IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アストラの特許一覧

<>
  • 特開-果菜の分割裁断装置 図1
  • 特開-果菜の分割裁断装置 図2
  • 特開-果菜の分割裁断装置 図3
  • 特開-果菜の分割裁断装置 図4
  • 特開-果菜の分割裁断装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145001
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】果菜の分割裁断装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/28 20060101AFI20241004BHJP
   A23N 4/12 20060101ALI20241004BHJP
   A23N 4/22 20060101ALI20241004BHJP
   B26D 1/44 20060101ALI20241004BHJP
   B26D 3/24 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B26D3/28 620K
A23N4/12
A23N4/22
B26D3/28 620P
B26D1/44
B26D3/28 620N
B26D3/24 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057215
(22)【出願日】2023-03-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ▲1▼公開日 令和5年3月22日 ▲2▼公開した式典名 新社屋落成祝賀会 ▲3▼公開場所 クラクーリアンテ(サンパレス福島)(福島県福島市上町4番地の30)
(71)【出願人】
【識別番号】503249131
【氏名又は名称】株式会社アストラ
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【弁理士】
【氏名又は名称】前野 房枝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 晃浩
(72)【発明者】
【氏名】狩野 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】一條 浩孝
【テーマコード(参考)】
4B061
【Fターム(参考)】
4B061AA01
4B061AA02
4B061BA08
4B061BA12
4B061BA13
4B061BB01
4B061BB07
4B061BB19
4B061CB14
(57)【要約】
【課題】果菜の損耗を最小限に抑え、自在な寸法で、強い力を必要とせず、廃棄部分を最小限に抑え、衛生的で、特別な技能を有さなくても裁断を可能とする果菜の分割裁断装置を提供すること。
【解決手段】筐体と、果菜回転モータの駆動により回転自在に配設された果菜支承部と、果菜横分割部180と、縦刃駆動モータの駆動により進退自在に配設された果菜縦分割部200と、芯抜部と、果菜回転モータ並びに縦刃駆動モータの駆動を制御する制御部を設け、前記制御部は、果菜回転モータを、前記果菜横分割部180の使用時には連続回転するように制御し、前記縦刃駆動モータの駆動時には果菜の縦分割数に応じた所定角度で間欠回転するように制御するとともに前記縦刃駆動モータを果菜回転モータの回転停止中にスライス刃181が進退駆動するように制御する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平置きされた略長方体形状のベース筐体部を備える筐体と、
分割対象の果菜を支承する果菜ピンを有する果菜ホルダが果菜回転モータの駆動により回転自在に配設された果菜支承部と、
前記果菜ホルダの回転軸に対して複数本のスライス刃を直交させて配列した枠部材が、前記枠部材の一側辺に設けられた回動軸により、果菜ホルダに対する果菜の脱着を許容する退避位置と前記スライス刃が果菜支承部に近接して果菜ホルダに支承された果菜を切断可能な切断位置との間を揺動自在に配設された果菜横分割部と、
前記果菜ピンを収納可能な径寸法とされた長尺な円筒状の本体の一端縁部に刃部が形成され、他端には前記本体の中心軸周りに複数の把持部が形成された果芯円筒刃と、前記果芯円筒刃の本体をスライド自在に嵌挿させる案内孔が形成されたガイド部が果菜ホルダに対する果菜の脱着を許容する退避位置と前記案内孔を前記果菜ピンに対向させる作業位置との間を揺動自在に、前記ガイド部に接続されたアーム部により前記筐体に配設された芯抜部と、
前記果菜回転モータの駆動を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする果菜の分割裁断装置。
【請求項2】
平置きされた略長方体形状のベース筐体部と前記ベース筐体部の一端側に設けられた縦置きの略長方体形状のタワー筐体部を備える筐体と、
分割対象の果菜を支承する果菜ピンを有する果菜ホルダが果菜回転モータの駆動により回転自在に前記ベース筐体部に配設された果菜支承部と、
前記果菜ホルダの回転軸に対してスライス刃を対向させて配置した弓ノコ型のスライス刃保持部材が、縦刃駆動モータの駆動により、果菜ホルダに対する果菜の脱着を許容する退避位置と前記スライス刃が果菜支承部に近接して果菜ホルダに支承された果菜を切断可能な切断位置との間を進退自在に配設された果菜縦分割部と、
前記果菜回転モータ並びに前記縦刃駆動モータの駆動を制御する制御部と、
前記果菜ピンを収納可能な径寸法とされた長尺な円筒状の本体の一端縁部に刃部が形成され、他端には前記本体の中心軸周りに複数の把持部が形成された果芯円筒刃と、前記果芯円筒刃の本体をスライド自在に嵌挿させる案内孔が形成されたガイド部が果菜ホルダに対する果菜の脱着を許容する退避位置と前記案内孔を前記果菜ピンに対向させる作業位置との間を揺動自在に、前記ガイド部に接続されたアーム部により前記筐体に配設された芯抜部と備え、
前記制御部は果菜回転モータを果菜の縦分割数に応じた所定角度で間欠回転するように制御し、前記縦刃駆動モータを果菜回転モータの回転停止中に前記スライス刃が進退駆動するように制御することを特徴とする果菜の分割裁断装置。
【請求項3】
平置きされた略長方体形状のベース筐体部と前記ベース筐体部の一端側に設けられた縦置きの略長方体形状のタワー筐体部を備える筐体と、
分割対象の果菜を支承する果菜ピンを有する果菜ホルダが果菜回転モータの駆動により回転自在に配設された果菜支承部と、
前記果菜ホルダの回転軸に対して複数本のスライス刃を直交させて配列した枠部材が、前記枠部材の一側辺に設けられ、前記ベース筐体部の上面の一側方に垂設された回動軸により、果菜ホルダに対する果菜の脱着を許容する退避位置と前記スライス刃が果菜支承部に近接して果菜ホルダに支承された果菜を切断可能な切断位置との間を揺動自在に配設された果菜横分割部と、
前記果菜ホルダの回転軸に対してスライス刃を対向させて配置した弓ノコ型のスライス刃保持部材が、縦刃駆動モータの駆動により、果菜ホルダに対する果菜の脱着を許容する退避位置と前記スライス刃が果菜支承部に近接して果菜ホルダに支承された果菜を切断可能な切断位置との間を進退自在に配設された果菜縦分割部と、
前記果菜ピンを収納可能な径寸法とされた長尺な円筒状の本体の一端縁部に刃部が形成され、他端には前記本体の中心軸周りに複数の把持部が形成された果芯円筒刃と、前記果芯円筒刃の本体をスライド自在に嵌挿させる案内孔が形成されたガイド部が果菜ホルダに対する果菜の脱着を許容する退避位置と前記案内孔を前記果菜ピンに対向させる作業位置との間を揺動自在に、前記ガイド部に接続されたアーム部により前記筐体に配設された芯抜部と、
前記果菜回転モータ並びに前記縦刃駆動モータの駆動を制御する制御部を備え
前記制御部は、果菜回転モータを、前記果菜横分割部の使用時には連続回転するように制御し、前記縦刃駆動モータの駆動時には果菜の縦分割数に応じた所定角度で間欠回転するように制御するとともに前記縦刃駆動モータを果菜回転モータの回転停止中に前記スライス刃が進退駆動するように制御することを特徴とする果菜の分割裁断装置。
【請求項4】
果菜ピンに支承された分割対象の果菜を包囲可能な有底円筒状の果菜回収ケースであって、底部には果菜を支承する果菜ピンの基部を位置させる軸穴が形成されており、前記軸穴を通る1本の縦分割ライン上に蝶番部と切断部が形成され、前記蝶番部により横方向に対称に開くように形成された果菜回収ケースを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の果菜の分割裁断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイナップルなどの果菜を食用に供したり、菓子の装飾などへ用いる場合に適切な寸法へ裁断し、芯などの不要部を除去するための果菜の分割裁断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パイナップル、りんご、オレンジなどの果物やジャガイモなどの野菜(『果菜』という)を適切な寸法へ裁断し、不要部を除去する分割裁断用の器具や装置であって、既に実用化されているものとしては、二重の円筒状の刃物と、その外円筒面内側より内円筒面外側にかけて放射状に配設された刃物からなり、果菜に対して垂直に押し当てる力により、外皮除去・芯抜き・放射状分割を同時に行う器具(従来技術1)や、外皮除去は行わず果菜より十分大きな外周円筒面を持ち、芯抜きと分割のみ行う器具(従来技術2)、皮剥き処理後の果菜をスノコ状の平板に載せ、複数枚の刃を一列に配置した部材により「てこの原理」で細かく裁断する器具(従来技術3)などが知られている。
【0003】
また、特許発明としては、部品点数を削減し、組立工数を増加させることなく、製造効率を大幅に高めることを目的とし、果菜類の可食部と不可食部とを分離するカッター刃が下端に形成され前記可食部が内部に挿入される筒体と、筒体の内周面に固着され前記可食部を飾り切りする飾り切り刃が下端に形成された飾り切り刃部と、筒体の外周面に固定され下端に前記不可食部を縦切りする縦切り刃が形成された一対の支持板と、これらの支持板に固着された一対の把手とを備えた果菜類の飾り切り器がある(特許文献1)。
【0004】
また、果皮付きパイナップルを円筒形のパインホールに容易に加工することを目的とし、パイン載置台上に果皮付きパイナップルを載置して、その上から共通の中心垂直線x方向に直立させた円筒状の外筒刃及びその内部の内筒刃を同時に下降させてパイナップルを円筒形にカットするパインホールカット装置において、外筒刃及び内筒刃の刃先をパイン載置台上に載置したパイナップルの上端部よりも上方位置からパイン載置台まで中心垂直線x方向に昇降可能とした昇降部と、外筒刃及び内筒刃を昇降と同時に中心垂直線を中心に回転可能とした回転部と、外筒刃と内筒刃との間に配設したホール上部押え体と内筒刃内に配設した芯上部押え体とを常にパイン載置台上のパイナップルの上端部よりも高い定位置に拘束可能としたパイン上部押え機構とを備えるパインホールカット装置(特許文献2)もある。
【0005】
さらには、そのパインホールから均等な扇状の小カット片を簡単な操作で多量に得ることを目的とし、パインホールを水平に載せるパイン載置台と、前記パイン載置台に載ったパインホールを等間隔で輪切り可能とする複数平行な輪状スライス刃を備えた輪切部、前記パインホールの一方側に配設され、該パインホールの芯孔に差込み可能な外径を有し、中心を前記パインホールの中心線上に配した丸棒状センターガイド体を備え、該センターガイド体の外周に複数の小片スライス刃を放射状且つ等分度に設けた小片カット部と、前記パインホールの他方側に小片カット部と対向して配設され、前記パインホールを前記小片カット部に向けて全てカット可能に押し出し、元の位置まで後退可能としたパイン押出部とから成るパイナップルカット装置(特許文献3)の発明もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開第2010-142938号公報
【特許文献2】特開第2015-033756号公報
【特許文献3】特開第2014-237183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしこれらの従来技術や特許発明には次のような課題があった。従来技術1や特許文献1のように、外皮除去と芯抜きと分割を同時に行う器具や装置、従来技術2のように芯抜きと分割を同時に行う器具や装置の場合、果菜へ複数の刃物が切り込むこととなり膨大な抵抗力を生じる。そのため、果菜へ圧搾力が生じて細胞を壊し遊離水(ドリップ)が出て食味を損ない、保存性も低下する。また刃物の変形を招きやすい。そして、人手による押し当ての場合は個人の筋力や体力への依存度も強くなる。
【0008】
また、果菜は自然物であるため寸法が一定しないが、従来技術1、2や特許文献1、2のような器具や装置において除去部を減らし歩留まりを上げるには複数の寸法の器具や装置の刃部材を準備し、使い分ける必要があり、合理的ではない。大きな果菜に対し小さな器具を用いる場合には、廃棄率の高さが問題となる。とりわけ果実においては、一般論として外皮に近い部分に栄養と甘味・香気が豊富であり、該部分を廃棄側にしてしまう手法は果実の価値を減損するものとなる。
【0009】
また、果菜の形状により、理想平面上に水平に置くことが難しい場合、従来技術3の器具や特許文献3に開示された装置では位置合わせが困難であり、後工程で改めて芯を除去するなどの手戻りを生じることがある。
【0010】
そして、裁断寸法は器具により固定される。例えば、従来技術1において放射状に配設された刃物の枚数や、特許文献3における小片スライス刃や輪状スライス刃が分割数を決定するので、消費者の求めに応じた寸法にしたりすることや、微調整ができない。
【0011】
さらに、従来技術1、2や特許文献1、2のように、圧搾力により器具を「冷間引き抜き」状態、つまり、穴や枠に材料を通し、先端を引っ張ることで断面積を減少させ、穴や枠と同じ断面形状となるように加工された果菜は、器具の通過後に膨満する(自身の弾力で元に戻る)ため、器具に挟まって除去しにくくなる。
【0012】
このような様々な問題から、果菜の品質を低下させないために分割器具や装置を使用せず、包丁などにより手作業で裁断する場合もあるが、当然に、手作業により寸法を揃えるには相応な技能の熟練を要する。従って人材育成および人材枯渇の問題を抱えることとなる。また、加工の手数が増えるほど、果菜は作業者の指先や体温、刃物、俎板に接するため損耗が増え、衛生面でも考慮を要することとなる。
【0013】
本発明はこのような課題を解決するものであり、あらゆる球形ないし円筒状の果菜(自己保持可能な果肉の固さを有するもの)について、果菜の損耗を最小限に抑え、自在な寸法で、強い力を必要とせず、廃棄部分を最小限に抑え、衛生的で、特別な技能を有さなくても裁断を可能とする果菜の分割裁断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した目的を達成するため、本発明に係る果菜の分割裁断装置は、平置きされた略長方体形状のベース筐体部を備える筐体と、分割対象の果菜を支承する果菜ピンを有する果菜ホルダが果菜回転モータの駆動により回転自在に配設された果菜支承部と、前記果菜ホルダの回転軸に対して複数本のスライス刃を直交させて配列した枠部材が、前記枠部材の一側辺に設けられた回動軸により、果菜ホルダに対する果菜の脱着を許容する退避位置と前記スライス刃が果菜支承部に近接して果菜ホルダに支承された果菜を切断可能な切断位置との間を揺動自在に配設された果菜横分割部と、前記果菜ピンを収納可能な径寸法とされた長尺な円筒状の本体の一端縁部に刃部が形成され、他端には前記本体の中心軸周りに複数の把持部が形成された果芯円筒刃と、前記果芯円筒刃の本体をスライド自在に嵌挿させる案内孔が形成されたガイド部が果菜ホルダに対する果菜の脱着を許容する退避位置と前記案内孔を前記果菜ピンに対向させる作業位置との間を揺動自在に、前記ガイド部に接続されたアーム部により前記筐体に配設された芯抜部と、前記果菜回転モータの駆動を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
果菜を果菜ピンに支持した状態で果菜回転モータを連続回転させるとともに、果菜横分割部の枠部材を回動軸で回動させて切断位置へ移動させ、回転している果菜にスライス刃を押し付ける。これにより、果菜への圧搾力を減じ、ひいては果菜や刃物の損耗を抑制しつつ果菜に横分割の切込みを入れる。そして、果芯切断部を作業位置に位置させた状態で、前記把持部を握り、果芯円筒刃を案内孔内で本体の軸中心に回動させながら前記果菜ピンに支承されている果菜に果菜円筒刃の刃部を押し付けるように操作することで、強大な力を加えずに芯抜きを行うことができる。芯抜を行う果菜には既に前記果菜横分割部及び/または果菜縦分割部で切り込みが形成されているので、果菜円筒刃で芯を刳り貫くことで芯周りの実は分割される。
【0016】
また、本発明に係る果菜の分割裁断装置は、平置きされた略長方体形状のベース筐体部と前記ベース筐体部の一端側に設けられた縦置きの略長方体形状のタワー筐体部を備える筐体と、分割対象の果菜を支承する果菜ピンを有する果菜ホルダが果菜回転モータの駆動により回転自在に前記ベース筐体部に配設された果菜支承部と、前記果菜ホルダの回転軸に対してスライス刃を対向させて配置した弓ノコ型のスライス刃保持部材が、縦刃駆動モータの駆動により、果菜ホルダに対する果菜の脱着を許容する退避位置と前記スライス刃が果菜支承部に近接して果菜ホルダに支承された果菜を切断可能な切断位置との間を進退自在に配設された果菜縦分割部と、前記果菜回転モータ並びに前記縦刃駆動モータの駆動を制御する制御部と、前記果菜ピンを収納可能な径寸法とされた長尺な円筒状の本体の一端縁部に刃部が形成され、他端には前記本体の中心軸周りに複数の把持部が形成された果芯円筒刃と、前記果芯円筒刃の本体をスライド自在に嵌挿させる案内孔が形成されたガイド部が果菜ホルダに対する果菜の脱着を許容する退避位置と前記案内孔を前記果菜ピンに対向させる作業位置との間を揺動自在に、前記ガイド部に接続されたアーム部により前記筐体に配設された芯抜部と備え、前記制御部は果菜回転モータを果菜の縦分割数に応じた所定角度で間欠回転するように制御し、前記縦刃駆動モータを果菜回転モータの回転停止中に前記スライス刃が進退駆動するように制御することを特徴とする。
【0017】
果菜を果菜ピンに支持した状態で果菜回転モータを所定角度で間欠回転させながら、前記縦刃駆動モータを果菜回転モータの回転停止中に前記スライス刃が進退駆動するように駆動させることにより、任意の縦分割の切れ込みを入れる。そして、果芯切断部を作業位置に位置させた状態で、前記把持部を握り、果芯円筒刃を案内孔内で本体の軸中心に回動させながら前記果菜ピンに支承されている果菜に果菜円筒刃の刃部を押し付けるように操作することで、強大な力を加えずに芯抜きを行うことができる。芯抜を行う果菜には既に果菜縦分割部で切り込みが形成されているので、果菜円筒刃で芯を刳り貫くことで芯周りの実は分割される。
【0018】
さらに、平置きされた略長方体形状のベース筐体部と前記ベース筐体部の一端側に設けられた縦置きの略長方体形状のタワー筐体部を備える筐体と、分割対象の果菜を支承する果菜ピンを有する果菜ホルダが果菜回転モータの駆動により回転自在に配設された果菜支承部と、前記果菜ホルダの回転軸に対して複数本のスライス刃を直交させて配列した枠部材が、前記枠部材の一側辺に設けられ、前記ベース筐体部の上面の一側方に垂設された回動軸により、果菜ホルダに対する果菜の脱着を許容する退避位置と前記スライス刃が果菜支承部に近接して果菜ホルダに支承された果菜を切断可能な切断位置との間を揺動自在に配設された果菜横分割部と、前記果菜ホルダの回転軸に対してスライス刃を対向させて配置した弓ノコ型のスライス刃保持部材が、縦刃駆動モータの駆動により、果菜ホルダに対する果菜の脱着を許容する退避位置と前記スライス刃が果菜支承部に近接して果菜ホルダに支承された果菜を切断可能な切断位置との間を進退自在に配設された果菜縦分割部と、前記果菜ピンを収納可能な径寸法とされた長尺な円筒状の本体の一端縁部に刃部が形成され、他端には前記本体の中心軸周りに複数の把持部が形成された果芯円筒刃と、前記果芯円筒刃の本体をスライド自在に嵌挿させる案内孔が形成されたガイド部が果菜ホルダに対する果菜の脱着を許容する退避位置と前記案内孔を前記果菜ピンに対向させる作業位置との間を揺動自在に、前記ガイド部に接続されたアーム部により前記筐体に配設された芯抜部と、前記果菜回転モータ並びに前記縦刃駆動モータの駆動を制御する制御部を備え、前記制御部は、果菜回転モータを、前記果菜横分割部の使用時には連続回転するように制御し、前記縦刃駆動モータの駆動時には果菜の縦分割数に応じた所定角度で間欠回転するように制御するとともに前記縦刃駆動モータを果菜回転モータの回転停止中に前記スライス刃が進退駆動するように制御することを特徴とする。
【0019】
果菜を果菜ピンに支持した状態で果菜回転モータを連続回転させるとともに、果菜横分割部の枠部材を回動軸で回動させて切断位置へ移動させ、回転している果菜にスライス刃を押し付ける。これにより、果菜への圧搾力を減じ、ひいては果菜や刃物の損耗を抑制しつつ果菜に横分割の切込みを入れることができ、また、果菜を果菜ピンに支持した状態で果菜回転モータを所定角度で間欠回転させながら、前記縦刃駆動モータを果菜回転モータの回転停止中に前記スライス刃が進退駆動するように駆動させることにより、任意の縦分割の切れ込みを入れることができる。そして、果芯切断部を作業位置に位置させた状態で、前記把持部を握り、果芯円筒刃を案内孔内で本体の軸中心に揺動させながら前記果菜ピンに支承されている果菜に果菜円筒刃の刃部を押し付けるように操作することで、強大な力を加えずに芯抜きを行うことができる。芯抜を行う果菜には既に前記果菜横分割部及び/または果菜縦分割部で切り込みが形成されているので、果菜円筒刃で芯を刳り貫くことで芯周りの実は分割される。
【0020】
さらには、その果菜の分割裁断装置は、果菜ピンに支承された分割対象の果菜を包囲可能な有底円筒状の果菜回収ケースであって、底部には果菜を支承する果菜ピンの基部を位置させる軸穴が形成されており、前記軸穴を通る1本の縦分割ライン上に蝶番部と切断部が形成され、前記蝶番部により横方向に対称に開くように形成された果菜回収ケースを備えることを特徴とする。
【0021】
これにより、前記果菜ピンを軸穴に位置させて分割対象の果菜を包囲するように装着した状態で果芯円筒刃を用いた切断を行うことができ、裁断後の個々の果菜を果菜回収ケース内に回収することができるので、小さく切断された果菜を散逸させず、人手に触れることもなく衛生的に取り出すことが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
上述の様に、本発明の果菜の分割裁断装置によれば、あらゆる球形ないし円筒状の自己保持可能な果肉の固さを有する果菜について、大きな抵抗なく、果菜の損耗を最小限に抑え、自在な寸法で、強い力を必要とせず、廃棄部分を最小限に抑え、衛生的で、特別な技能を有さなくても裁断を可能とすることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態の果菜の分割裁断装置の果菜セット時の状態を示す(A)全体斜視図、(B)平面図、(C)正面図、(D)側面図
図2】本発明の一実施形態の果菜の分割裁断装置の横分断時の状態を示す(A)全体斜視図、(B)平面図、(C)正面図、(D)側面図
図3】本発明の一実施形態の果菜の分割裁断装置の縦分断時の状態を示す(A)全体斜視図、(B)平面図、(C)正面図、(D)側面図
図4】本発明の一実施形態の果菜の分割裁断装置の芯抜き前の状態を示す(A)全体斜視図、(B)平面図、(C)正面図、(D)側面図
図5】本発明の一実施形態の果菜の分割裁断装置の芯抜き中の状態を示す(A)全体斜視図、(B)平面図、(C)正面図、(D)側面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
本実施形態の果菜の分割裁断装置1について、図1乃至図5を用いて説明する。なお、以下では、分割対象となる果実は、天部と底部とを切断し、高さ100~180mm、直径100~180mm程度の樽型で外皮の皮剥きが済んだパイナップル果実Pの「ホール」である場合を想定して説明する。
【0025】
本実施形態の果菜の分割裁断装置1は、テーブル等に平置き可能な略長方体形状のベース筐体部2a、その長手方向一端側に設けられた縦置きの略長方体形状のタワー筐体部2b、タワー筐体部2bからベース筐体部2aの他端側へ庇状に延出させて設けられた略長方体形状の天井筐体部2cとからなる筐体2を備えている。
【0026】
ベース筐体部2aの長手方向他端側における一隅には、果菜支承部160を構成し、パイナップル果実Pを皮剥き可能に支承するための果菜ホルダ161が回転自在に配設されている。
【0027】
本実施形態の果菜ホルダ161は、円筒状に形成されたホルダ本体162の上面中央に、パイナップル果実Pを突き刺す固定針として平面視H字形状に形成された先鋭の剣のような果菜ピン163が配設されている。そして、ホルダ本体162は、ベース筐体部2aの上面へ垂直に突出させた果菜回転軸165の先端部に着脱自在に設けられている。本実施形態においては、果菜回転軸165は、筐体2内に配設された果菜回転モータとしてのステッピングモータ(不図示)の駆動力で回転可能に構成されており、その回転は、少なくとも1回転以上の連続回転、あるいは、果菜の縦分割数に応じた所定角度の間欠回転を行うように制御部(不図示)によって制御されている。つまり、制御部から前記ステッピングモータへの制御指令により、果菜ピン163に支承されているパイナップル果実Pを常に回転させることも、任意の角度で止めることも可能である。
【0028】
なお、果菜ピン163は、芯の径(パイナップル果実Pの大きさによらず、だいたい一定)に合わせた平面視H字形状の先鋭の剣のようなピンとすることにより、皮剥きに十分な果菜の保持力が得られ、パイナップル果実Pの果実も傷めることがない。なお、果菜ピン163は、果菜の特徴に応じて各種果菜へ対応した保持部材(板ピン、丸ピン等)に取り替えることができる。
【0029】
また、分割裁断装置1は、果菜を軸方向で分割するための果菜横分割部180を備えている。本実施形態において、果菜横分割部180は、ストレートの複数本の横スライス刃181を果菜ホルダ161の果菜回転軸165に対して直交させて配列した枠部材182が、枠部材182の一側辺に設けられた揺動軸183により、果菜ホルダ161に対する果菜の脱着を許容する退避位置と、スライス刃181が果菜支承部160に近接して果菜ホルダ161に支承されたパイナップル果実Pを切断可能な切断位置との間を揺動自在に配設されている。本実施形態において、回動軸183は果菜ホルダ161が配設された辺側でタワー筐体部2b近傍に、ベース筐体部2aと天井筐体部2cとの間に軸支されている。
【0030】
枠部材182の下辺には、枠部材182が前記切断位置に揺動した際に、ホルダ本体162と当接する係止凸部184が形成されており、枠部材182に形成されたスライス刃181が、果菜ピン163に支承されているパイナップル果実Pの中心まで完全に入りきらない位置で止まるように、すなわち、芯部を残して横方向の切れ込みが形成されるように揺動が制限されている。また、タワー筐体部2bの果菜ホルダ161の対向面には櫛状の保護部材186が配設されており、非動作時には、櫛歯間に枠部材182の横スライス刃181が格納される安全対策が取られている。
【0031】
そして、本実施形態においては、天井筐体部2c内に突出する枠部材182の揺動軸183の端部に、常(非作動時)には、枠部材182の揺動を制限し、保護部材186の櫛歯間に枠部材182のスライス刃181を格納するように付勢する付勢部材(コイルばね:不図示)が配設されている。
【0032】
また、天井筐体部2c内には、枠部材182が保護部材186から引き出されたかどうかを検知するセンサ(不図示)が配設されており、制御部は、枠部材182が保護部材186から引き出されて揺動していることを前記センサが検知することで、果菜ホルダ161の果菜回転モータ(不図示)としてのステッピングモータを連続駆動させ、果菜支承部160を回転させる。
【0033】
このように構成された果菜横分割部180は、回転しているパイナップル果実Pに枠部材182の横スライス刃181を当てて、一定時間(少なくとも果菜支承部160が1回転以上する間)、保持することにより、包丁の引き切りのような効果で刃先抵抗を減少させつつ全周分の横分割を行うことが可能となる。
【0034】
なお、枠部材182に設ける横スライス刃181の配設間隔を異ならせる複数種の枠部材182やその枠部材182に対応する保護部材186を用意し、果菜の種類やカットサイズに応じて適宜交換することで、横分割の厚みを何段階かに調整することができる。
【0035】
また、分割裁断装置1は、パイナップル果実Pをその軸周りに分割する、つまり、パイナップル果実Pの放射方向の分割を行うための果菜縦分割部200を備えている。本実施形態において、果菜縦分割部200は、、直線の縦スライス刃201を果菜ホルダ161の果菜回転軸165に対して平行かつ対向させて配置した弓ノコ型の縦スライス刃保持部材202を備えている。
【0036】
縦スライス刃保持部材202は、筐体2内に配設された縦刃駆動モータ(不図示)の駆動力をカム(不図示)を介して直動の動力に変換し、果菜ホルダ161に対する果菜の脱着を許容する退避位置と縦スライス刃201が果菜支承部160に近接して果菜ホルダ161に支承されたパイナップル果実Pを切断可能で、かつ、果菜ホルダ161に当接しない切断位置との間を進退自在に、タワー筐体部2bに配設されている。本実施形態においては、縦スライス刃201がタワー筐体部2bの前面と果菜ホルダ161との間を最短で移動するように保護部材186の果菜ホルダ161が配設された側隣に配設されており、常(非動作時)には、保護部材186の櫛歯間に横スライス刃181を格納した枠部材182とタワー筐体部2bの前面との間に縦スライス刃201を格納し、駆動時には、枠部材182に形成された縦開口部187を通って進退するように構成されている。
【0037】
そして、本実施形態においては、作業者の安全を確保するべく、縦刃駆動モータ(不図示)は、ベース筐体部2aの上面に、左右両手による押圧操作を必須とするべく離間させて配設した第1スイッチボタン203と第2スイッチボタン204とを設け、前記制御部は、両ボタン203,204が同時に押されたことを検知して、予め設定したパイナップル果実Pの縦分割数に応じた所定角度で前記果菜回転モータ(ステッピングモータ)を間欠回転するように制御するとともに、前記縦刃駆動モータを前記果菜回転モータの回転停止中に縦スライス刃201が進退駆動するように制御する。
【0038】
このように構成された果菜縦分割部200は、前記ステッピングモータの駆動により、芯周りの分割数に応じた所定の角度(例えば、6分割の場合は60°)で間欠回転するパイナップル果実Pが停止するタイミングで、前記縦刃駆動モータを1回駆動させて縦スライス刃保持部材202を進退させ、支承されているパイナップル果実Pにスライス刃181を押し当てて再び戻すことを繰り返すことで、全周分の縦分割を行うことが可能となる。
【0039】
そして、分割裁断装置1は、果菜支承部160に支承されたパイナップル果実Pから芯部を切断する果芯切断部220を備えている。本実施形態において、果芯切断部220は、果菜ピン163を収納可能な径寸法とされた長尺な円筒状の本体221の一端縁部に刃部222が形成され、他端にはフランジ223に本体221の中心軸を挟んで1対の把持部224、225が形成された円筒刃226と、円筒刃226の本体221を摺動自在に嵌挿させる案内孔227が形成された板状のガイド部228とを備えている。刃部222は、二等辺三角形の等辺部分が周方向に山谷に複数連続形成されたギザギザの鋸目加工が施されている。なお、刃部222からフランジ223までの長さは、フランジ223がガイド部228の上面に接地すると円筒状の本体221の刃部222内に果菜ピン163を含む果菜ホルダ161を位置させることができ、パイナップル果実Pの芯抜きも完了するような長さとする。
【0040】
そして、ガイド部228から延出させて設けた一対のアーム229,230により、天井筐体部2cの上方に退避して果菜ホルダ161に対する果菜の脱着を許容する退避位置と、ベース筐体部2aの上方かつタワー筐体部2bの前方に臨んで案内孔227を果菜ピン163に対向させる作業位置との間を揺動自在に、天井筐体部2cの側面に連接されている。
【0041】
この果菜切断部220は、アーム229,230を揺動させてガイド部228を作業位置に位置させた状態で、両手で1対の把持部224,225のそれぞれを握り、円筒刃226を案内孔227内で本体221を揺動させながら果菜ピン163に支承されているパイナップル果実Pを円筒刃226の刃部222で裁断するように押し下げる。両手を用い、果芯円筒刃226を左回り・右回り・左回り…と左右に揺動させるのみで簡便に芯抜きを行うことができる。芯抜きを行うパイナップル果実Pには既に果菜横分割部180及び/または果菜縦分割部200で横あるいは縦の切り込みが形成され、芯部のみ繋がっている状態であるので、円筒刃226で芯を刳り貫くことで芯周りの実は個々に分割される。
【0042】
さらには、分割裁断装置1は、果菜ピン163に支承されたパイナップル果実Pを包囲可能な有底円筒状の樹脂製の果菜回収ケース240を備えている。果菜回収ケース240は、底部にはパイナップル果実Pを支承する果菜ピン163の基部を位置させる軸穴(不図示)が形成されており、前記軸穴を通る分割ラインに形成された蝶番部241で横方向に対称に開くように形成され、果菜ピン163に着脱自在とされている。
【0043】
果菜ピン163を前記軸穴に位置させ、切り離された分割ラインの対向辺を磁石等で固定することによりパイナップル果実Pを包囲するように装着した状態で円筒刃226を用いた切断を行うことができ、裁断後の個々の果菜を果菜回収ケース240内に回収することができるので、小さく切断された果菜を散逸させず、人手に触れることもなく衛生的に取り出すことが可能となる。
【0044】
なお、本実施形態においては、メインスイッチの他、天井筐体部2cの前面に形成された入力操作部3には前記果菜回転モータの駆動(速度)の調整入力部、果菜の縦分割数の入力部等が適宜配設されており、制御部200は、前記入力部から入力された駆動に必要な設定内容に応じて、それぞれの駆動を制御可能に構成されているものとする。
【0045】
次に、本実施形態の果菜の分割裁断装置の操作(動作)作用について、果菜がパイナップルの場合を例示して説明する。なお、パイナップル果実Pは出願人の発明による皮剥き装置(特許第6837691号)で表皮を剥き、天地も切断された「ホール」の状態とされているものとする。
【0046】
ステップ1:使用者は、皮剥き装置からパイナップル果実Pを取り外し、本装置1の果菜ホルダ161に装着する。(このとき、既に本装置のメインスイッチはON状態とする)。この場合、皮剥き装置と本装置161の果菜ピン163を同一の形状とすることで、パイナップル果実Pの芯に刺した跡を利用することで、強い力を要さず中心を揃えて装着することができる。
【0047】
ステップ2:使用者は果菜横分割部180の退避位置にある枠部材182の開放端を持ち、パイナップル果実Pに向かって揺動軸183で揺動させ、切断位置方向へ引き起こす。この挙動を前記センサが検知し、前記制御部の指令により前記果菜回転モータが駆動し、果菜支承部160が回転を始める。そのまま枠部材182を引き起こし続けると次第にパイナップル果実Pへと枠部材182に設けられた複数本のスライス刃181が切り込んでゆくが、枠部材182は係止凸部184によって揺動の角度が制限されているので、パイナップル果実Pの中心までは届かない。
【0048】
ステップ3:この状態でパイナップル果実Pを支承する果菜支承部160が最低1周回転するまで枠部材182を押さえておき、その後、枠部材182を引き戻す。引き戻しには付勢手段としての前記コイルばねが作用しているので手を離すと枠部材182は保護部材186の櫛歯間にスライス刃181を格納する、退避位置へ戻り、前記センサが検知して果菜支承部160の回転を止める。このとき、パイナップル果実Pは芯を残した横スライス状態となる。
【0049】
ステップ4:続いて、使用者は、ベース筐体部2aの手元にある2カ所に分離配置したスイッチボタン203,204を左右それぞれの手で同時に押す。前記制御部は、前記果菜回転モータ(ステッピングモータ)を予め設定したパイナップル果実Pの縦分割数に応じた所定角度で間欠回転するように制御するとともに、前記縦刃駆動モータを前記果菜回転モータの回転停止中に縦スライス刃201が進退駆動するように制御する。果菜縦分割部200が動作を開始し、パイナップル果実Pに横分割同様に芯を完全に切り落とさない縦の切込みを加える。この機構により、理論上は何分割でも可能であり、人手では難しい2/4/8等分以外も容易に対応することができる。分割数だけ縦の分割を繰り返し、完了したら、前記果菜回転モータと前記縦刃駆動モータは駆動を停止し、果菜縦分割部200は待機位置へ戻る。なお、本動作中に使用者がスイッチボタン203,204のいずれか1方から手を離しても駆動は中止する。ここまでで、パイナップル果実Pは縦横に切れ込みが入り松笠状となっている。
【0050】
ステップ5:続いて、使用者は、パイナップル果実Pの周囲に果菜回収ケース240を装着する。すなわち、果菜回収ケース240を前記蝶番部241で横方向に対称に開き、底部の前記軸穴にパイナップル果実Pを支承する果菜ピン163の基部を位置させ、パイナップル果実Pをケース240内に収めるようにして閉じる。
【0051】
ステップ6:干渉しない退避位置へ引き起こされていた果芯切断部220を作業位置にセットし、案内孔227を果菜ピン163に対向させ、円筒刃226をパイナップル果実Pの頂部に当てて中心を合わせる。
【0052】
ステップ7:そのまま、円筒刃226の本体221のフランジ223に形成された一対の把持部224,225をそれぞれ片手で掴んで回転方向に左右15度程度ずつ揺動させながら案内孔227を押し下げていく。円筒刃226の先端は山谷に鋸目加工してあるので、垂直に強い力で押し下げなくても揺動させることで円筒断面に切り込んでいくことができ、圧搾力を生じないので膨満して取れなくなることはない。
【0053】
ステップ8:フランジ223がガイド部228の上面に接地すると本体221の刃部222が形成されている端部内にパイナップル果実Pの芯とともに果菜ホルダ161が収容された状態となっており、果菜の芯抜きは完了しているので、そのまま把持部224,225を持って円筒刃226を引きあげる。これにより、芯と果肉が分断されるが、果菜回収ケース240により散逸せず、中にとどまる。
【0054】
ステップ9:果菜回収ケース224ごと果菜ピンから引き抜き、果菜回収ケース224の分断されたパイナップル果実Pのチャンク(賽の目切り)をトレー等に放出する。トレーに放出するとパイナップル果実Pは各個ばらけた状態になっているので、その中から廃棄する芯のみを除去し、他を製品とする。
【0055】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
【0056】
本実施形態ではパイナップル果実Pを例示したが、当然他の果菜でも対応可能である。また、ステップ4を省略して輪切りの製品、ステップ2、ステップ3を省略して櫛型の製品とすることもできる。
【0057】
また、果菜縦分割部200により放射状に分割するその分割数(分割片の厚み)は自在である。例えば皮を付けたままのリンゴを30分割程度で実行すれば、タルトなどへ並べる場合の飾り切りに使用可能なスライスとなる。
【0058】
また、スーパーマーケット等でチャンクと称されるブロック状で販売されるカットフルーツの代表ともいえるパイナップルは、「ホール」状態で真空等にパックされ、皮剥きされた表面の乾燥を防ぎ、衛生状態を保った状態で店舗に納品されることが多い。各店舗は、売れ行き状況などに応じて、店舗内バックヤードにおいてパックを開封し、チャンクに切断し、小売り用に包装する作業を行っている。そこで、本実施形態においては、ホールからチャンクを切断するべく、横・縦分割機構と芯抜き機構を一体とした装置としたが、輸送時の果菜の形状および鮮度保持の観点から、ステップ4まで終了した半製品を小売店に輸送し、小売のバックヤード等でステップ5以降の芯抜きを行うような方法も考えられ、芯抜き装置と分離する場合があってもよい。
【0059】
さらに、果菜縦分割部200の枠部材182の操作、果芯切断部220のガイド部228の揺動や円筒刃226の操作は手動式を想定したが、もちろん自動でもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 分割裁断装置
2 筐体
2a ベース筐体部
2b タワー筐体部
2c 天井筐体部
3 入力操作部
160 果菜支承部
161 果菜ホルダ
162 ホルダ本体
163 果菜ピン
165 果菜回転軸
180 果菜横分割部
181 横スライス刃
182 枠部材
183 揺動軸
184 係止凸部
186 保護部材
187 縦開口部
200 果菜縦分割部
201 縦スライス刃
202 縦スライス刃保持部材
203,204 スイッチボタン
220 果芯切断部
221 本体
222 刃部
223 フランジ
224、225把持部
226 円筒刃
227 案内孔
228 ガイド部
229,230 アーム
240 果菜回収ケース
241 蝶番部
P パイナップル果実
図1
図2
図3
図4
図5