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特開2024-144970デスクワーク支援システム、及びデスクワーク支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144970
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】デスクワーク支援システム、及びデスクワーク支援方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 22/02 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
A63B22/02
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057173
(22)【出願日】2023-03-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 裕美
(57)【要約】
【課題】電子機器に付随する入力装置の操作を伴う業務の実施と、適当な運動量の確保を両立することを可能にする。
【解決手段】デスクワーク支援システムは、運動以外の業務であって、電子機器に付随する入力装置の操作が要求される業務の遂行を支援するデスクワーク支援システムであって、作業者の歩行又は走行に対して運動の負荷を調整可能な可動床と、電子機器に付随する入力装置を配置可能な天板と、前記天板の高さを調整可能に構成された高さ調整部とを含む机と、を備え、前記机の高さ調整部は、少なくとも前記可動床の上で立位の姿勢をとった作業者の腰の高さから胸の高さまでの範囲を、前記机の天板の高さの調整の範囲に含み、前記机の天板の高さが前記入力装置の操作に適した所望の高さに調整された後に、前記調整された高さで前記机の天板を支持することにより、作業者の歩行中又は走行中の前記入力装置の操作を可能にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動以外の業務であって、電子機器に付随する入力装置の操作が要求される業務の遂行を支援するデスクワーク支援システムであって、
作業者の歩行又は走行に対して運動の負荷を調整可能な可動床と、
電子機器に付随する入力装置を配置可能な天板と、前記天板の高さを調整可能に構成された高さ調整部とを含む机と、
を備え、
前記机の高さ調整部は、
少なくとも前記可動床の上で立位の姿勢をとった作業者の腰の高さから胸の高さまでの範囲を、前記机の天板の高さの調整の範囲に含み、
前記机の天板の高さが前記入力装置の操作に適した所望の高さに調整された後に、前記調整された高さで前記机の天板を支持することにより、作業者の歩行中又は走行中の前記入力装置の操作を可能にする、
デスクワーク支援システム。
【請求項2】
前記電子機器は、前記入力装置の一部又は全部と、情報を表示する表示部と、前記表示部が向けられた方向を撮影可能なカメラとを筐体内に含み、
前記机の天板は、前記電子機器を配置可能な奥行きを有し、
前記電子機器は、前記カメラによって前記運動中の作業者の顔を撮像可能な向きになるように、前記机の天板の奥行きの範囲内に配置されている
請求項1に記載のデスクワーク支援システム。
【請求項3】
前記電子機器は、表示部が向けられた方向を撮影可能なカメラを含み、
前記机の第1天板は、前記電子機器に付随する入力装置を配置可能な奥行きを有し、
前記机の第2天板は、前記カメラによって前記運動中の作業者の顔を撮像可能な向きに沿った、前記電子機器を配置可能な奥行きを有する
請求項1に記載のデスクワーク支援システム。
【請求項4】
前記可動床が配置される部屋の一部又は全部の領域は、床パネルによって仕切られた2重床が形成され、
前記2重床が形成されている領域のうち前記床パネルがない領域の床スラブに架台が設けられていて、
前記可動床は、前記2重床が形成されている領域の床スラブに配置されている架台の上に配置されていて、
前記架台の上面の高さが前記床パネルの床面よりも低い
請求項1に記載のデスクワーク支援システム。
【請求項5】
前記架台の上面の高さを、前記可動床の進行方向側を高く、前記可動床の進行方向と反対側を低く設定されている
請求項4に記載のデスクワーク支援システム。
【請求項6】
運動以外の業務であって、電子機器に付随する入力装置の操作が要求される業務を、
作業者の歩行又は走行に対して運動の負荷を調整可能な可動床と、
電子機器に付随する入力装置を配置可能な天板と、前記天板の高さを調整可能に構成された高さ調整部とを含む机と、
を用いて遂行することを支援するデスクワーク支援方法であって、
前記机の天板の高さの調整の範囲は、少なくとも前記可動床の上で立位の姿勢をとった作業者の腰の高さから胸の高さまでの範囲を含み、
前記机の天板の高さが前記入力装置の操作に適した所望の高さに調整された後に、前記調整された高さで前記机の天板を支持することにより、作業者の歩行中又は走行中の前記入力装置の操作を可能にする、
デスクワーク支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デスクワーク支援システム、及びデスクワーク支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デスクワーク(オフィスワーク)が多く、かつ運動不足の状況が続くと、運動不足に起因する健康障害を誘発する場合がある。健康増進・Well-beingを実現するためにも、適量の運動を習慣的に実施することが求められている。近年のデスクワークには、パーソナルコンピュータなどの電子機器に付随する、キーボード、マウスなどの入力装置を操作することを伴う業務が含まれることが多くなっている。その結果、座位の姿勢で業務を続ける時間が長くなる傾向にある。
また、業務中の姿勢の偏りが健康障害を誘発する場合がある。例えば、椅子、バランスボール等を用いてデスクワークを座位の姿勢で実施する場合、又は立位の姿勢で業務を実施する場合には、それぞれの姿勢を継続する時間が長くなるほど、この業務中の姿勢が偏ることによる影響が健康面に影響することがある。
ところで、リモート会議用フィットネス装置に関する技術が知られている(例えば、特許文献1)。この特許文献1のリモート会議用フィットネス装置は、リモート会議に関する第1の情報を表示する表示部と、リモート会議に参加するユーザが利用可能なフィットネス器具とを備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-94599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、電子機器に付随する入力装置を手で操作することなどを伴う業務に関する開示がない。この特許文献1を参照しても、電子機器に付随する入力装置の操作を伴う業務と、運動を両立することが難しい場合があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、電子機器に付随する入力装置の操作を伴う業務の実施と、適当な運動量の確保を両立することを可能にするデスクワーク支援システム、及びデスクワーク支援方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様のデスクワーク支援システムは、運動以外の業務であって、電子機器に付随する入力装置の操作が要求される業務の遂行を支援するデスクワーク支援システムであって、作業者の歩行又は走行に対して運動の負荷を調整可能な可動床と、電子機器に付随する入力装置を配置可能な天板と、前記天板の高さを調整可能に構成された高さ調整部とを含む机と、を備え、前記机の高さ調整部は、少なくとも前記可動床の上で立位の姿勢をとった作業者の腰の高さから胸の高さまでの範囲を、前記机の天板の高さの調整の範囲に含み、前記机の天板の高さが前記入力装置の操作に適した所望の高さに調整された後に、前記調整された高さで前記机の天板を支持することにより、作業者の歩行中又は走行中の前記入力装置の操作を可能にする。
【0007】
(2)上記一態様のデスクワーク支援システムにおいて、前記電子機器は、前記入力装置の一部又は全部と、情報を表示する表示部と、前記表示部が向けられた方向を撮影可能なカメラとを筐体内に含み、前記机の天板は、前記電子機器を配置可能な奥行きを有し、前記電子機器は、前記カメラによって前記運動中の作業者の顔を撮像可能な向きになるように、前記机の天板の奥行きの範囲内に配置されている。
【0008】
(3)上記一態様のデスクワーク支援システムにおいて、前記電子機器は、表示部が向けられた方向を撮影可能なカメラを含み、前記机の第1天板は、前記電子機器に付随する入力装置を配置可能な奥行きを有し、前記机の第2天板は、前記カメラによって前記運動中の作業者の顔を撮像可能な向きに沿った、前記電子機器を配置可能な奥行きを有する。
【0009】
(4)上記一態様のデスクワーク支援システムにおいて、前記可動床が配置される部屋の一部又は全部の領域は、床パネルによって仕切られた2重床が形成され、前記2重床が形成されている領域のうち前記床パネルがない領域の床スラブに架台が設けられていて、前記可動床は、前記2重床が形成されている領域の床スラブに配置されている架台の上に配置されていて、前記架台の上面の高さが前記床パネルの床面よりも低い。
【0010】
(5)上記一態様のデスクワーク支援システムにおいて、前記架台の上面の高さを、前記可動床の進行方向側を高く、前記可動床の進行方向と反対側を低く設定されている。
【0011】
(6)本発明の一態様のデスクワーク支援方法は、運動以外の業務であって、電子機器に付随する入力装置の操作が要求される業務を、作業者の歩行又は走行に対して運動の負荷を調整可能な可動床と、電子機器に付随する入力装置を配置可能な天板と、前記天板の高さを調整可能に構成された高さ調整部とを含む机と、を用いて遂行することを支援するデスクワーク支援方法である。デスクワーク支援方法は、前記机の天板の高さの調整の範囲は、少なくとも前記可動床の上で立位の姿勢をとった作業者の腰の高さから胸の高さまでの範囲を含み、前記机の天板の高さが前記入力装置の操作に適した所望の高さに調整された後に、前記調整された高さで前記机の天板を支持することにより、作業者の歩行中又は走行中の前記入力装置の操作を可能にする、デスクワーク支援方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電子機器に付随する入力装置の操作を伴う業務の実施と、適当な運動量の確保を両立することを可能にするデスクワーク支援システム、及びデスクワーク支援方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係るデスクワーク支援システムの概略構成図である。
図2】第1の実施形態のデスクワーク支援システムの構成図である。
図3】第2の実施形態のデスクワーク支援システムの構成図である。
図4】第3の実施形態のデスクワーク支援システムの構成図である。
図5】第4の実施形態のデスクワーク支援システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図を参照して、実施形態のデスクワーク支援システム、及びデスクワーク支援方法について説明する。
【0015】
最初に、実施形態のデスクワーク支援システムの概要について説明する。
図1は、実施形態のデスクワーク支援システム1の概略構成図である。
【0016】
デスクワーク支援システム1は、電子機器に付随する入力装置の操作が要求される業務を遂行することを支援する。実施形態の電子機器は、パーソナルコンピュータ、スマートフォンなどを含むものであってよい。この電子機器に付随する入力装置は、キーボード、マウスなどを含むものであってよい。入力装置は、電子機器に内蔵されていてもよく、別体で構成されていてもよい。
【0017】
このデスクワーク支援システム1は、例えば、可動床2と、机3とを備える。
【0018】
可動床2は、屋内でウォーキングやランニングを行うために利用される運動器具の一例である。可動床2は、トレッドミル(treadmill)、ウォーキングマシン、ランニングマシンなどと呼ばれることがある。可動床2は、作業者の歩行又は走行に対して運動の負荷を調整可能に構成されている。
【0019】
例えば、可動床2は、略床面に沿って配置されるフレーム21と、可動ベルト22と、1対のローラー(不図示)と、電動機(不図示)とを備える。
【0020】
可動床2のフレーム21は、可動床2の筐体を兼ね、可動床2の各部を支持する。例えば、フレーム21(可動床2)は、床面に沿って配置される。
【0021】
可動床2の可動ベルト22は、可動床2のフレーム21の前方と後方に設けられた1対のローラー等によって支持されて、その1対のローラーの回転に伴い転動する。例えば、その1対のローラーのうち一方の軸には、電動機(不図示)の軸が連結されていて、電動機を駆動させることにより、可動床2の可動ベルト22を所望の速度で転動させることができる。この電動機の速度を調整することにより、可動床2の可動ベルト22が転動する速度を調整できる。
なお、可動床2の可動ベルト22を転動させるための構成は、上記に制限されることなく、既知の他の構成にしてもよい。
【0022】
机3は、例えば天板31と、脚部33とを備える。
机3の天板31は、例えば、電子機器4又は電子機器4に付随する入力装置41を配置可能な大きさの机上面31Fを有し、電子機器4又は入力装置41をその上に配置しても十分な強度を有する。この机上面31Fは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、ディスプレイ等の業務に必要な装置を置ける程度の面積を有するものとする。
【0023】
机3の脚部33は、天板31をその下から支持する。脚部33には、天板31の高さを調整可能に構成された高さ調整部34が含まれていてもよく、脚部33と高さ調整部34とが別体で構成されていてもよい。例えば、脚部33に高さ調整部34を含める場合には、2から3段に分けて構成した脚部33を所望の長さに調整可能な伸縮自在なスライド型の構造にして、高さ調整部34によって、その長さを保持するように構成してもよい。
なお、高さ調整部34によって高さを調整する際に利用する動力は、手動式と電動式の何れであってもよく、方式を問わない。机3は、簡易にかつ安全に高さを調節できるものであるとよい。
【0024】
机3の高さ調整部34は、少なくとも可動床2の上で立位の姿勢をとった作業者の腰の高さから胸の高さまでの範囲を、前記机3の天板31の高さの調整の範囲に含めて、机3の天板31の高さを調整可能にするとよい。
机3の高さ調整部34は、机3の天板31の高さが入力装置41の操作に適した所望の高さに調整された後に、調整された高さで机3の天板31を支持することにより、作業者の歩行中又は走行中の前記入力装置41の操作を可能にする。
電子機器4は、作業者が占用するものを持参して利用してもよく、予め据え付けられていてもよい。作業者は、必要によりイヤホン、マイクなどを、電子機器4の音声系のインタフェースとして利用してもよい。
【0025】
ところで、比較的大きな建物における一般的なオフィスの場合、建物及び設備の維持管理の負荷を軽減するために、そのオフィスの領域が2重床で構成されている場合が多い。以下に示す各実施形態は、2重床で構成されたオフィス(領域)に適用可能である。
【0026】
図2は、第1の実施形態のデスクワーク支援システム1の構成図である。
可動床2は、床(床パネル)の上に配置されている。このように配置した場合、可動床2を任意の位置に配置しやすいという利点がある。必要により、床パネルの強度を補強するとよい。
【0027】
なお、可動床2のフレーム21は、所定の厚さを有している。そのフレーム21の断面の中に、可動ベルト22と、1対のローラーと、電動機(不図示)などが配置されている。そのため、可動床2に乗った作業者は、床(床パネル)上に立った状態に比べて可動床2の厚さ分高い位置に立つことになる。
【0028】
机3は、床(床パネル)の上に配置されている。
本実施形態の場合、作業者の身長のばらつきと、可動床2の厚さ分高い位置に立つことによる、机3の天板31の高さと作業者の手の高さが不整合になることがある。そのため、机3の天板31の高さと作業者の手の高さを整合させることが必要になる。この場合の机3の天板31の高さの調整は、高さ調整部34を利用して実施される。
【0029】
机3は、高さ調整部34によって天板31の高さが調整された状態になっている。
天板31の高さは、作業者の好みによって決定できる。例えば、天板31の高さを、可動床2に乗った作業者の肘又は腰の高さ程度にすれば、肘を持ち上げずにキーボードなどの入力装置41の操作が可能になる。
【0030】
なお、会話が主になる会議やウェブセミナーの聴講などの場合には、入力装置41の操作の頻度が少ない傾向にある。このような場合、天板31の高さを高めに設定しても入力装置41の操作に対する影響は少ないとみなすことができる。例えば、天板31の高さを、可動床2に乗った作業者の顔の高さ程度にすれば、情報機器の表示部及びカメラを顔の前に配置することが可能になる。
上記のような机3の利用形態を実現するには、天板31の高さを作業者の腰の高さから胸の高さまで調整できるように、高さ調整部34による調整範囲が設けられているとよい。
【0031】
より具体的な数値の一例を示すとすれば、可動床2のフレーム21の厚さを20cm程度に見込み、かつ作業者の身長、体格のばらつきを考慮した場合には、天板31の高さを約80cmから約170cmまでの範囲で調整できるように、高さ調整部34による天板31の高さの調整範囲が設けられているとよい。
【0032】
なお、机3と可動床2とを分離して構成することにより、机3と可動床2の相対的な位置関係の自由度を高めることができる。例えば、机3の脚部33の間隔を可動床2のフレーム21の幅よりも広くすることにより、机3の脚部33が可動床2のフレーム21を跨ぐように配置可能になる。これにより、机3の天板31が可動床2の一部を覆うように配置することができる。
【0033】
可動床2の操作部(不図示)は、フレーム21に連結されているポスト(不図示)に配置されていてもよく、フレーム21から分離して構成されていてもよい。後者の場合には、可動床2の操作部を机3の天板31上に配置、又は脚部33に取り付けて配置するとよい。
【0034】
上記の実施形態によれば、デスクワーク支援システム1は、運動以外の業務であって、電子機器4に付随する入力装置41の操作が要求される業務の遂行を支援する。デスクワーク支援システム1の可動床2は、作業者の歩行又は走行に対して運動の負荷を調整可能に形成されている。
デスクワーク支援システム1の机3は、電子機器4に付随する入力装置41を配置可能な天板31と、天板31の高さを調整可能に構成された高さ調整部34とを含む。
【0035】
机3の高さ調整部34は、少なくとも可動床2の上で立位の姿勢をとった作業者の腰の高さから胸の高さまでの範囲を、机3の天板31の高さの調整の範囲に含むように構成されている。机3の天板31の高さが入力装置41の操作に適した所望の高さに調整された後に、調整された高さで机3の天板31を支持することにより、作業者の歩行中又は走行中の入力装置41の操作を可能にする。
【0036】
電子機器4は、入力装置41の一部又は全部と、情報を表示する表示部と、表示部が向けられた方向を撮影可能なカメラとを筐体内に含むパーソナルコンピュータである。
机3の天板31は、電子機器4を配置可能な奥行きを有している。
図2に示すように、電子機器4は、内蔵するカメラによって運動中の作業者の顔を撮像可能な向きになるように、机3の天板31の奥行きの範囲内に配置されているとよい。
【0037】
(第2の実施形態)
図3を参照して、第2の実施形態のデスクワーク支援システム1について説明する。図3は、第2の実施形態のデスクワーク支援システム1の構成図である。
上記の通り、可動床2が配置される部屋の一部又は全部の領域は、床パネルによって仕切られた2重床が形成されている。この2重床が形成されている領域のうち床パネルがない領域、又は床パネルの開口部に相当する位置の床スラブに、架台5が設けられている。可動床2は、床スラブに配置されている架台5の上に配置されている。この実施形態の架台5の上面の高さは、床パネルの床面よりも低く設定されている。
【0038】
例えば、可動床2を図3に示すように配置した場合に、この架台5は、床スラブの上を移動しないようにアンカーなどで床スラブなどに係止されているとよい。
なお、架台5の上面の一部又は全部に、衝撃を吸収する弾性体が設けられていて、可動床2がその上に配置されていてもよい。これにより、歩行時に可動床2に生じる振動が、その架台5及び床スラブに伝達する大きさを低減できる。
【0039】
この実施形態のデスクワーク支援システム1によれば、可動床2の高さを前述の第1の実施形態よりも低くすることができる。
【0040】
(第2の実施形態の変形例)
可動床2の高さを床パネルの床面よりも低く設定して、床パネルの開口部を床パネルで塞ぐように構成した場合に、床パネルで塞いだ床面が平坦になる。これにより、可動床2を利用しない時間に可動床2が邪魔になることを防ぎ、この領域を他の目的で利用できる。
【0041】
(第3の実施形態)
図4を参照して、第3の実施形態のデスクワーク支援システム1について説明する。図4は、第3の実施形態のデスクワーク支援システム1の構成図である。
可動床2は、前述の第2の実施形態と同様に架台の上に配置されていることは共通する。ただし、この架台5Aは、作業者の歩行による進行方向の前方と後方で、互いに異なる高さに設定可能である。この点が、前述の第2の実施形態の架台5とは異なるものである。
例えば、架台5Aの上面の高さを、可動床2の進行方向側を高く、可動床2の進行方向と反対側を低く設定した場合には、上り坂を模擬したものになる。
【0042】
(第3の実施形態の変形例)
架台5Aの上面の高さを調整可能にしてもよい。架台5Aの高さを調整するための構造は、手動式と電動式の何れであってもよく、方式を問わない。例えば、この高さを調整するための機構には、テーブルリフト(昇降台)などと同様の構造、又は高さ調整用の枕部材の有無により高さを調整する構造などを適用できる。なお、架台5A上に配置される可動床2上で、作業者が運動する形態になることから、架台5Aの高さ調整機構の信頼度を確保するように構成するとよい。
このような高さの調整を、例えば、前方側の高さを固定にしておき、後方側の高さを調整可能にするとよい。
【0043】
なお、後方側の高さを下げて調整する場合は、前方側の高さを上げて調整する場合を比べると、模擬する坂道の傾きは同様のものになる。ただし、可動床2の前方側の高さが高くなるほど、机3の天板31の高さの調整幅を広くする必要が出てくる。この観点によれば後方側の高さを下げて調整してもよい。
【0044】
(第4の実施形態)
図5を参照して、第4の実施形態のデスクワーク支援システム1について説明する。図5は、第4の実施形態のデスクワーク支援システム1の構成図である。
可動床2は、前述の第1から第3の実施形態に示した何れかの配置方法を適用できる。本実施形態の机3は、前述の机3とは天板の枚数が互いに異なる。例えば、この机3には、2段に配置される2つの天板が設けられている。
【0045】
第1天板31Aは、電子機器4に付随する入力装置42を配置可能な奥行きを有していて、前述の天板31と同様の高さに配置される。第2天板32Aは、前述の天板31と同様の大きさで、電子機器4を配置可能な奥行きを有する。第2天板32Aは、カメラによって運動中の作業者の顔を撮像可能な向きに沿った、電子機器4を配置可能な奥行きを有する。第2天板32Aは、第1天板31A及び前述の天板31よりも高い位置に配置される。本実施形態の作業者は、入力装置42を操作しつつ、電子機器4の表示部を参照して作業することができる。なお、作業者がリモート会議に参加する場合には、顔を正面から映した画像を配信することができる。
【0046】
このように、本実施形態のデスクワーク支援システム1は、運動以外の業務であって、電子機器に付随する入力装置の操作が要求される業務の遂行を支援するデスクワーク支援システム1であって、作業者の歩行又は走行に対して運動の負荷を調整可能な可動床2と、電子機器4に付随する入力装置41を配置可能な天板31と、天板31の高さを調整可能に構成された高さ調整部34とを含む机3と、を備える。机3の高さ調整部34は、少なくとも可動床2の上で立位の姿勢をとった作業者の腰の高さから胸の高さまでの範囲を、机3の天板の高さの調整の範囲に含み、机3の天板31の高さが入力装置の操作に適した所望の高さに調整された後に、調整された高さで机3の天板31を支持することにより、作業者の歩行中又は走行中の入力装置41の操作を可能にする。
【0047】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上記のものに限定されない。例えば、各実施形態とその変形例に例示した手法は、例示した組み合わせ以外の組みにしてもよい。また、本発明の実施形態は、上記の実施形態を次のように変形したものとすることができる。
例えば、ここで例示する灯具の出力の大きさ、種類などは、一例であり、適宜変更してよい。
【0048】
この実施形態における電子機器は、例えば、運動すること及び体を鍛えること以外の業務を主たる目的とした情報を登録する際に利用されるものである。運動すること及び体を鍛えることを主たる目的とした情報には、後述する可動床を制御するための情報などが含まれるが、上記の電子機器は、このような情報を扱わなくてもよい。デスクワーク支援システムは、主たる業務の遂行に影響しないように運動を行うことを支援する。これにより、運動量を高めることを目的に歩行又は走行する時間の中で、上記の入力装置の操作が要求される業務を並行して実施することを可能にした。また、運動していることにより全身の血流量が増える。これにより、覚醒度を高め、生産性が高まるという効果が期待できる。
【符号の説明】
【0049】
1 デスクワーク支援システム
2 可動床
3 机
31 天板
31A 第1天板
32A 第2天板
33 脚部
34 高さ調整部
4 電子機器
41、42 入力装置
5、5A 架台
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-01-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動以外の業務であって、電子機器に付随する入力装置の操作が要求される業務の遂行を支援するデスクワーク支援システムであって、
作業者の歩行又は走行に対して運動の負荷を調整可能な可動床と、
電子機器に付随する入力装置を配置可能な天板と、前記天板の高さを調整可能に構成された高さ調整部とを含む机と、
を備え、
前記机の高さ調整部は、
少なくとも前記可動床の上で立位の姿勢をとった作業者の腰の高さから胸の高さまでの範囲を、前記机の天板の高さの調整の範囲に含み、
前記机の天板の高さが前記入力装置の操作に適した所望の高さに調整された後に、前記調整された高さで前記机の天板を支持することにより、作業者の歩行中又は走行中の前記入力装置の操作を可能にして、
前記可動床が配置される部屋の一部又は全部の領域は、床パネルによって仕切られた2重床が形成され、
前記机と前記可動床とが分離して構成されていて、
前記床パネルによって形成される床面上に前記机の脚が配置されている
デスクワーク支援システム。
【請求項2】
前記電子機器は、前記入力装置の一部又は全部と、情報を表示する表示部と、前記表示部が向けられた方向を撮影可能なカメラとを筐体内に含み、
前記机の天板は、前記電子機器を配置可能な奥行きを有し、
前記電子機器は、前記カメラによって前記運動中の作業者の顔を撮像可能な向きになるように、前記机の天板の奥行きの範囲内に配置されている
請求項1に記載のデスクワーク支援システム。
【請求項3】
前記電子機器は、表示部が向けられた方向を撮影可能なカメラを含み、
前記机の第1天板は、前記電子機器に付随する入力装置を配置可能な奥行きを有し、
前記机の第2天板は、前記カメラによって前記運動中の作業者の顔を撮像可能な向きに沿った、前記電子機器を配置可能な奥行きを有する
請求項1に記載のデスクワーク支援システム。
【請求項4】
運動以外の業務であって、電子機器に付随する入力装置の操作が要求される業務の遂行を支援するデスクワーク支援システムであって、
作業者の歩行又は走行に対して運動の負荷を調整可能な可動床と、
電子機器に付随する入力装置を配置可能な天板と、前記天板の高さを調整可能に構成された高さ調整部とを含む机と、
を備え、
前記机の高さ調整部は、
少なくとも前記可動床の上で立位の姿勢をとった作業者の腰の高さから胸の高さまでの範囲を、前記机の天板の高さの調整の範囲に含み、
前記机の天板の高さが前記入力装置の操作に適した所望の高さに調整された後に、前記調整された高さで前記机の天板を支持することにより、作業者の歩行中又は走行中の前記入力装置の操作を可能にして、
前記可動床が配置される部屋の一部又は全部の領域は、床パネルによって仕切られた2重床が形成され、
前記机と前記可動床とが分離して構成されていて、
前記床パネルによって形成される床面上に前記机の脚が配置されていて、
前記2重床が形成されている領域のうち前記床パネルがない領域の床スラブに架台が設けられていて、
前記可動床は、前記2重床が形成されている領域の床スラブに配置されている架台の上に配置されていて、
前記架台の上面の高さが前記床パネルの床面よりも低い
デスクワーク支援システム。
【請求項5】
前記架台の上面の高さを、前記可動床の進行方向側を高く、前記可動床の進行方向と反対側を低く設定されている
請求項4に記載のデスクワーク支援システム。
【請求項6】
運動以外の業務であって、電子機器に付随する入力装置の操作が要求される業務を、
作業者の歩行又は走行に対して運動の負荷を調整可能な可動床と、
電子機器に付随する入力装置を配置可能な天板と、前記天板の高さを調整可能に構成された高さ調整部とを含む机と、
を用いて遂行することを支援するデスクワーク支援方法であって、
前記机の天板の高さの調整の範囲は、少なくとも前記可動床の上で立位の姿勢をとった作業者の腰の高さから胸の高さまでの範囲を含み、
前記机の天板の高さが前記入力装置の操作に適した所望の高さに調整された後に、前記調整された高さで前記机の天板を支持することにより、作業者の歩行中又は走行中の前記入力装置の操作を可能にしていて、
前記可動床が配置される部屋の一部又は全部の領域は、床パネルによって仕切られた2重床が形成され、
前記机と前記可動床とを分離して構成して、
前記床パネルによって形成される床面上に前記机の脚が配置されている
デスクワーク支援方法。
【請求項7】
前記2重床が形成されている領域のうち前記床パネルがない領域、又は前記床パネルの開口部に相当する位置に架台が配置されていて、
前記架台の上方に前記可動床を配置する、
請求項6に記載のデスクワーク支援方法。
【請求項8】
前記歩行中又は走行中に前記机を作業に利用する場合に、前記歩行中又は走行中の前記作業者の後方の前記可動床のフレームと前記架台との間に、前記可動床のフレームを支持するための支持部を設けておき、前記支持部の高さを調整することにより、前記可動床の走行面の角度調整を可能に構成して、
前記支持部が前記可動床のフレームを支持する高さを、前記走行面を水平にして用いる場合よりも下げることで、前記可動床を上り坂として利用させる
請求項7に記載のデスクワーク支援方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動以外の業務であって、電子機器に付随する入力装置の操作が要求される業務の遂行を支援するデスクワーク支援システムであって、
作業者の歩行又は走行に対して運動の負荷を調整可能な可動床と前記可動床を駆動する駆動部と前記可動床と前記駆動部とを収容するフレームとを備える可動床装置と、
電子機器に付随する入力装置を配置可能な天板と、前記天板の高さを調整可能に構成された高さ調整部と、前記天板を支持する脚部とを含む机と、
前記可動床装置を稼働させる制御のための操作入力を受け付ける操作部と
を備え、
前記机の高さ調整部は、
少なくとも前記可動床の上で立位の姿勢をとった作業者の腰の高さから胸の高さまでの範囲を、前記机の天板の高さの調整の範囲に含み、
前記机の天板の高さが前記入力装置の操作に適した所望の高さに調整された後に、前記調整された高さで前記机の天板を支持することにより、作業者の歩行中又は走行中の前記入力装置の操作を可能にして、
前記可動床装置が配置される部屋の一部又は全部の領域は、前記部屋の床を構成する床パネルによって仕切られた2重床が形成され、
前記机の脚部と前記可動床装置のフレームとが分離して構成され、
前記床パネルによって形成される床面上に前記机の脚部が配置され、
前記可動床装置が前記床面上に、又は前記床パネルがない領域、若しくは前記床パネルの開口部に相当する位置に配置されていて、
前記操作部は、前記机の脚部に配置される、
デスクワーク支援システム。
【請求項2】
前記電子機器は、前記入力装置の一部又は全部と、情報を表示する表示部と、前記表示部が向けられた方向を撮影可能なカメラとを筐体内に含み、
前記机の天板は、前記電子機器を配置可能な奥行きを有し、
前記電子機器は、前記カメラによって前記運動中の作業者の顔を撮像可能な向きになるように、前記机の天板の奥行きの範囲内に配置されている
請求項1に記載のデスクワーク支援システム。
【請求項3】
前記電子機器は、表示部が向けられた方向を撮影可能なカメラを含み、
前記机の第1天板は、前記電子機器に付随する入力装置を配置可能な奥行きを有し、
前記机の第2天板は、前記カメラによって前記運動中の作業者の顔を撮像可能な向きに沿った、前記電子機器を配置可能な奥行きを有する
請求項1に記載のデスクワーク支援システム。
【請求項4】
前記2重床が形成されている領域のうち前記床パネルがない領域の床スラブに架台が設けられていて、
前記可動床装置は、前記2重床が形成されている領域の床スラブに配置されている架台の上に配置されていて、
前記架台の上面の高さが前記床パネルの床面よりも低い
請求項1に記載のデスクワーク支援システム。
【請求項5】
前記架台の上面の高さを、前記可動床の進行方向側を高く、前記可動床の進行方向と反対側を低く設定されている
請求項4に記載のデスクワーク支援システム。
【請求項6】
運動以外の業務であって、電子機器に付随する入力装置の操作が要求される業務を、
作業者の歩行又は走行に対して運動の負荷を調整可能な可動床と前記可動床を駆動する駆動部と前記可動床と前記駆動部とを収容するフレームとを備える可動床装置と、
電子機器に付随する入力装置を配置可能な天板と、前記天板の高さを調整可能に構成された高さ調整部とを含む机と、
前記可動床装置を稼働させる制御のための操作入力を受け付ける操作部と
を用いて遂行することを支援するデスクワーク支援方法であって、
前記机の天板の高さの調整の範囲は、少なくとも前記可動床の上で立位の姿勢をとった作業者の腰の高さから胸の高さまでの範囲を含み、
前記机の天板の高さが前記入力装置の操作に適した所望の高さに調整された後に、前記調整された高さで前記机の天板を支持することにより、作業者の歩行中又は走行中の前記入力装置の操作を可能にしていて、
前記可動床装置が配置される部屋の一部又は全部の領域は、前記部屋の床を構成する床パネルによって仕切られた2重床が形成され、
前記机の脚部と前記可動床装置のフレームとを分離して構成して、
前記床パネルによって形成される床面上に前記机の脚部が配置され、
前記可動床装置が前記床面上に、又は前記床パネルがない領域、若しくは前記床パネルの開口部に相当する位置に配置され、
前記操作部は、前記机の脚部に配置される、
デスクワーク支援方法。
【請求項7】
前記2重床が形成されている領域のうち前記床パネルがない領域、又は前記床パネルの開口部に相当する位置に架台が配置されていて、
前記架台の上方に前記可動床を配置する、
請求項6に記載のデスクワーク支援方法。
【請求項8】
前記歩行中又は走行中に前記机を作業に利用する場合に、前記歩行中又は走行中の前記作業者の後方の前記可動床のフレームと前記架台との間に、前記可動床のフレームを支持するための支持部を設けておき、前記支持部の高さを調整することにより、前記可動床の走行面の角度調整を可能に構成して、
前記支持部が前記可動床のフレームを支持する高さを、前記走行面を水平にして用いる場合よりも下げることで、前記可動床を上り坂として利用させる
請求項7に記載のデスクワーク支援方法。