(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144986
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】レーザ加工装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20241004BHJP
H01S 3/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H02J1/00 304E
H01S3/00 B
H02J1/00 306K
H02J1/00 306G
H02J1/00 309D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057196
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 ▲祥▼平
(72)【発明者】
【氏名】浅井 泰博
【テーマコード(参考)】
5F172
5G165
【Fターム(参考)】
5F172AD05
5F172AE03
5F172NN10
5F172XX05
5F172ZZ01
5G165BB02
5G165DA01
5G165DA07
5G165EA04
5G165FA01
5G165GA04
5G165HA04
5G165JA09
5G165LA01
5G165LA03
5G165MA01
5G165MA09
(57)【要約】
【課題】電源供給経路毎のコンデンサの総残留電荷量が異なる状態で電源供給が停止した場合に、コンデンサの総残留電荷量が少ない電源供給経路の電子部品の破損を防止することが可能となる技術を提供する。
【解決手段】コントローラ6は、電圧異常検知部が電圧低下を検知しないときには、システム電源線PL1からファンA,Bに電力を供給する第1制御を実行し、電圧異常検知部が電圧低下を検知し、かつ電圧比較部によりレーザ電源線PL2の電圧値がシステム電源線PL1の電圧値以上であるときには、ファンA,Bへの電力の供給をシステム電源線PL1からレーザ電源線PL2に切り替える第2制御を実行し、電圧異常検知部が電圧低下を検知し、かつ電圧比較部によりレーザ電源線PL2の電圧値がシステム電源線PL1の電圧値未満であるときには、システム電源線PL1からファンA,Bへの電力量を小さくして供給する第3制御を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を発振するレーザ発振器と、
前記レーザ発振器に付随する第1の負荷と、
加工指令に基づいて、前記レーザ発振器を制御する制御部と、
整流用あるいは電源電圧降下防止用のコンデンサを有し、前記レーザ発振器に電力を供給するレーザ電源線と、
整流用あるいは電源電圧降下防止用のコンデンサを有し、前記制御部に電力を供給するシステム電源線と、
を備え、
前記制御部は、
前記レーザ電源線若しくは前記システム電源線の電圧低下を検知する電圧異常検知部と、
前記電圧異常検知部が前記電圧低下を検知した際の前記レーザ電源線の電圧値と前記システム電源線の電圧値とを比較する電圧比較部と、
前記電圧異常検知部が前記電圧低下を検知しないときには、前記システム電源線から前記第1の負荷に電力を供給する第1制御を実行し、
前記電圧異常検知部が前記電圧低下を検知し、かつ電圧比較部により前記レーザ電源線の電圧値が前記システム電源線の電圧値以上であるときには、前記第1の負荷への電力の供給を前記システム電源線から前記レーザ電源線に切り替える第2制御を実行し、
前記電圧異常検知部が前記電圧低下を検知し、かつ電圧比較部により前記レーザ電源線の電圧値が前記システム電源線の電圧値未満であるときには、前記システム電源線から前記第1の負荷への電力量を小さくして供給する第3制御を実行する電源切替部と、
を有する
ことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
前記レーザ加工装置は、
前記レーザ発振器を有し、前記レーザ光をワークに照射するレーザヘッドと、
前記加工指令に基づいて、前記レーザヘッドを制御するコントローラボックスと、
前記レーザヘッドと前記コントローラボックスとを繋ぐケーブルと、
を備え、
前記制御部はさらに、
前記ケーブルの接続不良を検出する接続不良検出部
を有し、
前記電源切替部は、前記接続不良検出部により前記ケーブルの接続不良が検出された際には、前記レーザ電源線の電圧と前記システム電源線の電圧の大小に拘わらず、前記第1の負荷への電力の供給を前記レーザ電源線に切り替える第4制御を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記レーザヘッドは、前記レーザ発振器を動作させるドライバ回路を有し、
前記ドライバ回路は、前記制御部の一部を担い、前記電圧異常検知部と、前記電圧比較部と、前記電源切替部とを有する
ことを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記第1の負荷は、前記レーザ発振器の放熱ファンである
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記レーザ加工装置はさらに、
前記レーザ発振器に付随する第2の負荷
を備え、
前記電源切替部は、
前記電圧異常検知部が前記電圧低下を検出しないときには、前記レーザ電源線から前記第2の負荷に電力を供給する第5制御を実行し、
前記電圧異常検知部が前記電圧低下を検出し、かつ前記電圧比較部により前記レーザ電源線の電圧値が前記システム電源線の電圧値未満であるときには、前記レーザ電源線から前記第2の負荷への電力量を小さくして供給する第6制御を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
前記第2の負荷は、前記レーザ発振器の放熱ファンである
ことを特徴とする請求項5に記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
レーザ光を発振するレーザ発振器と、前記レーザ発振器に付随する第1の負荷と、加工指令に基づいて、前記レーザ発振器を制御する制御部と、整流用あるいは電源電圧降下防止用のコンデンサを有し、前記レーザ発振器に電力を供給するレーザ電源線と、整流用あるいは電源電圧降下防止用のコンデンサを有し、前記制御部に電力を供給するシステム電源線と、を備えたレーザ加工装置の制御方法であって、
前記レーザ電源線若しくは前記システム電源線の電圧低下を検知する電圧異常検知処理と、
前記電圧異常検知処理により前記電圧低下を検知した際の前記レーザ電源線の電圧値と前記システム電源線の電圧値とを比較する電圧比較処理と、
前記電圧異常検知処理により前記電圧低下を検知しないときには、前記システム電源線から前記第1の負荷に電力を供給する第1制御を実行し、
前記電圧異常検知処理により前記電圧低下を検知し、かつ電圧比較処理により前記レーザ電源線の電圧値が前記システム電源線の電圧値以上であるときには、前記第1の負荷への電力の供給を前記システム電源線から前記レーザ電源線に切り替える第2制御を実行し、
前記電圧異常検知処理により前記電圧低下を検知し、かつ電圧比較処理により前記レーザ電源線の電圧値が前記システム電源線の電圧値未満であるときには、前記システム電源線から前記第1の負荷への電力量を小さくして供給する第3制御を実行する電源切替処理と、
を含むことを特徴とするレーザ加工装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、レーザ加工装置内のコンデンサの残留電荷を放電する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、整流用あるいは電源電圧降下防止用のコンデンサを有する電源供給装置において、電源オフ時にコンデンサの残留電荷を用いて制御する制御板を備えるようにした電源供給装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の電源供給装置では、制御板がコンデンサの残留電荷を用いて何をどのように制御するかについては記載されていないので、電源供給経路が複数あり、各電源供給経路が有するコンデンサの総容量が電源供給経路毎に異なる装置の電源オフ時に生ずる問題に対処することはできない。具体的には、このような構成の装置の電源オフ時には、電源供給経路毎にコンデンサの総残留電荷量が異なるので、単純な放電に任せていると、コンデンサの総残留電荷量が少ない電源供給経路から電源電圧が低下して行くため、電源電圧が先に低下する電源供給経路の電子部品を破損する虞があるという問題があった。
【0005】
本願は、電源供給経路毎のコンデンサの総残留電荷量が異なる状態で電源供給が停止した場合に、コンデンサの総残留電荷量が少ない電源供給経路の電子部品の破損を防止することが可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願のレーザ加工装置は、レーザ光を発振するレーザ発振器と、レーザ発振器に付随する第1の負荷と、加工指令に基づいて、レーザ発振器を制御する制御部と、整流用あるいは電源電圧降下防止用のコンデンサを有し、レーザ発振器に電力を供給するレーザ電源線と、整流用あるいは電源電圧降下防止用のコンデンサを有し、制御部に電力を供給するシステム電源線と、を備え、制御部は、レーザ電源線若しくはシステム電源線の電圧低下を検知する電圧異常検知部と、電圧異常検知部が電圧低下を検知した際のレーザ電源線の電圧値とシステム電源線の電圧値とを比較する電圧比較部と、電圧異常検知部が電圧低下を検知しないときには、システム電源線から第1の負荷に電力を供給する第1制御を実行し、電圧異常検知部が電圧低下を検知し、かつ電圧比較部によりレーザ電源線の電圧値がシステム電源線の電圧値以上であるときには、第1の負荷への電力の供給をシステム電源線からレーザ電源線に切り替える第2制御を実行し、電圧異常検知部が電圧低下を検知し、かつ電圧比較部によりレーザ電源線の電圧値がシステム電源線の電圧値未満であるときには、システム電源線から第1の負荷への電力量を小さくして供給する第3制御を実行する電源切替部と、を有することを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本願のレーザ加工装置の制御方法は、レーザ光を発振するレーザ発振器と、レーザ発振器に付随する第1の負荷と、加工指令に基づいて、レーザ発振器を制御する制御部と、整流用あるいは電源電圧降下防止用のコンデンサを有し、レーザ
発振器に電力を供給するレーザ電源線と、整流用あるいは電源電圧降下防止用のコンデンサを有し、制御部に電力を供給するシステム電源線と、を備えたレーザ加工装置の制御方法であって、レーザ電源線若しくはシステム電源線の電圧低下を検知する電圧異常検知処理と、電圧異常検知処理により電圧低下を検知した際のレーザ電源線の電圧値とシステム電源線の電圧値とを比較する電圧比較処理と、電圧異常検知処理により電圧低下を検知しないときには、システム電源線から第1の負荷に電力を供給する第1制御を実行し、電圧異常検知処理により電圧低下を検知し、かつ電圧比較処理によりレーザ電源線の電圧値がシステム電源線の電圧値以上であるときには、第1の負荷への電力の供給をシステム電源線からレーザ電源線に切り替える第2制御を実行し、電圧異常検知処理により電圧低下を検知し、かつ電圧比較処理によりレーザ電源線の電圧値がシステム電源線の電圧値未満であるときには、システム電源線から第1の負荷への電力量を小さくして供給する第3制御を実行する電源切替処理と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本願によれば、電源供給経路毎のコンデンサの総残留電荷量が異なる状態で電源供給が停止した場合に、コンデンサの総残留電荷量が少ない電源供給経路の電子部品の破損を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本願の一実施形態に係るレーザ加工装置に含まれるレーザ加工部のレーザヘッド部の概略構成を示す図である。
【
図2】本願の一実施形態に係るレーザ加工装置の制御構成を示すブロック図である。
【
図3】本願の一実施形態に係るレーザ加工装置に含まれるファンへの電源供給経路の一例を示す図である。
【
図4】
図2内のコントローラ、特にCPUが実行するファン制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本願の一実施形態に係るレーザ加工装置1に含まれるレーザ加工部3のレーザヘッド部3cの概略構成を示し、
図2は、レーザ加工装置1の制御構成を示している。なお、
図1及び
図2では、基本的構成の一部が省略されて描かれており、描かれた各部の寸法比等は必ずしも正確ではない。また、
図1において、上下方向は、図に示された通りである。
【0011】
レーザ加工装置1は、
図2に示すように、PC2及びレーザ加工部3で構成されている。PC2は、一般的なPCであるので、その構成の説明は省略する。
【0012】
レーザ加工部3は、加工レーザ光Rを加工対象物7の加工面8(
図1参照)上で2次元走査してマーキング(印字)加工を行うものである。レーザ加工部3は、コントローラ部3aとレーザヘッド部3cとがケーブル3bを介して接続された構成となっている。
【0013】
コントローラ部3aは、コントローラ6及びPSU5A,5Bで構成されている。なお、PSUは、「Power Supply Unit」の略語である。コントローラ6は、コンピュータで
構成され、例えば、USBやイーサネット、無線LAN、RS-232Cなどを介してPC2と
双方向通信可能に接続されている。コントローラ6は、PC2から送信された印字情報、パラメータ、各種指示情報等に基づいてレーザヘッド部3cを駆動制御する。PSU5A,5Bは、具体的には、システム電源ユニット5A及びレーザ電源ユニット5B(ともに、
図3参照)である。
【0014】
レーザヘッド部3cは、
図1に示すように、レーザ発振ユニット12、ガイド光部15、ダイクロイックミラー101、光学系70、カメラ103、ガルバノスキャナ18、及びfθレンズ19等を備えており、不図示の略直方体形状の筐体カバーで覆われている。
【0015】
レーザ発振ユニット12は、レーザ発振器21等で構成されている。レーザ発振器21は、CO2レーザ、YAGレーザ等で構成されており、加工レーザ光Rを出射する。なお、加工レーザ光Rの光径は、不図示のビームエキスパンダで調整(例えば、拡大)される。
【0016】
ガイド光部15は、可視半導体レーザ28等で構成されている。可視半導体レーザ28は、可視可干渉光であるガイド光Q、例えば、赤色レーザ光を出射する。ガイド光Qは、不図示のレンズ群で平行光にされ、さらに、2次元走査されることによって、例えば、加工レーザ光Rでマーキング(印字)加工すべき印字パターンの像(以下、「オブジェクト」という。)、そのオブジェクトを取り囲んだ矩形の像等を、加工対象物7の加工面8上に軌跡(散乱反射光の時間残像)として描画するものである。つまり、ガイド光Qには、マーキング(印字)加工能力がない。
【0017】
ガイド光Qの波長は、加工レーザ光Rの波長とは異なる。例えば、加工レーザ光Rの波長は1064nmであり、ガイド光Qの波長は、650nmである。
【0018】
ダイクロイックミラー101では、入射された加工レーザ光Rのほぼ全部が透過する。また、ダイクロイックミラー101では、加工レーザ光Rが透過する略中央位置にて、ガイド光Qが45度の入射角で入射され、45度の反射角で加工レーザ光Rの光路上に反射される。ダイクロイックミラー101の反射率は、波長依存性を持っている。具体的には、ダイクロイックミラー101は、誘電体層の多層膜構造の表面処理がなされており、ガイド光Qの波長に対して高い反射率を有し、それ以外の波長の光をほとんど(99%)透過するように構成されている。
【0019】
なお、
図1の一点鎖線は、加工レーザ光Rとガイド光Qの光軸10を示している。また、光軸10の方向は、加工レーザ光Rとガイド光Qの経路方向を示している。
【0020】
光学系70は、第1のレンズ72、第2のレンズ74、及び移動機構76を備えている。光学系70では、ダイクロイックミラー101を経た加工レーザ光Rとガイド光Qが、第1のレンズ72に入射し通過する。その際、第1のレンズ72によって、加工レーザ光Rとガイド光Qの各光径が縮小される。また、第1のレンズ72を通過した加工レーザ光Rとガイド光Qは、第2のレンズ74に入射し通過する。その際、第2のレンズ74によって、加工レーザ光Rとガイド光Qが平行光にされる。移動機構76は、光学系モータ80と、光学系モータ80の回転運動を直線運動に変換するラック・アンド・ピニオン(不図示)等を備えており、光学系モータ80の回転制御によって、第2のレンズ74を加工レーザ光Rとガイド光Qの経路方向に移動させる。
【0021】
なお、移動機構76は、第2のレンズ74に代えて第1のレンズ72を移動させる構成であってもよいし、第1のレンズ72と第2のレンズ74との間の距離が変わるように第1のレンズ72と第2のレンズ74の双方を移動させる構成であってもよい。
【0022】
ガルバノスキャナ18は、光学系70を経た加工レーザ光Rとガイド光Qとを2次元走査するものである。ガルバノスキャナ18では、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32とが、それぞれのモータ軸が互いに直交するように取り付けられ、各モータ軸の先端部に取り付けられた走査ミラー18X、18Yが内側で互いに対向している。そして、各モータ31,32の回転制御で、各走査ミラー18X、18Yを回転させることに
よって、加工レーザ光Rとガイド光Qとを2次元走査する。この2次元走査方向は、X方向とY方向である。
【0023】
fθレンズ19は、ガルバノスキャナ18によって2次元走査された加工レーザ光Rとガイド光Qとを加工対象物7の加工面8上に集光するものである。したがって、加工レーザ光Rとガイド光Qは、各モータ31,32の回転制御によって、加工対象物7の加工面8上でX方向とY方向に2次元走査される。
【0024】
加工レーザ光Rとガイド光Qとでは、波長が異なる。そのため、光学系70における第1のレンズ72と第2のレンズ74との間の距離が一定の場合、加工レーザ光Rとガイド光Qが集光する位置(以下、「焦点位置F」という。)は、上下方向で異なってしまう。そこで、加工レーザ光Rとガイド光Qの焦点位置Fは、光学系70における第1のレンズ72と第2のレンズ74との間の距離が調整されることによって、加工対象物7の加工面8上に合わせられる。
【0025】
また、加工対象物7の加工面8の位置が上下方向で異なる場合も、同様にして、加工レーザ光Rとガイド光Qの焦点位置Fは、光学系70における第1のレンズ72と第2のレンズ74との間の距離が調整されることによって、加工対象物7の加工面8上に合わせられる。
【0026】
カメラ103は、加工対象物7の加工面8に向けられた状態で、fθレンズ19付近に設けられている。これにより、カメラ103は、例えば、加工対象物7の加工面8上に照射されるガイド光Qを撮像して上記PC2に含まれる液晶ディスプレイ(図示せず)に表示し、これから行う加工画像と加工対象物7との位置合わせが適切であるかをユーザが確認できるようにするものであって良い。
【0027】
次に、レーザ加工装置1を構成するレーザ加工部3の制御構成について
図2に基づいて説明する。
【0028】
レーザ加工部3は、上述のように、コントローラ部3aとレーザヘッド部3cとがケーブル3bを介して接続された構成となっている。コントローラ部3aを構成するコントローラ6は、レーザヘッド部3cの全体を制御する。コントローラ6には、レーザヘッド部3cを構成するガルバノドライバ36、レーザドライバ37、半導体レーザドライバ38及び光学系ドライバ78等からなるドライバ回路33が電気的に接続されている。さらにコントローラ6には、上述のようにPSU5A,5Bも電気的に接続されている。また、コントローラ6及びカメラ103には、外部のPC2が双方向通信可能に接続されている。コントローラ6は、PC2から送信された各情報(例えば、印字情報、レーザ加工部3に対するパラメータ、ユーザからの各種指示情報等)を受信可能に構成されている。カメラ103は、PC2から送信された各情報(例えば、撮像指示情報等)を受信可能に構成され、また、撮像した画像をPC2に送信可能に構成されている。
【0029】
コントローラ6は、CPU41、RAM42、ROM43、ガルバノコントローラ35及びレーザコントローラ34等を備えている。CPU41は、レーザヘッド部3cの全体の制御を行う演算装置及び制御装置である。CPU41、RAM42、及びROM43等は、不図示のバスにより相互に接続されて、相互にデータのやり取りが行われる。
【0030】
RAM42は、CPU41により演算された各種の演算結果や印字パターンの(XY座標)データ等を一時的に記憶させておくためのものである。
【0031】
ROM43は、各種のプログラムを記憶させておくものであり、例えば、
図4を用いて
後述する制御処理のプログラム等が記憶されている。なお、各種プログラムには、上述したプログラムに加えて、例えば、各種のディレイ値、PC2から入力された印字情報等に対応する印字パターンの太さ、深さ及び本数、レーザ発振器21のレーザ出力、加工レーザ光Rのレーザパルス幅、ガルバノスキャナ18による加工レーザ光Rを走査する速度、及びガルバノスキャナ18によるガイド光Qを走査する速度等を示す各種パラメータをRAM42に記憶するプログラム等がある。
【0032】
CPU41は、ROM43に記憶されている各種のプログラムに基づいて各種の演算及び制御を行う。
【0033】
CPU41は、加工データ、ガルバノスキャナ18によるガイド光Qを走査する速度、及びガルバノスキャナ18による加工レーザ光Rを走査する速度等を示すガルバノ走査速度情報等を、ガルバノコントローラ35に出力する。また、CPU41は、加工データに基づいて設定したレーザ発振器21のレーザ出力、及び加工レーザ光Rのレーザパルス幅等を示すレーザ駆動情報を、レーザドライバ37に出力する。
【0034】
CPU41は、可視半導体レーザ28の点灯開始を指示するオン信号又は消灯を指示するオフ信号を半導体レーザドライバ38に出力する。
【0035】
ガルバノコントローラ35は、CPU41から入力された各情報(例えば、加工データ、ガルバノ走査速度情報等)に基づいて、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32の駆動角度、回転速度等を算出して、駆動角度及び回転速度を示すモータ駆動情報をガルバノドライバ36に出力する。ガルバノドライバ36は、ガルバノコントローラ35から入力されたモータ駆動情報に基づいて、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32を駆動制御して、加工レーザ光Rとガイド光Qを2次元走査する。
【0036】
レーザドライバ37は、コントローラ6から入力されたレーザ発振器21のレーザ出力、及び加工レーザ光Rのレーザパルス幅等を示すレーザ駆動情報等に基づいて、レーザ発振器21を駆動させる。本実施形態のレーザドライバ37は、レーザ発振器21の温度や動作状態(エラー)、レーザ発振器21に印加される電圧値などを検知するセンサや計測器を備え、それらの検知された情報を、ケーブル3bを介してコントローラ6側へ送信可能である。半導体レーザドライバ38は、コントローラ6から入力されたオン信号又はオフ信号に基づいて、可視半導体レーザ28を駆動させる。
【0037】
光学系ドライバ78は、コントローラ6から入力された情報に基づいて、光学系モータ80を駆動制御して、第2のレンズ74を移動させる。
【0038】
次に、レーザ発振器21の放熱ファンである、4台のファンA45A~ファンD45Dへの電源供給経路について、
図3に基づいて説明する。
【0039】
コントローラ部3aは、ACスイッチ11を備えている。ACスイッチ11は、AC電源200からのAC100~240Vの商用電圧をコントローラ部3aに入力するか否かを切り替えるオン/オフスイッチである。
【0040】
ACスイッチ11の出力側は、システム電源ユニット5A及びレーザ電源ユニット5Bの各入力側と接続されている。システム電源ユニット5Aもレーザ電源ユニット5Bも、AC電源200から商用電圧が入力されると、その商用電圧を、例えばDC48Vに変換する。そして、システム電源ユニット5Aは、そのDC48Vをシステム電源線PL1に供給する。一方、レーザ電源ユニット5Bは、そのDC48Vをレーザ電源線PL2に供給する。
【0041】
システム電源線PL1及びレーザ電源線PL2は、上記ケーブル3b内を通って、レーザヘッド部3cに到達する。システム電源線PL1は、レーザヘッド部3c内のDC-DCコンバータ46と接続されるとともに、電源切替部40と接続される。また、システム電源線PL1には、コントローラ部3a内のADC回路13A及びコンデンサC11や、レーザヘッド部3c内のコンデンサC12が接続されている。さらに、システム電源線PL1には、コントローラ部3a及びレーザヘッド部3c内の各種電子部品(例えば、
図2のコントローラ6やドライバ回路33など)が接続されている。
【0042】
ADC回路13Aは、システム電源線PL1の印加電圧(アナログ値)を検出し、その印加電圧をデジタル値に変換して、コントローラ6に出力する。また、コンデンサC11,C12は、システム電源線PL1における整流用あるいは電源電圧降下防止用のコンデンサである。
【0043】
DC-DCコンバータ46は、システム電源線PL1に印加されているDC48Vを、例えばDC24Vに変換して、レーザドライバ37に供給する。レーザドライバ37は、DC-DCコンバータ46から供給されたDC24Vに基づいて動作する。
【0044】
一方、レーザ電源線PL2は、レーザヘッド部3c内の電源切替部40と接続されるとともに、レーザドライバ37と接続される。そして、レーザドライバ37を介してレーザ発振器21に駆動電圧が供給される。さらに、レーザ電源線PL2は、レーザヘッド部3c内のファンC45C及びファンD45Dと接続される。また、レーザ電源線PL2には、コントローラ部3a内のADC回路13B及びコンデンサC21や、レーザヘッド部3c内のコンデンサC22,C23が接続されている。さらに、レーザ電源線PL2には、コントローラ部3a及びレーザヘッド部3c内の各種電子部品(図示せず)が接続されている。
【0045】
ADC回路13Bは、レーザ電源線PL2の印加電圧(アナログ値)を検出し、その印加電圧をデジタル値に変換して、コントローラ6に出力する。また、コンデンサC21~C23は、レーザ電源線PL2における整流用あるいは電源電圧降下防止用のコンデンサである。コンデンサC21~C23は、コンデンサC11,C12と比較して、その総電荷容量が極めて大きいものが採用されている。これは、レーザ電源線PL2から供給される電力量がシステム電源線PL1から供給される電力量より極めて大きいからである。
【0046】
電源切替部40は、レーザドライバ37と接続されるとともに、レーザヘッド部3c内のファンA45A及びファンB45Bと接続される。電源切替部40は、レーザドライバ37からの指示に応じて、ファンA45A及びファンB45Bに供給する電力をシステム電源線PL1及びレーザ電源線PL2のうちのいずれか一方からに切り替える。なお、どのようなタイミングでどのように切り替えるかについては、
図4のファン制御処理により後述する。
【0047】
レーザドライバ37は、
図2に基づいて上述した機能に加え、ADC回路13Aと同様のADC回路(図示せず)を備えている。そして、レーザドライバ37は、そのADC回路を介して、レーザ電源線PL2の印加電圧(アナログ値)を検出し、その印加電圧をデジタル値に変換して、コントローラ6に出力する。さらに、レーザドライバ37は、各ファンA45A~D45Dに供給するPWM信号を生成し、各ファンA45A~D45Dに供給する機能も備えている。各ファンA45A~D45Dは、レーザドライバ37から供給されたPWM信号のデューティ比に応じて回転数を変動させる。
【0048】
以上のように構成されたレーザ加工装置1が実行する制御処理を、
図4に基づいて詳細
に説明する。
図4は、コントローラ6、特にCPU41が実行するファン制御処理の手順を示している。このファン制御処理は、例えば、ACスイッチ11がオンされたときに開始される。以降、各処理の手順の説明において、ステップを「S」と表記する。
【0049】
図4において、まずCPU41は、レーザドライバ37に対して、ファンA45A及びファンB45Bへの電力供給をシステム電源線PL1から行うように指示する(S10)。これに応じて、レーザドライバ37は、電源切替部40を介して、ファンA45A及びファンB45Bへの電力供給をシステム電源線PL1からに切り替える。
図3に基づいて上述したように、ファンC45C及びファンD45Dへの電力供給は、電源切替部40を介さず、レーザ電源線PL2から直接なされている。したがって、S10の処理が実行されると、ファンA45A及びファンB45Bは、システム電源線PL1からの電力供給に応じて回転を開始し、ファンC45C及びファンD45Dは、レーザ電源線PL2からの電力供給に応じて回転を開始する。
【0050】
次にCPU41は、上記ケーブル3bが接続されているか否かを判断する(S12)。この判断は、レーザドライバ37内の上記ADC回路の出力値に基づいて行う。つまり、ケーブル3bが接続されていないときには、ADC回路は、レーザ電源線PL2の正規の印加電圧、つまりDC48Vを検出できない。一方、ケーブル3bが接続されているときには、ADC回路は、レーザ電源線PL2の正規の印加電圧を検出するので、ADC回路の出力値は48Vとなる。したがって、所定の閾値を予め設定しておき、CPU41は、ADC回路の出力値がその閾値を下回っているときに、ケーブル3bが接続されていないと判断し、ADC回路の出力値がその閾値以上であるときに、ケーブル3bが接続されていると判断すればよい。
【0051】
S12の判断において、ケーブル3bが接続されている場合(S12:YES)、CPU41は、システム電源線PL1の印加電圧値が42V未満であるか否かを判断する(S14)。この判断は、上記ADC回路13Aの出力値に基づいて行う。ここで、“42V”は、AC電源200からの電力供給が停止したことを判断するための閾値として設定したものである。AC電源200からの電力供給が停止する要因としては、例えば、停電や電源ケーブル抜け、ACスイッチ11による電源オフ等が考えられる。なお、S14では、AC電源200からの電力供給が停止したか否かを、システム電源線PL1の印加電圧を検出して判断するようにしたが、これに限らず、レーザ電源線PL2の印加電圧を検出して判断するようにしてもよい。この場合、レーザ電源線PL2の印加電圧は、ADC回路13Bにより検出することは、言うまでもない。
【0052】
S14の判断において、システム電源線PL1の印加電圧値が42V以上である場合(S14:NO)、CPU41は、処理をS12に戻す。一方、システム電源線PL1の印加電圧値が42V未満である場合(S14:YES)、CPU41は、システム電源線PL1の印加電圧がレーザ電源線PL2の印加電圧以下であるか否かを判断する(S16)。上述のように、レーザ電源線PL2に接続されているコンデンサC21~C23の総容量は、システム電源線PL1に接続されているコンデンサC11,C12の総容量より極めて多いので、コンデンサC21~C23が満充電の状態で、AC電源200からの電力供給が停止したときには、システム電源線PL1の印加電圧はレーザ電源線PL2の印加電圧以下である場合が多い。
【0053】
S16の判断において、システム電源線PL1の印加電圧がレーザ電源線PL2の印加電圧以下である場合(S16:YES)、CPU41は、レーザドライバ37に対して、ファンA45A及びファンB45Bへの電力供給をレーザ電源線PL2から行うように指示する(S18)。これに応じて、レーザドライバ37は、電源切替部40を介して、ファンA45A及びファンB45Bへの電力供給をレーザ電源線PL2からに切り替える。
S18の処理が実行される前は、ファンA45A及びファンB45Bは、システム電源線PL1からの電力供給により回転していたが、S18の処理が実行された後は、ファンA45A及びファンB45Bは、レーザ電源線PL2からの電力供給により回転する。したがって、4台のファンA45A~ファンD45Dはすべて、レーザ電源線PL2からの電力供給により回転する。
【0054】
S18の処理後、CPU41は、処理をS16に戻す。そして、CPU41は、システム電源線PL1の印加電圧がレーザ電源線PL2の印加電圧未満になるまで待機する(S16:NO)。この待機中は、4台のファンA45A~ファンD45Dがすべて、レーザ電源線PL2からの電力供給により回転するので、つまり、ファンA45A及びファンB45Bも、システム電源線PL1からの電力供給ではなく、レーザ電源線PL2からの電力供給により回転するので、ある一定の時間が経過すると、システム電源線PL1の印加電圧はレーザ電源線PL2の印加電圧未満になる。
【0055】
S16の判断において、システム電源線PL1の印加電圧がレーザ電源線PL2の印加電圧未満になった場合(S16:NO)、CPU41は、上記S10の処理と同様に、レーザドライバ37に対して、ファンA45A及びファンB45Bへの電力供給をシステム電源線PL1から行うように指示する(S20)。そして、CPU41は、4台のファンA45A~ファンD45Dへ供給するPWM信号のデューティ比を徐々に低下させるようにレーザドライバ37に指示した(S22)後、ファン制御処理を終了する。
【0056】
一方、S12の判断において、ケーブル3bが接続されていない場合(S12:NO)、CPU41は、S18の処理と同様に、レーザドライバ37に対して、ファンA45A及びファンB45Bへの電力供給をレーザ電源線PL2から行うように指示した(S30)後、ファン制御処理を終了する。
【0057】
以上説明したように、本実施形態のレーザ加工装置1は、加工レーザ光Rを発振するレーザ発振器21と、レーザ発振器21に付随するファンA45A及びファンB45Bと、加工指令に基づいて、レーザ発振器21を制御するコントローラ6と、整流用あるいは電源電圧降下防止用のコンデンサC21~C23を有し、レーザ発振器21に電力を供給するレーザ電源線PL2と、整流用あるいは電源電圧降下防止用のコンデンサC11,C12を有し、コントローラ6に電力を供給するシステム電源線PL1と、を備えている。
【0058】
そして、コントローラ6は、レーザ電源線PL2若しくはシステム電源線PL1の電圧低下を検知する電圧異常検知部と(S14)、電圧異常検知部が電圧低下を検知した際のレーザ電源線PL2の電圧値とシステム電源線PL1の電圧値とを比較する電圧比較部と(S16)、電圧異常検知部が電圧低下を検知しないときには、システム電源線PL1からファンA45A及びファンB45Bに電力を供給する第1制御を実行し(S10)、電圧異常検知部が電圧低下を検知し、かつ電圧比較部によりレーザ電源線PL2の電圧値がシステム電源線PL1の電圧値以上であるときには、ファンA45A及びファンB45Bへの電力の供給をシステム電源線PL1からレーザ電源線PL2に切り替える第2制御を実行し(S18)、電圧異常検知部が電圧低下を検知し、かつ電圧比較部によりレーザ電源線PL2の電圧値がシステム電源線PL1の電圧値未満であるときには、システム電源線PL1からファンA45A及びファンB45Bへの電力量を小さくして供給する第3制御を実行する(S20,S22)電源切替部40と、を有することを特徴とする。
【0059】
このように、本実施形態のレーザ加工装置1では、システム電源線PL1のコンデンサC11,C12の総残留電荷量とレーザ電源線PL2のコンデンサC21~C23の総残留電荷量とが異なる場合に、コンデンサC21~C23の総残留電荷量が多いレーザ電源線PL2の印加電圧をコンデンサC11,C12の総残留電荷量が少ないシステム電源線
PL1の印加電圧より速く低下させることで、コンデンサC11,C12の総残留電荷量が少ないシステム電源線PL1の電子部品の破損を防止することが可能となる。ちなみに、ファンA45A及びファンB45Bは、「第1の負荷」の一例である。
【0060】
また、レーザ加工装置1は、レーザ発振器21を有し、加工レーザ光Rをワークに照射するレーザヘッド部3cと、加工指令に基づいて、レーザヘッド部3cを制御するコントローラ部3aと、レーザヘッド部3cとコントローラ部3aとを繋ぐケーブル3bと、を備え、コントローラ6はさらに、ケーブル3bの接続不良を検出する接続不良検出部を有し、電源切替部40は、接続不良検出部によりケーブル3bの接続不良が検出された際には、レーザ電源線PL2の電圧とシステム電源線PL1の電圧の大小に拘わらず、ファンA45A及びファンB45Bへの電力の供給をレーザ電源線PL2に切り替える第4制御を実行する(S30)ことを特徴とする。
【0061】
これにより、レーザ電源線PL2のコンデンサC21~C23の残留電荷を迅速に放電することが可能となる。
【0062】
また、レーザヘッド部3cは、レーザ発振器21を動作させるレーザドライバ37を有し、レーザドライバ37は、コントローラ6の一部を担い、電圧異常検知部と、電圧比較部と、電源切替部40とを有することを特徴とする。
【0063】
これにより、コントローラ6の一部がレーザドライバ37で担われるので、コントローラ6の処理量を削減することが可能となる。
【0064】
また、ファンA45A及びファンB45Bは、レーザ発振器21の放熱ファンであることを特徴とする。
【0065】
これにより、レーザ加工装置1に必須のファンA45A及びファンB45Bを利用して、残留電荷の放電を行うことができるので、放電のみに用いる放電回路が不要となり、装置全体のコストを抑制することが可能となる。
【0066】
また、レーザ加工装置1はさらに、レーザ発振器21に付随するファンC45C及びファンD45Dを備え、電源切替部40は、電圧異常検知部が電圧低下を検出しないときには、レーザ電源線PL2からファンC45C及びファンD45Dに電力を供給する第5制御を実行し、電圧異常検知部が電圧低下を検出し、かつ電圧比較部によりレーザ電源線PL2の電圧値がシステム電源線PL1の電圧値未満であるときには、レーザ電源線PL2からファンC45C及びファンD45Dへの電力量を小さくして供給する第6制御を実行する(S22)ことを特徴とする。ちなみに、ファンC45C及びファンD45Dは、「第2の負荷」の一例である。
【0067】
また、ファンC45C及びファンD45Dは、レーザ発振器21の放熱ファンであることを特徴とする。
【0068】
これにより、レーザ加工装置1に必須のファンC45C及びファンD45Dを利用して、残留電荷の放電を行うことができるので、放電のみに用いる放電回路が不要となり、装置全体のコストを抑制することが可能となる。
【0069】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0070】
(1)上記実施形態では、第1の負荷として、ファンA45A及びファンB45Bを例
に挙げるとともに、第2の負荷として、ファンC45C及びファンD45Dを例に挙げたが、負荷としては、ファンに限らず、例えば、ガルバノX軸モータ31及びガルバノY軸モータ32、可視半導体レーザ28用のヒータ、LED(表示器として通常備わっている)等であってもよい。
【0071】
(2)上記実施形態では、電源切替部40がシステム電源線PL1とレーザ電源線PL2とを切り替えて、電力を供給するファンとして、4台のファンA45A~ファンD45Dのうちの2台のファンA45A及びファンB45Bを採用した。つまり、2台のファンA45A及びファンB45Bは、電源線を切り替えることができ、残りの2台のファンC45C及びファンD45Dは、電源線を切り替えることができないとしたが、4台のファンA45A~D45Dをすべて切り替えることができるようにし、その切り替え台数を、0台から4台までのいずれの台数でも自由に選択できるようにしてもよい。
【0072】
(3)上記実施形態では、レーザドライバ37は、DC24Vで動作するとしたが、その動作電圧は、DC24Vより低くてもよい。この場合、DC-DCコンバータ46に代えて、その動作電圧を出力するものを用いればよい。
【0073】
(4)上記実施形態では、システム電源ユニット5Aとレーザ電源ユニット5Bは、いずれも同じDC48Vを出力するとしたが、レーザ電源ユニット5Bとして、システム電源ユニット5Aより出力電圧の高いものを用いてもよい。
【0074】
(5)上記実施形態では、ケーブルの接続不良として、ADC回路13Aの出力値に基づいてケーブル3bが接続されていない場合(S12:NO)を判断する例を挙げたが、これに限定されない。例えば、コントローラ部3aのコントローラ6とレーザヘッド部3cのドライバ回路33との間でデータ通信が可能であるか否かを検出するようにして、データ通信が出来ないことを検出した場合に、ケーブルが破損若しくは適合しない種類のケーブルが装着されたものとして、ケーブルの接続不良と判断するものであってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…レーザ加工装置、3…レーザ加工部、3a…コントローラ部、3b…ケーブル、3c…レーザヘッド部、5A…システム電源ユニット、5B…レーザ電源ユニット、6…コントローラ、11…ACスイッチ、21…レーザ発振器、28…可視半導体レーザ、37…レーザドライバ、40…電源切替部、41…CPU、42…RAM、43…ROM、45A~45D…ファンA~ファンD、C11,C12,C21~C23…コンデンサ、13A,13B…ADC回路、PL1…システム電源線、PL2…レーザ電源線。