(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145003
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】管継手及び配管構造
(51)【国際特許分類】
E03C 1/12 20060101AFI20241004BHJP
E03C 1/122 20060101ALI20241004BHJP
F16L 55/00 20060101ALI20241004BHJP
F16L 41/08 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
E03C1/12 D
E03C1/12 E
E03C1/122 Z
F16L55/00 G
F16L41/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057219
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】木村 英治
(72)【発明者】
【氏名】杉村 明子
【テーマコード(参考)】
2D061
3H019
3H025
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AB10
2D061AC06
2D061AC07
3H019DA03
3H019DA19
3H025BA25
3H025BB05
(57)【要約】
【課題】オフセット部に通気管を設置することや、オフセット部の口径を拡径することなく排水性を好適に確保できる管継手を提供する。
【解決手段】管継手20は、管本体21と、管本体21の側面22bに設けられた横管接続部25と、管本体21の本体軸線O1方向の端部に設けられた縦管接続部26と、を備え、横管接続部25の横軸線O2、及び縦管接続部26の縦軸線O3は、本体軸線O1を含む基準面Sに対して、同じ側に配置されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管本体と、
前記管本体の側面に設けられた横管接続部と、
前記管本体の本体軸線方向の端部に設けられた縦管接続部と、
を備え、
前記横管接続部の横軸線、及び前記縦管接続部の縦軸線は、前記本体軸線を含む基準面に対して、同じ側に配置されている、管継手。
【請求項2】
前記横軸線及び前記縦軸線は、同一平面上に配置されている、請求項1に記載の、管継手。
【請求項3】
前記横軸線を含み、前記本体軸線に平行な断面を、前記断面に直交する方向に見たときに、前記管本体における前記横管接続部に対向する内面と、前記本体軸線とのなす角度が、30°以下である、請求項1又は2に記載の管継手。
【請求項4】
前記横軸線を含み、前記本体軸線に交差する断面において、前記横管接続部における前記本体軸線から離間した側の第1内面は、前記管本体の内面における前記横管接続部に接続される部分の接線上か、前記接線よりも前記本体軸線寄りに配置されている、請求項1又は2に記載の管継手。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の管継手と、
前記横管接続部に接続される横管と、
前記縦管接続部に接続される縦管と、
を備える、配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手及び配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、マンションやホテルの建物排水用として、単管式排水システムが一般的に採用され、単管式継手が用いられている。また、アパート等の低層物件には、伸頂通気方式の排水システムが採用され、一般のDV(Drain Vent:排水・通気)継手が用いられている。これらのシステムは、いずれも立て管から横主管において、通気管を設置しない配管形態が一般的である。
これらのシステムによれば、最上階の伸頂通気管から空気が取り込まれ、立て管から脚部継手、横主管まで空気が流通することにより、排水時の管内の圧力変動を抑制することができる。これにより、立て管からの排水性を確保できる。
【0003】
ここで、例えばマンションのエントランスやホテルのロビーの上方に排水立て管が位置する場合、脚部継手がエントランスやロビーの天井に設置される。このため、脚部継手に接続される横主管において、オフセットが生じる。横主管のオフセット部では排水の流れが阻害されるため、管内の通気障害が生じる可能性がある。このため、オフセット部にバイパス通気管(以下、通気管ということがある)を設置する対策や、オフセット部の口径を拡径する対策を採用して、排水性を確保する必要がある。
【0004】
しかし、マンションやホテル等の現場において、梁貫通部、床貫通部の制約により、オフセット部に通気管を設置できない場合や、オフセット部の口径を大きくできない場合がある。具体的には、例えば、オフセット部に通気管を設置するための床開口部(スリーブ)が設けられていないために、通気管を設置できない場合がある。また、オフセット部の開口寸法に制約があり、オフセット部の口径を拡径できない場合がある。
【0005】
この対策として、例えば、オフセット部において横管と縦管とを旋回継手によって接続し、旋回継手において横管から流入する排水に旋回流を発生させて縦管に導く排水システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この排水システムによれば、オフセット部において排水性を確保することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の旋回継手では、排水性を十分に確保することが難しく、オフセット部を備えた排水システムにおいて排水性を好適に確保することができる技術の実用化が望まれる。
【0008】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、オフセット部に通気管を設置することや、オフセット部の口径を拡径することなく排水性を好適に確保できる管継手及び配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の態様1に係る管継手は、管本体と、前記管本体の側面に設けられた横管接続部と、前記管本体の本体軸線方向の端部に設けられた縦管接続部と、を備え、前記横管接続部の横軸線、及び前記縦管接続部の縦軸線は、前記本体軸線を含む基準面に対して、同じ側に配置されている。
【0010】
この発明では、横軸線及び縦軸線を、基準面に対して同じ側に偏芯させて、横管接続部及び縦管接続部を配置した。よって、例えば、横管接続部から管本体に向けて流れる水を本体軸線に対してずらすことができる。これにより、横管接続部から管本体に流れた水を、管本体の内面に沿って旋回させながら縦管接続部に向けて流すことができる。
【0011】
よって、基準面に対する横軸線及び縦軸線の反対側に、空気の通り道を確保できる。これにより、横管接続部から管本体に導かれた水を、管本体を経て縦管接続部に好適に流すことができる。したがって、オフセット部に通気管を設置することや、オフセット部の口径を大きくすることなく排水性を好適に確保することができる。
加えて、オフセット部に通気管を設置することや、オフセット部の口径を大きくする必要がないため、管継手を設置するパイプスペースを小さくできる。
【0012】
(2)本発明の態様2は、前記横軸線及び前記縦軸線は、同一平面上に配置されている、(1)に記載の管継手であってもよい。
【0013】
この発明では、横軸線及び縦軸線を基準面に沿って同一平面上に配置した。よって、横管接続部及び縦管接続部全体としての、基準面に直交する長さを比較的短くすることができる。これにより、横管接続部や縦管接続部を配置するパイプスペースを小さく抑えることができる。
【0014】
(3)本発明の態様3は、前記横軸線を含み、前記本体軸線に平行な断面を、前記断面に直交する方向に見たときに、前記管本体における前記横管接続部に対向する内面と、前記本体軸線とのなす角度が、30°以下である、(1)又は(2)に記載の管継手であってもよい。
【0015】
ここで、例えば、横管接続部から管本体に導かれた水が、管本体における横管接続部に対向する内面に当たることが考えられる。そこで、管本体における横管接続部に対向する内面と、本体軸線とのなす角度を30°以下に抑えた。よって、横管接続部から管本体に導かれた水が、管本体における横管接続部に対向する内面に当たった場合に、当たった水が縦管接続部の反対側(すなわち、上方)に跳ねかえることを防止できる。これにより、横管接続部から管本体に導かれた水を、管本体の内面に沿って旋回させながら縦管接続部に向けて流し、縦管接続部から一層好適に流出させることができる。
【0016】
(4)本発明の態様4は、前記横軸線を含み、前記本体軸線に交差する断面において、前記横管接続部における前記本体軸線から離間した側の第1内面は、前記管本体の内面における前記横管接続部に接続される部分の接線上か、前記接線よりも前記本体軸線寄りに配置されている、(1)から(3)のいずれか一に記載の管継手であってもよい。
【0017】
この発明では、横管接続部における本体軸線から離間した側の第1内面を、管本体の内面における横管接続部に接続される部分の接線上、あるいは接線よりも本体軸線寄りに配置した。よって、横管接続部から管本体に水を円滑に流すことができる。これにより、横管接続部から管本体に導かれた水を、管本体の内面に沿って一層良好に旋回させながら縦管接続部に向けて流すことができる。
【0018】
(5)本発明の態様5に係る配管構造は、(1)から(4)のいずれか一に記載の管継手と、前記横管接続部に接続される横管と、前記縦管接続部に接続される縦管と、を備える。
【0019】
この発明では、管継手の横管接続部に横管を接続し、縦管接続部に縦管を接続した。よって、管継手を配管構造のオフセット部分に適用できる。これにより、配管構造の横管に導かれた水を縦管に管継手を経て好適に流出させることができる。したがって、オフセット部に通気管を設置することや、オフセット部の口径を拡径することなく排水性を好適に確保できる。
加えて、オフセット部に通気管を設置することや、オフセット部の口径を大きくする必要がなく、管継手を設置するパイプスペースを小さくできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、オフセット部に通気管を設置することや、オフセット部の口径を拡径することなく排水性を好適に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る配管構造を建物に設置した状態を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図3に示す管継手をA1-A1線で破断した断面図である。
【
図5】
図4に示す管継手をA2-A2線で破断した断面図である。
【
図6】第1実施形態の第1変形例に係る管継手の断面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る管継手の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る管継手及び配管構造を、
図1から
図6を参照しながら説明する。
図1に示すように、例えばマンションやホテル等の建物1において、排水用として、本実施形態の配管構造10が設置されている。配管構造10は、排水立て管12と、横主管14と、を備える。排水立て管12は、建物1において、複数階の天井(図示せず)と床版(スラブ)2とを貫通する。排水立て管12の下端12aは、1階の床版3おけるエントランス(あるいは、ロビー)5の上方に位置している。排水立て管12の内部には、一般的に、管内の水を反時計回りに旋回させる羽根(図示せず)が設けられている。排水立て管12の下端12aには、管継手15を介して横主管14が接続されている。
【0023】
横主管14は、横管16と、縦管18と、本実施形態の管継手20と、を備える。横管16は、エントランス(あるいは、ロビー)5の天井7と2階の床版2との間において、天井7及び床版2に沿って横向きに(水勾配を有しつつ水平面に沿って)設置されている。横管16は、管継手20の側面に接続されている。縦管18は、管継手20の下端に接続されている。縦管18は、管継手20を介して横管16に接続されている。縦管18は、排水立て管12に対して横管16の長さ分、水平面に沿ってオフセットされた位置に設置されている。以下、横主管14を「オフセット部14」ということがある。
すなわち、管継手20は、オフセット部14に適用されている。以下、管継手20を
図2から
図6に基づいて詳しく説明する。
【0024】
図2から
図4に示すように、管継手20は、管本体21と、横管接続部25と、縦管接続部26と、を備える。ここで、管本体21の呼び径は、横管接続部25や縦管接続部26に比べて1サイズ以上大きい径を選択することが好ましい。例えば、呼び径が125A、150A、200A、250A、‥である樹脂管が用意され、横管接続部25の呼び径及び縦管接続部26の呼び径が125Aの場合、管本体21の呼び径を150A以上で、250A以下の範囲から選択することが好ましい。管本体21の呼び径を横管接続部25や縦管接続部26の呼び径より大きくすることにより、管本体21において横管接続部25から縦管接続部26への空気の流れを良好に保つことができる。
管本体21、横管接続部25、及び縦管接続部26に使用される呼び径としては、100A、125A、150A、200A、250Aの中から選択することが好ましい。第1実施形態においては、管本体21の呼び径を200A、横管接続部25及び縦管接続部26の呼び径を125Aとして説明する。
【0025】
管本体21は、縦管状に形成されている。管本体21は、第1本体部22と、第2本体部23と、を備える。第1実施形態では、管本体21が、互いに別体に形成された第1本体部22及び第2本体部23を接続して形成された例について説明するが、第1本体部及び第2本体部を一体で形成してもよい。
第1本体部22では、例えば本体軸線O1に直交する断面が、円形に形成されている。第1本体部22は、本体軸線O1に沿って上下方向に延びる筒状に形成されている。第1本体部22の内径は、横管接続部25の内径、縦管接続部26の内径よりもそれぞれ大きい。なお、第1本体部22は、多角形の筒状に形成されていてもよい。第1本体部22の上端22aは、不図示の蓋部材により着脱可能に閉じられる。
【0026】
第1本体部22の側面22bには、横管接続部25が設けられている。横管接続部25では、横軸線O2に直交する断面が、円形に形成されている。横軸線O2は、横管接続部25の中心軸線(軸線)である。横管接続部25は、横軸線O2に沿って、第1本体部22の径方向外側に向かって延びる筒状に形成されている。横管接続部25は、途中で折れ曲がることない、直管状であることが好ましい。なお、横管接続部25は、多角形の筒状に形成されていてもよい。
図4に示すように、横管接続部25は、横管16を挿し込み可能な受口に形成されている。横管接続部25の横軸線O2は、本体軸線O1を含む基準面Sに対して一方側に距離Lだけ偏芯(オフセット)された位置に配置されている。基準面Sは、本体軸線O1を含み、横軸線O2に平行な面である。以下、基準面Sに対する一方側をD1側、基準面Sに対する他方側をD2側ということがある。
【0027】
図4及び
図5に示すように、横軸線O2を含み、本体軸線O1に平行な、第1断面(断面)C1を規定する。
図5は、第1断面C1を、第1断面C1に直交する方向から(
図4における矢印A方向に)見た図である。
図5に示す第1断面C1において、第1本体部22は、第1本体部22の内面22cの一部であって、横管接続部25に対向する対向部分(内面)22dを有する。なお、第1実施形態においては、第1本体部22における対向部分22dは、本体軸線O1に沿って形成されている。
図5に示す第1断面C1において、対向部分22dと本体軸線O1とのなす角度θが、30°以下に形成されることが好ましい。
【0028】
ここで、
図6に示す第1変形例の管継手20Aについて説明する。
管継手20Aは、管継手20の第1本体部22に代えて第1本体部22Aを備える。ここで、横軸線O2を含み、本体軸線O1に交差する第2断面(断面)C2を規定する。
第1本体部22Aでは、第2断面C2上の形状が、第1本体部22の同断面形状に対して、D1側に湾曲状に膨出している。
図6に示す第2断面C2において、第1本体部22Aは、第1本体部22Aの内面22cにおける横管接続部25に接続される接続部分(部分)22eを有する。横管接続部25は、本体軸線O1からD1側に離間した側の第1内面25aを有する。
図6に示す第2断面C2において、横管接続部25における第1内面25aは、第1本体部22Aにおける接続部分22eの接線T上、あるいは接線Tよりも本体軸線O1寄りに配置されている。
【0029】
横管接続部25の第1内面25aは、第2断面C2において、第1本体部22Aの内面22cをD1側に超えないように形成されることが好ましい。
また、横管接続部25における第2内面25bは、基準面S上か、基準面SよりD2側に配置されている。
【0030】
再び、本実施形態の管継手20及び配管構造10について説明する。
図2及び
図4に示すように、横管接続部25には、横管16の挿口16aが横方向から挿し込まれることにより接続されている。なお、横管接続部25を挿口、横管16を受口として、横管接続部25の挿口に横管16の受口を嵌め込むように構成してもよい。
横管16は、横軸線O2を軸にして横方向に延びている。すなわち、横管16の内面16bは、横管接続部25の内面25cに対して平行に延びている。よって、横管接続部25の内面25cは、横管16の内面16bに対して傾斜しないように形成されている。これにより、横管16から横管接続部25に流れる水Waを横管接続部25の内面25cに沿って流すことができる。よって、横管16から横管接続部25に流れる水Waが横管接続部25の内面25cで跳ね返って、水Waの流れが妨げられるおそれがない。
【0031】
図5に示すように、第1本体部22は、下端22fが第2本体部23の上端23aに接続されている。第2本体部23の上端23aは、第1本体部22の下端22fが挿し込み可能に、第1本体部22の下端22fに比べて大径に形成されている。すなわち、第2本体部23の上端23aは、第1本体部22の下端22fが挿し込み可能な受口に形成されている。
なお、第1本体部22の下端を受口、第2本体部23の上端を挿口として、第1本体部22の受口に第2本体部23の挿口を挿し込むように構成してもよい。
【0032】
図3から
図5に示すように、第2本体部23は、上端23aから下方に向けて縮径するようにテーパ状に形成されている。第2本体部23は、断面円形に形成されている。なお、第2本体部23は、多角形に形成されていてもよい。本体軸線O1は、第1本体部22(管本体21)の中心軸線(軸線)である。
縦管接続部26は、縮径された第2本体部23の下端(本体軸線O1方向の端部)に設けられている。縦管接続部26は、縦軸線O3を中心にして断面円形に形成されている。縦軸線O3は、縦管接続部26の中心軸線(軸線)である。縦管接続部26は、縦軸線O3に沿って上下方向に延びる筒状に形成されている。なお、縦管接続部26は、多角形の筒状に形成されていてもよい。
縦管接続部26は、第2本体部23の下端において受口を形成する。縦管接続部26の縦軸線O3は、本体軸線O1を含む基準面Sに対して横軸線O2と同じD1側にLだけ偏芯(オフセット)された位置に配置されている。すなわち、横軸線O2及び縦軸線O3は、本体軸線O1を含む基準面Sに対して、同じ側に配置されている。
【0033】
図1から
図3に示すように、縦管接続部26には、縦管18の上端18aが下方から挿し込まれることにより接続されている。縦管18は、縦軸線O3を軸にして上下方向に延びている。縦管18は、排水立て管12に対して横管16の長さ分だけオフセットされた位置に設置されている。なお、縦管接続部26を挿口、縦管18を受口として、縦管接続部26の挿口に縦管18の受口を嵌め込むように構成してもよい、
【0034】
ここで、
図3に示すように、例えば横軸線O2が縦軸線O3に対して交差する方向(
図3の表示面の左右方向)にずれた場合、横管16が縦管18に対して交差する方向にずれる。また、例えば縦軸線O3が横軸線O2に対して交差する方向(同左右方向)にずれた場合、縦管18が横管16に対して交差する方向にずれる。
この場合、横管16や縦管18が、管本体21の幅方向(同左右方向)において管本体21を超えて配置されるおそれがある。よって、横管16や縦管18を配置するパイプスペースが大きくなる。このため、横管16や縦管18を配置するスペースを確保できないことが考えられる。
そこで、
図4に示すように、横軸線O2及び縦軸線O3を基準面Sに沿って同一平面上に配置した。これにより、横管16や縦管18を配置するパイプスペースを小さく抑えることができる。
【0035】
さらに、
図5に示すように、横軸線O2は、上下方向に延びた縦軸線O3に対して交差(第1実施形態では、直交)するように横方向に延びている。このように、横軸線O2及び縦軸線O3を基準面Sに沿って同一平面上に配置し、横軸線O2を縦軸線O3に対して直交させることにより、横管接続部25から管本体21を経て縦管接続部26に水Waを良好に流すことができる。
【0036】
図2及び
図5に示すように、管本体21における第1本体部22の上端にリブ31が設けられている。また、第2本体部23の上端23aは、第1本体部22の下端22fが挿し込み可能に、第1本体部22の下端22fに比べて大径に形成されている。さらに、第2本体部23は、上端23aから下方に向けて縮径するようにテーパ状に形成されている。
よって、例えば、リブ31、第2本体部23の上端23a、テーパ状の部位等に吊り具(図示せず)を掛けて、管継手20を床版2から吊ることができる。この状態において、横管接続部25に横管16を接合し、縦管接続部26に縦管18を接合してもよい。
【0037】
以上説明したように、第1実施形態の管継手20によれば、
図4及び
図5に示すように、横軸線O2及び縦軸線O3を、本体軸線O1を含む基準面Sに対してD1側に偏芯させて、横管接続部25及び縦管接続部26を配置した。よって、例えば、横管接続部25から管本体21の第1本体部22に向けて流れる水Waを本体軸線O1に対してD1側にずらすことができる。これにより。横管接続部25から第1本体部22に流れた水Waを、第1本体部22の内面22cに沿って旋回させながら縦管接続部26に向けて流すことができる。
【0038】
よって、基準面Sに対する横軸線O2及び縦軸線O3の反対側(すなわち、D2側)に、空気の通り道を確保できる。これにより、横管接続部25から管本体21に導かれた水Waを、管本体21を経て縦管接続部26に好適に流すことができる。したがって、オフセット部14に通気管を設置することや、オフセット部14の口径を大きくすることなく排水性を好適に確保することができる。
【0039】
加えて、オフセット部14に通気管を設置することや、オフセット部14の口径を大きくする必要がないため、管継手20を設置するパイプスペースを小さく抑えることができる。
【0040】
また、横軸線O2及び縦軸線O3を基準面Sに沿って同一平面上に配置した。よって、横管接続部25や縦管接続部26全体としての、基準面Sに直交する長さを比較的短くすることができる。これにより、横管16や縦管18を配置するパイプスペースを小さく抑えることができる。
【0041】
なお、第1実施形態においては、横軸線O2及び縦軸線O3を同一平面上に配置する例について説明するが、同一平面上に対する横軸線O2及び縦軸線O3の多少のずれは許容される。すなわち、横管接続部25から第1本体部22に導かれた水を、第1本体部22及び第2本体部23に沿って旋回させて空気の通り道を確保できる範囲において、同一平面上に対する横軸線O2及び縦軸線O3の多少のずれは許容される。
【0042】
ここで、
図5に示すように、横管接続部25から第1本体部22に導かれた水Waが、第1本体部22における対向部分22dに矢印B1の如く当たることが考えられる。そこで、対向部分22dと本体軸線O1とのなす角度θを30°以下に抑えた。
よって、横管接続部25から第1本体部22に導かれた水Waが対向部分22dに当たった場合に、当たった水Waが縦管接続部26の反対側(すなわち、上方)に跳ねかえることを防止できる。これにより、横管接続部25から第1本体部22に導かれた水Waを、第1本体部22の内面22cに沿って旋回させながら縦管接続部26に向けて流し、縦管接続部26から一層好適に流出させることができる。
【0043】
さらに、
図4及び
図6に示すように、横管接続部25における第1内面25aを、第1本体部22の内面22cにおける接続部分22eの接線T上、あるいは接線Tよりも本体軸線O1寄りに配置した。よって、横管接続部25から第1本体部22に水Waを円滑に流すことができる。これにより、横管接続部25から第1本体部22に導かれた水Waを、第1本体部22の内面22cに沿って一層良好に旋回させながら縦管接続部26に向けて流すことができる。
【0044】
また、第1実施形態の配管構造10によれば、管継手20の横管接続部25に横管16を接続し、縦管接続部26に縦管18を接続した。よって、管継手20をオフセット部14に適用できる。これにより、オフセット部14の横管16に導かれた水を縦管18に管継手20を経て好適に流出させることができる。
したがって、オフセット部14に通気管を設置することや、オフセット部14の口径を大きくすることなく排水性を好適に確保することができる。
【0045】
(第2実施形態)
つぎに、第2実施形態の管継手100を
図7及び
図8に基づいて説明する。なお、第2実施形態の管継手100において第1実施形態の管継手20と同一、類似部材については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
図7及び
図8に示すように、管継手100は、管本体101と、横管接続部25と、縦管接続部26と、を備える。すなわち、管継手100は、第1実施形態の管本体21を管本体101に代えたもので、その他の構成は第1実施形態と概ね同様である。
【0046】
管本体101は、第1本体部102と第2本体部103とが一体に形成されている。第1本体部102は、第1実施形態の第1本体部22に比べてD2側に大きく膨出されている。すなわち、第1本体部102の幅寸法Wが第1実施形態の第1本体部22に比べて大きく形成されている。よって、第1本体部102の内部空間を大きく確保できる。
【0047】
以上説明したように、第2実施形態の管継手100によれば、第1本体部102をD2側に大きく膨出させて第1本体部102の内部空間を大きく確保した。よって、横管接続部25から第1本体部102に流れた水Waを、第1本体部102の内面に沿って旋回させながら縦管接続部26に向けて流すことにより、空気の通り道をD2側に一層好適に確保できる。これにより、横管接続部25から第1本体部102に導かれた水Waを、第1本体部102及び第2本体部103を経て縦管接続部26に一層好適に流すことができる。したがって、オフセット部14に通気管を設置することや、オフセット部14の口径を大きくすることなく排水性を好適に確保することができる。
さらに、第2実施形態の管継手100によれば、第1実施形態の管継手20と同様な作用、効果を得ることができる。
【0048】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
前記実施形態では、管継手20をオフセット部14に適用する例について説明したが、管継手20をオフセット部14以外の配管に適用してもよい。
横軸線O2及び縦軸線O3を、同一平面上に配置しなくてもよい。対向部分22dと本体軸線O1とのなす角度θは、30°を超えてもよい。
【0049】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、本実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 配管構造
14 オフセット部(横主管)
16 横管
18 縦管
20,20A,100 管継手
21,101 管本体
22,102 第1本体部
22b 側面(管本体の側面)
22c 内面(管本体の内面)
22d 対向部分(管本体における横管接続部に対向する内面)
22e 接続部分(管本体の内面における横管接続部に接続される部分)
25 横管接続部
25a 第1内面
26 縦管接続部
C1 第1断面(横軸線を含み、本体軸線に平行な断面)
C2 第2断面(横軸線を含み、本体軸線に交差する断面)
O1 本体軸線
O2 横軸線
O3 縦軸線
S 基準面
T 接線