064】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。上述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除などの多くの設計変更が可能である。上述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容にも設計変更が許容され得る。
【0065】
[変形例]
以下、変形例を説明する。変形例の図面及び説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0066】
実施形態の説明では、第2防水部材22は、第2当接面224と円筒面221との間にテーパ面222を有する例を示したが、これに限定されない。テーパ面222を有することは必須ではない。図10は、変形例のコネクタ装置100の防水機構5を模式的に示す図である。図10(A)は分離状態を示し、図10(B)は接続状態を示す。この例では、第2当接面224が外周側に拡大され、円筒面221が第2当接面224の外周縁から連続して下方に延びる。図10(A)に示すように、分離状態で第2当接面224に水膜Wが付着する場合でも、図10(B)に示すように、接続状態では、第2当接面224の水膜Wは破壊される。この結果、水膜Wは、第2当接面224から押し出されて下方に移動し、第2当接面224で水膜による電流路が切り離され、端子間のショート等を殆ど回避できる。
【0067】
実施形態の説明では、コネクタ装置100が立体駐車装置90に適用される例を示したが、これに限定されない。本発明のコネクタ装置は、立体駐車装置以外の各種の装置や設備に適用可能で、例えば、潤滑材等の導電性液体を使用する工作機械等に適用されてもよい。
【0068】
実施形態の説明では、第1案内部材16および第2案内部材26により、第1コネクタ部1と第2コネクタ部2の水平方向の位置合わせをする例を示したが、これに限定されない。例えば、第1コネクタ部1と第2コネクタ部2の一方にシャフト部材を設け、他方に当該シャフト部材と嵌合する円筒部材を設け、シャフト部材と円筒部材によって位置合わせ機構が構成されてもよい。
【0069】
実施形態の説明では、メス型端子およびオス型端子のそれぞれの数が2である例を示したが、メス型端子およびオス型端子のそれぞれの数は、3以上であってもよい。
【0070】
実施形態の説明では、第2防水部材22の外径が第1防水部材12の外径よりも大きい例を示したが、これに限定されない。第2防水部材の外径は第1防水部材の外径以下であってもよい。
【0071】
実施形態の説明では、コネクタ装置100が、200Vの交流電圧を供給する例を示したが、これに限定されない。コネクタ装置は、200V以外の電圧を供給するものであってもよいし、直流電圧を供給するものであってもよい。
【0072】
実施形態の説明では、オス型端子21の外周にリング部材28が嵌合固定される例を示したが、これに限定されない。リング部材を設けることは必須ではない。
【0073】
上述の変形例は、各実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0074】
上述した各実施形態及び変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態及び変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0075】
100 コネクタ装置、 1 第1コネクタ部、 2 第2コネクタ部、 5 防水機構、 6 排水孔、 10 第1端子面、 11 メス型端子、 12 第1防水部材、 16 第1案内部材、 20 第2端子面、 21 オス型端子、 22 第2防水部材、 26 第2案内部材、 47 付勢部材、 124 第1当接面、 163 先端部、 222 テーパ面、 224 第2当接面、 263 先端部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10