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特開2024-145006積層成形装置、積層成形システム及び積層成形方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145006
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】積層成形装置、積層成形システム及び積層成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/20 20060101AFI20241004BHJP
   B29C 43/56 20060101ALI20241004BHJP
   B32B 37/10 20060101ALI20241004BHJP
   B29C 63/20 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B29C43/20
B29C43/56
B32B37/10
B29C63/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057222
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】浦野 省二
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】植田 直樹
【テーマコード(参考)】
4F100
4F204
4F211
【Fターム(参考)】
4F100AK01
4F100AK01B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA07
4F100EJ17
4F204AC03
4F204AD08
4F204AD19
4F204AG03
4F204AM28
4F204AR02
4F204FA01
4F204FB01
4F204FB22
4F204FG02
4F204FN11
4F204FN15
4F204FQ01
4F204FQ11
4F211AC03
4F211AD08
4F211AD24
4F211AG01
4F211AG03
4F211AR08
4F211SA08
4F211SC05
4F211SD01
4F211SP03
(57)【要約】
【課題】従来の積層成形装置では、フットプリントが増大する問題があった。
【解決手段】本発明の積層成形装置は、固定盤と、固定盤と対向する位置に設けられる可動盤と、可動盤に接続され、可動盤を固定盤側に押しつける押圧力を発生させる駆動部と、を有し、駆動部は、駆動力を発生するモータと、モータに接続され、モータの回転軸と直交する押圧軸方向に駆動力を変換して押圧力にする直交減速機と、直交減速機に接続され、押圧力を可動盤に伝達する押圧部材と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定盤と、
前記固定盤と対向する位置に設けられる可動盤と、
前記可動盤に接続され、前記可動盤を前記固定盤側に押しつける押圧力を発生させる駆動部と、を有し、
前記駆動部は、
駆動力を発生するモータと、
前記モータに接続され、前記モータの回転軸と直交する押圧軸方向に前記駆動力を変換して前記押圧力にする直交減速機と、
前記直交減速機に接続され、前記押圧力を前記可動盤に伝達する押圧部材と、
を有する積層成形装置。
【請求項2】
前記駆動部を複数有する請求項1に記載の積層成形装置。
【請求項3】
前記可動盤に接続される複数の前記駆動部の接続箇所が、前記可動盤の四方に挿通するタイバの対角線が交差する点を中心とする円の円周上に配置される請求項2に記載の積層成形装置。
【請求項4】
複数の前記駆動部は、
第1のモータと、第1の直交減速機と、第1の押圧部材と、を有する第1の駆動部と、
第2のモータと、第2の直交減速機と、第2の押圧部材と、を有する第2の駆動部と、を有し、
前記第1のモータと前記第2のモータは、互いに平行に配置される請求項2に記載の積層成形装置。
【請求項5】
前記第1の押圧部材と前記第2の押圧部材のそれぞれに含まれる回転軸は互いに反対方向に回転するように設定される請求項4に記載の積層成形装置。
【請求項6】
前記第1のモータが前記第1の直交減速機から延在する第1の延在方向と、前記第2のモータが前記第2の直交減速機から延在する第2の延在方向とは、互いに反対方向に設定される請求項4に記載の積層成形装置。
【請求項7】
前記固定盤の辺のうち対向する辺の一方から他方に向かう積層体の搬送方向に平行な軸を搬送軸とした場合、前記可動盤に接続される複数の前記駆動部の接続箇所が前記搬送軸上に配置される請求項6に記載の積層成形装置。
【請求項8】
前記第1のモータが前記第1の直交減速機から突出する方向に平行な軸を第1の延在軸とし、前記第2のモータが前記第2の直交減速機から突出する方向に平行な軸を第2の延在軸とした場合、前記第1の延在軸及び前記第2の延在軸は前記搬送軸に対して所定の角度を有する請求項7に記載の積層成形装置。
【請求項9】
前記所定の角度は、5度以上、かつ85度以下である請求項8に記載の積層成形装置。
【請求項10】
被積層体に対して積層材を積層して一次成形品を成形するラミネータと、
前記一次成形品の平坦度を高めた二次成形品を成形する平坦化プレスと、を有し、
前記ラミネータと前記平坦化プレスは、それぞれ、
固定盤と、
前記固定盤と対向する位置に設けられる可動盤と、
前記可動盤に接続され、前記可動盤を前記固定盤側に押しつける押圧力を発生させる駆動部と、を有し、
前記駆動部は、
駆動力を発生するモータと、
前記モータに接続され、前記モータの回転軸と直交する押圧軸方向に前記駆動力を変換して前記押圧力にする直交減速機と、
前記直交減速機に接続され、前記押圧力を前記可動盤に伝達する押圧部材と、を有し、
前記平坦化プレスの前記被積層体の搬送方向の幅は、前記ラミネータの前記被積層体の搬送方向の幅よりも小さく設定される積層成形システム。
【請求項11】
前記平坦化プレスは、
前記二次成形品を成形する第1の平坦化プレスと、
前記二次成形品の平坦度をさらに高めた三次成形品を成形する第2の平坦化プレスと、を有し、
前記ラミネータと前記第1の平坦化プレスとの装置間距離が、前記第1の平坦化プレスと前記第2の平坦化プレスとの装置間距離よりも小さく設定される請求項10に記載の積層成形システム。
【請求項12】
前記ラミネータにおいて前記一次成形品に対する第1の加圧中心と、
前記第1の平坦化プレスにおいて前記二次成形品に対する第2の加圧中心と、
前記第2の平坦化プレスにおいて前記三次成形品に対する第3の加圧中心と、が均等な距離で配置される請求項11に記載の積層成形システム。
【請求項13】
固定盤と、前記固定盤と対向する位置に設けられる可動盤と、前記可動盤に接続され、前記可動盤を前記固定盤側に押しつける押圧力を発生させる駆動部と、をそれぞれ有するラミネータ、第1の平坦化プレス及び第2の平坦化プレスと、
被積層体をキャリアフィルムに載せて間欠的に送り出すフィルム巻出し機と、を有する積層成形システムにおける積層成形方法であって、
前記ラミネータ、前記第1の平坦化プレス及び前記第2の平坦化プレスの前記駆動部に、それぞれ、駆動力を発生するモータと、前記モータに接続され、前記モータの回転軸と直交する押圧軸方向に前記駆動力を変換して前記押圧力にする直交減速機と、前記直交減速機に接続され、前記押圧力を前記可動盤に伝達する押圧部材と、を設け、
前記ラミネータ、前記第1の平坦化プレス及び前記第2の平坦化プレスをそれぞれが非均等間隔となるように配置し、
フィルム巻出し機による前記被積層体の送り出し間隔を一定とし、
前記ラミネータにおいて、前記被積層体に対して積層材を積層して一次成形品を成形し、
前記第1の平坦化プレスにおいて、前記一次成形品の平坦度を高めた二次成形品を成形し、
前記第2の平坦化プレスにおいて、前記二次成形品の平坦度をさらに高めた三次成形品を成形する
積層成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、被積層体に積層材を積層した積層体に押圧力を加えて成形品を成形する積層成形装置、積層成形システム及び積層成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被積層体に対して押圧力を加えて成形品を成形する押圧装置の1つに、積層成形装置がある。この積層成形装置は、表面に凹凸を有する基板材料に当該凹凸を埋めるフィルム材を積層する積層成形を行う。このような積層成形装置の一例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の積層成形装置は、積層材と被積層材とを加熱および加圧することにより中間積層品を積層するラミネータと、該ラミネータで積層された中間積層品を所定の温度で加圧してその表面を平坦に成形する平坦化プレスと、前記中間積層品をラミネータから平坦化プレスに搬送する搬送手段とを備えた積層成形装置であって、前記平坦化プレスが、相対向して配置され互いの対向面に平滑な加圧面を有する固定盤および可動盤と、固定盤に対して可動盤を近接・遠退可能に移動させて前記ラミネータで積層された中間積層品を加圧させる圧締手段と、固定盤に対して可動盤をその対向面と直交する方向に直線移動させるよう案内する直動手段とを備えており、該直動手段が、可動盤を直線移動させる方向に沿って延在するよう配設された複数のボールスプライン軸と、可動盤の角隅部に設けられ前記各ボールスプライン軸にそれぞれ挿通されるボールスプライン筒と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-15589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、積層成形装置において、押圧力の発生源を油圧からモータに変更する提案が成されている。しかしながら、モータにより押圧力を発生させることで加圧板の位置制御の精度を向上させることが出来るものの、モータの配置高さと配置面積を両立させることが難しい問題がある。つまり、押圧力の発生源としてモータを利用した場合、積層成形装置のフットプリントが増大する問題が生じることがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、押圧力の発生源としてモータを利用した積層成形装置のフットプリントを抑制することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態にかかる積層成形装置は、固定盤と、前記固定盤と対向する位置に設けられる可動盤と、前記可動盤に接続され、前記可動盤を前記固定盤側に押しつける押圧力を発生させる駆動部と、を有し、前記駆動部は、駆動力を発生するモータと、前記モータに接続され、前記モータの回転軸と直交する押圧軸方向に前記駆動力を変換して前記押圧力にする直交減速機と、前記直交減速機に接続され、前記押圧力を前記可動盤に伝達する押圧部材と、を有する。
【0008】
一実施の形態にかかる積層成形システムは、被積層体に対して積層材を積層して一次成形品を成形するラミネータと、前記一次成形品の平坦度を高めた二次成形品を成形する平坦化プレスと、を有し、前記平坦化プレスの前記被積層体の搬送方向の幅は、前記ラミネータの前記被積層体の搬送方向の幅よりも小さく設定される。
【0009】
一実施の形態にかかる積層成形方法は、被積層体に対して積層材を積層して一次成形品を成形するラミネータと、前記一次成形品の平坦度を高めた二次成形品を成形する第1の平坦化プレスと、前記二次成形品の平坦度をさらに高めた三次成形品を成形する第2の平坦化プレスと、をそれぞれが非均等間隔となるように配置し、前記被積層体をキャリアフィルムに載せて間欠的に送り出すフィルム巻出し機の送り間隔を一定とする。
【0010】
一実施の形態にかかる積層成形装置は、第1のモータの延在方向と第2のモータの延在方向とを互いに反対方向に設定することで、筐体のフットプリントを小さくする
【発明の効果】
【0011】
一実施の形態にかかる積層成形装置によれば、押圧力の発生源としてモータを利用した積層成形装置のフットプリントを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1にかかる積層成形装置の概略図である。
図2】実施の形態1にかかる積層成形装置の下盤駆動部の上面図である。
図3】実施の形態1にかかる積層成形装置を含む積層成形システムの構成図である。
図4】実施の形態2にかかる積層成形装置の下盤駆動部の第1の例の上面図である。
図5】実施の形態2にかかる積層成形装置の下盤駆動部の第2の例の上面図である。
図6】実施の形態2にかかる積層成形装置の下盤駆動部の第3の例の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0014】
実施の形態1
図1に実施の形態1にかかる積層成形装置1の概略図を示す。図1に示す積層成形装置1は、上下方向に対抗する2つの加圧板のうち下側に配される加圧板を可動させて、下側の加圧板を上側の加圧板に押しつけるように押圧力を印加することで成形品を成形する例である。なお、積層成形装置1では、下側の加圧板を固定し、上側の加圧板を可動させることも出来る。
【0015】
図1に示すように、実施の形態1にかかる積層成形装置1は、ベース盤10、タイバ11、固定盤12、可動盤13及び下盤駆動部を有する。積層成形装置1は、ベース盤10の四隅にタイバ11を設ける。そして、タイバ11によりベース盤10と固定盤12とを連結する。また、可動盤13の四隅にはタイバ11が挿通される。可動盤13は、タイバ11に沿って固定盤12に対して近接・離間するように設けられる。また、図1に示す例では、固定盤12には、断熱板21を介して上側熱板23が取り付けられ、可動盤13には、断熱板22を介して下側熱板24が取り付けられる例を示した。上側熱板23及び上側熱板23は、取り替え可能なものであり、被積層体に加圧力を伝達する加圧体となるものである。なお、図1に示す例では、加圧体として熱板を示したが、温度調整機能を持たない加圧板であってもよい。
【0016】
可動盤13に可動盤13の下部には、下盤駆動部が設けられる。下盤駆動部は、可動盤13を昇降させる。また、下盤駆動部は、可動盤13を固定盤12側に押し上げる際の押圧力の調整機能を有するものとする。また、図1に示した下盤駆動部は、可動盤13の異なる2点に対して押圧力を印加する。
【0017】
下盤駆動部は、駆動力を発生するモータと、モータに接続され、モータの回転軸と直交する押圧軸方向に駆動力を変換して押圧力にする直交減速機と、直交減速機に接続され、押圧力を可動盤に伝達する押圧部材と、を有する。このように直交減速機によりモータで生成した駆動力をモータの回転軸方向とは直交する押圧軸方向の駆動力に変換することで、モータの配置自由度を高めて積層成形装置のフットプリントを削減することが可能になる。なお、下盤駆動部は、可動盤13を昇降させるための動力源となるモータは、1つであってもよく、モータの数は限定されないが、以下で説明では、2つのモータを有する下盤駆動部について説明する。
【0018】
下盤駆動部は、モータ141、モータ142(不図示)、直交減速機151、152、ボールネジ軸161、162、ボールネジナット171、172、押圧力分散板181、182を有する。ここで、モータ141、直交減速機151、ボールネジ軸161、ボールネジナット171、押圧力分散板181の第1の組と、モータ142、直交減速機152、ボールネジ軸162、ボールネジナット172、押圧力分散板182の第2の組とは、同じ構成であるため、第1の組を例に下盤駆動部の構成について説明する。下盤駆動部では、モータ141の回転を直交減速機151によりモータ141の回転軸と直交する第1の押圧軸方向に変換する。ボールネジ軸161は、直交減速機151により変換された回転力により回転する。そして、ボールネジ軸161が回転することでボールネジナット171を昇降させる。ボールネジナット171の可動盤13側の端部には、押圧力分散板181が設けられている。押圧力分散板181は、ボールネジナット171から可動盤13に向かって徐々に面積が大きくなるように複数枚の板が重ねられるような構成とした。このように、多段で面積を増やすことで、ボールネジナット171から伝達される押圧力が可動盤13に分散され、可動盤13によって被積層体に印加される押圧力が被積層体の面方向において均等化される。また、ボールネジ軸161、ボールネジナット171、押圧力分散板181は、組み合わされて1つの押圧部材を構成する。この押圧部材は、押圧軸に平行な方向でモータで発生された駆動力に基づく押圧力を可動盤13に伝達する。
【0019】
そして、実施の形態1にかかる積層成形装置1では、モータ141、142の配置方法に特徴の1つを有する。そこで、以下で、積層成形装置1におけるモータ141、142の配置方法について詳細に説明する。
【0020】
図2に実施の形態1にかかる積層成形装置の下盤駆動部の上面図を示す。図2では、固定盤12からベース盤10に向かう方向から下盤駆動部を見たときの下盤駆動部の構成要素の配置を模式的に示した。また、図2では、図面右側から図面左側に向かって被積層体が搬送されるものとし、被積層体の搬送方向に平行な軸を搬送軸TXとして示した。図2では、図面下側を積層成形装置1の正面側、図面上側を積層成形装置1の背面方向とした。さらに、図2では、積層成形装置1を上面視した場合の下側熱板24と押圧力分散板181、182を破線で示した。
【0021】
図2に示すように、実施の形態1にかかる積層成形装置1では、下側熱板24の搬送方向と直交する方向の中心軸に沿った異なる2点を加圧点とするようにボールネジ軸161、162が配置される。そして、ボールネジ軸161、162に対応する位置に、押圧力分散板181、182が配置される。また、搬送元側に配置されるボールネジ軸161が接続される直交減速機151は、ボールネジ軸161を含む領域から積層成形装置1の前面側に突出するように配置される。そして、モータ141は、直交減速機151に接続される。モータ141は、直交減速機151から搬送方向に延在するように配置される。モータ141の延在方向を示す延在軸を図2では、延在軸X1として示したまた、搬送先側に配置されるボールネジ軸162が接続される直交減速機152は、ボールネジ軸162を含む領域から積層成形装置1の背面側に突出するように配置される。そして、モータ142は、直交減速機152に接続される。モータ142は、直交減速機151から搬送方向にとは逆な方向に延在するように配置される。モータ142の延在方向を示す延在軸を図2では、延在軸X2として示したまた。そして、モータ142の延在方向は、モータ141の延在方向とは反対方向に設定される。また、モータ141の延在軸X1とモータ142の延在軸X2は、搬送軸TXに平行に設定される。
【0022】
また、図2では、ボールネジ軸161、162の回転方向を示した。図2に示すように、モータを互い違いな方向に配置した場合、ボールネジ軸161、162の回転方向が逆になる。これにより、装置にかかるモーメントを打ち消す効果を得ることができる。このように装置にかかるモーメントを小さくすることで、装置にかかる負荷を低減して、装置の耐久性の向上、装置を構成する部品の簡素化を実現することができる。さらに、モータ141、142を互い違い配置とすることで、積層成形装置1の前面、及び、背面から直接モータ141、142にアクセスしやすくなり、メンテナンス性を向上させることができる。
【0023】
また、図2に示すように、可動盤13に接続される複数の駆動部の接続箇所は、可動盤13の四方に挿通するタイバの対角線が交差する点を中心とする円の円周上に配置されることが好ましい。ここで、可動盤13と駆動部の接続箇所は、一例としては、ボールネジ軸161、162の回転中心の位置で特定することが考えられる。また、例えば、可動盤に接続される複数の駆動部の接続箇所は、搬送軸TX上に配置されてもよい。可動盤13と下盤駆動部との接続をこのような関係に設定することで、可動盤13に伝達される押圧力の駆動力の均等性を高めることができる。
【0024】
上記説明より、実施の形態1にかかる積層成形装置1では、可動盤13の異なる2点に押圧力を印加するボールネジナット171、172が直交減速機151、152に接続され、当該直交減速機151、152に接続されるモータ141、142がベース盤10に沿って横方向に配置される。そして、このモータ141、142を延在方向が反対方向となるように配置する。これにより、実施の形態1にかかる積層成形装置1では、同一の延在方向にモータ141、142を配置する場合に比べて搬送方向の積層成形装置1の幅を小さくすることができる。つまり、実施の形態1にかかる積層成形装置1では、フットプリントを削減することができる。
【0025】
ここで、フットプリントの削減効果を図3を参照して説明する。図3は、実施の形態1にかかる積層成形装置1を含む積層成形システムの構成図である。図3では、図面上方に実施の形態1にかかる積層成形装置1を含む実施の形態1にかかる積層成形システムを示し、図面下方に実施の形態1にかかる積層成形装置1を含まない比較例にかかる積層成形システムを示した。
【0026】
図3に示す実施の形態1にかかる積層成形システムは、フィルム巻出し機101、ラミネータ102、第1の平坦化プレス(例えば、平坦化プレス103)、第2の平坦化プレス(例えば、平坦化プレス104)、フィルム巻取り機105を有する。フィルム巻出し機101は、被積層体となる搬送体をキャリアフィルムに載せて送り出す。ラミネータ102は、減圧されたチャンバにおいて被積層体に対して積層材を積層して一次成形品を成形する。平坦化プレス103は、一次成形品の積層体の積層面の平坦度を高めて二次成形品を成形する。平坦化プレス104は、二次成形品の前記積層体の積層面の平坦度を高めて三次成形品を成形する。フィルム巻取り機105は、キャリアフィルムを巻き取ることで三次成形品を平坦化プレス104から搬出する。すなわち、本開示において、積層成形装置1は、実施の形態1にかかる積層成形システムにおいて、ラミネータ102、平坦化プレス103、104のいずれにも含まれ得る。
【0027】
そして、実施の形態1にかかる積層成形システムでは、実施の形態1にかかる積層成形装置1を平坦化プレス103、104に適用する。実施の形態1にかかる積層成形システムでは、ラミネータ102として加圧板を真空チャンバ内に納めた真空積層装置を適用する。これにより、平坦化プレス103及び平坦化プレス104の被積層体の搬送方向の幅は、ラミネータ102の被積層体の搬送方向の幅よりも小さくなる。
【0028】
ここで、積層成形システムでは、図3に示すように、被積層体となる搬送体の搬送と加圧処理との効率を高めるため、ラミネータ102、平坦化プレス103、104において被積層体を加圧する際の中心点である加圧中心の間隔が、いずれも距離W1となるように各装置を配置する。つまり、実施の形態1にかかる積層成形システムでは、ラミネータ102において一次成形品に対する第1の加圧中心と、平坦化プレス103において二次成形品に対する第2の加圧中心と、平坦化プレス103において三次成形品に対する第3の加圧中心と、が均等な距離で配置される。このような配置とすることで、実施の形態1にかかる積層成形システムでは、ラミネータ102との平坦化プレス103との装置間距離が、平坦化プレス103と平坦化プレス104との装置間距離よりも小さく設定されることになる。具体的には、ラミネータ102と平坦化プレス103の隙間距離Wg1と、平坦化プレス103と平坦化プレス104との隙間距離Wg2は、Wg1<Wg2の関係となる。
【0029】
一方、比較例にかかる積層成形システムでは、平坦化プレス203及び平坦化プレス204の幅はラミネータ202と同じである。これにより、比較例にかかる積層成形システムでは、ラミネータ202と平坦化プレス203の隙間距離Wg3と、平坦化プレス203と平坦化プレス204との隙間距離Wg4が等しい関係となる。そして、比較例にかかる積層成形システムでは、平坦化プレス203、204の幅が大きくなり、システム全体の距離が実施の形態1にかかる積層成形システムよりも、Wd分だけ長くなる。
【0030】
このように、実施の形態1にかかる積層成形装置1の下盤駆動部を適用することで、積層成形システムにおいて各装置となる幅を必要最低限に抑制することが可能になり、システムとしてのフットプリントを削減することもできる。
【0031】
また、実施の形態1にかかる積層成形システムは、固定盤12と、固定盤12と対向する位置に設けられる可動盤13と、可動盤13に接続され、可動盤13を固定盤12側に押しつける押圧力を発生させる駆動部と、をラミネータ102、平坦化プレス103及び平坦化プレス104がそれぞれ有し、さらに、被積層体をキャリアフィルムに載せて間欠的に送り出すフィルム巻出し機101を有する。そして、積層成形システムにおける積層成形方法は、ラミネータ102、平坦化プレス103及び平坦化プレス104のそれぞれの駆動部に、駆動力を発生するモータと、モータに接続され、モータの回転軸と直交する押圧軸方向に駆動力を変換して押圧力にする直交減速機と、直交減速機に接続され、前記押圧力を前記可動盤に伝達する押圧部材と、を設ける。そして、積層成形システムの積層成形方法では、ラミネータ102、平坦化プレス103及び平坦化プレス104をそれぞれが非均等間隔となるように配置し、フィルム巻出し機による被積層体の送り出し間隔を一定とする。また、積層成形システムの積層成形方法では、ラミネータ102において、被積層体に対して積層材を積層して一次成形品を成形し、平坦化プレス103において、一次成形品の平坦度を高めた二次成形品を成形し、平坦化プレス104において、二次成形品の平坦度をさらに高めた三次成形品を成形する。
【0032】
実施の形態2
実施の形態2では、実施の形態1にかかる積層成形装置1の別の形態を説明する。なお、実施の形態2の説明では、実施の形態1で説明した構成要素と同じ構成要素については、実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0033】
図4に実施の形態2にかかる積層成形装置の下盤駆動部の第1の例(例えば、積層成形装置2)の上面図を示す。図4に示す第1の例では、固定盤12(または可動盤13)の辺のうち対向する辺の一方から他方に向かう積層体の搬送方向に平行な軸を搬送軸TXとし、搬送軸TXに直交する軸を直交軸OXとし、モータ141の延在軸X1とモータ142の延在軸X2とを、この直交軸OXに平行になるようにモータ141、142を配置する。
【0034】
図4に示すように、積層成形装置2において、搬送方向で対向するタイバ11の間隔にモータ141及び直交減速機152の組み合わせとモータ141及び直交減速機152の組み合わせを配置可能であれば、直交軸OXに平行に延在軸X1、X2を配置することも可能である。なお、第1の例においてもモータ141とモータ142は、互いに反対方向に向かって延在するように配置される。
【0035】
図5に実施の形態2にかかる積層成形装置の下盤駆動部の第2の例(例えば、積層成形装置3)の上面図を示す。図5に示す第2の例では、固定盤12(または可動盤13)の辺のうち対向する辺の一方から他方に向かう積層体の搬送方向に平行な軸を搬送軸TXとし、モータ141の延在軸X1及びモータ142延在軸X2が、搬送軸TXに対して所定の角度θを有するようにモータ141、142を配置する。
【0036】
図5に示す第2の例のようにモータ141、142の延在軸を搬送軸TXに対して所定の角度θを有するようにモータを配置することで、実施の形態1よりも搬送方向で対向するタイバ11の間の距離をさらに狭くすることが可能になる。また、モータ141、142の延在軸を搬送軸TXに対して所定の角度θを有するようにモータを配置することで、モータとモータに隣接する直交減速機との間の距離が広くなるためメンテナンス性を向上させることが可能になる。
【0037】
図6に実施の形態2にかかる積層成形装置の下盤駆動部の第3の例(例えば、積層成形装置4)の上面図を示す。図6に示す第3の例は、図5に示した第2の例のモータ141、142を延在方向にさらに長くしたモータ143、144を有する。モータ141、142の延在軸を搬送軸TXに対して所定の角度θを有するようにモータを配置することで、図6に示すようにモータの長さを延在軸方向に伸ばしてもモータがタイバに干渉することを防止しながら、搬送方向で対向するタイバ11の間の距離を狭くすることが可能になる。なお、モータとタイバの干渉を防止するためには、所定の角度θは、5度以上、かつ85度以下であることが好ましい。また、モータを延在軸に長くすることでより回転トルクの高いモータを採用することができる。
【0038】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1~4 積層成形装置
10 ベース盤
11 タイバ
12 固定盤
13 可動盤
141 モータ
142 モータ
151 直交減速機
152 直交減速機
161 ボールネジ軸
162 ボールネジ軸
171 ボールネジナット
172 ボールネジナット
181 押圧力分散板
182 押圧力分散板
21 断熱板
22 断熱板
23 上側熱板
24 下側熱板
TX 搬送軸
OX 直交軸
X1 第1の延在軸
X2 第2の延在軸
101 フィルム巻出し機
102 ラミネータ
103 平坦化プレス
104 平坦化プレス
105 フィルム巻取り機
図1
図2
図3
図4
図5
図6