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特開2024-145000ガス栓保持具の探知方法、探知装置及び探知治具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145000
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ガス栓保持具の探知方法、探知装置及び探知治具
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/08 20060101AFI20241004BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G01V3/08 A
G01B7/00 102M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057213
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】522068452
【氏名又は名称】東邦ガスネットワーク株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000167325
【氏名又は名称】光陽産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北野 哲司
(72)【発明者】
【氏名】古澤 彰太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 絃気
(72)【発明者】
【氏名】宮川 成一
(72)【発明者】
【氏名】堤田 綾子
【テーマコード(参考)】
2F063
2G105
【Fターム(参考)】
2F063AA03
2F063CA28
2F063DA01
2F063DA05
2F063GA52
2G105AA01
2G105BB05
2G105DD02
2G105EE01
2G105HH04
2G105KK06
(57)【要約】
【課題】壁板の室外側に設置されたガス栓保持具を室内側から探知する精度を高める。
【解決手段】壁板2の室外側に設置されたガス栓保持具20を室内側から探知する方法は、ガス栓保持具20に取り付けられ壁板2の室外面に沿って間隔を置いた状態で室外面と対向する2つの被探知磁石35に対し、この間隔に対応して離隔する2つの隔離空間45にそれぞれ収容された状態で壁板2に沿って移動可能な2つの探知磁石42を、壁板2の室内側から吸着させる。これにより、2つの被探知磁石35の位置を探知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内外を隔てる内装材の室外側に設置されたガス栓保持具を室内側から探知する、ガス栓保持具の探知方法であって、
上記ガス栓保持具に取り付けられ、上記内装材の室外面に沿って間隔を置いた状態で上記室外面と対向する複数の被探知磁石に対し、上記間隔に対応して離隔する複数の隔離空間にそれぞれ収容された状態で上記内装材に沿って移動可能な複数の磁性体を、上記内装材の室内側からそれぞれ吸着させることにより、複数の上記被探知磁石の位置を探知することを特徴とする、ガス栓保持具の探知方法。
【請求項2】
請求項1に記載のガス栓保持具の探知方法であって、
上記ガス栓保持具の上記内装材との対向部に対応する形状の探知治具に、複数の上記隔離空間と、上記ガス栓保持具における複数の上記被探知磁石の取付け位置にそれぞれ対応する複数の目印とが設けられており、
上記内装材の室内面に上記探知治具を添わせて動かし、
複数の上記被探知磁石に複数の上記磁性体をそれぞれ吸着させ、
吸着された複数の上記磁性体に複数の上記目印をそれぞれ合わせることを特徴とする、ガス栓保持具の探知方法
【請求項3】
室内外を隔てる内装材の室外側に設置されたガス栓保持具を室内側から探知する、ガス栓保持具の探知装置であって、
上記ガス栓保持具に装着されるとともに、複数の被探知磁石を上記内装材の室外面に沿って間隔を置いた状態で上記室外面と対向するように支持する被探知磁石支持部材と、
上記内装材の室内面に移動可能に添えられ、室内外方向から見たとき室外側の複数の上記被探知磁石とそれぞれ重なり得る複数の隔離空間が形成されるとともに、複数の上記隔離空間にそれぞれ磁性体が収容された、探知治具と、を備え、
複数の上記磁性体は、それぞれ複数の上記隔離空間内を上記内装材に沿って移動可能であって、上記内装材を介して複数の上記被探知磁石にそれぞれ吸着可能であることを特徴とする、ガス栓保持具の探知装置。
【請求項4】
室内外を隔てる内装材の室外側に設置されたガス栓保持具を室内側から探知するために上記内装材の室内面に移動可能に添えられる、ガス栓保持具の探知治具であって、上記ガス栓保持具には、上記内装材の室外面に沿って間隔を置いた状態で上記室外面と対向する複数の被探知磁石が取り付けられており、
室内外方向から見たとき室外側の複数の上記被探知磁石とそれぞれ重なり得る複数の隔離空間が形成され、
複数の上記隔離空間に複数の磁性体がそれぞれ収容され、上記内装材に沿って移動可能であって、上記内装材を介して複数の上記被探知磁石にそれぞれ吸着可能であることを特徴とする、ガス栓保持具の探知治具。
【請求項5】
請求項4に記載のガス栓保持具の探知治具であって、
上記ガス栓保持具の上記内装材との対向部に対応する形状をなすとともに、上記ガス栓保持具における複数の上記被探知磁石の取付け位置にそれぞれ対応する複数の目印を有することを特徴とする、ガス栓保持具の探知治具。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のガス栓保持具の探知治具であって、
室内外方向に貫通する窓孔が形成され、上記窓孔が、上記ガス栓保持具内の部位であって上記内装材に近接した部材が存在しない部位に対応していることを特徴とする、ガス栓保持具の探知治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内外を隔てる内装材の室外側に設置されたガス栓保持具を室内側から探知するための方法、装置、及び治具に関する。
【背景技術】
【0002】
室内外を隔てる内装材として例えば壁板にガス栓を取り付ける場合、壁板の施工前に、壁板を支持するサポート材である間柱等にガス栓保持具を取り付け、このガス栓保持具にガス栓を保持させておく方法がある。この方法では、壁板の施工後に、壁板に穴が開けられる。
【0003】
壁板への穴開けは、壁板の施工業者が施した目印や、設計図に基づいて行われることがあるが、その目印がずれていたり、ガス栓保持具の取り付け位置が変更されたりした場合、穴の位置がガス栓保持具からずれてしまうことがあった。そのため、穴開けの前に、室内側から、壁板の室外側にある保持具の設置位置を探知して確認することも行われている。
【0004】
下記特許文献1には、ガス配管にも適用可能な配線用ボックス(保持具)の設置位置確認方法が記載されている。この方法について、図9を参照して説明する。この方法で探知される配線用ボックス1は、内部に、コンセント、スイッチ等の配線器具を収納し保持するものであって、壁板2の室外側に設置される。配線用ボックス1の底壁1aの偏心位置には被探知部1bが一体に立設されている。被探知部1bには先端部に磁石3が取付けられている。
【0005】
配線用ボックス1の設置位置を確認するためには、磁気探知器4を使用して配線用ボックス1の被探知部1bの位置を探知する(図9(B))。磁気探知器4は、壁板2の室内面に沿って移動させている間に被探知部1bの磁石3を探知すると点灯表示するので、その位置の壁板2に開孔具5を使用して小孔2aを穿設する(図9(C),(D))。
【0006】
その後、小孔2aに金属棒6を挿通し、この金属棒6が磁石3に磁気吸引されれば(図9(D))、被探知部1bの位置が確認できたこととし、ひいては配線用ボックス1の設置位置が確認できたこととしている。その後、小孔2aに穿孔具7の中心軸7aを一致させ壁板2に一つ目の透孔2bを穿設し、次いで透孔2bの上側に二つ目の透孔を穿設している(図9(E),(F))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10-94135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のものでは、磁気探知器4の構造が複雑であり、配線用ボックス1の設置位置の確認方法が煩雑であるとともに、十分な精度を確保できなかった。また、磁気探知器4が被探知部以外の磁気を帯びた部材を探知した場合、その探知位置に小孔を穿設することになり、その部材を損傷させる恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題の少なくとも1つを解決するためになされたものであって、本発明の一態様に係るガス栓保持具の探知方法は、
室内外を隔てる内装材の室外側に設置されたガス栓保持具を室内側から探知する方法であって、
上記ガス栓保持具に取り付けられ、上記内装材の室外面に沿って間隔を置いた状態で上記室外面と対向する複数の被探知磁石に対し、上記間隔に対応して離隔する複数の隔離空間にそれぞれ収容された状態で上記内装材に沿って移動可能な複数の磁性体を、上記内装材の室内側からそれぞれ吸着させることにより、複数の上記被探知磁石の位置を探知することを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、内装材の室外側に設置されたガス栓保持具を探知する場合に、内装材の室内面上で、磁性体を収容し離隔する複数の隔離空間を動かし、室外側の複数の被探知磁石を探る。磁性体は、被探知磁石に吸着されると隔離空間内で停止する。そのため、複数の磁性体がそれぞれ複数の被探知磁石に吸着され、停止することにより、複数の被探知磁石の位置を簡易に探知でき、ひいては、ガス栓保持具を簡易に探知することができる。停止によりガス栓保持具の探知と判断するための磁性体を複数とすることにより、探知精度が高められている。
【0011】
好ましくは、上記ガス栓保持具の上記内装材との対向部に対応する形状の探知治具に、複数の上記隔離空間と、上記ガス栓保持具における複数の上記被探知磁石の取付け位置にそれぞれ対応する複数の目印とが設けられており、
上記内装材の室内面に上記探知治具を添わせて動かし、
複数の上記被探知磁石に複数の上記磁性体をそれぞれ吸着させ、
吸着された複数の上記磁性体に複数の上記目印をそれぞれ合わせる。
上記構成によれば、ガス栓保持具の対向部に対応する形状の探知治具に、複数の隔離空間と、ガス栓保持具における複数の被探知磁石の取付け位置に対応する複数の目印とが設けられているため、探知治具の各隔離空間で各被探知磁石に吸着された各磁性体を各目印に合わせると、探知治具とガス栓保持具の対向部との位置を合わせることができる。そのため、ガス栓保持具の探知精度がより高められている。また、ガス栓保持具の探知は、内装材の室内面に探知治具を添わせて動かせばよく、簡易に行うことができる。
【0012】
本発明の他の態様は、室内外を隔てる内装材の室外側に設置されたガス栓保持具を室内側から探知する、ガス栓保持具の探知装置であって、
上記ガス栓保持具に装着されるとともに、複数の被探知磁石を上記内装材の室外面に沿って間隔を置いた状態で上記室外面と対向するように支持する被探知磁石支持部材と、
上記内装材の室内面に移動可能に添えられ、室内外方向から見たとき室外側の複数の上記被探知磁石とそれぞれ重なり得る複数の隔離空間が形成されるとともに、複数の上記隔離空間にそれぞれ磁性体が収容された、探知治具と、を備え、
複数の上記磁性体は、それぞれ複数の上記隔離空間内を上記内装材に沿って移動可能であって、上記内装材を介して複数の上記被探知磁石にそれぞれ吸着可能であることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、被探知磁石支持部材と探知治具とにより、簡単な構造のガス栓保持具の探知装置を構成することができる。内装材の室外側に設置されたガス栓保持具を探知するには、磁性体をそれぞれ収容する複数の隔離空間が形成された探知治具を、内装材の室内面に添わせて動かし、室外側の複数の被探知磁石を探る。複数の磁性体がそれぞれ複数の被探知磁石に吸着され、各隔離空間内で停止することにより、複数の被探知磁石の位置を探知でき、ひいてはガス栓保持具を探知することができる。ガス栓保持具を探知するための磁性体を複数とすることにより、探知精度が高められている。ガス栓保持具の探知は、内装材の室内面に探知治具を添わせて動かせばよく、簡易に行うことができる。
【0014】
本発明のさらに他の態様は、室内外を隔てる内装材の室外側に設置されたガス栓保持具を室内側から探知するために上記内装材の室内面に移動可能に添えられるガス栓保持具の探知治具であって、上記ガス栓保持具には、上記内装材の室外面に沿って間隔を置いた状態で上記室外面と対向する複数の被探知磁石が取り付けられており、
室内外方向から見たとき室外側の複数の上記被探知磁石とそれぞれ重なり得る複数の隔離空間が形成され、
複数の上記隔離空間に複数の磁性体がそれぞれ収容され、上記内装材に沿って移動可能であって、上記内装材を介して複数の上記被探知磁石にそれぞれ吸着可能であることを特徴とする。
【0015】
好ましくは、上記探知治具が、上記ガス栓保持具の上記内装材との対向部に対応する形状をなすとともに、上記ガス栓保持具における複数の上記被探知磁石の取付け位置にそれぞれ対応する複数の目印を有する。
上記構成によれば、複数の隔離空間が形成された探知治具が、ガス栓保持具の対向部に対応する形状をなし、かつガス栓保持具における複数の被探知磁石の取付け位置に対応する複数の目印を有している。そのため、各隔離空間で各被探知磁石に吸着された各磁性体を各目印に合わせると、探知治具とガス栓保持具の対向部との位置を合わせることができる。そのため、ガス栓保持具の探知精度がより高められている。
【0016】
好ましくは、上記探知治具に、室内外方向に貫通する窓孔が形成され、上記窓孔が、上記ガス栓保持具内の部位であって上記内装材に近接した部材が存在しない部位に対応している。
上記構成によれば、ガス栓保持具を探知した後、内装材に穴を開ける際、窓孔から穴開けを開始することにより、ガス栓保持具内の部材の損傷を避けることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、室内外を隔てる内装材の室外側に設置されたガス栓保持具を室内側から探知する精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るガス栓保持具の探知装置の斜視図である。
図2】同探知装置の被探知磁石支持部材とガス栓保持具を分離して示す正面図である。
図3】(A)同被探知磁石支持部材の斜視図である。(B)図2のIIIB-IIIB線に沿う断面図である。
図4】(A)同探知装置の探知治具の正面図である。(B)図4(A)のB-B線に沿う断面図である。
図5】同探知装置を用いたガス栓保持具の探知方法を示す概略説明図である。
図6】同探知方法を示す概略説明図である。
図7】同探知方法を示す概略説明図であって、図6の断面に相当する図である。
図8】同探知方法を示す概略説明図である。
図9】従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図1図8を参照して説明する。図1図4は、ガス栓保持具の探知装置10(以下、探知装置10と称する。)を示している。
【0020】
探知装置10の説明に先立って、ガス栓保持具20について、図1図2を参照して説明する。
ガス栓保持具20は、室内外を隔てる壁板2(内装材)にガス栓Gを設ける際、壁板2の施工前に室外側に設置されガス栓Gを保持する金具であって、壁板2が施工され壁板2に穴が開けられた後、その穴を介してガス栓Gを室内に臨ませるようにするためのものである。
【0021】
ガス栓保持具20は、壁板2を支持する間柱8(サポート材)に取り付けられるブラケット21と、ガス栓Gが取り付けられるホルダ26とにより構成されている。
ブラケット21は、枠板部22(対向部)と、一対の取付板部23と、一対の支持板部24とを有している。
【0022】
枠板部22は、矩形の枠状をなして壁板2と対向している。枠板部22の内側辺のうち対向する2つ(本実施形態では、上下の内側辺)には、固定片22a,22aが設けられている。固定片22a,22aは、斜めに向かい合うように配置されている。各固定片22aは、枠板部22から室内と反対方向に延びて先端部が枠内に折れ曲がった形状をなしている。固定片22aの先端部には、雌ねじ孔である取付孔22bが形成されている。
【0023】
一対の取付板部23は、枠板部22の4つの外側辺のうちの一つ(本実施形態では図1中の左側の外側辺)における両端部(図1中の上端部と下端部)から、それぞれ室内とは反対方向に延びて枠板部22とは垂直をなしており、間柱8に固定されている。
【0024】
一対の支持板部24は、ホルダ26を支持するためのものであって、枠板部22の4つの内側辺のうちの一つ(本実施形態では図1中の左側の内側辺)の上部と下部から、それぞれ室内とは反対方向に延びて枠板部22とは垂直をなしている。各支持板部24には、その延び方向と同方向に延びる係合孔24aが形成されている。
【0025】
ホルダ26は、室内外方向に板面を向けた底板部27と、底板部27の側縁から室内に向かって底板部27とは垂直に延びる一対の腕板部28とを有している。底板部27には、ガス栓Gがプラグ部Gpを室内に向けるように固定されている。一対の腕板部28は、それぞれ先端部が外側に折り曲げられて、上記ブラケット21の一対の支持板部24の係合孔24aに係合され、室内外方向に移動可能である。これにより、ホルダ26は、ブラケット21に室内外方向に移動可能に支持されている。
【0026】
ガス栓保持具20のブラケット21が間柱8に取り付けられ、ガス栓Gを取り付けたホルダ26がブラケット21に支持された後、壁板2が、ブラケット21の枠板部22と対向し、かつ間柱8に支持されるように、施工される。その後、壁板2には、室外側にあるガス栓Gを室内に臨ませるために穴が開けられることになる。
【0027】
探知装置10は、ガス栓Gの位置に合わせて壁板2に穴を開けることができるように、室内側から壁板2を介してガス栓保持具20の位置を探知するためのものであって、図1に示すように、被探知磁石支持部材30と、探知治具40とにより構成されている。
被探知磁石支持部材30は、図1図3に示すように、ガス栓保持具20に装着される磁石支持体30sと、磁石支持体30sに支持され探知治具40によって探知される複数(本実施形態では2つ)の被探知磁石35とを有している。
【0028】
磁石支持体30sは、図3に示すように、合成樹脂製で細長い形状をなして、長手方向における中央部に逃げ部31が形成され、両端部に取付軸部32,32が設けられており、2つの取付軸部32と逃げ部31とがそれぞれ架橋部33,33により結合されている。各架橋部33の中間部には、磁石保持部34が形成されている。すなわち、磁石支持体30sには、磁石保持部34が複数(本実施形態では2つ)形成されている。
【0029】
逃げ部31は、図1に示すように、磁石支持体30sがガス栓保持具20に装着されたとき、磁石支持体30sがガス栓Gのプラグ部Gpと干渉することを避けるためのものであって、筒状をなしてプラグ部Gpが挿通可能である。
【0030】
各取付軸部32は、図3に示すように、各架橋部33の先端部から逃げ部31の軸線と平行に延びるように設けられている。図2に示すように、各取付軸部32が、上記ブラケット21の枠板部22における上下の固定片22aの取付孔22bに挿通されることにより、磁石支持体30sは、ガス栓保持具20に着脱可能に装着される。
【0031】
磁石保持部34,34は、図1図3に示すように、それぞれ、被探知磁石35,35を壁板2の室外面と対向するように支持するものであって、2つの磁石保持部34の間隔は、2つの被探知磁石35の磁界が互いに影響し合わない程度の距離に設定されている。
【0032】
磁石支持体30sがガス栓保持具20に装着されたとき、2つの被探知磁石35は、壁板2の室外面に沿って間隔を置いた状態となるようになっており、本実施形態では、2つの被探知磁石35が、室内外方向から見て逃げ部31の軸線を中心として点対称となる位置になるように、磁石保持部34,34が設定されている。
【0033】
また、磁石支持体30sがガス栓保持具20に装着されたとき、被探知磁石35は、磁界の向きが室内外方向となるように磁石保持部34に取り付けられ、被探知磁石35における壁板2を向く面の中心部の磁力線が壁板2を略直角に横切るようになっている。
【0034】
本実施形態では、各磁石保持部34は、有底円筒状に形成されており、円柱形状の被探知磁石35が抜け止め状態で嵌め込まれるようになっている。被探知磁石35の抜け止めとして、磁石保持部34に接着させてもよく、粘着テープにより固定してもよく、その他の手段を用いてもよい。また、各磁石保持部34を角筒状に形成し、角柱状の被探知磁石35を嵌め込むようにしてもよい。
【0035】
探知治具40は、図1図4に示すように、室内側から壁板2を介して被探知磁石35を探知し、ひいては、ガス栓保持具20の位置を探知するためのものであって、治具本体41と、複数(本実施形態では2つ)の探知磁石42(磁性体)とを有している。
【0036】
治具本体41は、合成樹脂製で矩形の板状に形成され、上記ガス栓保持具20のブラケット21の枠板部22と略同じ大きさに形成されており、壁板2の室内面に移動可能に添えられる。
【0037】
治具本体41の表側(壁板2側とは反対側)には、複数(本実施形態では2つ)の収容凹部43が形成されており、壁板2の室外側にある2つの上記被探知磁石35の間隔に対応して離隔して配置されている。室内外方向から見たときには、図6に示すように、2つの収容凹部43は、2つの被探知磁石35とそれぞれ重なり得るようになっている。
【0038】
本実施形態では、図4(A)に示すように、各収容凹部43は、室内外方向から見たとき、円形をなしており、図4(B)、図7に示すよう、各収容凹部43の底面43aは、壁板2と平行になるように形成されている。
【0039】
2つの収容凹部43には、それぞれ、2つの探知磁石42が、それらの磁界の向きが室内外方向となるように収容されている。また、2つの探知磁石42は、それぞれ、2つの被探知磁石35に引き付けられ得るように、被探知磁石35が壁板2の室外面に向けた磁極とは異なる磁極を室内面に向けており、壁板2を介して室外側の被探知磁石35に吸着され得るようになっている。
各探知磁石42は、各収容凹部43の底面43aに沿って移動することができ、ひいては、壁板2に沿って移動可能である。
【0040】
本実施形態では、図4(A),(B)に示すように、各探知磁石42は、円柱状で収容凹部43の深さより短く形成され、各探知磁石42の軸線が各収容凹部43の軸線と平行になるように、各収容凹部43に収容されている。
【0041】
尚、探知磁石42は、球状に形成してもよく、角柱状その他の形状に形成してもよい。また、探知磁石42に代えて、他の、磁性を有する物質を用いてもよく、例えば鉄を用いてもよい。
【0042】
各探知磁石42を収容した各収容凹部43は、図4(B)に示すように、透明な蓋体44によって、閉塞されている。これにより、各探知磁石42の脱落を防止した2つの隔離空間45が形成されている。各蓋体44は、合成樹脂製の透明なフィルムによって形成されており、各収容凹部43の開口部の周縁部に接着されている。
【0043】
2つの蓋体44には、それぞれ2つの被探知磁石35の位置に対応して、目印46が付されている。各目印46は、図6図7に示すように、ガス栓保持金具20の枠板部22の位置と治具本体41の位置とが合致したとき、各被探知磁石35の中心軸線の延長線上に位置するように配置されている。
尚、目印46を、蓋体44に代え、収容凹部43の底面43aに付してもよい。
【0044】
治具本体41には、図1図4に示すように、ガス栓Gを室内に臨ませるための穴を壁板2に開ける際に、最初に穿孔可能な領域を示す窓孔47が形成されている。窓孔47は、治具本体41の表面から裏面まで貫通している。窓孔47は、図6図8に示すように、ガス栓保持金具20の枠板部22の位置と治具本体41の位置とが合致したとき、ガス栓保持具20内において壁板2に近接した部材が存在しない部位に対応している。
【0045】
そのため、枠板部22と治具本体41の位置を合わせて、窓孔47の内側から壁板2に穿孔を行えば、ガス栓保持具20内の部材の損傷を避けることができる。
本実施形態では、治具本体41における、2つの収容凹部43を結ぶ線を介して対向する2つ隅部に、それぞれ、窓孔47が形成されている。
【0046】
次に、上記構成の探知装置10を用いて、室内側から壁板2を介して室外側のガス栓保持具20を探知する方法について、図5図8を参照して説明する。
図5に示すように、治具本体41を壁板2の室内面に添わせて、壁板2に沿って動かし、室外側の2つの被探知磁石35を探る。
【0047】
探知治具40の探知磁石42は、被探知磁石35と離れているときには、治具本体41と一体に移動する。
探知磁石42が、被探知磁石35に接近したときには、被探知磁石35に吸着され、被探知磁石35の中心軸線上の隔離空間45内で停止し、治具本体41と一体には移動しなくなるため、被探知磁石35を探知できる。2つの探知磁石42が、それぞれ、2つの被探知磁石35に吸着され、各隔離空間45内で停止することにより、2つの被探知磁石35の位置を探知できたことになる。
【0048】
次に、図6図7に示すように、各隔離空間45内で停止した各探知磁石42を各目印46に合わせると、治具本体41の位置と、ガス栓保持具20の枠板部22の位置とを合わせることができる。このとき、図8に示すように、治具本体40の窓孔47,47は、ガス栓保持具20内において壁板2に近接した部材が存在しない部位に対応している。そのため、窓孔47に沿って壁板2に罫書き線47aを引くなどして、その内側の位置からドリル等の工具で穿孔を形成すれば、ガス栓保持具20内の部材、例えばガス栓GのプラグGp等の損傷を避けることができる。
【0049】
次に、壁板2に形成された上記穿孔に、のこぎり、カッター等の工具を挿入し、枠板部22の内側辺に沿わせて、壁板2を切り欠いて切除する。これにより、ガス栓Gを室内に臨ませるための穴を壁板2に開けることができる。この穴から、被探知磁石支持部材30は、取り外されるようになっており、再利用可能である。
【0050】
上記実施形態によれば、探知装置10を、被探知磁石支持部材30と探知治具40とにより、簡単な構造で構成することができる。
ガス栓保持具20の探知は、探知治具40を壁板2の室内面に添わせて壁板に沿って動かせばよく、簡易に行うことができる。
2つの探知磁石42によって、2つの被探知磁石35を探知することにより、探知精度が高められており、例え、1つの探知磁石42が被探知磁石35以外の磁気を帯びた部材を探知することがあったとしても、最終的にガス栓保持具20を誤探知してしまうことは低減されている。
探知治具40は、治具本体41がガス栓保持具20の枠板部22に対応する形状をなすとともに、ガス栓保持具20における2つの被探知磁石35の位置に対応する2つの目印46を有している。そのため、各被探知磁石35に吸着された各探知磁石42を各目印46に合わせると、治具本体41と枠板部22の位置を合わせることができ、ガス栓保持具20の探知精度がより高められている。
【0051】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において各種の変形例を採用することができる。
上記実施形態では、被探知磁石支持部材30が被探知磁石35を2つ有する場合について説明したが、3つ以上有してもよい。その場合、磁石支持体30sには、3つ以上の磁石保持部34が形成され、それぞれ被探知磁石35を支持することができる。磁石支持体30sの形状は細長い形状に限られず、ガス栓保持具20に装着された状態を室内外方向から見たとき、T字状、Y字状、X字状、円状、多角形状、その他の形状となるように形成してもよい。3つ以上の磁石保持部34の間隔は、3つ以上の被探知磁石35の磁界が互いに影響し合わない程度の距離に設定することができる。また、磁石支持体30sがガス栓保持具20に装着されたとき、3つ以上の被探知磁石35が、壁板2の室外面に沿って間隔を置いた状態で壁板2の室外面と対向するように設定することができる。
被探知磁石35が3つ以上の場合、探知治具40に、被探知磁石35に対応して、3つ以上の隔離空間45を形成し、3つ以上の目印46を設けてもよい。3つ以上の隔離空間45は、探知治具40を壁板2の室内面に添えた状態で室内外方向から見たとき、室外側の3つ以上の被探知磁石35とそれぞれ重なり得るようにすることができる。各隔離空間45内には、探知磁石42が収容され、各隔離空間45内で壁板2に沿って移動可能であるとともに、壁板2を介して室外側の被探知磁石35に吸着され得るようにすることができる。3つ以上の目印46は、ガス栓保持具20における3つ以上の被探知磁石35の取付け位置に、それぞれ対応させるように設けることができる。被探知磁石35及び探知磁石42の設置数を増やすことで、ガス栓保持具20の探知精度を高めることができる。
上記実施形態では、室内外を隔てる内装材として壁板2の場合について説明したが、床板や、その他の内装材であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、室内外を隔てる内装材の室外側に設置されたガス栓保持具の、室内側からの探知に適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
G ガス栓
Gp ガス栓のプラグ部
2 壁板(内装材)
8 間柱
10 ガス栓保持具の探知装置
20 ガス栓保持具
21 ブラケット
22 枠板部(対向部)
22a 固定片
22b 取付孔
23 取付板部
24 支持板部
24a 係合孔
26 ホルダ
27 底板部
28 腕板部
30 被探知磁石支持部材
30s 磁石支持体
31 逃げ部
32 取付軸部
33 架橋部
34 磁石保持部
35 被探知磁石
40 探知治具
41 治具本体
42 探知磁石(磁性体)
43 収容凹部
43a 底面
44 蓋体
45 隔離空間
46 目印
47 窓孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9