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特開2024-144983運行記録装置、運行記録方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144983
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】運行記録装置、運行記録方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/52 20200101AFI20241004BHJP
   G07C 5/00 20060101ALN20241004BHJP
【FI】
G01R31/52
G07C5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057193
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】河村 佳浩
(72)【発明者】
【氏名】花房 崇裕
【テーマコード(参考)】
2G014
3E138
【Fターム(参考)】
2G014AA04
2G014AA17
2G014AB29
2G014AB33
2G014AB61
3E138AA07
3E138BB01
3E138MB02
3E138MB03
3E138MB04
3E138MB08
3E138MB10
3E138MB11
3E138MB12
3E138MB13
3E138MB20
(57)【要約】
【課題】運行記録装置側の情報処理の負荷を抑えつつ、リアルタイムで地絡抵抗を記録する。
【解決手段】車載器10は、非接地のバッテリを備える車両に搭載され、当該車両の運行情報を記録する運行記録装置であって、バッテリが設けられた系の地絡抵抗を検出する地絡抵抗検出装置100から出力された地絡抵抗が入力するI/F13と、I/F13に入力した地絡抵抗を時系列で記録する記録部11Aとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接地のバッテリを備える車両に搭載され、前記車両の運行情報を記録する運行記録装置であって、
前記バッテリが設けられた系の地絡抵抗を検出する地絡抵抗検出装置から出力された前記地絡抵抗が入力する入力部と、
前記入力部に入力した前記地絡抵抗を時系列で記録する記録部と
を備える運行記録装置。
【請求項2】
前記地絡抵抗検出装置は、フライングキャパシタ方式の地絡検出回路を備え、フライングキャパシタの充電電圧に基づいて前記地絡抵抗を導出し前記入力部に出力する請求項1に記載の運行記録装置。
【請求項3】
前記入力部に入力した前記地絡抵抗が、前記系のメンテナンスが必要となる第1の閾値まで低下した場合に警報部を作動させ、且つ、前記入力部に入力した前記地絡抵抗が、前記第1の閾値よりも高い第2の閾値まで低下した場合にも前記警報部を作動させる警報制御部を備える請求項1又は2に記載の運行記録装置。
【請求項4】
前記警報制御部は、前記入力部に入力した前記地絡抵抗が前記第1の閾値以下の場合に前記警報部に第1の警報動作を実行させ、前記入力部に入力した前記地絡抵抗が前記第1の閾値と前記第2の閾値との間の場合に、前記警報部に前記第1の警報動作とは異なる第2の警報動作を実行させる請求項3に記載の運行記録装置。
【請求項5】
前記地絡抵抗検出装置が検出する前記地絡抵抗は、前記系における前記バッテリの正極側の地絡抵抗と前記バッテリの負極側の地絡抵抗との比を含み、
前記入力部は、前記地絡検出装置から出力された前記正極側の地絡抵抗と前記負極側の地絡抵抗との比が入力し、
前記記録部は、前記入力部に入力した前記正極側の地絡抵抗と前記負極側の地絡抵抗との比を時系列で記録する請求項1又は2に記載の運行記録装置。
【請求項6】
前記記録部は、前記入力部に入力した前記地絡抵抗を、前記運行情報と対応付けて記録する請求項1又は2に記載の運行記録装置。
【請求項7】
前記運行情報は、車両識別情報、運行ルート情報、積荷情報、運転者情報、季節情報、温湿度情報、及び前記バッテリの情報の少なくとも一つを含む請求項6に記載の運行記録装置。
【請求項8】
非接地のバッテリを備える車両に搭載され、前記車両の運行情報を記録する運行記録装置により実行する運行記録方法であって、
前記バッテリが設けられた系の地絡抵抗を検出する地絡抵抗検出装置から出力された前記地絡抵抗が入力する入力ステップと、
前記入力ステップにおいて入力した前記地絡抵抗を時系列で記録する記録ステップと
を備える運行記録方法。
【請求項9】
非接地のバッテリを備える車両に搭載され、前記車両の運行情報を記録する運行記録装置に、
前記バッテリが設けられた系の地絡抵抗を検出する地絡抵抗検出装置から出力された前記地絡抵抗が入力する入力手順と、
前記入力手順において入力した前記地絡抵抗を時系列で記録する記録手順と
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運行記録装置、運行記録方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等の高電圧のバッテリを備える車両には、バッテリが設けられた系の地絡抵抗を検出する地絡検出装置が設けられている(例えば、特許文献1~3参照)。特許文献1~3に記載の地絡検出装置は、地絡判定値の学習処理を行うために、地絡抵抗の実抵抗値に対応する交流信号の波高値を時系列で検出し、フラッシュメモリ等に記憶させ、時系列のn個の波高値の平均値を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-210085号公報
【特許文献2】特開2015-210086号公報
【特許文献3】特開2015-210087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気自動車にデジタルタコグラフ等の車載の運行記録装置を後付けで設置し、地絡検出装置により検出された地絡抵抗を運行記録装置で記録する場合について検討する。この場合、交流信号の波高値が地絡検出装置から運行記録装置に出力されるのであれば、運行記録装置において、交流信号の波高値を地絡抵抗に換算する処理が必要となる。そのため、運行記録装置の情報処理の負荷が大きくなり、また、地絡抵抗の記録のリアルタイム性が低くなる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、運行記録装置側の情報処理の負荷を抑えつつ、リアルタイムで地絡抵抗を記録することができる運行記録装置、運行記録方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の運行記録装置は、非接地のバッテリを備える車両に搭載され、前記車両の運行情報を記録する運行記録装置であって、前記バッテリが設けられた系の地絡抵抗を検出する地絡抵抗検出装置から出力された前記地絡抵抗が入力する入力部と、前記入力部に入力した前記地絡抵抗を時系列で記録する記録部とを備える。
【0007】
本発明の運行記録方法は、非接地のバッテリを備える車両に搭載され、前記車両の運行情報を記録する運行記録装置により実行する運行記録方法であって、前記バッテリが設けられた系の地絡抵抗を検出する地絡抵抗検出装置から出力された前記地絡抵抗が入力する入力ステップと、前記入力ステップにおいて入力した前記地絡抵抗を時系列で記録する記録ステップとを備える。
【0008】
本発明のプログラムは、非接地のバッテリを備える車両に搭載され、前記車両の運行情報を記録する運行記録装置に、前記バッテリが設けられた系の地絡抵抗を検出する地絡抵抗検出装置から出力された前記地絡抵抗が入力する入力手順と、前記入力手順において入力した前記地絡抵抗を時系列で記録する記録手順とを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、運行記録装置側の情報処理の負荷を抑えつつ、リアルタイムで地絡抵抗を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る車載器の構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示す地絡検出装置の回路構成を示す図である。
図3図3は、図2に示す地絡検出装置のマイコンの機能を示す機能ブロック図である。
図4図4は、図3に示すマイコンの地絡抵抗の演算処理を示すフローチャートである。
図5A図5Aは、第1計測における地絡抵抗の導出方法を説明するための図である。
図5B図5Bは、第2計測における地絡抵抗の導出方法を説明するための図である。
図6図6は、図1に示す車載器による記録処理及び警報処理を説明するための時系列図である。
図7図7は、本発明の他の実施形態に係る車載器の構成を示すブロック図である。
図8図8は、図7に示す地絡検出装置の回路構成を示す図である。
図9図9は、図8に示すマイコンの地絡抵抗の演算処理を示すフローチャートである。
図10図10は、図9に示すステップS101の充電電圧Vpの計測について説明するための図である。
図11図11は、図9に示すステップS102の充電電圧Vnの計測について説明するための図である。
図12図12は、図9に示すステップS106の充電電圧Vppの計測について説明するための図である。
図13図13は、図9に示すステップS112の充電電圧Vnnの計測について説明するための図である。
図14図14は、本発明の一実施形態に係る車載器を備える運行管理システムの構成を示す図である。
図15図15は、他の実施形態に係る地絡検出装置の回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用される。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る車載器10の構成を示すブロック図である。この図に示す車載器10は、デジタルタコグラフ、又はデジタルタコグラフの機能を併せ持つドライブレコーダー等の運行記録装置であり、運行管理の対象の車両に搭載される。
【0013】
運行管理の対象の車両は、非接地の高圧のバッテリB(図2参照)を備える電気自動車等の電動車両であり、運行事業者が運行するトラック、バス、及びタクシー等である。この車両は、高圧のバッテリBが設けられた系の地絡抵抗を検出する地絡検出装置100を備える。この地絡検出装置100の出力端子は、車載器10の入力端子に接続されており、地絡検出装置100から出力された地絡抵抗が車載器10に入力される。
【0014】
車載器10は、運行データ、車両の走行に関するイベント、及び車両のバッテリBが設けられた系の地絡抵抗等を記録する機能(以下、記録機能)を備える。運行データとしては、出入庫時刻、走行距離、走行時間、走行速度等が挙げられる。また、イベントとしては、速度オーバー、急発進、急減速、下り坂のフットブレーキ41の多用、エンジン過回転数等が挙げられる。さらに、地絡抵抗としては、地絡抵抗値、バッテリBの正極側の地絡抵抗とバッテリBの負極側の地絡抵抗との比等が挙げられる。
【0015】
ここで、本実施形態の地絡検出装置100は、フライングキャパシタ方式の地絡検出回路を備えており、バッテリBが設けられた系の地絡抵抗(地絡抵抗値)を演算して車載器10に出力する。このため、車載器10は、地絡検出装置100から出力された地絡抵抗を、換算・照合処理を要することなく、後述の外部記録媒体151に記録することができる。この点については後述する。
【0016】
車載器10は、CPU(Central Processing Unit)11と、メモリ12と、地絡検出装置100等の各種センサ等から出力された信号が入力するインターフェース(以下、I/F)13と、GPS(Global Positioning System)受信器14とを備える。また、車載器10は、カードインターフェース(以下、カードI/F)15と、通信部16と、リアルタイムクロック(以下、RTC)17と、警報部18とを備える。
【0017】
CPU11は、車載器10の各部の制御を司り、特に、記録機能、及び警報機能等を実行する。CPU11は、記録部11Aと、警報制御部11Bとを備える。記録部11Aは、I/F13に入力した運行データ、車両の走行に関するイベント、及び車両のバッテリBが設けられた系の地絡抵抗を外部記録媒体151に記録する。また、警報制御部11Bは、I/F13に入力した地絡抵抗に応じて、警報部18の表示・音声・点灯/点滅により乗務員に警報すると共に、バッテリBが設けられた系の絶縁状態の情報を運行管理サーバSに送信する。なお、記録部11A、及び警報制御部11Bの処理の詳細については後述する。
【0018】
メモリ12は、CPU11が実行するプログラムを格納する不揮発性メモリである。CPU11が実行するプログラムとしては、上記の記録機能、及び警報機能を実行するためのプログラム等が挙げられる。
【0019】
I/F13には、加速度センサ1、エンジン回転数センサ2、車速センサ3、ブレーキスイッチ4、ハンディテンキー(以下、H/T)5、車載カメラ6、スイッチユニット(以下、SWU)7、ナビゲーションシステム8、及び地絡検出装置100等が接続されている。
【0020】
加速度センサ1は、車両進行方向の加速度を検知して加速度信号をI/F13に出力する。また、エンジン回転数センサ2は、車両のエンジン回転数を検知して回転数信号をI/F13に出力する。また、車速センサ3は、車両の速度を検知して車速信号をI/F13に出力する。また、ブレーキスイッチ4は、運転者のフットブレーキ41の操作を検知してブレーキ信号をI/F13に出力する。
【0021】
H/T5は、出庫ボタン等の各種ボタン(図示省略)が配置されており、操作入力信号をI/F13に出力する。車載カメラ6は、車両の前方等を撮影して画像信号をI/F13に出力する。また、SWU7は、出庫ボタン、入庫ボタン等の各種ボタン(図示省略)が配置されており、操作入力信号をI/F13に出力する。さらに、ナビゲーションシステム8は、地図情報をI/F13に出力する。
【0022】
GPS受信器14は、GPSアンテナ141に接続されており、GPS衛星(図示省略)から発信されたGPS信号を受信する。このGPS信号は、GPS位置情報と、GPS時刻情報とを含む。
【0023】
カードI/F15には、メモリカード等の外部記録媒体151が着脱される。カードI/F15に接続された外部記録媒体151には、運行データとイベントとバッテリBが設けられた系の地絡抵抗とが記録される。
【0024】
通信部16は、広域通信網を介して、運行管理サーバSや事務所パソコンPCと通信する。RTC17は、GPS受信器14が受信したGPS時刻情報に基づいて、現在時刻を計時する。警報部18は、警報制御部11Bにより作動されるブザー、ライト、表示装置等であり、乗務員に対して表示・音声・点灯/点滅等により地絡の発生等を警報する。
【0025】
図2は、図1に示す地絡検出装置100の回路構成を示す図である。この図に示す地絡検出装置100が備えるフライングキャパシタ方式の地絡検出回路は、バッテリBの出力電圧を昇圧する昇圧回路108の一次側に配置されている。
【0026】
バッテリBの正極側に接続された電源線101とアースとの間には、正極側の地絡抵抗RLp1が形成されている。また、バッテリBの負極側に接続された電源線102とアースとの間には、負極側の地絡抵抗RLn1が形成されている。なお、正極側の地絡抵抗RLp1及び負極側の地絡抵抗RLn1は、仮想的なものである。
【0027】
バッテリBの正極側は、メインリレーR+を介して昇圧回路108に接続され、バッテリBの負極側は、メインリレーR-を介して二次側に接続されており、バッテリBから供給される電力が昇圧回路108により昇圧されて二次側に供給される。ここで、地絡検出装置100は、メインリレーR+,R-よりもバッテリB側に接続されている。
【0028】
バッテリBの正極に接続された電源線101は分岐しており、分岐後の電源線101の一方には、スイッチS1の一端が接続され、分岐後の電源線101の他方には、メインリレーR+の一端が接続されている。他方で、バッテリBの負極に接続された電源線102は分岐しており、分岐後の電源線102の一方には、スイッチS2の一端が接続され、分岐後の電源線102の他方には、メインリレーR-の一端が接続されている。
【0029】
スイッチS1の他端には、ダイオードD1のアノードが接続され、ダイオードD1のカソードには、抵抗R1の一端が接続されている。抵抗R1の他端に接続された配線103は分岐しており、分岐後の配線103の一方には、フライングキャパシタC1の一端が接続されている。他方で、スイッチS2の他端には、抵抗R2の一端が接続されている。抵抗R2の他端に接続された配線104は分岐しており、分岐後の配線104の一方には、フライングキャパシタC1の他端が接続されている。
【0030】
分岐後の配線103の他方はさらに分岐しており、その一方にはダイオードD2のカソードが接続され、他方にはダイオードD3のアノードが接続されている。このダイオードD3のカソードには抵抗R3の一端が接続されている。また、スイッチS3の一端には配線105が接続されている。この配線105は、分岐配線が合流する構成であり、配線105の合流前の一方には、ダイオードD2のアノードが接続され、配線105の合流前の他方には、抵抗R3の他端が接続されている。他方で、分岐後の配線104の他方には、スイッチS4の一端が接続されている。
【0031】
即ち、フライングキャパシタC1の一端は、抵抗R1及びダイオードD1を介してスイッチS1に接続され、ダイオードD2,D3及び抵抗R3を介してスイッチS3に接続されている。他方で、フライングキャパシタC1の他端は、抵抗R2を介してスイッチS2に接続され、スイッチS4に接続されている。
【0032】
スイッチS3の他端には配線106が接続されている。配線106は分岐しており、分岐後の配線106の一方は、サンプルアンドホールド回路107の入力端子に接続され、分岐後の配線106の他方は、抵抗R5の一端に接続されている。サンプルアンドホールド回路107の出力端子は、マイクロコンピュータ(以下、マイコン)110のアナログ入力端子に接続されている。
【0033】
抵抗R5の他端には配線109が接続されている。配線109は分岐しており、分岐後の配線109の一方は、アースに接続され、分岐後の配線109の他方は、抵抗R4の他端に接続されている。
【0034】
ここで、フライングキャパシタC1の充電電圧は、抵抗R3と抵抗R5とで分圧され、この分圧された電圧がマイコン110のアナログ入力端子に入力する。マイコン110は、A/D変換部111(図3参照)によりA/D変換された電圧値等に基づいて、地絡抵抗RLを演算する。
【0035】
スイッチS1,S2,S3,S4は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等の絶縁型のスイッチング素子であり、マイコン110によりON/OFFされる。スイッチS1,S2のON/OFFにより、バッテリBの正極とフライングキャパシタC1の一端との接続と、バッテリBの負極とフライングキャパシタC1の他端との接続とが独立して制御される。また、スイッチS3,S4のON/OFFにより、フライングキャパシタC1の一端とマイコン110等との接続と、フライングキャパシタC1の他端とマイコン110等との接続とが独立して制御される。
【0036】
図3は、図2に示す地絡検出装置100のマイコン110の機能を示す機能ブロック図である。この図に示すように、マイコン110は、A/D変換部111と、計測判定部112と、スイッチ制御部113と、演算部114と、地絡判定部115と、通知部116とを備える。
【0037】
A/D変換部111は、サンプルアンドホールド回路107(図2参照)からアナログ入力端子に入力したフライングキャパシタC1(図2参照)の充電電圧をA/D変換して計測電圧を計測判定部112に出力する。
【0038】
計測判定部112は、計測制御部112Aと判定部112Bとを備える。計測制御部112Aは、サンプルアンドホールド回路107とA/D変換部111とを制御し、抵抗R3,R5(図2参照)で分圧されたフライングキャパシタC1の充電電圧を計測する。判定部112Bは、A/D変換部111から出力された計測電圧Vclnに基づいて、電圧計測時のバッテリB(図2参照)の正極の電位が地絡検出装置100のアースの電位よりも高いか否かを判定し、判定結果をスイッチ制御部113と演算部114とに出力する。
【0039】
スイッチ制御部113は、スイッチS1,S2,S3,S4のON/OFFを独立に制御し、フライングキャパシタC1の充電とフライングキャパシタC1の充電電圧の計測とを切り換える。スイッチ制御部113は、第1スイッチ制御部113Aと第2スイッチ制御部113Bとを備える。第1スイッチ制御部113Aは、後述のV0計測、Vcln計測、及びVclp計測のための充電の各期間を数100ms程度に制御すると共に、各充電期間に続く計測・放電の期間を100msの1/2~1/4程度に制御する。他方で、第2スイッチ制御部113Bは、Vclp計測及びVclp計測のための充電の期間に続く計測・放電の期間にスイッチS1,S2,S3,S4を制御する。なお、第1スイッチ制御部113A及び第2スイッチ制御部113BによるスイッチS1,S2,S3,S4の制御の詳細については後述する。
【0040】
演算部114は、第1演算部114Aと第2演算部114Bとを備える。また、演算部114は、第1演算部114A及び第2演算部114Bの演算値に対応するテーブルデータを備える。第1演算部114Aは、V0計測・放電の期間での計測電圧V0、Vcln計測・放電の期間での計測電圧Vcln、及びVclp計測・放電期間での計測電圧Vclpに基づいて、(Vcln+Vclp)/V0を演算し、演算値に対応する地絡抵抗RLを、テーブルデータを参照して導出する。第2演算部114Bは、V0計測・放電の期間での計測電圧V0、Vcln計測・放電の期間での計測電圧Vcln、Vclpta計測・放電の期間での計測電圧Vta、及びVclptb計測・放電の期間での計測電圧Vtbに基づいて、Vtb/Vtaを演算し、演算値に対応する地絡抵抗RLを、テーブルデータを参照して導出する。演算部114は、演算した地絡抵抗RLを地絡判定部115と通知部116とに出力する。
【0041】
地絡判定部115は、演算部114で演算された地絡抵抗RLに基づいて地絡の発生の有無を判定する。例えば、地絡判定部115は、予め設定された地絡判定用の基準となる抵抗値と地絡抵抗RLとを比較し、地絡抵抗RLが基準値以下の場合に、地絡が発生したと判定する。地絡判定部115は、地絡が発生したと判定した場合、上位の制御装置に地絡の発生を通知する。
【0042】
通知部116は、演算された地絡抵抗RLを車載器10(図1参照)に出力する。車載器10に入力した地絡抵抗RLは、車載器10の記録部11A(図1参照)により、外部記録媒体151(図1参照)に記録される。
【0043】
図4は、図3に示すマイコン110の地絡抵抗RLの演算処理を示すフローチャートである。まず、マイコン110の判定部112Bは、A/D変換部111から出力された計測電圧Vclnが0.05V未満(即ち、数10mV等の略0V)であるか否かを判定する(ステップS1)。計測電圧Vclnが0.05V以上である場合(ステップS1でNO)、第1計測が実行され(ステップS2)、計測電圧Vclnが0.05V未満である場合(ステップS1でYES)、第2計測が実行される(ステップS3)。
【0044】
ステップS2の第1計測では、第1スイッチ制御部113Aが、フライングキャパシタC1の充放電を制御する。また、第1演算部114Aが、計測電圧V0,Vcln,Vclpに基づいた(Vcln+Vclp)/V0の演算と、その演算値に基づいたテーブルデータの参照とを実行し、地絡抵抗RLを導出する。
【0045】
他方で、ステップS3の第2計測では、第2スイッチ制御部113Bが、Vclpta計測、及びVclptb計測におけるフライングキャパシタC1の充放電を制御する。また、第2演算部114Bが、計測電圧Vta,Vtbに基づいたVtb/Vtaの演算と、その演算値に基づいたテーブルデータの参照とを実行し、地絡抵抗RLを導出する。
【0046】
図5Aは、第1計測における地絡抵抗RLの導出方法を説明するための図であり、図5Bは、第2計測における地絡抵抗RLの導出方法を説明するための図である。図5Aに示す第1計測では、まず、第1スイッチ制御部113Aが、V0計測のためにスイッチS1,S2をON、スイッチS3,S4をOFFにする。これにより、バッテリBの正極からダイオードD1、抵抗R1、フライングキャパシタC1、及び抵抗R2を介してバッテリBの負極に至る経路(第1の経路)が形成され、フライングキャパシタC1が充電される。第1スイッチ制御部113Aは、V0計測のための充電期間を、フライングキャパシタC1をバッテリBと同じ電圧に充電させるために必要な時間に制御する。
【0047】
第1スイッチ制御部113Aは、V0計測のための充電期間の経過後に、スイッチS1,S2をOFFにし、その後、スイッチS3,S4をONにする(V0計測・放電)。これにより、フライングキャパシタC1の一端からダイオードD3、抵抗R3、及び抵抗R5を介してアースに至ると共にフライングキャパシタC1の他端から抵抗R4を介してアースに至る経路(第4の経路)が形成され、フライングキャパシタC1が放電する。この際、計測制御部112Aは、サンプルアンドホールド回路107とA/D変換部111とを制御し、抵抗R3,R5で分圧されたフライングキャパシタC1の充電電圧を計測し、計測電圧V0を出力する。
【0048】
次に、第1スイッチ制御部113Aは、V0計測・放電の期間経過後に、スイッチS3をOFFにし、その後、スイッチS1をONにする(Vcln計測のための充電)。これにより、バッテリBの正極からダイオードD1、抵抗R1、フライングキャパシタC1、及び抵抗R4を介してアースに至る経路(第2の経路)が形成され、フライングキャパシタC1が充電される。この第2の経路では、1次側に形成される負極側の地絡抵抗RLn1と、2次側に形成される負極側の地絡抵抗RLn2とが、アースを介して接続される。そのため、バッテリBの負極側の電位がアースを介してフライングキャパシタC1の充電に影響を及ぼす。また、昇圧回路108に接続される二次側の電源線120とアースとの間に形成される地絡抵抗RLp2もアースに接続されるため、昇圧回路108の動作時には、昇圧回路108の出力電圧もフライングキャパシタC1の充電に影響を及ぼす。
【0049】
次に、第1スイッチ制御部113Aは、Vcln計測のための充電期間の経過後に、スイッチS1をOFFにし、その後、スイッチS3をONにする(Vcln計測・放電)。これにより、再び、フライングキャパシタC1の一端からダイオードD3、抵抗R3、及び抵抗R5を介してアースに至ると共にフライングキャパシタC1の他端から抵抗R4を介してアースに至る経路(第4の経路)が形成され、フライングキャパシタC1が放電する。この際、計測制御部112Aは、サンプルアンドホールド回路107とA/D変換部111とを制御し、抵抗R3,R5で分圧されたフライングキャパシタC1の充電電圧を計測して計測電圧Vclnを出力する。また、判定部112Bは、計測制御部112Aによる充電電圧の計測値が0.05V未満(即ち、数10mV等の略0V)であるか否かを判定する。
【0050】
次に、第1スイッチ制御部113Aは、Vcln計測・放電の期間経過後に、スイッチS3,S4をOFFにし、その後、スイッチS1,S2をONにする(V0計測のための充電)。これにより、再び、バッテリBの正極からダイオードD1、抵抗R1、フライングキャパシタC1、及び抵抗R2を介してバッテリBの負極に至る経路(第1の経路)が形成され、フライングキャパシタC1が充電される。この際、フライングキャパシタC1は、バッテリBの電圧と略同じ電圧に充電される。
【0051】
次に、第1スイッチ制御部113Aは、V0計測のための充電期間の経過後に、スイッチS1,S2をOFFにし、その後、スイッチS3,S4をONにする(V0計測・放電)。これにより、再び、フライングキャパシタC1の一端からダイオードD3、抵抗R3、及び抵抗R5を介してアースに至ると共にフライングキャパシタC1の他端から抵抗R4を介してアースに至る経路(第4の経路)が形成され、フライングキャパシタC1が放電する。この際、計測制御部112Aは、サンプルアンドホールド回路107とA/D変換部111とを制御し、抵抗R3,R5で分圧されたフライングキャパシタC1の充電電圧を計測して計測電圧V0を出力する。
【0052】
次に、第1スイッチ制御部113Aは、V0計測・放電の期間経過後に、スイッチS4をOFFにし、その後、スイッチS2をONにする(Vclp計測のための充電)。これにより、アースから抵抗R5、ダイオードD2、フライングキャパシタC1、及び抵抗R2を介してバッテリBの負極に至る経路(第3の経路)が形成され、フライングキャパシタC1が充電される。この第3の経路では、地絡抵抗RLp1がアースに接続されるため、バッテリBの正極側の電位もアースを介してフライングキャパシタC1の充電に影響する。また、昇圧回路108に接続される二次側の電源線120とアースとの間に形成される地絡抵抗RLp2もアースに接続されるため、昇圧回路108の動作時には、昇圧回路108の出力電圧もフライングキャパシタC1の充電に影響を及ぼす。
【0053】
次に、第1スイッチ制御部113Aは、Vclp計測のための充電期間の経過後に、スイッチS2をOFFにし、その後、スイッチS4をONにする(Vclp計測・放電)。これにより、再び、フライングキャパシタC1の一端からダイオードD3、抵抗R3、及び抵抗R5を介してアースに至ると共にフライングキャパシタC1の他端から抵抗R4を介してアースに至る経路(第4の経路)が形成され、フライングキャパシタC1が放電する。この際、計測制御部112Aは、サンプルアンドホールド回路107とA/D変換部111とを制御し、抵抗R3,R5で分圧されたフライングキャパシタC1の充電電圧を計測して計測電圧Vclpを出力する。そして、第1演算部114Aは、V0計測・放電の期間での計測電圧V0と、Vcln計測・放電の期間での計測電圧Vclnと、Vclp計測・放電の期間での計測電圧Vclpとに基づいて、(Vcln+Vclp)/V0を算出し、その算出値とデータテーブルとを照合して地絡抵抗RLを導出する。
【0054】
以上のV0計測のための充電、V0計測・放電、Vcln計測のための充電、Vcln計測・放電、V0計測のための充電、V0計測・放電、Vclp計測のための充電、Vclp計測・放電が、計測電圧Vclnが0.05V以上である期間に繰り返される。これにより、当該期間に、フライングキャパシタC1の充電とフライングキャパシタC1の充電電圧の計測及び放電とが繰り返されることで、地絡抵抗RLのリアルタイムでの導出と車載器10への出力とが行われる。
【0055】
他方で、昇圧回路108の出力電圧が大きくなり、地絡抵抗RLp2,RLn2の間の中点電位が高くなった場合には、地絡検出装置100のアース電位がバッテリBの正極の電位より高くなることがある。なお、地絡抵抗RLp2,RLn2の間の中点電位は、昇圧回路108の出力電圧が地絡抵抗RLp2,RLn2の比で分圧されて得られる電位である。この場合には、Vcln計測での計測電圧Vclnが0.05V未満(略0V)になり、上述の第2計測が実行される。以下、この第2計測について説明する。
【0056】
図5Bに示す第2計測では、第1計測と同様に、V0計測のための充電、V0計測・放電、Vcln計測のための充電が実行される。次に、Vcln計測・放電が実行される。この際、第1スイッチ制御部113Aは、第1計測と同様に、スイッチS1をOFFにし、その後、スイッチS3をONにする(Vcln計測・放電)。これにより、再び、フライングキャパシタC1の一端からダイオードD3、抵抗R3、及び抵抗R5を介してアースに至ると共にフライングキャパシタC1の他端から抵抗R4を介してアースに至る経路(第4の経路)が形成され、フライングキャパシタC1が放電する。この際、計測制御部112Aは、サンプルアンドホールド回路107とA/D変換部111とを制御し、抵抗R3,R5で分圧されたフライングキャパシタC1の充電電圧を計測して計測電圧V0を出力する。そして、判定部112Bは、計測制御部112Aによる充電電圧V0の計測値が0.05V未満(即ち、数10mV等の略0V)であるか否かを判定し、判定結果を演算部114とスイッチ制御部113とに出力する。
【0057】
判定部112Bが、計測電圧V0が0.05V未満と判定した場合には、スイッチ制御の担当が、第1スイッチ制御部113Aから第2スイッチ制御部113Bに切り換わる。第2スイッチ制御部113Bは、Vclpta計測を実行する。
【0058】
このVclpta計測において、第2スイッチ制御部113Bは、Vcln計測・放電の期間経過後に、スイッチS4をOFFにし、その後、スイッチS2をONにする(Vclpta計測のための充電)。これにより、アースから抵抗R5、ダイオードD2、フライングキャパシタC1、及び抵抗R2を介してバッテリBの負極に至る経路(第3の経路)が形成され、フライングキャパシタC1が充電される。
【0059】
次に、第2スイッチ制御部113Bは、Vclpta計測のための充電期間の経過後に、スイッチS2をOFFにし、その後、スイッチS4をONにする(Vcltpa計測・放電)。これにより、フライングキャパシタC1の一端からダイオードD3、抵抗R3、及び抵抗R5を介してアースに至ると共にフライングキャパシタC1の他端から抵抗R4を介してアースに至る経路(第4の経路)が形成され、フライングキャパシタC1が放電する。この際、計測制御部112Aは、抵抗R3,R5で分圧されたフライングキャパシタC1の充電電圧を計測して計測電圧Vtaを出力する。そして、第2演算部114Bは、計測電圧Vtaを保持する。
【0060】
次に、第2スイッチ制御部113Bは、スイッチS4をOFFにし、その後、スイッチS2をONにする(Vclptb計測のための充電)。これにより、アースから抵抗R5、ダイオードD2、フライングキャパシタC1、及び抵抗R2を介してバッテリBの負極に至る経路(第3の経路)が形成され、フライングキャパシタC1が充電される。
【0061】
次に、第2スイッチ制御部113Bは、所定期間経過後に、スイッチS2をOFFにし、その後、スイッチS4をONにする(Vclptb計測・放電)。これにより、フライングキャパシタC1の一端からダイオードD3、抵抗R3、及び抵抗R5を介してアースに至ると共にフライングキャパシタC1の他端から抵抗R4を介してアースに至る経路(第4の経路)が形成され、フライングキャパシタC1が放電する。この際、計測制御部112Aは、抵抗R3,R5で分圧されたフライングキャパシタC1の充電電圧を計測して計測電圧Vtbを出力する。そして、第2演算部114Bは、フライングキャパシタC1の充電電圧の比率(Vtb/Vta)を演算し、その演算値に対応する地絡抵抗RLを、テーブルデータを参照して導出する。
【0062】
以上のV0計測のための充電、V0計測・放電、Vcln計測のための充電、Vcln計測・放電、Vclpta計測のための充電、Vclpta計測・放電、Vclptb計測のための充電、Vclptb計測・放電が、計測電圧Vclnが0.05V未満である期間に繰り返される。これにより、当該期間に、フライングキャパシタC1の充電とフライングキャパシタC1の充電電圧の計測及び放電とが繰り返されることで、地絡抵抗RLのリアルタイムでの導出と車載器10への出力とが行われる。
【0063】
図1に示す車載器10の記録部11Aは、地絡検出装置100からリアルタイムで出力される地絡抵抗RLを外部記録媒体151に時系列で記録する。例えば、記録部11Aは、所定期間毎に、I/F13に入力した地絡抵抗RLの平均値を算出し、算出した地絡抵抗RLの平均値を時系列で外部記録媒体151に記録する。また、例えば、記録部11Aは、所定期間毎に、I/F13に入力した地絡抵抗RLの最低値を検出し、検出した地絡抵抗RLの最低値を時系列で外部記録媒体151に記録する。「所定期間」としては、運行日報に記入される乗務の開始から終了までの期間等が挙げられる。
【0064】
記録部11Aは、地絡抵抗RLの所定期間毎の平均値又は最低値を、運行データと対応付けて外部記録媒体151に記録する。地絡抵抗RLの平均値又は最低値と対応付けて記録する運行データとしては、車両識別情報、運行ルート情報、積荷情報、運転者情報、季節情報、温湿度情報、及びバッテリBの情報等が挙げられる。
【0065】
車両識別情報としては、車両のサイズ(大/中/小等)、電気自動車/ハイブリッド自動車/燃料電池自動車の別、車種、年式等が挙げられる。また、運行ルート情報としては、運行ルートの適正/不適正の別等が挙げられる。また、積荷情報としては、重量、積荷種類等が挙げられる。また、運転者情報としては、運転者の氏名、所属、運転評価等が挙げられる。また、季節情報としては、春夏秋冬、梅雨、雨季、乾季、暑季、猛暑、極寒等が挙げられる。また、温湿度情報としては、気温、湿度等が挙げられる。さらに、バッテリBの情報としては、新品/リユースの別、容量、電圧等が挙げられる。
【0066】
車載器10の警報制御部11Bは、地絡検出装置100からリアルタイムで出力される地絡抵抗RLに基づいて、車両のバッテリBが設けられている系の絶縁状態(以下、絶縁状態)を判定する。警報制御部11Bは、絶縁状態が至急のメンテナンスを要する「危険状態」である場合に警報部18を作動させるのに加えて、絶縁状態が予防保全や点検を要する「注意状態」である場合にも警報部18を作動させる。
【0067】
図6は、図1に示す車載器10による記録処理及び警報処理を説明するための時系列図である。この図に示すように、本実施形態の車載器10では、記録部11Aが、上記所定期間毎に、I/F13に入力した地絡抵抗RLの平均値又は最低値(以下、地絡抵抗RL)を外部記録媒体151に記録する。図中の折れ線グラフ上の○、△、×は、地絡抵抗RLの記録値に対応している。
【0068】
警報制御部11Bは、絶縁状態が「危険状態」であるか否かを判定するための判定閾値RL2と、絶縁状態が「注意状態」であるか否かを判定するための判定閾値RL1とを記憶している。「注意状態」の判定閾値RL1は、「危険状態」の判定閾値RL2よりも高い値である。そのため、地絡検出装置100から出力される地絡抵抗RLが経時的変化で漸次的に低下する場合、まず、地絡抵抗RLは、「注意状態」の判定閾値RL1まで低下する。この際、警報制御部11Bは、絶縁状態が「注意状態」であることを識別させるための第1警報動作を警報部18に実行させる。その後、地絡抵抗RLは、「注意状態」の判定閾値RL1から「危険状態」の判定閾値RL2に向けて低下していく。この間、警報制御部11Bは、上記第1警報動作を警報部18に継続的に実行させる。そして、地絡抵抗RLが「危険状態」の判定閾値RL2まで低下した場合には、警報制御部11Bが、絶縁状態が「危険状態」であることを識別させるための第2警報動作を警報部18に実行させる。
【0069】
ここで、絶縁状態が「注意状態」であることを報知するための第1警報動作と、絶縁状態が「危険状態」であることを報知するための第2警報動作とは、互いに異なる動作である。例えば、第1警報動作と第2警報動作とは、点灯と点滅との違い、表示色の違い、音声の有無、警報の変化の仕方等により「注意状態」と「危険状態」とを識別可能とする。
【0070】
警報制御部11Bは、絶縁状態が「注意状態」又は「危険状態」である場合、絶縁状態の判定結果を記録部11A及び通信部16に出力する。記録部11Aは、入力した判定結果を外部記録媒体151に記録する。また、通信部16は、入力した判定結果を、広域通信網等を介して、運行管理サーバSや事務所パソコンPCに送信する。
【0071】
以上説明したように、本実施形態の車載器10では、地絡検出装置100で検出されて出力された地絡抵抗RLが車載器10のI/F13に入力し、車載器10の記録部11Aにより外部記録媒体151に記録される。これによって、高電圧のバッテリBが搭載された運行管理対象の車両の地絡抵抗RLを、デジタルタコグラフ等の車載器10側で、過度の情報処理の負荷を要することなく、リアルタイムで記録することができる。
【0072】
従って、運行管理者は、運行管理の対象の車両の予防保全や適切なメンテナンス計画の立案等が可能になる。特に、本実施形態の車載器10は、絶縁状態が至急のメンテナンスを要する「危険状態」である場合に警報部18を作動させるのに加えて、絶縁状態が予防保全や点検を要する「注意状態」である場合にも警報部18を作動させる。また、本実施形態の車載器10は、絶縁状態が「危険状態」である場合と絶縁状態が「注意状態」である場合との双方において、絶縁状態の判定結果を外部記録媒体151に記録すると共に、絶縁状態の判定結果を運行管理サーバS等に送信する。それにより、運行管理者や乗務員は、絶縁状態が「危険状態」になる前に、地絡抵抗RLの低下の傾向を把握し、運行管理の対象の車両の予防保全や適切なメンテナンスを実施することができる。また、運行管理者や乗務員は、地絡抵抗RLの低下の傾向を把握できることにより、地絡抵抗の低下による電費低下を防止するためのメンテナンスを早期に実施できる。
【0073】
また、本実施形態の車載器10は、I/F13に入力した地絡抵抗RLを、運行データと対応付けて記録することにより、車両、運行ルート、積荷、運転者、季節、温湿度、及びバッテリB等の各種条件毎の絶縁状態の劣化の傾向を把握することができる。従って、想定される状況に応じた車両毎のより適格な予防保全やメンテナンス計画の立案が可能になる。
【0074】
さらに、本実施形態の車載器10によれば、以下の効果が得られる。
(1)運行管理として日常的に電動車両の絶縁状態の管理が可能となり、確実な予防保全(感電防止)と適格な点検計画の立案とによる効率的な運用が可能となる。
(2)電動車両の安全指標、省エネ運転指標を、電動車両の絶縁状態の観点から構築することが可能となる。
(3)対象の電動車両の基本電費情報に、絶縁情報とバッテリの電圧情報とを係数として掛け合わせることで、車載器10側で実電費を想定することが可能となる。
(4)電動車両の高圧のバッテリBを生活電源として活用するV2X(Vehicle to X)機能への有効活用が可能となる。
(5)運行中に急な絶縁状態の低下が生じた場合に、車載器10側で状況を把握でき、乗務員に安全な回避、2次的不具合誘発の防止処理を伝達することが可能となる。
【0075】
図7は、本発明の他の実施形態に係る車載器10Aの構成を示すブロック図である。なお、上述の実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、上述の実施形態についての説明を援用する。
【0076】
この図に示す車載器10Aは、デジタルタコグラフ、又はデジタルタコグラフの機能を併せ持つドライブレコーダー等の運行記録装置であり、運行管理の対象の車両に搭載される。運行管理の対象の車両は、高圧のバッテリBの正極側の地絡抵抗と該バッテリBの負極側の地絡抵抗との比(以下、正負地絡抵抗比という)を検出する地絡検出装置200を備える。この地絡検出装置200の出力端子は、車載器10Aの入力端子に接続されており、地絡検出装置200から出力された正負地絡抵抗比が車載器10Aに入力される。
【0077】
ここで、本実施形態の地絡検出装置200は、フライングキャパシタ方式の地絡検出回路を備えており、正負地絡抵抗比を演算して車載器10Aに出力する。このため、車載器10Aは、地絡検出装置200から出力された正負地絡抵抗比を、換算・照合処理を要することなく、外部記録媒体151に記録することができる。
【0078】
図8は、図7に示す地絡検出装置200の回路構成を示す図である。一般に、高電圧のバッテリBの正極側の電源線201と接地電極との間、及び負極側の電源線202と接地電極との間には、それぞれYコンデンサ(ライン・バイパス・コンデンサ)と呼ばれるコンデンサCYp,CYnが接続される。
【0079】
地絡検出装置200は、フライングキャパシタC1と、スイッチS1,S2,S3,S4,Saと、マイコン210とを備える。フライングキャパシタC1の一端は、接続点221に接続され、フライングキャパシタC1の他端は、接続点222に接続されている。
【0080】
スイッチS1,S2,S3,S4は、フライングキャパシタC1の充放電を制御するためにマイコン210によりON/OFFされる。また、スイッチSaは、フライングキャパシタC1の充電電圧に相当する計測電圧をサンプリングするためにマイコン210によりON/OFFされる。スイッチS1,S2,S3,S4,Saは、MOSFET等の絶縁型のスイッチング素子である。
【0081】
スイッチS1の一端は、正極側の電源線201に接続され、スイッチS1の他端は、ダイオードD1のアノードに接続されている。ダイオードD1のカソードは抵抗R1の一端に接続され、抵抗R1の他端は、接続点221に接続されている。
【0082】
スイッチS2の一端は、負極側の電源線202に接続され、スイッチS2の他端は、抵抗R2の一端に接続されている。抵抗R2の他端は接続点222に接続されている。
【0083】
スイッチS3の一端は、抵抗R3の一端及びダイオードD2のアノードに接続され、スイッチS3の他端は、抵抗R5の一端及びスイッチSaの一端に接続されている。ダイオードD2のカソードは、接続点221に接続され、抵抗R3の他端は、ダイオードD3のカソードに接続され、ダイオードD3のアノードは、接続点221に接続されている。抵抗R5の他端はアースに接続されている。
【0084】
スイッチS4の一端は、接続点222に接続され、スイッチS4の他端は、抵抗R4の一端に接続されている。抵抗R4の他端はアースと抵抗R5の他端とに接続されている。また、スイッチSaの他端は、コンデンサC2の一端、及びマイコン210のアナログ入力端子に接続されている。コンデンサC2の他端はアースに接続されている。
【0085】
正極側終端抵抗Rispは、正極側の電源線201とアースとの間に接続されている。また、負極側終端抵抗Risnは、負極側の電源線202とアースとの間に接続されている。正極側終端抵抗Rispと負極側終端抵抗Risnとの抵抗値は、等しく、これらの抵抗値は、地絡と判定される抵抗値よりも十分に大きい。
【0086】
マイコン210は、スイッチS1,S2,S3,S4のON/OFFを個別に制御して計測経路を切り換えることで、フライングキャパシタC1の充放電を制御する。また、マイコン210は、スイッチSaのON/OFFを制御してフライングキャパシタC1の充電電圧に相当するアナログレベルをアナログ入力端子から入力し、このアナログレベルに基づいてバッテリBが設けられた系の地絡抵抗の低下の検出と、正負地絡抵抗比の演算とを実行する。
【0087】
図9は、図8に示すマイコン210の地絡抵抗の演算処理を示すフローチャートである。まず、マイコン210は、スイッチS1,S4をONにし、スイッチS2,S3をOFFにした状態でフライングキャパシタC1をフル充電し、フル充電されたフライングキャパシタC1の充電電圧Vpを計測する(ステップS101)。
【0088】
図10は、図9に示すステップS101の充電電圧Vpの計測について説明するための図である。この図に示すように、充電電圧Vpは、バッテリBの電圧Vbを抵抗Rpと抵抗Rnとで分圧したときに抵抗Rpに生じる電圧に相当する。なお、抵抗Rpは、正極側終端抵抗Rispと正極側の地絡抵抗RLpとの並列接続の合成抵抗であり、抵抗Rnは、負極側終端抵抗Risnと負極側の地絡抵抗RLnとの並列接続の合成抵抗である。
【0089】
次に、マイコン210は、スイッチS1,S4をOFF、スイッチS2,S3をONにした状態でフライングキャパシタC1をフル充電し、フル充電されたフライングキャパシタC1の充電電圧Vnを計測する(図9のステップS102)。
【0090】
図11は、図9に示すステップS102の充電電圧Vnの計測について説明するための図である。この図に示すように、充電電圧Vnは、バッテリBの電圧Vbを抵抗Rpと抵抗Rnとで分圧したときに抵抗Rnに生じる電圧に相当する。なお、充電電圧Vnの計測と充電電圧Vpの計測の順序は問わない。
【0091】
次に、マイコン210は、充電電圧Vpと充電電圧Vnとの比である正負地絡抵抗比を算出し、Vp/Vn<1(即ち、Vp<Vn)の条件が成立するか否かを判定する(図9のステップS103)。ステップS103において肯定判定がされた場合、マイコン210は、Vp/Vn<基準値P(0<P<1)の条件が成立するか否かを判定する(図9のステップS104)。ステップS104において肯定判定がされた場合、マイコン210は、正極側の地絡抵抗RLpが低下していると判定する(図9のステップS105)。
【0092】
ここで、正極側終端抵抗Rispと負極側終端抵抗Risnとが同じ抵抗値であるため、充電電圧Vpが充電電圧Vnよりも小さい場合、正極側の地絡抵抗RLpが負極側の地絡抵抗RLnよりも小さくなる。そのため、Vp/Vnが小さくなるほど、正極側の地絡抵抗RLpの低下が負極側の地絡抵抗RLnの低下に比して大きくなる。
【0093】
他方で、Vp/Vn<1の条件の成立が否定された場合(図9のステップS103でNO)、マイコン210は、Vp/Vn>基準値Pの条件が成立するか否かを判定する(図9のステップS110)。ステップS110において肯定判定がされた場合、マイコン210は、負極側の地絡抵抗RLnが低下していると判定する(図9のステップS111)。
【0094】
ここで、正極側終端抵抗Rispと負極側終端抵抗Risnとが同じ抵抗値であるため、充電電圧Vnが充電電圧Vpよりも小さい場合、負極側の地絡抵抗RLnが正極側の地絡抵抗RLpよりも小さくなる。そのため、Vp/Vnが大きくなるほど、負極側の地絡抵抗RLnの低下が正極側の地絡抵抗RLpの低下に比して大きくなる。
【0095】
ここで、充電電圧Vpと充電電圧Vnとの差が小さい場合において、正極側の地絡抵抗RLpと負極側の地絡抵抗RLnとが共に同程度に低下していることが可能性として考えられる。そのため、マイコン210は、Vp/Vn<1の条件の成立を肯定し(図9のステップS103でYES)、且つ、Vp/Vn<基準値Pの条件の成立を否定した場合(図9のステップS104でNO)、充電電圧Vppの計測を実行する(図9のステップS106)。ステップS106における充電電圧Vppの計測では、マイコン210が、スイッチS1,S4に加えてスイッチS2をONにし、スイッチS3をOFFにした状態でフライングキャパシタC1をフル充電し、フル充電されたフライングキャパシタC1の充電電圧Vppを計測する。
【0096】
図12は、図9に示すステップS106の充電電圧Vppの計測について説明するための図である。この図に示すように、充電電圧Vppは、バッテリBの電圧Vbを、抵抗Rpと、抵抗Rnと抵抗R2との並列接続の合成抵抗とで分圧したときに抵抗Rpに生じる電圧に相当する。抵抗R2の抵抗値は、地絡と判定される抵抗値よりも十分に小さい。
【0097】
次に、マイコン210は、充電電圧Vpと充電電圧Vppとの比(Vp/Vpp)が、Vp/Vpp<基準値Q(0<Q<1)の条件(Vp≒Vpp)が成立するか否かを判定する(図9のステップS107)。ステップS107において肯定判定がされた場合、マイコン210は、正極側の地絡抵抗RLpと負極側の地絡抵抗RLnとの双方が低下していると判定する(図9のステップS109)。他方で、ステップS107において否定判定がされた場合、マイコン210は、正極側の地絡抵抗RLpと負極側の地絡抵抗RLnとの双方が低下していない(正常)と判定する(図9のステップS108)。
【0098】
マイコン210は、Vp/Vn<1の条件の成立を否定し(図9のステップS103でNO)、且つ、Vp/Vn>基準値Pの条件の成立を否定した場合(図9のステップS110でNO)、充電電圧Vnnの計測を実行する(図9のステップS112)。ステップS112における充電電圧Vnnの計測では、マイコン210が、スイッチS2,S3に加えてスイッチS1をONにし、スイッチS4をOFFにした状態でフライングキャパシタC1をフル充電し、フル充電されたフライングキャパシタC1の充電電圧Vnnを計測する。
【0099】
図13は、図9に示すステップS112の充電電圧Vnnの計測について説明するための図である。この図に示すように、充電電圧Vnnは、バッテリBの電圧Vbを、抵抗Rpと抵抗R1との並列接続の合成抵抗と、抵抗Rnとで分圧したときに抵抗Rnに生じる電圧に相当する。抵抗R1の抵抗値は、地絡と判定される地絡抵抗値よりも十分に小さい。
【0100】
次に、マイコン210は、充電電圧Vnと充電電圧Vnnとの比(Vn/Vnn)が、Vn/Vnn<基準値Q(0<Q<1)の条件(Vn≒Vnn)が成立するか否かを判定する(図9のステップS113)。ステップS113において肯定判定がされた場合、マイコン210は、正極側の地絡抵抗RLpと負極側の地絡抵抗RLnとの双方が低下していると判定する(図9のステップS114)。他方で、ステップS113において否定判定がされた場合、マイコン210は、正極側の地絡抵抗RLpと負極側の地絡抵抗RLnとの双方が低下していない(正常)と判定する(図9のステップS108)。
【0101】
以上の処理が繰り返され、フライングキャパシタC1の充電とフライングキャパシタC1の充電電圧の計測及び放電とが繰り返されることで、正極側の地絡抵抗RLpと負極側の地絡抵抗RLnとの比である正負地絡抵抗比のリアルタイムでの算出と車載器10Aへの出力とが行われる。
【0102】
図7に示す車載器10Aの記録部11Aは、地絡検出装置200からリアルタイムで出力される正負地絡抵抗比(Vp/Vn)を外部記録媒体151に時系列で記録する。例えば、記録部11Aは、所定期間毎に、I/F13に入力した正負地絡抵抗比(Vp/Vn)の平均値を算出し、算出した正負地絡抵抗比(Vp/Vn)の平均値を時系列で外部記録媒体151に記録する。また、例えば、記録部11Aは、所定期間毎に、I/F13に入力した正負地絡抵抗比(Vp/Vn)の最高値及び最低値の少なくとも一方を検出し、検出した正負地絡抵抗比(Vp/Vn)の最高値及び最低値の少なくとも一方を時系列で外部記録媒体151に記録する。「所定期間」としては、運行日報に記入される乗務の開始から終了までの期間等が挙げられる。
【0103】
記録部11Aは、正負地絡抵抗比(Vp/Vn)の所定期間毎の平均値等を、運行データと対応付けて外部記録媒体151に記録する。正負地絡抵抗比(Vp/Vn)の平均値等と対応付けて記録する運行データとしては、上述のとおり、車両識別情報、運行ルート情報、積荷情報、運転者情報、季節情報、気温情報、及びバッテリBの情報等が挙げられる。
【0104】
以上説明したように、本実施形態の車載器10Aは、地絡検出装置200が検出して出力するバッテリBの正極側の地絡抵抗RLpとバッテリBの負極側の地絡抵抗RLnとの比(Vp/Vn)を時系列で外部記録媒体151に記録する。これによって、運行管理者は、バッテリBの正極側の絶縁状態とバッテリBの負極側の絶縁状態との何れかが低下しているかを把握でき、より適格な予防保全やメンテナンス計画の立案が可能となる。
【0105】
図14は、本発明の一実施形態に係る車載器10を備える運行管理システム1000の構成を示す図である。この図に示すように、運行管理システム1000は、車載器10と、運行管理サーバSと、事務所パソコンPCとを備える。
【0106】
運行管理サーバSは、通信部1001と、処理部1002とを備える。通信部1001は、運行データ、車両の走行に関するイベント、及び地絡抵抗RL等を車載器10又は事務所パソコンPCから広域通信網又はネットワーク回線を通じて受信する。特に、通信部1001は、車載器10の警報制御部11Bによる絶縁状態の判定結果を車載器10の通信部16又は事務所パソコンPCの通信部1003から受信する。
【0107】
処理部1002は、通信部1001が受信した絶縁状態の判定結果と地絡抵抗RLとに基づいて、運行管理の対象の車両についてのメンテナンス計画を立案する機能を備える。具体的には、処理部1002は、1運行毎に、「注意状態」の判定の有無と、地絡抵抗RLとを記録し、「注意状態」の判定が複数運行に亘って連続した場合や地絡抵抗RLの低下が複数運行に亘って連続した場合等にメンテナンス計画を立案する。
【0108】
例えば、処理部1002は、「注意状態」の判定が所定回数N1(例えば7回)の運行に亘って連続した場合にメンテナンス計画を立案する。また、例えば、処理部1002は、「注意状態」の判定が所定回数N2(N1より少ない回数であり、例えば5回)の運行に亘って連続し、且つ、地絡抵抗RLの低下が所定回数N2(例えば5回)の運行に亘って連続した場合にメンテナンス計画を立案する。また、例えば、処理部1002は、「注意状態」の判定が所定回数N3(N2より少ない回数であり、例えば3回)の運行に亘って連続し、且つ、地絡抵抗RLが所定値(例えば100kΩ)以下の状態が所定回数N3(例えば3回)の運行に亘って連続した場合にメンテナンス計画を立案する。
【0109】
なお、通信部1001及び処理部1002は、運行管理サーバSではなく、事務所パソコンPCに設けられてもよい。また、メンテナンス計画は、メンテナンスの実施の有無を含むが、メンテナンスの内容や実施時期等を含んでもよい。
【0110】
以上、上述の実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、適宜公知や周知の技術を組み合わせてもよい。
【0111】
例えば、上述の実施形態では、フライングキャパシタ方式の地絡検出装置100,200を例に挙げたが、地絡検出装置は、地絡抵抗値や正負地絡抵抗比やこれらに容易に換算可能な電圧を演算して車載器10,10Aに出力する地絡検出回路を備えていればよい。
【0112】
図15は、他の実施形態に係る地絡検出装置300の回路構成を示す図である。この図に示す地絡検出装置300は、高圧のバッテリBの正極とアースとの間に抵抗値が大きい抵抗R1と抵抗値が小さい抵抗RSENSE+とが直列接続され、高圧のバッテリBの負極とアースとの間に抵抗値が大きい抵抗R2と抵抗値が小さい抵抗RSENSE-とが直列接続された構成である。この地絡検出装置300では、スイッチS2のON時の抵抗RSENSE-の両端電圧VAUXが計測され、計測値に基づいて、負極側の地絡抵抗RLnが推定される。また、スイッチS1のON時の抵抗RSENSE+の両端電圧VAUXが計測され、計測値に基づいて、正極側の地絡抵抗RLpが推定される。
【符号の説明】
【0113】
10 :車載器(運行記録装置)
10A :車載器(運行記録装置)
11A :記録部
11B :警報制御部
13 :I/F(入力部)
18 :警報部
100 :地絡検出装置
200 :地絡検出装置
300 :地絡検出装置
B :バッテリ
C1 :フライングキャパシタ
RL :地絡抵抗
RLp :正極側の地絡抵抗
RLn :負極側の地絡抵抗
RL1 :判定閾値(第2の閾値)
RL2 :判定閾値(第1の閾値)
Vp/Vn :正負地絡抵抗比(比,地絡抵抗)
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15