(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144993
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】医療器具搬送カート
(51)【国際特許分類】
A61B 50/13 20160101AFI20241004BHJP
【FI】
A61B50/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057206
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 俊祐
(72)【発明者】
【氏名】桂 英毅
(72)【発明者】
【氏名】坂本 泰一
(57)【要約】
【課題】カテーテルデバイスに駆動力を提供するための駆動部を安定した状態で保持及び収容できる医療器具搬送カートを提供する。
【解決手段】医療器具搬送カート200は、医療用画像を表示するためのディスプレイ110を設置するためのディスプレイ設置部210と、ディスプレイ設置部の下方側においてディスプレイ設置部を支持する支柱部220と、支柱部の下方側に配置され、ディスプレイ設置部及び支柱部の搬送を可能にする搬送部250と、支柱部に設けられ、医療用画像を取得するためのカテーテルデバイスの動作を駆動するための駆動力を供給する駆動部140を収容するための収容部221と、収容部に収容された駆動部を支柱部に対して固定するための固定部230と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用画像を表示するためのディスプレイを設置するためのディスプレイ設置部と、
前記ディスプレイ設置部の下方側において前記ディスプレイ設置部を支持する支柱部と、
前記支柱部の下方側に配置され、前記ディスプレイ設置部及び前記支柱部の搬送を可能にする搬送部と、
前記支柱部に設けられ、前記医療用画像を取得するためのカテーテルデバイスの動作を駆動するための駆動力を供給する駆動部を収容するための収容部と、
前記収容部に収容された前記駆動部を前記支柱部に対して固定するための固定部と、を有する医療器具搬送カート。
【請求項2】
前記搬送部は、前記支柱部の下端を支持するとともに前記医療用画像を前記ディスプレイに出力するための画像処理装置を載置するための載置台を有し、
前記支柱部は、前記収容部と前記載置台との間に、前記載置台に載置される前記画像処理装置の少なくとも一部を収容可能な収容空間を有する、請求項1に記載の医療器具搬送カート。
【請求項3】
前記支柱部は、前記収容部をなす空間部と、前記収容部と前記支柱部の外部とを連通する開口部と、前記収容部に収容された前記駆動部を斜め上方側に向けて傾けた状態で支持する台座部と、を有し、
前記固定部は、前記台座部に対して前記駆動部の少なくとも一部を固定するように構成されている、請求項1に記載の医療器具搬送カート。
【請求項4】
前記固定部は、前記台座部の幅方向と平行に配置された軸部材と、前記軸部材を介して回動可能に構成され、前記台座部の正面側から前記台座部の上面側に向けて回動することにより、前記台座部の上面との間で前記駆動部の少なくとも一部を挟み込んで固定する第1挟持部材と、を有する、請求項3に記載の医療器具搬送カート。
【請求項5】
前記固定部は、前記台座部の延在方向と平行に配置された軸部材と、前記軸部材を介して回動可能に構成され、前記台座部の側方側から前記台座部の上面側に向けて回動することにより、前記台座部の上面との間で前記駆動部の少なくとも一部を挟み込んで固定する第2挟持部材と、を有する、請求項3に記載の医療器具搬送カート。
【請求項6】
医療用画像を表示するためのディスプレイを設置するためのディスプレイ設置部と、
前記ディスプレイ設置部の下方側において前記ディスプレイ設置部を支持する支柱部と、
前記支柱部の下方側に配置され、前記ディスプレイ設置部及び前記支柱部の搬送を可能にする搬送部と、
前記支柱部に設けられ、前記医療用画像を取得するためのカテーテルデバイスの動作を駆動するための駆動力を供給する駆動部を収容する収容部と、
前記駆動部が載置される台座部と、
前記台座部の水平に対する角度が大きくなるように前記台座部を前記収容部に対して可動させることにより、前記台座部の状態を、前記台座部に載置された前記駆動部が前記収容部に収容された第1状態と、前記台座部に載置された前記駆動部を前記収容部の外部に取り出し可能な第2状態と、に切り替え可能に構成された切替機構と、を有する医療器具搬送カート。
【請求項7】
前記台座部は、前記第1状態において、前記収容部を外部から覆う蓋部材となるように構成されている、請求項6に記載の医療器具搬送カート。
【請求項8】
前記切替機構は、前記支柱部に設けられたガイド溝と、前記台座部に設けられ、前記ガイド溝に係合されたガイド突起と、を有し、
前記ガイド溝は、前記支柱部の高さ方向に沿って延びる第1溝部と、前記第1溝部と交差する方向に沿って延びる第2溝部と、を有し、
前記ガイド突起は、前記第1溝部に沿って移動可能な第1突起部と、前記第2溝部に沿って移動可能な第2突起部と、を有する、請求項6に記載の医療器具搬送カート。
【請求項9】
前記切替機構は、前記支柱部に取り付けられ、前記台座部を回動自在に軸支する回動軸と、前記第1状態において前記台座部を前記支柱部に対して固定することにより前記第1状態を維持するためのロック部と、を有する、請求項6に記載の医療器具搬送カート。
【請求項10】
前記切替機構は、前記台座部に設けられ、使用者が前記第1状態と前記第2状態を切り替える際に把持されるハンドル部を有し、
前記ハンドル部は、前記台座部の上端側に配置されており、
前記ロック部は、前記ハンドル部を前記支柱部に対して固定することにより前記第1状態を維持するように構成されている、請求項9に記載の医療器具搬送カート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具搬送カートに関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場では、診断画像等を表示するためのディスプレイの搬送を可能にする可搬型医療器具(医療用カート)が一般的に使用されている。可搬型医療器具は、ディスプレイ等の物品を載置する天板と、天板を支持する支柱部と、支柱部の下端に配置された搬送部(ローラー)と、を有するように構成される(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医療現場においては、手技の内容等に応じて、ディスプレイ上に様々な診断画像を表示させることがある。そのような診断画像を取得するための医療デバイスとして、例えば、診断画像取得用のカテーテルデバイスが知られている。この種のカテーテルデバイスとして、IVUSカテーテル、OCTカテーテル、OFDIカテーテル、IVUSカテーテルとOCTカテーテルの両機能を備えるデュアルタイプのカテーテル等が存在する。
【0005】
例えば、上記に例示したカテーテルデバイスには、カテーテルデバイスによる診断画像を取得する際に、カテーテルデバイスの動作を駆動するための駆動力を提供する駆動部(例えば、MDU:Mоtоr Drive Unit)が備えられる。駆動部の内部には各種の電子素子等が格納されているため、外部から衝撃等が付与されないよう、取り扱いには注意が必要となる。
【0006】
しかしながら、従来の可搬型医療器具には、駆動部を保持や収容するための専用の構造が設けられていない。そのため、ディスプレイが載置された天板上の空いたスペース等に駆動部も載置することがある。ただし、天板上に駆動部を載置した状態で可搬型医療器具を移動させると、室内の段差等を乗り越える際の衝撃によって駆動部が不用意に落下し、駆動部に対して大きな衝撃が付与されてしまう虞がある。
【0007】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、カテーテルデバイスに駆動力を提供するための駆動部を安定した状態で保持及び収容できる医療器具搬送カートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記(1)~(10)のいずれかの手段によって達成され得る。
【0009】
(1)医療用画像を表示するためのディスプレイを設置するためのディスプレイ設置部と、前記ディスプレイ設置部の下方側において前記ディスプレイ設置部を支持する支柱部と、前記支柱部の下方側に配置され、前記ディスプレイ設置部及び前記支柱部の搬送を可能にする搬送部と、前記支柱部に設けられ、前記医療用画像を取得するためのカテーテルデバイスの動作を駆動するための駆動力を供給する駆動部を収容するための収容部と、前記収容部に収容された前記駆動部を前記支柱部に対して固定するための固定部と、を有する医療器具搬送カート。
【0010】
(2)前記搬送部は、前記支柱部の下端を支持するとともに前記医療用画像を前記ディスプレイに出力するための画像処理装置を載置するための載置台を有し、前記支柱部は、前記収容部と前記載置台との間に、前記載置台に載置される前記画像処理装置の少なくとも一部を収容可能な収容空間を有する、上記(1)に記載の医療器具搬送カート。
【0011】
(3)前記支柱部は、前記収容部をなす空間部と、前記収容部と前記支柱部の外部とを連通する開口部と、前記収容部に収容された前記駆動部を斜め上方側に向けて傾けた状態で支持する台座部と、を有し、前記固定部は、前記台座部に対して前記駆動部の少なくとも一部を固定するように構成されている、上記(1)又は上記(2)に記載の医療器具搬送カート。
【0012】
(4)前記固定部は、前記台座部の幅方向と平行に配置された軸部材と、前記軸部材を介して回動可能に構成され、前記台座部の正面側から前記台座部の上面側に向けて回動することにより、前記台座部の上面との間で前記駆動部の少なくとも一部を挟み込んで固定する第1挟持部材と、を有する、上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の医療器具搬送カート。
【0013】
(5)前記固定部は、前記台座部の延在方向と平行に配置された軸部材と、前記軸部材を介して回動可能に構成され、前記台座部の側方側から前記台座部の上面側に向けて回動することにより、前記台座部の上面との間で前記駆動部の少なくとも一部を挟み込んで固定する第2挟持部材と、を有する、上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の医療器具搬送カート。
【0014】
(6)医療用画像を表示するためのディスプレイを設置するためのディスプレイ設置部と、前記ディスプレイ設置部の下方側において前記ディスプレイ設置部を支持する支柱部と、前記支柱部の下方側に配置され、前記ディスプレイ設置部及び前記支柱部の搬送を可能にする搬送部と、前記支柱部に設けられ、前記医療用画像を取得するためのカテーテルデバイスの動作を駆動するための駆動力を供給する駆動部を収容する収容部と、前記駆動部が載置される台座部と、前記台座部の水平に対する角度が大きくなるように前記台座部を前記収容部に対して可動させることにより、前記台座部の状態を、前記台座部に載置された前記駆動部が前記収容部に収容された第1状態と、前記台座部に載置された前記駆動部を前記収容部の外部に取り出し可能な第2状態と、に切り替え可能に構成された切替機構と、を有する医療器具搬送カート。
【0015】
(7)前記台座部は、前記第1状態において、前記収容部を外部から覆う蓋部材となるように構成されている、上記(6)に記載の医療器具搬送カート。
【0016】
(8)前記切替機構は、前記支柱部に設けられたガイド溝と、前記台座部に設けられ、前記ガイド溝に係合されたガイド突起と、を有し、前記ガイド溝は、前記支柱部の高さ方向に沿って延びる第1溝部と、前記第1溝部と交差する方向に沿って延びる第2溝部と、を有し、前記ガイド突起は、前記第1溝部に沿って移動可能な第1突起部と、前記第2溝部に沿って移動可能な第2突起部と、を有する、上記(6)又は上記(7)に記載の医療器具搬送カート。
【0017】
(9)前記切替機構は、前記支柱部に取り付けられ、前記台座部を回動自在に軸支する回動軸と、前記第1状態において前記台座部を前記支柱部に対して固定することにより前記第1状態を維持するためのロック部と、を有する、上記(6)又は上記(7)に記載の医療器具搬送カート。
【0018】
(10)前記切替機構は、前記台座部に設けられ、使用者が前記第1状態と前記第2状態を切り替える際に把持されるハンドル部を有し、前記ハンドル部は、前記台座部の上端側に配置されており、前記ロック部は、前記ハンドル部を前記支柱部に対して固定することにより前記第1状態を維持するように構成されている、上記(9)に記載の医療器具搬送カート。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る医療器具搬送カートによれば、カテーテルデバイスに駆動力を提供するための駆動部を安定した状態で保持及び収容でき、落下等によって駆動部に対して衝撃が付与されることを好適に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態に係る医療器具搬送カートを示す概観斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る固定部を説明するための斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る固定部を説明するための斜視図である。
【
図4】変形例に係る固定部を説明するための斜視図である。
【
図5】変形例に係る固定部を説明するための斜視図である。
【
図6】第2実施形態に係る切替機構を説明するための斜視図である。
【
図7】第2実施形態に係る切替機構を説明するための斜視図である。
【
図8】第2実施形態に係る切替機構を簡略化して示す側面図である。
【
図9】第2実施形態の変形例に係る切替機構を簡略化して示す側面図である。
【
図10】第2実施形態の変形例に係る切替機構を簡略化して示す側面図である。
【
図11】第2実施形態の他の変形例に係る切替機構を簡略化して示す側面図である。
【
図12】他の実施形態に係る医療器具搬送カートを示す概観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
以下、各図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0022】
各図に付した矢印X1-X2は、医療器具搬送カート200の幅方向(ディスプレイ設置部210及び支柱部220の幅方向と同方向)を示し、矢印Y1-Y2は、医療器具搬送カート200の奥行方向(ディスプレイ設置部210及び支柱部220の奥行方向と同方向)を示し、矢印Z1-Z2は、医療器具搬送カート200の高さ方向(支柱部220の高さ方向と同方向)を示す。
【0023】
(医療用装置10)
図1には、医療用画像表示デバイス100及び医療器具搬送カート200を示す。医療用画像表示デバイス100及び医療器具搬送カート200は、医療現場においてディスプレイ110に所定の医療用画像を表示することで医療従事者による診断、治療、手技等の医療行為の補助を可能にする医療用装置10を構成することができる。本明細書では、医療用装置10を通じて本実施形態に係る医療器具搬送カート200を説明する。
【0024】
(医療用画像表示デバイス100)
医療用画像表示デバイス100は、医療用画像を表示するためのディスプレイ110と、ディスプレイ110に医療用画像を表示させるシステムを操作するためのユーザーインターフェース120と、医療用画像を表示させるシステムを制御するための画像処理装置130と、医療用画像を取得するためのカテーテルデバイス(図示省略)の動作を駆動するための駆動力を提供する駆動部140と、を有する。
【0025】
医療用画像表示デバイス100に使用されるカテーテルデバイスは、例えば、公知の診断画像取得用のカテーテルデバイスである。また、診断画像取得用のカテーテルデバイスとしては、例えば、IVUSカテーテル、OCTカテーテル、OFDIカテーテル、IVUSカテーテルとOCTカテーテルの両機能を備えるデュアルタイプのカテーテルを挙げることができる。
【0026】
駆動部140は、上記に例示したカテーテルデバイスの動作を駆動する駆動力を提供する機器である。一例として、駆動部140は、カテーテルデバイスが備える超音波送受信部を駆動し、超音波の発信・受信を行うMDUで構成することができる。
【0027】
なお、医療用画像表示デバイス100に使用されるカテーテルデバイスは、ディスプレイ110に表示させるための所定の医療用画像を取得する目的で使用されるものであれば、具体的な種類や製品品種等について特に制限はない。また、駆動部140もMDUのみに限定されることはなく、医療用画像表示デバイス100に使用されるカテーテルデバイスの種類等に応じて任意に変更することができる。
【0028】
ディスプレイ110は、例えば、公知の液晶ディスプレイパネルやプラズマディスプレイパネルで構成することができる。ディスプレイ110には、ディスプレイ110をディスプレイ設置部210上で支持するための架台110aを取り付けることができる。
【0029】
ユーザーインターフェース120は、例えば、公知のキーボードで構成することができる。ただし、ユーザーインターフェース120は、画像処理装置130に対する入力操作が可能なものであれば具体的な構成について制限はない。ユーザーインターフェース120は、例えば、ユーザーによる入力機能を備える情報端末装置等で構成することもできる。
【0030】
画像処理装置130は、CPU、RAM、ROM等からなる公知のパーソナルコンピュータを備えるように構成することができる。画像処理装置130のROMには、医療用画像を表示するためのシステムに関するプログラムが予め格納されている。医療用画像表示デバイス100を使用する使用者(例えば、医療従事者)は、画像処理装置130の電源をONにし、上記システムを起動させることにより、ディスプレイ110上での医療用画像の表示や表示内容の切り替え等を操作することができる。診断画像取得用のカテーテルデバイスで取得した医療用画像は、カテーテルデバイスを駆動させる駆動部140を介して画像処理装置130に送られ、画像処理装置130による所定の処理を経てディスプレイ110に出力される。
【0031】
(医療器具搬送カート200)
図1に示すように、本実施形態に係る医療器具搬送カート200は、医療用画像を表示するためのディスプレイ110を設置するためのディスプレイ設置部210と、ディスプレイ設置部210の下方側においてディスプレイ設置部210を支持する支柱部220と、支柱部220の下方側に配置され、ディスプレイ設置部210及び支柱部220の搬送を可能にする搬送部250と、支柱部220に設けられ、医療用画像を取得するためのカテーテルデバイスの動作を駆動するための駆動力を供給する駆動部140を収容するための収容部221と、収容部221に収容された駆動部140を支柱部220に対して固定するための固定部230と、を有する。
【0032】
(ディスプレイ設置部210)
ディスプレイ設置部210は、例えば、所定の厚みを備える板状の部材(天板)で構成することができる。ディスプレイ設置部210の上面には、例えば、ディスプレイ110及びユーザーインターフェース120を載置することができる。
【0033】
(支柱部220)
支柱部220は、ディスプレイ設置部210の上面と反対側の底面側から下方側に向けて延在している。
【0034】
図1、
図2、
図3に示すように、支柱部220が備える収容部221は、支柱部220の延在方向(高さ方向)に沿って形成された空間部222で構成されている。
【0035】
支柱部220は、収容部221と支柱部220の外部とを連通する開口部223と、収容部221に収容された駆動部140を斜め上方側に向けて傾けた状態で支持する台座部225と、を有する。
【0036】
図1に示すように、支柱部220は、搬送部250が備える載置台255との間に、載置台255に載置される画像処理装置130の少なくとも一部を収容可能な収容空間228を有する。
【0037】
図1に示すように、支柱部220の内側に形成された空間部222は、ディスプレイ設置部210側に近い上端側の領域が駆動部140を収容するための収容部221を形成しており、搬送部250側に近い下端側の領域が画像処理装置130を収容するための収容空間228を形成している。収容部221内のディスプレイ設置部210に近い上端側の領域には、収容部221を区画するための仕切板229を取り付けることができる。
【0038】
支柱部220が備える台座部225は、収容部221から斜め上方に延在している。そのため、駆動部140を収容部221に収容する際、台座部225の延在方向に合わせて斜め上方側から駆動部140を収容部221内に挿入することにより、駆動部140を台座部225上に簡単に載置することができる。
【0039】
なお、台座部225の傾斜角度(支柱部220の高さ方向と直交する水平面に対して傾斜する角度)について特に制限はない。
【0040】
(搬送部250)
搬送部250は、支柱部220の下端付近から延びる4つの脚部251と、脚部251の各々に取り付けられたローラー253と、支柱部220の下端を支持するとともに医療用画像をディスプレイ110に出力するための画像処理装置130を載置するための載置台255と、を有する。
【0041】
前述したように、支柱部220には、載置台255上に載置された画像処理装置130を収容可能な収容空間228が形成されている。そのため、支柱部220の空間部222には、駆動部140とともに画像処理装置130を収容することができる。したがって、医療器具搬送カート200は、各構成部品をコンパクトにまとめることができる。使用者は、画像処理装置130を使用した手技等において、装置全体の取り回しを容易に行うことができる。
【0042】
本実施形態では、搬送部250として、4つの脚部251及び4つのローラー253を備える構成を例示している。ただし、搬送部250は、ディスプレイ設置部210及び支柱部220を搬送可能な限り、具体的な構造について特に制限はない。例えば、搬送部250は、ローラーの代わりに回転可能なボールを備える搬送機構や、1つ又は3つの脚部251を備えるように構成されていてもよい。
【0043】
(固定部230)
図1、
図2には、固定部230によって駆動部140を支柱部220の台座部225に固定した状態を示している。
【0044】
固定部230は、収容部221に収容された駆動部140を支柱部220に対して固定する機能を持つ。固定部230によって駆動部140を支柱部220に対して固定することにより、収容部221に駆動部140を収容した状態で医療器具搬送カート200を移動させた際に駆動部140が収容部221から脱落等することを好適に防止できる。
【0045】
また、本実施形態では、駆動部140は、画像処理装置130の上方側に配置された台座部225に載置されるため、落下した際には大きな衝撃が付与されることが考えられる。固定部230は、台座部225上に載置された駆動部140を台座部225に対して固定するため、支柱部220の上端側の比較的高い位置から駆動部140が落下してしまうことを好適に防止できる。
【0046】
駆動部140において支柱部220(台座部225)に対して固定される被固定部143は、例えば、MDUの本体部141から分岐した下端部である。ただし、被固定部143は駆動部140のいずれかの部位であればよく、上記の下端部のみに限定されることはない。
【0047】
図2、
図3に示すように、固定部230は、台座部225の幅方向(図中の矢印X1-X2方向)と平行に配置された軸部材231と、軸部材231を介して回動可能に構成され、台座部225の正面225a側から台座部225の上面225b側に向けて回動することにより、台座部225の上面225bとの間で駆動部140の少なくとも一部を挟み込んで固定する第1挟持部材240Aと、を有するように構成することができる。
【0048】
図2、
図3に示すように、第1挟持部材240Aは、軸部材231が取り付けられる本体部241と、台座部225との間で駆動部140を挟み込むための凹部243が形成された爪部242と、を有する。
【0049】
台座部225の下面225cには、第1挟持部材240Aの本体部241とともに軸部材231を保持するための軸受部227が配置されている。
【0050】
図2、
図3に示すように、駆動部140を支柱部220の台座部225に対して固定する際は、台座部225の上面225b側へ向けて第1挟持部材240Aを回動させる。このような操作を行うと、駆動部140の被固定部143が爪部242と台座部225との間に挟み込まれて台座部225に対して固定される。また、固定を解除する際には、爪部242が台座部225の上面225bから離れるように、第1挟持部材240Aを回動させる。このように第1挟持部材240Aを回動させる簡単な操作によって駆動部140の固定と固定の解除を切り替えることができる。
【0051】
<変形例>
図6及び
図7には、変形例に係る固定部230を示す。
【0052】
変形例に係る固定部230は、台座部225の延在方向(図中の矢印Y1-Y2方向)と平行に配置された軸部材231と、軸部材231を介して回動可能に構成され、台座部225の側方側から台座部225の上面225b側に向けて回動することにより、台座部225の上面225bとの間で駆動部140の少なくとも一部を挟み込んで固定する第2挟持部材240Bと、を有する。
【0053】
図4、
図5に示すように、第2挟持部材240Bは、軸部材231が取り付けられる本体部246と、台座部225との間で駆動部140を挟み込むための凹部248が形成された爪部247と、を有する。
【0054】
台座部225の正面225aには、軸部材231を回動可能に保持するための軸受孔(図示省略)が形成されている。
【0055】
図4、
図5に示すように、駆動部140を支柱部220の台座部225に対して固定する際は、台座部225の上面225b側へ向けて第2挟持部材240Bを回動させる。このような操作を行うと、駆動部140の被固定部143が爪部247と台座部225との間に挟み込まれて台座部225に対して固定される。また、固定を解除する際には、爪部247が台座部225の上面225bから離れるように、第2挟持部材240Bを回動させる。このように第2挟持部材240Bを回動させる簡単な操作によって駆動部140の固定と固定の解除を切り替えることができる。
【0056】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る医療器具搬送カートを説明する。第2実施形態の説明では、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。特に説明の無い内容や構成は、第1実施形態と実質的に同一のものとすることができる。
【0057】
図6~
図8には、第2実施形態に係る支柱部220の一部を示している。支柱部220は、切替機構300を有する点において前述した第1実施形態と相違する。
【0058】
第2実施形態に係る医療器具搬送カート200は、前述した第1実施形態と同様に、医療用画像を表示するためのディスプレイ110を載置するためのディスプレイ設置部210と、ディスプレイ設置部210の下方側においてディスプレイ設置部210を支持する支柱部220と、支柱部220の下方側に配置され、ディスプレイ設置部210及び支柱部220の搬送を可能にする搬送部250と、支柱部220に設けられ、医療用画像を取得するためのカテーテルデバイスの動作を駆動するための駆動力を供給する駆動部140を収容する収容部221と、駆動部140が載置される台座部225と、を有する(
図1を参照)。
【0059】
なお、第2実施形態に係る医療器具搬送カート200は、支柱部220に収容空間228が設けられている点、及び搬送部250に載置台255が設けられている点についても前述した第1実施形態と同様に構成している。
【0060】
図6、
図7、
図8に示すように、第2実施形態に係る医療器具搬送カート200は、台座部225の水平に対する角度が大きくなるように台座部225を収容部221に対して可動させることにより、台座部225の状態を所定の第1状態S1と第2状態S2とに切り替え可能に構成された切替機構300を有する。
【0061】
図7に示すように、第1状態S1は、台座部225に載置された駆動部140が収容部221に収容された状態である。また、
図6に示すように、第2状態S2は、台座部225に載置された駆動部140を収容部221の外部に取り出すことが可能な状態である。
【0062】
医療器具搬送カート200は、切替機構300が操作されて、
図7に示す第1状態S1に切り替えられると、駆動部140を収容部221に収容した状態を維持する。そのため、第1状態S1で医療器具搬送カート200を移動させた際に、駆動部140が収容部221から落下等することを防止できる。また、医療器具搬送カート200は、切替機構300が操作されて、
図6に示す第2状態S2になると、駆動部140を収容部221から取り出したり、駆動部140を台座部225に載置したりすることが可能になる。
【0063】
台座部225は、第1状態S1において、収容部221を外部から覆う蓋部材340となるように構成することができる。具体的には、
図7に示すように、台座部225は、第1状態S1において、下面225cによって駆動部140を覆うように構成することができる。駆動部140は、収容部221に収容された状態において、下面225cによって収容部221の外部から隔離される。これにより、第1状態S1において駆動部140が収容部221から落下等することをより確実に防止できる。
【0064】
台座部225には、第1状態S1と第2状態S2とを切り替える際に、使用者が台座部225を把持可能とするためのハンドル部370を備えるように構成することができる。
【0065】
図8は、支柱部220に設けられた切替機構300を説明するための図であり、支柱部220の内部の一部を簡略的に示す側面図である。
図8では駆動部140の図示を省略している。
【0066】
図8には、第1状態S1と第2状態S2とを切り替える前後の様子を示す。
図8の二点鎖線は第1状態S1の台座部225を示し、
図8の実線は第2状態S2の台座部225を示す。
【0067】
切替機構300は、支柱部220に設けられたガイド溝310と、台座部225に設けられ、ガイド溝310に係合されたガイド突起320と、を有する。
【0068】
ガイド溝310は、支柱部220の高さ方向に沿って延びる第1溝部311、312と、第1溝部311、312と交差する方向に沿って延びる第2溝部313と、を有する。
【0069】
ガイド突起320は、第1溝部311、312に沿って移動可能な第1突起部321と、第2溝部313に沿って移動可能な第2突起部322と、を有する。なお、本実施形態では、第2突起部322は、第1溝部312及び第2溝部313に沿って移動可能に構成されている。
【0070】
ガイド溝310が備える第1溝部311及び第1溝部312は、支柱部220の高さに方向において両者の間に間隔を空けて配置されている。
【0071】
第2溝部313は、支柱部220の前面側(矢印X1側)に向けて支柱部220の高さ方向の下方側(矢印Z2側)へ傾斜するように延びている。第2溝部313は、第1溝部312と連なるように構成されている。
【0072】
切替機構300を操作して第1状態S1とする場合、第1溝部311の下端付近に第1突起部321を配置し、第1溝部312の下端付近に第2突起部322を配置する。この状態において、ハンドル部370を把持して台座部225を移動させる等の操作がなされない限り、切替機構300は台座部225を第1状態S1に維持することができる。
【0073】
切替機構300を操作して第2状態S2とする場合、ハンドル部370を把持して台座部225を持ち上げる。台座部225を持ち上げる際、第1溝部311に沿って第1突起部321が移動し、第1溝部312に沿って第2突起部322が移動する。第1溝部312の上端まで第2突起部322が移動した後、ハンドル部370を支柱部220の前面側(開口部223側)に引っ張ると、第1突起部321を基点にして台座部225が回動し、第2突起部322を第2溝部313に沿って移動させることができる。この操作により、台座部225の正面225a側の一部を収容部221の外部に配置することができ、第2状態S2に切り替えることができる。また、上記と逆の手順で台座部225を収容部221内に移動させることにより、第2状態S2から第1状態S1へ切り替えることができる。
【0074】
<変形例>
図9及び
図10には変形例に係る切替機構300を示す。
【0075】
切替機構300は、支柱部220に取り付けられ、台座部225を回動自在に軸支する回動軸350と、第1状態S1において台座部225を支柱部220に対して固定することにより第1状態S1を維持するためのロック部360と、を有する。
【0076】
切替機構300は、
図9に示す第1状態S1をロック部360によって維持することができる。そのため、第1状態S1において医療器具搬送カート200を移動等させた際に、収容部221に収容した駆動部140が収容部221から落下することを好適に防止することができる。
【0077】
切替機構300は、台座部225に設けられ、使用者が第1状態S1と第2状態S2を切り替える際に把持されるハンドル部370を有する。ハンドル部370は、回動軸372を介して支柱部220に対して回動可能に軸支させることができる。ハンドル部370は、台座部225の上端側(
図9に示す第1状態S1において、上方側に配置される端部側)に配置することができる。
【0078】
ロック部360は、ハンドル部370を支柱部220に対して固定することにより第1状態S1を維持するように構成されている。本実施形態では、ロック部360は、支柱部220の内部に配置されたロック用凸部363と、ハンドル部370に設けられ、ロック用凸部363に対して嵌合可能に構成されたストッパー部373とによって構成している。
【0079】
図9の二点鎖線で示すように、ロック用凸部363に対してストッパー部373が嵌合されている状態では、回動軸350による台座部225の回動が制限される。そのため、切替機構300によって台座部225を第1状態S1に維持することができる。ロック部360によるロックを解除する際には、
図9中の矢印で示すように、ハンドル部370を手指等で把持し、ハンドル部370を回動させて、ロック用凸部363に対するストッパー部373の嵌合を解除する。この状態で、
図10に示すように、ハンドル部370を収容部221の外部へ移動させるように操作することで、台座部225を第2状態S2へ切り替えることができる。
【0080】
第2実施形態及び変形例で説明した切替機構300は、第1状態S1と第2状態S2を切り替え可能に構成されている限り、具体的な構造について特に制限はない。例えば、
図11に示すように、変形例で示した切替機構300のロック用凸部363は、支柱部220の内面側に突設された突起部363a等によって構成することも可能である。
【0081】
<他の実施形態>
図12には他の実施形態に係る医療用装置10(医療器具搬送カート200)の概観斜視図を示す。
【0082】
図12に示すように、医療用装置10は、ディスプレイ110を支持する架台100aがディスプレイ設置部210に直接的に支持されるように構成されていてもよい。また、ディスプレイ設置部210は、天板のような部材ではなく、支柱部220の上端部によって構成することができる。
【0083】
なお、医療用画像表示デバイス100は、例えば、キーボードのようなユーザーインターフェース120を備えていない構成とすることも可能である。例えば、ディスプレイ110上に表示されるタッチパネルや、外部端末装置からの入力によってディスプレイ110における画像出力を制御するように構成することができる。
【0084】
以上、実施形態を通じて本発明に係る医療器具搬送カートを説明したが、本発明は明細書において説明した内容のみに限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
10 医療用装置
100 医療用画像表示デバイス
110 ディスプレイ
120 ユーザーインターフェース
130 画像処理装置
140 駆動部
200 医療器具搬送カート
210 ディスプレイ設置部
220 支柱部
221 収容部
222 空間部
223 開口部
225 台座部
227 軸受部
228 収容空間
229 仕切板
230 固定部
231 軸部材
240A 第1挟持部材
240B 第2挟持部材
241 本体部
242 爪部
243 凹部
246 本体部
247 爪部
248 凹部
250 搬送部
255 載置台
300 切替機構
310 ガイド溝
311 第1溝部
312 第1溝部
313 第2溝部
320 ガイド突起
321 第1突起部
322 第2突起部
340 蓋部材
350 回動軸
360 ロック部
363 ロック用凸部
363a 突起部
370 ハンドル部
372 回動軸
373 ストッパー部
S1 第1状態
S2 第2状態