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特開2024-145014運用計画生成装置、運用計画生成方法、プログラム、および運用計画生成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145014
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】運用計画生成装置、運用計画生成方法、プログラム、および運用計画生成システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20241004BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/38 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057232
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】東 大智
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066AA02
5G066AA03
5G066AE01
5G066AE03
5G066AE09
5G066HA03
5G066HB01
5G066HB04
(57)【要約】
【課題】ノンファーム型で接続された電源を含んだ運用計画を作成することができる運用計画生成装置を提供すること。
【解決手段】複数のルール各々が適用された場合について、送電線にノンファーム型で接続される第1の電源の出力パターンを決定するノンファーム出力決定部と、複数のルール各々が適用された場合について、ノンファーム出力決定部が決定した第1の電源の出力パターンを用いて、送電線にノンファーム型以外で接続される第2の電源の出力を決定するEDC処理部と、複数のルール各々が適用された場合について、ノンファーム出力決定部が決定した出力パターンのコストと、EDC処理部が決定した第2の電源の出力のコストとの合計を算出し、該合計に基づき、複数のルール各々が適用された場合の中から1つの場合を選択し、運用計画とする出力パターン選択部とを備える、運用計画生成装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のルール各々が適用された場合について、送電線にノンファーム型で接続される第1の電源の出力パターンを決定するノンファーム出力決定部と、
前記複数のルール各々が適用された場合について、前記ノンファーム出力決定部が決定した前記第1の電源の前記出力パターンを用いて、前記送電線にノンファーム型以外で接続される第2の電源の出力を決定するEDC(Economic load Dispatching Control)処理部と、
前記複数のルール各々が適用された場合について、前記ノンファーム出力決定部が決定した前記出力パターンのコストと、前記EDC処理部が決定した前記第2の電源の前記出力のコストとの合計を算出し、該合計に基づき、前記複数のルール各々が適用された場合の中から1つの場合を選択し、前記1つの場合に対応する前記第1の電源および前記第2の電源の出力を、前記第1の電源および前記第2の電源の運用計画とする出力パターン選択部と
を備える、運用計画生成装置。
【請求項2】
前記送電線の潮流値を取得する潮流値取得部を備え、
前記ノンファーム出力決定部は、前記第1の電源の出力を決定する際に、前記潮流値取得部が取得した前記潮流値を用いる、
請求項1に記載の運用計画生成装置。
【請求項3】
前記第1の電源の発電可能な電力の予測値を取得する発電可能電力値取得部を備え、
前記ノンファーム出力決定部は、前記第1の電源の出力を決定する際に、前記発電可能電力値取得部が取得した前記予測値を用いる、
請求項1または請求項2に記載の運用計画生成装置。
【請求項4】
複数のルール各々が適用された場合について、送電線にノンファーム型で接続される第1の電源の出力パターンを決定する第1のステップと、
前記複数のルール各々が適用された場合について、前記第1のステップにおいて決定した前記第1の電源の前記出力パターンを用いて、前記送電線にノンファーム型以外で接続される第2の電源の出力を決定する第2のステップと、
前記複数のルール各々が適用された場合について、前記第1のステップにおいて決定した前記出力パターンのコストと、前記第2のステップにおいて決定した前記第2の電源の前記出力のコストとの合計を算出し、該合計に基づき、前記複数のルール各々が適用された場合の中から1つの場合を選択し、前記1つの場合に対応する前記第1の電源および前記第2の電源の出力を、前記第1の電源および前記第2の電源の運用計画とする第3のステップと
を有する、運用計画生成方法。
【請求項5】
コンピュータを、
複数のルール各々が適用された場合について、送電線にノンファーム型で接続される第1の電源の出力パターンを決定するノンファーム出力決定部、
前記複数のルール各々が適用された場合について、前記ノンファーム出力決定部が決定した前記第1の電源の前記出力パターンを用いて、前記送電線にノンファーム型以外で接続される第2の電源の出力を決定するEDC(Economic load Dispatching Control)処理部、
前記複数のルール各々が適用された場合について、前記ノンファーム出力決定部が決定した前記出力パターンのコストと、前記EDC処理部が決定した前記第2の電源の前記出力のコストとの合計を算出し、該合計に基づき、前記複数のルール各々が適用された場合の中から1つの場合を選択し、前記1つの場合に対応する前記第1の電源および前記第2の電源の出力を、前記第1の電源および前記第2の電源の運用計画とする出力パターン選択部
として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
送電線にノンファーム型で接続される第1の電源の発電可能な電力の予測値を算出する発電可能電力予測部と、
複数のルール各々が適用された場合について、前記発電可能電力予測部が算出した予測値を用いて、前記第1の電源の出力パターンを決定するノンファーム出力決定部と、
前記複数のルール各々が適用された場合について、前記ノンファーム出力決定部が決定した前記第1の電源の前記出力パターンを用いて、前記送電線にノンファーム型以外で接続される第2の電源の出力を決定するEDC(Economic load Dispatching Control)処理部と、
前記複数のルール各々が適用された場合について、前記ノンファーム出力決定部が決定した前記出力パターンのコストと、前記EDC処理部が決定した前記第2の電源の前記出力のコストとの合計を算出し、該合計に基づき、前記複数のルール各々が適用された場合の中から1つの場合を選択し、前記1つの場合に対応する前記第1の電源および前記第2の電源の出力を、前記第1の電源および前記第2の電源の運用計画とする出力パターン選択部と
を備える運用計画生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運用計画生成装置、運用計画生成方法、プログラム、および運用計画生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力系統では再生可能エネルギーの大量導入が進んでおり、再生可能エネルギーによる発電の出力値を用いたEDC(Economic load Dispatching Control;経済負荷配分制御)アルゴリズムも開発されている。一方、再生可能エネルギーの普及に伴い、送電線の空き容量がなく、再生可能エネルギーを用いた電源を系統に接続することができないという問題も発生している。この問題の解決策として送電線の容量増強が考えられるが、設備の増強には多額の費用と時間が必要である。多額の費用と時間を要さずに、再生可能エネルギーを用いた電源を系統に接続する方法として、送電線の空き容量を利用し、空き容量の範囲内で電力を供給するノンファーム型の接続が検討されている。
【0003】
また、特許文献1では、自然エネルギー電源の導入された電力系統を対象に作成された電力需給計画の評価を行う電力需給計画装置が開示されている。
また、特許文献2では、太陽光発電、あるいは風力発電などの再生可能エネルギーは変動が発生するが、そのような電源の導入を拡大しても、系統周波数を許容範囲に維持する負荷周波数制御装置が開示されている。
また、特許文献3では、上位の制御装置による制御量の指示タイミングと、各電力系統における制御タイミングとが異なる場合であっても、電力需給調整のための電力調達を、迅速かつ精度よく行うことができる電力需給制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-034444号公報
【特許文献2】特開2022-066022号公報
【特許文献3】特開2021-097424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のEDCアルゴリズムにおいては、ノンファーム型で接続された電源を含んだ運用計画の作成に対応していないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ノンファーム型で接続された電源を含んだ運用計画を作成することができる運用計画生成装置、運用計画生成方法、プログラム、および運用計画生成システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様は、複数のルール各々が適用された場合について、送電線にノンファーム型で接続される第1の電源の出力パターンを決定するノンファーム出力決定部と、前記複数のルール各々が適用された場合について、前記ノンファーム出力決定部が決定した前記第1の電源の前記出力パターンを用いて、前記送電線にノンファーム型以外で接続される第2の電源の出力を決定するEDC(Economic load Dispatching Control)処理部と、前記複数のルール各々が適用された場合について、前記ノンファーム出力決定部が決定した前記出力パターンのコストと、前記EDC処理部が決定した前記第2の電源の前記出力のコストとの合計を算出し、該合計に基づき、前記複数のルール各々が適用された場合の中から1つの場合を選択し、前記1つの場合に対応する前記第1の電源および前記第2の電源の出力を、前記第1の電源および前記第2の電源の運用計画とする出力パターン選択部とを備える、運用計画生成装置である。
【0008】
また、本発明の他の一態様は、上述した運用計画生成装置であって、前記送電線の潮流値を取得する潮流値取得部を備え、前記ノンファーム出力決定部は、前記第1の電源の出力を決定する際に、前記潮流値取得部が取得した前記潮流値を用いる。
【0009】
また、本発明の他の一態様は、上述した運用計画生成装置であって、前記第1の電源の発電可能な電力の予測値を取得する発電可能電力値取得部を備え、前記ノンファーム出力決定部は、前記第1の電源の出力を決定する際に、前記発電可能電力値取得部が取得した前記予測値を用いる。
【0010】
また、本発明の他の一態様は、複数のルール各々が適用された場合について、送電線にノンファーム型で接続される第1の電源の出力パターンを決定する第1のステップと、前記複数のルール各々が適用された場合について、前記第1のステップにおいて決定した前記第1の電源の前記出力パターンを用いて、前記送電線にノンファーム型以外で接続される第2の電源の出力を決定する第2のステップと、前記複数のルール各々が適用された場合について、前記第1のステップにおいて決定した前記出力パターンのコストと、前記第2のステップにおいて決定した前記第2の電源の前記出力のコストとの合計を算出し、該合計に基づき、前記複数のルール各々が適用された場合の中から1つの場合を選択し、前記1つの場合に対応する前記第1の電源および前記第2の電源の出力を、前記第1の電源および前記第2の電源の運用計画とする第3のステップとを有する、運用計画生成方法である。
【0011】
また、本発明の他の一態様は、コンピュータを、複数のルール各々が適用された場合について、送電線にノンファーム型で接続される第1の電源の出力パターンを決定するノンファーム出力決定部、前記複数のルール各々が適用された場合について、前記ノンファーム出力決定部が決定した前記第1の電源の前記出力パターンを用いて、前記送電線にノンファーム型以外で接続される第2の電源の出力を決定するEDC(Economic load Dispatching Control)処理部、前記複数のルール各々が適用された場合について、前記ノンファーム出力決定部が決定した前記出力パターンのコストと、前記EDC処理部が決定した前記第2の電源の前記出力のコストとの合計を算出し、該合計に基づき、前記複数のルール各々が適用された場合の中から1つの場合を選択し、前記1つの場合に対応する前記第1の電源および前記第2の電源の出力を、前記第1の電源および前記第2の電源の運用計画とする出力パターン選択部として機能させるためのプログラムである。
【0012】
また、本発明の他の一態様は、ノンファーム型で接続される第1の電源の発電可能な電力の予測値を算出する発電可能電力予測部と、複数のルール各々が適用された場合について、前記発電可能電力予測部が算出した予測値を用いて、前記第1の電源の出力パターンを決定するノンファーム出力決定部と、前記複数のルール各々が適用された場合について、前記ノンファーム出力決定部が決定した前記第1の電源の前記出力パターンを用いて、前記送電線にノンファーム型以外で接続される第2の電源の出力を決定するEDC(Economic load Dispatching Control)処理部と、前記複数のルール各々が適用された場合について、前記ノンファーム出力決定部が決定した前記出力パターンのコストと、前記EDC処理部が決定した前記第2の電源の前記出力のコストとの合計を算出し、該合計に基づき、前記複数のルール各々が適用された場合の中から1つの場合を選択し、前記1つの場合に対応する前記第1の電源および前記第2の電源の出力を、前記第1の電源および前記第2の電源の運用計画とする出力パターン選択部とを備える運用計画生成システムである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、運用計画生成装置は、ノンファーム型で接続された電源を含んだ運用計画を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の一実施形態による運用計画生成システム10の構成を示す概略ブロック図である。
図2】同実施形態における運用計画生成装置200の構成を示す概略ブロック図である。
図3】同実施形態における送電線容量記憶部202の記憶内容例を示す表である。
図4】同実施形態におけるコスト特性記憶部203の記憶内容例を示す表である。
図5】同実施形態における運用計画生成装置200の動作例を説明するフローチャートである。
図6】同実施形態に係る各装置のハードウェア構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、この発明の一実施形態による運用計画生成システム10の構成を示す概略ブロック図である。運用計画生成システム10は、ノンファーム型で送電線に接続されている電源も含む、電力系統に接続された複数の電源(発電設備ともいう)の運用計画を、計画周期(例えば数十分)ごとに、生成するシステムである。ここで、運用計画とは、電源が送電線に供給する電力の計画値である。
【0016】
図1に示す運用計画生成システム10は、発電可能電力予測装置100、運用計画生成装置200、電力需要予測装置300、センサA4、B4を備える。なお、運用計画生成システム10が生成する運用計画が対象とする電力系統は、送電線A、B、発電設備A1、B1、ノンファーム発電設備A2、A3、B2、B3を含む。送電線A、B、発電設備A1、B1、ノンファーム発電設備A2、A3、B2、B3、センサA4、B4の数は、図1に示した数とは異なっていてもよい。送電線A、Bの各々は、電力系統を構成する送電線である。
【0017】
発電設備A1、B1(第2の電源ともいう)は、従来型の接続、すなわちノンファーム型以外の接続により送電線に接続されている電源である。従来型の接続の電源は、送電線に接続されている電源の発電能力(単位はワット)の合計が、その送電線の容量以下となっている。すなわち、図1の場合は、送電線Aに接続されている発電設備A1の発電能力は、送電線Aの容量以下となっており、送電線Bに接続されている発電設備B1の発電能力は、送電線Bの容量以下となっている。なお、図1では、送電線A、Bの各々には、従来型の接続により接続されている発電設備は1つ(発電設備A1または発電設備B1)であるが、複数接続されている場合は、それらの発電能力の合計が、接続されている送電線の容量以下となっている。
【0018】
ノンファーム発電設備A2、A3、B2、B3(第1の電源ともいう)の各々は、ノンファーム型の接続で送電線に接続されている電源である。ノンファーム型の接続では、従来型の接続の電源も含む、送電線に接続されている電源の発電能力の合計が、その送電線の容量を超えていてもよい。ノンファーム型の接続の電源は、接続されている送電線で送電されている潮流が、その送電線の容量未満であり、空き容量があるときに、その空き容量の範囲内で電力を供給するように制御される。ここで空き容量は、送電線の容量から潮流値を引いたものである。
【0019】
発電設備A1、B1、ノンファーム発電設備A2、A3、B2、B3の各々は、どのような方式で電力を供給する電源であってもよく、例えば、太陽光発電による発電設備であってもよいし、風力発電による発電設備であってもよいし、蓄電池を備えた発電設備であってもよいし、火力発電による発電設備であってもよいし、水力発電による発電設備であってもよい。
【0020】
センサA4、B4は、それぞれ設置されている送電線A、Bの潮流を測定し、潮流値(単位はワット)を計画周期ごとに出力する。発電可能電力予測装置100(発電可能電力予測部)は、例えば、気象情報などに基づき、ノンファーム発電設備A2、A3、B2、B3の発電可能な電力の予測値を、計画周期ごとに算出する。電力需要予測装置300は、電力需要を計画周期ごとに予測する。運用計画生成装置200は、センサA4、B4から取得した送電線A、Bの潮流値と、発電可能電力予測装置100から取得した予測値と、電力需要予測装置300が予測した電力需要とを用いて、発電設備A1、B1、ノンファーム発電設備A2、A3、B2、B3の運用計画を、計画周期ごとに生成する。
【0021】
発電可能電力予測装置100、運用計画生成装置200、電力需要予測装置300の各々は、1つまたは複数のコンピュータが、プログラムを読み込み実行することで実現されてもよい。また、発電可能電力予測装置100、運用計画生成装置200、電力需要予測装置300の一部もしくは全部が、同じコンピュータがプログラムを読み込み実行することで実現されてもよい。
【0022】
図2は、本実施形態における運用計画生成装置200の構成を示す概略ブロック図である。運用計画生成装置200は、潮流値取得部201、送電線容量記憶部202、コスト特性記憶部203、発電可能電力値取得部204、ノンファーム出力決定部205、EDC算出部206、出力パターン選択部207、電力需要取得部208を備える。
【0023】
潮流値取得部201は、センサA4、B4から送電線A、Bの潮流値を計画周期ごとに取得する。送電線容量記憶部202は、送電線A、Bの容量を記憶する。コスト特性記憶部203は、発電設備A1、B1、ノンファーム発電設備A2、A3、B2、B3の発電コストの特性を記憶する。ここで、発電コストとは、発電に必要な、単位電力当たりの費用である。発電可能電力値取得部204は、ノンファーム発電設備A2、A3、B2、B3各々の発電可能な電力の予測値を、計画周期ごとに取得する。なお、発電可能電力値取得部204は、ノンファーム発電設備A2、A3、B2、B3の一部、あるいは全部の発電可能な電力の予測値を、ノンファーム発電設備A2、A3、B2、B3の一部、あるいは各々から取得してもよい。
【0024】
ノンファーム出力決定部205は、送電線A、Bごとに、複数のルール各々が適用された場合について、その送電線にノンファーム型で接続される電源の出力(電力供給量)のパターンを決定する。その際に、ノンファーム出力決定部205は、潮流値取得部201が取得した送電線A、Bの潮流値、発電可能電力値取得部204が取得したノンファーム発電設備A2、A3、B2、B3の発電可能な電力の予測値、送電線容量記憶部202が記憶する送電線A、Bの容量、コスト特性記憶部203が記憶するノンファーム発電設備A2、A3、B2、B3のコスト特性を用いる。
【0025】
ここで、複数のルールの各々は、予め決められたルールであり、ノンファーム発電設備A2、A3、B2、B3の出力を決定するルールである。例えば、これらのルールは、送電線に接続されているノンファーム発電設備の合計出力の、送電線の空き容量に対する割合と、ノンファーム発電設備の優先順位との組み合わせからなる。あるいは、送電線に接続されているノンファーム発電設備の合計出力の、送電線の空き容量に対する割合と、ノンファーム発電設備間の割合との組み合わせからなる。
【0026】
例えば、ルールの1つが、ノンファーム発電設備の合計出力の、送電線の空き容量に対する割合が50%で、ノンファーム発電設備の優先順位が風力発電、太陽光発電の順であるとする。さらに、ノンファーム発電設備A2、B2が風力発電であり、ノンファーム発電設備A3、B3が太陽光発電であるとする。この場合、ノンファーム出力決定部205は、ノンファーム発電設備A2の、その計画周期での発電可能な電力の予測値内の出力で、送電線Aの空き容量の50%を埋めていき、空き容量の50%に残りがあれば、ノンファーム発電設備A3の、その計画周期での発電可能な電力の予測値内の出力で、その残りを埋めていき、ノンファーム発電設備A2の出力とノンファーム発電設備A3とを1つの出力パターンとする。また、ノンファーム出力決定部205は、ノンファーム発電設備B2の、その計画周期での発電可能な電力の予測値内の出力で、送電線Bの空き容量の50%を埋めていき、空き容量の50%に残りがあれば、ノンファーム発電設備B3の、その計画周期での発電可能な電力の予測値内の出力で、その残りを埋めていき、ノンファーム発電設備B2の出力とノンファーム発電設備B3とを1つの出力パターンとする。
【0027】
また、例えば、ルールの1つは、ノンファーム発電設備の合計出力の、送電線の空き容量に対する割合が100%で、ノンファーム発電設備間の割合が均等であってもよいし、ノンファーム発電設備の最大発電能力に比例であってもよいし、ノンファーム発電設備の発電可能な電力の予測値に比例であってもよい。
【0028】
なお、優先順位は、上述のように発電方法により順位付けされていてもよいし、予め決められていてもよい。送電線A、Bの空き容量は、送電線容量記憶部202が記憶する送電線A、Bの容量から、潮流値取得部201が取得した送電線A、Bの潮流値を引くことで求められる。
【0029】
EDC処理部206は、上述した複数のルール各々が適用された場合について、EDC処理により、ノンファーム出力決定部205が決定した出力パターンを用いて、発電設備A1、B1の出力を決定する。このとき、EDC処理部206は、電力需要値として、電力需要取得部208が取得した電力需要から、ノンファーム出力決定部205が決定した出力パターンによる供給電力を引いた値を用いる。また、EDC処理部206は、EDC処理の際に、コスト特性記憶部203が記憶する発電設備A1、B1のコスト特性を用いてもよい。また、EDC処理部206は、このEDC処理に、公知の手法、例えば、等増分燃料費法(等λ法)を用いてもよい。
【0030】
出力パターン選択部207は、上述した複数のルール各々が適用された場合について、ノンファーム出力決定部205が決定した出力パターンのコストと、EDC処理部206が決定した発電設備A1、B1の出力のコストとの合計を算出する。出力パターン選択部207は、この合計に基づき、上述した複数のルール各々が適用された場合の中から1つの場合を選択する。例えば、出力パターン選択部207は、コストの合計が一番小さい場合を選択する。
【0031】
さらに、出力パターン選択部207は、この1つの場合に対応する発電設備A1、B1、ノンファーム発電設備A2、A3、B2、B3の出力を、発電設備A1、B1、ノンファーム発電設備A2、A3、B2、B3の運用計画とする。出力パターン選択部207は、コストの算出に、コスト特性記憶部203が記憶するコスト特性を用いるようにしてもよい。
【0032】
電力需要取得部208は、電力需要予測装置300が予測した電力需要を、計画周期ごとに取得する。
【0033】
図3は、本実施形態における送電線容量記憶部202の記憶内容例を示す表である。図3に示す例では、送電線容量記憶部202は、送電線「送電線A」と対応付けて、容量「XXX[kW]」を記憶し、送電線「送電線B」と対応付けて、容量「YYY[kW]」を記憶する。
【0034】
図4は、本実施形態におけるコスト特性記憶部203の記憶内容例を示す表である。図4に示す例では、コスト特性記憶部203は、発電設備「発電設備A1」と対応付けて、発電コスト[円/kW]として、X1[kW]~X2[kW]では「aaa」、X2[kW]~X3[kW]では「bbb」、X3[kW]~X4[kW]では「ccc」、X4[kW]~X5[kW]では「ddd」・・・を記憶する。また、コスト特性記憶部203は、発電設備「発電設備A2」と対応付けて、発電コスト[円/kW]として、X1[kW]~X2[kW]では「eee」、X2[kW]~X3[kW]では「fff」、X3[kW]~X4[kW]では「ggg」、X4[kW]~X5[kW]では「hhh」・・・を記憶する。
【0035】
図5は、本実施形態における運用計画生成装置200の動作例を説明するフローチャートである。運用計画生成装置200は、図5に示す処理を、計画周期ごとに行う。運用計画生成装置200は、ステップSa2からステップSa5を、送電線A、Bごとに処理する。ステップSa2では、潮流値取得部201が、該当する送電線の潮流値を、センサA4またはセンサB4から取得する。次に、ステップSa3では、ノンファーム出力決定部205が、送電線容量記憶部202が記憶する容量と、ステップSa2で取得した潮流値を比較し、該当する送電線に空き容量があるか否かを判定する。
【0036】
空き容量がないと判定したときは(ステップSa3-No)、運用計画生成装置200は、ステップSa4、Sa5をスキップする。空き容量があると判定したときは(ステップSa3-Yes)、発電可能電力値取得部204が、該当する送電線にノンファーム型で接続されている電源の発電可能な電力の予測値を、発電可能電力予測装置100から取得する(ステップSa4)。次に、ノンファーム出力決定部205が、該当する送電線にノンファーム型で接続されている電源の出力パターンを、複数のルール各々で生成する(ステップSa5)。
【0037】
このステップSa1からSa6の繰り返しにより、空き容量のある送電線各々について、複数のルールの数だけ、出力パターンが生成される。次に、運用計画生成装置200は、ステップSa8とステップSa9を、出力パターンの組み合わせごとに処理する。ここで、出力パターンの組み合わせとは、送電線ごとに出力パターンを1つずつ選択して得られる組み合わせである。したがって、送電線A、B各々で出力パターンが3つある場合は、出力パターンの組み合わせは、3×3の9通りとなる。
【0038】
ステップSa8では、EDC処理部206が、該当する出力パターンに応じたEDC処理をする。ここで、出力パターンに応じたEDC処理とは、電量需要を、電力需要取得部208が取得した電力需要から、出力パターンにより供給電力を引いた値として処理することを示す。
【0039】
次に、ステップSa9では、出力パターン選択部207が、該当する出力パターンによる、ノンファーム型で接続されている電源のコストと、ステップSa8のEDC処理の結果による、従来型で接続されている電源のコストとの合計を、合計コストとして算出する。
【0040】
このステップSa7からSa10の繰り返しにより、出力パターンの組み合わせの数だけ、合計コストが算出される。次に、出力パターン選択部207が、合計コストの最も小さい出力パターンの組み合わせを選択し(ステップSa11)、該選択した出力パターンの組み合わせとなるように、電源(発電設備A1、B1、ノンファーム発電設備A2、A3、B2、B3)を制御する(ステップSa12)。
【0041】
図6は、本実施形態に係る各装置のハードウェア構成を説明する説明図である。
各装置とは、発電可能電力予測装置100、運用計画生成装置200、電力需要予測装置300である。各装置は、入出力モジュールI、記憶モジュールM、及び制御モジュールPを含んで構成される。入出力モジュールIは、通信モジュールH11、接続モジュールH12、ポインティングデバイスH21、キーボードH22、ディスプレイH23、ボタンH3、マイクH41、スピーカH42、カメラH51、又はセンサH52の一部或いは全部を含んで実現される。記憶モジュールMは、ドライブH7を含んで実現される。記憶モジュールMは、さらに、メモリH8の一部或いは全部を含んで構成されてもよい。制御モジュールPは、メモリH8及びプロセッサH9を含んで実現される。これらのハードウェア構成要素は、バス(Bus)を介して、相互に通信可能に接続されるとともに、電源H6から電力を供給されている。
【0042】
接続モジュールH12は、USB(Universal Seriul Bus)等のデジタル入出力ポートである。携帯機器の場合、ポインティングデバイスH21、キーボードH22、及びディスプレイH23は、タッチパネルである。センサH52は、加速度センサ、ジャイロセンサ、GPS受信モジュール、近接センサ等である。電源H6は、各装置を動かすために必要な電気を供給する電源ユニットである。携帯機器の場合、電源H6は、バッテリーである。ドライブH7は、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶媒体である。ドライブH7は、EEPROM、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、又は、光磁気ディスクドライブ、フレキシブルディスクドライブであってもよい。また、ドライブH7は、例えば、各装置に内蔵されるものに限らず、接続モジュールH12のコネクタに接続された外付け型の記憶装置でもよい。メモリH8は、ランダムアクセスメモリ等の主記憶媒体である。なお、メモリH8は、キャッシュメモリであってもよい。メモリH8は、一又は複数のプロセッサH9によって命令が実行されるときに、これらの命令を格納する。プロセッサH9は、CPU(中央演算装置)である。プロセッサH9は、MPU(マイクロプロセッシングユニット)又はGPU(グラフィックスプロセッシングユニット)であってもよい。プロセッサH9は、メモリH8を介してドライブH7から、プログラム及び各種データを読み出して演算を行うことで、一又は複数のメモリH8に格納した命令を実行する。
【0043】
入出力モジュールIは、発電可能電力予測装置100、運用計画生成装置200、電力需要予測装置300などに用いられる。記憶モジュールMは、送電線容量記憶部202、コスト特性記憶部203を実現する。制御モジュールPは、発電可能電力予測装置100、運用計画生成装置200、電力需要予測装置300の各部の実装に用いられる。なお、本明細書等において、発電可能電力予測装置100、運用計画生成装置200、電力需要予測装置300、潮流値取得部201、発電可能電力値取得部204、ノンファーム出力決定部205、EDC処理部206、出力パターン選択部207、電力需要取得部208との記載は、制御モジュールPとの記載に置き換えられてもよい。
【0044】
以下のような実施形態であってもよい。
(1)一実施形態は、複数のルール各々が適用された場合について、送電線にノンファーム型で接続される第1の電源の出力パターンを決定するノンファーム出力決定部と、前記複数のルール各々が適用された場合について、前記ノンファーム出力決定部が決定した前記第1の電源の前記出力パターンを用いて、前記送電線にノンファーム型以外で接続される第2の電源の出力を決定するEDC(Economic load Dispatching Control)処理部と、前記複数のルール各々が適用された場合について、前記ノンファーム出力決定部が決定した前記出力パターンのコストと、前記EDC処理部が決定した前記第2の電源の前記出力のコストとの合計を算出し、該合計に基づき、前記複数のルール各々が適用された場合の中から1つの場合を選択し、前記1つの場合に対応する前記第1の電源および前記第2の電源の出力を、前記第1の電源および前記第2の電源の運用計画とする出力パターン選択部とを備える、運用計画生成装置である。
【0045】
(2)他の一実施形態は、上述した(1)の運用計画生成装置であって、前記送電線の潮流値を取得する潮流値取得部を備え、前記ノンファーム出力決定部は、前記第1の電源の出力を決定する際に、前記潮流値取得部が取得した前記潮流値を用いる。
【0046】
(3)他の一実施形態は、上述した(1)または(2)の運用計画生成装置であって、前記第1の電源の発電可能な電力の予測値を取得する発電可能電力値取得部を備え、前記ノンファーム出力決定部は、前記第1の電源の出力を決定する際に、前記発電可能電力値取得部が取得した前記予測値を用いる。
【0047】
(4)他の一実施形態は、複数のルール各々が適用された場合について、送電線にノンファーム型で接続される第1の電源の出力パターンを決定する第1のステップと、前記複数のルール各々が適用された場合について、前記第1のステップにおいて決定した前記第1の電源の前記出力パターンを用いて、前記送電線にノンファーム型以外で接続される第2の電源の出力を決定する第2のステップと、前記複数のルール各々が適用された場合について、前記第1のステップにおいて決定した前記出力パターンのコストと、前記第2のステップにおいて決定した前記第2の電源の前記出力のコストとの合計を算出し、該合計に基づき、前記複数のルール各々が適用された場合の中から1つの場合を選択し、前記1つの場合に対応する前記第1の電源および前記第2の電源の出力を、前記第1の電源および前記第2の電源の運用計画とする第3のステップとを有する、運用計画生成方法である。
【0048】
(5)他の一実施形態は、コンピュータを、複数のルール各々が適用された場合について、送電線にノンファーム型で接続される第1の電源の出力パターンを決定するノンファーム出力決定部、前記複数のルール各々が適用された場合について、前記ノンファーム出力決定部が決定した前記第1の電源の前記出力パターンを用いて、前記送電線にノンファーム型以外で接続される第2の電源の出力を決定するEDC(Economic load Dispatching Control)処理部、前記複数のルール各々が適用された場合について、前記ノンファーム出力決定部が決定した前記出力パターンのコストと、前記EDC処理部が決定した前記第2の電源の前記出力のコストとの合計を算出し、該合計に基づき、前記複数のルール各々が適用された場合の中から1つの場合を選択し、前記1つの場合に対応する前記第1の電源および前記第2の電源の出力を、前記第1の電源および前記第2の電源の運用計画とする出力パターン選択部として機能させるためのプログラムである。
【0049】
(6)他の一実施形態は、ノンファーム型で接続される第1の電源の発電可能な電力の予測値を算出する発電可能電力予測部と、複数のルール各々が適用された場合について、前記発電可能電力予測部が算出した予測値を用いて、前記第1の電源の出力パターンを決定するノンファーム出力決定部と、前記複数のルール各々が適用された場合について、前記ノンファーム出力決定部が決定した前記第1の電源の前記出力パターンを用いて、前記送電線にノンファーム型以外で接続される第2の電源の出力を決定するEDC(Economic load Dispatching Control)処理部と、前記複数のルール各々が適用された場合について、前記ノンファーム出力決定部が決定した前記出力パターンのコストと、前記EDC処理部が決定した前記第2の電源の前記出力のコストとの合計を算出し、該合計に基づき、前記複数のルール各々が適用された場合の中から1つの場合を選択し、前記1つの場合に対応する前記第1の電源および前記第2の電源の出力を、前記第1の電源および前記第2の電源の運用計画とする出力パターン選択部とを備える運用計画生成システムである。
【0050】
また、図1における発電可能電力予測装置100、運用計画生成装置200、電力需要予測装置300の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより発電可能電力予測装置100、運用計画生成装置200、電力需要予測装置300を実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS、周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0051】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワーク、電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバ、クライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0052】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0053】
10 運用計画生成システム
100 発電能力予測装置
200 運用計画生成装置
201 潮流値取得部
202 送電線容量記憶部
203 コスト特性記憶部
204 発電可能電力値取得部
205 ノンファーム出力決定部
206 EDC処理部
207 出力パターン選択部
208 電力需要取得部
300 電力需要予測装置
A、B 送電線
A1、B1 発電設備
A2、A3、B2、B3 ノンファーム発電設備
A4、B4 センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6